日本農村医学会雑誌
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62 巻 , 5 号
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原著
  • 川﨑 達也, 舟橋 恵二, 山田 映子, 小島 光司, 磯村 考, 鈴木 敏仁, 江口 和夫, 尾崎 隆男
    2014 年 62 巻 5 号 p. 701-706
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル フリー
     多項目自動血球分析装置XE-5000による血小板数の報告は, 通常は電気抵抗法による測定値 (PLT-I) の報告であるが, 血小板低値領域で粒度分布曲線の異常を示す検体 (低値異常検体) では光学法による測定値 (PLT-O) に自動的に変更される。今回われわれは, 2012年1月から3月に当院を受診した患者の低値血小板検体を用い, PLT-IとPLT-Oを比較してXE-5000の有用性を検討した。双方ともに希釈直線性は良好であったが, 低値異常検体では同時再現性がPLT-IよりPLT-Oの方が高かった。視算法を対照とした相関性では, 共にr=0.889~0.984と高い相関性を示したが, 低値異常検体では, PLT-OがPLT-Iより相関係数が高かった。低値血小板を示す疾患では巨大血小板や破砕赤血球の出現を伴うことが多く, 低値域の測定に高い精度が求められる。低値異常検体において, PLT-OはPLT-Iより同時再現性および視算法との相関性が良好であり, 自動的かつ迅速にPLT-Oが報告されるXE-5000の有用性が示された。
  • 南部 泰士
    2014 年 62 巻 5 号 p. 707-714
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル フリー
     秋田県南部の農村地域に住む高齢者の介護予防基本チェックリストと血糖値の関連を明らかにし, 二次予防事業対象者把握事業に関する基礎情報の提供を目的に調査を行なった。  空腹時血糖値, HbA1cが高い高齢者は, うつ項目との関連が認められた。血糖高値の高齢者には, うつとの関連を念頭におき,対応する必要がある。
  • 佐野 芳彦, 佐々木 ゆき, 花井 望佐子, 鈴本 宜之, 轟木 孝浩, 早川 富博, 宮治 眞, 三田 勝己
    2014 年 62 巻 5 号 p. 715-725
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル フリー
     Soundcellは「音楽の意味の単位」と定義される短い音楽フレーズ (楽句) であり, その時間長は最大でも一呼吸程度である。Soundcell Method (SCM) は, 楽曲を複数個のSoundcellに分解し, そのSoundcellから元の楽曲を正しく再構成する方法である。本研究は, SCMを電子的に具現化した機器システムを開発し, これを使ったSCM課題実験を手がかりに, 従来の認知機能検査との関連を明らかにし, SCMによる認知機能評価の可能性を追究することを目的とした。実験では文部省唱歌「故郷」を使用し, 高齢者18名を対象にSCM課題を実施した。また, 従来の認知機能検査 (MMSE, かなひろいテスト, TMT-A, TMT-B) を行ない, SCMの結果と比較した。その結果, 何れの認知機能検査の成績もSCM達成群と未達成群との間で有意な差を示した。SCM達成群において, SCMの指標であるアクト数および平均アクト時間は, MMSEの成績と強い相関を示し, さらに, MMSE下位項目の【注意と計算】および【想起】との間に強い相関を認めた。これらの結果から, SCMは, 短期記憶/作動記憶や近時記憶を反映しており, 軽度認知障害やアルツハイマー病を早期に発見する補助的手段として活用できる可能性が示唆された。また, SCMは精神的負担が少なく, 日常的に簡便に繰り返し実施できる参加型の検査・観察法として期待された。
  • 井出 政芳, 山本 玲子, 宇野 智江, 鈴木 祥子, 伊藤 優子, 早川 富博, 加藤 憲, 天野 寛, 宮治 眞
    2014 年 62 巻 5 号 p. 726-744
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル フリー
