日本胸部疾患学会雑誌
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26 巻, 11 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 小田嶋 博, 西村 みほ, 馬場 実
    1988 年 26 巻 11 号 p. 1137-1141
    発行日: 1988/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    著者らはアセチルコリン閾値 (RT-Ach) に関与する因子について検討し気道閉塞の程度はRT-Achに関与することを報告した. 今回は発作後の日数と肺機能の関連を検討し同時にその時のRT-Achについて検討を加えた. 対象は5~20歳の喘息患者53名で標準法によりRT-Achを求めた. その結果, 発作後数日以内はFEV1.0%と100×FEV1.0/pred. VCとの間の差が大きく obstructive index が異常値をとることが多かった. またこの間はRT-AchとFEV1.0%との相関が悪かった. 発作後1週間以後ではFEV1.0%は100×FEV1.0/pred. VCとの間の差が小さく obstructive index が異常値をとることは少なかった. この時期ではRT-AchとFEV1.0%との相関がよかった.
  • 宮川 トシ, 浜上 小夜
    1988 年 26 巻 11 号 p. 1142-1149
    発行日: 1988/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    交差免疫電気泳動法 (CIE) により, Tr. cutaneumCr. neoformans 抗原の解析を行った. Tr. cutaneum TIMM1318 培養濾液抗原と抗 Tr. cutaneum TIMM1318 家兎血清との間には, CIEで少なくとも8本の沈降線が形成された. Tr. cutaneum 培養濾液抗原の一部と抗 Cr. neoformans 抗体との間には交差反応が認められた. 夏型過敏性肺炎患者の血清及び気管支肺胞洗浄液は Tr. cutaneumCr. neoformans の両抗原に沈降線を形成した. 患者血清と Tr. cutaneum 培養濾液抗原との間には, 家兎抗血清と Tr. cutaneum 培養濾液抗原との間に認められた Tr. cutaneum に特徴的な沈降線は形成されなかった.
  • 伊藤 敏雄, 内藤 悟, 藤枝 一雄, 大久保 修一, 森成 元, 原澤 道美, 薬丸 洋
    1988 年 26 巻 11 号 p. 1150-1153
    発行日: 1988/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    筋強直性ジストロフィー症 (MD) 患者に吸気努力時の食道誘導横隔膜筋電図 (EMGdi) を施行し, 呼気流量 (Vexp), 口腔内圧 (Pm) を同時に測定することによりMD患者の横隔膜における myotonic discharge の存在の有無を検討した. その結果吸気努力終末後にもEMGdiの活動電位が平均0.81秒間続き, 正常人よりも明らかに延長しており, myotonic discharge と考えられた. この myotonic discharge によるEMGdiの延長は, 吸気努力後の呼気開始を遅らせ, MD患者における肺胞低換気を助長する要因の一つになっていると推測される.
  • 濱田 薫, 国松 幹和, 堅田 均, 三笠 桂一, 澤木 政好, 成田 亘啓, 今井 照彦, 三上 理一郎
    1988 年 26 巻 11 号 p. 1154-1160
    発行日: 1988/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    H. influenzae は慢性下気道感染症の重要な起因菌であるが, その気管支組織における局在については明らかにされていない. このため慢性下気道感染症における, H. influenzae および炎症細胞の気管支組織での局在について検討した. 対象は代表的な慢性下気道感染症であるびまん性汎細気管支炎 (DPB) 患者6例で, 蛍光抗体を用いて観察した. 1. H. influenzae は6例全例とも気道分泌物中および気管支上皮に認められたが, 4例では粘膜固有層あるいは粘膜下組織にも認められた. 2. 白血球は粘膜固有層や粘膜下組織のみならず, 上皮層内にも認められた. 3. Helper/Inducer T cell のみならず, Suppressor/Cytotoxic T cell も白血球と同様の部位に認められたが, 前者のほうが優位であった. 以上, DPBにおいて細菌は気管支壁内にも存在しており, その周囲に免疫担当細胞の浸潤が観察された.
