日本胸部疾患学会雑誌
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26 巻, 3 号
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  • 草間 昌三
    1988 年 26 巻 3 号 p. 205-213
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    To determine whether there is any constitutional susceptibility underlying the development of high altitude pulmonary edema (HAPE), a field study was carried out in twelve subjects with a history of HAPE (HAPE-susceptible subjects (HAPE-SS) and control subjects living in the mountains (from 2740m to 2920m above sea level) of the Japan Alps for 4 successive days. Ventilatory response, and the pulmonary hemodynamic response to acute hypoxia were evaluated at low altitude (610m above sea level).
    The incidence of acute mountain sickness (AMS) of HAPE-SS in field studies, identified by using the Environmental Symptoms Questionnaire III, was higher than that in control subjects. HAPE-SS had lower oxygen saturation than controls at any given altitude. Platelet counts in HAPE-SS decreased significantly. Thromboxane B2 in HAPE-SS increased significantly, while those in controls did not increased. In both RAPE-SS and controls. 6-keto-PGF1 decreased at high altitudes. HAPE developed in one of twelve HAPE-SS on the 4th day. Pulmonary edema was confirmed by chest X-ray films.
    Hypoxic ventilatory response in eight HAPE-SS was significantly lower than that in nine controls, but there was no significant difference in hypercapnic ventilatory response between HAPE-SS and controls.
    Enhanced pulmonary vascular reactivity to hypoxia in HAPE-SS was demonstrated, using pulsed Doppler echocardiography.
    These findings suggest that the susceptibility to HAPE plays an important role in the pathogenesis of HAPE.
  • 末次 勸, 牧野 荘平
    1988 年 26 巻 3 号 p. 214-247
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 小檜山 律, 鈴木 光, 亀井 克彦, 中野 裕康
    1988 年 26 巻 3 号 p. 248-252
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    胸部X線写真上腫瘤影を呈した75歳男性. 自覚症状はない. 右下肺野に隣接胸膜の肥厚を伴った腫瘤影があり, 断層写真・気管支造影にて腫瘤下縁へ弧状に巻き込まれる気管支収束像 (comet tail sign) が認められた. 以上のX線学的特徴と他所見より round atelectasis (RA) と診断し開胸術を施行することなく退院した. RAの本邦報告例は調べ得た範囲では自験例を含め14例であった. その診断上の要点は, 限局性の胸膜肥厚と comet tail sign であった. 胸部単純写真, 断層写真に加え, 気管支造影が有用と思われる. 本症は悪性腫瘍との鑑別が問題となるが, 本症のX線学的特徴を熟知し無用な開胸術を避けなければならない.
  • 石崎 武志, 東 博司, 高橋 秀房, 飴島 慎吾, 貴志 洋一, 佐々木 文彦, 佐賀 務, 宮保 進
    1988 年 26 巻 3 号 p. 253-259
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    147名の正常人群で血清と血漿のα1プロテアーゼインヒビター値 (α1PI) をロケット免疫電気泳動法と抗エラスターゼ法とを用い測定した. 後者はサクシニールトリアラニールPニトロアニリドとブタ膵エラスターゼを用い, 測定の為の最適条件を前もって検討した. α1PI値は両測定法とも男性でロケット法>抗エラスターゼ法値であったが, 女性群ではロケット法値≒抗エラスターゼ法値であった. 喫煙男性群は非喫煙男性群よりもα1PI高値を示した (p<0.01) が, また非喫煙男性群ではロケット法>抗エラスターゼ法 (p<0.01) であった. これらの結果より, α1PI値は, 喫煙, 性, さらにサンプルの種類, 測定法の種類によって影響を受ける事, そして, in vitro でのα1PIの修飾をさける為, メチルアミン処理血漿を用いる事が望ましいと結論した. また, α1PIの抗原量と抗エラスターゼ能の同時測定によって失活型α1PIの比率を求めることが出来, 正常人群の状態や疾病への動態の把握に便利と思われる.
