目的:新鮮腰椎分離症症例の体幹柔軟性と体幹筋力のリハビリテーション治療導入前後の経過を明らかにすること.
対象と方法:2019年9月から2022年12月までにMRIのSTIRで新鮮腰椎分離症と診断された158例を対象とした.体幹硬性装具装着後,リハビリテーション治療を実施した.体幹柔軟性評価としてposterior lumbar flexibility test(PLFt),lumbar locked rotation test(LLRt),finger floor distance test(FFDt)を実施した.PLFtは陽性率を,LLRt,FFDtは中央値(四分位範囲)を算出し,初回評価時と骨癒合判定時(判定時)を比較した.体幹筋力評価としてKraus-Weber test(KWt),Sahrmann core stability test(SCSt)を実施した.両テストとも中央値(四分位範囲)を算出し,初回時と判定時を比較した.統計処理はχ2検定とWilcoxonの符号順位検定を用い,有意水準は5%とした.
結果:PLFtの陽性率は初回時68%,判定時9%であった.LLRtは初回時で右60.0°(51.3–70.0),左60.0°(50.0–70.0),判定時で右70.0°(65.0–80.0),左70.0°(60.0–80.0)であった.FFDtは初回時4.0 cm(15.0–-2.8),判定時-5.0 cm(0.5–-1.0)であった.各柔軟性評価は初回時と比較し判定時に有意に改善していた(p<0.01).KWt は初回時9.0点(7.0–10.0),判定時9.5点(8.0–10.0)であった.SCStは初回時Level 1.0(0.5–1.0),判定時Level 2.0(1.0–2.0)であった.両筋力評価とも初回時と比較し判定時に有意に改善していた(p<0.01).
結論:腰椎分離症患者は体幹の柔軟性低下,筋力低下を有している例が多かった.リハビリテーション治療により判定時には体幹柔軟性,体幹筋力とも有意に改善していた.
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