日本胸部疾患学会雑誌
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30 巻, 4 号
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  • 滝島 任, 本田 良行
    1992 年 30 巻 4 号 p. 525-570
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 青山 洋二, 米谷 則美, 小西 一樹, 田村 昌士, 野辺地 篤郎
    1992 年 30 巻 4 号 p. 571-576
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    過敏性肺炎の病期, 重症度あるいは予後を推定する目的で当科における農夫肺症例を胸部X線パターンにより5型に分類し, 各群間で背景因子の相関について検討した. 各群間で有意差を認めた項目は, 微細粒状陰影を呈するI型にリンパ球比率が高く (p<0.01), また境界不鮮明斑状陰影を呈するV型では他型に比し, 白血球, CRPの高値, 動脈血酸素分圧の低下を認めた. しかし, 粒状陰影, 輪状陰影, 不規則紋理などの複合パターンを呈するII, III, IV型では明らかな有意差を認める項目はなかった. 以上の結果から, I型, V型はそれぞれ急性例, 劇症例と一致するものであったが, 慢性型に予想される拘束性障害, 拡散障害および病理組織所見には各群間で有意差は認められず, 今回のX線分類では病期, 重症度および予後に関し, 推定できるものは一部の症例にとどまった.
  • 中野 剛, 西村 正治, 宮本 顕二, 川上 義和
    1992 年 30 巻 4 号 p. 577-584
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    慢性肺疾患, 睡眠時無呼吸症候群などでは夜間に動脈血酸素飽和度の低下が起こることが知られている. これが, 自覚症状, 検査所見にどのように反映されているかを知る目的で, 睡眠時無呼吸症候群25例 (以下I群), 睡眠時無呼吸を伴わず夜間 desaturation をきたす慢性肺疾患22例 (以下II群) を対象に検討を行った. 自覚症状に関しては, I群では夜間 desaturation と関係が認められなかったが, II群では日中の頭重感, 夜間の息苦しさなどと夜間 desaturation とは関係が認められた. Hb値, 覚醒時の平均肺動脈圧値に関してはいずれの群でも夜間 desaturation とは関係が認められなかった. 覚醒時動脈血ガスに関しては, I群では覚醒時のPaO2と夜間 desaturation とは相関関係が認められなかったが, II群では相関関係が認められた. 覚醒時のPaCO2と夜間 desaturation はI群, II群ともに相関関係が認められた. このことは, I群では覚醒時PaCO2により, II群では自覚症状, 覚醒時PaO2, PaCO2などから夜間 desaturation の程度を推測できることを示している.
  • 貴志 洋一, 石崎 武志, 高橋 秀房, 飴島 慎吾, 佐々木 文彦, 中井 継彦, 宮保 進
    1992 年 30 巻 4 号 p. 585-592
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    本研究で, 我々は高脂血症治療薬であるプロブコールのタバコ喫煙による抗エラスターゼ活性 (EIA) と, フェロキシダーゼ活性 (FA) の低下に与える影響を, ラットを用いて検討した. タバコ5本 (ニコチン11mg・タール115mg相当) をラットを入れたプラスチック容器内に吸入すると, 血漿COHb値はすみやかに17.9±2.7%にまで上昇し, 2時間後EIAは平均値で82.1±4.4%に低下 (p<0.05) し, FAも平均値で85.2±1.9%に低下 (p<0.05) し, この傾向はタバコ喫煙後6時間持続した. 一方1%プロブコール含有飼料で3日間, あるいは4週間飼育した群では, 両活性とも低下せず, 肺組織および血中過酸化脂質の増加も軽度で, 肺組織グルタチオン (還元型/酸化型比) も保持されていた. なお, プロブコール3日間投与群では, 血漿コレステロールの低下をみず, プロブコールは抗酸化作用によりタバコ喫煙肺障害を防ぐと思われた.
