日本腎臓リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2436-8253
Print ISSN : 2436-8180
最新号
在宅医療・緩和ケア
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 宮崎 正信
    2026 年5 巻1 号 p. 1-6
    発行日: 2026/07/05
    公開日: 2026/07/12
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    腹膜透析(PD)患者に対する腎臓リハビリテーション,特に運動療法のエビデンスは徐々に蓄 積されつつある。日本からのランダム化比較試験により,在宅ベースの運動療法は安全かつ実行 可能で,身体機能やQOL の改善に有効であることが示された。一方,観察研究では,運動機能 や身体活動量の低下がテクニカルサバイバル(PD 継続期間)の短縮や死亡リスク上昇と関連す ることが明らかになっている。2022 年の国際ガイドラインでは,腹圧管理やカテーテル保護な ど,PD 特有の配慮を踏まえた実践的な運動推奨が提示された。運動療法は身体機能やQOL 改善 に有効であり,在宅治療の特性を活かしたさらなる普及が期待されるが,ハードエンドポイント への直接的効果については今後の検証が必要である。また,超高齢の腎不全患者が増加している 中,個別化した腎リハの重要性が高まっており,今後いかにエビデンスを蓄積していくかが問わ れている。
  • 政金 生人, 小川 智也
    2026 年5 巻1 号 p. 7-18
    発行日: 2026/07/05
    公開日: 2026/07/12
    ジャーナル 認証あり
    在宅血液透析(HHD)はライフスタイルに合わせた十分な透析量を確保でき,QOL が高く, 完全社会復帰ができる患者中心の医療の典型である。2020 年代から在宅透析と腎臓移植普及の必 要性が全世界的に認識されているが,わが国では施設血液透析のビジネスモデルが成熟してお り,在宅透析,腎臓移植とも世界の最低レベルである。在宅透析普及の課題には,患者・介助者, 医療者のHHD 教育プログラムの充実,患者・介護者の負担を軽減する対策,治療安全性の向上, 専用機器の使用などがあげられている。日本在宅血液透析学会は,これらの課題を解決するため に,教育研修施設の整備,教育マニュアルの整備など,さまざまな活動を行ってきた。患者中心 の医療の典型である在宅透析を,末期腎不全治療の一つのオプションとして確立させ,地域包括 ケアシステムの中にしっかりと位置付けることが必要である。
  • 酒井 謙
    2026 年5 巻1 号 p. 19-24
    発行日: 2026/07/05
    公開日: 2026/07/12
    ジャーナル 認証あり
     2000 年代から,散発的な透析現場からの透析見合わせの報告例が学会に寄せられ,透析が物理 的に不可能な患者に対する倫理的苦悩も多くの施設に存在していた。本格的な議論による緩和ケ アの方法論が必要であるという考えから,現在まで多くの議論が活発化してきた。本稿では多職 種チームでの緩和ケア,腎不全患者の在宅診療を支える医療提供体制の構築,CKM を選択した 場合の在宅診療,在宅透析としての腹膜透析の利用を概説する。併せて,昨今の慢性腎臓病の根 本的,持続的なケアである腎臓支持療法についても触れる。
  • 阿部 隆宏
    2026 年5 巻1 号 p. 25-31
    発行日: 2026/07/05
    公開日: 2026/07/12
    ジャーナル 認証あり
    緩和ケアは,生命を脅かす疾患をもつ患者およびその家族が抱える身体的・心理社会的・スピ リチュアルな苦痛を軽減し,生活の質(QOL)を高める包括的アプローチであり,終末期に限定 されるものではなく,疾患の早期から提供されるべき医療として位置づけられている。しかし, 非がん疾患領域では,病状の進行速度や経過が多様であることから緩和ケア導入の時期を判断し にくく,結果として介入が遅れる傾向がある。その結果,症状管理の不十分さや,患者の意向に 十分沿わない医療につながることが指摘されている。これらの課題に対しては,症状出現や病期 の進行を待つのではなく,患者の価値観や人生観を早期から明確化し,将来起こり得る医療・ケ アに関する意思決定をあらかじめ支えるアドバンス・ケア・プランニング(ACP)が,緩和ケア を適切な時期に実践するための中核的プロセスとして不可欠である。さらに,基本的緩和ケアを 担うプライマリーチームと専門的緩和ケアとの協働に加え,腎臓リハビリテーションを基盤とし た多職種チームを体系的に活用することは,保存期から透析導入前後に至るまで多段階のニーズ を有する腎不全患者に対し,ACP を軸とした継続的かつ統合的な支援を可能にする。本稿では, 非がん領域における緩和ケアおよびACP の意義を整理するとともに,腎不全領域における実践 上の要点について概説する。
  • 坂井 敦子
    2026 年5 巻1 号 p. 33-45
    発行日: 2026/07/05
    公開日: 2026/07/12
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     腎不全終末期の栄養管理は,「患者の苦痛を和らげ,尊厳を維持し,生きる意欲を支える」とい う緩和ケアの視点に沿って行われるべきものである。しかしながら,わが国における栄養管理の 指針や実践報告は十分でない。本稿では,腎不全終末期の病態理解に基づく栄養学的課題,緩和 ケアの概念に沿った栄養管理と食支援の理念,また,その具体的な方法,多職種連携の在り方に ついて概説する。併せて,家族等の支援についても触れる。現在,わが国では,日本透析医学会 による緩和ケア提言作成が進められている。今後,体制整備に従い,国内での腎不全終末期にお ける栄養管理の標準化が進むことが期待される。終末期の栄養管理を担う管理栄養士には,腎・ 透析領域の専門的なスキルのさらなる向上とともに,緩和ケアの理念や症状緩和への理解,患者 の価値観を引き出すコミュニケーションスキル,多職種との連携・協働のスキルを備えることが 求められる。
  • 齋藤 凡
