日本胸部疾患学会雑誌
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29 巻, 12 号
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  • Sami I. Said
    1991 年 29 巻 12 号 p. 1525-1531
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 塚越 秀男, 黒沢 元博
    1991 年 29 巻 12 号 p. 1532-1537
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    先に筆者らが報告した気道平滑筋の収縮率を気道過敏性の指標と考えても差し支えない式を用い, TXA2投与による気道反応性の変化を検討した. TXA2を投与すると, 気道粘膜に浮腫を生じることなく, ヒスタミンに対する気道平滑筋の収縮率が増加した. この反応はTXA2拮抗薬により抑制されることから, TXA2投与により気道過敏性が亢進することが示唆された.
  • 小野寺 晃彦, 塩谷 隆信, 三浦 進一, 加賀谷 学, 吉田 功一, 三浦 一樹, 三浦 傅
    1991 年 29 巻 12 号 p. 1538-1546
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    著者らは, 薬剤の気管循環動注により気管平滑筋収縮の用量反応曲線を描く実験モデル作製のため血管解剖を分析し, 本モデルの有用性を評価するため薬理反応の点から検討を加えた. 雑種成犬52頭の頭側甲状腺動脈の分岐様式は, 最初に筋枝を分岐して甲状腺枝と気管枝となる一般型, 最初に気管枝を分岐して甲状腺枝と筋枝になる型, 甲状腺枝, 気管支, 筋枝の3本が同時に分岐する型, 筋枝を欠く型の4つに大別された. 左右の組み合わせをみると, 両側とも一般型に分岐するものが62%, 左右いずれかが一般型のものが23%, 残りの15%がその他の組み合わせであった. 気管循環動注法により, アセチルコリン, セロトニン, ヒスタミン, α1作働薬フェニレフリン, α2作働薬クロニジンについて用量依存性に気管平滑筋収縮がみられ, イヌ気管平滑筋において交感神経系アミンによる気管収縮は2つのα受容体サブタイプ,α1およびα2によることが示唆された.
  • 浮田 英明, 小笠原 英紀, 正木 芳孝, 土肥 勇, 大塚 義紀, 日下 大隆, 谷村 一則, 棟方 充, 川上 義和, 本間 行彦
    1991 年 29 巻 12 号 p. 1547-1552
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    アルミトリンは低酸素性肺血管収縮の増強と末梢化学受容器の刺激を介して肺のガス交換を改善させる可能性が推測されている. この関係を検定するため, 疾患モデルとして犬の急性パラコート障害肺を用いて人工換気下でのアルミトリン (0.3, 1.0μg/kg/min) の循環動態, 動脈血ガス分圧, 肺内換気血流比分布に対する作用を検討した. 肺の組織学的変化として全例に胸膜直下のうっ血と出血, 胞隔の肥厚と線維化が認められた. アルミトリン0.3μg/kg/min経静脈投与ではいずれの指標にも有意な変化を認めなかった. 1μg/kg/min投与時には平均肺動脈圧が17.4±3.3mmHg (mean±SD) から20.4±1.5mmHgへ上昇した (p<0.01) が, 動脈血ガス, 肺内換気血流比分布には有意な改善を認めなかった. 以上の結果から急性パラコート障害肺において, アルミトリンはガス交換改善作用と独立して肺動脈圧上昇を起こし得ることが示唆された.
  • 井門 明, 辻 忠克, 清水 哲雄, 福澤 純, 藤内 智, 藤田 結花, 大木 康生, 佐々木 信博, 坂井 英一, 小野寺 壮吉
    1991 年 29 巻 12 号 p. 1553-1559
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    肺高血圧を呈する慢性肺疾患患者13症例を対象に, denopamine の循環動態および血液ガスにおよぼす急性効果を検討した. denopamine の投与により, 肺動脈圧, 肺血管抵抗は有意に低下し, 心拍数は有意に増加した. 心係数は, 有意ではないが増加傾向を示した. 体血圧, 体血管抵抗には有意な変化を認めず, また肺・体血管抵抗比は有意に低下したことから, denopamine が肺血管に比較的選択的に作用することが示唆された. 一方, 血液ガスに対しては, PaO2 は有意に上昇し, PaCO2 は有意に下降した. 組織酸素化能の指標とされる混合静脈血酸素分圧は統計学的に有意に上昇し, 酸素供給係数, 酸素消費量には有意な変化を認めなかった. 以上より, 慢性肺疾患患者の肺高血圧症において, 循環動態および組織酸素化の改善に関して, denopamine の有効性が示唆された.
