日本胸部疾患学会雑誌
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26 巻, 8 号
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  • 安静時および運動負荷時の酸素投与による影響との比較
    荒木 良彦, 田中 信之, 澤田 雅光, 工藤 新三, 坂口 和成, 藤田 一誠
    1988 年 26 巻 8 号 p. 805-811
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    慢性呼吸不全に伴う肺高血圧を軽減し, 以って右心機能を改善させるため, 血管拡張剤であるCa++拮抗剤 Nifedipine の及ぼす影響を安静時と運動負荷時に分けて, 酸素投与による影響との比較の下に検討した. 慢性呼吸不全10症例を対象として, 仰臥位にて Swan-Ganz thermodilution catheter 検査施行下に15~30 watt の constant load 法を用い, 室内空気呼吸下の安静時と運動負荷時を対照値とし, 酸素投与 (1~2L/min) 下と Nifedipine 舌下投与 (10mg) 下それぞれの安静時と運動負荷時の肺循環・血液ガス諸量を比較検討した. (1) Nifedipine は安静時・運動負荷時共に肺動脈平均圧, 全肺血管抵抗の有意低下, 及び心拍出係数・酸素運搬能の有意増加をきたし, かっPaO2・PvO2の悪化をもたらさなかった. (2) 酸素投与による影響と比較した場合, Nifedipine は安静時・運動負荷時共に全肺血管抵抗の有意低下・心拍出係数の有意増加を示し, 安静時の酸素運搬能も有意増加をみた.
  • 岩田 仁, 佐々木 智康, 笹本 基秀, 三輪 太郎, 原 通広, 横山 繁樹, 高木 健三, 佐竹 辰夫
    1988 年 26 巻 8 号 p. 812-824
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    肺結核を基礎疾患とする肺アスペルギローマ20例を検討した. 肺結核発症時, 結核菌排菌停止時, アスペルギローマ発症時, 死亡時 (8例) の平均年齢はそれぞれ43.0歳, 51.3歳, 55.3歳, 69.0歳であった. 75% (8例中6例) がアスペルギルスに対する過敏反応を示した. 発症時に84% (19例中16例) が抗結核剤を投与されていた. 胸部X線写真で観察すると, 空洞は菌塊出現前には硬化輪状空洞となり, 菌塊陰影出現に先行して肺の過膨張, 気胸, 空洞の拡大又は縮小や消失, 空洞内のび漫性陰影や鏡面像, 空洞壁の凹凸や突起様陰影などの所見が観察された. これらの所見は誘導気管支のチェックバルプ機転又は狭窄や閉塞, アスペルギルスの増殖又は出血や滲出液の貯留, 空洞壁又は胸膜の炎症反応や限局性増殖によるものと考えられる. 以上の結果から空洞に形成されるアスペルギローマは, (1) 気管支から空洞に気管支性播種するものと, (2) 空洞内で原発するものに分類した.
  • 久保 恵嗣, 小林 俊夫, 福島 雅夫, 芝本 利重, 酒井 秋男, 上田 五雨
    1988 年 26 巻 8 号 p. 825-832
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    肺水腫における熱とインドシアニン・グリーン (ICG) 色素を用いた二重指示薬希釈法による血管外肺水分量測定の有用性を検討するために, 肺リンパ瘻を作製した麻酔下緬羊を用い, 本法による血管外肺水分量 extravascular lung thermal volume (EVLTV) と, 左房圧上昇 (IP, n=5), Escherichia coli エンドトキシン注入 (ETX, n=5) および肺微小空気塞栓 (Air, n=4) 時の肺循環および肺リンパ動態とを比較検討した. また, 肺リンパ液中のICG濃度を測定した. IP群では, 左房圧 (Pla) 10mmHg上昇に伴い肺動脈圧 (Ppa) も上昇し, 肺リンパ流量 (Qlym) は有意に増加した. 肺リンパと血漿との蛋白濃度比 (L/P) は有意に減少した. EVLTVは有意に増加した. ETX 1μg/kg, iv, 投与3~5時間後, Qlym およびL/Pは有意に増加したが, EVLTVは変化なかった. PpaとPlaは変化なかった. Air群では, 肺動脈主幹部に挿入した細いチューブ (内径0.3mm) より1.2ml/minの空気を3時間にわたり注入した. Ppaは空気注入中有意に増加したが, 注入終了後すみやかに前値に復した. Plaは変化なかった. Qlymは空気注入後より増加し, 注入終了後もその増加は持続した. L/Pは注入終了後軽度増加した. EVLTVは空気注入中著明に減少し, 注入終了後有意に増加した. 肺リンパ液中のICG濃度はETX群で著明に増加したが, 他の2群では変化なかった. 以上より, EVLTVはエンドトキシンおよび肺塞栓存在時の肺水腫の存在の可能性を過小評価する. また肺微小空気塞栓による肺血管透過性の機序は, エンドトキシン肺傷害のそれとは異なることを示唆するものと思われる.
