日本胸部疾患学会雑誌
Online ISSN : 1883-471X
Print ISSN : 0301-1542
ISSN-L : 0301-1542
26 巻, 5 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 吉良 枝郎, 川上 義和
    1988 年 26 巻 5 号 p. 445-492
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 谷口 博之, 小川 賢二, 中嶋 庸子, 天野 雅夫, 近藤 康博, 松本 浩平, 横山 繁樹, 松原 一仁
    1988 年 26 巻 5 号 p. 493-498
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    不可逆性気道閉塞を示す高年気管支喘息症例 (LBA群, n=17) と肺気腫症例 (CPE群, n=19) の背景因子, 肺機能検査および胸部CTを比較し検討を加えた. 平均年齢は両群で差はみられなかったが, CPE群はBA群に比べ, 男性, 重度喫煙者, 体重減少が多くみられた. 末梢血好酸球増加はBA群に多くみられた. 肺機能検査では両群の閉塞性障害の程度に差はみられず, %RV, RV/TLCにも差はみられなかった. これに対し, %DLcoはCPE群で有意の低下がみられた. 胸部CTによる Emphysema Score (ES) の検討では, BA群に比べCPE群では著明なESの高値がみられ, さらに%DLcoと有意な相関がみられた. 不可逆性気道閉塞を有する気管支喘息と肺気腫との鑑別において, 胸部CTは有力な情報を与えると考えられる.
  • 原 宏紀, 森谷 卓也, 真鍋 俊明
    1988 年 26 巻 5 号 p. 499-506
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    パラコート中毒症29剖検例における肺胞上皮の変化を, 抗EMA抗体を用い免疫組織化学的に検討した. パラコート摂取後12時間までの早期死亡例では, ほぼびまん性にEMAの抗原性は残存していたが, 20時間以後の死亡例ではEMA陽性率は低下し, 52時間以後の死亡例では, 既存の肺胞上皮のEMAの抗原性はほぼ消失していた. 形態学的に肺胞壁の細胞数が減少していることを加味して考えると, 肺胞上皮の剥脱が疑われた. 摂取後8日目の症例から, 破壊された肺組織の中にEMA陽性細胞が出現し始め, この頃から上皮の再生が起こるものと推測された. 再生上皮の分布は均一ではなく, 気道領域に一致したばらつきがある所もあり, このことはパラコートによる肺組織障害が, 薬物の直接作用ではなく, 酸素との反応を介して起こることと関係しているものと思われた.
  • 五十嵐 令, 稲冨 恵子
    1988 年 26 巻 5 号 p. 507-511
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシス患者の生検材料に Propionibacterium acnes の存在を証明するために, 家兎を用いて, P. acnes の抗血清を作製した. 本症患者4例の鎖骨上窩リンパ節4検体, 鼠径リンパ節1検体内に, 蛍光抗体法および酵素抗体法で, P. acnes の存在を免疫組織学的に明らかにした. 菌数は少ないものであった. P. acnes のリンパ節内の局在部位は類上皮細胞集簇部, リンパ球集族部, 肉芽組織周辺部, 微小血管ないし毛細血管内に認められた.
  • 小林 淳, 玉城 繁, 小林 英夫, 斉藤 達也, 菅間 康夫, 青木 茂行, 三重野 龍彦, 松岡 緑郎, 北村 諭, 檀原 高, 吉良 ...
    1988 年 26 巻 5 号 p. 512-518
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    食道超音波内視鏡 (USE) では縦隔内の心・血管系でBモード像の dynamic な動きを見ながら, 任意の部位で経時的な変化をMモードで観察することが可能である. 今回はUSEを使用し, び漫性汎細気管支炎, 肺気腫, 原発性肺癌などの呼吸器疾患症例24例を対象として右肺動脈主幹で心周期に対応した real time の観察を行ない, 肺動脈壁の動的変化および肺動脈圧との関係を検討した. 本法により得られた肺動脈内径値を体表面積で補正した値と, ほぼ同時期に行った右心カテーテルの肺動脈圧との間には収縮期r=0.771 (p<0.001), 拡張期r=0.766 (p<0.001) と有意の一次相関が認められた. また肺動脈平均圧20mmHg以上の肺高血圧症は, 収縮期14.3mm/m2, 拡張期11.8mm/m2の肺動脈内径補正値を基準値とした場合, sensitivity・specificity とも良好に識別可能であった. 以上から本法が肺循環系の有力な非観血的評価手段となり得る可能性が示唆された.
