日本胸部疾患学会雑誌
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23 巻, 6 号
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  • 沢田 勤也
    1985 年 23 巻 6 号 p. 639-640
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 影山 浩
    1985 年 23 巻 6 号 p. 641-642
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 遊離自家脂肪球による肺水腫発症過程とその超微形態学的変化
    辰巳 明利
    1985 年 23 巻 6 号 p. 643-654
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    ウサギ自家脂肪球を静注する事によって, 急性肺脂肪塞栓症を作成し, その結果招来される肺水腫との因果関係について, その初期病変から治癒過程に至るまでを超微形態学的変化, 肺血管外水分量を指標として追求した. また, オレイン酸を静注した場合や, 自家脂肪球静注に出血性ショックを合併した場合の肺病変とも比較検討した. 体重1kg当り0.1mlの自家脂肪球静注では, オレイン酸注入に比較して, より緩和な肺傷害をみた. 肺血管外水分量は注入24時間後4.59±0.34 (g/g of bloodless dry lung, MEAN±S. D.) でコントール群の3.66±0.20に比較して有意に増加した. 脂肪細胞という形で肺動脈に流入した中性脂肪は, 1次的には広範な機械的塞栓を生じ比較的軽度の肺水腫を生ずるが, 時間の経過に伴い, 2次的に他からの動員を含む遊離脂肪酸の増加, 白血球や血小板の集簇といった多くの因子が関与して肺水腫の程度を増強すると思われた.
  • 須永 吉信, 田中 哲治, 黒沢 元博, 根本 俊和, 笛木 隆三, 小林 節雄
    1985 年 23 巻 6 号 p. 655-659
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    アスピリン喘息 (AIA) では, アスピリンなど多くの非ステ言イド性解熱鎮痛剤により呼吸困難発作が惹起される. このためAIAの発熱, 疼痛時にいかなる薬剤を投与すべきか問題となっている. 著者らは, 古来より解熱鎮痛剤として用いられている地竜 (ミミズ, Lumbricus spencer) がAIAにいかなる影響を与えるかを検討し, 以下の成績が得られた. 1) AIAに地竜エキス500mgを投与し自他覚症状とFEV1, FVCを観察したが, 喘息症状に変化は認められなかった. 2) AIAに地竜エキスを1日1,500mg連続3日間または7日間投与し喘息症状とPEFRを観察したが, 投与前後にほとんど変化は認められなかった. 3) AIA発熱時に地竜エキス500mgを投与したところ喘息症状の悪化なく解熱効果が認められた. 以上の結果より, 地竜はAIAに対し安全に使用できる解熱剤であると考えられた.
  • 浦田 誓夫, 伊藤 幸治, 宮本 昭正
    1985 年 23 巻 6 号 p. 660-665
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    ヒト生体内に存在する主要な蛋白分解酵素阻害剤であるα1-アンチトリプシンのヒト好塩基球からのヒスタミン遊離に及ぼす影響を検討した. α1-アンチトリプシンは生理的血中濃度 (2.0~5.0mg/ml) でIgE刺激系 (IC50: 2.0mg/ml) あるいはCa2+イオノフォアA23187刺激系 (IC50: 3.0mg/ml) によるヒト好塩基球からのヒスタミン遊離を濃度依存的に抑制した. この抑制作用はトリプシンにて解除され, また抑制効果発現の速さ, 可逆性の検討から蛋白分解酵素阻害作用に特異的と考えられる. α1-アンチトリプシンはヒスタミン遊離機構のCa2+に依存しない第1相のみに影響する. 健常人の血漿そのもの (α1-アンチトリプシン2~3mg/mlを含む) はヒスタミン遊離に影響せず, 生理的には血漿中ではα1-アンチトリプシンは蛋白分解酵素と結合することにより効果は中和されていると考えられる. しかし炎症, アレルギー等の血中のα1-アンチトリプシン濃度の亢進時や局所の組織中では生体内でヒスタミン遊離に関与している可能性が示唆される.
  • 大串 文隆, 安岡 劭, 尾崎 敏夫, 新居 康生, 土居 裕幸, 河野 知弘, 曽根 三郎, 螺良 英郎
    1985 年 23 巻 6 号 p. 666-673
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    肺胞マクロファージ (AM) が in vitro で刺激により平滑筋収縮物質を放出することを見出し, その本態を生物学的, 生化学的に検討した. ラットAMを zymosan (zy) で刺激すると, 培養上清に slow reacting substance 様収縮パターンを示す平滑筋収縮物質が放出された. AMを種々の刺激物質で刺激すると, zy と opsonized zy の比較ではその放出に差はなかったが, 羊赤血球 (SRBC), opsonized SRBC では, 後者の刺激時にその放出は亢進していた. この平滑筋収縮物質は分子量が1,000以下, 耐熱性で, エタノールに抽出された. またアラキドン酸リポキシゲナーゼ阻害剤により, その生成が阻害された. 本物質は逆層高速液体クロマトグラフィー法で標品の leukotriene C (LTC) に一致する分画に溶出された. 以上の結果はAMが刺激に応じ放出する平滑筋収縮物質はアラキドン酸リポキシゲナーゼ代謝物である節LTCであり, また, AMが刺激物質を貧食することにより本物質の放出が促進することが示唆された.