     過疎の進行する中山間地に住まう高齢者の<この場所>に係わる愛着を評価するために, 質問票による調査を行なった。質問票は, 高齢者の主観的幸福感測定のために汎用される古谷野による生活満足度尺度K (9項目)と, 今回独自に作成したトポフィリア (場所愛) に係わる質問項目 (6項目) の計15項目から成る。僻地巡回検診において, 調査主旨を説明し了解を得た有効回答者120名 (平均年齢: 74.5±9.5歳) の回答について因子分析を行ない以下の結果を得た。  ①居住地別愛着度得点には有意差を認めなかったが, 居住地別生活満足度得点には有意差を認めた (p<0.001; ANOVA)。一方, 年齢と生活満足度との間には有意な相関を認めなかったが, 年齢と愛着度得点との間には有意な正の相関を認めた (r=0.234, p<0.01)。生活満足度, すなわち主観的幸福感は年齢によらず居住地の影響を受けるが,逆に場所への愛着度は居住地によらず年齢の影響を受けることが示唆された。  ②トポフィリアに係わる質問6項目の因子分析により, 2因子が抽出された。一つの因子は<この場所>から離れたくないパブリックな感情を, もう一つの因子は<この場所>が好きとは言えないプライベートな感情を意味している, と解釈できた。  ③ (a) 生活満足度尺度, (b) トポフィリア, および (c) 「<この場所>を離れて仕事をしたいと思ったことがあるかどうか」の質問の三つ組を指標として, 居住地別に対象者の心情を評価すると, 主観的幸福感 (a) も, <この場所>に対する愛着度 (b, c) も, ともに低い地域が同定された。これらの地域は, 通院困難性の甚大な地域内に存在し, 通院介助・在宅介護・施設入所など高齢者の医療福祉に係わる対応において, 心情面についての配慮が特に必要であると考えられた。
研究報告
  • 滝沢 洋二, 杉浦 正士, 白井 善男, 後藤 継一郎, 早川 富博
    2014 年 62 巻 5 号 p. 745-749
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル フリー
     過疎化・高齢化が著しい中山間地域においては, 医療機関を受診するための交通手段の確保が重要な課題となっている。JA愛知厚生連足助病院では, 三河中山間地域で健康的に暮らし続けるための仕組みづくりを目指す「いきいき生活支援事業」の一環として, 平成22年度に引き続き, 平成23年度も輸送事業の事業化に向けた実証実験を行なった。その結果, ドアツードア送迎に対する患者・家族のニーズが大きいことを再確認できたが, 事業化するためには乗合率の向上や一定の利用者負担が必要であることも明らかとなった。
  • 高松 道生
    2014 年 62 巻 5 号 p. 750-758
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル フリー
     2004年度から開始された新医師初期臨床研修制度において2010年度から地域医療研修が必修となったのを受けて, 管理型臨床研修病院との連携を元に2011年度から地域医療研修枠での研修医受け入れが当院で開始された。研修のコアは「生活現場の体験」と「医療・福祉連携」とし, 地域医療部の院外事業と回復期リハビリテーションを中心にプログラムを組んで研修を行なった。研修医からは生活現場での体験が新鮮であったとの声が聞かれる一方で, リハビリテーションは関わりが限定的で見学に留まってしまうとの意見が出されたため, 2012年度はその反省を元に生活現場でのプログラムを増やす一方でリハビリ研修を工夫し, 研修医から「集中力を維持できる」研修との評価を受けられるようになった。我々のプログラムは医療・福祉連携の重要性を教育し, 「命と臓器」の先にある最終エンドポイントとしての「生活」に目を向ける契機となる事を目的とした研修であったが, その目的を概ね達成できているものと評価している。  「人口の波」を控えて急性期医療機関と亜急性期医療機関, 慢性期医療機関と在宅・施設の連携 (入口連携-出口連携) は重要性を増しており,「社会が必要とする医師」の養成は喫緊の課題である。日本農村医学会が地域医療研修を重要課題の一つとして位置づけ, 学会を挙げてその質の向上と標準化に取り組むと共に, 社会にその重要性を発信してゆく事が必要と考える。
  • 丹村 敏則, 関島 和実, 青山 晃士, 橋本 清子, 宮本 忠壽
    2014 年 62 巻 5 号 p. 759-767
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル フリー
