The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
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53 巻, 9 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
巻頭言
お知らせ
特集『ICFコアセット』
  • 出江 紳一
    2016 年 53 巻 9 号 p. 671-675
    発行日: 2016/09/18
    公開日: 2016/10/20
    ジャーナル フリー
     ICFコアセット日本語版出版に至る経緯,ICFの普及促進を目指す日本リハビリテーション医学会の立場,出版の意義,臨床応用の動向などについて述べた.ICFコアセットは生活機能の視点から,どのような処遇がそれぞれの患者に適切であるかを判断する尺度となり得ると考えられる.今後,ICFコアセットが保健・医療・障害福祉の国際的標準言語としてリハビリテーション医療に組み込まれ活用されることが期待される.
  • 山田 深
    2016 年 53 巻 9 号 p. 676-680
    発行日: 2016/09/18
    公開日: 2016/10/20
    ジャーナル フリー
     「ICF CORE SETS-Manual for Clinical Practice」の日本語版である「ICFコアセット 臨床実践のためのマニュアル」は,各ICFコアセットの日本語名称を公式なものとして示し,ICFコアセットの利用方法についての解説を日本語化したものである.個々の用語は原則として「ICF国際生活機能分類―国際障害分類改定版―」に準拠する形で訳出した.ICFコアセットの日本語化がなされたことで,わが国においても統一した基準の下で,医療,福祉の分野において幅広くICFが活用されていくことが期待される.
  • 近藤 和泉, 伊藤 直樹, 向野 雅彦
    2016 年 53 巻 9 号 p. 681-685
    発行日: 2016/09/18
    公開日: 2016/10/20
    ジャーナル フリー
     臨床的な活用の観点からは,ICF脳卒中コアセットを使って,どのような問題点が脳卒中患者にあるかという,いわゆる判別的な形での応用が考えられる.問題点がわかれば,それに対する標準的な対応の設定も可能である.一方,個々の項目につけられている評価点はアウトカム尺度として利用できる可能性をもっている.ただし,臨床でアウトカム尺度を標準的に用いていくためには,その尺度の信頼性および妥当性が証明されている必要があり,また詳しいマニュアルの作成を前提とした使用法の標準化がなされていることが望ましい.将来,臨床的に活用していくのであれば,これらの条件が整備される必要があると考えられる.
  • 大隈 秀信
    2016 年 53 巻 9 号 p. 686-689
    発行日: 2016/09/18
    公開日: 2016/10/20
    ジャーナル フリー
     ICFモデルは,回復期リハビリテーション(以下,回復期リハ)病棟において,カンファレンスなどにおける情報の整理や記述に有用であり,リハ関係者の間では,意識しないでも,日常的に利用されているのではないかと思う.一方ICFカテゴリーが,回復期リハ病棟で実際に利用される機会は稀であろう.ICFコアセットは,ICFカテゴリーの実践的な臨床応用の方法を提案している.ICFカテゴリーの標準的,網羅的特徴を考えれば,ICFの本来の利用方法は,目的にあうカテゴリーを選択し,標準的な言語による遺漏のないリストや評価票を独自に作成することではないかと思う.ICFコアセットは,特定の健康状態に対する標準的な選択例と考え,目的にあわせて柔軟に使用するとよい.
  • 向野 雅彦, 才藤 栄一
    2016 年 53 巻 9 号 p. 690-693
    発行日: 2016/09/18
    公開日: 2016/10/20
    ジャーナル フリー
     ICFは2001年に世界保健機関(WHO)により採択され,以降世界各国においてさまざまな形で臨床への導入に関する検討が進められてきた.しかし,実際の臨床における使用に際してさまざまなハードルがあり,現在でも普及に課題があるのも事実である.そのような状況にあって,現在は実用面を重視した取り組みが多く行われている.ICFの分類を臨床家にわかりやすく整理する取り組み,あるいは既存の評価表からICFに変換,標準化するための研究など,国際的な枠組みで普及に向けた新しい取り組みが進められており,評価の共通化・標準化,さらにはそれらの取り組みを通じたリハビリテーションの質の向上への貢献が期待されている.