  • 河端 美則, 守 純一, 岩井 和郎
    1985 年 23 巻 6 号 p. 674-678
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    呼吸器臨床で日常的に実施されている気管支造影に伴った造影剤肺炎について報告した. 過去3年間に気管支造影後, 外科的に切除された切除肺を検索した. 造影剤肺炎がみられた5例に対し, 軟X線撮影並びに肉眼的・組織学的検討を行った. 2例に, 1肺葉・多発性・融合性病変が, 1例に, 1区域・多発性・融合性病変が, 2例に1区域・散在性病変がみられた. 病変は呼吸細気管枝腔内での造影剤 (好酸性無構造物質・コレステリン結晶), 各種炎症細胞とそれをとりかこむ組織球層とその外側の周局炎であり, 対応する肺動脈・細動脈に血管炎がみられた. 病理学的には血管炎を伴った, 異物性, 壊死性肉芽腫性肺炎である. 気管支造影剤が末梢気腔へ導入されて, 排除されない場合の反応であり, 今後の気管支造影時の注意すべき点である.
  • 小西 一樹, 小室 淳, 伊東 宏昭, 国部 久美, 二宮 由香里, 村上 静一, 毛利 孝, 田村 昌士
    1985 年 23 巻 6 号 p. 679-690
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    過去5年間に経験した農夫肺17例の臨床像について解析した. 患者はすべて酪農を営んでおり酪農歴は平均18.6年であった. 発病時期は乳牛に保存飼料を与える降雪期に集中していた. 沈降抗体は Micropolyspora faeni 11例, Thermoactinomyces vulgaris 8例に陽性であり5例はこれら両抗原に重複して陽性であった. 呼吸機能所見で強い低酸素血症を示した症例が多く, VCおよび DLco の低下と併せて間質性病変に基づく障害であることが示唆された. 胸部X線写真では両肺野の微細粒状ないし小粒状の散布性陰影が特徴的であった. 全例に経気管支肺生検を実施し, 肉芽腫を伴う胞隔炎が確認された. 気管支肺胞洗滌では回収細胞数の増加とTリンパ球比率の増加が観察された. 岩手県北部の酪農地域で農夫肺発症の疫学的背景因子を調査した. 酪農従事者の沈降抗体陽性率は3.5%であり, Micropolyspora faeni に対する陽性者がもっとも多かった. 陽性者は陰性者よりも飼養牛頭数が有意に多かった.
  • アトピー素因並びに初期気道内径との関連性
    平井 英幸, 我妻 千鶴, 山岸 雅彦, 野村 直弘, 高畠 博嗣, 能登屋 久志, 関根 球一郎, 鈴木 明
    1985 年 23 巻 6 号 p. 691-698
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    64名の軽症の気管支喘息患者を対象に, 喘息の発症原因をアトピー性素因の有無によって二つの病型に分類した. そして初期気道内径の状態とアストグラフ法による気道過敏性を測定し, 判別分析によって病型別差異を検討した. 同時に対象例の一部 (20名) について,アストグラフ法に経皮血液ガスモニターを組合せることにより気道過敏性検査を行い, 気道収縮反応部位に関しても検討を加えた. その結果, 初期気道内径と気道過敏性を同時に考慮しても病型別差異を認めなかった. 気道過敏性検査における気道反応部位については, 病型別差異よりも初期気道内径の大きさに有意に影響された. すなわち気道収縮反応部位が中枢気道優位か末梢まで及ぶかは, (%) FEV1.0 (予測値に対する比率) で85.7~87.5%, (%) Grs. cont で75.8~79.4%, (%) V25で27.0~31.9%の初期気道内径の大きさを境にして分けられる.
  • 村田 嘉彦, 佐藤 信英, 倉島 篤行, 山岸 光夫, 大和 剛
    1985 年 23 巻 6 号 p. 699-703
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    オフセット印刷従事者にみられた希土類による塵肺症の2例を経験した. 50歳男と61歳男の2例で, それぞれ10年間と24年間希土類を含んだアーク灯燃焼煙の吸入歴がある. 胸部レントゲンではびまん性の小粒状線状影を呈し, その濃度の高い点を特長とした. いずれもTBLB標本のX線回析によりセリウムを主体とする希土類が検出され, 第2例では鉄やクロムの粒子も認められた. 以前に粟粒結核として治療を受けた例もあり, びまん性肺疾患の鑑別において注意すべき疾患である.
