The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
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54 巻, 3 号
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巻頭言
Interview
第54回日本リハビリテーション医学会学術集会 会長インタビュー
特集『人工関節におけるリハビリテーション』
  • 井樋 栄二
    2017 年 54 巻 3 号 p. 182-185
    発行日: 2017/03/18
    公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー

    日本にもようやく反転型人工肩関節が2014年に導入され,これまでの肩疾患に対する人工肩関節の役割が大きく変わることになった.従来の解剖学的人工肩関節は,腱板が正常な変形性肩関節症に適応があるため,全国調査でも肩関節手術全体の1%未満にすぎなかった.反転型人工肩関節は腱板断裂性関節症によい適応があり,この人工関節の導入を待ち望んでいた医師,患者は数多い.2015年には全人工肩関節のうち解剖学的人工肩関節は25%であり,反転型人工肩関節が導入2年目ですでに75%を占めるようになった.解剖学的人工肩関節および反転型人工肩関節の特徴と術後のリハビリテーションについて要点を解説した.

  • 大久保 宏貴, 渡久知 かおり, 金谷 文則
    2017 年 54 巻 3 号 p. 186-190
    発行日: 2017/03/18
    公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー

    人工肘関節置換術(total elbow arthroplasty:TEA)は肘関節の安定性,可動性,無痛性が破綻した関節リウマチで多く行われている.TEA術後リハビリテーションは,使用機種の特性,手術方法,術中の軟部組織の修復方法,術中可動域・不安定性を考慮し,段階的な訓練の設定が必要である.セラピストはこれらの情報を訓練前に把握しておかなければならない.標準的な訓練にとらわれず,関節のゆるみや獲得可動域の程度など,症例それぞれの状態に応じたプログラムの変更を考慮する.TEAの限界を理解し,日常生活動作における患者教育も重要である.

  • 那須 義久, 坂口 和輝, 西田 圭一郎
    2017 年 54 巻 3 号 p. 191-194
    発行日: 2017/03/18
    公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー

    人工指関節置換術は,股関節や膝関節などと比べて経験することの少ない手術であり,関節リウマチ(RA)の手指変形に対して行われる症例が大きな割合を占める.強力な抗リウマチ薬の普及によりRA症例の人工関節手術が世界的に減少傾向にある中,本邦では手指の小手術がむしろ増加傾向にあり,より高い機能・整容的目標の達成が求められるようになっている.人工関節の特性や,軟部組織の破綻のメカニズムと再建方法について熟知することが人工関節置換術を正確に行うためには必須であり,リハビリテーションを担当するスタッフとの情報を共有する必要がある.本稿では最も多く行われているRAの中手指節関節(MCP関節)変形に対する人工関節置換術を例に,手術とリハビリテーションの実際について概説する.

  • 伊藤 浩
    2017 年 54 巻 3 号 p. 195-200
    発行日: 2017/03/18
    公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー

    近年の高齢化社会に伴い,人工股関節置換術を受ける患者の平均年齢も上がりつつある.若年者より増加率は低いものの高齢者でも筋力の向上は可能であり,筋肥大も確認されている.比較的虚弱な高齢者に対しても,基本動作能力改善のために積極的に運動療法を行うことを考慮すべきである.無理に負荷の大きすぎる運動を行えば,関節痛を引き起こしたり,循環器系に過剰な負担をかけてしまったりすることがあるので,じっくり時間をかけて運動を行うように説明をする.起き上がり動作や立ち上がり動作,移乗,移動などの日常生活における基本的な動作にはある程度の筋力や持久力が必要で,筋力や持久力の維持と改善は運動療法として重要な役割を持つ.

  • 南角 学, 松田 秀一
    2017 年 54 巻 3 号 p. 201-204
    発行日: 2017/03/18
    公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー

    人工膝関節置換術(TKA)術後のリハビリテーションは,術後合併症を予防しながら,術後早期から積極的な離床と日常生活活動(ADL)の獲得を図ることが必要である.さらに,TKA術後における機能回復に対して,適切かつ効果的にリハビリテーションを展開していくためには,個々の患者の病態や機能障害に対応したトレーニングや介入方法を選択していくことが重要である.具体的な方法としては,関節可動域や膝関節伸展筋力などの局所の膝関節機能に加えて,股関節周囲筋の機能や立位時の骨盤アライメントに着目した評価ならびに介入が必要である.