  • 気管支狭窄による連続性ラ音との対比検討
    長 澄人, 塩谷 直久, 成田 亘啓, 小山 泰弘, 渋谷 惇夫
    1991 年 29 巻 12 号 p. 1560-1568
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    気管支喘息患者の連続性ラ音を音響学的に解析し, その伝播特性について気管支狭窄による連続性ラ音と比較, 検討した. 気管支喘息患者の連続性ラ音はサウンドスペクトログラフの所見から monophonic tone と polyphonic tone の2つの pattern に分類できた. 前者は後者と比べて聴感上音量の左右差が明確であり気管支狭窄によるラ音との鑑別が困難であったが, コヒーレンス解析の結果から, 主として左右いずれかの肺内で発生して気管上頚部に極めてよく伝播していることが示唆された. また, polyphonic tone の場合は主たる音源が左右いずれの肺内にあるかを確定することは困難であったが, この場合も対側胸壁上よりも気管上頚部への伝播性の方が良い傾向が認められた. したがって, 気管支喘息患者の連続性ラ音の聴取部位として気管上頚部が非常に重要であることが確認された.
  • 相澤 久道, 井上 博雅, 高田 昇平, 古藤 洋, 池田 東吾, 広瀬 隆士
    1991 年 29 巻 12 号 p. 1569-1573
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    気道上皮細胞が気道平滑筋の収縮を抑制することは, ヒトを含む哺乳動物において報告されている. イヌやモルモットにおいては, この平滑筋収縮抑制は, Epithelium-derived relaxing factor を介している可能性が強いと報告されているが, ヒト気道では明らかではない. そこで, 今回我々は coaxial bioassay 法を用いて以下の検討を行った. 肺癌の手術症例10例より摘出した気管支を実験に用いた. 上皮を剥離した気管支片を acceptor tissue として donor tissue の気管支輪の中に懸垂し, 張力を測定した. acetylcholine (ACh) による収縮を測定した後, 気管支輪の上皮を擦過により剥離し, 再びAChによる収縮を測定した. donor の気管支輪の気道上皮を剥離することにより, acceptor の気管支切片の収縮は有意に増強した. これは, ヒト気管支においても気道上皮細胞が, 何らかの平滑筋収縮抑制作用を有することを示すものである.
  • 南部 静洋, 岩田 猛邦, 種田 和清, 郡 義明, 田口 善夫, 富井 啓介, 三野 真里, 市島 國雄, 小橋 陽一郎, 相原 雅典
    1991 年 29 巻 12 号 p. 1574-1581
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    肺の微生物培養を施行した剖検569例中, (1986~1989年) Methicillin 耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) を検出した28例の臨床病理学的検討を行った. MRSA検出例は1986年: 2例, 1987年: 2例, 1988年: 6例, 1989年: 18例と著増を示した. 基礎疾患は悪性腫瘍が17例と多く, 悪性腫瘍以外では肝硬変症, 慢性下気道感染症等であった. 抗菌剤は24例に投与されていたが, 第III世代 Cephem 剤と Imipenem/cilastatin sodium が合計20例と多く, MRSAに対し感受性のある抗菌剤の治療は1例であった. 生前の喀痰培養は10例にのみ施行され, うちMRSA検出例は5例であった. MRSAの抗菌剤感受性では Fosfomycin や Ofloxacin に対し耐性株の増加がみられた. 組織学的な肺炎は19例にみられ, うち7例がMRSAが単独で検出された. 剖検例におけるMRSAの呼吸器感染症は悪性腫瘍の末期例で, 生前に同感染症の診断や治療が行われていなかった症例が多く, こうした状況が院内感染におけるMRSA著増の一因と考えられた.
