The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
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巻頭言
特集『リハビリテーション医学における歩行分析とその臨床応用』
  • 長谷 公隆, Munkhdelger Dorjravdan
    2021 年 58 巻 2 号 p. 114-120
    発行日: 2021/02/18
    公開日: 2021/04/14
    ジャーナル 認証あり

    歩行分析には,二足歩行における病態を同定し,治療において重点化するべき問題を明確にする役割がある.観察による立脚期制御の歩行分析は,初期接地から荷重応答期・中期・後期の3相に分けて運動力学的な事象を考慮しながら評価する.定量的歩行分析は,3次元分析,床反力および筋電図計測を基本にして,臨床的ニーズに応じた計測システムを選択する.歩行推進力の指標には,立脚後期の床反力前後成分に加えて,爪先離地時の床反力作用点の位置を,股関節を中心とした角度として表す “trailing limb angle” が有用である.現代の歩行分析には,膨大な計測データから注目するべき指標を抽出するデータ・マイニングが含まれる.

  • 大畑 光司
    2021 年 58 巻 2 号 p. 121-127
    発行日: 2021/02/18
    公開日: 2021/04/14
    ジャーナル 認証あり

    歩行運動において,正常と異常を区別する閾値の設定は非常に難しい問題である.一般に正常歩行は,健常者の歩行運動を基準とし,そこからの偏位として定義づけられることが多い.しかし,健常者の歩行にも幅があり,一概に正しい歩行のあり方を決めることは難しい.理論的に正常歩行とは効率的な倒立振子運動を形成し,両脚支持期の床反力を適切に制御されている状態である.この運動の効率のよい形成のためには,limb kinematicsの調整が鍵となる.Limb kinematicsの制御が適切に行われている状態を正常歩行であるとすることで,より臨床的な正常歩行の定義が可能になるかもしれない.

  • 横山 光, 中澤 公孝
    2021 年 58 巻 2 号 p. 128-134
    発行日: 2021/02/18
    公開日: 2021/04/14
    ジャーナル 認証あり

    健常者の正常歩行や神経疾患患者の異常歩行の背景にある神経機序の解明は病態理解や効果的なリハビリテーション医療へつながる.本稿では,正常・異常歩行の神経生理学的理解のためにわれわれが進めている筋電図や脳波を用いた研究を概説する.前半は筋シナジーや大脳皮質活動の歩行位相に応じた変調など各神経領域の活動について,後半は脳情報デコーディングによる筋制御様式の検討や大脳皮質と筋の結合性解析など領域間の関連性についての最新の知見を解説し,最後に当該分野における今後の展望を述べる.

  • 谷川 広樹, 土山 和大, 山田 純也, 大高 洋平
    2021 年 58 巻 2 号 p. 135-142
    発行日: 2021/02/18
    公開日: 2021/04/14
    ジャーナル 認証あり

    観察による歩行分析は全体像が捉えやすくパターン認識に優れ,簡便で低コストである.また即時性に優れ,場所や条件を選ばない評価が可能である.観察による関節角度判定や時間因子判定は正確性に欠けるが,異常歩行パターンを同定・分類し,重症度の相対評価としては有用である.定性的評価と定期的な定量的歩行分析を併用することで,臨床に役立つ歩行分析ができると考える.精度の高い定性的歩行分析をするためには,正常歩行を理解し,ビデオカメラを活用するなどの工夫をするとともに,観察による歩行分析結果と定量的な歩行分析結果を照合させる,歩行障害の典型例の動画を観察することが有効な方法である.

  • 大塚 圭, 向野 雅彦, 松田 文浩, 才藤 栄一
    2021 年 58 巻 2 号 p. 143-152
    発行日: 2021/02/18
    公開日: 2021/04/14
    ジャーナル 認証あり

    臨床における歩行分析は,視診による主観的な分析が主流であり,定量的な歩行分析は活用されていない.その理由には,時間・人的コストや計測環境といった現実因子と対象者の制限や治療に対する有用性といった利得因子がある.これらの問題を解決させる1つの方法論として三次元トレッドミル歩行分析がある.筆者らは,従来の分析法に加え,新たに開発したリサジュー図形を用いて歩行を直感的な理解に役立てる歩行概観図 (LOP),運動学的因子で指標化した異常歩行の定量的分析,機能不全と代償動作に分けて遊脚の獲得戦略を分析する足部クリアランス分析を活用している.本稿では,実践例としてこれらの分析法を概説する.

