日本胸部疾患学会雑誌
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25 巻, 2 号
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  • 信太 隆夫
    1987 年 25 巻 2 号 p. 141-142
    発行日: 1987/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 伊東 祐之
    1987 年 25 巻 2 号 p. 143-148
    発行日: 1987/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    気道平滑筋細胞の収縮発生機序を調べるため, イヌ気管平滑筋を用いて実験をおこなった. 神経刺激によっておこる反応はアセチルコリン (ACh) の放出により発生し, その放出機構は神経末端で合成される内因性プロスタグランジン類により調節されていることがわかった.気道平滑筋の収縮は電位依存性のCa++チャネルを介した自発活動を示す消化管平滑筋型のものではなく, 血管平滑筋に近い性質を示したが, 細胞内Ca++貯蔵部位に貯えられているCa++量は血管平滑筋に比し極めて多く, 放出されたAchは受容器を介して, 細胞内貯蔵部位からCa++を遊離させ, その結果収縮を惹起させると考えられた. 又, 気道平滑筋ではCa++遊離機構にイノシトール3リン酸が関与している可能性が非常に強いことが推測された. このような気道平滑筋自体の特性や, 各種内因性物質の平滑筋に対する作用が, 様々に影響を与えながら気道平滑筋の緊張 (トーヌス) は維持されており, 気管支攣縮の発生には神経作用因子も深く関与していることを示している.
  • 金野 公郎, 川上 義和
    1987 年 25 巻 2 号 p. 149-202
    発行日: 1987/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 寺田 泰二, 松延 政一, 室 恒太郎, 呉 俊雄, 千原 幸司, 外村 聖一, 清水 慶彦
    1987 年 25 巻 2 号 p. 203-209
    発行日: 1987/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    我々は, 最近2年間にマイコプラズマ肺炎を30例 (男16例, 女14例) 経験し, そのうち重症のマイコプラズマ肺炎15例 (男7例, 女8例) に, EMまたはDOXYにハイドロコーチゾン (5mg/kgを5~7日間) の併用療法を行った. その結果, 解熱効果, 鎮咳効果, 胸部X線写真上異常影の消失時間のいずれにも著効を認めた. 文献的にも, 免疫抑制された動物がマイコプラズマの感染実験にて非抑制群に比べ肺病変が軽度であるという報告などがあり, 我々は重症マイコプラズマ肺炎を, マイコプラズマ感染により生ずる宿主の免疫過敏状態によるものであると考えた. 従って, 重症マイコプラズマ肺炎における短期間のステロイド併用は, 治療学的に宿主の局所免疫過敏状態を改善する意味できわめて有意義であると考えられた.
  • 星野 重幸, 幸村 克喜, 保坂 公徳, 五十嵐 英夫, 俵谷 幸蔵, 来生 哲, 荒川 正昭
    1987 年 25 巻 2 号 p. 210-215
    発行日: 1987/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    サルコイドージス (以下サ症) の気道過敏性を検討する目的で, ステロイド未使用の非喫煙者であるサ症20名について, 呼吸機能検査およびアストグラフによるメサコリン吸入試験を行い, 気管支喘息43名および健常者20名と比較検討した. 1) サ症では1%以下の危険率で, 健常者より有意に気道過敏性閾値 Dmin が低値であり, 気道過敏性の元進を認めた. 2) Dmin と罹病期間には相関は無く, 胸部X線病型I型とII, III型の間にも有意差は無かった. 3) Dmin と%VC, FEV1.0%, %MMF, %V50, %V25, %ΔV50, %ΔV25, %Visov との間に相関は無かった. 4) Dmin とサ症の活動性を反映するとされる血清ACE活性の間に, 2%以下の危険率で有意の相関が認められた. 5) 気管支鏡所見で粘膜の毛細血管拡張や発赤などの炎症所見が, Dmin が50unit以下の例に多い傾向があった. 以上より, サ症の気道過敏性の亢進は, 活動性病変による気管支粘膜の炎症性変化に関連することが示唆された.
