日本農村医学会雑誌
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59 巻 , 2 号
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原著
  • 山本 泰三, 渡辺 裕子, 肥田野 義道, 新谷 周三, 日野 太郎, 赤沼 順, 増山 正義
    2010 年 59 巻 2 号 p. 67-71
    発行日: 2010/07/30
    公開日: 2010/10/18
    ジャーナル フリー
     脳卒中や骨折の病態が落ち着いたとしても障害を伴った高齢の患者は,転院という環境の変化によって日常生活活動能力が低下する可能性がある。代表的なADL評価であり,信頼性が実証されているBarthel Indexを用いて,環境の変化の影響を評価した。対象は脳卒中と大腿骨頸部骨折を伴う患者で,急性期病院の転院時に療法士が評価した得点と,転院後1週間以内に連携病院にて看護師が評価した得点を検討した。脳卒中の総合得点は58%が低く評価され,差の平均は-5.9±16.0点であった。大腿骨頸部骨折の総合得点は68%が低く評価され,差の平均は-7.3±14.1点であった。脳卒中の順位相関係数は0.91 (p<0.001) と非常に強い相関であり,大腿骨頸部骨折の順位相関係数は0.69 (p<0.001) とかなり強い相関であった。脳卒中と大腿骨頸部骨折のBarthelIndexの総合得点は転院により差を生じなかった。しかし,脳卒中の平均年齢は68.5歳で大腿骨頸部骨折の平均年齢は81.4歳と差があり,大腿骨頸部骨折のほうが高齢なため,脳卒中より日常生活活動能力が低く評価される傾向があった。
  • 南部 泰士, 桐原 優子, 月澤 恵子, 今野谷 美名子, 木村 啓二, 林 雅人
    2010 年 59 巻 2 号 p. 72-79
    発行日: 2010/07/30
    公開日: 2010/10/18
    ジャーナル フリー
     秋田県南部の一地域に暮らす石綿検診受診者の石綿関連業務経験後から現在までの経過を明らかにし,今後の情報提供・保健指導等の支援につなげることを目的に調査を行なった。石綿関連業務従事期間は平均11.1±2.12年,従事後平均29.8±4.64年が経過していた。石綿関連業務従事時,暴露予防のための個人対策は研究対象者10名全員が行なっておらず,職場講習による暴露予防の教育もされていなかった。石綿検診を受診した経緯は,新聞などのマスメディアを通して自ら情報を得たのがきっかけであった。石綿健康管理手帳交付のための条件は手帳を所持していない者5名が知らなかった。日常の健康不安は「いつ発症するかわからない」「長期に管理しなければならない精神的負担が大きい」「石綿といわれても症状が無いからわからない」等であった。全国的に石綿労働災害認定数や悪性中皮腫が増加しており,受診者と長期にわたる関わりから健康不安を軽減するためには,1.救済制度などの法律に熟知し個々の受診者に適応する,2.長期にわたる関わりから受診者の健康課題を追跡し,QOLが維持できる支援を行なう,3.研究活動を続け社会的に公表し,救済に結びつくよう医療者としての責任を果たす支援が重要であることが示唆された。
報告
  • 深見 沙織, 朱宮 哲明, 岩田 弘幸, 伊藤 美香利, 重村 隼人, 加藤 里奈, 長谷川 京子, 山田 千夏, 中西 恭子, 尾崎 隆男
    2010 年 59 巻 2 号 p. 80-85
    発行日: 2010/07/30
    公開日: 2010/10/18
    ジャーナル フリー
     摂食・嚥下障害者の障害の程度は多様であり,食事摂取量の改善には個々の患者の摂食能力に応じた食事を提供することが必要である。今回我々は,嚥下食の段階化に取り組み,嚥下食を食形態の難易度順の5段階 (I~V) に設定した。嚥下食I~IIIは嚥下訓練のための食事,IVは必要栄養量を確保するための食事,Vは嚥下食から固形食への移行を目的とした準備期間の食事とした。
     嚥下食5段階化の取り組みを評価するため,嚥下食喫食者23名を対象に平均喫食率を調査した。嚥下食IV喫食者では7.5±2.1割,Vでは7.4±1.9割,両者を併せて7.4±2.0割の喫食率であり,嚥下食が段階化される前の調査 (日農医誌 57: 83-88,2008) での平均喫食率より高かった。また,症例において,5段階化にしたことで経口摂取に十分に移行できた。嚥下食の5段階化は,喫食率の評価で支持された傾向が認められており,2008年7月から当院において正式に導入されている。
  • 神林 ミユキ, 原 靖子, 橋本 澄春, 小瀧 浩
    2010 年 59 巻 2 号 p. 86-91
    発行日: 2010/07/30
    公開日: 2010/10/18
    ジャーナル フリー
     急性期病院である当院では,医療ソーシャルワーカーの業務の約8割を退院援助が占めており,平均在院日数短縮に伴い,より短期間でスムーズな退院を求められている。平成20年4月に開始された後期高齢者退院調整加算算定に伴う業務の一環として,入院した後期高齢者から退院困難患者の抽出を始めた。書籍等に書かれている一般的な退院困難因子を用いたスクリーニングを行なったが,当院で医療ソーシャルワーカーが介入する退院困難患者のもつ因子とは相違していることが明らかになった。当院の実状に即した退院困難因子を明らかにするため修正を重ね,約24%信頼性の高い項目を見つけることができた。
     当院独自の退院困難因子を明らかにすることにより,業務負担が軽減されるほか,平均在院日数の短縮,地域連携の強化,そして何より患者や家族にとって,追い出しではない退院の実現を目指したい。
  • 永沼 晃和, 戸田 康文, 近藤 規央, 松本 和久, 澤田 英典, 中屋 俊介, 中村 俊一, 山岸 孝弘, 東 弘志, 久保田 和郎, ...
