The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
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53 巻, 5 号
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巻頭言
特集『小児リハビリテーション―その歴史と各疾患への対応,未来への展望について―』
  • ―肢体不自由児療育を中心に―
    小﨑 慶介
    2016 年 53 巻 5 号 p. 348-352
    発行日: 2016/05/18
    公開日: 2016/06/13
    ジャーナル フリー
     日本の小児リハビリテーションの歴史は,田代義徳,柏倉松蔵,高木憲次らを中心として,1910年代に始まった肢体不自由児療育運動が1つの発端となっている.この運動を通して,社会から隔絶された手足の不自由な児童に教育,整形外科的治療とリハビリテーション(医学的治療),職業教育が施されるという枠組みが形成された.戦争によっていったんこの仕組みは壊滅的な打撃を受けたが,戦後は児童福祉法制定などを通して制度の整備が進められた.時代の変遷とともに対象疾患や病態が変化しており,今後もより包括的な枠組みの中で小児リハビリテーションを推進することが求められている.
  • 近藤 和泉
    2016 年 53 巻 5 号 p. 353-358
    発行日: 2016/05/18
    公開日: 2016/06/13
    ジャーナル フリー
     評価尺度は,それが使われる目的によって,判別的尺度,予測的尺度および評価的尺度に分けられ,目的に応じた使われ方がされるべきである.この中で評価的な尺度はRaschモデリングにより,予後予測,ショートゴールの設定などの臨床的な決定に関わる有用な尺度に変貌しつつある.脳性麻痺(cerebral palsy,以下CP)はわが国の小児リハビリテーションの歴史が始まって以来,その中心的な対象となってきたが,現在,CPに使われているのはgross motor function measure(GMFM), gross motor function classification system(GMFCS), functional independence measure for children(WeeFIM)およびpediatric evaluation of disability inventory(PEDI)などである.これらの評価尺度が臨床でどのように使われつつあるかを概説した.
  • 朝貝 芳美
    2016 年 53 巻 5 号 p. 359-364
    発行日: 2016/05/18
    公開日: 2016/06/13
    ジャーナル フリー
     近年,重症脳性麻痺児の増加に伴い運動機能に対する関心が薄れている.脳性麻痺児のための粗大運動能力分類システム(gross motor function classification system:GMFCS)レベルⅢ,Ⅳでは運動機能予後予測に則り,短期から長期の目標を立て,頻度の少ない通院にとどまることなく,通院頻度を増やす,親子入所や単独入所による有期有目的集中訓練や機能向上を補助する手術療法を含む各種痙縮治療を駆使して,10歳頃までに運動機能を日常で使えるレベルまで引き上げる必要がある.長期目標として,つかまり立ちや車いすへの移乗能力の維持が重要で,抱き上げての移乗は避けなければならない.そのために日常での支持立位・歩行や環境調整が重要となる.漫然と頻度の少ない通院,それも訓練室内だけの訓練で機能の向上する時期を逸してはならない.
  • 小倉 加恵子
    2016 年 53 巻 5 号 p. 365-369
    発行日: 2016/05/18
    公開日: 2016/06/13
    ジャーナル フリー
     発達障害者支援法が施行されてから10年が経過し,発達障害をめぐる社会情勢は大きく変化してきた.本稿では,最近の動向を踏まえて発達障害に関して概説し,リハビリテーション科が関わりうる課題を考察した.
  • 橋本 圭司
    2016 年 53 巻 5 号 p. 370-373
    発行日: 2016/05/18
    公開日: 2016/06/13
    ジャーナル フリー
     『発達障害者支援法』においては,高次脳機能障害は発達障害の中に含まれているが,高次脳機能障害診断基準から発達障害は除外されている,という紛らわしい実情がある.医学的には,生まれつきの高次脳機能の問題を発達障害と呼び,後天性脳損傷による高次脳機能の問題を高次脳機能障害と呼ぶことに異論はないであろう.近年は発達障害の概念も,知的障害から独立した高次脳機能障害へシフトしている.発達障害児やその家族には「病前のイメージ」というものが存在しない一方で,高次脳機能障害児の場合,本来あるべき機能への復活や回復に固執してしまいがちになる.つまり,ハビリテーションとリハビリテーションの違いがそこには存在している.
