日本農村医学会雑誌
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65 巻 , 1 号
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原著
  • 中前 健二, 兵藤 好行, 南良 義和, 井上 宏隆, 沖島 正幸, 小川 正博, 近藤 浩史, 藤井 夕貴, 酒出 篤弥, 西山 和芳, ...
    2016 年 65 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2016/05/31
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
     急性一酸化炭素中毒(Acute carbon monoxide poisoning:CO中毒)に対する高気圧酸素(Hyperbaric oxygen:HBO)療法は,酸素療法や補助呼吸療法に引き続き行なわれる救急的治療法としての有用性が多々報告されている。今回,過去5年間における当院で行なわれたCO中毒患者のHBO療法の有効性について後ろ向きに検討した。対象は2008年1月から2013年11月末までに行なわれたCO中毒患者のHBO療法施行症例:23例とした。症例は男性:女性=14:9,年齢=54.6±20.8歳,原因は自殺企図:39.1%,不慮の事故:60.9%であった。HBO療法平均治療回数は5.4±6.8回,絶対気圧は2ATA:2.8ATA=12:11,当院直接搬送患者:他院からの間接搬送患者=15:8症例であった。退院時におけるHBO療法の有効性は73.9%であったが,CO中毒23例中3例において間歇型脳症が認められた。一方,CO暴露からの経過時間と各種パラメーターについては,当院搬送までに様々な要因がありCO暴露からの経過時間との間に一定の傾向は認められなかった。しかしながら,間歇型脳症予防にはCO暴露から治療開始時間が重要であり,HBOを有する施設での早期治療が必要であると示唆された。
  • 鈴木 康司, 河内 貞臣, 南家 秀樹, 青山 広道, 猪野又 慶, 新谷 尚子
    2016 年 65 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 2016/05/31
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
     高齢者夫婦二人世帯に発症した大腿骨近位部骨折の自宅復帰について調査した。  地域連携パス開始後の2007年1月から2013年12月までに手術加療した65歳以上の夫婦二人世帯の大腿骨近位部骨折85例87関節を対象とした。  急性期病院または回復期病院から退院時の自宅復帰数(率),急性期,回復期病院の入院期間,受傷前と急性期または回復期病院退院時の移動能力を調査した。認知症の有無と年齢階層別について自宅退院数を調査した。  急性期病院から直接自宅復帰数は32例(36%)。回復期病院から自宅復帰数は35例(83%)。急性期病院から直接自宅復帰例での入院期間は平均31日(17~71日)。回復期病院から自宅復帰例での回復期病院での入院期間は平均61日(5~143日)。急性期病院から直接自宅復帰例での受傷前と退院時の移動能力は受傷前が独歩22例,杖5例,伝い歩き3例,つかまり立ち2例であったが,退院時は独歩3例,杖21例,伝い歩き5例,つかまり立ち1例,車椅子2例であった。  回復期病院から自宅復帰例での受傷前と急性期病院退院時と回復期病院退院時の移動能力は受傷前が独歩13例,杖11例,伝い歩き10例,車椅子1例が,急性期病院退院時は独歩1例,杖13例,伝い歩き15例,つかまり立ち2例,車椅子4例,回復期病院退院時は独歩5例,杖19例,伝い歩き7例,つかまり立ち2例,車椅子2例であった。受傷前より移動能力は落ちていたが,急性期病院からは36%,回復期病院からは85%が自宅復帰した。認知症がある場合,また高齢になるほど自宅退院数は少なかった。
  • 髙橋 祥
    2016 年 65 巻 1 号 p. 15-24
    発行日: 2016/05/31
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
     “めまい”の原因疾患を検討するため,15か月で1,000例のめまい患者を集めretrospectiveに解析した。めまい患者で最多の診断は,頚性めまいで89%を占めた。頚性めまいと診断し,頚部MRIを施行し得た症例の中で最も多い頚椎・頚髄病変は脊柱管狭窄症であり,脊柱管前後径の正確な測定とその診断基準に沿った判定が重要であると考えられた。また頚椎・頚髄病変が根底にあり,さらにめまいを誘発した頚の姿勢への負荷では,その原因が性別や年代により異なっていた。特に,高齢女性の場合,農作業や草取りなどの庭仕事で長時間の前傾姿勢を取ることが誘因となっていたことは特徴的であった。頚性めまいの患者において,頚・肩筋群の過緊張や緊張型頭痛を伴う場合には,筋弛緩薬による是正が最も重要であり,治療により1週間以内にめまいが消失あるいは明らかに改善した症例は90%であった。本研究では,頚椎・頚髄病変が根底にあり,さらに頚に過度の負荷をかけることでめまいが誘発される頚性めまいの重要性について述べた。
