日本農村医学会雑誌
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66 巻 , 5 号
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原著
  • 矢口 豊久, 西藤 唯里, 奥村 光代, 堀田 郁浩, 鈴木 聡
    2018 年 66 巻 5 号 p. 541-547
    発行日: 2018/01/31
    公開日: 2018/03/13
    ジャーナル フリー
     今回我々はクラウド上のオンラインストレージに置いたファイルのURLリンクをQRコード®化し,教育現場において配布資料をペーパーレス化する試みを行なった。受講者がスマートデバイス(スマートフォンなど)でQRコード®を読みとり,配布資料を電子媒体で受け取るしくみを構築した。受講者側に事前に十分な説明をし,準備をすると,受講者は円滑に電子媒体で資料を受け取ることが可能となった。この方法は簡便・安価で有用な情報共有手段となることがわかった。
  • 吉村 隆, 北山 秋雄
    2018 年 66 巻 5 号 p. 548-561
    発行日: 2018/01/31
    公開日: 2018/03/13
    ジャーナル フリー
     近年,様々な分野で注目されているソーシャル・キャピタルの概念に注目し,地域特性に配慮した質問紙を用いて量的な調査を行なうことで,中山間地域のソーシャル・キャピタルを探究した。質問紙の項目は,個人の属性10項目,ソーシャル・キャピタルに関連する36項目から構成されている。この質問紙を中山間地域と都市部に居住する40歳以上の男女682名(中山間地域342名,都市部340名)に配布し,記入漏れや記入ミスがない427名が分析の対象となった。分析の結果,ソーシャル・キャピタルに関連する36項目のうち,29項目で中山間地域が有意に高い値を示した。また,因子分析の結果,先行研究で示された因子構造は再現されず,都市部では「近所関係の質」「地域への愛着」「信頼感」「自然との共生」の4因子が抽出された。中山間地域においては,顔の見える親密な人間関係があることが地縁活動への参加を促していると推測され,その背景には自然との相互作用によって形成された中山間地域特有の生活様式があると考えられた。また,中山間地域のソーシャル・キャピタルが,親密性が高い性質を持っているという本研究結果は先行研究を支持するものであった。中山間地域においては,自然環境要因がソーシャル・キャピタルに関連している可能性があると推測された。
  • 五十嵐 信一
    2018 年 66 巻 5 号 p. 562-566
    発行日: 2018/01/31
    公開日: 2018/03/13
    ジャーナル フリー
     就労女性の環境が大きく変化する中,それに対応した健康管理が求められる。本稿では,婦人科検診を通じ,年代,業種差を含め女性就労者の健康管理上の課題を後方視的に検討した。  月経随伴症状については,月経不順を訴える例が30歳代の教育職と医療職で多く,また月経痛を訴える例が40歳代の医療職で多かった。更年期障害を訴える例は製造職と事務職で多かった。子宮内膜の厚さは,医療職,製造職,事務職で異常が多かった。  これらの異常頻度には業種差が見られ,独特の業務環境やストレスが関与していると考えられた。女性就労者については,性差に加え,年代による疾患感受性,業務環境など,産業医学的観点からのきめ細やかな配慮が必要と思われた。
研究報告
  • 柴田 滋子, 冨田 幸江, 髙山 裕子
    2018 年 66 巻 5 号 p. 567-572
    発行日: 2018/01/31
    公開日: 2018/03/13
    ジャーナル フリー
     本研究では,訪問看護の業務特性からみた訪問看護師が抱く困難感を明らかにすることで,その予防法や対策を検討することを目的とした。  訪問看護師13名を対象にインタビュー調査を行ない,インタビュー内容から困難感を抽出し,質的分析を行なった。その結果122の文脈から,19のサブカテゴリーと7つのカテゴリーに分類された。訪問看護師が抱く困難感として,単独訪問に関連する【単独訪問からくる困難さ】,【訪問看護の知識・技術不足からくる不安や困難さ】,職場環境と考えられる【職場の勤務体制からくる困難さ】,【医師との連携への困難さ】,【職場の人間関係からくる困難感】,また,個人の年齢や身体状況等により変化すると考えられる【身体的負担が大きいことの困難さ】と【家庭との両立の困難さ】が抽出された。このことから訪問看護師が抱く困難感への対策は,訪問看護の業務特性と職場環境,ワークライフバランスの視点から検討していく必要があると考えられる。
  • 霞 聡子, 色川 正憲, 眞家 洋子, 井坂 敦子, 堀越 建一
    2018 年 66 巻 5 号 p. 573-579
    発行日: 2018/01/31
