日本胸部疾患学会雑誌
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24 巻, 8 号
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  • 日置 辰一朗
    1986 年 24 巻 8 号 p. 825-826
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 岡田 修, 内藤 隆, 河内 文雄, 山岸 文雄, 栗山 喬之, 椙田 隆, 渡辺 昌平
    1986 年 24 巻 8 号 p. 827-834
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    肺高血圧症の治療に対する nifedipine (NFP) の有用性について調べる目的で, 慢性肺疾患36例を肺高血圧症を伴わない群 (non PH群) 18例と伴う群 (PH群) 18例の2群に分け, 100%酸素吸入およびNFP 10mg舌下投与後の循環動態, 血液ガスおよび肺血管外熱容量の変化を比較検討した. NFP投与後, 両群ともC. I. は増加し, PAo, TPRは低下したが, PPAはほとんど変化せず, PARはPH群のみ有意に低下した. 両群ともPaO2は低下したが, PvO2および酸素運搬能は有意に増加した. 肺血管外熱容量は, 100%酸素吸入およびNFP投与後ともPH群でのみ有意な増加を示した. NFPによるPAR低下度と酸素によるPAR低下度との間に有意な相関が認められたことから, NFPは低酸素性肺血管攣縮を抑制することが示唆された. またNFPによる肺血管拡張作用は, 投与前の肺血管の緊張状態が強いほど大であり, 肺高血圧症を有する慢性肺疾患の肺血管拡張療法に有用であると考えられた.
  • 白日 高歩
    1986 年 24 巻 8 号 p. 835-843
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    雑種成犬を対象とした一側肺の移植後に, 対側肺動脈の閉塞試験を実施して移植肺の循環動態についてチェックした. 閉塞試験はスワンガンツカテーテルに特殊なバルーンを附着させ, 10分間一側肺動脈を閉塞し, その前後のコントロール値との圧差を検討するものである. 閉塞試験は術直後, 2日目, 7日目, 14日目に実施した. この方法によれば対側肺動脈の結紮によらずとも移植肺の生着状態・機能を推定し得ると考えられた. 対側肺動脈の閉塞により肺動脈圧の上昇がみられる場合, 血管吻合部異常あるいは移植肺に対する拒絶反応が生じていると判断された.
  • 坂田 一美
    1986 年 24 巻 8 号 p. 844-857
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    ウサギ42羽に細切した新鮮自己人工血栓を2週間に1回合計4回静注し, 最終注入の1週から3ヵ月後まで再発性肺血栓塞栓症の肺病変を観察した. 血栓最終注入から1~2週後は, 血栓塞栓性肺動脈炎と血栓が存在しない小動脈内膜の血管炎に続く全周性線維性肥厚により, 内腔狭窄が認められた. 1ヵ月後小動脈壁の炎症性変化は消退するが, 内膜の全周性線維性肥厚は増強して血管腔はほとんど閉塞し, 外膜寄りの中膜平滑筋細胞に excrescence が認められた. しかし3ヵ月後小動脈の壁肥厚はみられるが, 内腔狭窄は減退した. また肺動脈平均血圧は1週および1ヵ月後は漸次上昇したが, 3ヵ月後はほぼ対照値に戻るので, 再発性肺血栓塞栓症における肺高血圧症は可逆的なものと思われる. また肺高血圧発生病理の主役は血栓塞栓性肺動脈炎ではなく, 血栓が存在しない部の小動脈内膜炎に続く全周性肥厚に基づく内腔狭窄であると示唆される.
  • 岡野 弘, 立花 昭生, 谷本 普一, 中田 紘一郎, 中森 祥隆, 蝶名林 直彦, 中谷 龍生, 吉村 邦彦, 原 満
    1986 年 24 巻 8 号 p. 858-864
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    肺アスペルギローマをもつ自験22例の免疫学的反応について検討した. A. fumigatus の皮内反応は―相性の即時型が特徴的であった. 症例の30%が血清IgE高値, A. fumigatus のIgE型特異抗体が陽性であり, IgE値が12,000IU/ml以上の症例も認めた. A. fumigatus の沈降抗体は症例の約70%が陽性であり, A. fumigatus によるリンパ球刺激試験は症例の50%が陽性であった. 本症例中には自験のアレルギー性気管支肺アスペルギルス症の免疫学的反応と差のない症例も認めた. 本症例の62%がツ反の陰性または偽陽性であり, 剖検肺で活動性結核性病巣を認めたツ反陰性の2例から本症治療上, 注意すべき点と考える. 本症の免疫学的反応は本症の診断. 治療, 病態を考える上に有用と考える.
