日本胸部疾患学会雑誌
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28 巻, 5 号
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  • 山岸 雅彦
    1990 年 28 巻 5 号 p. 681-690
    発行日: 1990/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    細葉中心性肺気腫を認めた剖検または切除された20肺葉のCT-病理相関, とくにCTの肺気腫検出能を検討した. 病理所見とCT像とをスライス単位で1対1に比較検討するために肺葉は水平断スライスとした. 10mm厚CTで検出され得る単一または集簇した気腫性変化の下限の大きさは3~4mmであった. Point-counting 法によるスライス標本の病理スコアが25%以下, 25~40%, 40%以上のものの検出率はそれぞれ45~76%, 86~96%, 100%であった. 肺葉単位でみると, 病理スコアが15%以上の20肺葉のすべてがCTで検出され, さらに3名の観察者の病理スコアとCTスコアの相関も有意に高い相関 (r=0.81~0.94, p<0.001) を示した. 以上のことから, CTは軽症の細葉中心性肺気腫の診断には限界があるが, 定量的な診断には極めて有用であると考えられた. またCTによる肺気腫の定量的評価法として, 視覚的スコア化は充分に利用しうる方法と考えられた.
  • 西村 浩一, 北市 正則, 泉 孝英, 三尾 直士, 江村 正仁, 長井 苑子, 大島 駿作, 神頭 徹, 千原 幸司, 川口 英人, 金岡 ...
    1990 年 28 巻 5 号 p. 691-697
    発行日: 1990/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    Pulmonary lymphangioleiomyomatosis (肺リンパ脈管筋腫症) 2例の開胸肺生検標本とX線CT所見を対比検討した. LAMのX線CT所見は, (1) 多数の低濃度域, (2) それ以外の領域における肺野濃度の軽度の上昇所見, (3) 肺血管像の不規則な腫大・末梢血管像の顕在化および気管支壁の肥厚像, であった. 開胸肺生検標本との対比検討によって, 主として, (1) は気腫性病変に, (2) は肺胞腔内のヘモジデローシスおよび肺胞管壁における多数の平滑筋細胞増殖の重積像に, (3) は肺動脈に伴走する気道壁に形成された平滑筋細胞増殖による病変に対応すると考えられた. 胸部X線写真と比較してX線CTは実際の肺標本に近い画像を描出していた. 鑑別が必要な肺気腫のCT所見と比較すると, 多数の低濃度域は両者に認められたが, 肺血管像は肺気腫では伸展・狭小化して観察されるのに対して, LAMでは不規則に腫大, 末梢血管像は顕在化し, また低濃度域以外の肺野濃度が上昇して認められた.
  • 吉沢 孝之, 倉科 桂司, 佐々木 巌, 大塚 健蔵, 赤柴 恒人, 堀江 孝至
    1990 年 28 巻 5 号 p. 698-705
    発行日: 1990/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    閉塞性睡眠時無呼吸症候群 (OSA) 13症例に対し, 10~14日間夜間睡眠中に経鼻的持続陽圧呼吸 (N-CPAP) を装着させ, その使用開始前と終了後に肺機能検査, 一般血液検査, ポリソムノグラフィー, 内田クレペリンテストを施行し, 各種指標の対比からN-CPAPの効果を検討した. N-CPAPの使用により apnea index が全例で著しく減少し, また睡眠中SaO2の低下を防ぎ正常化させる効果がみられた. 各症例ごとに無呼吸を分類してみるとN-CPAPは閉塞性及び混合性無呼吸に対しては著しい効果を示し, 無呼吸数が明らかに減少したが, 中枢性無呼吸については, ほとんど改善を認めなかった. N-CPAP使用後の昼間のPaO2は使用前に比して有意に増加しており, その改善にはFRCの増加, CC/FRCの減少が関与しているものと思われた. さらに内田クレペリンテストで検討した作業能力も改善しておりN-CPAPはOSAに対し非侵襲的で有意な治療法と考えられた.