  • 谷村 一則, 清水 透, 本間 行彦, 小笠原 英紀, 日下 大隆, 井上 幹朗, 浮田 英明, 伝住 直美, 宮本 宏, 川上 義和
    1987 年 25 巻 2 号 p. 216-221
    発行日: 1987/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    特発性間質性肺炎 (IIP) 67例中10例 (15%) に肺癌合併が認められた. 一方, 原発性肺癌440例の初診時の胸部X線写真を retrospective に読影した結果, IIP所見を10例 (2%) に認めた. これら両者の肺癌合併例合計20例についてみると, IIPとしては経過の長い非定型例が多く, IIP肺癌非合併例と比較して, 男性19人, 女性1人と圧倒的に男性に多く, 全例喫煙者で, 平均年齢は66±8歳 (mean±S. D.) (51~79歳) で高齢者に多かった. 呼吸機能検査所見では, IIP肺癌非合併例に比べて肺癌合併例は, 肺気量分画は正常であったが, 閉塞性障害が軽度に認められた. また肺拡散能力は正常より低下していたが, 肺癌非合併例に比べて差はなかった. また一般の肺癌と比較して, 癌はIIPの好発部位である下肺に多く発生し,組織型は腺癌が最も多かった. 病期は, 発見時に stage IVと転移を認める例が10例 (50%) と多かった. 以上から, IIPには肺癌が発生しやすく, 両疾患には強い関連のあることが示唆された.
  • Nocturnal Asthma との関係
    徳山 研一, 森川 昭広, 木村 利定, 望月 博之, 舘野 幸司
    1987 年 25 巻 2 号 p. 222-228
    発行日: 1987/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    施設入院中のアレルギー性喘息児のうち, 入院前 nocturnal asthma (NA) を頻発した34名について, その発症時間等をアンケート調査した. その結果, 発症時間に関しては夕方 (午後5時から8時頃迄) から, と答えた症例が比較的多かった. このような症例のうち, 入院後の夕方の肺機能が日中に比べ有意に低下していた喘息児8名を対象として夕方の肺機能の低下と迷走神経機能との関係を検討し以下の結果を得た. 1) 心電図測定による, R-R間隔の変動係数 (CVR-R) は日中に比べて夕方で有意に増加した. 2) 抗コリン剤の吸入により, 夕方の肺機能が有意に改善した. 更に対象のうち入院後もNAを頻発していた2例では夕方の肺機能値とNAの出現の有無が有意に相関した. 以上より, 夕方の肺機能の低下に対し迷走神経系の関与が示唆された. また夕方から発作症状の出現をみるNAの症例に対しては抗コリン剤の投与がNAの予防上有効となり得る可能性が示唆された.
  • 道津 安正, 真崎 美矢子, 増山 泰治, 山下 京子, 岡 三喜男, 古賀 宏延, 河野 茂, 重野 芳輝, 神田 哲郎, 山口 恵三, ...
    1987 年 25 巻 2 号 p. 229-239
    発行日: 1987/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    著者らは1977年から1986年までの10年間に11例の原発性肺クリプトコッカス症を経験したので, その臨床像と内科的治療成績について検討した. 診断は全例経気管支的肺生検 (TBLB) もしくは経皮的肺生検によって行った. 臨床症状, 検査所見, 胸部レントゲン写真よりクリプトコッカス症を疑う事はできても, 他の疾患 (肺癌, 肺結核, 肺化膿症) との鑑別は困難であった. 免疫学的検査では全身の細胞性免疫の低下を示唆する所見が得られた. 治療は, 手術を行った1例を除く10例に, 5-fluorocytosine を中心とする抗真菌剤の投与を平均9ヵ月間行った. いずれも2~3ヵ月以内に50~75%の陰影の改善をみた. また副作用のため1.5ヵ月で中止した1例においても, その後順調に陰影の改善がみられた. 以上のことから, 原発性肺クリプトコッカス症の内科的治療として, 5-FCを first choice とした3ヵ月間の治療を提唱したい.
  • 木村 郁郎, 大熨 泰亮, 坪田 輝彦, 高橋 功, 中田 安成, 高橋 清, 上田 暢男, 平木 俊吉, 多田 慎也, 十川 重次郎, 白 ...
    1987 年 25 巻 2 号 p. 240-244
    発行日: 1987/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    びまん性汎細気管支炎 (DPB) 12例についてその経過中に成人T細胞白血病 (ATL) を発症した症例の存在することから, 腫瘍関連ウイルスの関与を検討するため先ずATLA抗体及びATLA関連反応を間接蛍光抗体法により追及した. その結果12例中3例はMT-1細胞に granular pattern を呈しATLA抗体陽性でATL細胞の出現を認めATLと診断された. 次にATLA抗体は陰性と判定されたが, MT-1及びMT-2細胞に何れも diffuse pattern を呈するいわゆるATLA様抗体が5例にみられ, 又MT-2のみに diffuse pattern を呈するATLA関連反応が2例に見られた. 従ってMT-2細胞が diffuse pattern を呈する症例はATLA抗体陽性のATL症例3例をふくめて12例中10例の高率に認められた. 以上よりDPBとATLの併存例の存在は両疾患の密接な関係を示すものであり, ATLA関連反応についてはDPBに一応特有な反応として診断上有用と考えられるが, その本態についてはなお不明な点が多く目下検討中である.