  • 木村 京子, 月山 克史, 佐々木 司郎, 大久保 俊治, 市丸 雄平
    2016 年 65 巻 1 号 p. 25-33
    発行日: 2016/05/31
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
     小麦ふすまを10%添加した稲庭うどんを作成し,食後の血糖値およびインスリン値に及ぼす影響について市販品の稲庭うどんと比較検討をした。健常な成人40名(男性20名,女性20名)を対象に同重量(乾麺100g)の小麦ふすま入り稲庭うどんと稲庭うどんの単回摂取クロスオーバー試験を実施した。被験者は小麦ふすま入り稲庭うどんと稲庭うどんをそれぞれ5分以内で喫食し,食前,食後30分,食後60分,食後120分の4点で血糖値・インスリン値を測定した。小麦ふすま入り稲庭うどんは稲庭うどんに比べて血糖値が低い傾向にあり,食後60分の血糖値は有意(P=0.0251)に低かった。インスリン値は小麦ふすま入り稲庭うどんが稲庭うどんより高い傾向にあり,食後30分では有意に(P=0.024)高かった。今回の検討で小麦ふすまをうどんに添加する事により食後血糖の上昇が穏やかになる事が示唆された。  以上により小麦ふすま入り稲庭うどんは食後の血糖上昇抑制に有効であり,糖尿病予防や食事療法のための主食として有益である可能性が考えられる。
  • 杉浦 正士, 早川 富博
    2016 年 65 巻 1 号 p. 34-45
    発行日: 2016/05/31
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
     三河中山間地域で生活する高齢者に対する見守り・支援体制の構築を目的とした広範なアンケート調査を実施し,4,000名を超える高齢者の回答から日常生活に関与する重要な要因として「毎日の仕事の有無」「趣味の有無」「田畑の世話の有無」「食事状況」「地域活動への参加の有無」が抽出されたことを第Ⅰ報1)にて報告した。  今回は,重要な要因として抽出された「田畑の世話の有無」に注目し,高齢者の日常生活状況,老研式活動能力指標および老年期うつ病評価尺度(GDS)の各項目との関連について解析した。  「田畑の世話」は,高齢者の日常生活状況,活動能力,GDSの多くの項目に関与することが明らかとなり,主な結果をまとめると以下の事項に要約される。  ・「世話あり」群では,外出機会が多くなって地域社会との関わりや地域活動などが積極的になる。  ・「世話あり」群では,日常生活の活動能力指標が全体的に良好になり,特に手段的自立評価の事項で良好であった。  ・「世話あり」群では,「うつ傾向」と判定される可能性が「世話なし」群よりも低率で高齢層ほど群間差が拡大する。  ・「田畑の世話」は,女性よりも男性により良好な方向に関与する。  診療圏に多くの中山間地域や田園地帯など田畑の世話をする環境の整った地域を抱える厚生連病院においては,高齢者支援の1手段として「田畑の世話」の実施を促すことには大きな意義があると考える。
研究報告
  • 柴田 英輝, 鷹羽 正悟, 小寺 直人, 深田 真司, 小澤 功
    2016 年 65 巻 1 号 p. 46-54
    発行日: 2016/05/31
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
     CT装置では,被ばく低減技術の新たなる方法として画像再構成の部分に今までのFBP(Filtered Back Projection)再構成に加え逐次近似再構成の概念を取り入れた手法が使用可能になっている。この手法を用いる事で画像ノイズを目立たなくすることができ,撮影線量の低減が期待できる。今回,この逐次近似応用型再構成フィルタを用いた撮影条件の検討を行なうことで被ばく線量低減への試みを検討したので報告する。各患者においての最適管電流の決定を行なうため自作模擬血管ファントムを用いて視覚評価した。得られた条件をもとに被ばく線量を低減させるために,逐次近似応用型再構成フィルタを用いた撮影条件を導いた。逐次近似応用型再構成フィルタを用いる前と用いた後の画質評価,被ばく線量の評価をCTDIvol[mGy]を用いて行なった。その結果,画質を落とさずに被ばく線量低減が可能であった。よって,冠動脈CTA検査での被曝量を低減させるために,逐次近似応用型再構成フィルタを用いた撮影条件を検討し,最大42%の被爆低減が可能であることが示唆された。
  • 渡邊 正樹, 南部 泰士, 柳屋 道子
    2016 年 65 巻 1 号 p. 55-61
    発行日: 2016/05/31
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