  • 杉崎 勝教, 津田 富康
    1990 年 28 巻 5 号 p. 706-713
    発行日: 1990/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    19名のサルコイドーシス患者より得られた病変リンパ節を組織学的所見より早期, 最盛期前期, 最盛期後期, 治癒期に分類した. これらのリンパ節を用い類上皮細胞肉芽腫におけるCD4, CD8陽性細胞をモノクローナル抗体を用いた免疫組織化学的手法で検出した後, 画像解析システムを用いて肉芽腫単位面積当たりの各陽性細胞数を算出した. その結果肉芽腫単位面積当たりのCD4陽性細胞数は早期から最盛期にかけてほぼ一定の値をとり治癒期でやや減少した. 又, 肉芽腫単位面積当たりのCD8陽性細胞数は早期や治癒期に比べ最盛期で著明に低下した. これらの値から算出したCD4/CD8陽性細胞比は早期や治癒期で低値となり, 最盛期で上昇した. 以上からCD4/CD8陽性細胞比が肉芽腫の組織学的な活動性とよく相関することが分かった. 又, 肉芽腫単位面積当たりのCD8陽性細胞数が最盛期で著しく低値となることが肉芽腫病巣の成熟過程と何らかの関係をもつことが推測された.
  • 石原 享介, 冨岡 洋海, 長谷川 幹, 岡崎 美樹, 片上 信之, 坂本 廣子, 岩崎 博信, 梅田 文一, 中井 準
    1990 年 28 巻 5 号 p. 714-722
    発行日: 1990/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    夏型過敏性肺炎の急性期肺傷害さらにその遷延化の可能性を知る目的で経時的気管支肺胞洗浄 (BAL) を行った. 対象は17例で, 16例19回は入院3日以内に行い, うち8例では可能なかぎり繰り返し行った. 17例中15例に抗 Trichosporon cutaneum 抗体を検索し全例陽性であった. 急性期BAL総細胞数, リンパ球数, 好中球数が上昇した. OKT4/OKT8比は発症時0.39と低値を示した. 病勢がおさまるにしたがい総細胞数, リンパ球数, 好中球数は低下したが, リンパ球比率は高値にとどまった. OKT4/OKT8比は寛解に伴い上昇しより鋭敏な動きを示した. BALリンパ球数は%VC, %DLCOと有意の負の相関を示した. BAL細胞所見, %VC, %DLCOの1年後の改善は非転居例は転居例に及ばなかった. 非転居例ではその後の再発症がみられ, 本症の慢性化の防止には徹底的な環境改善, 時に転居が必要である.
  • 岡野 昌彦, 佐藤 篤彦, 千田 金吾, 岩田 政敏, 安田 和雅, 志和 泉, 須田 隆文
    1990 年 28 巻 5 号 p. 723-728
    発行日: 1990/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    肺胞蛋白症 (PAP) 4症例について, 経気管支鏡下肺胞洗浄 (BAL) 前後のAMφ機能と病態の推移について検討した. BALは4~24週の間隔で7~13回施行した. BALの総細胞数は, 0.17~0.92×105/mlと減少しており, 細胞分画では, AMφの減少とリンパ球, 好酸球の増加を認めた. PAPのAMφ機能は, 貪食能が3~14%, NBT還元能が5%以下と低下していたが, BAL治療後は1例を除き, 貪食能は25~62%に, NBT還元能は15~35%に回復していた. BAL後の経過は, 2例が3年間再発を認めなかったが, AMφ機能の回復が不完全であった1例は1年後に再発し, 回復しなかった1例は, 肺結核を合併した上にPAPの増悪が認められ, 再発, 増悪したPAPのAMφ機能は低下し, 寛解していたPAPのAMφ機能は正常であった. 以上より, PAPの病態とAMφ機能は密接な関連性を有していると思われた.
  • 青木 昭子, 萩原 恵里, 白井 輝, 石ケ坪 良明, 谷 賢治, 大久保 隆男, 横田 俊平, 清水 広子, 松山 秀介
    1990 年 28 巻 5 号 p. 729-735
    発行日: 1990/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    結核患者の高免疫グロブリン血症を血清クラス別に検討するとともに, BCG菌体成分を抗原としたELISA法にて特異的血清抗体を測定した. 成人患者では血清IgG, IgAの上昇は認められたが, IgMの上昇は認められなかった. 血清IgG型抗BCG抗体価は, 結核患者血清が健常人血清に比べて有意に高値を示した. 活動性患者ではとくに高値を示し, 治療によって抗体価の低下が見られた. この抗体価の測定は結核症の診断や経過観察に有用と考えた. ついで血清抗体の認識するBCG抗原分画をイムノブロット法にて解析した. 65KDa分画は健康人血清でも高頻度で認識され, 他の一般細菌抗原との交差反応性によると考えた. 65KDa蛋白による感作が感染症の病態や自己免疫反応に影響を与えている可能性について考察した. 血清抗体に認識されたBCG抗原分画の中で, 16KDa分画は結核患者に有意に高頻度で認識された. この分画が特異性, 感受性に優れた診断法やコンポーネント・ワクチンの開発に有用ではないかと考えた.
