日本農村医学会雑誌
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63 巻 , 4 号
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原著
  • 野口 由紀, 桂 敏樹, 星野 明子, 臼井 香苗
    2014 年 63 巻 4 号 p. 565-587
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/10
    ジャーナル フリー
     本研究は, 一般成人を対象としてHLCが種々の要因の影響を調整しても体重変動と関連するかを検証することを目的とした。  体重変動に関連する要因の影響を調整すると普通体重の男性では外的統制傾向が体重増加に関連したが, 内的統制傾向は体重減少と有意な関連は認められなかった。外的統制傾向は体重増加と関連したものの, 成人ではHLCが体重変動に及ぼす影響は弱かった。  HLC以外に体重変動と有意に関連した要因をみると, 体重増加は朝食欠食, 睡眠による休養, ウエイトサイクリング, 体重減少は肥満とストレスであった。性別にみると, 男性では, 体重増加は既婚, 朝食欠食, 睡眠による休養, ウエイトサイクリング, 体重減少は肥満と減量宣言と関連した。一方女性では, 体重増加は食事速度と喫煙が関連した。
  • 杢保 貴幸, 徳竹 裕貴, 石井 康友, 植田 宏冶, 松岡 裕士, 石原 一惠
    2014 年 63 巻 4 号 p. 588-595
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/10
    ジャーナル フリー
     近年, 診断群分類別包括評価システム (diagnosis procedure combination: DPC) 導入により医療の質を落とさずに医療費の削減を実現することが求められている。その為の方法として後発医薬品の導入が推進されているが, 屋島総合病院も2009年7月よりDPC対象病院に認可され, それに伴い注射抗菌薬を中心に後発医薬品への切り替えが行なわれた。そこで, DPC導入前後 (2008年4月~2009年6月: 導入前, 2010年7月~2011年9月: 導入後) において後発医薬品切り替えによる影響について, 使用量と治療期間による注射抗菌薬使用密度 (antimicrobial use density: AUD) と有効性と安全性, 薬剤費, 医療関連感染において問題となる緑膿菌の感受性率への影響を指標とした比較検討による評価を行なった。その結果, DPC導入前後で後発注射抗菌薬への切り替えにより, AUD及び, 有効性や安全性, 緑膿菌の感受性率に有意な悪影響を与えないで薬剤費を約40%削減できることが示唆された。従って, DPC導入病院の薬剤部が後発注射抗菌薬を導入する事は医療費の削減を医療の質を低下させることなく支援できる有用な一つの手段であると考える。
  • 菊地 顕次, 鈴木 一夫, 小島 壽志, 二渡 克弥, 村石 健治, 須田 良孝, 佐々木 順孝, 伏見 進, 太田原 康成, 大塚 聡郎, ...
    2014 年 63 巻 4 号 p. 596-605
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/10
    ジャーナル フリー
     慢性腎臓病 (CKD) は2002年に提唱された疾病概念であり, 近年, 脳卒中発症の危険因子の1つであると報告されている。しかし, 脳卒中病型別にその特徴を解析した報告は現在のところ認められない。  本研究は, 特定健康診査の受診者を受診後3年以内の脳卒中罹患群と非罹患群に分け, 性, 年齢, 血圧, 肥満度 (BMI), コレステロール (HDL・LDL), 糖尿病, 心房細動, 慢性腎臓病 (CKD), 飲酒および喫煙を独立変数とした多変量Logistic解析で脳卒中病型別に発症危険因子の評価を行なったものである。健診データでの蛋白尿と糸球体濾過率 (eGFR) の結果から, CKDの定義に準じて腎臓病の有無を判定して, これをCKDとして取り扱った。  脳梗塞では, 男性, 年齢, 血圧, 糖尿病, 心房細動, CKD, 喫煙が危険因子であり, 脳出血では年齢, 血圧, CKD, くも膜下出血では女性, 年齢, 血圧, 低HDL血症, CKDが危険因子として検出された。これらの結果からCKDは高血圧と同様に脳卒中の全ての病型で独立した発症危険因子であること, とりわけ脳出血との関連が大であることを本邦で初めて明らかにした。  血圧とCKDの交互作用の解析によって, これら2つのリスクが重複すると脳卒中相対危険度が2倍から4倍に上昇することが判明したことから, 脳卒中発症予防の観点からCKDを伴う高血圧の治療においては最大血圧を120mmHg台以下に降圧することが望ましいと考えられた。
