日本農村医学会雑誌
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65 巻 , 5 号
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綜説
  • 瀬戸口 ひとみ, 糸嶺 一郎
    2017 年 65 巻 5 号 p. 917-923
    発行日: 2017/01/31
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル フリー
     統合失調症は,これまで入院中心の精神医療の中で保護されてきた。しかし,現在,地域生活への移行が進められている。統合失調症者が地域で生活していくためには,自己の体験を認識し症状をコントロールし,人間関係を構築していくなど自分自身の病いと折り合いをつけながら生活していくことが必要なのではないかと考えた。統合失調症者は病いとどのように「折り合い」をつけているのか,看護介入についての示唆を得ることを目的とし文献を概観した。医中誌,CiNii,最新看護索引Web,Medical Finder,Pub-Med, メディカルオンラインで検索を行ない,日本語論文38編,英論文2 編を抽出した。先行研究から,病いの体験・意味,スティグマの構造,折り合いを構成する要素が明らかになった。病いの体験・意味からは,その体験を乗り越える力をもった当事者の姿が,スティグマの構造では,疾患の持つイメージによって自己の病いを受け入れられず苦しむ当事者の姿が明らかになった。また,病いと折り合いをつけるには,病いを理解し,受容したうえで,周囲の人々と信頼関係を築き,社会的な存在として生活していくことが当事者にとって重要であることが明らかとなった。
原著
  • 田邊 翔太, 矢野 彰三
    2017 年 65 巻 5 号 p. 924-931
    発行日: 2017/01/31
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル フリー
     中山間地域の中核病院におけるHAD 発症率とその危険因子を検討することを目的に公立邑智病院総合診療科の新規入院患者について入院時と退院時のADL を比較し,HAD発症率を調査した。また,入院時の栄養状態,認知機能,血液検査,介護認定の有無,在院期間を調査し,HAD 発症との関連を統計学的に解析した。
     その結果,53例中8 例(15%)にHAD 発症を認めた。HAD 発症例は有意に高齢で,入院時のADL・栄養状態・認知機能が低く,血清アルブミンが低値であった。多重ロジスティック回帰分析から,栄養状態と認知機能がHAD 発症の独立した危険因子であることが示された。また,HAD 発症群は全例が介護認定を受けていた。
     公立邑智病院におけるHAD 発症率は15%で,諸外国の既報に比して低値であった。認知機能と栄養状態は,年齢や入院前のADL と独立してHAD 発症の危険因子と考えられた。
  • 船山 徹, 塚西 敏則
    2017 年 65 巻 5 号 p. 932-939
    発行日: 2017/01/31
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル フリー
     65歳以上の骨粗鬆症性椎体骨折患者43名に対し,初診時単純X 線動態撮影による椎体不安定性の定量評価に基づいて設定した3 つの治療法を考案した。すなわち椎体不安定性を立位と仰臥位における椎体圧潰率(%)の差と定義し,差が5 %までの症例は安静期間を設けずジュエット型硬性コルセット完成(約1 週間)とともに離床を許可,差が5 %~20%までの症例は2 週間の床上安静後に同コルセット下に離床を許可,差が20%以上の症例は2 週間の床上安静後同コルセット下に離床して疼痛が残存しリハビリテーションが進まない場合手術へ治療法を変更した。これらの治療開始3 か月後の疼痛および日常生活動作(ADL)および生活の質(QOL)の改善程度および骨癒合を評価したところ, 3 つの治療法すべてで概ね満足できる治療成績が得られた。本骨折は早期除痛とADL およびQOL の早期改善が治療目標であるが,実際には疼痛がごく軽度で歩行可能な症例から座位すら困難な症例まで様々であり,画一的な保存治療のみに固執するだけでは本骨折の最悪の転帰である遷延治癒や偽関節および遅発性麻痺の発生は予防できない。本研究の結果から椎体不安定性の定量評価に基づき,保存治療を優先しつつも手術まで考慮に入れて治療にあたることが望ましいと考えられた。特に椎体圧潰率の差が20%以上の症例では比較的早期の手術介入により遷延癒合や偽関節および遅発性麻痺となる症例をゼロに出来る可能性がある。
