日本農村医学会雑誌
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67 巻 , 5 号
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研究報告
  • 関口 剛, 佐藤 美智子, 土屋 匡, 小野沢 陽*, 若林 徳則, 青木 恵利花, 臼井 健二
    2019 年 67 巻 5 号 p. 563-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/23
    ジャーナル フリー
     2015年度の介護報酬改定では,訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)利用者に対するリハビリテーション会議(以下,リハ会議)の開催が導入された。当施設においても,介護報酬改定と同時にリハ会議を導入し,利用者支援を充実させてきた。今回,当施設におけるリハ会議の実施状況や利用者の変化について把握することを目的に調査した。調査項目は,利用者の基本属性,リハ会議の検討内容,職種別リハ会議の参加状況,障害高齢者の日常生活自立度を調査した。リハ会議の検討内容は,国際生活機能分類(International Classification of Functioning,Disability and Health:以下ICF)を用いて分類した。結果は,要介護者108名中,85名(男性34名,女性51名,平均年齢81.4±9.4歳,平均利用期間16.3か月)がリハ会議を実施していた。リハ会議の検討内容は,活動や,環境因子に関する検討が多く,半数以上の者が複数回会議を実施していた。活動や環境因子についての検討が多かったことから,訪問リハにおけるリハ会議は在宅で生活するにあたり,ADL,IADLを拡大するための手段の1つとして有効であることが言える。リハ会議の利点として,利用者側おいては,現状や目標が明確になり,生活範囲の拡大や,介護負担の軽減図られ,リハの効果が見えやすくなることが挙げられる。サービス提供者側としては,他職種との連携がとりやすくなることで,検討内容に即してすぐに生活場面へ対応することができ,利用者支援がさらに充実することが挙げられる。
  • 青山 真之, 永田 治, 清須 美樹, 古井 清, 河合 浩樹, 野村 賢一
    2019 年 67 巻 5 号 p. 571-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/23
    ジャーナル フリー
     抗菌薬使用制限は,カルバペネム系抗菌薬(以下,CP系抗菌薬)の使用量を減少させ,耐性菌検出率の低下につながったとの報告がある。当院では2014年6月より特定抗菌薬の届出制を開始した。今回,届出制導入前後における注射広域抗菌薬使用率の推移及び緑膿菌感受性率(届出前/後)について比較検討した。対象は届出制導入前後(前:2012年1月~2014年5月,後:2014年6月~2016年12月)の検体301件(前,後:143,158)とし,100患者入院日数あたりの抗菌薬使用密度(以下,AUD)及び緑膿菌感受性率を調査した。結果を実施前後(前:2012年,後:2016年)で比較するとAUDはIPM/CS(0.26→0.1),MEPM(0.46→0.19),CAZ(0.52→0.16),CZOP(0.17→0.09)で低下し,TAZ/PIPC(0.67→1.16)は上昇した。緑膿菌感受性率(届出前→後)はIPM/CS(0.8→0.87),PIPC(0.89→0.92),CAZ(0.87→0.93),CZOP(0.8→0.94)で回復傾向であった。抗菌薬届出制はCP系抗菌薬の使用量を減少させ,緑膿菌に対する感受性率の回復に影響を与える要因であった。
  • 中田 久恵, 仲根 よし子, 大槻 優子
    2019 年 67 巻 5 号 p. 577-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/23
    ジャーナル フリー
     本報告は,農村過疎地域における在宅介護の実態として,介護サービスの満足に関する要因を,介護者の男女差の視点から明らかにすることを目的とする。調査は,在宅で65歳以上の方を介護した経験がある方を対象に,無記名式質問紙を用い行なった。調査内容は,対象者の属性,介護サービスに関する内容(介護保険制度,使用している介護サービスの種類,要介護度),介護サービスの満足度と満足に関する記述内容である。介護サービスの満足度の有効回答数は130名で,女性78名,男性52名であった。介護経験者の年齢は,60歳以上が71.6%であった。介護サービスの満足度の結果は,介護者の52.3%が利用した介護サービスに満足していた。性別と満足度の関連性はみられなかったが,満足に関する自由記述内容を質的に分析した結果,女性介護者は【介護からの一時的な解放】【サービス提供者間の連携】【サービス資源の充実】,男性介護者は【政策への不満】【経済的負担】のカテゴリーが抽出された。また,女性介護者,男性介護者の共通のカテゴリーとして,【状況・状態にあったサービスの提供】【心遣いのある対応】【介護者(家族)の安心感】【ケアマネジャーの力量】の4つのカテゴリーが抽出された。介護サービス提供に関わる専門職者は,介護サービスの提供において性差の特徴を踏まえた支援が重要であることが示唆された。