  • Dynamic CT 所見を中心に
    三沢 卓夫, 本郷 実, 大久保 信一, 山田 博美, 松岡 健, 曽我 直子, 河野 純, 草間 昌三
    1985 年 23 巻 6 号 p. 704-708
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は57歳の女性で喀血を主訴として当科へ入院した. 左背面下部に湿性ラ音を取聴するが, 血管性雑音, チアノーゼ, バチ状指は認められない. 胸部X線上左下肺野に均一な塊状陰影とそれに連なる索状陰影を認める. Dynamic CT 所見: 下行大動脈の左やや前方に異常構造物があり, 右室, 肺動脈の造影時相に一致して, その一部が造影され, さらに下行大動脈の造影時相に一致して, 索状構造物が強く造影された. また左房に関心領域を設定し, time-density curve を作成すると, 2峰性のパターンを呈していた. 肺動脈造影, 大動脈造影により, 左肺動静脈奇形を伴った肺葉内肺分画症と診断した. 喀血は慢性気管支炎が原因と考えられた. 本症例の肺葉内肺分画症の診断および肺動静脈奇形の存在の推定には, Dynamic CT がきわめて有用であった. 本症例は Pryce I 型およびIV型に類似するが, 厳密にはどの型にも分類し得ないと考えられ興味深い.
  • 大崎 能伸, 羽根田 俊, 清水 哲雄, 山下 裕久, 飛世 克之, 小野寺 壮吉
    1985 年 23 巻 6 号 p. 709-714
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    43歳の女性が定期健康診断で, 胸部X線写真上の異常を指摘されて, 精密検査のため当科を紹介された. とくに自覚症状はなく, 既往歴, 生下時にも問題はなかった. 理学的所見では, 脈拍数が50/分と徐脈の傾向を示したほかには異常はなかった. 心電図上, ときに洞停止と補充収縮がみられ, 洞機能不全が疑われたが, P波の形は正常であった. 胸部X線写真上, 左肺野の塊状陰影のほか, 奇静脈弓が横径で2.0cmと拡大していた. 心胸郭比は44%で心陰影の形状は正常であった. 側面写真では, 心陰影の後方に血管性の成分がみられた. 血管造影法により, 下大静脈から奇静脈を介して右房に至る血管の異常走行がみられ, これは側面ではいわゆる“candy cane”像を呈した. 以上より他に合併奇形をともなわない奇静脈代行型下大静脈欠損症と診断した. 本症の成因, 診断上の問題点につき検討した.
  • 広松 雄治, 中村 雅博, 石橋 凡雄, 篠田 厚, 入江 康司
    1985 年 23 巻 6 号 p. 715-719
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    49歳女性. 健診にて胸部異常陰影を指摘されて来院. 胸部X線検査にて右S3a領域に浸潤影および右肺門部に石灰化陰影を認め, 肺結核または肺癌を疑われて入院した. 喀痰検査にて結核菌陰性, 悪性所見なし. ツ反陽性, 炎症所見 (一). 入院時の気管支鏡検査では, 右B3a入口部に表面平滑な半球状の腫瘤とB3aの閉塞を認め, 生検の結果は炎症性肉芽組織であり, 確定診断がつかなかった.
    胸部CTスキャンにて, 右B3aに石灰化物およびその末梢側に無気肺様陰影を認め, その特徴的所見より気管支結石症の存在が強く示唆された.
    繰り返し気管支鏡検査を行い, 経過を観察したところ, 徐々に石灰化物が露出し, 気管支結石症の確診が得られた.
    本例は結核による石灰化リンパ節の気管支内穿孔と考えられたが, 結石の成分分析では従来の報告と成分比が異なっていた.
  • 田村 尚亮, 篠原 直樹, 山田 充宏, 富永 滋, 稲富 恵子, 本間 日臣, 池本 秀雄, 石田 康生, 白井 俊一, 金光 俊尚
    1985 年 23 巻 6 号 p. 720-725
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    鉄工所勤務の50歳の男性が, 硝酸系ステンレス防錆剤塗布作業中に発生した酸化窒素ガスおよびフッ化水素ガスを吸入し, 呼吸困難, 息切れ, 血痰等の症状を呈した. 2日後の胸部X線写真は両側肺門から拡がるびまん性浸潤影を示した. 7日後の入院時検査でFEV1.0%とPaO2の軽度低下を認めた. TBLBでは治癒傾向にある呼吸細気管支炎を認め, BALF所見では総細胞数と空胞変性を伴なう大型のマクロファージが増加していた. NO2ガス吸入例では線維性閉塞性細気管支炎 (BFO) の予防のため一般にステロイドが長期投与されるが, 本例では経過中一度も使用せず, 一年経過後も異常を認めない. 一年後のBALF所見では総細胞数, 細胞分画共に正常化していたが, Leu7陽性率のみ健常者に比して上昇していた. BALF中のマクロファージの数的, 質的変動を認めたことより, BFOの発生に対するマクロファージの役割について検討した.
