日本農村医学会雑誌
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63 巻 , 1 号
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原著
  • 軽部 彰宏, 齋藤 史子, 長尾 大輔, 田村 大輔, 尾野 夏紀, 木村 菜桜子
    2014 年 63 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/24
    ジャーナル フリー
     平成24年度より由利本荘地区 (由利本荘市, にかほ市) で, 細胞診のみによる従来の子宮頸がん検診にHPV検査を併用したHPV併用検診が開始された。1年間で772名がHPV併用検診を受診し, 87症例 (11.3%) がHPV検査陽性であった。その後に精査受診し, 組織診断まで追跡可能であった64症例 (73.6%) の結果について示した。細胞診が正常でHPV検査が陽性であった症例の67.6%にCIN1以上の病変が認められ, CIN2以上が5例発見された。従来の細胞診のみで発見されたCIN2以上は9例であったが, HPV検査を併用することでCIN2以上は14例となった。子宮頸がん検診の精度を向上させるために, HPV併用検診を積極的に取り入れていくべきと考えられた。
  • 吉岡 巌, 小柴 茂, 松宮 弘, 田口 大志
    2014 年 63 巻 1 号 p. 9-18
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/24
    ジャーナル フリー
     喉頭癌は頭頸部癌の中でも頻度が高い疾患であり, 当院のような地方病院においては診断から治療を最後まで行なうことが多い悪性疾患である。  2000年1月より2010年4月までに, 1次治療をした喉頭癌121例を対象とした。  治療成績では疾患特異的5年生存率は, 病期別にstageⅠ:100%, stageⅡ:81.8%, stageⅢ:100%, stageⅣa:72.5%であった。stageⅢは生存率が高い一方, 喉頭温存率が低かった。治療成績を評価するとともに, 今後の機能温存を考えた治療について検討した。
  • 中村 和行, 久保田 敏行, 万塩 裕之, 土井 裕一, 荒川 麻紀子, 米山 英二, 吉田 浩, 祢冝田 和正, 勝見 章男, 岡田 密恵 ...
    2014 年 63 巻 1 号 p. 19-28
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/24
    ジャーナル フリー
     安城更生病院 (以下, 当院) では, 2012年2月より麻薬管理の効率的な運用を目的として, 薬剤師が手術室に短時間出向して麻薬の受払い (払出し, 回収) を行なっている。さらに, 手術患者の麻薬受払いが一括して可能となったため, 麻薬管理を補助するための管理簿 (以下, 補助簿) を電子化して運用している。今回我々は, 当院にて構築した体制 (以下, 新管理法) による麻薬の受払い状況, 業務時間を調査し, 薬剤師介入の評価を行なった。結果, 1か月間に手術室で取り扱われた麻薬処方せん (n=647) の内, 払出し84.7% (548/647), 回収99.8% (646/647) あわせて92.3%を新管理法により運用することができた。さらに, 麻薬補助簿を電子化したことによって, 電子化前後で払出時間は53.3±9.6分から39.6±6.3分,回収時間が66.8±16.1分から41.1±13.5分とどちらも有意に短縮した (p<0.01)。新管理法の導入により, 多くの人を介した煩雑な運用は簡素化された。加えて, 麻薬補助簿電子化による効果を含めた効率的な運用が確認できた。また, 比較的短時間 (80.8±18.4分) の薬剤師介入によって, 手術室で取り扱った麻薬処方せん92.3%を新管理法により運用できることが示唆された。以上より, 薬剤師が手術室に常駐しなくても短時間介入することで病院全体の麻薬管理は効率的に運用可能であると考えられる。
  • 池田 聡, 永田 千草, 島袋 剛二, 鈴木 恵子
    2014 年 63 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/24