  • 藤井 昌史, 木浦 勝行, 亀井 治人, 畝川 芳彦
    1988 年 26 巻 5 号 p. 519-523
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    癌性胸水を伴う原発性肺癌57例, 良性疾患22例を対象に胸水のCEA, SCC, NSEを測定した. 胸水CEA, SCC, NSEの平均値は肺癌で146.8ng/ml, 11.6ng/ml, 28.0ng/ml, 良性疾患で1.2ng/ml, 2.3ng/ml, 5.1ng/mlであり, 肺癌における胸水CEA, NSEの平均値は良性疾患より有意に高く, 胸水SCCでは高値の傾向を示した. 胸水CEA, SCC, NSEの陽性率は肺癌で67.3%, 20.6%, 38.1%, 良性疾患で0%, 0%, 0.05%であり, 肺癌における胸水CEA, SCC, NSEの陽性率は良性疾患より有意に高率であった. 肺癌組織型別の検討では, 腺癌における胸水CEAの平均値と陽性率は非腺癌より, 扁平上皮癌における胸水SCCでは非扁平上皮癌より, 小細胞癌における胸水NSEでは非小細胞癌より有意に高値であり, それぞれの腫瘍マーカーに組織特異性を認めた. 以上より, 胸水CEA, SCC, NSEの測定は癌性胸水を伴う原発性肺癌の補助診断法として有用と考えられた.
  • 武藤 敬, 赤嶺 直樹, 蜂須賀 久喜, 安部 幹雄, 大熊 昭晴, 杉山 比, 和泉 徹, 赤柴 恒人, 細川 芳文, 堀江 孝至, 岡安 ...
    1988 年 26 巻 5 号 p. 524-530
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    慢性肺疾患患者15症例を対象に換気と肺循環指標を測定し, 低濃度酸素吸入とニフェジピンの効果を検討した. 空気呼吸下で平均肺動脈圧 (PPA) は測定できた14例中12例で20torr以上と上昇し, PaO2 (r=-0.661) およびPAO2 (r=-0.763) との間に相関をみた. 25%酸素吸入効果を検討した11例ではPPAは平均30.4から27.7torr (p<0.001) へ, 全肺血管抵抗 (TPVR) は543から473dyn・sec/cm5 (p<0.05) へと低下した. TPVRの低下は酸素吸入時のPaO2の増加度と負の相関を示し, 酸素分圧の改善に対応して肺血管攣縮の改善が示唆された. ニフェジピンの効果は10症例で検討できたが, PPAは26.1から24.6torrへ軽度に, TPVRは420から365dyn・sec/cm5へ有意に (p<0.05) 低下し, 心拍出量の増加により組織の酸素化が改善し, PVO2も増加した. しかしその改善は主に心拍数増加によるものであり, 肺内のVA/Q不均等の増強, 体血圧低下などの影響もみられた.
  • 中野 裕康, 鈴木 光, 亀井 克彦, 渡辺 明, 松村 寛三郎
    1988 年 26 巻 5 号 p. 531-535
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    胸部X線上円形陰影を認めた限局性膿胸の3例を報告した. 限局性膿胸は, 胸部X線上円形の陰影を呈することがあり, 肺化膿症と間違われることがある. 両者は, 治療法が異なるため正しい診断が必要である. そのためには, まず円形陰影を呈する限局性膿胸の存在を認識することが重要であり, 鑑別診断の方法としては胸部X線の3方向の像の変化 (3 dimensional analysis), 胸部CT, 気管支造影が有用であると考えられる.
  • 岡 正彦, 檀原 高, 饗庭 三代治, 植木 純, 山口 芳, 玉城 繁, 杉浦 光雄, 吉良 枝郎
    1988 年 26 巻 5 号 p. 536-540
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    縦隔腫瘍との鑑別が困難であった管外発育性の食道平滑筋腫の診断に食道超音波内視鏡が有用であった―手術例を経験したので報告する. 症例は49歳男性, 自覚症状はなく定期検診の食道造影で圧排所見を指摘された. 食道内視鏡, CT scan, MRI等各種検査では, 食道粘膜下腫瘍と縦隔腫瘍との鑑別が困難であった. 本例では, 食道超音波内視鏡により, 病変が食道に由来し, 病変周囲の心血管系への進展もないことが示唆された. 手術により食道粘膜下腫瘍の核出術が施行され, 食道平滑筋腫と診断された.