  • 渡辺 篤, 坂 英雄, 長谷川 好規, 小笠原 智彦, 下方 薫
    1992 年 30 巻 4 号 p. 593-597
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    気管支鏡検査の手技, 前処置に統一されたものはない. 現状を知るために東海地区29施設のアンケート調査にてその実態を調査した. 前投薬は Atropine sulfate と Hydroxyzine hydrochloride の組合せが最多で, その他 Pentazocine, 麻薬などであった. 麻酔では, Lidocaine 含嗽が半数の施設で行われていた. 咽喉頭麻酔は2%と4%の Lidocaine がほぼ半数ずつで, 気管支内注入は2% Lidocaine がほとんどであった. 検査後の抗生物質の使用にっいては, 9施設が気管支鏡施行全例に投与, 10施設が条件付 (血痰, 高齢者, 基礎疾患等) で投与していた. 使用抗生物質は Penicillin 系, Cephem 系の経口投与が多かった. 呼吸循環系のモニターでは, 心電図が14施設, 酸素モニターが5施設で, ともに高齢者, 心疾患, 低酸素症の症例に使用されていた. 今図の調査結果をもとに気管支鏡の手技, 前処置等につき, その有効性, 安全性, 効率などの面で再検討する必要があると考えられた.
  • 赤柴 恒人, 倉科 桂司, 佐々木 巌, 河村 俊明, 吉沢 孝之, 大塚 健蔵, 武藤 敬, 堀江 孝至
    1992 年 30 巻 4 号 p. 604-608
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    23例の閉塞性睡眠時無呼吸症候群 (OSAS) 患者に, 長期在宅 Nasal CPAP (NCPAP) 治療を行い, そのコンプライアンス, 臨床的効果, 合併症について検討した. 平均15ヵ月では, 19例が治療を継続, 4例が中止しており, コンプライアンスは83%であった. 治療継続 (C) 群と中止 (NC) 群では, 年齢, 体重, 睡眠データに差を認めなかった. NC群4例の中止の理由は, 2例が機器との不適合, 1例は減量による症状の消失, 1例は喘息発作のためであった. 臨床的効果では, 大多数の症例で, 日中の傾眠の消失, 熟眠感の改善, 夜間頻尿の消失が認められ, 起床時の頭痛の消失, 性的能力の改善, 情緒不安定の改善も少数例に認められた. 合併症では, 10例 (43%) は治療による副作用が認められず, 9例 (39%) がマスクによる不快感, 6例 (26%) が口と鼻の乾燥を訴えたが, 重篤な合併症は認められなかった. これらの結果は, 本療法の長期的有効性と安全性を示していると考えられた.
  • 塚本 東明, 長沢 正樹, 山田 敬子, 佐藤 徹
    1992 年 30 巻 4 号 p. 609-613
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    過去11年間に気管支内視鏡検査を施行した転移性肺腫瘍36例中気管支内視鏡的に気管支内腔に腫瘍の発育を認めるいわゆる「内視鏡的 Endobronchial Metastasis」例は6例 (大腸癌2例, 前立腺癌2例, 腎癌1例, 舌癌1例) あった. 6例の内視鏡所見はポリープ型腫瘍が5例, 広範な隆起性病変が1例で, ポリープ型例では全例で気管支のほぼ完全な閉塞所見がみられた. 胸部レ線所見では気管支壁転移の特徴とされる無気肺様陰影は3例のみで, 残り半数は肺野結節影であった. 切除肺, 胸部CT所見, 胸部X線所見等から転移巣の初期増殖部位を推定した結果, 末梢肺転移巣からの進展が3例, 縦隔リンパ節転移巣からの浸潤が1例, 推定困難2例であった. 以上の結果から, 内視鏡的 Endobronchial Metastasis という名称は気管支壁内転移を意味するものではなく, 単に胸腔内に転移した腫瘍が増大し, その一部が気管支壁や気管支腔内にまで進展した状態を多く含むと思われた.
