The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
Online ISSN : 1881-8560
Print ISSN : 1881-3526
ISSN-L : 1881-3526
最新号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
巻頭言
特集『医学教育におけるリハビリテーション医学の役割 ─次世代の医療者を育む新たなパラダイム─』
  • 横尾 英孝
    2026 年63 巻5 号 p. 429-434
    発行日: 2026/05/18
    公開日: 2026/07/17
    ジャーナル 認証あり

    令和4(2022)年度に改訂された医学教育モデル・コア・カリキュラムは2040年以降の将来も見据え,基本的な資質・能力の共通化・追加とそれに紐づいた学修目標の記載,感染症や学修方略,学修評価の解説・事例の記載の充実,診療参加型臨床実習ガイドラインの整備,Webサイトの開設等の創意工夫が様々な関係者との意見交換を経て施された.診療参加型臨床実習の推進はこれからの医療を担う優れた医師の養成に不可欠であり,多忙な臨床系の指導医が効果的かつ効率的にその教育を行うには学生の主体性を高める個別指導やNear-peer Teachingを活用した屋根瓦式教育のような工夫が必要である.

  • 伊藤 彰一
    2026 年63 巻5 号 p. 435-441
    発行日: 2026/05/18
    公開日: 2026/07/17
    ジャーナル 認証あり

    2023年度より,医学生共用試験(CBT・OSCE)が医師法に基づき公的化された.これにより合格者は「臨床実習生(医学)」として,指導医のもとで法的に医行為が可能となり,見学型実習から診療参加型実習への本格的な移行が実現した.試験は知識・技能・態度を多角的に評価し,全国統一の基準で医師の質を保証する.特に臨床実習前OSCEは,医療面接や身体診察など,安全な実習に不可欠な基礎能力を厳格に判定する.リハビリテーション科医は,その専門性を活かして評価者や指導医として積極的に関与し,機能評価や多職種連携などの教育を通じて,次世代の医師養成に貢献することが期待されている.

  • 酒井 良忠
    2026 年63 巻5 号 p. 442-449
    発行日: 2026/05/18
    公開日: 2026/07/17
    ジャーナル 認証あり

    令和4年度改訂医学教育モデル・コア・カリキュラム,医師国家試験出題基準を踏まえると,医学教育におけるリハビリテーション医学の役割は大きいものがあり,多くの項目や分野にリハビリテーション診療に関する学修項目があるため,体系的なリハビリテーション医学教育が必要と考えられる.一方で,正規講座や教員数の不足により体系的教育が困難な現状や,医学教育内容と実臨床ニーズとの乖離が課題である.近年はリハビリテーション医学の卒前教育の調査や報告がみられておらず大きな問題である.今後はリハビリテーション医学教育の実態調査と政策提言を通じ,リハビリテーション医学教育内容,体制の強化を行う必要がある.

  • 前田 寛文, 大高 洋平
    2026 年63 巻5 号 p. 450-454
    発行日: 2026/05/18
    公開日: 2026/07/17
    ジャーナル 認証あり

    診療参加型臨床実習を効果的に行うためには,主要な診療科では1診療科あたり連続して3週間以上確保することが推奨されている.一方で,リハビリテーション医学の臨床実習は1週間以内のことがほとんどである.学生はリハビリテーション医学の基礎知識が少ないため,1週間という短い期間で診療チームに参加させるには工夫が必要である.藤田医科大学の臨床実習では基礎知識を補完する講義・実習と診療チームに参加する実習を組み合わせており,リハビリテーション医学の理解を促しながら診療チームの一員として担当患者を持ち,入院時の超急性期から回復期,そして生活期まで模擬的ではあるが症例を経験する機会を設けている.

  • 高畠 英昭
    2026 年63 巻5 号 p. 455-461
    発行日: 2026/05/18
    公開日: 2026/07/17
    ジャーナル 認証あり

    超高齢社会における多疾患併存やフレイルの増加は,医療のあり方を従来の「疾患の治癒(cure)」から「生活機能の最大化(care)」へと転換させた.リハビリテーション医学はそのパラダイム転換の中核を担う.長崎県では「新・鳴滝塾」という全県的な教育システムのもと,大学と地域が連携した重層的な研修環境を実現している.この枠組みにおけるリハビリテーション科教育の重要な役割は,国際生活機能分類(ICF)に基づき患者の社会参加までを捉える全人的な視点を養うことにある.高度急性期から「活動」「参加」を見据え,多職種連携や栄養・全身管理を実地に学ぶ経験は,将来の臨床的思考の基盤となり,複雑化する社会ニーズに応える次世代の医師を育成する上で重要な意義を持つ.

  • 上田 貴代, 松本 彰紘, 越智 光宏, 荒木 武弥, 兼永 幸太郎, 三上 幸夫
    2026 年63 巻5 号 p. 462-468
    発行日: 2026/05/18
    公開日: 2026/07/17
    ジャーナル 認証あり

    リハビリテーション医学・医療は,心身機能や活動の改善だけでなく,生活の再構築や社会参加の促進を目的とするものであり,その対象は超急性期から回復期,生活期へと連続的に広がっている.それをどのように教育し,将来の地域医療を担う医師としての視点を育むかは重要な課題である.大学病院においては,専門性の高い医療等を学ぶことができる一方で,患者の退院後の生活や,地域での支援体制を実感として学ぶことには限界がある.そのため,広島大学のリハビリテーション医学教育においては,大学病院内での実習だけでなく,医学生を積極的に地域の医療・介護の現場へと連れて行き,地域包括ケアシステムの実際の中での学びを重視している.

