日本農村医学会雑誌
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64 巻 , 1 号
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原著
  • 後藤 亮吉, 佐々木 ゆき, 轟木 孝浩, 花井 望佐子, 中井 智博
    2015 年 64 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/10
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は当院で行なっているロコモティブシンドローム (以下:ロコモ) 予防教室の介入効果を検証することを目的とした。 〔対象〕2010年~2011年までに当教室に参加した参加者のうち60歳以上の者とし, 欠損データのある者を除外した34名 (平均年齢72.2±6.9歳, 男性3名, 女性31名) とした。 〔方法〕教室開始時と教室終了時, 教室終了後6か月後の追跡調査時の身体機能とロコモーションチェック, 運動習慣を比較した。身体機能評価項目は握力, 10m全力歩行速度, 下肢長比, つぎ足歩行, 30秒椅子立ち上がりテスト (以下:CS-30), Timed Up & Go Test, 開眼片脚立位時間の7項目とした。また, アンケートにてロコモーションチェックと運動習慣を聴取した。 〔結果〕教室開始時と教室終了時を比較すると, 握力以外の身体機能6項目で有意な向上が認められた。追跡調査時は教室開始時と比べ, 10m全力歩行速度, 下肢長比, CS-30が有意に向上していた。ロコモーションチェックの結果, 該当項目数の平均は, 教室開始時2.5個から教室終了時では1.7個と減少していた。さらに, 追跡調査時においても教室開始時と比べ減少していた。また, 運動習慣は, 教室開始時と追跡調査時を比較すると, 運動習慣が定着した人の割合が増加していた。 〔結論〕本研究の結果から, 当院におけるロコモ予防教室が身体機能向上と運動習慣定着に寄与しており, ロコモ予防に効果があることが示唆された。
  • 小林 英樹, 森合 博一, 二木 照美, 松木 浩子, 土井 孝志, 黒田 房邦, 野沢 佳弘
    2015 年 64 巻 1 号 p. 8-13
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/10
    ジャーナル フリー
     2002年から2011年までに当院外科で経験した5例の男性乳癌について, その臨床病理学的検討を行なった。臨床所見としては, 発生頻度が全乳癌の1.59%と低く, 平均年齢が70.4歳で, 高齢者に多くみられた。また, 腫瘤占居部位は全例で乳輪下部領域であり, 主訴は腫瘤触知および乳頭分泌物であった。病悩期間は短期間の症例から10年以上に及ぶ症例まで, ばらつきがみられた。また, 画像診断能の向上などにより比較的早い段階での発見も多くなり, 術式では主に胸筋温存乳房切除術が行なわれている。病理組織学的所見では, 組織型は乳頭腺管癌が2例, 充実腺管癌が2例, 硬癌1例であった。乳頭腺管癌のうち1例は, 神経内分泌癌 (WHO分類2003) であった。癌巣は全例で乳腺外脂肪に及んでおり, うち4例では皮膚まで浸潤していた。リンパ節転移は40%にみられ, ホルモンレセプターの陽性率が高く, 内分泌療法が有用であった。分子標的治療の指標となるHuman Epidermal Growth Factor Receptor2 (HER2) 蛋白の発現はみられなかった。男性でも乳癌に罹患することから, 早期発見のために啓発する必要があると考えられる。
研究報告
  • 永美 大志, 前島 文夫, 西垣 良夫, 夏川 周介
    2015 年 64 巻 1 号 p. 14-22
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/10
    ジャーナル フリー
     農薬は第二次大戦後急速に使用量が増加し, 農薬中毒が農村医学の主たる課題になって久しい。本学会はこの課題に長年取り組んできており, 特別研究プロジェクト・農薬中毒部会では全国の関連医療施設の協力のもと臨床例調査を行なってきた。2010~12年分について報告する。  農薬中毒 (障害) の症例が, 37施設から137例報告された。性別では男女ほぼ同数で, 世代別では, 70歳代 (22%) が最も多く, 60, 80歳代 (各18%) が続いていた。中毒に関わる農薬曝露状況は, 自殺が71%を占め, 誤飲誤食 (13%), 散布中等 (12%) が続いていた。月別に見ると, 5月が16%で最も多かった。  診断名としては, 急性中毒 (83%) が大部分で, 皮膚障害 (6%), 眼障害 (5%) もあった。