  • 石岡 伸一, 印鑰 恭輔, 城谷 良文, 中村 公彦, 小山 徹, 保澤 総一郎, 高橋 浩一, 山木戸 道郎
    1992 年 30 巻 4 号 p. 614-618
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    間質性肺病変を合併する事の多い, 慢性関節リウマチ (RA) の気管支肺胞洗浄液 (BALF) 所見について検討を加えた. 間質性肺病変を合併するRAと合併しないRA, 間質性肺病変を合併するRA以外の膠原病の3群で比較を行った. RAにおいては間質性肺病変の合併の有無と関係なく, BALF中の好中球の増加が認められた. 平均好中球実数はRA以外の膠原病の約10倍であった. 一方, リンパ球はRAでは, 他の膠原病にくらべ低率であった. BALF所見より肺胞隔炎の臨床分類を試みるとRAでは好中球型 (N) 55%, リンパ球型 (L) 25%, 他の膠原病ではN15.4%, L38.5%であった. リンパ球サブセットでは, 間質性肺病変合併RAは, CD4/8比1以上の例が多く認められた. RAにおいては, きわめて特徴的な好中球性胞隔炎が初期より肺間質に存在すると考えられた.
  • 安藤 守秀, 高木 健三, 原 通廣, 堀場 通明, 進藤 丈
    1992 年 30 巻 4 号 p. 619-626
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    在宅酸素療法の臨床評価の指標としての在宅率の有用性について, 大垣市民病院呼吸器科で平成2年12月までに経験した70例の在宅酸素療法患者を対象に retrospective に検討した. これらの症例は, 疾患構成や臨床データは厚生省の全国統計とよく一致し, 標準的な患者構成を示していた. これらの患者を, 在宅率70%以上の群とそれ未満の群とにわけ, それぞれの最終転帰, 生存率, 生活状況を比較したところ, 在宅率70%未満の群でいずれも70%以上の群と比し明らかに不良であった. このことより在宅率70%が, この治療法の臨床評価上の指標として有用であることが示唆された. 背景因子の比較からは在宅率に影響を及ぼしている因子としては, 日常活動能力が最も重要であると思われたが, 基礎疾患毎にも差を認め, 慢性気腫症例では酸素投与下でのPaO2の値が在宅率に影響していると考えられた.
  • とくに活動性と予後との関連について
    鈴木 栄一
    1992 年 30 巻 4 号 p. 627-637
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    経気管支肺生検で得られたサルコイドーシス155例の565検体について, 類上皮細胞肉芽腫を光顕的に hypertrophic, atrophic, hyalinofibrous の3亜型に分類した. 胸部X線上肺野病変のある例は, 肉芽腫陽性率が高いとともに肉芽腫数が多く, その亜型では, hyalinofibrous な肉芽腫が有意に多くみられた. また, 周囲の線維化や癒合傾向も高度だった. Gaシンチの肺野集積および血清ACE値は, 肉芽腫数を反映していた. 一方, 気管支肺胞洗浄液細胞成分の所見は, 肉芽腫数と関連せず, リンパ球数は hypertrophic な肉芽腫の群で有意に高く, CD4/CD8比は hyalinofibrous な肉芽腫の群で有意に低値だった. 肉芽腫数と胸部X線の推移は関連せず, I期では, atrophic な肉芽腫の群が, 2年以降で0期への移行率が有意に高く, II+III期では, hyalinofibrous な肉芽腫の群で, 肺野病変が残存する傾向がみられた. 経過中肺野病変が出現した例では, 全例 hypertrophic な肉芽腫がみられた.
  • 藤内 智, 松本 博之, 長内 忍, 中野 均, 秋葉 裕二, 森田 一豊, 辻 忠克, 今本 哲郎, 小野寺 壮吉
    1992 年 30 巻 4 号 p. 638-642
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    57歳の男性. 日中の眠気および作業能力の低下, 夜間の頻回の覚醒などの睡眠障害を主訴に当科を受診した. 終夜ポリソムノグラフィーでは無呼吸指数 (Apnea Index) 40.1/hrで閉塞型が86%を占め, 閉塞型睡眠時無呼吸症候群 (SAS) と診断した. 夜間睡眠時の血行動態および心筋負荷状態の把握のため睡眠時201Tlシンチグラフィーを行ったところ肺野集積を認めた. そのメカニズムの解明を目的に睡眠時の肺血管外水分量を測定したところ無呼吸の発生とともに肺血管外水分量は増加しており, 閉塞型無呼吸による胸腔内圧の変化が肺間質水分増加を引き起こしたと考えられた. 臨床的に無症候の肺間質水分増加の存在が合併症の発生や長期予後に与える影響は今のところ不明であり, 今後の検討が必要と考えられる.