  • 宮本 宏, 方波見 基雄, 岸 不盡彌, 平賀 俊尚, 磯部 宏, 清水 透, 原田 真雄, 石黒 昭彦, 羽田 均, 川上 義和
    1990 年 28 巻 5 号 p. 736-740
    発行日: 1990/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    慢性閉塞性肺疾患が合併した原発性肺癌 (COPD肺癌) 42例 (全肺癌534例の7.9%) とCOPDがない肺癌 (対照群) 84例 (年齢と性の比率を適合させた) とを比較し, これらの肺癌の間に臨床的, 病理組織学的に差異があるかどうか調べた. COPD肺癌の組織型は扁平上皮癌25例 (59.5%), 腺癌11例 (26.2%), 小細胞癌2例 (4.8%), 大細胞癌4例 (9.5%) であり, COPD肺癌の方が対照群に較べ扁平上皮癌の割合が高く, 腺癌の割合が低かった (p<0.01). COPD肺癌の扁平上皮癌のうち, 中心発生腫瘍は12例 (48.0%), 末梢発生は13例 (52.0%) であった. そのうち, 気管支炎優位COPDに合併した扁平上皮癌12例中, 9例 (75.0%) が中心発生で, 3例 (25.0%)) が末梢発生腫瘍であり, 対照群の発生頻度と差はなかった. しかし, 肺気腫優位COPDの扁平上皮癌 (13例) では, 中心発生腫瘍は3例 (23.1%) であるのに対し, 末梢発生腫瘍は10例 (76.9%) であり, この末梢扁平上皮癌の頻度は対照群の末梢扁平上皮癌 (36.7%) に較べ, 有意に大きかった (p<0.05). 以上より, 肺気腫優位のCOPDでは末梢扁平上皮癌の発生に対し, より大きな危険性を有している可能性がある.
  • 村山 尚子, 鈴木 克洋, 山本 孝吉, 久世 文幸
    1990 年 28 巻 5 号 p. 741-749
    発行日: 1990/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    マウス肺胞マクロファージ (AM) のPMA, zymosan 刺激に対する活性酸素放出を腹腔マクロファージ (PM) のそれと比較検討した. 常在AMのO2-放出は常在のPMのと同様の傾向を示した. BCG静注3週後に採取したAM (BCG-AM) は, PM (BCG-PM) と同様, 殺カンジダ活性の増強, zymosan 刺激に対するO2-放出の亢進を認めた. PMA, dioctanoyl glycerol 刺激によるO2-放出はBCG-PMでは亢進したが, BCG-AMでは亢進せず常在AMとほぼ同様の結果であった. protein kinase C (PKC) 阻害剤H-7は, zymosan 刺激よりPMAによるO2-の放出の方を強く抑制し, またPMAによるO2-互放出のH-7による抑制はBCG-AMよりBCG-PMでより顕著であった. さらに, 肺サーファクタントはBCG-AMのO2-放出を抑制した. 以上より, マウスAMは活性酸素放出に際し, 刺激に対し選択性を持つ可能性があり, その一つの機序がPKCを介する情報伝達系の活性低下による可能性が示唆され, またこれには肺サーファクタントの関与が示唆された.
  • 片岡 幹男, 中田 安成, 前田 剛, 細谷 茂衛, 西崎 浩, 小野 芳郎, 飛岡 徹, 森 由弘, 玉井 守, 江尻 東伍, 大熨 泰亮 ...
    1990 年 28 巻 5 号 p. 750-755
    発行日: 1990/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    超音波検査法 (US) は, 患者に侵襲を与えることなく施行できる簡便な検査法である. 超音波診断装置を用いて, サルコイドーシス (サ症) 患者の脾臓を計測することにより, 理学的に診断不能な脾腫大の有無を明らかにするとともに, 脾腫大とサ症病態との関連について検討した. サ症37例を対象にUSを用いて脾の計測を行った. Spleen Index が30以上の脾腫大有りと認められた症例は21例 (57%), このうち触知しえたのは3例であった. 末梢血, 骨髄像, 生化学検査では脾腫大の有無による差はなく, 脾機能亢進症例も認められなかった. しかし血清免疫学的検査では脾腫大群で, 血清 Immunosuppressive acid protein (IAP) が有意の高値を示していた. 更に脾腫大群では胸部X-Pで肺野異常影を呈する症例および 67Gallium の肺野への取り込み陽性症例が多く認められた. サ症ではUSにて半数以上の症例に脾腫大が認められ, かつ脾腫大の存在は本症病勢と関連していることが窺われたことより, 脾腫大の検討は本症の進展度や活動性の把握に有用と考えられた.