    2026 年5 巻1 号 p. 47-56
    発行日: 2026/07/05
    公開日: 2026/07/12
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    CKD における緩和ケアは,生命を脅かす病としてCKD を捉え,早期から腎臓支持療法(KSC) として多職種で統合的に提供されるべきアプローチである。看護師は,患者の全人的苦痛(身体 的・精神的・社会的・スピリチュアルな苦痛)に対する包括的な症状管理において中心的な役割 を担う。特に,透析開始や継続の是非といった意思決定の場面では,その複雑性と精神的負担の 高さから,SDM / ACP の実践が不可欠である。看護師は,「透析をするか」ではなく「どう生き たいか」という患者の人生観・価値観を深く探り,「言葉にされない意向」を汲み取る。この支援 は,日常生活を整え,苦痛を最小限にする「実践的なサポート」と,患者の尊厳を守り,一人の 人として傍にいる「人間的なサポート」という2 つの核によって成り立ってる。看護師は,これ らのサポートを通じて,患者と家族がその人らしく最期まで人生を全うできるよう支えている。
  • 等 浩太郎
    2026 年5 巻1 号 p. 57-70
    発行日: 2026/07/05
    公開日: 2026/07/12
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     RA 系阻害薬に加えてSGLT2 阻害薬,GLP—1 受容体作動薬,非ステロイド型MR 拮抗薬が腎 保護効果を持つことが近年の大規模臨床試験によって次々と証明されたことで,糖尿病関連腎臓 病(DKD)に対する薬物治療の選択肢が広がった。本総説ではSGLT2 阻害薬,GLP—1 受容体作 動薬ならびに非ステロイド型MR 拮抗薬の特徴ならびに注意点について概説する。基礎編として それぞれの薬剤の特徴(薬理作用,腎保護効果)ならびに副作用と対策を紹介したうえで,実践 編として指導のポイントならびにフォローアップの着眼点の項目に分けて記載をした。特に実践 編においては,薬剤師のみならず,腎臓リハビリテーションに関与する多職種連携チームにおい て共有すべき内容を重視して記載した。本総説が,DKD における薬物療法の理解促進に寄与する とともに,患者の服薬継続支援の一助となることを期待する。
  • 星野 純一
    2026 年5 巻1 号 p. 71-80
    発行日: 2026/07/05
    公開日: 2026/07/12
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     本総説では,今回新たに発刊される「腎臓リハビリテーション診療ガイドライン2026」の要点 を概説する。2018 年の初版以降に蓄積された新たなエビデンスを踏まえ,Minds に準拠した全面 的な改訂版である。対象は全てのCKD ステージの患者を網羅し,全死亡などのハードアウトカ ムや,身体機能,QOL などのアウトカムに関して系統的レビューを実施した。今回の改訂では, 理学療法士による介入,多職種による包括的療養支援,運動療法と栄養療法の併用に関するシス テマティックレビュー(SR)を新たに行った点が特徴である。さらに社会福祉や行動変容に関す る章を新設し,腎臓リハビリテーションを単に処方する医療から,継続的実践を支援する包括的 プログラムとして再定義した。今回の改訂版におけるSR においても,身体機能や患者中心アウ トカムの改善が一貫して示され,CKD 診療における腎臓リハビリテーションの重要性を支持す る内容になっている。
  • 神徳 和子, 檜垣 靖樹
    2026 年5 巻1 号 p. 81-94
    発行日: 2026/07/05
    公開日: 2026/07/12
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    背景と目的:慢性腎臓病(CKD)の発症・進行予防の運動の有効性について一致された見解は 示されていない。“Exercise is medicine(EIM)”の概念を参考に,運動刺激により分泌される Exerkine は腎保護効果があるか,人を対象とした研究に注目し,Scoping review を行った。  方法:PRISMA2020 に則り,PubMed で文献検索を行った。成人を対象とした研究を選択し, 末期腎不全および透析患者は除外した。  結果および考察:Exerkine の腎保護効果を検討した論文は2 件がヒットし,Irisin 分泌が多い ほどCKD 発症リスクや進行リスクが低いことが明らかとなった。他にもIL—6 などのExerkine が腎保護に関与する可能性についての報告があった。CKD 発症予防とExerkine の関連について はエビデンスの蓄積が今後必要であるが,CKD 発症予防に運動は貢献できる可能性は高い。
  • 槶原 勇人, 倉澤 康之, 北川 孝
    2026 年5 巻1 号 p. 95-103
    発行日: 2026/07/05
    公開日: 2026/07/12
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    【背景】慢性腎臓病(Chronic kidney disease:CKD)患者はstage の進行に伴い運動機能が低下 するため運動療法や身体活動性(Physical activity:PA)の向上が重要である。 【目的】CKD stage G4~5 患者における運動療法やPA の向上に関する研究の全体像を把握し, 既存の介入効果に関する知見を整理し,エビデンスギャップを特定する。 【方法】PRISMA—ScR に準拠し,4 つのデータベースを用いて文献検索を実施した。2 名の独立し たレビュアーが評価を行った。 【結果】採択された10 件(運動療法9 件,PA 1 件)の分析により,中強度の運動療法で筋力・運 動耐容能の維持・改善を認め,中~高強度のPA で死亡率の低下が示された。 【結論】運動療法やPA 向上は有益である可能性が示唆されたが,エビデンス構築にはさらなる研 究報告の蓄積が必要である。
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