  • 山田 穂積, 黒木 茂高, 加藤 収, 山口 常子, 日浦 研哉, 鐘ケ江 秀明
    1988 年 26 巻 3 号 p. 260-266
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    エラスターゼは肺組織傷害を惹起する proteinase として知られている. 我々は, 慢性気道感染を合併したびまん性汎細気管支炎8名, 慢性気管支炎2名および気管支拡張症2名にBALを施行し, BALFのエラスターゼ活性を SAPNA hydrolysis と elastolysis で測定した. SAPNA hydrolytic activity は12名中10名に検出され, elastolytic activity は9名に認められた. なお, 対照の nonsmoker 群8名, smoker 群10名および fibrosis 群10名のBALFには, エラスターゼ活性は検出されなかった. BALFエラスターゼ活性は, DFPで阻止され, EDTAで抑制されず, 好中球由来のセリンプロテアーゼと考えられた. また, 緑膿菌感染患者6名は, BALFエラスターゼ活性が著しく高値であり, 予後不良であった. 一方, 慢性気道感染患者BALFのα1-ATは, nonsmoker 群に比較して約8倍の高値であったが, BALFそのものは elastolytic activity を示し, BALF中のα1-ATの阻害能を超えるエラスターゼの存在が示唆された.
  • 竹内 実, 泉 孝英, 長井 苑子, 江村 正仁, 三尾 直士, 渡辺 和彦, 大島 駿作
    1988 年 26 巻 3 号 p. 267-274
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    喫煙の肺の natural killer (NK) 細胞活性に及ぼす影響について, 健常人非喫煙者 (non smoker: NS), 喫煙者 (smoker: S) の気管支肺胞洗浄液 (bronchoalveolar lavage fluid: BALF) 細胞を用いて検討するとともに, 末梢血細胞との比較検討を試みた. BALF細胞のNK活性は, 末梢血に比較し著明に低く, 培養前はNS群, S群ともにNK活性は認められなかった. 24時間培養後, NS群ではNK活性が出現したが, S群ではNK活性の発現は認められなかった. 末梢血細胞NK活性は, NS群, S群間で差は認められなかった. BALF細胞のLeu-7+, Leu-11+細胞は, 末梢血に比較し低値を示し, 特にLeu-11+細胞は認められなかった. NS群, S群間による差は認められなかった. S群におけるBALFのNK活性低下の機序としては, 肺胞マクロファージ (alveolar macrophage: AM) による関与は少なく, 喫煙によるNK細胞自身の機能障害による可能性が考えられた. また, S群のBALF中にNK活性を抑制する因子の存在が示唆された.
  • 榊原 博樹, 津田 美奈子, 鈴木 真砂, 半田 美鈴, 佐賀 務, 梅田 博道, 末次 勸, 小西 良光
    1988 年 26 巻 3 号 p. 275-283
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    アスピリン喘息 (AIA) を安全かつ簡便に診断する方法を開発するためにアスピリンDL-リジン (ASA-L) 製剤 (Venopirin®) を用いた吸入試験の有用性を検討した. Venopirin®は1バイアルあたり900mgASA-L (497mgアスピリンと403mgDL-リジン), 100mgアミノ酢酸, 50mg無水塩化カルシウムから成る. 7.0%Venopirin®溶液に含まれるのと同じ濃度の賦形剤溶液の吸入は, 気管支喘息患者のFEV1.0に影響しなかった. 8名のAIAと18名の非アスピリン喘息を対象として, 0.21%, 0.70%, 2.1%, 7.0%の Venopirin®吸入を30分毎に3分間ずつ段階的に行った. FEV1.0の20%以上の減少を陽性の気道反応とみなした. AIAの全例が7.0%以下の濃度の Venopirin®吸入で陽性反応を示した. これに反し, 非アスピリン喘息の全例が陰性であった. Venopirin®吸入試験の有用性をすでに筆者らが報告しているアスピリン吸入試験, スルピリン吸入試験, トルメチン吸入試験と比較した. その結果, この Venopirin®法は試薬が簡単に入手でき, さらにAIAに対して信頼できる特異反応が得られるためAIAの診断に非常に有用である.