  • 岩田 政敏, 佐藤 篤彦, 千田 金吾, 早川 啓史, 北澤 浩, 秋山 仁一郎, 岸本 波是明, 岡野 昌彦, 谷口 正実
    1991 年 29 巻 12 号 p. 1582-1590
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    BOOP所見は非特異所見であり, 特発性BOOPの診断は除外診断による. 我々は開胸肺生検例の検討から, BOOP所見を17例 (特発性BOOP 7例, 分類不能の間質性肺炎1例, 膠原病肺3例, 過敏性肺臓炎2例, 好酸球性肺炎1例, 多発性肺膿瘍1例, 限局型 Wegener 肉芽腫症1例, ニューモシスチス・カリニ肺炎1例) に認めた. 特発性BOOP群と他疾患群間で自覚症状, 検査所見に差は認めなかった. 胸部X線像では, 全例が両側性に分布する斑状影, 結節状影, 粒状網状影等を呈していたが, 移動する斑状影を示したのは特発性BOOP症例と好酸球性肺炎症例であった. 特発性BOOPの全例に経気管支肺生検で胞隔炎と肺胞腔内器質化所見を認めた. 鑑別には開胸肺生検像で除外所見を見つけることが重要と考えられた. 特発性BOOP 7例中5例が再燃をきたしたが, うち4例はステロイド剤の減量・中止と因果関係があると考えられ, 注意を要する.
  • 藤田 淳, 国兼 浩嗣, 赤司 憲治, 中島 功雄, 斉藤 俊平, 阿部 庄作, 川上 義和, 広村 忠雄, 岡安 健至
    1991 年 29 巻 12 号 p. 1591-1595
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は66歳の女性. 胸部レ線像にて右肺門部に直径約2.5cmの類円形腫瘤影を認め, 精査目的に入院. 気管支鏡所見にて右B8周囲に壁外からの圧迫所見を認め, RI angio, Dynamic CT にて血管性病変が疑われた. 動脈造影にて気管支動脈の拡張蛇行とその末梢に動脈瘤が描出され, 右下葉切除が施行された. 病理所見にて動脈瘤壁に軽度の動脈硬化性変化を認めたが, 周囲の肺胞, 気管支には明らかな異常はなかった. 気管支動脈瘤は稀な疾患で現在まで26例の報告をみるにすぎない. 本症例は胸部レ線写真で発見された最初の例であり, 胸部異常陰影の鑑別診断の上でも貴重な症例と思われた.
  • 岡野 昌彦, 佐藤 篤彦, 千田 金吾, 早川 啓史, 岩田 政敏, 安田 和雅, 志知 泉, 須田 隆文, 小杉 伊三夫, T. Maed ...
    1991 年 29 巻 12 号 p. 1596-1602
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は33歳の女性. 乾性咳嗽と息切れを主訴に入院. 両親は血族結婚で, 白子症と胸部X線写真にてびまん性網状粒状影を認め, 出血凝固能は正常であったが, 血小板機能では, セロトニン含有量の低下とATP放出能の低下がみられた. 開胸肺生検で間質の線維化とセロイド様顆粒を貪食したマクロファージの集簇を認め, HPSに合併した間質性肺炎の1例と診断した. 種々の治療にもかかわらず約1年後に呼吸不全にて死亡した. HPSに伴う間質性肺炎の特徴は, 30~40歳代に発症し, 胸部X線では上, 中, 下肺野の区別なく, 胸膜直下よりも内側に網状線状陰影を呈し, 進行すると上肺野に嚢胞陰影を形成するが, 肺容積の減少は少ない. 予後は, 肺病変発現後, 1~6年の経過で呼吸不全の進行により死亡する例が多く, ステロイド治療は無効であった.
  • 岸本 卓巳
    1991 年 29 巻 12 号 p. 1603-1607
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    石綿曝露の既往があり, 肺組織に有意な数の石綿小体を認めた限局型中皮腫の1例を報告した. 本症例の腫瘍組織では spindle cell が主体で mitosis もほとんどなかった. また腫瘍組織は cytokeratin, vimentin に弱い染色性があり, malignant mesothelioma との鑑別が難しかったが, ばち指, 低血糖症状があることと, 発育が大変緩徐であったことなど臨床症状より良性中皮腫と診断した.