    ジャーナル フリー
     子宮頚部癌の原因はHPV (ヒトパピローマウィルス) 感染であり, とくにハイリスク型のHPVの持続感染がこの癌の発生に関与することが知られている。当院では2011年暮れよりHPVジェノタイピング検査を院内検査化した。検査が行なわれた111例について検出傾向をまとめてみると, 16, 52, 58型が多く検出され, 18型は低頻度であった。この傾向は全国的な傾向と同様であった。高齢者では, 52, 56, 58型が多い傾向も明らかになった。細胞診陰性例と陽性例ではHPV感染率に差があるが, 細胞診陰性例と陽性例の中でHPVの型に差はなく, さらにHPVの重複感染は腫瘍の進展と有意な関係があった。  異形成のフォロー中の患者で, 細胞診陰性例ではハイリスクHPVが陰性化している患者も多く存在し, 日常診療でのフォローアップ頻度を軽減できる可能性があり, HPVジェノタイピング検査の併用が患者のトリアージに際し有用であると思われた。
研究報告
  • 中村 訓之, 沖 公平
    2014 年 63 巻 1 号 p. 35-40
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/24
    ジャーナル フリー
     当院を含めた愛知県厚生連における末梢性顔面神経麻痺に対するリハビリテーションの現状について報告する。質問紙郵送による自記式アンケート調査を, 当院以外の愛知県厚生連計7病院に行なった。調査項目は, リハビリテーション実施の有無, 実施者の職種, 依頼のある診療科, 開始時期, 頻度, 終了時期, 終了基準, リハビリテーション内容などである。その結果, リハビリテーションは4施設で実施されていることがわかった。4施設におけるリハビリテーションの内容は, マッサージ・ストレッチ4施設, 表情筋強化4施設, 病的共同運動抑制のためのフィードバック訓練1施設であった。また, 4施設すべてで低周波療法は実施されていなかった。病的共同運動抑制への治療が浸透していないことやリハビリテーション未実施施設が3施設もあることから, リハビリテーション介入の啓発活動が必要であると考えられた。
  • 永美 大志, 末永 隆次郎, 中崎 美峰子, 前島 文夫, 西垣 良夫, 夏川 周介
    2014 年 63 巻 1 号 p. 41-48
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/24
    ジャーナル フリー
     土壌燻蒸剤は, 作物の定植の前に, 殺虫, 殺菌, 除草を目的として使用されるが, 揮発性が高く毒性の強い化学物質であるため, 作業中の吸入などにより, 健康被害の自覚の多い農薬である。クロルピクリンを中心として, 花卉栽培者に使用と自覚症状について面談調査を行なった。  対象は電照菊部会の主催する健康診査に参加した男性69人で, 近年使用している土壌燻蒸剤の種類, 専用マスク, ゴーグルの使用の有無, 自覚症状について質問した。  使用していた土壌燻蒸剤としては, クロルピクリン (68%) とD-D (64%) が多く, クロルピクリン錠剤 (15%), カーバム (15%) などが続いていた。  クロルピクリン使用者については, 38%が専用マスクをしており, 32%がゴーグルをしていた。防護具の使用の有無で, 自覚症状の発生状況が大きく相違していた。防護具なしの方の自覚症状と自覚率は, 涙目72%, 咳31%, 鼻水31%, 呼吸が苦しい21%, 眼がチカチカ19%の順であった。  曝露を低減するために, 注入ツメが土壌中を進行していく注入機を用いる, 風があるときに作業する, 土壌温度の低い時間帯を選ぶ, クロルピクリンを冷蔵しておくなどの工夫が行なわれていた。  ビニールフィルムを被覆する作業時に, 涙目, くしゃみなどを自覚する方が多く, この作業を行なう時も専用マスクの使用が勧められる。  近年, 難透過性フィルムの使用により, 使用量を低減できる可能性が指摘されており, この技術が確立, 普及されることが望まれる。
症例報告
  • 武藤 桃太郎, 武藤 瑞恵, 石川 千里, 井上 充貴, 升田 晃生, 高橋 裕之, 萩原 正弘, 青木 貴徳, 橋本 道紀, 稲葉 聡, ...