     高次脳機能障害者の生活を共にするきょうだいへの影響に関するについて明らかにし,看護の方向性を考察する目的で本研究を行なった。医学中央雑誌Web及びCiNiiにより,1983年から2015年において,「高次脳機能障害」「看護」「きょうだい」をキーワードに検索を行ない,研究目的および「障害」「きょうだい」への影響に着目し,目的に一致した文献26件を対象に分析を行なった。高次脳機能障害者の研究は,社会学,教育学等の研究領域において,主介護者あるいは家族に焦点をあてた介護負担やストレスに関する研究が多かった。また,高次脳機能障害者の看護に関連した研究をみると,高次脳機能障害者のセルフケアや転倒・転落に関する研究,高次脳機能障害者を支援する看護師の困難感や否定的感情に関する研究,家族や主介護者の介護肯定感あるいは負担感に関する研究が行なわれていた。いずれにおいても,高次脳機能障害者のきょうだいに焦点をあてた研究は行なわれていなかった。高次脳機能障害者のきょうだいは共に生き,共に老いる存在であり,親や子とは立場が異なるため,情報的・情緒的サポートが重要である。高次脳機能障害者の特性及び他学問領域からの知見を踏まえ,家族としての主介護者やきょうだいに焦点をあてた看護が望まれる。
症例報告
  • 篠原 陽子, 清木 祐介, 安藤 啓太, 大川 宙太, 山名 高志, 西山 直樹, 川上 直樹, 若井 陽子, 山下 高明, 齋藤 和人, ...
    2016 年 65 巻 1 号 p. 62-69
    発行日: 2016/05/31
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
     症例は75歳男性,4年前に肺腺癌(ⅡB期)に対し右下葉の摘出術を受け,術後カルボプラチン+ペメトレキセドを4コース施行した。その後,咳漱,労作時呼吸苦が出現増悪した。術前の胸部単純CTにて両下肺胸膜直下にスリガラス陰影を認めていたが,その後の胸部CTにて蜂巣肺,牽引性気管支拡張など両肺下葉末梢優位に陰影の増悪を認めた。特発性肺線維症を疑いプレドニゾロン(PSL),クラリスロマイシン(CAM),ピルフェニドンを投与するも改善に乏しく,今回PaO2 56mgHgと低酸素血症を認め,入院となった。問診にて30歳時より養鶏業に従事し,入院時は3,000羽の軍鶏を飼育していることがわかり,鳥関連過敏性肺炎を疑い,血清PDE(Pigeon dropping extracts)検査を施行した。PDE IgG 0.697,PDE IgA 0.445と高値を示し,慢性鳥飼病と診断した.画像からは特発性肺線維症との鑑別が困難であったが,問診とPDEが診断に有用であった。
  • 伏木 淳, 郡 悠介, 吉田 卓功, 梅木 英紀, 染川 可明, 若林 晶
    2016 年 65 巻 1 号 p. 70-75
    発行日: 2016/05/31
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
     今回我々は臨床経過から子宮平滑筋肉腫を疑っていたが,病理診断は低悪性度類上皮平滑筋腫瘍(Smooth muscle tumor of uncertain malignant potential : STUMP)とした症例を経験したので報告する。65歳3経妊3経産の女性,検診で子宮腫瘍を指摘され,精査にて子宮平滑筋肉腫が疑われ腹式単純子宮全摘・両側付属器摘出術を施行。病理所見にて悪性を示唆する所見と悪性と言い切れない所見が混在し,最終的に低悪性度類上皮平滑筋腫瘍とした。平滑筋腫瘍の診断は診断基準通りいかないことも多々あり,本症例のように悪性度の判断が困難なことがある。どの所見が重要な予後因子になるのか,今後の症例蓄積・検討が必要である。
  • 立花 祐毅, 東田 太郎
    2016 年 65 巻 1 号 p. 76-82
    発行日: 2016/05/31
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
     症例は2回経妊,1回経産の74歳である。右変形性股関節症による歩行障害の為ADLが低下している。尿失禁を主訴として近医受診し,下腹部嚢胞性腫瘤の診断により当科紹介された。当院で子宮留膿腫を合併する子宮頸癌Ⅲb期と診断され同時化学放射線療法(concurrent chemoradiotherapy,以下CCRT)を施行した。子宮留膿腫はCCRTにより軽快したが施行92日目から子宮頸部の硬化を伴い急速に膿腫が再燃し,92日目と97日目に経膣的に排膿するも103日目に子宮穿孔をおこした。同日緊急開腹術(子宮膣上部切断術および両側附属器切除術)を施行,術後7週間で軽快退院となった。以上より,子宮留膿腫を合併した進行子宮頸癌症例のCCRT後に子宮留膿腫の再燃を認める場合は急速な増悪の可能性と子宮穿孔による不良な予後を考慮し,経膣的排膿術,子宮頸管拡張術,場合によっては子宮切除術を考慮することも必要と思われた。
  • 安井 昭夫, 北島 正一朗, 丸尾 尚伸, 水谷 晴美, 澤木 絵美, 溝口 真里子, 加藤 佑奈, 石川 眞一, 祖父江 正代, 宇根底 ...