  • 石田 由佳子, 田中 康仁
    2017 年 54 巻 3 号 p. 205-208
    発行日: 2017/03/18
    公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー

    末期の変形性足関節症や進行したリウマチ性足関節障害に対して,人工足関節置換術が行われる.術後の可動域制限と筋力低下を予防するため,手術前からリハビリテーション(以下,リハ)を開始する.術前のリハは足関節周辺の筋力増強訓練と関節可動域訓練を中心に行う.術後3週間は足関節中間位での短下肢ギプス固定が行われる.2週間は免荷し,その後部分荷重での歩行訓練を開始する.ギプス除去後,足関節の可動域訓練を開始し,4週で全荷重歩行を許可する.術後3カ月から軽度のスポーツ復帰を許可している.

  • 国定 俊之, 藤原 智洋, 長谷井 嬢, 堅山 佳美, 千田 益生, 尾﨑 敏文
    2017 年 54 巻 3 号 p. 209-213
    発行日: 2017/03/18
    公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー

    腫瘍型人工関節置換術は,術後のリハビリテーションを早期に開始することができるため,社会復帰が早いという利点がある.しかし,筋肉などの軟部組織の再建が症例ごとに異なっているため,変形性関節症などに対して行われる一般的な人工関節置換術とは異なるアプローチが必要である.腫瘍切除により,多くの筋肉が起始・停止部で切離されるため,これらの筋肉をできるだけ解剖学的位置に再建することが機能回復において重要となる.金属の人工関節と筋肉は生物学的な癒合が期待できないが,ポリプロピレンメッシュを使用することで,強固な固定力が獲得できる.本稿では,近位・遠位大腿骨,近位脛骨の腫瘍型人工関節のリハビリテーションについて解説する.

  • 木村 浩彰, 三上 幸夫, 澤 衣里子, 牛尾 会, 松本 彰紘
    2017 年 54 巻 3 号 p. 214-218
    発行日: 2017/03/18
    公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー

    関節軟骨は無痛で円滑な関節運動を担保しているが,関節機能の荒廃につながる関節軟骨損傷は稀ではない.軟骨組織に血管や神経組織はなく,軟骨細胞の自己修復能は乏しいので,自然治癒は難しく,ドリリングや軟骨柱移植術などの治療で修復できない軟骨損傷が存在する.これに対して2013年4月,外傷または離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)による4 cm2以上の膝関節軟骨損傷で,他に治療法がない場合,自家培養軟骨細胞移植術(autologous chondrocyte implantation:ACI)が保険適応となった.ACIにより,従来の方法では治療できなかった軟骨損傷を硝子軟骨で修復する可能性が示された.しかし,ACI後のリハビリテーションはいまだ確立されていない.今回,移植された軟骨細胞の成熟過程と膝関節のバイオメカニクスに基づいたACI後のリハビリテーションについて述べる.

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  • 中島 務, 杉浦 彩子
    2017 年 54 巻 3 号 p. 233-239
    発行日: 2017/03/18
    公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー

    Web of ScienceのRehabilitation分野の136誌およびEigenfactor上位10誌に2010~2015年の間に掲載された国別論文数を調査した.136誌の61,210論文中1,658論文(2.71%),Eigenfactor上位10誌の12,584論文中303論文(2.41%)が日本からであった.比較のためClinical Neurology, Orthopedics, Otorhinolaryngology, Gastroenterology & Hepatology, Urology & Nephrology分野の論文数につきRehabilitation分野と同様に調査した.日本のRehabilitation分野の論文割合は,他の分野と比べ,全体でも上位10誌でも有意に少なかった.その理由と対策につき,日本の医学全般とリハビリテーション分野の観点から検討した.

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