  • 藤井 忠重, 金井 久容, 田中 正雄, 平山 二郎, 半田 健次郎
    1988 年 26 巻 8 号 p. 833-841
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    肺血流シンチグラムを利用して換気に伴う肺・胸郭系の動き (E-I)/Iを定量・描画する方法を考案し, 各種肺疾患における本法の臨床的意義を検討した. (E-I)/Iの (+) 成分 (両肺の総和) は肺活量と相関 (r=0.62) を示し, 肺癌, 慢性閉塞性肺疾患, びまん性間質性肺炎などで低値を示した. その局所分布はビデオデンシグラムによる局所換気分布と比較的良好な対応を示し, 肺血流分布ともマッチする傾向を示したが, ミスマッチも少なからず認められた. (E-I)/Iの (-) 成分は肺辺縁の動きを描出し, 低換気を認める各種病態で低値を示し, その両肺の総和は肺活量との相関 (r=0.44) を認めた. 本法は肺血流分布の情報とともに肺・胸郭系の動きを定量・描画でき, 局所肺機能の一端を評価するうえに役立つ.
  • 藤井 忠重, 金井 久容, 半田 健次郎, 滝沢 正臣
    1988 年 26 巻 8 号 p. 842-850
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    マイクロコンピュータ, フレームメモリを内蔵するX線イメージプロセッサを試作・改良し, これによりX線像のビデオデンシトメトリーを実施し, 局所換気量の測定を行った. 測定用の関心領域は任意の大きさの矩形で指定され, 6ヵ所の同時測定が可能で結果は1画素当たりの平均値として表示される. 本システムはビデオアンプ, タイムベースコレクタを介在させることにより改善され, 安静換気時や努力性呼気時の良好なデンシグラムが得られ, 各肺気量レベルも濃度差が明瞭に描出された. 種々の疾患で局所換気の障害や努力性呼気曲線の異常が描出され, また, 肺血流シンチグラムとの対比により局所の換気・血流関係を概略的に把握できた. 本法は核医学的方法と異なる特徴を有し, 非侵襲的で簡便な局所肺機能検査法として利用できると考えられる.
  • 津田 富康, 杉崎 勝教, 安部 康治, 吉松 哲之, 松本 哲郎, 宮崎 英士
    1988 年 26 巻 8 号 p. 851-862
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    サ症患者6名の前斜角筋リンパ節を使用し, 肉芽腫の免疫担当細胞, サイトカイン, リンホカイン受容体についてそれぞれに対し作られた単抗体を用い免疫組織化学的に検討した. 今回の研究では, 肉芽腫の類上皮細胞はOKT4+, OKT9+, OKDR+, OKM1+, OKM5-, IL-1+, IL-2±, IL-2R+の細胞であった. 次に肉芽腫内のTリンパ球は多くはOKT3+, OKT11+, OKT4+, Leu8-で, 少数の細胞がOKT3+, OKT11+, OKT8+, Leu8-であった. 一方肉芽腫外に集るTリンパ球はOKT3+, OKT11+, OKT4+, Leu8+とOKT3+, OKT11+, OKT8+, Leu8+の細胞からなっていた. また肉芽腫内外の少数のリンパ球にIL-2+, IL-2R+の細胞を認めた. Leu7+, Leu15+ (OKM1+) のリンパ球はサ症肉芽腫内外には殆んど認められなかった. 以上免疫担当細胞に認められる種々の抗原に対する単抗体を使用し, その相互の関係と分布状態を検討したので報告する.