散布中などの曝露では, 急性中毒の割合が42%に低下し, 皮膚障害 (47%) が上回った。  原因農薬としては, アミノ酸系除草剤 (29%) が最も多く, 有機リン系殺虫剤 (25%), ビピリジリウム系除草剤 (8%) が続いていた。成分別にみると, グリホサート (38例) が多く, スミチオン (18例), パラコート (12例) が続いていた。  死亡例が23例報告された。うち8例がパラコートによるものであり, 3例がスミチオンによるものであった。  パラコートは, 致死率 (80%) において, 他の農薬成分を大きく引き離していた。死亡数は減少の傾向にあるが, このことは同剤の国内流通量の減少と相関していた。
  • 谷 香保里, 成島 俊輔, 山口 恵子, 小島 和佳子, 小川 利人, 木村 清美, 井坂 彰一
    2015 年 64 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/10
    ジャーナル フリー
     薬剤師が介入していない状況での腎機能低下患者に対する腎排泄型薬剤の処方実態を把握し今後の課題を明らかにすることを目的として, ジゴキシン, シベンゾリン, ベザフィブラート, レボフロキサシン, バラシクロビル, ダビガトランの6成分が処方された外来患者を対象に血清クレアチニン, 性別, 年齢, 身長, 体重, 対象薬剤の投与量を後方視的に調査した。その結果, 血清クレアチニンの検査が行なわれなかった処方や過量と判断された処方が確認された。さらに年齢や血清クレアチニンのみで腎機能を判断している可能性が推察されたことから, 腎排泄型薬剤の薬物療法に薬剤師の関与は必要であると考えられた。そのためには, 薬剤部内に腎排泄型薬剤の薬物療法を支援するためのシステムを導入することが必要である。
  • 市川 友貴, 磯﨑 美穂, 渡部 誠一, 清水 純一, 渡辺 章充
    2015 年 64 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/10
    ジャーナル フリー
     小児分野のソーシャルワーク支援は, 年齢に応じて制度が変化するため支援が複雑であり, 困難に感じることがある。近年, 小児ソーシャルワークの領域において実践モデルの確立に向けた研究が行なわれているが, 実践モデルが確立できれば支援の方針を立てやすくなり, 支援の質の向上にもつながると考え, 当院における小児科及び新生児科のソーシャルワーク支援の特徴を明らかにし, 実践モデルの確立に向けた考察を行なうために, これまでに支援した新生児科・小児科のケースについて調査を行なった。  新生児科の支援では, 依頼経路は入院, 外来ともに院内スタッフからがほとんどであり, 依頼内容は入院では退院支援が, 外来では受診受療の相談が最も多いという結果になった。終了状況は入院, 外来ともに連絡調整や情報提供が多かった。  小児科の支援では, 依頼経路は入院では院内スタッフから, 外来では関係機関からが最も多かった。依頼内容は入院では社会福祉制度の調整が最も多かったが, 外来では受診受療の相談が最も多かった。終了状況は入院では情報提供や連絡調整がほぼ同数だったが, 外来では連絡調整が最も多く, 次いで情報提供が多かった。  このことから, 小児ソーシャルワーク支援においては, 患者・家族だけでなく, 院内スタッフや地域の関係機関も対象とした働きかけや患児の成長に合わせた社会福祉制度のコーディネートを, 長期的かつ計画的に行なっていく必要がある。
  • 平谷 恵, 中村 繁美, 中西 早百合, 木平 悦子
    2015 年 64 巻 1 号 p. 34-40
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/10
    ジャーナル フリー
     平成20年度医療保険制度が改革され, 糖尿病などの生活習慣病を予防するという目標をもち健診にメタボリックシンドロームの考え方が導入され医療保険者に特定健診・特定保健指導が義務付けられた。健診は病気を発見するためだけでなく, 今の健康状態や自分自身の生活習慣を理解するための材料として活用し, 保健指導には適正な生活習慣を身につけて健康意識を高める前向きの指導が求められている。当施設でも初年度より特定健診を実施し健診当日にその結果をもとに特定保健指導 (6か月間の支援) を開始した。保健指導は今年度で5年目を迎え, 当初の指導効果が継続・維持されているかを平成24年度の健診結果から検討した。初年度健診結果より平均体重で1.0kg (P<0.001), 腹囲では1.5cm (P<0.001) の減少がみられた。体重の減少を維持しているのは男性60%, 女性66%であった。  平均体重の変化では, 1年後まで減少し続けているものの, 4年後には支援終了時の体重まで増加していた。体重のリバウンド傾向は, 性別では,男性に強くまた, 支援別では積極的支援者に多かった。  特定保健指導レベルも改善されており, 特定保健指導の効果の継続性は確認できたが, リバウンド傾向の予防を含めたきめ細かい関わりが必要である。