  • 福間 美紀, 塩飽 邦憲, 馬庭 留美
    2014 年 63 巻 4 号 p. 606-617
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/10
    ジャーナル フリー
     本研究は複合型認知症予防プログラム (以下, プログラム) の効果とその効果に影響する介入を明らかにすることを目的とした。対象は, プログラムに参加した65歳以上の高齢者60名のうち46名である。方法は, 75歳未満の前期高齢者と75歳以上の後期高齢者の間でプログラム参加前後のBMI, 運動機能, 認知機能の変化からその効果を検証する介入試験である。前期高齢者は, 後期高齢者と比べ, 女性が有意に多く, 介入前の握力で低値を示したが, 他の運動機能や認知機能で差がなかった。前期高齢者の歩行数は介入前の約4,000歩から, 介入後約7,000歩にまで有意に増加した。BMIは, 後期高齢者でBMIが増加した。運動機能は, 前期高齢者で5m努力歩行が3.8±0.8秒から3.5±0.5秒に, TUGが3.7±1.0秒から3.56plusmn;0.8に有意に短縮した。後期高齢者の5m努力歩行は介入前4.1±1.0秒から介入後3.6±1.0秒に有意に短縮した。認知機能のファイブ・コグテストのエピソード記憶は, 前期高齢者の介入前47.9±7.5点から介入後56.5±8.8点と有意に改善したが, 後期高齢者では改善傾向を示した。エピソード記憶の改善は5m努力歩行の変化 (β=-0.751, p=0.020) と独立した関連を示し, 運動改善が認知機能の改善と影響した可能性を示唆した。健常な高齢者であっても, より若年層で早期に介入することが, 認知機能の改善に寄与することを明らかにした。
  • 池田 聡, 永田 千草, 鈴木 恵子
    2014 年 63 巻 4 号 p. 618-623
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/10
    ジャーナル フリー
     乳がん切除術に際して, 術中センチネルリンパ節転移診断が広く行なわれている。しかし, 最近ではより確実簡便に転移検出を行なう方法が検討されている。今回, 166例において迅速免疫染色を併用した方法と遺伝子検査を用いた方法を比較検討し, その有用性について検証した。免疫染色では通常の迅速組織診を行なうとともに, その連続凍結切片に対しサイトケラチンを迅速免疫染色した。結論として, 免疫染色の併用は客観的に確実に転移と診断でき, 病理医の負担軽減に大いに寄与することより, 迅速病理診断には臨床的意義が高いと思われた。
研究報告
  • 丹村 敏則
    2014 年 63 巻 4 号 p. 624-633
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/10
    ジャーナル フリー
     高齢社会に向けて東西医学の連携が高齢者ケアに果たす有効性の検討を行なった。認知症の周辺症状, 抑うつ症状, 睡眠障害, 歩行障害,排便障害 (とくに便秘症), 誤嚥性肺炎, 各10人の計60人を対象に東西医学の連携の有効性を検討したところ, 有効以上は55人 (91.7%) であった。また, この実践のためにはチーム医療が必須であり, 医師をはじめコメデイカル・スタッフに対する病院全体の漢方教育体制の整備が必要と考えられた。
  • 山下 愛, 小出 明奈, 眞島 悦子, 久保田 勝俊, 石黒 等, 松原 優, 鈴木 和人, 花之内 基夫, 増渕 孝道, 丹村 敏則
    2014 年 63 巻 4 号 p. 634-643
