日本胸部疾患学会雑誌
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27 巻, 10 号
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  • 山田 博之, 橋本 尚子, 河端 美則, 岩井 和郎, 杉田 博宜, 小山 明, 水口 国雄, 村田 嘉彦, 長尾 光修, 大石 不二雄
    1989 年 27 巻 10 号 p. 1133-1139
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    特発性BOOP7例と既知原因による器質化性肺炎 (OP) 5例について浸潤細胞の性格を免疫組織化学的に比較検討した. 特発性BOOPにおいては, 全ての症例で呼吸細気管支腔内, 末梢気腔内での肉芽形成, 細気管支胞隔炎, 肺胞壁の肥厚が中等度以上にみられた. 既知原因による二次性OP例でも類似の所見がみられた. また, いずれの群においても主としてリンパ球から成る各種炎症細胞の間質への浸潤が見られたが, 特発性BOOPにおいてリンパ球の浸潤が高度で, 肥満細胞と好酸球の浸潤が多かった. 免疫組織化学的には, 間質へ浸潤するリンパ球の大部分はT-リンパ球であり, 特発性BOOPにおいてより高度の浸潤が見られた. 以上の成績から, 特発性BOOPの発症にはT-リンパ球, 肥満細胞, 好酸球が関与する何らかの免疫学的機序がかかわっていることが示唆された.
  • 赤荻 栄一, 塚田 博, 三井 清文, 蘇原 泰則, 船越 尚哉, 山部 克己, 神山 幸一, 遠藤 俊輔, 山本 達生, 藤原 明, 湯浅 ...
    1989 年 27 巻 10 号 p. 1140-1145
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    胸膜播種を来しながら胸水を認めない肺癌例の臓側胸膜, 特に葉間胸膜の小型の播種巣は, 胸部CTにより容易に認識し得る. しかし壁側胸膜の小型播種巣は, 胸部CTでも十分には確認されず, 臓側胸膜よりも高度であるものが多いことが知られた. 胸膜播種を来した肺癌に対し延命あるいは根治を期待して行われる汎胸膜肺摘除術は, リンパ節転移が縦隔に及ばず, 横隔膜や心膜の部分切除以外の広範な合併切除を必要としない症例に限定されるべきと思われ, 組織学的に分化度の高い肺癌例に, より良好な予後を期待できると思われた.
  • 金岡 正樹
    1989 年 27 巻 10 号 p. 1146-1156
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    原発性肺癌102剖検例を対象として臓側胸膜病変に関して検討した. 癌細胞が臓側胸膜の内弾性板を越えて胸腔側に認められる所見を胸膜癌症と称した. 胸膜癌症は肺癌原発巣の同側肺のみならず対側肺においても肺血管内の癌細胞浸潤, 肺内癌性リンパ管症及び胸郭外多臓器転移と密接に関係する事が示された. 次に脈管層間質を中心とした癌細胞の動きを検討した. 同側肺では脈管層血管から1, 同リンパ管から3.6, 胸腔側から8.52, 胸膜直下肺内癌胞巣から6.52の比率で脈管層間質に癌細胞が浸潤していると推定し得る成績を得た. 対側肺では脈管層血管から1, 同リンパ管から4, 胸腔側から1.9, 胸膜直下肺内癌胞巣から12.25の比率で脈管層間質に癌細胞が浸潤していると推定し得る成績を得た. さらに臓側胸膜の弾性板と癌細胞浸潤の関連についても病理組織学的に検討を加えた.