  • 井上 雅樹, 本間 敏明, 斉藤 武文, 濱田 雅史, 陶山 時彦, 松木 健一, 長谷川 鎮雄
    1988 年 26 巻 11 号 p. 1161-1169
    発行日: 1988/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    純粋な気腫性変化と気道抵抗を中心とする肺機能との関係を検討するため, 経気道的にパパイン注入を繰り返して段階的に作製したイヌ肺気腫モデルを用いて, 肺機能と肺組織計測との経時的比較を行なった. 気腫化肺の単位肺体積中の肺胞表面積はパパイン1回注入平均36.2±5.4mm2/mm3, 2回注入平均23.1±5.5mm2/mm3で, 健常肺の平均44.3±5.3mm2/mm3と比べ, パパイン注入の繰り返しで減少することが認められ, 本実験による段階的気腫化の進行が確かめられた. さらに時限肺活量, 残気率, クロージングキャパシティ, He・F-V曲線, 気道抵抗は単位体積中の肺胞表面積と有意な相関を認め, これらが気腫化の進行と対応して変化しうることが示唆された. 特に気道抵抗の段階的上昇は残気量, 残気率, 静肺コンプライアンスの変化と並行し, CC/TLC, FEV1.0%, V25,ΔV50,ΔV25等の変化と関連し, これが純粋な気腫化に際して出現しうる可能性が明らかとなった.
  • 山本 和英, 鈴木 幹三, 足立 暁, 山本 俊幸, 有我 憲仁, 加藤 政仁, 武内 俊彦
    1988 年 26 巻 11 号 p. 1170-1176
    発行日: 1988/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    高齢者肺炎 (平均年齢82歳) 90名に対し, 120回の経皮的気管内吸引法 (TTA) を施行した. 81名105回 (88%) が細菌学的に培養陽性で, 黄色ブドウ球菌, 肺炎球菌, 肺炎桿菌, 緑膿菌, インフルエンザ菌が主要5菌種と考えられた. TTA痰と同時痰あるいは咽頭ぬぐい液の病原性菌の一致率は, 完全一致が40%, 部分一致が9%であった. TTA未施行の肺炎患者からの喀痰に比し, TTA痰では肺炎球菌, 肺炎桿菌, インフルエンザ菌の検出率が高かった. 肺炎120例のうち院内発症群 (61例) は緑膿菌, 黄色ブドウ球菌, 肺炎桿菌が, 老人ホーム発症群 (59例) では肺炎球菌, インフルエンザ菌が多く検出された. TTA痰のグラム染色所見におけるグラム陽性, 陰性, および球菌, 桿菌別の結果は, 培養された菌種のそれと高率で一致し, グラム染色所見は化学療法剤選択の指標として重要と思われた.
  • 末永 直人, 林 文明, 宮内 伸夫, 西岡 安弘, 北田 修, 杉田 實
    1988 年 26 巻 11 号 p. 1177-1181
    発行日: 1988/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    呼吸調節系の再現性を, 2分間の測定値より算出した換気諸量 (1回換気量; VT, 全呼吸周期時間; Ttot, 吸気分時換気量; VI) と終末呼気炭酸ガス分圧 (PETCO2) の変動係数 (CV値=SD/mean×100) を用いて定量的に評価した. 健康成人男子における換気諸量のCV値は, VT, Ttot とVIで各々13.0±5.9 (n=14), 12.9±5.1 (n=15) と14.8±3.4% (n=14) であった. 今回決定された換気諸量の正常値をもとに, 将来様々な疾患における呼吸の再現性の評価が可能となると考えられる. 低酸素刺激により換気諸量のCV値は低下し, 呼吸の再現性が増すことが判明した. 低酸素刺激による呼吸の再現性の増加の機構について若干の考察をした.
  • 加藤 収, 山田 穂積, 山口 常子, 青木 洋介, 黒木 茂高, 中西 洋一, 日浦 研哉
    1988 年 26 巻 11 号 p. 1182-1186
    発行日: 1988/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    気道への細菌付着は気道感染発症に極めて重要である. そこで気道内ムチンに対する緑膿菌 (ATCC 27853株), 肺炎桿菌 (喀痰分離菌1株), 大腸菌(ATCC 25922株) の親和性にっいて検討した. 喀痰より抽出したムチンをガラス管壁に被覆し, 1~3×107CFU/mlの各種菌液を接触させ, ムチン層に付着した生菌数を測定した. ムチン付着菌数は緑膿菌 (2.9±1.9)×104CFU/ml, 肺炎桿菌 (5.1±0.7)×102CFU/ml, 大腸菌 (1.0±0.3)×102CFU/mlであった. 一方シリコン処理のガラス管壁への付着は無視できるものであった. さらにムチン壁に付着した菌の増殖について検討した. ムチン壁に菌を付着させたまま培養すると, 1時間後に緑膿菌は75倍, 肺炎桿菌と大腸菌は20倍となり, 対照に比して有意な増加を示した. 以上の結果は緑膿菌が気道ムチンに著明な親和性を有し, さらに管壁ムチン層へ付着することにより, 急速な増殖を来たすことを示した. これらのことは緑膿菌が気道へ colonization する主要な機序と考えられた.