  • 中野 秀彦, 湊 浩一, 北条 忍, 斎藤 龍生, 滝瀬 淳, 土屋 智, 江沢 一浩, 笛木 直人, 星野 秀樹, 中里 洋一
    1991 年 29 巻 12 号 p. 1608-1613
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は肺扁平上皮癌の76歳の男性で右底幹原発, c-T3N3M1, stage IV で閉塞性肺炎を併発のため対症的照射として右肺門部に Linac 照射を開始したが, 18Gy照射の時点で重症型肺臓炎を発症し死亡した. 剖検にて, 明らかな扁平上皮癌部分と紡錘型細胞からなり癌肉腫とは異なる腫瘍で, ケラチン等の免疫染色ともあわせ紡錘細胞型 (扁平上皮) 癌 (WHO) と診断した. 重症型肺臓炎の原因としては照射により閉塞が-時改善し, 激しい咳嗽とともに壊死物質が経気道的に散布された可能性が示唆された.
  • 中村 淳一, 松島 敏春, 富澤 貞夫, 田辺 潤
    1991 年 29 巻 12 号 p. 1614-1617
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    高CO2血症を呈した肺塞栓症の1例を経験した. 症例は向精神薬の大量服用による意識障害で入院した18歳の男性で, 低O2血症の持続と胸部X線写真で右上肺野の紋理減少を認めたことが, 肺塞栓症を診断する緒となった. しかしPaCO2の上昇を認めており, このことは肺塞栓症で通常認められる異常所見と一致せず, 診断を困難とした. 本症例における高CO2血症を呈した原因は, 肺塞栓症発症後も向精神薬による意識レベルの低下が持続しており, 呼吸数の著明な増加が見られなかったことから, 向精神薬大量服用による呼吸中枢の抑制と考えられた.
  • 藤内 智, 藤田 結花, 大木 康生, 藤兼 俊明, 佐々木 信博, 清水 哲雄, 坂井 英一, 久保 良彦, 小野寺 壮吉
    1991 年 29 巻 12 号 p. 1618-1623
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    検診で胸部X線写真上の異常を指摘された65歳の男性が精査を目的に道北病院を受診した. 自覚症状はなく, 胸部X線写真では右上中肺野にわたる胸膜外徴候が陽性で右第5肋骨の骨融解像を伴う濃度が均一な陰影を認めた. また腹部画像診断で右副腎部に直径約5cmの腫瘤像を認め, 内分泌学的検査でノルエピネフリン, ドパミンの著明な増加を認めたため悪性褐色細胞腫とその肋骨転移を疑い, 腹部および胸壁の腫瘍切除術を施行した. 病理学的に両者共にクロモグラニン染色は陽性であったが, 腹部の腫瘤と副腎との間には連続性はなく悪性傍神経節腫と診断した. 本症例はカテコラミンが高値にも拘らず臨床的には全く無症状であり興味深く思われたため報告した.
  • 秋葉 裕二, 松本 博之, 石井 良直, 長内 忍, 中野 均, 松橋 浩伸, 飛世 克之, 小野寺 壮吉
    1991 年 29 巻 12 号 p. 1624-1629
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は56歳男性. 20年前から夜間の呼吸停止を指摘されていた. 10年前から高血圧症といわれ, 日中の眠気も認めていた. 平成元年1月, 早朝に繰り返される前胸部絞扼感と息苦しさのため当科に入院した. 終夜ポリソムノグラフィーでは apnea index 37.5回/時で中枢型優位の睡眠時無呼吸を認め, 睡眠時無呼吸症候群と診断した. また, 入院後第14病日の早朝に, 心電図上II, III, aVF誘導でST上昇を伴う胸痛発作が出現し, 異型狭心症と診断した. 4回行われた終夜ポリソムノグラフィー時には胸痛発作は認めなかった. しかし, 睡眠時無呼吸および異型狭心症発作がREM期に出現しやすく, ともに自律神経系の活動性の変化が関与することから両者における因果関係が推定された. また, 無呼吸による低酸素血症や呼吸再開時の過換気が, 異型狭心発作を誘発する可能性などが考えられた.