  • 木村 郁郎, 大熨 泰亮, 坪田 輝彦, 高橋 功, 中田 安成, 高橋 清, 平木 俊吉, 多田 慎也, 十川 重次郎, 名部 誠, 米井 ...
    1987 年 25 巻 2 号 p. 245-250
    発行日: 1987/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    特発性間質性肺炎の経過中に屡々肺癌の発生を見ることから, 腫瘍関連ウイルス検討の手はじめとして本症12例についてATLA抗体及びその関連反応について検討した.先づMT-1細胞の granular pattern 陽性でもって判定するATLA抗体は全例に陰性であった. しかしATLA関連反応のうちMT-1, MT-2が diffuse pattern を呈するATLA様抗体は12例中5例に認められ,又MT-2のみ diffuse pattern を呈するATLA関連反応は更に3例に認められた. 従ってMT-2が diffuse pattern を呈する場合は12例中8例の2/3の症例に認められ, 一方サルコイドーシス21例, 気管支喘息12例, 健康人対照20例では殆んど認められず, 本症における疾患特異性が示された. 又本症中MT-2が diffuse pattern を呈する7例中5例に成人T細胞白血病様の細胞の出現を認め, 血清希釈度との相関が見られる傾向にあった. 現在ATLA関連反応の本態は不明であるが, 特発性間質性肺炎との間に密接な関連が想定される.
  • 酒井 正雄, 清水 俊次, 杉江 琢美, 杉山 圭作, 太田 久彦, 武田 潤, 松岡 健, 高谷 治, 米川 甫, 高木 啓吾
    1987 年 25 巻 2 号 p. 251-256
    発行日: 1987/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は42歳女性. 肝硬変症と Sheehan 症候群を合併しており, 高度な低酸素血症を呈していた. 右心カテーテル検査では, 軽度の心拍出量増加を認めたが, L-Rシャントは存在しなかった. 血管造影で門脈の拡張以外, 血管・血流の異常は認めなかった. 肺機能検査で, 高度な肺拡張能の減少と末梢気道閉塞を認めた. 100%酸素30分吸入から求めたシャント率は16.3%, 99mTc-MAAによる肺血流シンチグラム上のシャント率は77.3%であった. 経気管支鏡的肺生検で得られたた病理組織において間質の変化は認めなかった. 本症例の低酸素血症は,肺毛細血管の拡張による, 肺拡散能の減少と換気血流比不均等の増加が, シャント様効果として働くことが原因と考えられた.
  • 山中 晃, 榎堀 徹, 加藤 弘文, 岡田 慶夫
    1987 年 25 巻 2 号 p. 257-261
    発行日: 1987/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    Alpha-fetoprotein (AFP) が異常高値を示した原発性肺癌1例を経験したので報告する. 症例は73歳男性. 主訴は喀痰, 咳嗽および右上肺野の異常陰影である. 血清AFP値は4.590ng/mlと高値を示した. 画像診断において肝細胞癌, 悪性奇形腫, 消化管腫瘍などの存在が否定されたため, 原発性肺癌と診断し, 昭和58年8月9日に右上葉切除術が施行された. 切除標本の病理組織像は腺癌で, 免疫組織学的にAFPはエオジン好性の細胞質を有し, 分化型腺管構築を呈する細胞群のみに見出された. 本症例の気管支肺胞洗浄液, 尿中においてもAFPは高値を示した.
  • 高林 克日己, 小池 隆夫, 松村 竜太郎, 冨岡 玖夫, 吉田 尚, 藤田 明, 金子 昇, 長尾 啓一
    1987 年 25 巻 2 号 p. 262-266
    発行日: 1987/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    42歳の女性. 多発性関節痛, 蛋白尿, 抗核抗体, 抗DNA抗体陽性からSLEと診断され入院となる. 入院後貧血と呼吸困難が急速に進行し, 胸部X線写真で両側中下肺野にひろがるびまん性浸潤陰影を認めた. 血痰はみなかったが, 気管支肺胞洗滌を施行したところ血性であったため, SLEによる肺胞出血と診断した.
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