日本胸部疾患学会雑誌
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27 巻, 4 号
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  • 天羽 敬祐, 新田 澄郎
    1989 年 27 巻 4 号 p. 385-410
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 木村 郁郎, 田村 昌士
    1989 年 27 巻 4 号 p. 411-451
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 藤井 昌史, 木浦 勝行, 亀井 治人, 畝川 芳彦
    1989 年 27 巻 4 号 p. 452-455
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    末梢型肺癌30例, 良性肺疾患11例, 対照群19例について気管支肺胞洗浄液中のCEA, SCC, NSEを測定した. 洗浄液CEAの平均値と陽性率は肺癌で128.0±16.9ng/mg, 33.3%, 良性肺疾患で68.1±25.9ng/mg, 9.1%, 対照群で68.3±11.6ng/mg, 5.2%であり, 肺癌における洗浄液CEAの平均値, 陽性率は良性肺疾患 (p<0.05), 対照群 (p<0.05) に比べ有意に高値であった. 洗浄液SCCとNSEの平均値は肺癌と良性肺疾患, 対照群の間に差を認めなかった. 洗浄液中の各腫瘍マーカーは肺癌の組織型と関連がなく, 血清腫瘍マーカーとの関連性も認めなかった. 以上より, 洗浄液CEAの測定は末梢型肺癌の鑑別診断に有用と考えられた.
  • 小田嶋 博, 馬場 実
    1989 年 27 巻 4 号 p. 456-460
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    小児気管支喘息患者70名についてアセチルコリン閾値と閾値測定前後の発作がみられた日数との関係について検討した. アセチルコリン閾値と閾値測定前1ヵ月, 6ヵ月および1年間の発作がみられた日数との間には負の相関が認められた. しかしアセチルコリン閾値と閾値測定後6ヵ月および1年間の発作がみられた日数との間の検討では625μg/mlまでは負の相関を示す傾向がみられたが閾値が1,250および2,500μg/mlの群ではこの傾向がみられなかった. 以上の結果から臨床的に発作日数を減少させることは気道過敏性の改善をもたらすための1つの因子となりうると考えられた.
  • 菅 守隆, 西川 博, 安藤 正幸, 田中 不二穂, 赤池 孝章, 坂田 哲宣, 河野 修, 伊藤 清隆, 中嶋 博徳, 荒木 淑郎
    1989 年 27 巻 4 号 p. 461-466
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    マイコプラズマ肺炎の診断は, 発症初期には困難なことが多く, 決め手となる補助診断法はない. 我々は, マイコプラズマ肺炎が細菌性肺炎と異なった免疫応答をすることに注目し, 血清中 Adenosine deaminase 活性値 (ADA) が発症初期の細菌性肺炎とマイコプラズマ肺炎の鑑別に有用か否かについて検討した. その結果, マイコプラズマに対する抗体価が上昇する以前の早期 (発症3~10日目) に, マイコプラズマ肺炎患者11名の血清中ADAは, 32.1±12.0U/l (63.9~18.7U/l) であり, 正常対照者の平均値±2SDである20.8U/l以上の活性値を示す患者は11例中10例であった. 一方, 細菌性肺炎患者20名では12.5±3.3U/l (4.6~18.6U/l) であり, 全例20.8U/l以下であった. マイコプラズマ肺炎患者のADAは, 細菌性肺炎患者および正常対照者に比べて有意に高く (p<0.001), 発症初期の細菌性肺炎とマイコプラズマ肺炎の鑑別に極めて有用であると考えられた.
  • 小林 英夫, 松岡 緑郎, 三重野 龍彦, 北村 諭
    1989 年 27 巻 4 号 p. 467-473
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    過敏性肺臓炎 (HP) 22症例において, retrospective にCT所見を検討した. 対象の内訳は, 男性8例, 女性14例, 平均年齢43歳でった. HPの原因は, 夏型17例, その他は塗料, 鳩, 加湿器などであった. CT像のスライス厚は全例1cmである. 代表的なCT所見は, 小葉中心性に分布する傾向を示す直径1cm大までの粒状影と淡い肺野濃度上昇の混在であり, 気管支血管系には異常所見は認められなかった. 淡い肺野濃度上昇と粒状影は, 小葉内での病変の広がりの程度に起因する表現形式の差によるものと考えられた. また病変の広がりが区域性・葉性に分布する可能性も指摘しえた. 一方, 少数例ではあるが, 気道周囲や胸壁下の高濃度陰影, 蜂窩肺, subpleural curvilinear shadow など, 他の間質性肺疾患と類似した所見も認められ, 鑑別診断における今後の検討の余地も残った. Thin slice がより望ましいものの, 1cmスライス厚CTにおいてもHPの特徴的画像所見が評価可能であることが示唆された.
  • 泉 孝英, 長井 苑子, 西村 浩一, 北市 正則, 江村 正仁, 三尾 直士, 渡辺 和彦, 竹内 実, 大島 駿作, 大塚 直紀, 陳 ...