  • 馬 島徹, 小原 富士男, 北村 登, 秋山 義彦, 吉田 ナガミ, 加藤 秀継, 相原 浩, 細川 芳文, 山口 道也, 林 裕人, 堀江 ...
    1990 年 28 巻 5 号 p. 756-760
    発行日: 1990/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    室内で飼育していたインコによると考えられた鳥飼病の2例を経験したので報告する. 症例1は13年間インコを飼育していた. 組織像で線維化および肉芽腫形成がみられ, BALF中のTリンパ球サブセットでは helper T cell が増加していた. 血清中のインコフンに対する沈降抗体がみられた. 症例2は7ヵ月インコを飼育していた. 組織像で胞隔炎が主体で, BALF中の supressor T-cell が増加していた. インコフンに対する沈降抗体は血清中にはみられず, BALF中にのみ見られた. 慢性に経過し, 肉芽腫形成がみられた例ではBALF中の helper T cell が増加していた. 急性に経過し, 組織で胞隔炎が主体の例ではBALF中の supressor T cell が増加し, 沈降抗体はBALF中にのみ認められた. 過敏性肺臓炎の時期によってBALF中のTリンパ球サブセットが異なることが考えられ, 特異抗体は局所の抗体産生が先行することが示唆された.
  • 横井 香平, 宮沢 直人, 森 清志, 斉藤 芳國, 富永 慶晤, 鈴木 恵子
    1990 年 28 巻 5 号 p. 761-766
    発行日: 1990/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    近年の気管支鏡検査の普及に伴い, その可視範囲内に腫瘍を認める転移性肺腫瘍, いわゆる Endobronchial metastasis を経験する機会が増して来ている. 症例は54歳女性で, 42歳時乳癌のため左乳房切断術を受けている. 咳嗽, 血痰を訴えて来院, 胸部単純X線写真では異常を認めず, 気管支鏡検査で右中間気管支幹をほぼ閉塞する polypoid 病変と周囲気管支の浮腫, 肥厚を認めた. 生検組織は腺癌で, 中下葉管状切除術を施行した. 腫瘍は気管支外膜から粘膜下に主体があり, 周囲リンパ節に連続性に浸潤していた. 組織型は硬癌で, 12年前の乳癌組織像と一致し, 乳癌の Endobronchial metastasis と診断した. 乳癌の Endobronchial metastasis の報告は本邦では比較的少ないものの, 欧米では腎癌等と同様頻度が高いものと考えられており, 今後乳癌切除後に何らかの呼吸器症状や胸部異常影を示す症例に対して, 積極的に気管支鏡検査を施行して行く必要があると考える.
  • 黒野 隆, 佐久間 哲也, 篠崎 俊秀, 河内山 資朗, 増山 茂, 国友 史雄, 川村 功, 栗山 喬之
    1990 年 28 巻 5 号 p. 767-772
    発行日: 1990/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    重症の肥満を有し, 夜間 polysomnography にて高度な閉塞型睡眠時無呼吸症候群を呈した症例に対し, 胃縮小術である垂直遮断胃形成術を施行, 肥満および睡眠時無呼吸の著明な改善を認めたので報告した. 症例は23歳男性. 11歳時よりすでに体重80kg台と肥満傾向, 13歳頃より110kgになり昼間の傾眠傾向, 鼾, 並びに夜間無呼吸を指摘されていた. 当科受診時, 身長170cm, 体重170kgと高度肥満, sleep study にて閉塞型睡眠時無呼吸症候群と診断された. 当院第2外科にて, 垂直遮断胃形成術による胃縮小術を施行. 術後約3ヵ月で体重110kgと減少したため, 再度 sleep study を施行したところ睡眠時無呼吸の著明な改善を認めた. 文献上では, 胃縮小術により体重が減少するのと同時に睡眠時無呼吸が改善した報告はまれであるが, このような症例の治療に胃縮小術は有効と考えられた.
