種々の基礎疾患を有する免疫不全患者50例の肺合併症の診断に, 計56回の気管支ファイバースコープ (BKFS) を行った結果, 50例中30例 (60%) に診断に有用な所見が得られた. 検査内容別にその診断率をみると, TBLB55.1% (27/49回), BAKL29.4% (5/17), 採痰8.3% (2/24) と, TBLBで最も高かったが, これらの方法はとくに胸部レントゲン上びまん性陰影を呈するものや非感染性疾患に対して有用であった. BFSに起因する合併症は, 気胸と一過性の発熱が9例 (18%) にみられたが, いずれも軽症であった. このように, 免疫不全患者の肺合併症の診断にBFSは安全で有用な検査法と思われたが, 必ずしも予後には良い結果をもたらさなかった. 今後, 免疫不全患者の肺合併症におけるBFSの意義を評価する際には, 適応, 実施時期, 検査法の選択, 検体の処理法, 合併症, 予後に対する影響などについて, 対象患者の背景因子を統一した上で検討するのが好ましいことを強調した.
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