  • 藤原 大
    2026 年63 巻5 号 p. 469-475
    発行日: 2026/05/18
    公開日: 2026/07/17
    ジャーナル 認証あり

    本稿では,日本リハビリテーション医学会主催の「リハビリテーション科医になろうセミナー」を通じて得られた知見に基づき,医学生への効果的な啓発活動の在り方を論じる.現在,わが国の医学部においてリハビリテーション医学講座の設置率は約54%に留まり,この教育格差が学生の専攻選択への不安を招いている.本セミナーの追跡調査では,複数回の情報接触が専攻選択に大きく寄与することが示された.本稿では,リハビリテーション医学の魅力を「生活機能を診る医学」としての専門性,およびnarrative-based medicine(NBM)の視点から再定義し,さらに多職種を繋ぎ患者の生活を支えるアドボケイト(代弁者)としての医師像を提示する.加えて,「対話」を軸とした3つの視点─対象者との対話,自分との対話,社会との対話を通じて,将来の担い手を育むための教育的戦略を提案する.

  • 片岡 晶志
    2026 年63 巻5 号 p. 476-483
    発行日: 2026/05/18
    公開日: 2026/07/17
    ジャーナル 認証あり

    リハビリテーション専門職教育について,最新の動向と課題について説明した.医学部学生には「医学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)」に追従した形でカリキュラムが組まれ,共用試験(CBT・OSCE)が実施され,診療参加型臨床実習の資格を担保する形がとられている.一方リハビリテーション関連職(特にPT・OT)においては,2019年の指定規則に従ってカリキュラムが組まれている.診療参加型臨床実習の実施について,すでに「臨床実習教育の手引き(第6版)」では記載されているが,実態が把握できない.さらにPT・OT養成カリキュラムの中の専門基礎分野において,病態生理を教える科目の不足を感じる.病態生理が理解できていない状況では,社会にでても仕事に熱は入らないし,研究意欲が湧いてこない.病態生理を徹底して教育することは,喫緊の課題といえる.

教育講座
原著
  • 川淵 敬太, 間庭 奨大, 山根 健太, 谷口 涼香, 井上 響平, 中村 雅俊
    2026 年63 巻5 号 p. 509-518
    発行日: 2026/05/18
    公開日: 2026/07/17
    [早期公開] 公開日: 2026/04/10
    ジャーナル 認証あり

    目的:人工膝関節全置換術(TKA)の術後早期離床プロトコルの1つであるCriteria-Based Protocol(CB)を適用した場合における,術前筋量低下と術後運動機能の関連を検討した.

    方法:TKAを施行した51例を対象とし,術前の補正四肢筋量に基づき,低値(L)群と高値(H)群に分類した.術後後療法にはCBを用いた.評価項目は年齢,body mass index(BMI),術前および術後12週の運動機能を比較した.

    結果:L群はH群に比べて高年齢(76.5±5.5 vs 72.3±6.1)で,BMIが低かった(23.2±3.2 vs 27.8±3.7).術前機能ではL群がH群と比較して屈曲可動域が大きく(129.0±13.0 vs 118.3±21.6),活動性が低かった(37.9±17.3 vs 50.1±17.0)(全てp<0.05).術後運動機能では両群間に有意な差はなかった.

    結論:CBを用いた場合,術前筋量が少ない症例であっても,術前筋量が多い症例と比較して,短期の機能転帰が同等であった.

症例報告
  • 栗原 寛幸, 城 崇之, 笹川 麻由, 新名 啓, 藤本 幹雄, 大林 茂
    2026 年63 巻5 号 p. 519-526
    発行日: 2026/05/18
    公開日: 2026/07/17
    [早期公開] 公開日: 2026/04/10
    ジャーナル 認証あり

    Background: Mycoplasma-associated bilateral striatal necrosis (BSN) is a rare neurological disease presenting with a wide variety of symptoms, including extrapyramidal signs like parkinsonism and dystonia. While its long-term course and the effect of rehabilitation intervention are poorly understood, this case report highlights the significant contribution of rehabilitation to a favorable outcome.

    Case Presentation: An 11-year-old girl presented with status epilepticus and loss of consciousness following a Mycoplasma pneumoniae infection. She was diagnosed with BSN based on head MRI findings. The patient exhibited diverse symptoms, including chorea-like movements, dysphagia, dysarthria, disinhibited and impulsive behaviors, inattention, and severe fatigability, which significantly impaired her activities of daily living.

    Methods & Results: She immediately began immunomodulatory therapy and early intensive rehabilitation, including physical, occupational, and speech therapy. Through this intensive, multidisciplinary approach, she achieved a remarkable neurological recovery. Her cognition, including attention and concentration improved, and her academic performance returned to premorbid levels. She was able to successfully return to school and society without significant long-term sequelae.

    Conclusion: This case suggests that early and intensive rehabilitation, in conjunction with immunomodulatory therapy, can lead to a significant recovery even in rare neurological conditions like Mycoplasma-associated BSN. The findings underscore the critical role of a multidisciplinary approach in not only restoring motor function but also facilitating a full return to cognitive and social activities. They also emphasize the need for robust collaboration among medical, educational, and family support systems to ensure a successful return to school for children with acquired brain injury.

JARM NEWS
新任教授インタビュー
REPORT
feedback
Top