  • 雫田 研輔, 畑 幸彦, 石垣 範雄, 高橋 友明, 田島 泰裕, 三村 遼子, 前田 翔子
    2017 年 65 巻 5 号 p. 940-945
    発行日: 2017/01/31
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル フリー
     腱板断裂術後に肩関節可動域や腱板の修復状態は良好だが,肩すくめ動作が改善せず肩関節挙上が困難な症例をしばしば経験する。今回,肩すくめ動作が肩関節周囲筋の筋活動パターンに及ぼす影響を明らかにする目的で調査したので報告する。対象は肩関節に愁訴のない若年健常者50例50肩(男性27例,女性23例,平均年齢26.3歳)である。被験者を利き腕が上になるような側臥位にしてスリングで上肢を吊るし,特に指示を与えず自由に行なわせた前方挙上(N 群)と肩をすくめながら行なわせた前方挙上(S 群)の2 種類の運動を行なわせた。同時に,表面筋電計を用いて利き腕の三角筋前部線維,中部線維および後部線維,僧帽筋上部線維,中部線維および下部線維の活動量を測定し, 2 群間で比較検定した。僧帽筋において,S 群はN 群より上部線維の活動量は促進され,下部線維の筋活動量は抑制されていた。また三角筋においてS 群はN 群より前部線維と中部線維の活動量が抑制されていた。したがって,肩すくめ様の挙上パターンが挙上筋力の低下を引き起こすことが分かった。
  • 杉浦 康行, 澤田 和久, 奥平 正美, 稲富 里絵, 巽 則雄, 磯部 貴子, 岡村 武彦
    2017 年 65 巻 5 号 p. 946-955
    発行日: 2017/01/31
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル フリー
     手指衛生は感染対策の基本である。外来採血室においては,短時間で多くの患者に対応しなければならず,手指衛生に要する時間を十分確保できていない現状にある。そこで時間的制約がある中で,効率的な手指衛生を行なうことについて検討した。1 .危険+予知+トレーニング(Kiken Yochi Training : KYT)を用いた採血手順の作成。各工程を写真で切り取り,その写真の場面中に含まれる危険を予知する。普段は気づかなかった危険を認識し対策を立てることで問題点を提起する。2 .勉強会を開催し,解決方法を周知する。3 .手袋を外す場所と手指衛生を行なう場所を1 か所に集約し,手指衛生のタイミングを統一する。4 .手指衛生遵守の指標として速乾性手指消毒薬使用量を比較検証する。採血手順における清潔・不潔区域の認識および手順の統一化により,効率的な手指衛生の実践が可能となった。外来採血室の現場では時間的制約等から, 1 患者1 手袋および手指衛生の徹底は困難な場合も多い。適切な手指衛生のタイミングを統一することで,採血時間の延長を許容範囲内にとどめ,効果的な感染対策を実施することが可能となった。
  • 打田 武史, 祢津 宏昭, 原 敏浩, 堂坂 善弘
    2017 年 65 巻 5 号 p. 956-962
    発行日: 2017/01/31
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル フリー
     本邦では近年,難治性・再発性である好酸球性副鼻腔炎が増加傾向にある。この疾患では従来の副鼻腔炎に対して用いられるマクロライド療法はほぼ無効であり,ステロイドの投与や外科的治療を導入しないと改善は望めない。好酸球性副鼻腔炎を迅速に診断し治療方針を決定するために,我々は副鼻腔CT 画像をスコアリングする事で,好酸球の関与を予測する事を目的として本研究を行なった。対象は2011~2012年の2 年間に内視鏡下鼻副鼻腔手術を行なった105名(両側63名,片側42名)の計168側である。平均年齢は56歳であり病悩期間は平均43か月であった。術前診断で真菌性副鼻腔炎は9 名,好酸球性副鼻腔炎は14名であり,術後診断では真菌性副鼻腔炎は10名,好酸球性副鼻腔炎は14名であった。画像の数値化にはLund-Mackay のCT 画像スコアリングシステムを用いた。病態別のCT 画像スコアは慢性副鼻腔炎では5.8,真菌性副鼻腔炎は4.6,好酸球性副鼻腔炎は9.4であった。部位別では,上顎洞は真菌性副鼻腔炎で最も高い平均スコアとなり,篩骨洞と蝶形洞および前頭洞は好酸球性副鼻腔炎で高いスコアを示した。これらの結果から,好酸球性副鼻腔炎は他の病態と比べてCT 画像スコアが異なる傾向を示す事が明らかになった。そこで,手術で得られた検体を好酸球浸潤の程度で4 段階に分類したところ,好酸球浸潤が強い症例ほどCT 画像スコアが有意に高くなる傾向が認められた。この事から,CT 画像スコアリングによって副鼻腔病変を定量化することで,好酸球の関与を予測する事が可能と考えられた
