日本農村医学会雑誌
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62 巻 , 2 号
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原著
  • 谷口 奈穂, 桂 敏樹, 星野 明子, 臼井 香苗
    2013 年 62 巻 2 号 p. 91-105
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/09
    ジャーナル フリー
     地域在住の高齢者のQOLを健康関連及び主観的QOLの両側面から評価し,その関連要因を前期高齢者と後期高齢者で比較した。2009年,京都府K市の老人クラブの929人に質問紙調査を実施し,596人を分析対象とした。調査項目は基本属性,健康状態,生活習慣,社会的交流,QOL (PCS,MCS,LSIK) で,多変量解析等を行なった。前期高齢者において,QOLの上昇要因はPCSでは主観的健康感や外出頻度等,MCSでは性別や隣人と挨拶をする頻度,LSIKでは経済的なゆとりや睡眠時間であり,低下要因はPCSでは腰痛や隣人と手助けを依頼し合う頻度等,MCSではGDSや個人活動等,LSIKではGDSやしびれ等であった。後期高齢者において,QOLの上昇要因はPCSでは主観的健康感,MCSでは心疾患,LSIKでは経済的なゆとりであり,低下要因はPCSでは腰痛や心疾患,MCSではGDS,LSIKではGDSや腰痛等であった。高齢者のQOLを高める支援では,健康を高めること,抑うつ及び腰痛の予防的な対応や緩和を促す必要があると推察される。
  • 山田 千夏, 朱宮 哲明, 山口 剛, 山田 慎吾, 白石 真弓, 柳田 勝康, 中村 崇仁, 梅田 巧, 伊藤 美香利, 尾崎 隆男
    2013 年 62 巻 2 号 p. 106-111
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/09
    ジャーナル フリー
    当院では2010年に,がん化学療法中の入院患者の給食として8日間サイクルの化学療法食を導入し,現在までに258名に提供した。今回,2011年10月~2012年3月の6か月間に化学療法食を提供した23名 (肺癌8名,急性骨髄性白血病5名,悪性リンパ腫3名等) に食事のアンケート調査を行ない,その結果を基に幾つかの改善を行なった。  食べ易さに対する回答では,96%の患者が食べ易いと評価した。食事量については,朝食について29%の患者が少ないと回答し,昼食と夕食については83%の患者がちょうどいいと回答した。食べ難かった料理では,「冷たい茶碗蒸し」と回答した患者が7名と最も多く,その他の料理では魚料理が食べ難い傾向がみられた。  アンケート結果を基に,朝食量を増量すると共に,「冷たい茶碗蒸し」の献立を「温かい茶碗蒸し」に変更した。また,魚の臭いを抑えるために「煮付け」と「蒸魚」の献立を「蒲焼き」と「あんかけ」に変更した。今後も調査を継続し,より多くの患者に対応できる化学療法食を目指したい。
報告
  • 三上 悦子, 中村 真一郎
    2013 年 62 巻 2 号 p. 112-118
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/09
    ジャーナル フリー
     平成17年より柳井医師会,柳井市役所,地域の介護支援専門員と共同で作成した居宅介護支援計画連絡表 (照会) (以下連絡表 (照会) と記載する) ツール運用の5年間を考察する。  年1回医師会員,介護支援専門員対象の連絡表 (照会) 使用状況アンケートから,平成21年と平成23年を比較し連携に効果があった点と課題を抽出する。  当初,連絡表 (照会) を使用するにあたり,医師会員の中には前向きでない意見や連絡表 (照会) を送っても返事が届かない時もあったが,諦めないで送ることでお互いが必要なことだと意識づけしていき,医師からはコメント付の返事が届くようになった。また,返事も早く届くようになった。一方,総合病院の医師からのコメントは相変わらず少なく返事も遅い傾向があった。5年の間に主治医と介護支援専門員のお互いの敷居が低くなって連携が図れるようになり,このツールは“柳井方式”とまでいわれ主治医と介護支援専門員の中では必要な様式となった。  今回,作成した連絡表 (照会) はお互いの顔と顔が見えるツールとして効果があった。これは,ツール作成から運用までを,医師会・行政・介護支援専門員の三者合同の委員会を通して行なったことが大きな要因になったと考える。しかしながら,総合病院との連携では総合病院の居宅介護支援事業所としてアプローチを行なってきたものの,まだまだ課題が多く,今後,総合病院の医師を含めたお互いの顔が見える連携ツールとなるようにしていきたい。