  • 中西 重清, 平本 雄彦, 有田 健一, 土井 正男, 加藤 博也, 江島 剛, 重信 順也, 西本 幸男, M. Nazir Ahmed
    1986 年 24 巻 8 号 p. 865-870
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    低酸素性肺血管攣縮 (HPV) の発生機序は未だに解明されていない. 今回著者らは, HPVにおけるロイコトリエンの関与を明らかにすることを目的として本実験を施行した. 雑種成犬を用い左下葉とその他の肺葉を分離換気し, 5-リポキシゲナーゼ阻害剤 (ロイコトリエン合成阻害剤) であるAA-861投与前後に左下葉のみに低酸素負荷を施行し, AA-861のHPVに及ぼす影響について検討した. AA-861投与前後で, HPVの変化は認められなかった. またモルモット回腸を用いたバイオアッセイ法により, 低酸素負荷前後に左下葉肺静脈より採取した血液中並びに左下葉肺組織中のSRS-A (slow reacting substance of anaphylaxis) を測定した. 採取した血液中並びに肺組織中にSRS-Aは検出されなかった. これらの実験成績より, 犬におけるHPVの発生にはロイコトリエンの関与は少ないと推測した.
  • コンピューターによる統計学的解析
    池田 初恵, 加藤 政仁, 武内 俊彦
    1986 年 24 巻 8 号 p. 871-877
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    健康成人男子448名を対象として喫煙の肺機能に対する影響について調べた. 1) 喫煙本数に最も鋭敏に影響されるのは%FEV1.0 (FEV1.0/predicted%) であったが, 喫煙本数や喫煙年数, およびそれらの相乗作用を含む喫煙全体の影響は Tiffeneau の一秒率 (FEV1.0/VC%, FEV1.0%-T), V25, V25/HTで強かった. 2) 喫煙の影響は, Gaensler の一秒率 (FEV1.0/FVC%, FEV1.0%-G) では認められず, 喫煙の影響の評価として Tiffeneau の一秒率を用いる方が有意義と思われた. 3) 年齢や身長の影響を緩和するため, 予測値に対する百分率を求めたが, その影響はほとんど緩和されなかった.
  • カレッド レシャード, 乾 健二, 高橋 豊, 糸井 和美, 中野 豊, 坂本 益雄, 鈴木 清
    1986 年 24 巻 8 号 p. 878-883
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    健常者108名, 非腫瘍性呼吸器疾患患者227例, 原発性肺癌患者95例および転移性肺腫瘍20例に扁平上皮癌関連抗原 (SCC-Ag) を測定し, その意義について検討した. 健常者の男性56名, 女性52名における平均値は1.4ng/ml (陽性率6.5%) で男女間には有意差が認められたが喫煙の影響はなかった. 非腫瘍性呼吸器疾患の平均値は2.01 (陽性率は24.3%), 原発性肺癌では3.51ng/ml (45.2%), そして転移性肺腫瘍のそれは2.81ng/ml (30.0%) であった. 一方, 組織型別では, 扁平上皮癌 (40例) におけるSCC-Agの平均値は4.48ng/ml (陽性率67.5%) で他のいずれの組織型よりも高値を呈した・原発性肺扁平上皮癌の各病期での陽性率はI期75%, II期44.4%, III期76.9%, IV期は70.0%で, 各病期に高値を示した. また, その予後とも正の相関が認められた. Combination assay においてはCEAやTPAとの組み合わせがより高率であった. 以上のようにSCC-Agは原発性肺癌特に扁平上皮癌の診断, 病期分類や治療効果判定および再発の予知に大変有用と思われた.
  • 田草川 君彦, 麻生 昇, 佐藤 俊夫, 今野 淳
    1986 年 24 巻 8 号 p. 884-893
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    マウスにナフタレンを投与し, 経時的に主に細気管支上皮細胞の変性, 崩壊, 再生過程について, 光顕, 走査電顕, 透過電顕により観察した. 又, チトクロームP-450の阻害剤である piperonyl butoxide とナフタレンの組合わせにより, チトクロームP-450の局在について検討した. ナフタレン投与2時間後に, クララ細胞に変化が見られ, 2日後にはその変化は最高に達し, クララ細胞, 線毛細胞の壊死, 剥離が見られた. しかし2日後にはクララ細胞の分裂像が見られた. 7日以内に細気管支上皮は回復した. 肺胞I型細胞, II型細胞, 血管内皮細胞, 平滑筋細胞, 横紋筋, 線維芽細胞, axon, Schwann 細胞等にも変化が見られた. piperonyl butoxide を前もって投与しておくと, ナフタレンによる変化は阻止された. チトクロームP-450はクララ細胞では, 滑面小胞体, 粗面小胞体, 核膜周囲胞に存在する.
  • 北村 諭, 和頴 房代, 木下 美登里, 林 隆司郎, 渡辺 晴雄, 高久 史麿
    1986 年 24 巻 8 号 p. 894-899
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    過去30年間の入院症例で, 死亡退院した白血病剖検症例191例について剖検報告の記載と臨床病歴, 可能な限り死亡直前の胸部X線写真とを対比し詳細な検討を加えた. 何らかの肺・胸郭内病変を有する症例は178/191例 (93.2%) であった. 出現頻度の高いものは, 肺内出血62例 (32.5%), 肺水腫58例 (30.4%), 肺うっ血54例 (28.3%), 白血病の肺浸潤53例 (27.8%), 気管支肺炎48例 (25.1%), 胸水貯留30例 (15.7%), アスペルギルス症25例 (13.1%) などであった. 出現頻度の低いものとしては, 肺梗塞, 肺膿瘍, 無気肺が各12例 (6.3%), 肺ムコール症, カンジダ症各8例 (4.2%), ニューモシスティス・カリー肺炎, 肺塞栓症が各7例 (3.7%), 間質性肺炎4例, 血胸, 肺門リンパ節腫大が各3例, そのほかに粟粒結核, 気胸が各2例などであった. 肺・胸郭内病変は1種類のみの場合は少なく, 多くの症例で2~7種類の病変を併有していた.