  • 鈴木 直仁, 荒井 康男, 宮本 康文, 磯兼 則子, 福島 範子, 佐野 靖之
    1991 年 29 巻 12 号 p. 1630-1637
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は23歳男性. 喘息にて当科外来に通院中好酸球増多症出現し経過を観察されていたが, 熱発でインドメサシン座薬を使用したところ胸内苦悶感・呼吸困難を訴え, 病室移送中心肺停止を来した. 蘇生後の心電図所見, 心筋逸脱酵素の上昇並びに心エコー所見から急性心筋梗塞と診断された. その後も前胸部痛と腹痛をしばしば訴え, 検査のため入院中にサリドン®を内服したところ, 強い前胸部痛と共にECG上ST上昇が現れた. 冠動脈造影では狭窄も動脈硬化性変化も見られず, 心筋梗塞様症状及び前胸部痛は冠動脈の強い攣縮と好酸球による心筋の直接傷害に起因すると考えられた. 本例は臨床経過より Churg-Strauss 症候群と診断され, 皮膚生検及び経気管支肺生検によりこの診断に矛盾しない所見が得られた. ステロイド投与により前胸部痛・腹痛の訴えは消失した. 本例は2度にわたって鎮痛解熱剤投与により急速な心血管症状を呈しており, アスピリン喘息を合併する本症候群患者に対しては慎重な対応が必要と考えられる.
  • 木村 啓二, 円谷 智夫, 黒沢 一, 中山 勝敏, 林 雅人
    1991 年 29 巻 12 号 p. 1638-1643
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は67歳女性. 健康診断の胸部X線検査で後縦隔に巨大な腫瘤陰影が認められ, 後縦隔腫瘍 (疑) にて入院した. 針細胞診および血管造影より食道平滑筋肉腫が疑われ, 腫瘍核出術が施行された. 腫瘍は胸部下部食道から発生しており, 23×13×13cm, 重量1,110grの巨大な腫瘤で, 病理学的に平滑筋肉腫と確定診断された. 食道平滑筋肉腫はまれな疾患であり, なおかつ嚥下困難などの症状がほとんど無いまま, 後縦隔腫瘍と鑑別を要するほど巨大に発育した例は希有と考えられ報告する.
  • 益崎 裕章, 巖西 真規, 梅宮 正志, 美崎 幸平, 住友 伸一, 藤村 直樹, 加藤 幹夫, 日置 辰一朗, 金岡 正樹, 山本 隆一
    1991 年 29 巻 12 号 p. 1644-1650
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    33歳の男性. 気管支喘息が先行した後, 急性経過で多発性関節痛, 貧血, 低酸素血症, 多発性単神経炎, 腎障害を発症した. 喀痰, 末梢血, 気管支肺胞洗浄液中の好酸球増多に加え, 喀痰には多数の担鉄マクロファージが出現した. 胸部X線上, びまん性のすりガラス状陰影を, 高分解能CTは, 肺野の濃度上昇と肺動脈の異常を示した. 症状悪化の為, 副腎皮質ステロイド薬 (以下ステロイド) を投与したところ, 劇的な改善が見られ, 陽性化していた抗糸球体基底膜抗体も速やかに消失した. 開胸肺生検にて, 肉芽腫と強い好酸球浸潤を伴った血管炎を, 骨髄生検では, 細胞密度が低いにもかかわらず強い好酸球増生が見られ, 骨髄好酸球増多による赤芽球低形成が急性貧血の主因と推測された. Goodpasture 症候群, 結節性多発動脈炎 (PN) をはじめとする種々の血管炎症候群との鑑別に苦慮したが, 病理組織学的にアレルギー性肉芽腫性血管炎と診断された. ステロイドは五ヵ月にわたり漸減し中止した. 再発の徴候は無く, 経過良好である.
  • 日高 佳子, 道津 安正, 谷口 治子, 芦谷 淳一, 伊井 敏彦, 松倉 茂
    1991 年 29 巻 12 号 p. 1651-1654
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は71歳, 男性. 交通事故にて入院した際の胸部レ線写真上, 両側下肺野の腫瘤状陰影が発見された. 後縦隔腫瘍の疑いで精査し, 両側性のBochdalek孔ヘルニアと診断した. 肥満によって増加した後腹膜腔の腎周囲脂肪組織が横隔膜の脆弱部を越えて胸腔内に脱出したものと考えられた. 胸部CTとT1強調MRIで, 横隔膜脚を越えて後腹膜腔から胸腔内に連続する脂肪組織が明瞭に観察され, 診断に有用であった.
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