症例報告
  • 有松 朋之, 宮本 佳奈, 小川 晋一, 伊藤 孝美
    2019 年 67 巻 5 号 p. 585-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/23
    ジャーナル フリー
     症例は76歳女性。X年1月初めから断続的に発熱あり。徐々に食欲が低下してきたため,2月末に入院。身体所見上,局所感染徴候はなし。血液検査ではWBC 4,940/μl,Hb 7.9g/dl,Plt 10.4万/μl。他,LDH 315U/l,CRP 12.43mg/dl,可溶性IL-2R 10,200U/ml。画像上,軽度の肝脾腫を認めたため血液疾患を疑われ骨髄検査を施行。しかし,病理結果は異型リンパ球散見のみで,当初は造血器腫瘍の確定診断は得られず。その後も発熱は持続し,全身状態も急速に悪化。3月末の腹部CTで脾腫がさらに増大していたため,凍結保存していた骨髄細胞で遺伝子検査を行なったところ,MYD88遺伝子の変異を検出。これを契機に最終的に血管内大細胞型B細胞リンパ腫と診断を確定し得た。本症例は診断が困難だったが,マクログロブリン血症と一部のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫で検出されるMYD88遺伝子変異が診断に至る手がかりとなった。診断が難しいリンパ腫等では遺伝子検査が有用なものと考えられたため報告する。
  • 森谷 友博, 新村 卓也, 川上 直樹, 若井 陽子, 齊藤 和人
    2019 年 67 巻 5 号 p. 591-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/23
    ジャーナル フリー
     肺クリプトコッカス症は胸部X線写真上,孤立性あるいは多発性結節陰影を示すことが多く,巨大腫瘤影を呈する症例は稀である。今回,巨大腫瘤影を呈した症例を経験したので報告する。生来健康な45歳男性で,発熱,咳嗽を主訴に当院を受診した。造影computed tomography(CT)で右肺下葉に長径64mm大の腫瘤影を認めたため当初,肺化膿症を疑い抗生剤を投与したが不応であった。悪性腫瘍の可能性を考えて経気管支肺生検を行なったところCryptococcus neoformansを検出した。髄膜炎の合併はなく,後天性免疫不全症候群(AIDS)を含め免疫不全は否定された。抗真菌薬治療が有効で陰影が縮小した。巨大腫瘤影をみた場合,肺クリプトコッカス症を鑑別疾患として考慮すべきである。
  • 石井 孝規, 程 璐霏, 山田 慧, 岡崎 実
    2019 年 67 巻 5 号 p. 596-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/23
    ジャーナル フリー
     好中球減少と繰り返す感染症の罹患歴,家族歴などから周期性好中球減少症を疑い,遺伝子検査で確定診断が得られた3歳男児の症例を報告する。生後8か月頃から頻繁に発熱を繰り返し,1歳1か月時に急性中耳炎で入院した際に好中球減少を指摘されていたが精査されていなかった。3歳4か月時に,好中球減少を伴う感染症のエピソードから,6週間にわたって血液検査を行ない好中球数の周期的な増減を確認した。両親の同意を得てELANE遺伝子解析を行ない,ミスセンス変異を同定した。その後,家族歴から父親と父方祖母のELANE遺伝子解析を実施したところ同様の変異を認め,3世代でELANE遺伝子変異が同定された。頻繁に感染症を繰り返したことから,3歳10か月時からST合剤の定期予防内服を開始したところ,感染症の頻度は減少した。4歳11か月の時点で,約3週間周期の好中球減少は続いているものの,入院を要するような重症感染は来していない。
看護研究報告
  • 小林 綾子, 山田 正実, 武田 織枝, 飯田 智恵, 坂田 智佳子, 松倉 久枝
    2019 年 67 巻 5 号 p. 603-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/23
    ジャーナル フリー