  • 宮田 健, 渕上 淳一, 甲斐 広文, 高浜 和夫
    1989 年 27 巻 10 号 p. 1157-1162
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    麦門冬湯エキスと codeine の鎮咳作用を, 気管支炎に罹患したモルモットおよび正常モルモットを用いて, 比較検討した. 麦門冬湯エキスは正常モルモットにおいてほとんど鎮咳作用 (1.0g/kg, p. o.) を示さなかったが, 気管支炎病態では0.5g/kg, p. o. で器械的および化学的刺激により惹起した咳を有意に抑制した. 咳反射の求心性神経経路である上喉頭神経の, 炎症に基づく自発放電の増大は, 麦門冬湯エキス連投により有意に抑制された. 一方, codeine の鎮咳作用は, 気管支炎病態時では正常時に比べ有意に減弱した. 病態時の上喉頭神経の自発放電は, codeine 連投によりさらに有意に増大した. 以上のことから, 麦門冬湯エキスは末梢性の作用機序により, 気道炎症時に強い鎮咳効果を発現すること, codeine は気道に炎症がある場合にはない場合に比べ鎮咳効果が減弱することが明らかになった.
  • 坂本 さゆり, 藤村 政樹, 西 耕一, 倉島 一喜, 斉藤 元泰, 三宅 靖, 笠原 寿郎, 金森 一紀, 松田 保
    1989 年 27 巻 10 号 p. 1163-1167
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    慢性気道炎症によるシクロオキシゲナーゼ代謝と気道過敏性の関係を検討した. 慢性気道炎症のモデルとして9名の副鼻腔気管支症候群患者 (SBS) を対象とした. メサコリンに対する気道過敏性 (PC20-FEV1, PC35-Grs) を測定し, トロンボキサン合成酵素阻害剤OKY-046およびシクロオキシゲナーゼ阻害剤インドメサシン (IDM) 投与による影響を調べた. OKY-046およびIDM投与前後で呼吸機能は変化しなかった. PC20-FEV1はコントロール2.19mg/ml (GSEM, 1.58), OKY-046投与後2.51mg/ml (GSEM, 1.51), IDM投与後8.13mg/ml (GSEM, 1.92) であり, IDM投与によって有意 (p<0.005) に増加した. PC35-Grs はコントロール0.79mg/ml (GSEM, 1.70), OKY-046投与後1.20mg/ml (GSEM, 1.58), IDM投与後1.55mg/ml (GSEM, 1.38) であり, IDM投与によって有意 (p<0.05) に増加した. 以上よりSBSでは, 気道過敏性亢進の一部はトロンボキサンA2以外の気管支収縮性プロスタグランディンによって成立していると考えられた.
  • 谷田 達男, 小池 加保児, 仲田 祐, M. A. Gropper, N. C. Staub
    1989 年 27 巻 10 号 p. 1168-1172
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    濾過変数; 濾過係数, 血管周囲圧及び蛋白に対する反発係数はスターリングの式やマイクロパンクチャー法を用い間接的にかつ別個に推定または測定されてきた. 我々はこれら濾過変数を一期的に推定計算した. 我々はラット肺をもちいゾーン1 (肺胞内圧=20cmH2O) の状態で二通りの還流圧 (血管内圧=15または8cmH2O) を用い還流し濾過率を重量法により求めた. 還流液には羊血漿および希釈血漿を用いた. 肺重量増加率の対数を時間0に外挿し初期濾過率を求めた. 蛋白質の移動がすべて運搬 (convection) のみと仮定するとスターリング式は Q=K [(Pmv-Ppmv)-σ2IImv] と表される. 我々はこの式を用いて濾過係数を26.3±8.7mg/(min・cmH2O・g), 微小血管周囲圧を6.2±0.7cmH2O, 反発係数を0.46±0.07と推定しえた. 本法により, 等重量法または直接法による間質圧を別個に推定または測定することなしに一期的に濾過変数を推定することができた.
