緩和ケアは,生命を脅かす疾患をもつ患者およびその家族が抱える身体的・心理社会的・スピ
リチュアルな苦痛を軽減し,生活の質(QOL)を高める包括的アプローチであり,終末期に限定
されるものではなく,疾患の早期から提供されるべき医療として位置づけられている。しかし,
非がん疾患領域では,病状の進行速度や経過が多様であることから緩和ケア導入の時期を判断し
にくく,結果として介入が遅れる傾向がある。その結果,症状管理の不十分さや,患者の意向に
十分沿わない医療につながることが指摘されている。これらの課題に対しては,症状出現や病期
の進行を待つのではなく,患者の価値観や人生観を早期から明確化し,将来起こり得る医療・ケ
アに関する意思決定をあらかじめ支えるアドバンス・ケア・プランニング(ACP)が,緩和ケア
を適切な時期に実践するための中核的プロセスとして不可欠である。さらに,基本的緩和ケアを
担うプライマリーチームと専門的緩和ケアとの協働に加え,腎臓リハビリテーションを基盤とし
た多職種チームを体系的に活用することは,保存期から透析導入前後に至るまで多段階のニーズ
を有する腎不全患者に対し,ACP を軸とした継続的かつ統合的な支援を可能にする。本稿では,
非がん領域における緩和ケアおよびACP の意義を整理するとともに,腎不全領域における実践
上の要点について概説する。
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