  • 上野 勢津子, 島村 早苗, 前田 尚武, 筒井 清行, 柴田 美雄, 鈴木 司郎, 金子 幸夫
    1988 年 26 巻 3 号 p. 284-288
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は32歳, 女性, 28歳より抗核抗体陽性を指摘されている. 1986年3月, 発熱, 血痰のため入院. ARAの改訂SLE診断基準6項目を満すSLEであり, 胸部X線では両肺びまん性に浸潤影がみられ, Hbの減少, 低酸素血症を認めた. 心不全, 腎不全, 肺感染症, 出血傾向はなく, SLEによる急性肺胞出血を考え, BALで確認しえた. 入院時の出血は数日で軽快したが, 約1ヵ月後 Prednisolone 60mg投与中に再び血痰, 胸部X線上の浸潤影を認め, パルス療法を施行した. 血痰は約3週間続いて消失, 胸部X線異常陰影も改善したが, DICを合併し, 脳出血で死亡した. 剖検肺では, 肺胞腔内にヘモジデリンを貪食したマクロファージが多数みられたが, 間質性肺炎の所見はなかった. 又, IgGの顆粒状沈着が肺胞壁に認められた.
  • 塩田 雄太郎, 森 由弘, 青山 重男, 原田 淳一, 瀬崎 達雄, 長田 高寿, 高橋 清, 木村 郁郎
    1988 年 26 巻 3 号 p. 289-293
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    消化器並びに呼吸器症状を呈する19歳白人の膵嚢胞性線維症の1症例を報告する. 患者は生来健康であったが, 19歳より咳嗽, 喀痰, 下痢を繰返すようになった. なお患者の兄はすでに膵嚢胞性線維症と診断されている. 胸部X線写真ではびまん性の小結節状陰影があり, 両側肺野に気管支の走向に一致した線状陰影が認められた. 肺機能検査では軽度の閉塞性換気障害が認められた. 膵外分泌機能の低下があり, 腹部のCTでは膵の萎縮が認められた. 汗のナトリウム, クロールは高値を示した. また成人の膵嚢胞性線維症に多い合併症とされる鼻ポリープ, 耐糖能の低下も認められた. 本邦では本症の報告は少なく, また成人になって症状が出現するのは稀とされているが, 本症例においては全体に症状が軽いためにこのような経過をとった可能性が考えられた.
  • 宮井 正博, 小野 芳郎, 前田 俊章, 美馬 祐一, 坪田 輝彦, 浅野 健夫
    1988 年 26 巻 3 号 p. 294-298
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    肝・骨・皮膚に多発性転移を有する82歳男性の肺扁平上皮癌症例の経過中, 溶血性貧血と高カルシウム血症の合併を認めた. 末梢血中に約8%の破砕赤血球が出現した. FDPの上昇とプロトロンビン時間の延長を認めたが, DIC診断基準ではDICの可能性は少ないと判定され, 広汎な癌転移に伴う細小血管障害性溶血性貧血 (MAHA) と考えられた. エルカトニン, プレドニソロンの投与や大量補液に加えマイトマイシンC, 5-FU, ビンクリスチン併用化学療法に反応して腫瘍の縮小と同時に高カルシウム血症の改善を認めた. しかし, DICスコアおよび溶血性貧血は不変で診断後70日で死亡した. MAHAが肺癌それも扁平上皮癌に合併することは極めて稀で, 同時に高カルシウム血症を伴うことはさらに稀である. 82歳の高齢者にMAHAが出現することは少なく, MAHA出現後の生存日数も比較的長期であった.
  • 1988 年 26 巻 3 号 p. 299-312
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 26 巻 3 号 p. 313-317
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
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