本研究の目的は,行政保健師の職務満足感測定尺度を開発し,信頼性と妥当性を検討することである。
行政保健師への半構造的面接から得られたデータと文献検討および内容妥当性の検討により74項目の尺度案を作成した。行政保健師1,030人を対象に質問紙調査を実施し,尺度の信頼性・妥当性を検討した。
有効回答の得られた422人(41.0%)を分析対象とした。項目分析の後,主因子法,プロマックス回転による探索的因子分析の結果,3因子18項目が抽出され,下位因子は【保健師の職務内容と責務】【上司の理解と成長を促す環境】【住民への思いと信頼】と命名された。また,検証的因子分析を実施した結果,探索的因子分析で得られた仮説モデルの適合度が確認された。
尺度の信頼性はCronbach's α係数0.907(下位尺度0.847~0.900)で確認された。再テスト法による級内相関係数はr=.847(下位尺度r=.727~.830)であり安定性が確保された。基準関連妥当性は,尺度案と全般的職務満足感尺度(r=.642,p<.001),自尊感情(r=.452,p<.001),自己効力感(r=.441,p<.001),対人支援能力(r=.452,p<.001),地域支援及び管理能力(r=.532,p<.001)各尺度と正の相関により確認された。
以上から,信頼性・妥当性のある3因子18項目からなる行政保健師の職務満足感測定尺度が開発された。今後,多様化する行政保健師の人材育成に職務満足感の側面から寄与することができる内容であり,人材育成の一環として使用することが可能であると考える。
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