  • ―脳卒中―
    山本 澄子
    2021 年 58 巻 2 号 p. 153-158
    発行日: 2021/02/18
    公開日: 2021/04/14
    ジャーナル 認証あり

    計測器を使用した定量的な歩行分析結果を臨床に応用するためには,得られた結果から歩行観察の際にどこにどのように着目すべきかを知ることが必要である.脳卒中患者の歩行を対象に歩行のパフォーマンス,対称性,評価指標の開発とパターン分類,筋活動の計測についてこれまでの研究で明らかになったことと今後の展望を述べる.

  • ―脳卒中―
    小倉 久幸, 久保 峰鳴, 武内 孝太郎
    2021 年 58 巻 2 号 p. 159-165
    発行日: 2021/02/18
    公開日: 2021/04/14
    ジャーナル 認証あり

    脳卒中後片麻痺患者の歩行機能の改善はリハビリテーション治療の重要な目標の1つであり,歩行評価に基づいた治療や訓練を展開する必要がある.しかし,観察による歩行分析は評価者の経験などによる評価のばらつきがあるために客観的指標が求められる.麻痺側立脚期の矢状面における膝関節制御に影響する床反力作用線のモーメントアームを,傾きによる成分と足圧中心と膝関節軸との距離による成分に分けて考えることにより,膝関節制御の面から短下肢装具の効果を明確化し,歩行訓練の治療戦略を具体化することができる.今後,客観的な評価方法によって片麻痺歩行を類型化し,適切な治療方法を導くシステムの確立が望まれる.

  • ―脳卒中―
    阿部 浩明
    2021 年 58 巻 2 号 p. 166-171
    発行日: 2021/02/18
    公開日: 2021/04/14
    ジャーナル 認証あり

    歩行障害に対するアプローチは日常的に実施されており,状態の把握,治療方針の決定,経過の観察,目標の設定において歩行分析は必要不可欠である.さまざまな歩行分析手段や機器が存在するが,医療・福祉・保健の各々のフィールドにおいて同じ条件ということはなく,利用できる機器や手段は環境による影響を受ける.また,歩行分析を行う理学療法士,特に指導的立場にある者の指導力や知識・スキルの差異が存在することも否めない.よって,各施設によって実施されている歩行分析の内容は異なる.ここでは,比較的歩行分析機器が充実していると思われる脳卒中治療を専門とする急性期一般病院である当院において行われている歩行分析が,どのように役立っているかについて述べる.

教育講座
リハビリテーション医学研究のこれから
原著
  • 宗村 麻紀子, 大林 茂
    原稿種別: 原著
    2021 年 58 巻 2 号 p. 197-207
    発行日: 2021/02/18
    公開日: 2021/04/14
    [早期公開] 公開日: 2020/10/30
    ジャーナル 認証あり

    目的:脳卒中後上肢麻痺に対する経頭蓋直流電気刺激 (transcranial direct current stimulation:tDCS)前処置を施行したIVES療法 (Integrated Volitional control Electrical Stimulator〔IVES〕を併用した作業療法)の臨床効果と感覚運動皮質 (sensorimotor cortex:SMC)神経活動への影響を検討した.

    方法:慢性期脳卒中患者7例を対象に,簡易上肢機能検査結果と近赤外線分光法を用いた脳機能計測結果を後方視的に分析した.

    結果:tDCS前処置IVES療法により中等度上肢麻痺が有意に改善し,IVES装着下での掌握運動時の両側SMC血流量が有意に増大した.

    結論:tDCS前処置IVES療法において,慢性期脳卒中後の中等度上肢麻痺に対する有効性が示され,IVES装着がもたらすSMC血流増加作用を両側性に増幅し,IVES療法の臨床効果を高める可能性が示唆された.