  • 丸山 寛迫
    1989 年 27 巻 10 号 p. 1173-1183
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    肺の組織発生に基底膜がどのように関わるかを知るために, Wistar-Imamichi 系ラットの胎生15, 18, 20日および生後5日の個体を用いて, 基底膜構成成分である laminin, type IV collagen, fibronectin の形態的動態を免疫組織化学的に観察し, 同時に腺様構造から肺胞に至る上皮細胞の基底膜を電顕的に検討した. (1) 非常に幅広く未熟な形態を示していた腺様構造周囲の基底膜は, 胎生が進むにつれてその幅を狭小化するとともに電子密度が増し, 生後5日で初めて lamina densa と lamina lucida が区別できるようになった. (2) laminin, type IV collagen は同様の免疫反応性を示したが, 基底膜の微細構造の完成以前から腺様構造基底膜領域に存在していた. (3) 気管支, 細気管支, 肺胞および血管の基底膜と間葉組織中に見られた fibronectin は, 蛍光抗体法ではビ慢性粒状に反応し, とくに胎生20日以降にその傾向が強まった. 一方, 酵素抗体法では不連続な線状に観察された. また, 胎生15日では腺様構造の基底膜および間葉組織に多く存在したが, 気管支の成熟が進行すると間葉組織から消失する傾向を示した.
  • 江村 正仁
    1989 年 27 巻 10 号 p. 1184-1192
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    特発性肺線維症 (IPF) 発症の背景にBリンパ球活性化の関与が考えられる所見として, 気管支肺胞洗浄液細胞中のBリンパ球の活性化, および血中自己抗体の存在などが報告されている. IPF, 特に開胸肺生検によってUIPと診断された idiopathic UIP症例と健常人例, 対照疾患として膠原病性間質性肺炎 (IP-CVD), 肺気腫, びまん性汎細気管支炎 (DPB), サルコイドーシス症例について, 末梢血の非刺激下での免疫グロブリン産生細胞数を測定した. Idiopathic UIP 症例においてはIgA, IgG産生細胞数の有意な増加が認められた. IP-CVD症例ではIgG産生細胞数の有意な増加が認められた. 肺気腫, DPB, サルコイドーシス症例では免疫グロブリン産生細胞数の増加は認められなかった. 加えて idiopathic UIP症例において B cell surface marker を検討したところ, 成熟過程早期のBリンパ球を示すCD21陽性細胞の有意な増加が認められた. 以上の成績より idiopathic UIPにおいてはBリンパ球の増殖及び分化が亢進している可能性が強く示唆された.
  • 長瀬 隆英, 福地 義之助, 清水 孝雄, 山岡 実, 松瀬 健, 広瀬 龍吉, 駿田 直俊, 徐 中宇, 石田 喜義, 折茂 肇
    1989 年 27 巻 10 号 p. 1193-1197
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    肺胞気道系におけるエイコサノイド代謝の重要性については, 近年深い関心がもたれている. 今回我々は, 気管支肺胞洗浄 (BAL) 液中に存在する 15-hydroxyeicosatetraenoic acid (15-HETE) と 11-dehydrothromboxane B2 (11-dehydro-TXB2) に着目し, 喫煙刺激における変動について検討した. 喫煙負荷は Hamburg II 型喫煙装置を用いて行ない, 5~6週齢のウィスター系SPF雌ラットをコントロール群 (C群n=6) と喫煙群 (S群n=6) に分けて比較検討した. BAL液15-HETE回収総量はC群191±63 (pg), S群490±109 (pg) でありS群で有意に増加していた (p<0.05). BAL液中の蛋白及び 11-dehydro-TXB2 はC群とS群で有意差が認められなかった. 15-HETEは肺胞気道系の炎症促進作用を有することが報告されており, 喫煙による15-HETEの増加は肺胞気道系の急性期障害を示す指標として重要と考えられた.
  • 杉本 峯晴, 松本 充博, 中嶋 博徳, 今村 文哉, 河野 修, 今村 重洋, 福田 安嗣, 安藤 正幸, 荒木 淑郎
    1989 年 27 巻 10 号 p. 1198-1203
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    HTKLV-I-associated myelopathy (HAM) の患者には脊髄病変だけでなく肺病変も合併しており, 気管支肺胞洗浄液にはT細胞の増加および遊離IL-2レセプター (soluble IL-2R) の増加が認められた. 一方, HAM患者の末梢血リンパ球は in vitro において無刺激で自己増殖をし, soluble IL-2Rを遊離した. この自己増殖するリンパ球はCD3+, HLA-DR+であった. 分裂像を示すT細胞の中にはCD4+細胞もCD8+細胞もあり, 自己増殖反応は単一のT細胞サブセットの増殖ではなかった. HAMあるいは成人T細胞白血病を発症していないHTLV-Iキャリアーのリンパ球では自己増殖および sol-uble IL-2Rの遊離も軽度であり, 肺病変もみられなかった. すなはち, HAM患者においてはT細胞の活性化が強くおこっており, 肺病変の発症にこの活性化されたT細胞が重要な役割を演じていると考えられた.