    2014 年 63 巻 1 号 p. 49-56
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/24
    ジャーナル フリー
     症例1は85歳, 女性。近医にてCEA9.2ng/mlと高値を指摘され当科紹介となった。CT検査, 超音波検査で虫垂部に嚢胞状腫瘤を認めた。注腸造影検査では盲腸下端に半球状の表面平滑な隆起性病変を認め, 虫垂は造影されなかった。虫垂粘液嚢腫の診断で盲腸部分切除術を施行し, 術後CEAは4.7ng/mlと正常化した。  症例2は74歳, 女性。高血圧, 高脂血症で当科通院中にCEA12.3ng/mlと高値を示し, CT検査, 超音波検査で虫垂部に嚢胞状腫瘤を認めた。注腸造影検査では盲腸に粘膜下腫瘍様隆起を認め, 虫垂は造影されなかった。虫垂粘液嚢腫の診断で盲腸部分切除術を施行し, 術後CEAは1.5ng/mlと正常化した。  いずれも病理検査で虫垂粘液嚢胞腺腫と診断され, 免疫染色ではCEA陽性であった。
  • 河村 洋介, 永井 睦, 倉石 夏紀, 田村 政昭
    2014 年 63 巻 1 号 p. 57-60
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/24
    ジャーナル フリー
     ニホンマムシ咬傷は山中での被害が多く, 農村医療において重要視される。受傷者の約1%が死亡すると推定されており, 臨床現場において無視できない重要疾患の一つである1)。今回我々は, ニホンマムシ咬傷11日後に脳梗塞を発症した症例を経験した。ヘビ毒には抗凝固に影響を及ぼす因子が含まれる一方で凝固亢進に働く因子もある。この症例は主な脳卒中のリスクファクターが殆どないため, ニホンマムシ咬傷が脳梗塞発症に関与したと考えられる。過去ニホンマムシ咬傷と脳梗塞との関連について報告した論文は渉猟し得た限り無く, 本症例は貴重と思われる。
看護研究報告
  • 小林 静香, 黒澤 友美
    2014 年 63 巻 1 号 p. 61-69
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/24
    ジャーナル フリー
     2011年3月11日の東日本大震災時, A病院の手術室は4件の手術中で, 一時中断はしたがその後予定通り終了することができた。今回, 地震を体験した手術室看護師が実際どのような行動をしたのか, またその時の心情の実態を明らかにし, 今後の災害時の行動指針作成の参考にする。 〔方法〕手術室看護師に対し, 地震発生時・発生後の行動や心情, 手術室防災マニュアルの理解度と行動, 今後の対策について質問紙法で調査した。 〔結果・考察〕地震発生時は, 多くの看護師が不安や恐怖を感じていたが, その状況下でも患者の安全確保, 不安の軽減を図る行動を優先して行っていた。一方, 術野の清潔保持に対する注意などマニュアル記載事項の実施が不充分な事も明らかになった。災害時は速やかに, 患者の安全確保・不安を軽減させる対応が重要である。今後, フローチャートの掲示, 定期的な訓練の実施など災害対策を検討する必要がある。
  • 永井 優花, 前野 仁美, 星 葉子, 佐藤 真由美, 湯原 里美
    2014 年 63 巻 1 号 p. 70-75
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/24
    ジャーナル フリー
     尿路感染症 (以下UTI) は最も頻発する院内感染であり, 院内感染の約40%を占め, そのうちUTIの80%以上がカテーテル関連尿路感染 (以下CAUTI) であると言われている。ウロバックの排泄口には多くの微生物が存在し, バック内に侵入する危険性が高く膀胱内に侵入することでUTIの原因となることがある。また, 留置期間が長いほどCAUTIのリスクは高まり緑膿菌, セラチア, 黄色ブドウ球菌や抗菌薬耐性のものが増え複数菌感染の増加を認める。よって, 尿道カテーテルの適切な使用や管理が最も重要な尿路感染症対策であり, カテーテル操作を実施することが多い医療者が媒介にならないように, 標準予防策に加え, CAUTI予防が重要となる。今回, 対策の現状調査を行ない評価・介入した上で, 院内感染症委員会で使用しているチェックリストを用いて評価を実施, 対策に使用する物品環境の見直し, その後, 標準予防策についての勉強会を実施した。その結果, 6月の評価時には評価の低かった項目も9月・3月の評価時には全ての項目が100%となり, スタッフ全員の知識の向上・必要性の認識に繋がった。指導方法として, 演習を取り入れた教育はイメージが付きやすく, 効果的であったと考える。感染予防の効果を維持するためには, 意識が薄くならないよう定期的な勉強会や評価が求められる。
