日本農村医学会雑誌
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66 巻 , 2 号
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原著
  • 市之川 正臣, 大野 耕一, 村川 力彦, 丹羽 弘貴, 山本 博之, 和田 秀之, 武藤 潤, 加藤 航平, 吉岡 達也, 松本 譲, 大 ...
    2017 年 66 巻 2 号 p. 103-108
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2017/08/18
    ジャーナル フリー
     腹腔鏡下肝部分切除術の安全な導入にあたり手術手技の定型化は大切であるが,技量に見合った適切な症例選択も重要である。腹腔鏡下肝部分切除術における症例選択の指標を検索することを目的に,当院導入後の2010年4 月から2016年5 月までに施行した腹腔鏡下肝部分切除術連続60例を用い,手術時間,出血量,術後合併症,術後入院期間を含む周術期短期成績について統計学的解析を行なった。前期30例と後期30例で比較すると,後期群で手術時間が有意に短かった(253分vs 182.5分,p=0.023)。左葉系16例(S2,S3,S4)と右葉系44例(S1を含むS2 ~ 4 以外)の2 群で比較すると,左葉系で手術時間が有意に短かった(148.5分vs 246分,p=0.004)。腫瘍径2.5cm 未満27例と2.5cm 以上33例で比較すると2.5cm 未満で有意に出血量が少なく( 0 ml vs 50ml,p=0.028),手術時間が有意に短かった(185分vs 250分,p=0.048)。部分切除個数1 個群51例と複数群9 例で比較すると,複数群で手術時間が長い傾向にあった(207分vs 260分,p=0.085)。BMI(25未満vs 25以上),病理組織(肝細胞癌vs それ以外),肝炎ウイルスの有無では周術期短期成績に有意差を認めなかった。腹腔鏡下肝部分切除術導入時には左葉に位置する腫瘍径2.5cm未満の症例を選択し経験を積むことが適切であると考えられた。
  • 三浦 崇則, 三井 千鶴, 大嶽 典子, 山田 賢一, 橋 彩香, 大場 光華, 豊嶋 英明, 浦田 士郎
    2017 年 66 巻 2 号 p. 109-117
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2017/08/18
    ジャーナル フリー
     当院の臨床研究者の不足は深刻であり,臨床研究を実施できる医療人の育成は職員教育の重要課題である。臨床研究基盤整備を目的とした臨床研究者養成のための教育が始められつつあるが,臨床研究の中心的役割を担うべき職員の臨床研究実施への関心度およびその教育へのニーズはこれまで明らかにされていない。  そこで本研究では,臨床研究の実施およびその教育に対する病院職員の関心度を調査することを目的とし,院内における横断的アンケート調査を行なった。当院の研修会に参加した職員894人に質問調査票を配布し718名(回答割合80.3%)より回答を得た。回答者のうち臨床研究経験者は24.9%,臨床研究およびデータ分析実施に関心を持つ職員は51.0%,教育の受講希望者は51.0%であった。特に,薬剤師,医師,管理栄養士,放射線技師およびリハビリ技師の関心が高かった。さらに,臨床研究およびデータ分析実施に関心のある職員は,30歳代および40歳代に多く認められ,ある程度臨床経験を得た後,職員としての仕事を中断することなく実施できる臨床研究環境が望まれていた。他方で,受講したい教育に関しては,統計処理方法が最も高く,ついで論文の書き方,統計ソフト使用方法,データ解釈方法,研究デザイン方法および研究題材の見つけ方などが挙げられた。  当院における研究に関する教育は臨床研究教育を軸に,データ分析を行なう職員にも教育プログラムが柔軟に提供される教育システムが病院職員にとって望ましいと考える。
  • 三井 千鶴, 三浦 崇則, 大嶽 典子, 山田 賢一, 橋 彩香, 大場 光華, 豊嶋 英明, 浦田 士郎
    2017 年 66 巻 2 号 p. 118-127
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2017/08/18
    ジャーナル フリー
    我々は職員の組織アイデンティティの涵養に関連する要因を明らかにするためにこの研究を計画した。  2012年11月から2013年9 月まで職員(n=894)にアンケート調査を実施した。アンケートでは職種,年齢,性別,既婚か未婚か,子どもの有無,過去1 年間に講演会や研修会への出席経験,データ分析や臨床研究の実施経験について質問した。アンケートの回収率は80.3%であった。  単変量分析の結果として,職種,年齢,性別,既婚か未婚か,子どもの有無,過去1年間に講演会や研修会への出席経験,データ分析や臨床研究の実施経験が職員の組織アイデンティティの涵養に影響していた。さらに,職員の組織アイデンティティの涵養に関連する要因は,多変量ロジスティック回帰分析を用いて検索された。特に職種,過去1 年間に講演会や研修会への出席,データ分析や臨床研究の経験が有意に関連していた。  結論として,本研究は医療人としてのプロ意識が職員の組織アイデンティティの涵養に影響するかもしれないことを示すものである。
