日本農村医学会雑誌
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65 巻 , 6 号
選択された号の論文の22件中1~22を表示しています
第65回日本農村医学会学術総会
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臨床研修医セッション優秀賞受賞者一覧
綜説
  • 田原 恭子
    2017 年 65 巻 6 号 p. 1148-1156
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/04/25
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,慢性期医療に着目した従来の病床機能が,医療資源の集中投入をより必要とする急性期医療の強化に変換された現状に着目し,加齢と共に増加傾向にあるせん妄に対する看護ケアの概念を明確にすることで,今後の課題を探ることである。
     方法はRodgers(2000)の概念分析法を用い,『せん妄ケア』を共通言語として概念化し用いることを目的とした。さらに,分析対象を看護学分野の文献に限定することで,看護師の実践しているケアの概念を明確にすることとした。また,本手法はせん妄ケアそのものを示す「属性」とし,用語誕生の元を示す「先行要件」,そしてケア実践の結果を示す「帰結」という3 つの表現で構成されている。属性と先行要件と帰結それら3 つを統合し概念を分析できる技法であり,本用語を分析する方法として適切であると考えた。
     結果,一般病棟におけるせん妄ケアの要件は,切れ間のない安全保持と観察の継続,認知機能の回復,せん妄の早期発見による早期対処による悪化の防止,多職種協働による人的資材の活用であった。そして,せん妄を発症した患者とそれ以外の患者へのケア提供に配慮しながら,限られた看護師の人的資材を最大限に活用する病床管理を実践することも重要であった。  今後の課題は「せん妄ケアの教育」,「尺度の活用」である事が明らかとなった。
原著
  • 安部 威彦, 橋本 英久, 田城 孝雄
    2017 年 65 巻 6 号 p. 1157-1167
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/04/25
    ジャーナル フリー
     画像読影補助として診療放射線技師の業務が拡大され,救急医療においてその必要性がアンケート調査により明らかになっている。今回,読影能力テスト(CT 画像)を岐阜県下45名の技師に対して行ない,読影能力の確認および読影能力向上因子の分析を行なった。読影能力テストでは,緊急性の高い症例の正答率は高かったが,小さな腫瘍の発見や消化管の腫瘍の認識力が低い特徴があった。全体的に正答率は経験年数と共に若干の上昇を示したが,3 年未満の技師の読影能力が極端に低く,その対策の必要性が感じられた。また,統計分析により,CT 関連各種認定取得者,レポート作成施設およびCT 専任者で読影能力が高く,これらが診療放射線技師の読影能力向上に関わる因子と推測した。
  • 中野 理恵, 横田 素美
    2017 年 65 巻 6 号 p. 1168-1176
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/04/25
    ジャーナル フリー
     本研究は,農村地区に居住する高齢者に対して,膝関節痛が慢性化した時期の膝関節痛の捉え方,意味,それらに影響を与える要因を明らかにし看護の示唆を得ることを目的とした。
     農村地区に居住し,膝関節痛を1 年以上抱えた高齢者14名を対象に,半構成的面接を実施し質的帰納的に分析した。対象者は,老人クラブ連合会参加者,内科系開業医通院者より募った。
     農村地区に居住する高齢者の膝関節痛の捉え方には,医療の必要性から測る捉え方,生活との関係における捉え方,膝関節痛を抱えた自分に関する捉え方という特徴が示された。膝関節痛の意味は『人生の残り時間を意識させるもの』,『人生の中で本意ではないもの』,『自分の人生を頑張った証』であった。膝関節痛の捉え方や意味には【排泄に関する動作に支障がない状況】等が影響を与えていた。
     看護専門職は,高齢者の自己対処が適切に行なえるように支援すること,【排泄に関する動作に支障がない状況】を担保することが重要である。また,看護職者は膝関節痛の症状や動作への支援に加え,高齢者に膝関節痛を抱えた体験を積極的に語ってもらい,高齢者個々の膝関節痛の捉え方や意味を考えながらその段階において必要とされる看護を見極め,提供する必要がある。