    2016 年 65 巻 1 号 p. 83-92
    発行日: 2016/05/31
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
     近年,口腔癌の腫瘍栄養血管に対して浅側頭動脈経由で逆行性にカテーテルを留置する動注化学放射線療法が行なわれ,良好な治療成績が報告されている。症例は高度進行舌癌による疼痛のコントロール目的にて当院緩和ケア科に通院中の患者で,腫瘍増殖に伴う気道閉塞を回避するため,気管切開術以外の治療法の相談依頼にて,院内紹介により当科受診した。そこでわれわれは,浅側頭動脈経由で両側舌動脈カテーテル留置による動注化学放射線療法を提案した。治療後には,顕著な腫瘍縮小効果が得られたことにより,気道閉塞は回避され,さらに摂食嚥下・構音障害の改善が認められた。しかし,治療の過程においては様々な有害事象が出現したため,多職種に援助を求める必要が生じるようになった。結果的に本症例を通じて,がん治療過程における口腔ケアおよび緩和ケアチームの支援を含めた多職種チーム医療を確立することができた。
  • 国本 圭市, 山本 昌幸, 大埜間 勉, 平瀬 翔
    2016 年 65 巻 1 号 p. 93-97
    発行日: 2016/05/31
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
     我々は,2種類の嫌気性歯周病原性菌を起炎菌とした脳膿瘍症例の治療経験を報告する。症例は45歳男性。20XX年6月1日頃から左上肢脱力と感覚異常が出現し,近医を受診した。頭部CT画像上,脳梗塞の診断で抗血小板薬が投与された。左半身麻痺の増悪を認め,当科に紹介入院となった。頭部MRI経過から脳膿瘍診断に至り,小開頭脳膿瘍排膿術が施行された。嫌気性菌膿瘍では30%で起炎菌を証明できないことから,複数の検体を採取し,2種類の嫌気性歯周病原性菌が検出された。重度歯周病の診断がされ,歯性菌血症からcorn-cob構造の菌複合体が脳皮質に到達して膿瘍を形成したと推測された。術後14週間の抗菌剤治療に並行して口腔ケアと計画的歯科治療を行ない良好な転帰を得たが,抗菌薬選択と投与方法に再考の余地があった。
看護研究報告
  • 米田 隆史, 高木 朋子, 土屋 孝子, 勝川 ゆかり
    2016 年 65 巻 1 号 p. 98-102
    発行日: 2016/05/31
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
     血液浄化療法におけるシャントトラブルでは,静脈狭窄起因によるものが最も多く認められている。従来は患者の負担を考慮するため,シャント機能不全末期になるまで外科的な修復を待つ傾向にあった。しかし,近年ではインターベーション治療の発展に伴い,シャント機能不全の早期に軽度な負担でシャント機能を改善する事が出来る様になった。今回A病院の血液浄化センターにおいて,2012年のシャント閉塞による再手術件数を調査した結果,シャント閉塞による再手術件数は14件であった。そこで,2013年にシャント閉塞を未然に予防するためのチーム活動を開始した。シャント観察の強化に着手し,シャント異常の早期発見・早期対処を目標に取り組んだ。まず,VA(Vascular Access)検査依頼表を作成し,従来あるものを参考に当院オリジナルのシャントトラブルスコアリングシートを作成した。その結果,シャント機能不全早期でのシャント造影・経皮経管的血管形成術(Percutaneous Transluminal Angioplasty : PTA)の件数が増加し,シャント閉塞によるシャント再作製件数を減少させることに繋がった。今後もこれらの活動を継続し,シャントトラブルの早期発見・早期対処に努めて行く必要がある。
  • 紺野 裕美, 酒井 和子, 渡邊 寿代, 武内 こずえ, 岩瀬 富士子
    2016 年 65 巻 1 号 p. 103-108
    発行日: 2016/05/31
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