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/10
    ジャーナル フリー
     今後の糖尿病教育入院指導に役立てる事を目的として教育入院時の行動変容ステージ別評価と各種パラメータの検討を行なった。対象は2009年10月~2012年2月までに当院で糖尿病教育入院をされた106名 (男性: 53名, 女性: 53名, 平均年齢: 66.0歳) とし, 入院時・退院1・3・6・9・12か月後のHbA1c等の測定値について検討した。HbA1cは, 入院時と比較し, いずれの測定月においても有意に改善していた (p<0.05)。また行動変容ステージ別の平均評価では, 前熟考期群でリバウンド傾向を認めた。職種別の行動変容ステージの評価では ,2ステージ以上の評価差を約10%認めた。今回の検証から, 患者の自己管理能力が退院後の血糖コントロールを大きく左右させることが推測できた。糖尿病教育入院は多職種のチームで支援しており, それぞれの専門職が高い知識で関与することによって質の良い医療の提供が期待できる。一方で, 多職種が関わることにより行動変容ステージでの評価差がでてくることがある。この要因として指導した際の患者の体調や気分, 指導者の外見によって態度が変わることがある。また, それぞれの専門職では患者を診るポイントが違うことも挙げられる。このため, カンファレンスでの情報の共有化や評価のすり合わせが重要となる。現在, チーム医療が重視されており, スタッフ間の連携がより良い医療の提供に繋がり, さらに患者のQOL向上に繋がることが示唆された。
  • 井桁 千聡, 三浦 崇則, 大嶽 典子, 三井 千鶴, 永田 茜子, 池田 真紀, 小川 昭正
    2014 年 63 巻 4 号 p. 644-652
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/10
    ジャーナル フリー
     安城更生病院において新入職員に対して実施する研修の主目的は, 彼らが社会人として生きるための基礎知識を学ぶことである。そこで, 本研究は当院の新入職員研修 (以後, 研修と略す) の質的向上を目的に, アンケートの実施意義を評価するために行なった。研修対象者は, 2012年において138名, 2013年において143名であった。全ての対象者において, 研修を開始した時, 終了した時および6か月後にアンケート調査を行なった。研修では, 新人のための当院基本理念の教育を非常に重視してきた。研修において, より満足度の高いプログラムは当院院長により行なわれた理念教育であった。さらに, 満足度の高いプログラムは参加型の研修が多かった。すなわち, 院内見学, 医療安全, 院内感染の研修, 接遇の研修。加えて, 研修は社会人として生きるための基礎知識に対する理解度を高めたことがアンケートから得られた。さらに重要なことは, 6か月後のアンケート調査において80%以上の新人がこの研修は仕事に役立っているということを回答したことである。これらの結果は, 研修の目的を達成するための手段として, アンケートを行なうことが有用であったことを示している。
症例報告
  • 前田 剛志, 露木 琢司, 大見 関
    2014 年 63 巻 4 号 p. 653-658
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/10
    ジャーナル フリー
     症例は84歳男性。20XX年7月1日頃から歩行障害が出現し, 7月3日より背部痛, 発汗の主訴で救急搬送された。来院時の血液検査では急性期DIC基準を満たし, 下肢超音波では深部静脈血栓を認め, また, 造影CTでは腸腰筋膿瘍, 大動脈周囲炎を認めたため, DIC, 多臓器不全, 敗血症性ショック, 深部静脈血栓症と診断した。治療は抗菌薬治療, 免疫グロブリン製剤, DOA, ヘパリンによる抗凝固療法を行なった。徐々に炎症反応は低下したが発熱は継続し, 4週間後の造影CTでは膿瘍が全身に多発し, 第34病日に永眠された。本症例は, 市中発症にもかかわらずMRSAが分離され, MRSAがもはや一般菌であることを示唆する貴重な症例であった。また, 腸腰筋膿瘍の治療における基本はドレナージであるが, 本症例は膿瘍径が小さく治療的ドレナージは適応外であった。治療経過中に発熱が継続しており, 起因菌同定目的の診断的ドレナージは必要であったと考えられる。