研究報告
  • 白石 卓也
    2017 年 65 巻 5 号 p. 963-968
    発行日: 2017/01/31
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル フリー
     高齢者の望ましくない転帰を招くフレイルは,認知症と関連があると報告されている。高齢者のフレイルを評価することは,高齢者が認知症となっても住み慣れた地域で尊厳のある生活を送れるような支援体制づくりに役立つのではないかと考えた。しかし,本邦でフレイルと認知症との関連について検討した報告はほとんどない。そこで本研究では,フレイルと認知症,さらに認知症の精査希望との関連について検討した。平成27年11月から平成28年4 月の間に要介護認定申請した高齢者49名を対象に,認知症既往や認知症の精査希望があるかといったアンケート調査を実施し,フレイルを評価した。認知症既往のない高齢者をフレイル有無の2 群に分け,年齢,性別,改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)の点数,認知症疑いおよび認知症の精査希望について比較検討した。その結果,認知症既往のない高齢者は29名であり,フレイルあり群は13名で,フレイルなし群は16名であった。その2 群間の比較では,HDS-R の点数,認知症疑いおよび認知症の精査希望において有意差を認めた。本研究から,要介護認定申請時に認知症既往のない高齢者がフレイルであると,認知症の可能性は高く,認知症が疑われても精査を希望しないという結果が示された。高齢者のフレイルを評価することは,認知症やその精査希望の有無の指標となり,高齢者やその家族に対する認知症の支援体制づくりの一助となると考えられた。
  • 中川 裕, 牛久保 美津子
    2017 年 65 巻 5 号 p. 969-975
    発行日: 2017/01/31
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル フリー
     予定外入院した在宅ALS 患者が退院するまでの状況を明らかにし,退院支援課題を検討することを目的とした。200X 年10月からの3 年間に1 神経内科病棟に予定外入院した患者のうち,死亡退院を除く,自宅退院患者4 名と転院患者8 名を対象にした診療録調査を行った。自宅退院した全患者は,退院時ADL が入院前と変化がなかった。また予定外入院前から在宅療養支援体制が整備されていた。転院患者は,予定外入院後に全員がNPPV による初期治療を受け,入院から平均31日を要して治療方針や療養場所の意思決定を行い, 3 名がTPPV, 2 名が気管切開(人工呼吸療法なし)に移行し,その後転院していた。意思決定過程では,患者・家族の意見の相違が4 名のケースでみられ,意思統一に時間を要した。転院先決定のために病院に問い合わせをした件数は1 から6 件であった。平均在院日数は77日であった。退院支援課題として,①患者と家族の「病気の特性と病状悪化の変容」の状態を把握し,呼吸処置の意思決定支援を計画的かつ早期から行なう必要があり,そのためには呼吸不全に対する支援技術の向上と院内外支援者による連携が重要であること,②急性期治療後の医療機関から,患者がスムーズに自宅,療養型医療機関,施設へ移行できるよう,地域の医療介護支援体制の強化が示唆された。
  • 山野 佳子, 千坂 こずえ, 天野 早紀, 酒井 奈々子, 澤田 真妃, 野依 美穂, 松下 汐里, 渋谷 明, 山田 晴生
    2017 年 65 巻 5 号 p. 976-983
    発行日: 2017/01/31
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル フリー
     近年,保健指導の場では一定の成果が上がっており1),より質の高い保健指導実施のためのしくみをいかに構築できるかが課題となっている2)。保健指導機関はBMI や血圧などの検査値のみならず生活習慣などを分析し,保健指導の質の向上に努めることが大切で ある3)
