日本農村医学会雑誌
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57 巻, 4 号
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原著
  • 川村 秀樹, 近藤 征文, 本間 重紀, 岡田 邦明, 石津 寛之, 益子 博幸, 秦 庸壮, 田中 浩一, 山上 英樹, 横田 良一, 渡 ...
    2008 年 57 巻 4 号 p. 619-627
    発行日: 2008/11/30
    公開日: 2009/02/25
    ジャーナル フリー
     腹腔鏡下胃切除術は多くのディスポーザブル製品を使用するため,請求可能な材料費を上回る分の使用する材料費が開腹胃切除に比べて大きいといわれている。そこで腹腔鏡下胃切除におけるコスト面での問題を調査するために開腹胃切除と腹腔鏡下胃切除において使用した材料費の合計,手術料および入院費を比較した。
     2007年8月から11月に当院で施行した幽門側胃切除 (開腹: ODG5例,腹腔鏡下: LADG5例),胃全摘 (開腹: OTG5例,腹腔鏡下: LATG5例) において手術材料費,手術料,入院費用 (診療収入+入院料) を調査した。胃切除術による利益=胃切除の手術料-(使用したディスポーザブル製品の材料費-請求可能なディスポーザブル製品の材料費) とした。材料費は定価を用いた。
     手術利益はODGが278,756.2円,LADGが190,292.8円,OTGが395,922.6円,LATGが330,653.6円となった。平均入院費用 (診療収入+入院料) はODGが1,390,464円,平均入院期間は21.4日であり,1日あたりの平均入院費用は65,140.0円であった。それぞれLADGでは1,484,254.0円,18.8日,80,805.4円,OTGでは1,956,664.0円,24.4日,82,397.1円,LATGでは1,686,936.0円,18.4日,91,894.8円であった。
     腹腔鏡下胃切除は開腹胃切除に比較して手術費は高いが手術による利益は少ない。現状では十分なコスト削減対策が必須である。全入院中の入院費は必ずしも高くならないが在院日数が短いため1日あたりの入院費は高い。
  • ――動静脈交叉部の形態変化を指標とした検討――
    服部 聡, 青木 謹, 羽田 明
    2008 年 57 巻 4 号 p. 628-638
    発行日: 2008/11/30
    公開日: 2009/02/25
    ジャーナル フリー
     健康診断の主要な目的のひとつは虚血性心疾患,脳血管疾患などの動脈硬化に起因する疾患の発症予防である。その為には,簡便で精度の高い動脈硬化評価法の開発が必須である。我々は健康診断に使われている眼底写真を対象に,新しい解析法の導入による動脈硬化評価法の開発を目指している。本研究では,無散瞳眼底カメラの撮影画像における網膜動静脈交叉部周辺の血管形態変化を数値化することによる評価を試みた。千葉県M市の健康診断受診者のうち,眼底写真を撮影した約1,000人を対象とし,3年間にわたる眼底写真の画像解析を行なった。その結果,集団全体の加齢による変化の傾向は認められるものの,現時点では,個々人の動脈硬化進行度評価は困難であることがわかった。また,交叉部の形態変化と年齢,血圧,糖代謝,脂質代謝,BMIなどの各種生体情報との関連についても検討したが,高い相関を認めることはできなかった。本研究により,網膜血管画像による経時的動脈硬化評価システムを構築し,実際の健康診断の現場で使用するには,多くの克服すべき課題があることが明らかとなった。
報告
  • ――当科の退院総括データベースからの解析――
    新保 義勝
    2008 年 57 巻 4 号 p. 639-646
    発行日: 2008/11/30
    公開日: 2009/02/25
    ジャーナル フリー
     糸魚川市は新潟県の最西端にあり,人口約5万で65歳以上の高齢者が30%をしめる地域で地理的要因から一つの医療圏を成している。糸魚川総合病院は当地域の基幹病院であり,当科は日本脳神経外科学会認定のC項訓練施設である。脳神経外科常勤医は一人である。最近当科の手術件数が減少し,C項認定も危ぶまれる状況にある。一方,当科の退院時転帰を治療成績としてまとめる目的で,1995年11月1日から2007年4月までの退院総括から退院患者データベースを作った。そこでこれを用いて手術件数と関連する要因について検討した。入院日が前年11月1日から当年10月31日までの年次ごとのデータベースから,各年次の手術症例数,手術件数,入院総数,65歳以上の入院者数,新入院数,平均入院期間,平均入院時年齢を求め,さらに当地域の総人口,65歳以上の人口と総人口に占める比率の年次別データも集めて,各々の11年分をExcelに入力した。CORREL関数を用いて相関係数を調べると,手術症例数の変化は,当科の入院総数や新入院数などの因子より,地域の総人口と正の (0.844),地域の65歳以上の人口比率と負の (-0.822) 強い相関を示した。手術件数を維持することが過疎・高齢化の進む農村部では大変困難な課題であることがわかった。
症例報告
看護研究報告
  • 澁谷 秀幸, 荻原 園子, 小澤 恵子, 上島 美佳, 植松 鶴子, 井上 憲昭
    2008 年 57 巻 4 号 p. 650-655
    発行日: 2008/11/30
    公開日: 2009/02/25
    ジャーナル フリー
     当院では一般病院の臨床工学科として,ベッドからの転倒・転落を防止するための各種離床センサーを自主製作している。この度,焦電型赤外線離床センサーを試作し,その効果について検討した。試作センサーの特徴は,焦電型赤外線センサー (松下電工製MPモーションセンサーNaPiOn) を選択し,任意の位置にセンサーを設置可能としたことである。尚,製作費用は1機あたり4,000円であった。試作センサーは,(1) 起床感知型離床センサー,(2) 離室防止用具,(3) マット型離床センサー代替用具の3つの用途で病院および病院併設老人保健施設にて運用し評価した。3か月間の試験運用の結果,利点としてはセンサー設置場所を工夫することで様々な用途で使用でき,安全性に優れていることがわかった。欠点としては,センサー設置位置によっては,ナースコール誤作動により看護・介護スタッフの労力を増やしてしまった。課題として,ハードウェア面から検出範囲の規定および感度調節が考えられた。
  • ――透明フィルムドレッシング材の大きさの比較・検討――
    加藤 やよい, 大谷 恵実子, 工藤 政茂, 石田 伸也, 大野 祐子, 平松 武幸
    2008 年 57 巻 4 号 p. 656-660
    発行日: 2008/11/30
    公開日: 2009/02/25
    ジャーナル フリー
     血液透析療法におけるバスキュラーアクセスカテーテルは透析導入時や内シャント閉塞時に緊急用に留置される。当院では,カテーテル挿入に伴うADL低下や合併症予防のために内頸静脈に挿入することが多い。関節可動域が広い頸部では透明ドレッシング材によるカテーテル固定時,皮膚との間に隙間ができやすく,CDCガイドラインの7日毎のテープ交換でなく現状では2日から4日で交換している。今回,頸部の可動域に着目して現行のサイズ (10×12cm) とその1/4のサイズ (5×6cm) の2種類のテープでバスキュラーアクセスカテーテルの固定を比較した。調査結果では現行サイズと1/4サイズでははがれたテープの面積に有意な差が認められた。1/4サイズのテープの方がカテーテルと皮膚との間に隙間を作りにくく,剥がれにくい。また1/4サイズのテープの方が交換頻度も少ないため患者の皮膚の保護にも有効と思われた。
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