  • 平宇 健治, 橋本 正治, 平野 裕, 戸沢 香澄, 折野 公人, 佐々木 晋一, 中村 征勝, 針金 幸平, 劉 嘉嘉, 吉田 拓矢
    2014 年 63 巻 4 号 p. 659-664
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/10
    ジャーナル フリー
     膵神経内分泌腫瘍は比較的稀な疾患であり, 膵実質からの発生が多いことから主膵管に影響を及ぼすことは少ない。しかし, 膵神経内分泌癌の場合, 強い線維性間質を伴う腫瘍細胞によって主膵管が途絶する症例報告も散見される。今回, 主膵管途絶をきたした膵神経内分泌癌の1例を経験したので報告する。症例は59歳男性。右上腹部痛を主訴に外来を受診。MRCPと脂肪抑制T1強調MRIで, 胆嚢結石, 膵体部の直径8mm大低信号域および末梢膵管の棍棒状拡張を認めた。膵体部腫瘍, 胆嚢結石症の診断で, 膵体尾部切除と脾臓摘出およびD2リンパ節郭清を行なった。HE染色では, 好酸性胞体を有し, 異型のある核を有する腫瘍細胞を認めた。強い線維化を伴って浸潤性増殖し,膵管を狭窄していた。免疫染色ではクロモグラニンA, シナプトフィジンが陽性で, Ki-67指数より膵神経内分泌癌と診断した。追加治療は行なわずに経過観察し, 3年以上経過した現在, 再発を認めていない。
看護研究報告
  • 相川 択弥, 三村 未美, 金山 美鈴, 鈴木 理香
    2014 年 63 巻 4 号 p. 665-669
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/10
    ジャーナル フリー
     A病院は地域での急性期中核病院の役割を担っている。それに加え, 平均在院日数の短縮化や看護師不足と, 看護師の業務は多忙を極めている。この環境下で働く看護師は, どのようなストレスを感じて業務を行なっているのか実態調査を行なった。  研究方法は, A病院看護師, 准看護師 (師長・副師長・主任を除く) に看護職場にみられるストレス要因についての質問用紙を作成し調査を行なった。業務量, 業務内容, 人間関係, プライベートの4つのカテゴリーに分類し, さらに年代別に比較した。  集計の結果, 全ての年代でストレスの1位は業務量, 2位は業務内容であった。患者の病状経過の把握, ケアや検査, 処置, 医師の診療の介助, 医療安全への配慮, 他部門との連携など業務が多岐にわたり, 常に時間に追われていることが要因であると考える。ストレス3位は人間関係であった。多忙な業務の中, 患者とゆっくりと向き合えないジレンマや, 医師とのコミュニケーションが出来ていないことへの不満, 上司や同僚との関係などが関与していると考えられる。ストレス4位はプライベートであった。30・40歳代は, 家庭を持つ看護師が多く, 希望の休日は家庭の用事などに当てなければならず, 自分の時間が確保できないこと, 夜勤や時間外勤務, 研修への参加等も, 影響していると考えられる。今後は, スタッフ同士が同じストレスを抱える仲間として助け合い, 働きやすい環境となるよう努めていく必要がある。
  • 梶屋 宏美, 泉原 淑恵
    2014 年 63 巻 4 号 p. 670-674
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/10
    ジャーナル フリー
     透析患者における合併症予防には, 自己管理が大きなウエイトを占める。高リン血症は動脈硬化を招くばかりか, 病的骨折など骨への影響は大きく, 血清リン値をコントロールすることは長生きの秘訣と言われている。しかし血清リン値は, 食生活の影響を受けやすいため, 継続して目標値を自己管理することは難しい。またリンはその排泄が便中と透析による除去に限られるため, リンの摂取量に制限が必要となる。そこで, 患者がどんな食物を摂取しているのかを聴き取りの中から把握し, 評価し指導した。そして患者を取り巻く家族の協力も不可欠と考え, 試食会を開催した。また食事指導に加え, 合併症や薬剤の理解を深めるために, チームで指導を行なった。結果, 目標値を維持する患者の増加に繋がったので報告する。