  • 岩月 奈都, 久保田 勝俊, 山本 喜之, 中根 久美子, 粕谷 法仁, 植田 祐介, 鈴木 和人, 花之内 基夫
    2015 年 64 巻 1 号 p. 41-44
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/10
    ジャーナル フリー
     近年, HBs抗原陰性, HBs抗体もしくはHBc抗体陽性者のB型肝炎ウイルスが, 再活性化されることにより引き起こされるdenovoB型肝炎の重症化の報告がなされている。免疫抑制・化学療法患者が発症するdenovoB型肝炎は, 医療訴訟にまで発展することもあり, その対策として, 2009年1月に厚生労働省より『免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドライン』が公表され, 2013年には日本肝臓病学会より『免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドライン (改定版)』(以下ガイドライン) が公表され, 各施設での対応が急務とされている。当院でも, 化学療法委員会で協議され, 医療の安心・安全及び迅速化を提供するためHBc抗体の院内測定を実施することとなった。  調査期間中, HBc抗体が測定された理由は, 化学療法対象患者並びに免疫抑制剤使用患者, 輸血前感染症検査, ウイルス性肝炎検査であった。当院においても, ガイドラインに適応する症例は218例中15例あり, 通常の感染症スクリーニングでは見つけることの出来ないHBs抗原陰性かつHBc抗体陽性の患者は決して少なくない結果となった。  今後も免疫抑制・化学療法の対象患者は増加することが予想されるなか, 安心・安全な医療の提供の為にもガイドライン遵守の必要性が示唆された。
症例報告
  • 佐藤 岳史
    2015 年 64 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/10
    ジャーナル フリー
     頭部外傷に伴う小脳血腫は稀である。今回,柿の木から転落して受傷した外傷性小脳出血と天幕上の急性硬膜下血腫に対して外科的治療を行ない, 良好な経過をとったため報告する。  症例は65歳の男性であり, 柿の木の剪定中に枝が折れ転落し後頭部打撲した。短時間の意識消失をきたし救急搬送された。頭部CTで天幕上のくも膜下出血, 硬膜下出血, 小脳出血を認め入院となった。入院時は意識清明であったが, 4時間後には意識障害が進行し, 血腫の増大を認めた。緊急にて天幕上の急性硬膜下血腫に対する開頭血腫除去術と, それに引き続き小脳血腫除去術を行なった。術後の経過は良好であり, 特に神経学的脱落症状なく退院となった。  外傷性小脳出血は稀であるが, 迅速な外科的治療にて良好な予後を達成しうる。また, 柿の木は折れやすいことは古くから知られており, 転落事故を防ぐための啓発活動が必要である。
  • 青山 美恵子, 野村 明広, 岡野 睦, 佐藤 和代, 遠山 卓明
    2015 年 64 巻 1 号 p. 50-55
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/10
    ジャーナル フリー
     遺伝子検査により判明した稀な非結核性抗酸菌 (以下NTM) による肺感染が疑われ, 治療により病状改善が認められた1症例を経験したので報告する。  85歳男性, 平成22年12月より咳や痰の症状にて近医受診。平成23年5月14日の胸部X線にて右上肺野に∅1cm大の結節影を認め, 喀痰の抗酸菌塗沫検査にてガフキー9号, PCRにてMTB (-), MAC (-), 液体培養検査結果陽性, 発育菌DDH法は同定不能であった。Hsp65法及びRpoB法にてMycobacterium conspicuumと同定された。入院にて気管支洗浄液からも同菌が検出され, 同菌による肺炎が疑われたためNTMの治療が開始された。その後, 胸部X線, CT, 及び血液検査結果にて改善が認められ, 平成24年4月8日に退院となった。NTMは環境に多く存在し, 喀痰などの材料から一度検出されただけでは原因菌とはし難い。気管支鏡を積極的に実施し, 繰り返し検出されたことで起因菌として早期に治療を開始することができた。
  • 小林 真弓, 小貫 琢哉, 稲垣 雅春, 西田 慈子, 高木 香織, 佐川 義英, 中村 玲子, 尾臺 珠美, 藤岡 陽子, 市川 麻以子, ...