  • 大蔵 隆文, 塩出 昌弘, 田中 留美, 古川 明, 茎田 仁志
    1990 年 28 巻 5 号 p. 773-776
    発行日: 1990/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は70歳の女性. 左大腿下部内側の腫瘤に気づき, 近医を受診し単純摘出術を受けた. この時同時に胸部X線上, 左上葉末梢に異常陰影を指摘され当科に入院した. 入院後大腿腫瘤が脂肪肉腫と組織診断され, 脂肪肉腫の肺転移を疑ったが, 肺楔状切除術を施行し腺様嚢胞癌と診断した. 腺様嚢胞癌は気管支腺より発生する腫瘍と考えられ, その多くが気管および中枢気管支に認められる. このため他の部位からの肺転移を疑い頭頚部, 食道, 子宮頚部等精査したが異常を認めず, 肺原発の腺様嚢胞癌と診断した. 本症例のように末梢に発生した腺様嚢胞癌はきわめてまれであり, 今後腺様嚢胞癌の発生母地を考える上でも貴重な症例と思われたので報告した.
  • 小林 一郎, 近藤 哲理, 鈴木 英雄, 山内 俊忠, 太田 保世, 山林 一
    1990 年 28 巻 5 号 p. 777-780
    発行日: 1990/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は18歳女性, 呼吸困難および心窩部の不随意運動を主訴に来院した. 血液ガスは正常. 呼吸流量 (Flow), 胸壁・腹壁運動, 呼吸筋々電図の測定を行った結果, 自発呼吸の吸息相は150~170/分の間欠的な吸気 (粗動波) から構成されていた. 筋電図よりこれらの粗動波は横隔膜・肋間筋が駆動していることが明らかとなった. 横隔膜粗動の診断で, diphenylhydantoin 200mg 静注を行うと, 約10分後には発作は抑制された. 後日原因検索のため胸部X線写真, 心電図, 頭部CT, 頚椎MRI等施行したが, 異常は認められず, 発作は1年の経過観察中に自然軽快した. 本例は自験4例目であり, 吸気に限局した型である. 呼吸筋々電図解析により, 横隔膜とともに吸気性肋間筋が粗動波の生成に関与していることを確認した. 多数の呼吸筋が動員されることは脊髄より上位での機能異常が原因であることを示唆している.
  • 野田 康信, 下平 雅哉, 伊藤 久芳, 権田 秀雄, 岡田 規雄, 鈴木 道生, 金子 路江
    1990 年 28 巻 5 号 p. 781-785
    発行日: 1990/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    肺癌にホルモン産生腫瘍が存在することが知られている. 最近我々は human chorionic gonadotropin (HCG) 産生肺大細胞癌の2例を経験した. 症例は66歳と65歳の男性であるが, 経過中に両側女性化乳房を認めたため内分泌学的検査を施行し, 血中HCG, HCG-β, luteinizing hormone, estrone, estradiol, progesterone の上昇を認めた. 剖検肺での抗HCGウサギ血清をもちいた酵素抗体法により腫瘍組織内にHCGの産生を証明したので, 若干の文献的考察を加え報告した.
  • 富井 啓介, 岩田 猛邦, 種田 和清, 郡 義明, 田口 善夫, 南部 静洋, 弓場 吉哲, 三野 真里, 柚木 由浩, 黒田 康正, 小 ...
    1990 年 28 巻 5 号 p. 786-791
    発行日: 1990/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は43歳, 女性. 発熱, 呼吸困難を主訴に入院. 症状, 所見よりSLEと診断され, ステロイドパルス療法, 免疫抑制剤投与受けるが呼吸困難は増悪し, 入院約2ヵ月後死亡した. 高分解能CTで背側を中心に容積減少と air bronchogram を伴う高い濃度上昇域を認め, また経過とともに腹側へ広がる淡い濃度上昇域も認めた. 剖検時の進展固定肺標本では前者に相当する部分で無気肺, 強い線維化を認め, 後者に相当する部分では含気は比較的保たれたものの肺胞虚脱, 肺胞道拡張が目立った. 本例は病理学的には difruse alveolar damage と考えられ, 間質性肺炎から肺の線維化に至る過程で肺胞虚脱が大きく関わるとする考えによく合致するものと考えられた.
  • 1990 年 28 巻 5 号 p. 792-805
    発行日: 1990/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 28 巻 5 号 p. 806-818
    発行日: 1990/05/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
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