短報
  • 平川 仁尚
    2014 年 63 巻 1 号 p. 76-82
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/24
    ジャーナル フリー
     名古屋地区では大都市型の多職種ネットワーク構築のためにワークショップ型の多職種連携教育活動を行なってきた。今回, そうした活動に対する参加者の本音を深く掘り下げたので報告する。2013年6月に, 今回のワークショップ活動に参加してきた高齢者ケア関係者21名に「多職種参加型ワークショップについて思うこと~なぜあなたはここに来たのか」をテーマとして1時間グループ討論を行なってもらい, KJ法を用いて意見をまとめた。その結果, 職種横断型ワークショップ活動により, 学習効果のみならず参加者同士の交流を促進する効果やストレスを軽減する効果があったことが示唆された。ただし, ワークショップにより正の効果が得られるかどうかは, 他の参加者との相性などに依存し, 場合によっては期待外れの結果になることもあり得るとの意見もみられた。ワークショップの企画・運営・ファシリテーションに携わる人材の育成や幅広い職種の参加も今後の課題と考える。
資料
  • 平川 仁尚
    2014 年 63 巻 1 号 p. 83-85
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/24
    ジャーナル フリー
     現在,国は,団塊の世代が75歳以上となる2025年へ向けて,高齢者が尊厳を保ちながら,重度な要介護状態となっても,住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう,住まい,医療,介護,予防,生活支援が,日常生活の場で一体的に提供できる地域での体制作りを推進している。この体制の構築のためには,地域において高齢者の生活全体を支える多職種ネットワーク作りが欠かせない。その中心となる職種として期待されたケアマネジャーは,介護保険が導入された当初から,業務の多忙さなどからマネジャーとしての役割を充分に果たせていないという声や多大なストレスを抱えているケアマネジャーが多いという声が少なからずある1,2)。とりわけ,介護保険導入時に比べて看護師など医療系の資格を持つケアマネジャーが減少し,介護系のケアマネジャーが増加しているため,ケアマネジャーと医療職とのコミュニケーションが以前にも増して困難になっていくという危惧もある。そこで,高齢者の生活全体を支えるネットワーク2,3)で医療者との連携を密にするためにケアマネジャーを中心に多職種で議論を重ねた結果,様々な場面において医師への依頼文をどのように記載したらよいか悩み,時間を浪費するケアマネジャーが多いことが分かった。さらに,このネットワークでは,ケアマネジャー等と共同で医師への依頼文例集作成のためのワークショップを開催した。まず,医師への依頼文をどのように書いたらよいか悩む場面をワークショップに参加したケアマネジャーに想起してもらい,寝たきりの人の褥瘡が悪化して訪問看護の指示を依頼する場面,対応困難な周辺症状の人の病状報告を行なうと同時に認知症専門外来を勧めてよいか尋ねる場面,内服管理が困難な高齢者の処方薬の内服回数を減らして欲しいと依頼する場面などが挙がった。次に,その場面一つひとつについて筆頭著者と看護師の2名のファシリテートの下で作成していった。現在,図1のような文例が蓄積されつつあり,今後も継続していく予定である。こうした取り組みは,ケアマネジャーの文書作成力や医療者とのコミュニケーション力の向上に資するものと期待される。各地域の現場での多職種連携教育のヒントとなることを望む。
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