  • 和光 儀威, 浜渦 俊和, 田村 瑞枝, 横手 美智子, 横手 美輝洋, 荘司 貞志, 滝川 一, 三宅 和彦, 山中 正己, 後藤 元
    1992 年 30 巻 4 号 p. 643-647
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は22歳男性で肝生検後の感染予防にてフロモキセフ (FMOX) を使用した. その後, 急激に呼吸困難が出現し, 胸部X線上において両肺野にびまん性の小粒状影を認めた. 薬剤性肺臓炎を疑い, プレドニゾロン投与を行ったが十分な改善が見られなかったため, メチルプレドニゾロンによるパルス療法を開始した. 施行後, 自覚症状, 血液ガス分析ともに著明な改善を認めた. 以上の臨床経過と, その他の検査所見上急激に発生する原因疾患が見られず, 又リンパ球刺激試験にて目FMOXが陽性を示した事から, FMOXによる薬剤性肺臓炎と診断した. FMOXによる薬剤性肺臓炎の最初の報告例と思われる.
  • 滝沢 始, 大田 健, 小林 信之, 石井 彰, 鈴木 修二, 奥平 博一, 宮本 昭正, 伊藤 幸治
    1992 年 30 巻 4 号 p. 648-652
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    62歳女性. ブドウ膜炎と胸部レ線異常で発見され, 皮膚生検にてサルコイドーシスと診断された. 同時期に臨床的肝硬変を示したがサルコイドーシスとの関連は不明であった. 2年後腎不全が発見され, 副腎皮質ステロイド投与によって劇的な改善をみた. 発症から6年後に動脈硬化性の脳梗塞で死亡した. 高カルシウム血症が先行したこと, プレドニゾロンに反応したことと剖検所見などから, 腎障害はサルコイドーシスにもとずくものであった可能性が示唆された. サルコイドーシスに伴う腎障害は副腎皮質ステロイドに反応性の事が多く試みる価値があると考えられた.
  • 田中 春仁, 中原 康治, 酒井 聡, 後藤 紘司
    1992 年 30 巻 4 号 p. 653-657
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は副鼻腔炎と鼻茸の手術歴がある40歳女性のアスピリン喘息患者である. プラノプロフェン (ニフラン®) の内服による喘息大発作で, 人工呼吸管理された既往がある. 今回上気道感染のため入院中であった. 入院2日目に肩こりのためケトプロフェン貼付剤 (ミルタックス®, ケトプロフェン30mg) を使用した. ところが約5時間後に喘鳴が出現し, 続いて意識障害を伴う大発作となり人工呼吸管理を施行した. ケトプロフェン濃度が異常高値 (81.7ng/ml) であったため同剤を責任薬剤と疑い, 貼付による負荷誘発試験を施行した. ケトプロフェンの血中濃度の上昇と対応して喘息発作が誘発され, ケトプロフェン貼付剤でも経皮吸収によりアスピリン喘息が誘発される事が示された.
  • 長岡 博志, 田代 隆良, 増田 満, 永井 寛之, 黒田 芳信, 後藤 陽一郎, 那須 勝, 田中 康一, 葉玉 哲生
    1992 年 30 巻 4 号 p. 658-661
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    65歳の男性で, 血痰と左前胸部痛を主訴に入院. 胸部X線写真にて左S8に結節状陰影を認めたため, 肺悪性腫瘍を疑い経気管支肺生検を施行するも, 悪性所見は得られなかった. しかし画像所見上, 悪性を否定できないため肺葉切除術を行った. 切除標本内には, スギの小枝が見られ, 周囲の肺組織は暗赤色調を呈していた. 組織学的には, スギの繊維を中心にして異物性肉芽腫が形成されていた. 本例は気管支・肺異物症としては極めて稀なものであるうえに, 術前の問診ではスギの枝刈りの既往や小枝誤嚥の自覚がなく, 内視鏡的可視範囲にも異常が認められなかったことから, 切除術後に確診が得られた. 以上より肺結節状病変の鑑別疾患のひとつとして, 異物性肉芽腫症も考慮すべきことが示唆された.