  • 穴沢 予識, 井沢 豊春, 手島 建夫, 平野 富男, 三木 誠, 今野 淳
    1988 年 26 巻 8 号 p. 863-867
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    吸入療法やエロソール吸入肺スキャンにエロソールが繁用されているが, エロソールの粒径や, 温度, 湿度などの粒径に対する影響について検討が充分でない. 私共は入手可能な8種類のエロソール発生装置を用いて, エロソールの重量中央径 (粒径) と幾何標準偏差を求めた. 温度37℃, 湿度100%, 気速10L/分で, 99mTc-albumin を用いて調べると, 重量中央径は1.0μ台,幾何標準偏差は1.5~2.0の範囲だった. 温度上昇で粒径は小さくなり, 湿度上昇で逆に大きくなった. リザーバーを使用すると Mistogen では粒径は小さくなり, Ultra Vent では変化はなかった. 蛇管の屈曲の粒径への影響や, キャリアーガスの気速の違いによる粒径への影響はみられなかった. 用いる溶液の種類による影響では, Mistogen では分子量に比例して粒径が変化したが, Ultra Vent では変化がみられなかった. 8種類のいずれを用いても末梢肺までエロソールを到達させることができそうである.
  • 気道過敏性獲得の可能性について
    木野 稔也, 福田 康二, 安場 広高, 西村 浩一, 茆原 順一, 佐竹 範夫, 鍔田 利恵子, 平田 健雄, 松井 祐佐公, 泉 孝英, ...
    1988 年 26 巻 8 号 p. 868-875
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    3年以上 (平均4.8年) 経過を観察しえた症例で, 発病前にアトピー性素因及び気管支喘息の既往歴及び家族歴の無い7例の遷延性好酸球性肺炎の予後を, ほぼ全肺野に陰影が存在した「広範囲障害群」4例と左右いずれかの胸膜側に陰影が限局していた「胸膜側限局群」3例に分け, 気道過敏性を含む臨床的立場から調査し, ヒトにおける好酸球の肺実質及び気道に与える影響の考察資料とした. ステロイド薬の投与により, 全例4週以内に自覚症状が消失しCT上肺の既存構造の破壊を伴わずに治癒したかにみえたが, とくに広範囲障害群は, 発病後3年以後も咳, 痰, 呼吸困難が持続し, VCの低下は4週以内に正常化したがDLco低下の改善には約3年を要しV25の低下は観察期間中改善をみなかった. メサコリン吸入テストでは, 著明な気道過敏性が存続した. 以上の観察は, 好酸球などの炎症性細胞による気道障害と気道過敏性の招来を示唆するものと思われた.
  • 小野 貞文, 新谷 哲一, 佐久間 勉, 磯上 勝彦, 斎藤 秀行, 相良 勇三, 小池 加保児, 大貫 恭正, 大久田 和弘, 新田 澄郎 ...
    1988 年 26 巻 8 号 p. 876-880
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    一側肺動脈閉塞を, 肺循環予備能力の術前評価のための機能検査のみならず, 積極的治療として用いてゆくためには, 長時間の肺動脈閉塞自体の肺に及ぼす影響が問題となる. そこで, イヌにて, 非開胸下4時間の左側肺動脈閉塞, 及び再灌流を施行, 肺血管外水分量の変動を熱・色素希釈法, 及び重量法にて検討した. 4時間の肺動脈閉塞, 及び再灌流1時間後にも左肺の肺血管外水分量は増加せず, 4時間までの一側肺動脈閉塞は安全に施行し得ると考えられた. この成績を根拠に, 肺胞蛋白症に対する肺胞洗浄を術側肺動脈閉塞下に施行したが, 安定した循環動態下, PaO2の低下なしに施行し得, 有用であった. 以上より, 一側肺動脈閉塞の加療への利用の可能性が示唆された.
  • 梅木 茂宣, 矢木 晋, 副島 林造
    1988 年 26 巻 8 号 p. 881-887
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    63歳の女性で, 微熱, 霧視, 閉眼障害, 口角下垂, 両側耳下腺腫脹等多彩な症状を呈した Heerfordt 症候群の1例を報告した. 本症例はII-b型高脂血症を有していたが, 肺線維症の他, 眼, 神経など重要臓器の障害のためステロイド投与を開始した. 治療3週間後突然心筋梗塞を併発し, 同時期の脂質分析ではII-a型高脂血症に変化していた. この高脂血症の型の変化と心筋梗塞の発症との関連が示唆された.