  • 青木 茂行, 松岡 緑郎, 三重野 龍彦, 石原 照夫, 岡崎 宣夫, 檀原 高, 荒井 達夫, 吉良 枝郎, 二ノ村 信正
    1986 年 24 巻 8 号 p. 900-905
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    46歳の女性が呼吸困難を主訴に入院となった. 胸部X線写真上, 輪状影及び多発性嚢胞が全肺野にびまん性にみられ, その進行は比較的急速であった. TBLBによる確定診断は施行し得なかったが, 肺機能検査上は閉塞性であることなどから臨床的にびまん性過誤腫性肺脈管筋腫症と診断した. 呼吸不全状態に対し, 入院後約3年間の長期にわたり酸素療法を施行した. 経過中約1年半にわたり PaCO2 75 Torr 以上の著明な hypercapnia を呈したが, 十分な代償機転が作用し日常生活を維持できた. 本症を示唆する胸部X線像の特徴として肺の過膨張所見が従来から強調されてきたが, 本症例ではむしろ小嚢胞を伴う網状粒状影が主体であった. 剖検所見より胸部X線像を帰納すると, 小嚢胞は気腔内面に増生した平滑筋によるものであり, 網状小粒状影は結節状に増生した平滑筋であることが示唆された. また本症例の中枢側気道には特に狭窄所見は認められない点を考えれば, 本症に特有な閉塞性所見はびまん性の呼吸細気管支, 終末細気管支領域での平滑筋の異常増生の結果によることが示唆され, 気腫性嚢胞の多発もこれらの部位の狭窄による air-trapping と考えられた.
  • 小林 理, 阿部 良興, 鈴木 栄一, 星野 重幸, 原口 通比古, 俵谷 幸蔵, 永井 明彦, 来生 哲, 荒川 正昭, 佐藤 啓一, 小 ...
    1986 年 24 巻 8 号 p. 906-913
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    胸部レ線上過膨張所見を呈し, 進行性の呼吸困難を呈した1剖検例を報告した. 呼吸機能は著しい閉塞性障害を示し, プレドニゾロンやメドロキシプロゲステロンの治療に抵抗し, 過膨張所見と呼吸困難は進行して死亡した. 剖検では, 小気管支から非呼吸細気管支にかけて, 主として粘膜固有層に肉芽組織が存在し, 山中らの閉塞性気管支細気管支炎に近い所見と思われたが, 主として気管支壁内に著しい泡沫細胞の集合像を認めた点が興味深かった.
  • 並河 尚二, 竹内 義広, 木村 誠, 笠井 寛司, 柏木 秀雄, 吉村 平, 草川 實
    1986 年 24 巻 8 号 p. 914-917
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    少年期に犬を飼ったことのある39歳. 男性. 公務員が健診によって左舌区の Coin lesion をX線検査で見出され来院した. 術前良性腫瘍を疑い, 開胸したところ左S4に2cm径の腫瘤を認め部分切除を施行した. 術後の病理検索では肉芽の中央にその形態からみて Dirofilaria immitis の雄らしき虫体を発見した. 本症の本邦での報告は21例とまれであり, これら集計分析の結果と共に報告した.
  • 鈴木 幹三, 岸本 明比古, 山本 俊幸, 足立 暁, 山本 和英, 蜂矢 仁, 白井 智之
    1986 年 24 巻 8 号 p. 918-923
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    78歳で発症し, 播種性カンジダ症の合併を認めたびまん性汎細気管支炎 (DPB) の1剖検例を報告した. 症例は79歳, 男性. 78歳より咳嗽, 喀痰が, 79歳より息切れが出現し, 当院へ入院した. 慢性副鼻腔炎を認め, 胸部では水泡音, 喘鳴音を聴取した. 胸部X線像では, 全肺野に粒状影と両下野にトラムラインがみられ, 臨床的にDPBと診断した. 抗生剤治療を行ったが, やがて Pseudomonas aeruginosa に菌交代し, 呼吸不全を伴うようになった. ステロイド剤の併用と抗緑膿菌抗生剤を使用したが, 発症より約2年の経過で呼吸不全により死亡した. 剖検では, 肺は典型的なDPBの所見を示し, 一部に巣状肺炎あるいは嚥下性肺炎の合併がみられた. また, 播種性カンジダ症による多発性微小膿瘍を, 肺, 肝, 腎, 心, 膵, 脳に認めた.
  • 1986 年 24 巻 8 号 p. 924-936
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 1986 年 24 巻 8 号 p. 937-940
    発行日: 1986/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
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