進行性筋ジストロフィー症デュシャンヌ型に合併する側彎の放置例について研究を行ないいささかの知見をえたので報告する.患児43名の全脊椎を坐位にてレ線撮影し,Cobb法で側彎の角度を計測した.各年齢におけるCobb角は12歳で平均25度,15歳で56度,18歳で70度となり年齢と共に大きくなっている.しかし19歳で35度,20歳以上では22度となり,19歳以上生存している患児のCobb角は小さいことがわかった.次に脊柱を側面から見たカーブにより前彎,垂直,後彎に分類しその割合を年齢ごとにみるとそれぞれ8歳から13歳で2例,11例,3例,14歳から18歳で2例,6例,7例,19歳以上では7例,3例,0例となり18歳までは後彎,垂直,19歳以上の生存患児には前彎が多いことがわかった.また前彎,垂直,後彎の場合の平均Cobb角はそれぞれ24度,36度,67度で脊椎が前彎位のときのCobb角が最小であった.筋ジストロフィー症研究班制定の機能障害度が進展するのに伴ってCobb角が増加する傾向にあるが,脊柱が前彎位にある患児でば障害度が進展していてもCobb角が小さくなっていた.以上より側彎が著しく進行する症例に対してはできるだけ脊柱を前彎位に保持する方が良いことがわかった.
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