  • 松村 晃秀, 中原 数也, 大野 喜代志, 橋本 純平, 水田 隆俊, 明石 章則, 中川 勝裕, 武田 伸一, 太田 三徳, 川島 康生
    1988 年 26 巻 8 号 p. 888-892
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    1歳11ヵ月のBCG未接種の女児. 麻疹罹患時に呼吸困難出現し, 胸部X線, 胸部CTで右上肺野に water density の腫瘤陰影が認められ, 気管支性嚢胞と診断し手術を施行した. 腫瘤は右上葉ほぼ全体を占めており, 摘出は困難と判断し, 右上葉切除を施行した. 切除肺の病理組織学所見でラングハンス型巨細胞, 類上皮細胞, リンパ球からなる乾酪性肉芽腫がみられた. 組織の抗酸菌染色, 嚢胞内容液の塗抹培養では菌は検出されなかったが, ツ反が強陽性であったため, 結核の二次感染と診断し抗結核療法を開始した. 感染源は不明であった. なお, 嚢胞内容液の分析でCEA 3,010ng/ml, AFP 25ng/mlと高値を示した.
  • 稲田 俊雄, 多田 慎也, 高橋 清, 平木 俊吉, 中田 安成, 大熨 泰亮, 木村 郁郎, 清水 信義
    1988 年 26 巻 8 号 p. 893-897
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    70歳. 男性. 人間ドックにて胸部異常影を指摘され受診, 胸部X線写真にて左肺門前縦隔に腫瘤状陰影を認めた. CT scan にても脂肪層にかこまれた陰影が前縦隔にみられ, MRIにても肺実質との連続性, 心血管系との連続性を認めなかったが, T1強調画像にて腫瘤は脂肪成分をほとんど含有せず, T2強調画像にて骨格筋と皮下脂肪の中間の intensity を呈した事より low grade malignancy と考えられた. 以上より, 本例は縦隔腫瘍, なかでも胸腺腫と診断された. 手術所見では, 腫瘤はS3臓側胸膜より発生し有茎性の腫瘤であり, 組織学的検討により良性限局性胸膜中皮腫であった. 限局性胸膜中皮腫は特徴的な臨床症状に乏しく, レントゲン学的所見も特異的なものは少ないとされている. 今回, 我々は従来報告されている胸部X線写真, CT scan による所見に加え, 核磁気共鳴現象によるMRIを用いた所見を検討し得たので報告する.
  • 末永 直人, 林 文明, 片岡 康雄, 宮内 伸夫, 西岡 安弘, 黒須 功, 北田 修, 杉田 實
    1988 年 26 巻 8 号 p. 898-903
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    37歳の女性が呼吸困難感, 四肢の冷感, 頭痛, 易疲労感, 動悸を主訴に入院した. 臨床症状および慢性呼吸性アルカローシスを呈していたことより, 慢性型の過換気症候群であると考えられた. 2分間の過換気誘発試験後における終末呼気炭酸ガス分圧 (PETCO2) の回復速度の低下や呼吸モニター上の不規則かつため息の多い呼吸パターンが認められ, 本疾患に特有なものであると考えられた. メトプロロールの投与が本症例において, 自覚症状や血液ガス所見の改善に有効であった. メトプロロールとジアゼパム投与により, 過換気誘発試験における Beumer's index の陰性化やCO2-換気応答性の増加が観察された.
  • 大野 聖子, 中橋 弥生, 栗山 卓弥, 中村 昇, 辻 重行, 川西 康夫, 浅妻 茂生, 中山 昌彦, 長井 苑子, 泉 孝英, 北市 ...
    1988 年 26 巻 8 号 p. 904-910
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    64歳女性. 約3ヵ月前からの労作性呼吸困難を訴え, 1986年9月9日入院. 患者は1978年から1986年6月までフェノール樹脂の研麿作業に従事していた. 理学的には両側胸部の下半で吸気末期の fine crackles を聴取し, 胸部X線で両下肺野に小粒状影が認められ, 拘束性換気障害と運動負荷後のPaO2の低下が認められた. 開胸肺生検で肺病変は間質性肺炎の一型であるBOOPと診断され, 病理組織学的および肺組織の細菌学的検査では原因不明であった. 症状軽度のため無治療で経過観察したところ, 6ヵ月後には明らかな自然寛解が確認された.
  • 1988 年 26 巻 8 号 p. 911-913
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 26 巻 8 号 p. 914-922
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 川上 義和
    1988 年 26 巻 8 号 p. A1-A3
    発行日: 1988/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
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