  • 芳賀 信彦
    2016 年 53 巻 5 号 p. 374-378
    発行日: 2016/05/18
    公開日: 2016/06/13
    ジャーナル フリー
     骨系統疾患とは,全身の骨に常に一定の様式をもって変化のあらわれる骨疾患の総称であり,一般に高齢で発症する運動器障害を若年期から示すことがある.骨形成不全症は骨脆弱性を早期から示し,装具治療,手術治療,薬物治療,リハビリテーションを組み合わせて,骨折予防,移動能力向上を目指す.先天性脊椎骨端異形成症などのⅡ型コラーゲン異常症は早発性の変形性関節症や脊椎症を示し,前者の発症・進行予防のため,適切な筋力強化,過度な荷重や衝撃を避ける指導などを行う.後者については,小児では無症状のまま脊髄障害のリスクが進行している場合があり,運動療法に際しては注意を必要とする.
  • 陳 隆明
    2016 年 53 巻 5 号 p. 379-384
    発行日: 2016/05/18
    公開日: 2016/06/13
    ジャーナル フリー
     欧米では広く市民権を得て普及している成人の筋電義手において,ようやく日本で普及の兆しが見え始めている段階である.小児の筋電義手普及は成人と比べてほど遠く,医学の歴史から忘れ去られたかのようである.筋電義手を使用することによる大きな利点の1つは,児の両手動作が促進されることである.このことによって,片手では不可能な動作やすることを諦めていた動作を遂行できる可能性がもたらされる.筋電義手を「使うことができる」と普段の生活で「使う」は大きな隔たりがある.児が年長期,さらには思春期,成人期へと切れ目なく筋電義手を使用していくことは容易ではない.いかにわれわれ医療機関が支援できるかが大きな課題である.
  • 小林 宏
    2016 年 53 巻 5 号 p. 385-391
    発行日: 2016/05/18
    公開日: 2016/06/13
    ジャーナル フリー
     本当に役に立つものをつくりたいという思いから,「動けない人を動けるようにする」こと,そして,「生きている限り自立した生活ができること」を目標に,体の動きを補助する装置の開発を行っている.小児用には,どんな病状でも立って歩けるようになるアクティブ歩行器を開発しているので,その構造と臨床について簡単に紹介する.肉体労働者の腰部を補助する腰部補助用マッスルスーツは,すでに製品化しさまざまな分野で使用され始めているが,歩行の機能回復訓練にも適用できることがわかり,臨床を続けているので,その様子を報告する.この技術は,すぐにでも小児に適用できる.
教育講座
連載
高次脳機能障害に対する認知リハビリテーションの技術
ISPRM招致活動記録
症例報告
  • 都築 暢之, 石塚 京子, 飯島 昌一
    2016 年 53 巻 5 号 p. 407-414
    発行日: 2016/05/18
    公開日: 2016/06/13
    ジャーナル フリー
     An 83-year-old woman presented with dropped head syndrome (DHS), that had been progressing during the previous 6 months. She had no history of neuromuscular diseases and, on examination, no neuromuscular abnormalities were observed except for isolated weakness of the neck extensors, mainly of the semispinalis cervicis. On the paravertebral sites of the T1-T5 spine on both sides, a total of eight points with marked tenderness were noted, four on each side. These eight points coincided with the anatomically narrow spaces through which the posterior rami emerged from their deep exits in the spine (i.e., the intervertebral foramina) to the superficial paravertebral sites, where they bifurcated into the lateral and medial branches, the latter innervating the semispinalis cervicis. Repeated local corticosteroid injections once a week on these eight tender points, with 3.3 mg Decadron (dexamethasone sodium phosphate) mixed with 20 mL of 0.5% xylocaine divided among the eight tender points, improved DHS in 3 months. This case suggests that the anatomically narrow pathway of the medial branches of the posterior rami at the upper thoracic spine could induce inflammations of the passing nerves, resulting in neck extensor weakness.
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