目的:当院に通院する小児がん経験者に新体力テストおよび活動度・社会参加に関する評価を行い,その特徴と課題について検討した.
対象:2018年8月~2019年8月に当院で開催された小児がん長期フォローアップのイベントに参加した5歳以上の小児がん経験者44名のうち,小学生以上の30名(年齢中央値9歳,男子17名,女子13名).
方法:カルテおよびイベントでの評価を後方視的に調査した.調査項目は性別,診断名,評価時・発症時年齢,退院後経過年数,身体機能および認知機能,体育以外の習い事や部活動での運動参加の有無,新体力テスト,小児活動・社会参加評価スケールなどである.
結果:体力は退院後の経過年数にかかわらず,男女および全年齢に共通して全国平均よりも低い傾向を示し,特に持久力が低下していた.また,今回の対象の30名中26名(87%)は全日の登校や1日かけての外出が可能であり,さらに11名(37%)は,体育以外の習い事や部活動での運動に参加していた.
結論:小児がん経験者は,学校や余暇活動,運動の習い事などの社会参加を果たしていても,体力の低下を長きにわたって抱えていると考えられる.入院中から生涯にわたる継続的な体力への支援と,成長に応じた活動や社会参加の実現が望まれる.今後は疾患や治療内容別による体力の比較検討を行い,活動・社会参加の背景からも体力低下の要因を明らかにしていくことが課題である.
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