  • 筒井 孝子
    2016 年 53 巻 9 号 p. 694-700
    発行日: 2016/09/18
    公開日: 2016/10/20
    ジャーナル フリー
     諸外国では,ICFを用いて,多くの社会実験や臨床適応のための研究がなされており,国際的なスタンダードとなるための過程を経つつあると言われている.しかし,このICFを用いた評価は,総コード数が膨大であることや,分類する際の評価の基準が曖昧であるという,きわめて大きな問題があることも指摘されてきた.そこで日本の政策あるいは臨床でICFを活用するためには,どのような方策が必要となるかを考察し,筆者が開発した日本語版ICFコアセットマニュアルの活用可能性とその課題を述べることを目的とした.また本稿では,多様な人々の中から特定の問題を共有する状態像をもった集団を焦点化し,これらの人々の問題解決を図ることを目的として開発されてきたツール「ICFコアセット」に着目し,2013年に日本版ICFコアセットを開発すると共に試行評価を実施した経過を述べた.研究結果からは,ICF利用における検者間信頼性は低く,現時点の状況からは日本国内での実用化を進めるのは困難であることが明らかとなった.今後,わが国で臨床実践のレベルで個別事例の評価ツールとして活用するには,ICFの正確な理解を深めるための研修が必須であると考えられる.またICFによる分類は人の機能や健康や障害の状態や,その社会的自立の状況を分類しつくすという革新的アプローチといえるが,まずはこの分類を利用した具体的なシステムが,開発されることが期待される.
  • 及川 恵美子, 井筒 将斗, 渡 三佳
    2016 年 53 巻 9 号 p. 701-705
    発行日: 2016/09/18
    公開日: 2016/10/20
    ジャーナル フリー
     1980年に発表された「国際障害分類(ICIDH)」の改訂版として2001年に世界保健総会で採択された「国際生活機能分類(以下,ICF)」は,人間のあらゆる健康状態に関係した「生活機能」状態を「心身機能」「身体構造」「活動と参加」という視点で,また,それに影響を及ぼすものは「環境因子」として分類したものである.このようなICFの概念は広く受け入れられてきたが,具体的な活用・普及についてさらに推し進めようと,WHOでもわが国でもさまざまな取り組みがなされてきている.WHOでの最近の議論および厚生労働省におけるこれまでのICF普及のための取り組みについて紹介する.
  • 中俣 恵美
    2016 年 53 巻 9 号 p. 706-710
    発行日: 2016/09/18
    公開日: 2016/10/20
    ジャーナル フリー
     医療・福祉・保健分野において,高齢化および疾病構造の変化に伴う課題解決の方策として多職種協働による地域包括ケアシステムが注目されている.これには職種間の相互理解,各々の高い専門性の追求にとどまらず,職種間の隔壁を超えた幅広い視野をもってアプローチすることが求められる.そして,これを具現化するためにはICFを共通概念,共通言語として活用することが必要である.ICFは生活機能を包括的に捉える視点と枠組みを示すものであり,これを協働のためのツールとして取り扱うことが望ましい.しかし現状では概念の取り違えやツールとしての活用に課題もある.本論ではICFの特性について再確認すると共に実践の現場での活用方法を述べる.
教育講座
連載
高次脳機能障害に対する認知リハビリテーションの技術
ISPRM招致活動記録
原著
  • 天野 徹哉, 玉利 光太郎, 内田 茂博, 伊藤 秀幸, 田中 繁治, 森川 真也, 河村 顕治
    2016 年 53 巻 9 号 p. 723-731
    発行日: 2016/09/18
    公開日: 2016/10/20
    ジャーナル フリー
    【目的】歩行獲得と在院日数の関係について検討し,バリアンス発生の有無に対する背景因子と術後早期の機能回復の違いを明らかにすることである.
    【方法】TKA適用患者148名を対象に,歩行自立日数が術後14日以内の者をバリアンス非発生群,術後14日を超過した者をバリアンス発生群として,2群の背景因子と各群の術前機能と術後14日目の機能を比較した.
    【結果】歩行自立日数と在院日数との間には,有意な正の相関が認められた.バリアンス非発生群はバリアンス発生群と比較して年齢が若く,術前の活動性が高かった.バリアンス非発生群の術後14日目の術側膝伸展ROMと疼痛は,術前機能と比較して有意な改善が認められた.一方,両群とも術後14日目の術側・非術側膝伸展筋力,術側膝屈曲筋力,術側膝屈曲ROMと歩行速度は,術前機能と比較して有意に低下していた.
    【結論】歩行獲得を目的とした早期リハビリテーションでは,年齢と術前の活動性を考慮するとともに,炎症症状の改善による疼痛軽減と膝関節伸展角度の獲得に着目すべきであると考える.
リハニュース
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