    2010 年 59 巻 2 号 p. 92-96
    発行日: 2010/07/30
    公開日: 2010/10/18
    ジャーナル フリー
     JA北海道厚生連放射線技師会では,平成15年度より「超音波検診の精度向上に関する委員会」を会内に設置し,集検の精度向上に向け活動を開始した。今回,施設内ドック超音波検査成績について平成18年度の検査成績を中心にまとめた。施設内ドック受診者中,腹部超音波検査受診率は91.3%であった。腹部超音波検査の有所見率は68.1%,要精検率は4.5%であった。精検受診率は74.5%で,腹部超音波検査でのがん発見率は0.048%であった。対象となった6病院間で,要精検率,がん発見率において,バラツキが見られた。要因として,要精検率については各病院における要精検の基準が異なること,がん発見率については超音波検査受診者数や精検受診率の違いが影響していると考えられた。平成18年度における一次有所見内訳について各臓器に対し調査を行なった結果,脂肪肝 (27.4%) や胆石症 (3.6%) が上位となり,腹部超音波検査はがんだけではなく生活習慣病に対する検査の役割も果たしていると考えられた。平成10年度~平成19年度までの臓器別発見がんの内訳は,肝臓40例,胆嚢24例,膵臓30例,腎臓79例,脾臓0例,その他8例で,がん発見率は0.03~0.05%の間で推移しており,がん検診の役割を果たしていると考えられた。
  • 神谷 勝, 久保田 敏行, 中村 和行, 勝見 章男
    2010 年 59 巻 2 号 p. 97-102
    発行日: 2010/07/30
    公開日: 2010/10/18
    ジャーナル フリー
     すでに,医療施設における電子カルテ情報を活用した麻薬管理システムは存在する。しかし,その多くは麻薬の受取,払出および返却を記録するのみで使い勝手が悪く,麻薬帳簿への効率的な出力ができないものであった。今回,我々は,これらの問題点を解決し,使える麻薬管理システムの構築を試みた。検討の要点は,電子カルテの「依頼情報」のみならず「実施情報」を活用すること,必要な記録を容易に作成することである。電子カルテのオーダ番号およびそのバーコードを使用して,麻薬帳簿などを正確に作成できる麻薬管理システムを構築した。導入前後で,システムの正確性と効率性を評価したところ,正確性は有意に改善した。麻薬管理に必要な機能がそろう麻薬管理システムを導入できた。
  • 本多 成史, 浅野 弘也
    2010 年 59 巻 2 号 p. 103-107
    発行日: 2010/07/30
    公開日: 2010/10/18
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は当院の外来心臓リハビリテーション (心リハ) プログラム終了後の運動療法の継続,生活習慣について調査することである。対象は2004年9月より2008年10月の間に2か月以上継続して当院の外来心リハに参加し,保険適応期間の終了や職場復帰などにより心リハを終了した連続180例 (男性124例,女性56例,年齢68.8±8.8歳,疾患内訳:虚血性心疾患134例,冠動脈バイパス術後22例,弁置換術後8例,慢性心不全16例) とした。方法としては,郵送によるアンケートを用いて遠隔期 (終了後24.0±12.3か月) の運動療法の継続状況,生活習慣,心疾患による入院について調査した。回収の結果,138例 (77%) で有効回答を得た。103例 (75%) で自宅での運動療法の継続を認め,そのうち47例 (46%) で自覚的な運動耐容能の改善を認めた。飲酒習慣を43例 (32%),喫煙習慣を8例 (6%) 認めた。またリハビリ終了後の心疾患による入院を19例 (16%) に認めた。当院の外来心リハ参加者の多くはプログラム終了後,自宅で運動療法を継続していた。
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