短報
  • 平川 仁尚
    2014 年 63 巻 4 号 p. 675-678
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/10
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 認知症デイサービスの独自性を明らかにすることである。愛知県岡崎市にある認知症デイサービスセンターにおいて,「認知症デイサービスについて思うこと」をテーマに関係者6名で, フォーカスグループディスカッションを行なった。そして, その内容をKJ法によりまとめた。その結果, 認知症のデイサービスの専門性と独自性は, 重度な認知症高齢者のケアの成功体験を通じた本人・家族・スタッフのクオリティーオブライフの高さにより支えられていることが分かった。
  • 平川 仁尚
    2014 年 63 巻 4 号 p. 679-682
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/10
    ジャーナル フリー
     最近増加傾向にある医療的背景を持たないケアマネジャーは訪問看護師など医療者とのコミュニケーションを苦手としているといわれる。そこで, 訪問看護師とケアマネジャーのコミュニケーションを円滑にするための教材作成の基礎資料とするため,「ケアマネジャーを悩ませる訪問看護師の行動傾向」をテーマに参加者に約1時間グループ討論してもらった。参加者は8人で, その内訳は職種別に医師1人, 看護師1人, 医療系 (看護系) ケアマネジャー2人, 非医療系ケアマネジャー3人, 福祉職1人であった。出された意見をKJ法の技法の一部分を用いてグループ化した結果,「病院と同等の医療管理レベルをチームに要求する」,「必要最低限の業務しかしたくない」,「在宅経験が少なく, 知識が医療的なものに偏っている」,「権威勾配を背景にチームを上から管理しようとする」,「クライアントや家族の前で感情をコントロールできない」,「専門用語を使いすぎる」,「特別指示書に変えたがる」の7グループが抽出された。こうした訪問看護師に対するケアマネジャーの本音は, 病院から地域・在宅に医療の重心がシフトしていく中で, 病院外における看護師の在り方を考える上で重要な情報である。一方, ケアマネジャーにとっても訪問看護師の行動傾向を知ることでマネジメントのノウハウを蓄積しやすくなるものと期待される。
資料
  • 永美 大志
    2014 年 63 巻 4 号 p. 683-692
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/10
    ジャーナル フリー
     近年, 遺伝子に関する検査技術の発達は目を見張るものがあり, 農薬の人体への慢性影響についても, 化学物質の代謝と細胞膜の通過を司る遺伝子の多型性との関係を研究した報告が増加している。このあたりを中心に文献的考察を行なった。  発癌に関する研究では, 様々な農薬曝露指標と遺伝子多型との間に交互作用を認めていた。胆嚢癌, 前立腺癌, 腎癌, 乳癌, 膀胱癌, 小児白血病, 小児脳腫瘍などの多様な発癌が対象となっていた。農薬曝露指標としては, 血清DDTレベル, マラチオン, DDVPなどの農業使用, 職業歴, 小児期の殺虫剤曝露, 出生前殺虫剤曝露などについて関係が認められていた。遺伝子多型としては, シトクロムP450, グルタチオン-S-転移酵素, P糖タンパク質, フラビン含有モノオキシゲナーゼ, キノンオキシドレダクターゼなどについて関係が認められていた。  パーキンソン病についても, 農薬曝露と, パラオキソナーゼ, ドーパミントランスポーター多型との交互作用を認める報告があった。  出生障害と小児発達についても, ①有機塩素農薬曝露とシトクロムP450の多型と早産, ②有機リン曝露とパラオキソナーゼ多型と出生頭囲の低下または小児発達の遅延, など関係を認める報告があった。  化学物質過敏症についても, いくつかの遺伝子多型との関係を認める報告があった。農薬曝露との交互作用を含めて, 疫学的に検討が進められることが望まれる。
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