  • 竹川 宏典, 長内 忍, 稲葉 秀一, 永井 達夫, 吉川 隆志, 寺井 継男, 石丸 修, 山口 潤
    1988 年 26 巻 5 号 p. 541-544
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は37歳, 女性. 咳嗽, 喀痰, 左頚部リンパ節腫脹にて来院. 胸部X線上左前縦隔に直径5cmの腫瘤陰影, 左側胸水を認めた. 左頚部リンパ節, 左側胸水から悪性細胞が検出された. 入院2ヵ月後癌性心膜炎による心タンポナーデにより死亡した. 病理解剖で大動脈と左主気管支の間に充実性の腫瘍を認めた. 光顕像で未分化癌を示し, 一部角化を伴う扁平上皮癌成分も認めた. 電顕像では, デスモゾームが認められる扁平上皮細胞と, 神経内分泌顆粒を伴うAPUD細胞が認められた. よってこの腫瘍は扁平上皮癌と胸腺カルチノイドの2つの系統の腫瘍の性格をあわせもつ悪性腫瘍といえる. 以上の所見から胸腺癌, Snover らのいう mixed small cell undifferenciated squamous cell carcinoma と考えられた. この腫瘍の存在は, 胸腺カルチノイドは胸腺扁平上皮癌の発生母体である内胚葉性の胸腺未熟上皮から発生するとの説を示唆する.
  • 辻 博, 高桜 英輔, 老子 善康, 寺田 康人, 牧野 博, 安田 厚子
    1988 年 26 巻 5 号 p. 545-548
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    気管支喘息発作に縦隔気腫, 皮下気腫および硬膜外気腫を合併した18歳男性例と咳嗽により同様の合併をみた15歳男性例を報告する. 硬膜外気腫は気管支喘息発作あるいは咳嗽により内圧が上昇した肺胞から肺血管鞘に沿って空気がいったん縦隔へ漏れて縦隔気腫を作り, この空気が更に縦隔内圧の上昇のため壁側胸膜と大動脈あるいは椎体との間を裂くようにして胸郭の外へ出て硬膜の周囲に達することによりできたものと推察された. 本所見はCTスキャンにより初めて確認された所見であり, かつ最初の報告である. この硬膜外気腫は縦隔気腫や皮下気腫の所見とともに気管支喘息あるいは咳嗽の発作がいかに強いものであったかを示すものとして興味ある所見と思われる.
  • 熊崎 智司, 三島 秀康, 石原 照夫, 西宮 克明, 山田 隆一, 鵜沢 毅, 大西 忠博, 末松 直美
    1988 年 26 巻 5 号 p. 549-553
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は19歳女性, 左前胸部痛を主訴に入院. 胸部X線写真で上前縦隔に腫瘤影を認め, CT・67Gaシンチグラム・超音波ガイド下針生検所見を総合して, 胸腺ホジキン病と診断した. 大血管・胸壁・肺組織への直接浸潤が疑われたので, 20Gyの術前照射の後に, 腫瘍全摘を行なった. 30Gyの術後照射を行なった後, VCP療法を継続中である. 切除された腫瘍は, 大部分が線維性の組織で, その中心部には広汎な凝固壊死巣が見られた. 胸腺に発生した結節硬化型のホジキン病と診断されたが, 細胞成分に富む腫瘍組織は, 豊富な結合組織中に島状の結節性病変として認められた. 若年者の上前縦隔に急速に増大する腫瘍例においては, CT・超音波所見を総合してできるだけ早期に, 組織診断を目指した針組織生検を行なうことが, 予後の改善につながると考えられる.
  • 青山 庄, 辻 博, 寺田 康人, 牧野 博, 高桜 英輔
    1988 年 26 巻 5 号 p. 554-558
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    63歳男性, 49歳から気管支喘息に罹患. 喘鳴, 高度の呼吸困難, 顔面のうっ血, チアノーゼと全身の皮下気腫を認め入院. 高度低酸素血症と呼吸性アシドーシスも認め, 胸部X-PとCTでは, 著明な皮下気腫, 縦隔気腫と両側の気胸, 腹部X-Pでは後腹膜気腫がみられた. O2吸入, ネオフィリンとステロイドの静注, 気管内挿管と皮膚切開を施行するも, 急速な呼吸循環不全で死亡した. 剖検時, 気腫は, 腹膜, 胃壁の漿膜下にも達し, 気腹も認めた.
  • 1988 年 26 巻 5 号 p. 559-571
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 26 巻 5 号 p. 572-577
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
feedback
Top