  • 宗田 良, 高橋 清, 多田 慎也, 岡本 章一, 片木 幸恵, 御船 尚志, 金広 有彦, 梶本 和宏, 高橋 寿保, 木村 郁郎
    1992 年 30 巻 4 号 p. 662-667
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    気管支喘息に用いた柴朴湯 (TJ-96) によるPIE症候群の1例を経験し, TJ-96刺激にて患者リンパ球から好酸球遊走活性物質 (ECF) の産生が認められ報告した. 症例は56歳の女性で, 昭和52年より中高年発症難治性喘息として近医で加療を受けていたが, 昭和62年に当科に入院し Disodium cromog-lycate によるPIE症候群を併発していることが判明した. 以後当科にて加療を続け, 平成1年12月よりTJ-96 (7.5g/day) の投与を開始したところ, 平成2年4月ごろから胸痛を伴う咳嗽が始まり, 著明な好酸球増多と胸部レ線にて浸潤影を認めた. 経過よりTJ-96によるPIE症候群が疑われたためTJ-96の中止と steroid の増量を行い症状は改善した. TJ-96によるリンパ球幼若化反応は著明に亢進し, またその培養上清中にECFが認められた. 柴朴湯によるPIE症候群は本例が第1例と思われ,また薬剤添加によるリンパ球由来のECPの同定も始めてと思われた.
  • 臨床症状を伴わない症例での脊椎管内進展とその評価
    見元 達朗, 岩瀬 彰彦, 貫和 敏博, 見上 光平, 益田 貞彦, 植草 利公, 吉良 枝郎
    1992 年 30 巻 4 号 p. 668-672
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    胸部X線上の異常影で発見され, 種々の程度の腫瘍の脊椎管内進展を認めた, いわゆる dumbbell 型縦隔神経原性腫瘍の3症例を報告した. これら3症例は, 自覚症状や神経学的異常所見を欠いたが, 脊椎及び胸腔の2方向からのアプローチにより腫瘍摘出術を合併症なく実施し得た. 高頻度に後縦隔の傍脊椎領域に発生する神経原性腫瘍症例では, 臨床症状を伴わない場合でも, 脊椎管内への腫瘍の進展の有無とその程度を慎重に検討する必要があると考えられた.
  • 中島 正光, 矢木 晋, 渡辺 正俊, 守屋 修, 橋口 浩二, 沖本 二郎, 副島 林造, 真鍋 俊明
    1992 年 30 巻 4 号 p. 673-678
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は59歳, 男性. 肺炎を繰り返しNd-YAGレーザー治療により切除し得た中間気管支幹より発生した気管支線維腫の1例を報告する. 1986年4月に発熱, 咳嗽が出現, 胸部X線写真では右下葉に浸潤像を認めた. 肺炎の診断のもと近医に入院, 抗菌剤による治療で軽快した. しかし, 1986年12月, 1987年8月の2回にわたり同様の右下葉に肺炎を繰り返したため, 川崎医大呼吸器内科に入院となった. 胸部X線写真では中間気管支幹腔内に腫瘤影を認め, その末梢側には浸潤影が見られた. 気管支鏡検査を施行し, 中間気管支幹腔内に約90%程度の閉塞を示す隆起性病変を認め, この部位の生検により気管支線維腫と診断した. さらに, Nd-YAGレーザー照射により腫瘍茎部の焼灼, 切除を試み切除することが出来た. 以後, 定期的な気管支鏡検査による経過観察を行い, 3年9ヵ月後の現在においても再発を認めていない.