  • 綾部 公懿, 母里 正敏, 谷口 英樹, 仲宗根 朝紀, 君野 孝二, 田川 泰, 川原 克信, 富田 正雄
    1988 年 26 巻 11 号 p. 1187-1190
    発行日: 1988/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    右横隔神経より発生した胸腔内神経鞘腫の一例を経験したので報告する. 症例は38歳の男性で検診により胸部レ線上右心横隔膜角に円形の腫瘤影を発見された. 呼吸器症状を含め自覚症状はない. CT検査上右心に接する球状の陰影があり, 内部に石灰化を伴っていた. 開胸すると心膜に接し横隔神経と連続性を有する腫瘤が確認された. 横隔神経を合併切除し腫瘤を摘出した. 腫瘤は6×5×5cm大で被膜につつまれ暗褐色調を呈し, 割面では白色調の線維成分, 壊死組織, 大小多数の嚢胞腔と共に散在する骨様組織がみられた. 組織学的には骨組織を伴った良性神経鞘腫と診断された. 術後5年6ヵ月後の現在再発なく健在である. 横隔神経より発生した胸腔内神経鞘腫の報告は稀で, 特に骨組織を伴った報告例はこれまでない.
  • 飯島 直人, 鳥井 義夫, 伊藤 伸介, 平松 幸治, 鈴木 雅之, 伊藤 隆, 千田 嘉博
    1988 年 26 巻 11 号 p. 1191-1194
    発行日: 1988/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    24歳女性. 8歳時に開胸肺生検で特発性肺ヘモジデローシスと診断され, 寛解していたが, 喀血および咳嗽にて入院. TBLBにより再発が確認された. 同時に諸検査よりシェーグレン症候群の合併も認められた. 今回の症状は軽度であり経過観察中である.
  • 中川 勝裕, 中原 数也, 大野 喜代志, 城戸 哲夫, 前田 元, 青笹 克之, Yasunaru Kawashima
    1988 年 26 巻 11 号 p. 1195-1200
    発行日: 1988/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    6例の胸部発生の Castleman リンパ腫を経験した. 発生部位は5例が縦隔, 1例が葉間リンパ節であった. 組織型で hyaline vascular 型の4例は, 胸部異常陰影以外, 臨床症状は認めなかった. 混合型の2例は胸部異常陰影の他に微熱, 倦怠感, 貧血, 高γ-globulin 血症を認めたが, 術後これらの症状は消失した. 本邦の130例の集計において, hyaline vascular 型が100例76.9%で大部分を占めており, 混合型, plasma cell 型は少なかった. また混合型, plasma cell 型は hyaline vascular 型に比し, 多発傾向と貧血, 発熱, 肝腫大, 血沈亢進, CRP強陽性, 高γ-globulin 血症を高率に認めた. 混合型, plasma cell 型では plasma cell dyscrasia と類似した組織所見を示すことがあるため, 免疫学的検索を加えた慎重な経過観察が必要であると考える.
  • 片岡 幹男, 中田 安成, 江尻 東伍, 森 由弘, 前田 剛, 細谷 茂衛, 岸 俊行, 大熨 泰亮, 木村 郁郎
    1988 年 26 巻 11 号 p. 1201-1206
    発行日: 1988/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    52歳男性. 陰嚢部腫瘤を主訴として当院泌尿器科を受診し, 左副睾丸の生検が施行された. この時撮影された胸部X線にて両側肺門リンパ節腫脹および, びまん性網状小粒状影が認められたため, 当科に紹介された. 経気管支的肺生検および皮膚生検標本中に多核巨細胞をともなう非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が認められ, サルコイドーシスと診断した. 副睾丸生検標本中には, 小児期に受けた手術時のものと思われる縫合糸を取り囲むようにサルコイド肉芽腫が認められた. 67Gaシンチでは肺門, 肺野,左陰嚢部, 左腸骨稜, 右大腿部に異常集積が認められた. 血清ACE, リゾチームが高値を示し, また気管支肺胞洗浄液中のリンパ球比率が高く, helper/inducer T cell が増加していた. 臨床検査成績より活動型と考え, prednisolone により治療を行い寛解を得, 現在これを持続している.
