アスピリン喘息 (AIA) を安全かつ簡便に診断する方法を開発するためにアスピリンDL-リジン (ASA-L) 製剤 (Venopirin
®) を用いた吸入試験の有用性を検討した. Venopirin
®は1バイアルあたり900mgASA-L (497mgアスピリンと403mgDL-リジン), 100mgアミノ酢酸, 50mg無水塩化カルシウムから成る. 7.0%Venopirin
®溶液に含まれるのと同じ濃度の賦形剤溶液の吸入は, 気管支喘息患者のFEV
1.0に影響しなかった. 8名のAIAと18名の非アスピリン喘息を対象として, 0.21%, 0.70%, 2.1%, 7.0%の Venopirin
®吸入を30分毎に3分間ずつ段階的に行った. FEV
1.0の20%以上の減少を陽性の気道反応とみなした. AIAの全例が7.0%以下の濃度の Venopirin
®吸入で陽性反応を示した. これに反し, 非アスピリン喘息の全例が陰性であった. Venopirin
®吸入試験の有用性をすでに筆者らが報告しているアスピリン吸入試験, スルピリン吸入試験, トルメチン吸入試験と比較した. その結果, この Venopirin
®法は試薬が簡単に入手でき, さらにAIAに対して信頼できる特異反応が得られるためAIAの診断に非常に有用である.
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