臨床的に手根管症候群と診断された122手で,手関節部での正中神経刺激による短母指外転筋M波と示指近位指節関節部での複合知覚神経活動電位を記録した.これらの電気生理検査指標がfalse negativeを呈する頻度を調べた.また,34例に装具療法を施行し,その効果の有無別に,これら電気生理検査指標や患者の年齢,罹病期間,臨床症状の重症度を比較検討した.
その結果,知覚神経伝導速度は診断的価値が高く,短母指外転筋M波振幅は装具療法の効果予測に有用であると判断された.
今回用いた装具は背側型の手関節装具で,手掌面を被う面積を少なくし,強固な固定を避けることにより装着感をよくしている.
手根管症候群では,電気生理検査を参考にして治療法を選択し,患者に合った装具療法を行うことにより,良好な治療効果をもたらすことができる.
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