     当院先行研究において化学療法を受ける患者の思いを知り,看護に求められる課題の改善に取り組んできた。その取り組みの中,情報交換を重ねるにつれて看護師は患者への関わりが十分だったのか不安を感じていることを知った。それと同時に業務を行なう上での困難も抱えていることもわかった。そこでその不安や困難を明確にし,看護の質の向上を目指すために半構造化グループインタビューを行なった。化学療法担当看護師が抱えている様々な思いや困難として「患者・家族へのアプローチの戸惑い」「看護師の精神的負担」「抗がん剤取り扱いの不安」「人的環境の問題」の4つのカテゴリーが見出された。短時間の関わりの中で患者・家族に対し個別性のある看護が十分にできていないことに悩みを抱え,精神的な負担も大きいことも明らかになった。今後の課題として,緩和ケアなどの専門知識や技術を学び深めていくことが必要になってくる。また患者・家族の個々に応じた様々な角度からのアプローチが必要であり,他職種が協働するチーム医療を含めた環境作りも不可欠であることがわかった。
短報
  • 長谷部 聖一, 古市 和也, 佐藤 弘樹, 木村 竜也, 室 雄太, 村田 絵吏, 下重 正樹, 斎藤 正, 喜屋武 淳
    2016 年 65 巻 1 号 p. 109-113
    発行日: 2016/05/31
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
     近代医療を支え,患者の安全を左右する重要なツールとして医療用機器(以下ME機器)は欠かせないものとなっている。また臨床における機械化は増加の一途を辿っており,その種類も多種多様である。  一方,ME機器に関する保守・管理やデータ管理業務は片手間では処理できないほど増大してきている。特に日常点検・機器台帳管理・消耗品管理等は大変煩雑であり,多大な労力が必要である。それらを解決する一手段としてME機器管理システムを導入する施設は少なくない。  当院では礫川システムデザイン事務所製「Open Library ME」(以下旧システム)を導入し,院内のME機器の中央管理等を行なってきた。システム導入から7年が経過し,サーバの耐用年数が超過したこと。さらに将来的に電子カルテとの連携可能なシステムとして,2014年にMETS社製「Me-ARC」(以下Me-ARC)への切替を行なった。  Me-ARCは旧システムと比べ導入実績も少なく開発の歴史も浅い。標準仕様の完成度は低く,試用しながら作り上げるしかない。切替初期の仮運用期間中はカスタマイズを何度も繰り返し行なう事となった。予定より切替期間が長期化する結果となったが,使いやすいシステムへと改良する事ができた。また,新たなデバイスを用いた院内機器の点検も導入することができた。本稿では新しいシステムへ切替えた経験から知り得た反省や課題を記述する。
資料
  • 小長谷 好江, 村井 京子, 笠井 倫世, 岸山 眞理, 高羽 ゆかり, 豊永 真穂, 吉井 理恵子, 諸星 浩美, 玉内 登志雄
    2016 年 65 巻 1 号 p. 114-120
    発行日: 2016/05/31
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
     当院看護職の離職率は全国平均と比べ高い。看護師確保・離職率の低下を目指し,2012年度日本看護協会主催WLB(ワークライフバランス)推進の取り組みに参加した。当院ではスタディを加えWLSB(ワークライフスタディバランス)として取り組んだ2年間の活動を評価した。WLSB推進委員は①業務改善チーム,②PNS(パートナーシップ看護体制)チーム,③労務管理チームで活動に取り組み,各チームの進捗管理,インデックス調査・満足度調査を実施して不満層の変化を調査した。またリーダー格スタッフを対象に,「WLSB研修コース」を企画運営した。  2か月周期のPDCAサイクルをまわした結果,業務改善目標を達成でき,「ノー残業デイ」の実施率は0%から70~80%へ大幅に改善した。またバースデイ休暇・長期休暇の計画的取得,半日有給の導入で有給休暇取得率も向上した。「WLSB研修コース」の研修生からは,研修を通してやりがいや変革に取り組む面白さを実感できたとの意見もあった。PNSも導入できた。これらの成果は成功体験としてスタッフに認知され,変革に積極的に取り組む風土ができた事を示唆している。WLSB推進活動は,不満要因の減少と満足度の向上により,看護職にとって働きやすい職場環境の構築につながり,ひいては看護職定着の促進に寄与する可能性があると思われる。
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