  • 青砥 早苗, 藤江 敬子, 中田 由夫, 小林 裕幸, 渡辺 重行, 平野 篤, 橋本 幸一
    2017 年 65 巻 6 号 p. 1177-1187
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/04/25
    ジャーナル フリー
     医療現場での臨床研究は,根拠に基づく医療を実践するために必要不可欠である。本研究は,水戸協同病院における臨床研究支援活動の特徴と課題を探索的に検討することを目的とした。2013年4 月より,筑波大学で雇用されたリサーチアシスタント1 人が水戸協同病院における相談窓口として常勤し,大学教員3 人と連携しながら研究支援を開始した。支援対象者は全医療従事者およそ450人であった。2014年4 月より,月1 回の大学教員による臨床研究相談会および看護研究委員勉強会を開催した。本活動の分析は,臨床研究支援記録の分析および相談者に対する質問紙調査により行なった。分析の結果,解析対象の支援記録は490件で,相談者は68人,支援課題は91題であった。医師および看護師の課題(93.4%),観察研究(64.8%),学会発表目的(51.1%)が多かった。各課題の支援回数は1 回から5 回,支援時間は40分から405分,初回支援日から最終支援日までの日数は1日から84日,支援内容は研究計画が最も多かった(57.1%)。相談者は支援対象者の15.1%で,職種に偏りがあったことが課題であるが,質問紙調査は47人中30人から回答があり,96.6%が相談して良かったと回答したことから,本支援活動は一定の評価を得ていたと考える。
研究報告
  • 平川 仁尚
    2017 年 65 巻 6 号 p. 1188-1193
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/04/25
    ジャーナル フリー
     認知症患者は,入院中にせん妄,徘徊,暴言・暴力など周辺症状を引き起こしやすいため,担当看護師の負担は大きい。今回,一般病院の認知症ケアの質の向上を目的に,そのストラテジーの立案を行なったので報告する。研究対象は,江南厚生病院の副看護部長2名,看護課長1 名,看護係長3 名,医療ソーシャルワーカー2 名,地域包括支援センターソーシャルワーカー1 名,訪問看護ステーション看護課長1 名,院外のケアマネジャー2名であった。データ収集には,フォーカスグループインタビューを用いた。分析方法について,意味の近似性に基づき,抽出されたラベルをサブカテゴリーとカテゴリーに分類した。全カテゴリーについて,座標軸を用いて優先順位の決定を行なった。その最優先課題について討論を行ない,特性要因図で整理した。その結果,認知症ケア専門チームの立ち上げ,認知症ケアへの理解と共感の輪を院内の関係者に広げるための教育,啓発,研修が必要であることが分かった。
症例報告
  • 箱守 正樹, 豊田 和典, 須藤 聡, 野口 晴香, 冨滿 弘之
    2017 年 65 巻 6 号 p. 1194-1200
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2017/04/25
    ジャーナル フリー
     合併症を契機にベッド上臥床となっていた70歳代女性のレビー小体型認知症(以下,DLB)症例に対して,回復期病棟で医師の服薬調整,リハビリテーション(以下,リハ),看護師,介護福祉士による病棟レクリエーション(以下,レク)の介入を行なった。
     入棟時,起き上がり動作,移乗動作,立位保持は重度介助だった。両上肢は固縮に加え振戦が顕著で,食事動作は全介助だった。パーキンソン病統一スケール(以下,UPDRS)は129点,FIM は27点だった。
     医師は固縮,振戦,精神機能などに対し薬剤調整を行ない,リハはレッドコードを中心としたリーチ練習,立ち上がり,立位保持練習を行なった。レクは平日約30分間行なった。40日目で起き上がり動作が可能になり,84日目自宅退院となった。退院時の移乗動作は軽度の持ち上げ介助になった。立位保持は上肢支持で2 分間可能になった。食事動作は自力摂取が可能になった。UPDRS は105点,FIM は43点まで改善した。
     一次性機能障害に対する医師の薬剤調整と廃用症候群等の二次性機能障害に対するリハ,レクの介入で病棟生活が活動的な環境に変化し,介助量軽減につながった。
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