【目的】歩行獲得と在院日数の関係について検討し,バリアンス発生の有無に対する背景因子と術後早期の機能回復の違いを明らかにすることである.
【方法】TKA適用患者148名を対象に,歩行自立日数が術後14日以内の者をバリアンス非発生群,術後14日を超過した者をバリアンス発生群として,2群の背景因子と各群の術前機能と術後14日目の機能を比較した.
【結果】歩行自立日数と在院日数との間には,有意な正の相関が認められた.バリアンス非発生群はバリアンス発生群と比較して年齢が若く,術前の活動性が高かった.バリアンス非発生群の術後14日目の術側膝伸展ROMと疼痛は,術前機能と比較して有意な改善が認められた.一方,両群とも術後14日目の術側・非術側膝伸展筋力,術側膝屈曲筋力,術側膝屈曲ROMと歩行速度は,術前機能と比較して有意に低下していた.
【結論】歩行獲得を目的とした早期リハビリテーションでは,年齢と術前の活動性を考慮するとともに,炎症症状の改善による疼痛軽減と膝関節伸展角度の獲得に着目すべきであると考える.
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