  • 天白 晶
    2013 年 62 巻 2 号 p. 119-122
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/09
    ジャーナル フリー
     胆石は胆嚢癌の危険因子であるとの明確な根拠はないため,予防的胆嚢摘出術は推奨されていない。しかし,高齢化地域に位置する当院にて,胆石症の診断にて胆嚢摘出術を施行され,胆嚢癌合併を指摘された症例は1.99%あり,異形成を伴う症例も含めると3.31%で悪性所見が診られた。すなわち,高齢者の胆石症患者においては,従来考えられていたよりも高率に胆嚢癌が合併していることが示された。そのため,高齢者においては予防的な胆嚢摘出術の施行も検討されるべきではないかと思われた。特に,高齢化の進行する農村地域においては,がん患者の治療やその後の生活支援も含めて大きな制約が予想されるため,予防的治療の是非について更なる検討が必要と考えられた。
症例報告
  • 川端 悠士, 林 真美, 佐藤 里美, 澄川 泰弘, 河野 千晶, 小川 浩司
    2013 年 62 巻 2 号 p. 123-130
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/09
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は亜急性期大腿骨近位部骨折例を対象としてリハビリ実施単位数増加の効果を明らかにすることである。  2010年11月~2012年3月の間に亜急性期病床入床となった大腿骨近位部骨折例95例のうち,合併症により転科となった5例を除く90例を対象とした。90例をリハビリ実施単位数増加前にリハビリを施行した22例 (前期群) と増加後にリハビリを施行した68例 (後期群) に分類した。これら2群間におけるリハビリ実施単位数,在院期間,退院時FIM,FIM効率,退院先といったアウトカムを比較した。  全例を対象とした比較では実施単位数は有意に増加したものの (p⁢0.001),在院期間,退院時FIM,FIM効率,退院先に有意な差を認めなかった。受傷前の障害老人の日常生活自立度別の比較ではランクA群で (p<0.05),入床時の認知症老人の日常生活自立度別の比較ではランクⅠ群で (p<0.05),前期群に比較して後期群のFIM効率が有意に高値であった。  受傷前からADL能力がやや低下している症例,および軽度認知機能低下例への集中的リハビリの導入が効果的であると考えられる。従来,認知症は大腿骨近位部骨折例のリハビリテーションの阻害因子の1つと考えられてきたが,軽度の認知症例においてはリハビリテーション実施単位数増加によりADLの改善が可能であることが示唆された。
  • 小野 広幸, 宮澤 智徳, 小出 則彦, 藤田 亘浩
    2013 年 62 巻 2 号 p. 131-134
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/09
    ジャーナル フリー
    症例は69歳の女性で近医にて検診目的に施行した大腸内視鏡で虫垂入口部に粘膜下腫瘍様の隆起を指摘された。精査加療目的に当院紹介となった。腹部単純X線検査では右下腹部に石灰化像を認めた。腹部CT検査では回盲部に高濃度陰影が存在した。以上より無症候性の虫垂結石と診断し,腹腔鏡下虫垂切除術を施行した。無症候性の虫垂結石はまれであり文献的考察を加えて報告する。
  • 小島 学, 中村 聡一, 加藤 謙一, 山内 隆治
    2013 年 62 巻 2 号 p. 135-139
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/09
    ジャーナル フリー
