癌性胸水を伴う原発性肺癌57例, 良性疾患22例を対象に胸水のCEA, SCC, NSEを測定した. 胸水CEA, SCC, NSEの平均値は肺癌で146.8ng/ml, 11.6ng/ml, 28.0ng/ml, 良性疾患で1.2ng/ml, 2.3ng/ml, 5.1ng/mlであり, 肺癌における胸水CEA, NSEの平均値は良性疾患より有意に高く, 胸水SCCでは高値の傾向を示した. 胸水CEA, SCC, NSEの陽性率は肺癌で67.3%, 20.6%, 38.1%, 良性疾患で0%, 0%, 0.05%であり, 肺癌における胸水CEA, SCC, NSEの陽性率は良性疾患より有意に高率であった. 肺癌組織型別の検討では, 腺癌における胸水CEAの平均値と陽性率は非腺癌より, 扁平上皮癌における胸水SCCでは非扁平上皮癌より, 小細胞癌における胸水NSEでは非小細胞癌より有意に高値であり, それぞれの腫瘍マーカーに組織特異性を認めた. 以上より, 胸水CEA, SCC, NSEの測定は癌性胸水を伴う原発性肺癌の補助診断法として有用と考えられた.
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