日本農村医学会雑誌
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60 巻 , 5 号
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原著
  • 青木 早苗, 宮坂 尚幸, 田丸 陽子, 塚田 貴史, 古澤 啓子, 後藤 亮子, 市川 麻以子, 遠藤 誠一, 坂本 雅恵, 清水 純一, ...
    2012 年 60 巻 5 号 p. 591-596
    発行日: 2012/01/31
    公開日: 2012/06/06
    ジャーナル フリー
     近年,生殖補助医療による妊娠成立に伴い,双胎妊娠の増加が指摘されている。双胎妊娠はハイリスク妊娠を引き起こす要因だが,分娩自体もハイリスクであり,帝王切開分娩 (以下,帝切分娩) が選択されることが多い。当院では一定の条件を満たす症例には本人の同意を得て経腟分娩を試行しており,双胎妊娠の分娩様式,経腟分娩の経過および早期新生児予後について今回調査してみた。平成17年1月1日~平成21年12月31日までの5年間に妊娠22週0日以降に分娩した5,464例を調査対象とし,その中の双胎分娩251例 (4.6%) について分娩台帳録,詳細については入院産科診療録を参照して調査した。
     分娩時週数は妊娠33~36週の分娩が46%と最多を占め,妊娠37週以降の正期産での分娩は41%であった。分娩方法は帝切分娩が65%,経腟分娩が33%,第一児経腟・第二児帝切分娩が2%の割合であった。帝切分娩の適応では希望帝切が50%と最多を占めた。経腟分娩試行例 (90例) では頭位/頭位で92% (64/69例),頭位/骨盤位で86% (18/21例) とそれぞれ高い成功率が得られた。新生児予後については,経腟分娩試行例の1分後アプガールスコア0~3点の重症仮死が4.5% (8/180児),4~6点の軽症仮死は3.3% (6/180児) にみられた。これを母体換算すると重症仮死が8.9% (8/90母),軽症仮死が6.7% (6/90母) に倍増しかなりの高頻度となった。一方,長期予後に関連する5分後アプガールスコアでは重症仮死が1.7% (3/180児),軽症仮死は1.1% (2/180児) に低減していた。1分後の軽症および重症仮死症例14例中11例が第二児であり,その11例中に臍帯脱出が5例,胎盤早期剥離が3例みられた。第二児の緊急帝切分娩の頻度が5.6% (5/90),また経腟分娩成功例でも仮死の頻度が高い傾向にあることから,双胎分娩の経腟分娩は新生児科専門医と麻酔科専門医が常駐し,すみやかな緊急帝切と新生児蘇生が可能な施設で試行すべきと考えられた。
報告
  • 長谷川 毅, 三宅 孝
    2012 年 60 巻 5 号 p. 597-601
    発行日: 2012/01/31
    公開日: 2012/06/06
    ジャーナル フリー
     当院は愛知県豊田市北東部を診療圏とする中山間地に位置し,高齢化率が約34%となり年々増加しつつある。自家用車を持たない高齢者も多く,病院への交通手段も限られ,週1,2回のコミュニティーバス以外の交通手段しかない地域も多いため検診受診や病院受診抑制の原因となっている。その結果,消化器がんは進行した状態や切除不能な状態でみつかることもまれでない。そのため,比較的元気に実生活を送っている高齢者に対しては進行および切除不能,再発消化器がんに対して化学療法を考慮すべき症例も時々経験する。当院では,2005年4月から2010年6月までの約5年間に進行,切除不能,再発の消化器がんに対し開腹術 (試験開腹も含む) を行なった70歳以上の高齢者のうち認知症にて充分なインフォームドコンセントのとれない症例や全身状態の良好でない症例を除いた25例に対しS-1単独療法を行なった。その結果,高齢者に対するS-1単独療法は通常の年齢層へのS-1療法を中心とした化学療法や他の化学療法と比べ症例数が少ないため単純に比較はできないが,疾患によっては比較的良好な結果を得ることができている。そのため当院では内服であるS-1単独療法を高齢者にとってQOLを考えた消化器がんに対する化学療法のひとつと位置づけ施行している。
  • 秀野 功典, 内藤 ひさ, 黒部 弘美, 今井 美奈子, 田實 直也, 山田 浩昭
    2012 年 60 巻 5 号 p. 602-614
    発行日: 2012/01/31
    公開日: 2012/06/06
    ジャーナル フリー
     安城更生病院は723床の急性期病院である。当院が発行する文書は月に3,500件を超え,医師にとっては慢性的な大きな負担となっている。当院では電子カルテを採用しており,約半数の文書は電子化されているが,残りの半数は手書きでの対応を余儀なくされている。
     医師の文書作成の負担軽減策として診断書作成支援ソフトを導入する事とした。このソフトの特徴としては以下の通りである。
     (1) 約600の様式がフォーマット。
     (2) 患者属性等の基本情報を自動入力。