短報
  • 近藤 夕騎, 望月 久, 加藤 太郎, 鈴木 一平, 板東 杏太, 滝澤 玲花, 吉田 純一朗, 西田 大輔, 水野 勝広
    原稿種別: 短報
    2021 年 58 巻 2 号 p. 208-214
    発行日: 2021/02/18
    公開日: 2021/04/14
    [早期公開] 公開日: 2020/10/30
    ジャーナル 認証あり

    目的:Ehgoetz Martensらが開発したすくみ足の詳細を把握できる質問紙Characterizing Freezing of Gait questionnaire (C-FOGQ)の日本語版を作成し,患者による回答時間などの予備調査を行うこと.

    方法:日本語版C-FOGQは,原著者から許可を得た後,異文化適応に関する国際的ガイドラインに準じて,①順翻訳,②逆翻訳,③予備調査のプロセスを経て作成した.予備調査では,すくみ足を訴えるパーキンソン病関連疾患患者39名から日本語版C-FOGQによる回答を得て,回答時間,誤回答・無回答率を調査した.

    結果:英語原版から日本語への順翻訳ならびに英語への逆翻訳過程において,重大な言語的問題は生じなかった.予備調査の結果,平均回答時間は526.8秒であり,誤回答・無回答率は1%未満であった.SectionⅡにおける総合得点の平均は20.0点であった.

    結論:作成した日本語版C-FOGQは言語的妥当性を有し,10分程度で回答でき,誤回答や無回答率も少ないため,本邦でもすくみ足の評価として使用可能と思われる.

  • 村山 稔, 水間 正澄
    原稿種別: 短報
    2021 年 58 巻 2 号 p. 215-220
    発行日: 2021/02/18
    公開日: 2021/04/14
    ジャーナル 認証あり

    目的:本調査では,リハビリテーション病院に常勤する義肢装具士が行う患者や利用者への対応の実態と課題を明らかにする.

    方法:常勤義肢装具士の対応業務の内容を記録するデータベースから,1年間の対応内容を8項目に分類し,病期別,品目別に集計した.

    結果:1年間の義肢装具士の対応件数は合計1,300件で,消耗品交換と破損修理,適合調整,装具診の参加を合わせて全体の54.0%を占めた.品目別では,短下肢装具の対応が全体の59.2%で最も多く,回復期の46.5%に比べて生活期は76.3%とさらに多かった.回復期における1処方あたりの全項目の対応した回数は,義足が11.1回と多く,AFOが3.7回,KAFOが2.2回と少なかった.

    結論:義肢装具士の常勤により,生活期における短下肢装具のメンテナンスと回復期における義足のフォロー体制が充実している一方で,長下肢装具の使用者への対応不足が生じている可能性がある.

Secondary Publication
  • ―負荷量可変型エルゴメーターと電動式エルゴメーターによる比較―
    三浦 美佐, 吉澤 亮, 大和田 滋, 平山 暁, 伊藤 修, 上月 正博, 前波 輝彦
    2021 年 58 巻 2 号 p. 221-226
    発行日: 2021/02/18
    公開日: 2021/04/14
    ジャーナル 認証あり

    維持透析 (HD)患者は時間的制約,体調不良,易疲労性などにより不活動下に置かれ,合併症の増悪,サルコペニア・フレイルという悪循環に陥りやすい.本邦の多くの透析施設において,患者に軽負担で実施可能な電動エルゴメーターが採用されているが,その身体機能に与える影響を負荷量可変型エルゴメーターと比較検討した報告は少ない.そこで,本研究の目的を,外来透析患者に対する透析中の12週間の運動を,電動エルゴメーターと負荷量可変型エルゴメーターで比較検討することとした.週3回HDを行っている歩行可能な平均年齢71.5±1.6歳の患者15名を,負荷量可変型エルゴメーター (Tex)群8名と電動式エルゴメーター (Elex)群7名に振り分け,透析中の運動を各人の身体能力に応じ,週3回,12週間実施した.介入後にTex群のみが,下肢筋力,運動耐容能が有意に増加した.よって,運動様式により異なる影響があることが示唆された.

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