  • 林 登喜子, 矢野 淳, 有冨 貴道, 石橋 正義, 宮原 智子, 関 雅彦, 吉田 稔, 白日 高歩, 栄本 忠昭
    1988 年 26 巻 11 号 p. 1207-1212
    発行日: 1988/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    Intravascular bronchioloalveolar tumor (IVBAT) は極めて稀な肺腫瘍で, 現在までに世界で43例, 本邦では7例の報告をみるのみである. 今回, 32歳男性で, 胸水貯留を主訴とし, 手術時の病理所見より本症の診断を得た症例を経験した. 腫瘍細胞は, 管腔形成を成し細胞質内に空胞 (vacuole) を持っていた. 第VIII因子関連抗原陽性であることより, 血管内皮細胞由来と考えた. 原発巣については未だ議論が分かれているが, 本症例は肺原発と考えられた.
  • 田尾 義昭, 瀬川 賀代子, 津田 徹, 山崎 裕, 加治木 章, 宮崎 信義, 城戸 優光, 黒岩 昭夫, 吉松 博, 中野 夫盛, 堀江 ...
    1988 年 26 巻 11 号 p. 1213-1217
    発行日: 1988/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は23歳, 男性. 検診にて偶然胸部異常陰影を発見され, 開胸肺生検にて肺梗塞と診断された. 臨床症状に乏しく胸水の細胞診にて細胞の異型が強く悪性腫瘍との鑑別が困難であった. 病理所見は, 筋型動脈は炎症細胞に乏しく動脈壁内膜肥厚及び狭窄が著明で, 先天性の末梢動脈の肥厚などの形成異常があり, 血流障害が著明となり梗塞巣を形成したものと推定された. 本例では極く軽度の血痰の見落とし, 上皮や中皮細胞の反応性の変化が診断を困難にした一因と考えられた.
  • 田尾 義昭, 瀬川 賀世子, 津田 徹, 山崎 裕, 加治 木章, 宮崎 信義, 城戸 優光, 黒岩 昭夫, 堀江 昭夫, 小出 紀
    1988 年 26 巻 11 号 p. 1218-1223
    発行日: 1988/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    臨床症状, 胸部X線所見, 組織所見, ステロイドに対する反応性などより, Epler らの提唱したBOOPに合致すると考えられる3症例を報告した. 経気管支鏡的肺生検で診断した1例は, 閉塞性細気管支炎の確認が困難であったが, 臨床像・臨床経過ではBOOPとよく一致した. 本症は予後良好とされるが, 著者らが検討した症例では, 1例がステロイド漸減中に再燃し, 他の2例が急速に進行し呼吸不全で死亡した.
  • 萩原 修, 中沢 次夫, 松井 茂, 三浦 進, 斉藤 明, 梅枝 愛郎, 稲沢 正士, 笛木 隆三, 小林 節雄
    1988 年 26 巻 11 号 p. 1224-1228
    発行日: 1988/11/25
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は64歳, 女性. 感冒に罹患後より咳嗽, 喀痰, 喘鳴がつづき気管支喘息と診断された. 喘息発症時, アスペルギルス, カンジダの即時型皮内反応が陽性であったが, 4年後, カンジダの遅延型皮内反応が陽性となり, アスペルギルスの特異的IgE抗体やアスペルギルスとカンジダに対する沈降抗体を認め, 両真菌による allergic bronchopulmonary fungal disease (ABPF) と診断された. また, この間, 胸部レントゲン写真で反復する陰影や末梢血好酸球増多を認めた事よりPIE症候群の合併も考えられた. 喘息発症より6年後, 両側手関節, 膝関節を中心として, ほぼ全身に淡紅色の掻痒感の強い皮疹を認め生検組織診の結果より allergic granulomatous angiitis (AGA) と診断された. 本症例はAGAの先行感染としてABPFが想定され, AGAの成因機序を考える上で興味ある症例であった.
  • 1988 年 26 巻 11 号 p. 1229-1233
    発行日: 1988/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
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