  • 木下 牧子, 宮崎 正信, 伊藤 敏雄, 佐野 靖之, 石橋 弘義, 可部 順三郎
    1985 年 23 巻 6 号 p. 726-732
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    IPFに対する治療法はいまだ確立されておらず, その中でも急速に進行する Hamman-Rich 型は, 特に治療抵抗性で, 予後不良である. 私達は, 大量のステロイド剤による治療中に再発した急速進行性のIPFに対し, プラズマフェレーシスを施行し, 良好な結果をえた.
    IPFの病因は不明であるが, 免疫複合体によって活性化された肺胞マクロファージの役割が注目をあつめている. プラズマフェレーシスは, 血中よりICを除却することを目的に行なわれているが, このような液性免疫だけではなく, 細胞性免疫に対しても何らかの変化を与えている可能性が示唆されている. IPFの病因, プラズマフェレーシスの作用機序, 共に不明ではあるが, 以上のような仮説に立つならば, プラズマフェレーシスは, 急速進行性の予後不良のIPFに対し, 試みるべき価値のある治療法と思われ, 報告した.
  • 半沢 儁, 和田 源司
    1985 年 23 巻 6 号 p. 733-738
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    肺良性腫瘍のなかでも, 稀と思われる, 気管支内に発育した軟骨腫に対して, 外科的切除を行い治癒せしめた1例を経験したので報告する. 症例は27歳, 女性. 主訴は咳嗽と喀痰である. 約3年前より, 発熱とともに上記症状を繰り返し, 左上肺野の異常陰影を指摘され, 肺炎として治療を受けていたが, 症状の発現頻回となり当院に入院した. 胸部X線写真上, 左上肺野に浸潤影あり, 気管支造影及び内視鏡検査にて, 左主気管支の腫瘤による狭窄が認められたが, 生検および細胞学的検査では悪性所見は認められなかった. 気管支内良性腫瘍と, これによる慢性閉塞性肺炎が疑われ, 左上葉切除兼気管支管状切除術が施行された. 腫瘍は, 組織学的に, 気管支内に発育した軟骨腫と診断された. 患者は, 36ヵ月後現在健在であり, 従前通りの生活に復している. 著者等の検索した限り, 本例は本邦における endobronchial chondroma の6例目に相当すると思われる.
  • 渡辺 古志郎, 安田 三弥, 井上 正, 玉井 精一
    1985 年 23 巻 6 号 p. 739-745
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は49歳女性, 死亡4ヵ月前より, 前胸部痛, 背部痛, 徐々に増強する呼吸困難を認め, 臨床経過および, 胸部CTスキャン, 肺動脈造影所見より, 肺動脈本幹の腫瘍と診断し, 手術を施行したが, 術後1ヵ月で死亡した. 剖検では, 腫瘍は, 肺動脈弁を巻き込む肺動脈起始部より肺動脈本幹, 右肺動脈主幹にかけて認められ, 肺, 胸膜, 副腎に転移していた. 組織学的には, 酵素抗体法により横絞筋肉腫と診断され肺動脈原発性肉腫では本邦初例と思われる. 肺動脈原発性肉腫は, 極めて稀な腫瘍であるが, その予後は不良なことが多く, 治療としては, 手術により切除することが最も確実といわれている. この為にはできるだけ早期に診断をつけることが必要であるが, 最近, CTあるいは超音波検査などの非侵襲的検査により肺動脈本幹の腫瘤を把握することができるようになった. 本疾患が疑われる場合には, まずこれらの検査を施行すべきであると考える.
  • 大野 喜代志, 中原 数也, 辻本 雅一, 藤井 義敬, 橋本 純平, 北川 陽一郎, 前田 元, 城戸 哲夫, 藤本 祐三郎, 池田 正人 ...
    1985 年 23 巻 6 号 p. 746-750
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    72歳男性. 右側背部痛を主訴として入院した. 胸部X線写真および胸部CT写真上, 多発性胸壁腫瘍が疑われた. 経皮針生検にて, 悪性線維性組織球腫と診断された. 67Gaシンチグラムと腹部CT写真では, 他部位に病変は検出されなかった. 以上から, 胸壁原発悪性線維性組織球腫と診断された. 放射線療法を行ったが, 効果はみられず不変退院した. 退院後6ヵ月目に, 消化管出血で死亡した.
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