     本研究は,健康診断と同時に食習慣検査を行なう事により,個人の食習慣把握と集団の特徴や重点課題などの指導要点を指導者間で共有し,事後指導会で活かすことを目的として実施した。
     研究対象集団は60~70代が中心で,健康診断では肥満と脂質異常判定者が多かった。食習慣検査では男女とも主菜摂取量が多かったが,特に男性には主菜と菓子摂取量が多かった。また主菜と菓子摂取の過剰者には肥満が多く,飽和脂肪酸エネルギー比率が高かったため,優先的に指導をした方が良いことが分かった。また,主菜や菓子が適量でも他の料理や嗜好品が適量ではなく,たんぱく質エネルギー比率低下の危険性もあることから,分析結果に頼らず個人的な生活を見ていく必要も感じた。今回の特徴がこの集団に特異的なものかを検証するため,他集団や他地域で同様の取り組みをする必要性を感じている。
  • 幡野 真妃, 都築 千恵子, 渋谷 明, 千坂 こずえ, 天野 早紀, 野依 美穂, 山野 佳子, 酒井 奈々子, 山田 晴生
    2017 年 65 巻 5 号 p. 984-993
    発行日: 2017/01/31
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル フリー
     運動機能の向上に筋力トレーニングが効果的であることが示されている一方で,開始後3 ~ 6 か月以内に運動をやめてしまう人が多いことも報告されている。そこで,当教室ではトレーニング(日本整形外科学会のロコモーショントレーニング及び独自に開発したロコモ予防のトレーニング,以下:ロコトレ)の定着を目指した。対象は2014年に開講した教室参加者30名である。教室は同窓会まで含めて全9 回であり,ロコトレの重要性と効果を多方面から繰り返し伝えるとともに,参加者には毎日ロコトレ実施記録を記入してもらった。また,ロコトレの効果を実感してもらうために毎回の教室では開眼片脚立ちのタイムを測定した。その結果,ロコトレを「週に2 ~ 3 日以上実施している人」の割合は終了時90%,同窓会で83%であった。「膝の痛みが和らいだ」「長靴を片足立ちで履けるようになった」などの身体の変化が現れ,教室前後に実施した体力測定では,TUG・30秒椅子立ち上がりテスト・開眼片脚立ちの3 種目で有意に改善がみられ,ロコモ度テストの結果,「ロコモになる可能性が高い」と判定された人数も減少した。以上のことから,講義による動機づけ・実施記録による意識づけ・開眼片脚立ちタイム測定によるロコトレ効果の実感というサイクルを設定したこことがロコトレの継続につながるとともに,ロコトレを継続することで運動機能の向上を図ることができたのではないかと考えられた。
  • 大坪 奈保
    2017 年 65 巻 5 号 p. 994-1005
    発行日: 2017/01/31
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル フリー
     臨床で働く看護職者の情動知能の実態と感情コントロールの難しい臨床場面を明らかにすることを目的とし,平成25年5 月,A 病院に勤務する看護職者991名を対象に,内山らによる日本版情動知能(以下EQS)を用いて情動知能を測定した。さらに,感情コントロールの難しい臨床場面を調べ,EQS との関連を調べた。その結果,年代による比較では,40・50代の看護職者の得点が「感情察知」「熱意」「自己決定」「目標追及」,「決断」「集団指導」「危機管理」「機転性」において,有意に高かった。また既婚看護職者,子供をもつ看護職者の得点が有意に高かった。
     感情コントロールの難しい臨床場面として159名(35%)が「スタッフ数や教育体制にともなう,過剰な業務を処理しなければならないとき」を挙げた。この場面を選択した看護職者は,EQS の「熱意」「自制心」,「悩みの共感」「配慮」「自発的援助」「人付き合い」「人材活用力」「協力」,「楽天主義」「危機管理」「適応性」において,得点が有意に低かった。
     結果から,職場労働環境やチームワークにおいての困難を感じていることが示唆された。看護基礎教育や臨床において,看護職者自身の感情のコントロールについて学ぶ機会はほとんど設けられていない現状がある。情動知能の身につけ方として,先輩ナースの言動などを見聞きすることや看護職者自身が臨床の場で感情コントロールを模索することで,身に付けていくことが推測される。