  • 斉藤 司, 森 裕二, 四十坊 典晴, 竹沢 周子, 平尾 真穂子, 小場 弘之, 浅川 三男, 鈴木 明
    1992 年 30 巻 4 号 p. 679-683
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は19歳, 男性. 繰り返す血痰を主訴に来院. 胸部単純像で大動脈に接する索状影と左肺底動脈幹の欠如を認めた. 胸部CT像では明らかな嚢胞性変化は認められず, 左肺底区の末梢血管影の強調, 肺野濃度の軽度の上昇を認めた. 肺動脈造影でA6以下の肺動脈が欠損していること, 大動脈造影で胸部大動脈から分岐している異常血管が左肺底区を支配していることが判明した. 正常肺組織の一部が大動脈より分岐した異常動脈に支配された状態を強く疑い左下葉切除術を施行し確診を得た. 組織所見との対比の結果, 上記CT所見は末梢肺の状態を良く反映しており本症の診断に寄与するものと考えられた.
  • 高橋 典明, 榎本 貴子, 萩原 照久, 堀江 孝至, 天木 秀一, 田中 直英, 荒川 泰行, 池田 稔, 徳永 英吉, 末野 康平
    1992 年 30 巻 4 号 p. 684-688
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    30歳, 女性. Heerfordt 症候群 (完全型) で発症し, ステロイド投与により軽快. ステロイド中止後, 肝脾腫と血性胸腹水が出現し, 血清ACEの高値, 胸腹水中ACE, OKT4/OKT8の高値, ツベルクリン反応陰性などから, サルコイドーシスによるものと考え, ステロイドの再投与を行い軽快した. サルコイドーシスで, 血性の胸腹水を認める症例は極めて稀であり, 若干の考察を加え報告した.
  • 西坂 泰夫, 小田 芳郎
    1992 年 30 巻 4 号 p. 689-694
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は30歳, 女性, 29歳よりSLEにて prednisolone 5mg/日で follow up 中に発熱を主訴に来院. 胸部X線上右S5領域に陰影があり, TBLBで“lymphoid cell を中心とした間質性肺炎”の所見を得た. 全身検索の結果 Sjögren 症候群 (SjS) の合併が疑われたが, 確診には至らなかった. その後, 肺病変は prednisolone の一時的な増量により消失したが, 約3ヵ月後に施行した左右両側のBALより lymphocytosis の所見を得たため, subclinical にかっ diffuse に病変は存在しているものと考えられた. このことは, lymphoproliferative disorder に含まれる疾患群で, 病理像は同じでも, 病巣の拡がり方の違いによりX線上の見え方が変わり得る, ということを示していると思われた. 又, 自験例のように, 臓器症状が先行し乾燥症状が前景に出ないSjSを見落とさないために, 現在の診断基準を再考する必要があり, 色々と示唆に富む症例と考えられたので報告した.
  • 田中 春仁, 中原 康治, 後藤 紘司
    1992 年 30 巻 4 号 p. 695-701
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    65歳女性, 関節リウマチのため金リンゴ酸Naとブシラミンを投与され, 関節症状は軽快していた. 皮疹が出現し金剤を中止したが, 高熱, 脱毛が続発し呼吸困難を訴え入院した. 胸部X線上びまん性線状網状影を認め, 気管支肺胞洗浄液 (BALF) では, リンパ球数が増加しOKT4/8比が0.22と低値であった. 経気管支肺生検 (TBLB) の光顕像にてマッソン体をもつ胞隔炎像, 電顕像にて広汎な肺胞一毛細管隔壁の破壊を伴う間質浮腫を認めた. 薬剤中止により, 解熱とともに陰影は改善した. さらにリンパ球幼若化試験 (DLST) では両薬剤に陽性を示したため, 薬剤性間質性肺炎と診断した. 金剤の中止後に発症した経過より, ブシラミンが原因と考えられるが, ブシラミンと金剤の相互作用も考えられる. ブシラミンによる間質性肺炎は重篤であり, 注意すべき副作用であると考えられた.