  • 山本 智生, 堅田 均, 阿児 博文, 鴻池 義純, 春日 宏友, 澤木 政好, 成田 亘啓, 北川 正信
    1989 年 27 巻 10 号 p. 1204-1208
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    52歳男性. 発熱, 乾性咳嗽, 呼吸困難にて急激に発症. 胸部X線上びまん性粒状陰影, 著明な低酸素血症を認めた. 入院後, 酸素投与のみで数日で症状は改善した. BALにて好酸球増多およびリンパ球増多, TBLBにて血管壁, 細気管支壁および肺胞隔壁への好酸球浸潤を認め, 好酸球性肺炎と診断した. このような臨床像および胸部X線像を呈した好酸球性肺炎の報告はほとんどなく, また病理組織像は従来PIEで強調されていた好酸球の肺胞腔への滲出よりは, むしろ間質性肺炎の像であり, この点についても考察した.
  • 向井 幹夫, 越智 直登, 橋本 明栄, 濱田 希臣, 日和田 邦男, 国府 達郎
    1989 年 27 巻 10 号 p. 1209-1213
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    54歳, 男性. 52歳時に小脳失調症状および自律神経障害を認めオリーブ核・橋・小脳萎縮症 (OPCA) と診断した. 終夜ポリグラフィー検査で中枢型無呼吸優位の睡眠時無呼吸症候群の所見を認めた. 本症例に認めた睡眠時無呼吸は病期進展により中枢型優位から閉塞型優位に移行した. さらに気管開窓術後, apnea index が15/hrから12.4/hrへと無呼吸の改善を認めたが, 中枢型無呼吸の頻度は1.5/hrから12.4/hrへ増加していた. このことは, OPCAにおける気管開窓術の適応を考慮する上で, 無呼吸の型やその頻度は必ずしもよい指標とはなりえず, 障害部位や病態の進展様式を解析する必要があることを示している.
  • 篠川 真由美, 山田 聡, 中村 理, 丸山 倫夫, 小林 理, 鈴木 栄一, 原口 通比古, 来生 哲, 荒川 正昭
    1989 年 27 巻 10 号 p. 1214-1220
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    線維化病変と胞隔炎を伴った肺胞蛋白症の1例を報告した. 症例は, 62歳, 男性で, 若い頃から農業に従事し, 長い農薬散布歴があるが, 粉塵吸入歴はない. 50歳頃から労作時呼吸困難が出現し, 徐々に増強するため, 62年4月当科へ入院した. 入院時の胸部X線写真では, 両側肺野に不規則な浸潤影を認め, 胸部CTでも肺内に不規則な density の増強を認めた. TBLBでは, 線維化の所見しか得られなかったが, OLBによりPAS陽性物質を入れた肺胞と, 胞隔の細胞浸潤, 線維化を示す部位との混在が認められた. BALFのリン脂質組成はレシチンが大部分を占めた. 以上より病変の程度や分布, 線維化病変を伴うことなど非定型的ではあるが, 肺胞蛋白症と診断した. さらに, 長い農薬散布歴が何らかの影響を与えて発症した可能性, 肺胞蛋白症と線維化との関連について考察し, 吸入性外因としての農薬については, 今後検討を要することを指摘した.