     本研究は,家庭での調理担当者を対象に,減塩食の継続を目的とした講義・調理実習・グループ討議を取り入れた健康教室を実施し,健康教室の効果を参加者が語った内容から明らかにすることを目的に行なった。研究方法は,健康教室全3回を3か月間で実施し,研究協力に同意を得た9名に健康教室開始から5~6か月後に半構造的にインタビューを行なった。分析は,参加者が語った内容から減塩食について健康教室後から開始し実践継続していることと,減塩食を継続している理由を抽出し,類似する意味内容でカテゴリー化することで行なった。
     結果,減塩食について健康教室後から開始し実践・継続していることは,<薄味でもおいしい調理の工夫><塩分量を確認する><塩分量の多いものは量を考えて控える><減塩調理はとにかく続けている>であった。減塩食を継続している理由は<健康でいたいから><減塩の調理方法,食べ方がわかったから><塩分量を知る方法がわかったから><減塩調理は難しくないことがわかったから><薄味でもおいしいから><減塩の成果を実感できたから>であった。参加者が健康教室で減塩調理は難しくないことや塩分濃度などの数値で塩分量を知る方法を学んだことは,家庭で減塩食を実践・継続するために効果的であった。また,参加者が減塩でも塩分を感じられるようになるまでの期間,減塩食に関する継続的な支援が重要であると示唆された。
  • 橋本 裕明, 日下部 亜希子, 東原 恵利, 伊藤 恵美
    2019 年 67 巻 5 号 p. 610-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/23
    ジャーナル フリー
     運動器の疾患や障害をもつ患者は,自己で車椅子のフットプレートを操作することが困難であり,フットプレートの操作を看護師が介助をしている。フットプレートを操作する際,看護師は腰を屈めての操作や,トイレ介助時は作業空間が十分に確保できない状況での介助をしいられるため,操作には看護師の身体的負担がある。そのため半自動開閉式ラチェット機構フットプレート(以下半自動開閉式フットレスト)の導入について検討し,安全性と利便性について検証した。その結果,患者やスタッフからは半自動開閉式フットレストに対して有用であるという意見が得られた。またインシデントの発生もなく,半自動開閉式フットレストには優れた利点があることが分かった。
  • 石田 伸也, 片田 仁美, 宮原 忍, 長谷川 しとみ
    2019 年 67 巻 5 号 p. 614-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/23
    ジャーナル フリー
     日本看護協会が「労働と看護の質向上のためのデータベース(DiNQL)事業」(以下,DiNQLと称す)を開始して,5年が経過する。当院は,2013年より参加しておりDiNQLデータ入力から分析サポートを行なうため,2015年よりDiNQL推進委員会を発足した。今回は,DiNQL推進委員会活動内容の報告と活動の成果を評価した。  DiNQL推進委員会活動は,①委員が担当フロアを受け持つ。②データ収集時間の短縮を目指し入力方法を明確にする。③DiNQLデータ入力から分析のサポートをする。④分析活用のための研修会の開催を行なう。以上の4つを中心に活動してきた。この委員会活動の評価を行なうため,病棟看護管理者(課長・係長)43名へ自記式質問紙を用いてアンケート調査を実施した。この結果より,DiNQLデータ入力時間が短縮できたと回答したのは課長・係長とも90%以上であった。部署年間目標にDiNQLデータを活用できたと回答したのは課長64%・係長79%であった。DiNQLデータが看護マネジメントに役立っていると回答したのは課長71%・係長50%であった。以上の結果よりDiNQL推進委員会を立ち上げ活動したことによって看護マネジメント支援につながったことが確認された。
  • 伊藤 良剛, 森 章浩, 横山 栄作, 寺澤 実
    2019 年 67 巻 5 号 p. 620-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/23
    ジャーナル フリー
     MRI室における金属類の吸着・持ち込み事故は,全国で多発している。日本医療機能評価機構からMRI検査室への磁性体持ち込みについて,医療安全情報が出されており,いかに重要な案件かが窺える。当院でも,2012年4月から2016年3月の間にMRI室における金属類の吸着・持ち込み事故が4件あった。その中でも看護師によるハサミのMRI吸着事故を重大なインシデントと捉えて,新たな防止対策として,イメージカラーの選定,専用ユニフォームの採用,イメージカラーと同色のテープ等を用いてMRI専用物品の区別化を行ない,事故防止に効果を認めたので報告する。
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