  • 本間 昭彦, 四十坊 典晴, 蔦原 紳, 加藤 誠也, 小場 弘之, 常松 和則, 浅川 三男, 鈴木 明
    1992 年 30 巻 4 号 p. 702-707
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は53歳, 女性, 咳嗽, 息切れを主訴とし当院へ入院した. 胸部X線写真では両側下肺野の斑状線状陰影, 小輪状影及び両側下葉の容積減少を認めた. 入院時検査所見では血小板が減少し, 抗核抗体, 抗血小板抗体等の自己抗体が陽性であり, 血清免疫蛋白電気泳動ではIgMκ型のM蛋白を認めた. また開胸肺生検により得られた組織像は usual interstitial pneumonia に合致する所見であった. 血小板減少症, 良性M蛋白血症を伴う, 稀な間質性肺炎の一症例を報告する.
  • 村山 淳一, 内藤 隆志, 土井 幹雄, 矢野 平一, 大塚 盛男, 吉澤 靖之, 長谷川 鎮雄
    1992 年 30 巻 4 号 p. 708-713
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は61歳男性で血痰を主訴として来院した. 胸部X線写真にて著明な縦隔リンパ節腫脹と右主気管支にポリープ状に突出する腫瘤を認めた. 気管支鏡下の生検にて肺大細胞癌と診断したが, 治療開始前に両側の肺動脈血栓を併発し死亡した. 剖検にて肝硬変に合併した直径1.3cmの Small liver cancer が発見され, 組織学的には縦隔の腫瘍と極めて類似しており, 縦隔リンパ節腫脹はその転移と考えられた.
  • 重原 克則, 四十坊 典晴, 本田 泰人, 井上 祐二, 笹岡 彰一, 水谷 保幸, 浅川 三男, 鈴木 明
    1992 年 30 巻 4 号 p. 714-718
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は24歳, 男性. 胸部X線写真にて両側肺野の綿状陰影を指摘され入院. 末梢血リンパ球増多と免疫グロブリンの軽度低下を認め, リンパ球表面マーカーの分析と免疫グロブリン遺伝子の再構成の検討から, 抗原非依存期のB細胞の多クローン性の増加がみられた. 確定診断のため開胸肺生検を施行し, 肺サルコイドーシスと診断したが, 気管支肺胞洗浄液 (以下BALF) および生検肺組織の免疫組織化学染色からは肺病変局所のB細胞増加は認めなかった. 本症例は無治療にて胸部X線写真上の改善を認めたが, 末梢血Bリンパ球の増多と免疫グロブリンの軽度低下は依然持続している. サ症に伴う免疫異常としては特異なものと考えられた.
  • 吉井 千春, 今井 慎, 小畑 秀登, 二階堂 義彦, 永田 忍彦, 城戸 優光
    1992 年 30 巻 4 号 p. 719-723
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は23歳の男性. 平成2年の健診で胸部異常陰影を指摘されて来院. 自覚症状はなく, 胸部X線写真上, 両側肺門・縦隔リンパ節腫大と肺野に多数の斑状影を認めた. TBLBにてサルコイドーシスと診断し, 無治療で外来経過観察の予定であったが来院せず, 平成3年の健診で肺野病変の増悪を指摘され, 当科入院となった. 入院時の胸部X線写真で, 以前より存在していた肺野の斑状影内部に空洞形成を認めた. 繰り返し行った喀痰検査は陰性でツ反も陰性のため, 結核をはじめとする感染による空洞は否定的で, Rohatgi らの言う Primary acute pulmonary cavitation と考えられた. サルコイドーシスに合併する空洞性病変のほとんどは, 線維化や感染に由来する続発性のものであり, 原発性はきわめて稀であると考えられたため, 文献的考察を加えて報告する.
  • 1992 年 30 巻 4 号 p. 724-727
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
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  • 1992 年 30 巻 4 号 p. 728-731
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
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  • 1992 年 30 巻 4 号 p. 732-740
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2010/02/23
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  • 1992 年 30 巻 4 号 p. 740
    発行日: 1992年
    公開日: 2010/02/23
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