    子宮仮性動脈瘤は,頻度はまれではあるが,破裂した場合には大量出血をきたして生命の危険に及ぶこともある重要な疾患である。近年,同様の報告例では子宮動脈塞栓術が治療法として選択されることが多く,良好な成果をあげている。今回我々は,帝王切開術後1か月で子宮仮性動脈瘤破裂による大量性器出血をきたし,子宮動脈塞栓術で止血しえた1例を経験したので報告する。症例は32歳の帝王切開後の褥婦で,産後1か月で大量性器出血をきたし,ショック・DICとなった。超音波カラードプラにて左子宮動脈血流域に異常血流があり,血管造影検査にて子宮動脈瘤を認め,動脈瘤の破裂と診断した。同部位の塞栓術により以後の出血は治まり,子宮を温存できた。子宮仮性動脈瘤は,帝王切開や子宮内膜掻爬術などの子宮動脈を損傷しうる操作により形成され,破裂すると大出血をきたす。こうした操作の後に生じた異常出血では,本疾患を念頭において診察を行なうことが重要である。
  • 武藤 桃太郎, 下田 瑞恵, 石川 千里, 井上 充貴, 高橋 裕之, 萩原 正弘, 青木 貴徳, 橋本 道紀, 稲葉 聡, 矢吹 英彦
    2013 年 62 巻 2 号 p. 140-145
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/09
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,女性。左鎖骨上窩の腫瘤に気付き当院耳鼻科を受診し,同部からのリンパ節生検で中分化管状腺癌の診断となった。CT検査で左鎖骨上窩から上縦隔にかけて複数のリンパ節腫大と,S状結腸に壁肥厚を認めた。上部消化管内視鏡検査は異常なく,下部消化管内視鏡検査にてS状結腸に全周性の2型腫瘍を認め,病理組織学的に管状腺癌と診断した。以上よりVirchowリンパ節転移を伴ったS状結腸癌と診断し,S状結腸切除術,D3郭清を施行した。病理組織診断は中分化腺癌,SE,N3,H0,P0,M1 (Virchowリンパ節),stageⅣであった。術後よりmFOLFOX6による化学療法を開始している。
  • 森本 直樹, 倉田 秀一, 沖津 恒一郎, 砂田 富美子, 赤池 康
    2013 年 62 巻 2 号 p. 146-150
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/09
    ジャーナル フリー
    Collagenous colitis (CC) は,従来比較的まれな疾患と考えられてきたが,疾患概念の浸透とともに報告例が増加している。本邦では特にランソプラゾール (LPZ) に関連した症例の報告が多く,当院でも直近の1年間で3例を経験した。代表的な1例を提示する。症例は84歳,女性。他院処方のLPZを内服中。3か月間持続する水様性下痢の精査のために全大腸内視鏡検査を施行した。大腸粘膜は下行結腸近位部にわずかな毛細血管増生を認める以外に異常所見は認められなかったが,大腸各部位から生検を施行しCCと診断した。LPZを中止したところ2週間後には下痢は改善した。他の2例も慢性下痢症で受診され,内視鏡を施行して組織学的にCCと診断,内服中のLPZを中止することで比較的速やかに症状の改善が得られた。慢性下痢症の鑑別診断においては,本疾患も念頭にいれて,薬剤服用歴など詳細な病歴の聴取や,生検検査を含めた内視鏡精査を行なうことが重要と考えられた。
看護研究報告
  • 渡邊 香
    2013 年 62 巻 2 号 p. 151-157
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/09
    ジャーナル フリー
     産婦人科疾患は「性」と切り離して考えることはできず,患者は疾患や治療そのものによってもつ喪失感,危機感に加えて,妊孕性に対する喪失感,危機感を抱きやすく,また,診療・処置内容に対し強い羞恥心を感じやすい。  現在,全国の病院で多くの産婦人科疾患患者の入院病棟となっている産科 (分娩施設) 併設婦人科病棟および混合病棟内婦人科病棟においては患者が抱くこれらの感情に特に配慮が必要だが,産婦人科病棟におけるプライバシー保護に関する研究はこれまで散見されるのみである。そこで,患者が望むプライバシー保護の内容,患者がもつプライバシー保護への印象および関連要因を明らかにするため本研究を行なった。研究は15名に半構造化面接法を用いた調査1と,100名に質問紙調査法を用いた調査2によって成り,平成20年5月~21年5月に行なった。  調査1の結果,プライバシー保護の3つの重要な項目を抽出し,これを基に行なった調査2の結果を分析することで入院初期の説明がその後のプライバシー保護への患者の想いにまで影響を及ぼすことが示唆された。
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