    1989 年 27 巻 4 号 p. 474-480
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    原因不明の Bronchiolitis obliterans organizing pnemmonia (BOOP) と特発性肺線維症 (Idiopathic pulmonary fibrosis, IPF) との鑑別は, 臨床症状, 胸部X線所見, 肺機能検査・動脈血ガス所見などによって, ある程度までは可能であるが, 鑑別に困難な症例も少なくはない. 開胸肺生検によって病理組織学的にBOOPと診断された8例, 病理組織学的には usual interstitial pneumonia (UIP) と診断されたIPF症例28例の気管支肺胞洗浄液 (bronchoalveolar lavage fiuids, BALF) 細胞所見の比較検討を行った. BOOPに比較的特徴的な所見として, (1) リンパ球%の増加, (2) Tリンパ球サブセットOKT4+/OKT8+比の低下所見が認められた. このような所見は, 開胸肺生検の実施できない症例におけるBOOPの臨床診断, ステロイド剤投与の可否の判定に当たって有用な情報であることが強調される.
  • 杉本 峯晴, 中嶋 博徳, 松本 充博, 河野 修, 今村 文哉, 安藤 正幸, 荒木 淑郎
    1989 年 27 巻 4 号 p. 481-487
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    HTLV-1-associated myelopathy (HAM) における肺病変の発症機序を知る目的で, HAM患者13例を対象に気管支肺胞洗浄 (BAL) を行い, BAL液中の細胞および遊離IL-2レセプター (IL-2R) について検討した. HAM患者では健常対象およびHTLV-Iキャリアー (non-HAM) に比べ, 総細胞数の軽度増加とリンパ球比率の上昇が認められた. 増加したリンパ球は主としてT細胞であった. CD4+/CD8+比は4例で低下していたが, 残り9例では正常範囲にあった. 遊離IL-2Rは, HAMでは血清およびBAL液で増加していたが, 血清中に比べBAL液中で高い値を示し, 肺局所での産生が考えられた. また, BAL液中のIL-2RレベルはTリンパ球数およびCD4+細胞数と有意な正の相関が認められ, BAL液中のIL-2Rは肺で活性化されたT細胞に由来すると考えられた. 以上の成績から, HAMにおける肺病変の発症にはTリンパ球を中心とした免疫学的機序が重要な役割を演じていることが示唆された.
  • 李 廷謙, 長山 直弘, 川辺 芳子, 大塚 義郎, 町田 和子, 芳賀 敏彦
    1989 年 27 巻 4 号 p. 488-496
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    最近6年間に当院に呼吸不全の急性増悪のために入院した129名 (増悪回数225回) の患者の増悪時における血清アミラーゼ値を調べた.唾液腺炎,腹膜炎,イレウスなどの高アミラーゼ血症を来し得る疾患を合併していた例は除外した. 急性増悪の原因を肺炎 (40回), 気管支炎 (95回),右心不全のみ (73回), 及びその他 (17回) に分け原因別に高アミラーゼ血症の出現頻度を調べた所, 肺炎群15回 (35.5%), 気管支炎群12回 (12.6%), 右心不全のみ及びその他の群0回 (0%) であった. 別に対照として呼吸不全を伴わない肺炎症例59名 (62回) を調べた所, 高アミラーゼ血症を呈したものは1例もなかった. 以上より呼吸不全に肺感染が加わると高アミラーゼ血症を呈しやすいことが分った. また高アミラーゼ血症の由来としては気管支・肺組織であることが推察された.
  • 近藤 光子
    1989 年 27 巻 4 号 p. 497-504
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    ラットを50ppm二酸化窒素 (No2) に1日5時間ずつ7日間暴露し, 経時的に肺の組織所見および気管支肺胞洗浄液を検討した. 組織学的には1日目に肺胞へのフィブリンの析出を認め, 3日目に終末細気管支から肺胞道にかけての著明な炎症細胞浸潤を伴って, 細気管支炎像を呈したが, これらの変化は5日目以後改善傾向を示した. 洗浄液の細胞成分は3日目にピークを有する好中球の著明な増加が出現し, 5日目以降マクロファージが漸増した. 洗浄液の蛋白濃度は1日目に最も高値で以後速やかに減少した. SAPNA水解法で測定したエラスターゼ活性は1, 3日目に検出され, これは大半がメタロプロテアーゼであった. このことは暴露開始後数日間多数の好中球が気腔内に遊出するにもかかわらず, 洗浄液中に上昇したエラスターゼ活性はマクロファージ由来であることを示している. NO2暴露時の組織傷害に関わるエラスターゼについては好中球よりもマクロファージの意義が大きい事が推測された.
