目的:本研究の目的は,脊髄小脳変性症(SCD),多系統萎縮症(MSA)患者のリハビリテーション実施状況による患者背景を比較し,リハビリテーション医療における課題を明らかにすることである.
方法:患者会会員914名のアンケート調査を解析し,リハビリテーション実施形態の分布とそれによる基本情報,リハビリテーション関連情報の群間比較を実施した.
結果:対象者のうちリハビリテーション実施群は67.9%,自主練習群は17.7%,非実施群は14.3%であった.リハビリテーション実施群では,生活自立度の低下や要介護度の増加に伴い実施割合が増加した.リハビリテーション実施群と自主練習群におけるリハビリテーションによる主観的変化は差を認めなかったが,リハビリテーション実施群では継続の意思が有意に高かった(p=0.018).
結論:SCD,MSA患者の自主練習を含めたリハビリテーションの実施割合は高かったが,主観的な訓練効果は明らかでなかった.病期にかかわらず専門職による定期的なリハビリテーション指導が行える環境の整備が必要と考えられる.
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