    2015 年 64 巻 1 号 p. 56-60
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/10
    ジャーナル フリー
    〔緒言〕月経随伴性気胸 (Catamenial Pneumothorax, 以下CP) は胸腔内子宮内膜症の一種であり, 詳細な病態や標準治療は明らかではない。診療科をまたぐ疾患であり, 呼吸器科医と婦人科医の連携が必要となる。今回, 当院で経験したCP症例の臨床経過を検討した。 〔方法〕1989年1月から2014年8月の間に当院で気胸に対して胸腔鏡下肺手術が施行された症例のうち, 病理学的に肺・胸膜・横隔膜のいずれかに子宮内膜症を認めた8例を対象とし, 臨床像,治療を後方視的に検討した。 〔結果〕発症年齢中央値は37歳。8例中7例 (87.5%) が右側発症であった。骨盤内子宮内膜症の検査をした例が6例, うち5例が骨盤内子宮内膜症を有していた。手術後からの観察期間中央値は33.5か月。8例中6例が術後気胸再発, うち2例はジエノゲスト内服後の再発であった。いずれの症例もジエノゲスト内服またはGnRHa・ジエノゲストSequential療法で再発を防ぐことができた。 〔結語〕気胸は緊急で脱気等の処置が必要であり再発防止には治療薬服用の高いコンプライアンスが求められる。GnRHa投与症例では術後再発を認めておらず, 術後薬物療法としてGnRHaまたはGnRHa・ジエノゲストSequential療法が望ましいと考える。ただし, ジエノゲストのみで再発しない症例もあり, 治療法の選択に関してさらなる症例の集積が必要である。
看護研究報告
  • 生方 美恵子, 芳賀 智子
    2015 年 64 巻 1 号 p. 61-65
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/10
    ジャーナル フリー
     A病棟では, 患者の点眼状況の把握ができていなかったため, 点眼手技におけるアセスメントシートを作成し評価した。点眼手技の観察や白内障手術患者の入院時聞き取り調査により, 「点眼薬が1回で眼に入らない」, 「手と眼の距離が分からなく難しい」, などの課題が明らかになった。高齢者でもできる点眼手技として「げんこつ法」に着目し, 自己点眼手技の習得に成果がみられたため報告する。  65歳以上の眼科手術予定の28名を対象に入院時と退院時に自己点眼手技アセスメントシートを用いて, 「げんこつ法」指導実施前後で評価し集計, 比較した。項目の評価は「できる」を0点, 「できない」を1点として合計を出し, 点数が1点以上を「げんこつ法」指導対象とした。  確実な点眼ができていなかったのは, 点眼容器を持つ手が固定されず安定しなかったことが, 要因として考えられた。げんこつ点眼法指導前後でアセスメントシートの6項目すべてにおいて点数が下がり, 高齢者にとって簡便な手技であり, 点眼容器を持った手が安定したことで, 短期間に習得できる方法であったと考える。患者の状態をアセスメントし, 指導, 評価を繰り返しながら患者自身が退院後も自己点眼が継続してできるよう点眼手技を指導していくことが大切であると考える。
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