  • 野川 茂, 豊田 丈夫, 加茂 隆, 尾仲 章男, 河合 健, 鳥潟 親雄
    1989 年 27 巻 4 号 p. 505-512
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    immotile cilia 症候群 (ICS) は, 先天的な線毛の超微細構造異常に基づき, 多彩な臨床症状を呈する. 気管支拡張症, 慢性副鼻腔炎, 中耳炎, 不妊を臨床症状とし, サッカリンテスト延長, 電顕上 inner 及び outer dynein arm の欠損, 微小管の数と配列の異常, compound cilia を認めた本症症例を報告した. さらに, 電顕上特徴的な異常が認められた本邦 ICS 38例を渉猟し, それらの臨床症状, 家族歴, 気道クリアランス, 電顕的異常について検討を加えた. 幼少時より反復する気道感染, 不妊をみる患者では, 非侵襲的スクリーニングとして, サッカリンテスト及び精子の鏡検が診断上有用であると思われた. また最近, 本症の線毛はかならずしも immotile ではなく, むしろ hypomotile あるいは asynchrony がその特徴とされ, さらに超微細構造異常と motility pattern, 臨床症状との対応が試みられている. 本症例で症状, 重症度にばらつきがあり, 今後, 不全型, 軽症例を含めた全科的な症例の蓄積が必要である.
  • 村手 孝直, 長谷川 忠男, 長谷川 好規, 下方 薫
    1989 年 27 巻 4 号 p. 513-517
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    患者は62歳男性で, 肺小細胞癌の症例である. 胸部症状よりも膵頭部周辺への転移による閉塞性黄疸による症状が優勢であった. 化学療法に反応して一時的には黄疸の消失をみたが, 急激な再燃を繰返した. 肝内転移は剖検時にも認めなかった. 最終的に脊髄髄内転移巣からの出血で急性上行性脊髄麻痺をきたし, 神経症状出現後極めて短期間に不幸な転帰をとった. 肝転移を伴わない閉塞性黄疸は珍しく, 脊髄髄内転移も比較的珍しい. 稀と思われる臨床経過をとったので報告する.
  • 富井 啓介, 岩田 猛邦, 種田 和清, 郡 義明, 田口 善夫, 南部 静洋, 久保 嘉朗, 弓場 吉哲, 三野 真里, 黒田 康正
    1989 年 27 巻 4 号 p. 518-522
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    これまで健康に生活していた39歳女性. 乾性咳嗽を主訴に入院. 胸部レ線上, 左S6に空洞, 同部の鋭匙生検で肉芽腫, 喀痰培養で M. intracellulare を認めた. 抗結核剤の使用で空洞は消失したが背景に基礎疾患の存在が疑われ, high-resolution CT (HRCT) を施行したところ壁肥厚のない多数の気管支拡張を認めた. 気管支造影で右上, 中, 下葉, 左下葉の3, 4から7, 8次気管支レベルの嚢状気管支拡張を認め, それらは吸気時拡張, 呼気時虚脱し, また拡張部は盲端でなく, 末梢の気道も造影された. これらの所見と臨床経過より感染の繰り返しにより生じた通常の後天性嚢状気管支拡張症とは異なり, 先天性要因の関与が強く, かつ拡張部の壁が脆弱な気管支拡張症と考えられた. そのため本例は先天性の気管支軟骨の量的欠損が病因とされる Williams-Campbell 症候群の成人例で, 軽症であったため二次感染がほとんどなく, 今日まで無症状で経過したものと推測された.
  • 鈴木 聡, 千田 雅之, 佐久間 勉, 谷田 達男, 小野 貞文, 藤村 重文, 岡田 信一郎, 那須 元一, 小池 加保児, 仲田 祐
    1989 年 27 巻 4 号 p. 523-527
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    開胸術中に発症した再伸展性肺水腫の一例を経験した. 術中に採取した気道内浮腫液の浮腫液一血漿蛋白濃度比, 多核白血球比率は高値を示し, 以後漸減した. 本症は一過性の肺血管壁透過性亢進と考えられ, その機序には多核白血球の関与が示唆された. 多核白血球由来エラスターゼが気道内浮腫液中に多量に認められ, これが血管内皮細胞障害をひきおこした可能性が示唆された. 又, 透過性亢進の状態では, 血中の Thromboxane B2, 6-keto-PGF は上昇しており本症におけるアラキドン酸代謝産物の関与が推察された. 一方, 血中の Leukotriene B4 は正常域内にあった. 本症において肺血管壁透過性亢進が可逆的であった理由として, 多核白血球による血管内細胞障害の増幅が生じなかった可能性が推察された.
  • 特にCT所見を中心に
    田中 裕士, 小場 弘之, 森 裕二, 中田 尚志, 大島 信一, 鈴木 明
    1989 年 27 巻 4 号 p. 528-532
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    胸部単純像上粒状影を呈したマイコプラズマ肺炎の2例をX線学的に検討したので報告した. 症例1は31歳女性, 症例2は28歳男性で共に, 咳嗽と発熱を主訴に発症し, 胸部単純像上粒状影を呈した. そのCT像では, 肺動脈影の拡大像, 気管支壁の肥厚像と肺動脈影に連続した小葉, 細薬中心性の粒状影が認められた. これらの所見から, 病変は気管支肺動脈周囲間質と細気管支およびその周囲肺胞領域に存在すると考えられ, 胸部単純像上の粒状影は, これらの領域の陰影の summation によって合成されて出来たものと考えられた. CT所見から, 肺既存構造と病変部位との関係を, ある程度推測することが可能と思われた.
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