    公開日: 2018/03/13
    ジャーナル フリー
     当院では近年薬剤部の業務拡大に伴い新任薬剤師の数が増えており,新人教育プログラムを確立し全ての新人に統一した指導を行なうことが必要となっている。そこで当院薬剤部では平成25年度から,新人研修における習得項目を列挙し,新人が達成した際にチェックする,新人研修評価表(以下:評価表)を使用している。また平成26年度からは,新人が業務の感想・質問等を記載し,指導者がコメントを記載する新採用職員連絡票(以下:連絡票)が導入された。今回,評価表と連絡票が有効に活用できているのか確認するため,両者を元に研修を行なった新人薬剤師及び指導担当薬剤師に記載内容や運用面に関するアンケートから評価を行なった。評価表に関して,新人・指導者共に,項目に理解度を記載し指導者に提示した方がよいとの意見が多く,理解度を把握し不十分な点を補完することで理解の徹底に繋がると考える。また薬学的知識を追加した方がよいとの回答が指導者に多く見られた。連絡票に関して,新人は記載することにより業務の振り返りとして有効であるとしており,効果が確認できた。指導者は新人の理解度の把握を重要視していた。連絡票と評価表とを関連付けて運用することにより,新人の理解度の把握は可能と考えられる。今回のアンケート結果から,記載内容や提出方法・提出間隔などの見直しをする必要はあるものの,連絡票・評価表ともに一定の効果を得られていることが確認された。
症例報告
  • 豊田 和典, 板垣 昭宏, 矢上 健二, 鈴木 康司
    2018 年 66 巻 5 号 p. 580-584
    発行日: 2018/01/31
    公開日: 2018/03/13
    ジャーナル フリー
     人工膝関節全置換術後,下腿前外側部痛が残存し,歩行機能改善に難渋した症例を経験した。本症例の下腿前外側部痛は,距骨下関節回内可動域制限などの関節機能低下およびそれに伴うLateral Thrust(荷重時に膝関節が外側方向へ動揺する現象),変形性膝関節症例のノーヒールオフ傾向になる歩容の特徴が相まって生じたと考えられた。理学療法と足底挿板療法により関節可動域の改善・外側荷重の是正を行なった結果,短期間で下腿前外側部痛は消失し,長距離歩行,草むしりや農作業などが可能となった。人工膝関節置換術後,各関節機能やマルアライメントによって下腿前外側部痛が出現する可能性があることを理解し,評価・理学療法を実施していく必要がある。
  • 佐本 征弘, 江口 賢, 長尾 一公, 内山 浩一, 馬場 良和
    2018 年 66 巻 5 号 p. 585-588
    発行日: 2018/01/31
    公開日: 2018/03/13
    ジャーナル フリー
     症例は18歳女性。幼児期より尿失禁と陰部のかぶれを認めていたが,放置していた。インターネットで尿失禁の原因を検索し,尿管異所開口による尿失禁と症状が類似していたため,精査目的で受診した。画像診断で左低形成腎,尿管異所開口を認めた。左尿管は膣内に開口していた。後腹膜鏡下左腎摘出術を施行し,尿失禁は治癒した。
看護研究報告
  • 有末 裕子, 里中 きよか, 小島 奈保, 野田 朱美, 松島 由実
    2018 年 66 巻 5 号 p. 589-594
    発行日: 2018/01/31
    公開日: 2018/03/13
    ジャーナル フリー
     「家族という共同体に囲まれ看取られて死ぬのが多くの日本人の理想だ」といわれているなか,平成26年度,A訪問看護ステーションにおいて自宅で看取りを迎えた療養者は全死亡者の40%であり,終末期は施設・医療機関を選ぶ家族が多くを占めた。そこで,終末期・看取り期を迎える場所に対するキーパーソンの思いを明らかにし,訪問看護の役割について考えることを目的に,キーパーソン40名に対し聞き取り調査を行なった。結果,現在の介護状況について,『負担に感じながら介護をしている』が50%以上と最も多かった。終末期や看取り期は『自宅以外を考えている』が70%であった。理由については,『介護できる者がいない』,『漠然とした不安を抱えている』が多くを占めた。療養者とキーパーソンとの意思との相違については,『同じだと思う』が約50%,『わからない』が25%であった。  キーパーソンは介護を負担に感じていることが多く,訪問看護師は,看護ケアを実践するとともに,精神的な支えになることが大切である。漠然とした不安に対しては,不安を明らかにし,介護や看取りの経験を伝え,具体的に指導することで解決につながるのではないかと考える。また,療養者が最期を迎える場所の選択について,療養者とキーパーソンが思いを伝え合うことや,ケア提供者がその情報を共有することが重要であり,その機会がもてるように働きかけていくことが,訪問看護師の役割であることがわかった。
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