  • 伊藤 英章, 渡辺 彰, 大家 他喜雄, 北川 正信
    1989 年 27 巻 10 号 p. 1221-1225
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    62歳男性. 40年間粉塵作業に従事してきたが, 検診胸部X線上異常を指摘されたことはなかった. パーキンソン病のため, L-DOPA, アマンタジン, ブロモクリプチンで治療中, 治療開始3年後より, 湿性咳嗽, 呼吸困難を訴え, 胸部X線上両側びまん性に粒状影が出現した. 胸部CT像では, 肺野末梢に多く分布する粒状間質影であり, 2回の経気管支的肺生検の結果, 炭粉沈着を伴う線維化や石綿小体に加えて, 細気管支壁の全層に水腫と小円形細胞浸潤を認め, 間質性肺炎と診断された. 免疫学的検査ではIgGの上昇, 薬剤リンパ球刺激試験ではブロモクリプチンに対するリンパ球幼若化反応が増強していた. ステロイド剤を使用せずにブロモクリプチン投与中止後, 胸部粒状影は消失した. 臨床経過, 組織所見ならびに検査成績より, ブロモクリプチン誘起性間質肺炎と考えられた.
  • 矢守 貞昭, 山本 雅史, 川端 厚, 中島 一光, 飯沼 由嗣, 佐竹 立成, 下方 薫
    1989 年 27 巻 10 号 p. 1226-1230
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    福岡県出身の64歳の男性が, 多発性肺嚢胞による呼吸困難にて入院した. 経過中に喘息様呼吸困難発作を繰り返し, ステロイドを長期内服した. 20ヵ月後, 心窩部痛にて上部消化管内視鏡検査を施行し, 炎症部位の生検より糞線虫の虫体を検出した. その後, 喀痰および糞便より頻回に多数の糞線虫のフィラリア型幼虫を検出し, 過剰感染を確認している. 近年, 各種感染症と免疫不全の関係が注目されるようになったが, 本症例では無症状で持続感染していた糞線虫が, ステロイド長期連用によって, 過剰感染に陥ったものと考えられた.
  • 平原 克己, 斉藤 徹, 寺田 一郎, 宇野 勝次, 永井 明彦, 来生 哲, 荒川 正昭
    1989 年 27 巻 10 号 p. 1231-1236
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    セラペプターゼによる薬物性肺臓炎の1例を報告した. 症例は69歳, 男性で, 感冒のためセラペプターゼを計16日間服用したところ, 咳嗽, 発熱, 呼吸困難が出現, 両側肺野にび慢性小粒状影が見られた. 薬剤を中止したところ, 臨床症状, 検査所見, 胸部X線所見は著明に改善した. 末梢血好酸球増多を呈し, 気管支肺胞洗浄では, リンパ球分画の増加とOKT4/T8の低下が見られ, 経気管支肺生検所見は間質性肺炎像を呈した. 白血球遊走阻止試験では, セラペプターゼに対し陽性を示し, 感作赤血球凝集試験では同薬剤に対する抗体が検出された. 以上より, セラペプターゼによる薬物性肺臓炎と診断した. 同薬剤による薬物性肺臓炎の第1例目の報告と思われる.
  • 浅見 英夫, 竹内 文英, 小倉 滋明, 中島 功雄, 山口 悦郎, 阿部 庄作, 川上 義和, 宝金 秀一
    1989 年 27 巻 10 号 p. 1237-1242
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は35歳男性, 酪農業. 生来著患を知らなかったが, 入院一年前より数ヵ月間持続する咳嗽・喀痰があり, 胸部X線写真で両側上・中肺野に網状・粒状影と辺縁のぼけた結節状陰影を認めた. 明らかなBHLは認めなかった. ツ反陰性. ACEは26.5IU/ml. 農夫肺症関連好熱性放線菌類の沈降抗体は全て陰性. BALでは, 24.3%と中等度のリンパ球増加があり, CD4/8は1.67であった. 前斜角筋リンパ節生検で類上皮細胞肉芽腫を認めた. TBLBでは類上皮細胞肉芽腫と石灰沈着を認め, サルコイドーシスと診断した. 肺内石灰沈着を伴ったサルコイドーシスの報告は極めて稀と思われるので若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 1989 年 27 巻 10 号 p. 1243-1246
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
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