  • 雨宮 光太郎, 湯澤 宏式, 村田 志保
    2017 年 65 巻 5 号 p. 1006-1010
    発行日: 2017/01/31
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル フリー
     平成26年11月22日,22時8 分に長野県北安曇郡白馬村を震源とする神城断層地震(マグニチュード6.7,最大震度6 弱)が発生した(図1 )。震源地は北アルプス医療センターの診療圏にあり,精神科病床を有する総合病院である当センターが長野県からの委託を受け,災害派遣精神医療チーム(DPAT)1) に準じた活動を行った。
     本震より5 日後の11月27日に医師3 名,看護師3 名,臨床心理士1 名,精神科ソーシャルワーカー1 名,事務1 名からなる第1 回精神科医療チームを発足させ,家屋倒壊等の甚大な被害を被った白馬村・小谷村の避難所に派遣した。現地の行政機関・保健師らと協力し,不眠や急性ストレス障害などが疑われる被災者に対し精神科的ケアを継続的に行なってきた。
     死亡者0 名の局所災害における急性期から慢性期にかけての精神医療を包括して行なった事例として,活動内容を中心に報告する。
症例報告
看護研究報告
  • 尾留川 真理, 佐藤 千春, 小花 陽子, 加藤 由紀子, 木嶋 しげ子, 高成 恵美子
    2017 年 65 巻 5 号 p. 1030-1033
    発行日: 2017/01/31
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル フリー
     地域の中核病院である秋田県厚生連由利組合総合病院(以後当院)の2014年度の救急外来受診患者数は約14,000人,土日・祝祭日のウォークイン患者数は約7,800人である。待合室が混雑している状況で速やかに患者の状態を把握,評価し緊急度の高い患者を迅速に診察につなげる事を目的に,2014年4 月から土日・祝祭日のウォークイン患者を対象に院内トリアージを導入。さらに,2015年4 月からは,質の標準化に向けて緊急度判定支援システム(JTAS)を導入した。今後の課題を明確にするためトリアージを実施した7,454名のトリアージ用紙を分析,検証した結果,導入直後は実施率88%,用紙記載不備93件,アンダートリアージ13件,オーバートリアージ18件で症状や主訴のみで判断しフィジカルアセスメントを活用した緊急度判定が出来ていなかった。分析結果を一覧表でスタッフへ提示,アンダートリアージ症例を検証,毎月の学習会でフィードバックを行なった。導入から1 年後には実施率95%へ上昇,用紙記載不備は12件と減少,アンダートリアージ9 件,オーバートリアージ21件であった。バイタルサインや受傷機転など患者の全体像から緊急度判定できている症例が増加し,JTAS 活用による標準化された緊急度判定が定着した。JTAS の活用は緊急度判定の標準化につながり,アンダートリアージ症例の検証,継続的な学習会はトリアージの質の向上と,トリアージナースのスキルアップにつながった。
  • 渡邊 智香, 佐藤 麻由
    2017 年 65 巻 5 号 p. 1034-1038
    発行日: 2017/01/31
    公開日: 2017/03/18
    ジャーナル フリー
     NICU では夜間の処置時は処置灯を使用する為,急激な照度変化がある。そこでA 病院の処置灯での低照度から高照度への照度変化による早産低出生体重児への影響について30名を対象に処置灯の光を照射前の児の状態と10秒間光を照射後の児の状態をストレスサイン評価表を使用して比較した。
     SpOは,下降率が0.6%あり,有意差があった。また,高照度の時に,多呼吸や短い呼吸休止があり58%の児にSpOの下降があった。本研究では,自律神経系のストレスサインは,無呼吸,多呼吸,しゃっくり,驚愕,ぴくつき,あくび,ため息。運動系のストレスサインは,上下肢伸展,握り拳,手を開く。状態系のストレスサインは,声を出す,しかめ面,開眼(睡眠と覚醒状態の急激な変化)があった。高照度にすることでストレスサインが出現し,一時的に呼吸数を抑制して吸気時間が短くなり,呼吸時間全体も短くなることで呼吸数が多くなり,58%の児のSpO下降がみられた。また,照度変化は自律神経系だけではなく全てのストレスサインに影響していると考えられた。
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