  • 井上 智代, 渡辺 修一郎, 田辺 生子
    2017 年 66 巻 2 号 p. 128-140
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2017/08/18
    ジャーナル フリー
     筆者らはこれまで農村のソーシャル・キャピタル(以下SC)について質的に分析を試み,農村におけるSC を「自然との共生」「農村ならではの信頼関係の維持」「農村の社会規範を重んじる」「農村であることを活かした社会参加とネットワーク」の4 つの概念にまとめた。本研究ではその概念を活かし,人々の健康に資する農村部SC 指標の開発を行なった。A 村に2016年6 月現在在住の20歳以上の住民7,114人に対し,郵送にて調査票を配布した。回答が得られた1,327人のうち,無記入4 人を除外し,有効回答1,323人とした。4 概念16項目の農村SC 指標を作成し,妥当性・信頼性を検証した。モデルの適合度,他の尺度との比較による併存的妥当性が支持されたほか,健康度自己評価,睡眠状態,高齢者の生活機能,外出頻度,GDS 5 との関連性が認められ,基準関連妥当性が支持された。また信頼性については,各概念および全体のCronbach のαも0.80を超える数値を示した。作成された農村SC 指標は健康的な地域づくりの一助になると考えられ,今後,農村SC 指標の一般化へ向けて,他の農村地域においても調査を行ない,研究成果を積み重ねていく必要があると考える。
研究報告
  • 緒方 久美子, 木下 幸代, 押川 麻美, 西尾 美登里
    2017 年 66 巻 2 号 p. 141-152
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2017/08/18
    ジャーナル フリー
     冠動脈バイパス術後1 年以内の通院患者におけるセルフケアとセルフモニタリングの実態および関連要因を明らかにし,看護師が行なう入院中の教育的支援に必要な要素を検討した。対象者に対し郵送法による無記名の自記式質問紙調査を実施し,各調査項目の単純集計および項目間のクロス集計を行なった。  対象者52名に郵送し,36名から回答を得た(回収率69.2%)。セルフモニタリングの実施率は,体重測定75.0%,血圧測定55.6%,自己検脈47.2%,歩数測定19.4%,食事内容の記録2.8%であった。実施しない理由として,測定用具を持っていない,必要性を感じない,記録することが大変・面倒である,の3 点が主要なものであった。セルフケア実施率上位3 項目は,“階段の昇降は自分のペースで行なう”,“食事で野菜をとる”,“時間に余裕を持って行動する”であった。  以上より,冠動脈バイパス手術後の患者に対し,入院中に看護師が行なう教育的支援に必要な要素として,体重や血圧,自己検脈の測定の頻度やタイミングなどの条件を明確に設定することや,自ら測定や記録を行なうことにより運動や食事のセルフケアの効果を実感し,継続できるよう支援することが重要と考える。
症例報告
  • 阿久津 裕子, 東 裕哉, 永吉 有香子, 杉江 学, 近藤 乾, 今村 公俊
    2017 年 66 巻 2 号 p. 153-158
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2017/08/18
    ジャーナル フリー
    偽性Bartter 症候群は低K 血症と代謝性アルカローシスを呈し,Bartter 症候群との鑑別が重要な疾患である。今回,摂食障害による偽性Bartter 症候群母体から出生し,著明な低K 血症,代謝性アルカローシスを認めた新生児症例を経験した。症例は女児。在胎41週で経腟分娩にて出生,一過性呼吸障害にて血液ガス検査を施行した際に低K 血症が認められた。その後も低K 血症の改善なく,日齢3 当院搬送時はK 2.6mEq/L,pH 7.56,HCO3‒ 36.3mmol/L,BE 12.8mmol/L と代謝性アルカローシスもあり,心電図にて洞性徐脈,胸部誘導でST 低下とT 派平坦化,U波の出現を認めた。日齢5 よりK 製剤の経腸投与を開始,血清K 値は速やかに改善し日齢7 には投与を中止した。それに伴い心電図変化も消退,日齢相当の心電図所見となった。後に,母が摂食障害にて頻回嘔吐しており血清K 2 mEq/L 台で推移していたことが判明した。母体の偽性Bartter 症候群による新生児偽性Bartter 症候群を発症し,高度の電解質異常・心電図変化まで呈した1 例と考えられた。
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