     一般病院のスタッフのためのメンタルヘルスケアについて検討した。  一般病院で医師や看護師等の職員がストレス過剰状態であることはよく知られている。病院で働く人の悩みや心配事の早期発見は一般病院のスタッフのためのメンタルヘルスケアに重要である。また, 医療スタッフのメンタルヘルスの改善と予防には職種に応じた考慮が必要と考えられる。しかし, メンタルヘルスケアの専門家を持っている病院は少ない。したがって, 病院という労働環境の問題を理解し, 現場で職員を励ますための独自の対策を創造し活用することは有益と考えられる。そこで, 一般内科医師である著者らは, 一般病院のスタッフのためのメンタルヘルスケアを10年にわたり実践してきた。この成果を報告する。
症例報告
  • 小崎 章子, 大渓 有子, 水野 輝子, 竹下 奨, 松川 泰, 木村 直美, 佐々 治紀, 樋口 和宏, 池内 政弘, 福山 隆一
    2014 年 62 巻 5 号 p. 768-772
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル フリー
     子宮体部原発の神経内分泌小細胞癌は非常に稀な疾患であり, 早期に転移・再発を来し難治性であるため, 予後不良とされている。今回我々は術後化学療法中に再発し, 放射線照射療法が奏功したと思われる1例を経験したので報告する。  症例は50歳。月経より持続する性器出血および貧血を主訴に来院。膣腔内に壊死した筋腫分娩様組織塊を認めた。腫瘍は子宮体部~頸部・膣部に達しており, PET-CTにて左内腸骨リンパ節転移の疑いあり。子宮体癌Ⅲc期の診断にて, 単純子宮全摘術, 骨盤リンパ節郭清施行。病理診断にて神経内分泌小細胞癌, 左骨盤内リンパ節転移あり。Irinotecan, Nedaplatinを使用し化学療法6コース施行するも右骨盤内リンパ節転移あり。Paraplatin, Taxolを使用しさらに3コース化学療法施行するも, リンパ節転移は増大し, 無効と判断。骨盤リンパ節転移に対し放射線照射施行。照射半年後にはリンパ節転移は認められなくなった。現在再発・転移を認めず経過観察中である。
  • 平宇 健治, 橋本 正治, 平野 裕, 戸沢 香澄, 折野 公人, 佐々木 晋一, 中村 征勝, 中津 敏允, 針金 幸平, 劉 嘉嘉
    2014 年 62 巻 5 号 p. 773-778
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル フリー
     腹部内臓動脈瘤のうち, 腹腔動脈狭窄に起因する膵十二指腸動脈領域の動脈瘤はまれである。腹腔動脈瘤解離による狭窄と膵十二指腸領域の多発動脈瘤破裂に対して手術を施行し, 救命し得た症例を経験したので報告する。症例は, 胃癌に対する幽門側胃切除の既往を有する72歳の男性で, 急激な腹痛のために救急搬送された。CTでは, 腹腔動脈根部, 肝動脈が解離して瘤化し, 膵十二指腸周囲の巨大な後腹膜血腫と腹腔内出血を認めた。上腸間膜動脈造影では, 破裂の責任病巣と考えられる膵十二指腸動脈に多発する動脈瘤を認めた。造影後期相では, 膵十二指腸動脈から逆行性に胃十二指腸動脈, 肝動脈, 腹腔動脈および脾動脈が造影された。膵十二指腸動脈瘤に対して, 経カテーテル動脈塞栓や外科的瘤切除を行なった場合, 腹腔動脈より分枝する動脈すべての還流領域が疎血となり, 広範な臓器虚血を発症すると診断し, 残胃, 脾, 全膵および胆嚢を切除した。
看護研究報告
  • 松永 由香
    2014 年 62 巻 5 号 p. 779-784
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル フリー
     わが国の夫立ち会い出産は増加傾向にあり, それには夫の強い意志が関係していることがうかがえる。夫の出産に対する姿勢は積極的になっており, 先行研究では満足できるお産の要因の一つとして分娩時における夫のサポートがあげられている。当院では, 希望に応じて夫立ち会い出産を行なっている。経膣分娩を行なった40組の夫婦の夫立ち会い出産の現状を把握して出産前後の夫婦の感情の変化を知り, 分娩時に必要な助産師による支援について明らかにするために アンケート調査とバースレビューを行なった。夫立ち会い出産の割合は, 45.7%であり夫立ち会い出産の希望理由としては, 妻のそばにいて励まし, 生命の誕生を妻と共有するために夫自らが立ち会いたいという気持ちが強く表れていた。また, 夫立ち会い出産に対する夫婦の気持ちには個人差があり, それに合わせた支援が妊娠中から必要であることが分かった。2012年7月出産予定者よりバースプランを作成し妊娠中からの夫婦の思いを外来助産師が把握して病棟助産師へ申し送りを行なう継続看護を開始した。分娩時に必要な助産師による支援は, 夫婦の思いを受け止め, ニーズを把握し, 満足できる夫婦主体の出産ができるよう取り組むことである。
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