     (3) 電子カルテ・医事システムとの病名,入退院日,手術名等の連携。
     (4) 前回の入力内容や電子カルテの記載内容をコピーする引用機能。
     この様な機能により繰り返し記載をする介護保険の主治医意見書や複数の依頼が来る生命保険の診断書等を記載するには非常に効率的である。
     平成20年4月の診療報酬改訂により医師の事務作業補助に対して点数が付与された事も追い風になり,文書作成補助の事務員を専属で5名を配置した。文書作成補助者は入退院日や手術術式等,医師で無くても記載出来る部分を全て下書き入力し,医師はその確認と空白部分への入力のみの業務となる。
     医師事務作業補助者と文書作成支援システムの導入により完成日数に関しては導入前の11.2日から導入後7.2日と約4日間短縮された。導入半年後に取った医師の負担軽減へのアンケートでは8割以上の医師において文書作成の負担が軽減された結果が得られた。
症例報告
  • 山本 泰三
    2012 年 60 巻 5 号 p. 615-621
    発行日: 2012/01/31
    公開日: 2012/06/06
    ジャーナル フリー
     腰痛と腹圧性尿失禁の改善目的で,体幹スタビリティ・エクササイズを行なった。一般的な骨盤底筋の収縮を指導したところ,呼吸を止めて,股関節の内転と伸展を強調されるのみであった。スリング・エクササイズ・セラピーにてリラクセーションさせた状態で,腹横筋を主動作筋とする臍引き運動は自覚できた。体幹スタビリティの初期段階は,骨盤底筋と腹横筋,横隔膜により腹腔内圧の調整にて提供されるので,腹横筋と骨盤底筋が共同収縮することを期待できる。体幹スタビリティ・エクササイズは,スリング・エクササイズ・セラピーにて,腰部形状を維持したままブリッジ活動ができように十分に補助を加えた段階から開始し,段階的に補助を減らし,その後に,下肢関節の運動を加えた2重課題を行ない,ブリッジ活動の難易度を漸増させた。腹圧性尿失禁を伴う患者に,体幹スタビリティ・エクササイズを行ない腹圧性尿失禁が改善したので報告する。
  • 塚田 貴史, 宮坂 尚幸, 吉田 卓功, 羅 ことい, 鬼塚 真由美, 栗田 郁, 田丸 陽子, 後藤 亮子, 市川 麻以子, 遠藤 誠一, ...
    2012 年 60 巻 5 号 p. 622-626
    発行日: 2012/01/31
    公開日: 2012/06/06
    ジャーナル フリー
     子宮内膜症は子宮内腔面を縁取る子宮内膜上皮と間質組織が異所性に子宮筋層,卵巣,骨盤腹膜などに発生する疾患である。さらに,この部位以外に消化管,肺,臍部など生殖器外に発生することが知られている。今回,我々は右鼠径部に発生した子宮内膜症の1例を経験したので報告する。症例は41歳の3経妊3経産婦で,約半年前から月経時に右鼠径部の疼痛と腫張感を自覚し,術前8か月前に当科を受診した。右鼠径部に小指頭大のリンパ節様腫瘤を触知し,腹部造影CT検査でも同部に1.5cm径の腫瘤影が描出された。疼痛は軽度であったので経過観察としたが,術前3か月前には右鼠径部腫瘤が超母指頭大の棍棒状腫瘤に増大し,圧痛も中等度以上に増悪した。腫瘤の大きさと疼痛は月経時に増大し,月経間は縮小・軽減した。臨床所見から鼠径部の異所性子宮内膜症が強く疑われ,Gonadotropin-Releasing Hormone誘導体製剤 (以下,GnRHアナログ) を術前1.5か月間投与後に5日間入院し,右鼠径部腫瘤切除術を施行した。術後病理診断で異所性子宮内膜症が確認され,局所安静を目的に術後もGnRHアナログを継続中である。術後1週目に創部の浮腫がみられたが軽快し,現在経過は良好である。
  • 栗田 郁, 宮坂 尚幸, 吉田 卓功, 羅 ことい, 鬼塚 真由美, 田丸 陽子, 塚田 貴史, 後藤 亮子, 市川 麻以子, 遠藤 誠一, ...
    2012 年 60 巻 5 号 p. 627-630
    発行日: 2012/01/31
    公開日: 2012/06/06
    ジャーナル フリー
     Gonadotropin-Releasing Hormone誘導体製剤 (以下,GnRHアナログ) は子宮内膜症に対する偽閉経療法として婦人科領域では広く使われている薬剤である。GnRHアナログ投与中は無月経状態となるので月経に伴う骨盤痛は回避できるが,更年期同様に低エストロゲン状態にさらされるので副作用として更年期症状を被る可能性がある。ほとんどの症例はGnRHアナログを中止する必要のない軽度の症状ですむが,時に重度の神経・精神症状の副作用を発現することもある。今回,直腸子宮内膜症でGnRHアナログ投与後にうつ病となり精神科病院で管理入院を必要とするほどの重度のうつ症状を呈した症例を経験したので報告する。さらにこの症例はGnRHアナログから黄体ホルモン薬であるディナゲストに変更後,うつ症状はすみやかに軽快し,直腸出血のコントロールも継続して確保され腸管子宮内膜症へのディナゲストの有用性が示された1例でもある。
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