日本胸部疾患学会雑誌
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32 巻, 6 号
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  • 内田 和宏
    1994 年 32 巻 6 号 p. 523-530
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    最近, 過誤腫性肺脈管筋腫症 (HAM) 4例に対し, プロゲステロン療法, 卵巣摘出術を中心とする治療を行ったので検討し報告する. 4例中2例は発症後診断されず5年以上放置されていた. うち1例は治療開始時, 既に荒蕪肺であったため, 治療効果を認めたにもかかわらず, 気胸を契機に呼吸不全が進行し死亡した. 4例中3例には治療効果を認めたが, 1例はあらゆる治療に抵抗性であり, 発症後約4年の経過で死亡した. 良好な治療効果を期待するためには, 早期発見, 早期治療が重要である.
  • 早坂 宗治, 本田 孝行, 蜂谷 勤, 森田 正重, 藤本 圭作, 久保 恵嗣, 小林 俊夫, 関口 守衛, 小林 理
    1994 年 32 巻 6 号 p. 531-537
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    急性に発症し画像上間質性陰影と容積減少を示した4症例について臨床病理学的に検討した. 臨床所見と開胸肺生検の組織所見より4例とも特発性 Bronchiolitis Obliterans Organizing Pneumonia (BOOP) と診断した. 画像上は4例とも山本らの分類の Type 2に該当した. 組織学的には器質化病変の程度は様々であったが主に肺胞道に存在し, 肺胞腔はマクロファージと蛋白様浸出物で満たされ虚脱していた. 胸部CT上の濃い肺野濃度上昇は肺胞虚脱による含気減少を反映したものと考えられた. 肺胞虚脱の原因として器質化病変による肺胞道の閉塞が考えられるが, 抗サーファクタント蛋白A抗体染色の結果から, 増生している肺胞II型上皮細胞におけるサーファクタントの産生低下があり, その一因と推測された. 全例ステロイドによく反応したが, その効果が比較的急速に認められるのは, 肺胞虚脱の改善が一つの要因と考えられた.
  • 古瀬 扶路子, 中西 洋一, 古藤 洋, 井上 博雅, 八並 淳, 池田 東吾, 原 信之
    1994 年 32 巻 6 号 p. 538-543
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    過去10年間に当科にて抗真菌剤の経皮的空洞内注入療法を実施した菌球形成性肺アスペルギルス症8症例について検討した. 年齢は43~84歳. 男性6例, 女性2例. 全例が呼吸器系の基礎疾患を有し (陳旧性肺結核症7例, 塵肺1例), 5例に喀血・血痰の既往があった. 注入薬剤は, アムホテリシンB (AMPH) 5例, フルコナゾール (FCZ) 2例, 両者併用1例. AMPH使用例は, 最大投与量20~50mg, 総投与量285~1,560mg, 治療期間1~7.5ヵ月 (平均3.5ヵ月). FCZ使用例は, 最大投与量20~30mg, 総投与量450~1,600mg, 治療期間3週~4ヵ月 (平均2.5ヵ月). 治療終了直後は, 菌球消失2例, 縮小3例, 不変3例であった. 予後の追跡結果 (7ヵ月~6.5年間), 他因死2例を除く6例中5例で胸部X線所見が治療前よりよい状態にあり, 気道出血は5例中3例で消失していた. 1例は7ヵ月後に膿胸となった. 経過中, 重篤な副作用や合併症はなく, 本療法の有用性が示唆された.
  • 峯村 和成, 市瀬 裕一, 内海 健太, 川西 慶一, 栗山 謙, 鳥居 泰志, 米丸 亮, 中野 優, 外山 圭助
    1994 年 32 巻 6 号 p. 544-549
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    肺に生じた異常陰影のうちBリンパ腫を診断する目的で, リンパ球の表面マーカー解析法の一つである Kappa-Lambda imaging (KLI) 法の気管支肺胞洗浄液への応用を検討した. 胸部異常陰影検索のため受診, 経気管支肺生検組織より肺原発のBリンパ腫を疑った3例とリンパ節原発のBリンパ腫の経過中胸部X線上異常を来し, 他疾患の合併と診断した2例を対象とした. 当該気管支から得た気管支肺胞洗浄液を遠沈分離し, 蛍光標識抗ヒト免疫グロブリン軽鎖κ, λ抗体で染色後, flowcytometer を用い, リンパ球の蛍光強度に対する細胞の度数分布を解析した. κとλに染色された各104個のリンパ球の度数分布の分散の差を統計学的に検定し, monoclonality の有無を観察した. 前者の3例でκまたはλ monoclonality を認めたが, 後者2例では認めなかった. monoclonality を認めた1例では切除肺組織の免疫組織染色でBリンパ腫と確診し, 裏付けを得た. 本法の気管支肺胞洗浄液への応用は肺Bリンパ腫診断に有用と考えた.
  • 吉野内 猛夫, 大朏 祐治, 久保 克仁, 四方 泰史
    1994 年 32 巻 6 号 p. 550-554
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    原因不明の器質化肺炎 (OP) を病理学的に2つの type に分類し, 臨床像の比較検討を行った. すなわち, マッソン体中のフィブリン陰性, α-sm-actin, m-actin 抗体陰性群を type I (14例), 陽性群を type II (7例) と分類した. 年齢, 性には有意差を認めなかった. 臨床症状, 検査所見では type II は type I に比し呼吸困難, CRPの頻度が高く, より強い炎症反応を呈していた. 胸部X線写真では両群を区別できなかった. 治療, 予後の検討では type I はステロイドにて完全に胸部X線写真上陰影が消失するが, 一部に再発を認めるも死亡例は認めなかった. Type II はステロイドにて胸部X線写真上常に陰影が一部残存する症例であるが, 再発は少なく逆に増悪死亡例を認める. 以上の結果からOPを治療する時は, 病理学的に2種類の器質化が存在し, それにより臨床症状, 検査所見, 治療, 予後が異なることを念頭にいれておく必要がある.
  • 朝田 完二, 大串 文隆, 竹原 浩子, 遠藤 健, 谷 憲治, 三木 聡, 益田 昌俊, 小倉 剛
    1994 年 32 巻 6 号 p. 555-560
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    肺線維症の発症の機序を解明するために, ブレオマイシンを気管内に投与したラットと対照ラットの肺線維芽細胞の増殖能を比較した. ブレオマイシン投与4日目のラットより採取した肺線維芽細胞は, 有意に増殖能が高かった. 次に, 両群の肺線維芽細胞を不連続パーコール比重遠心法で3つの画分に分画すると, ブレオマイシン投与群では最も比重の高い画分の割合が増加していた. 3つの画分の肺線維芽細胞の増殖能は, それらの比重に応じて上昇した. また, これら肺線維芽細胞の増殖に対する IL-L1αの効果について検討したところ, 両群の肺線維芽細胞の増殖を抑制した. 以上より, 高比重で増殖能も高い肺線維芽細胞の割合が増加することが, ブレオマイシン肺線維症発症の一因と考えられた. しかし, その一方では, 既報の成績と考え合わせると, ブレオマイシン投与により肺胞マクロファージから産生される IL-1αは肺線維芽細胞の増殖に抑制的に働くことが示唆された.
  • 坂本 廣子, 石原 享介, 羽白 高, 松本 久子, 冨岡 洋海, 岡崎 美樹, 長谷川 幹, 片上 信之, 梅田 文一
    1994 年 32 巻 6 号 p. 561-565
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    吸入ステロイドは中止可能かを知るべく, 吸入ステロイドで順調な経過を取る慢性気管支喘息患者において, その中止がおよぼす影響を検討した. 対象は吸入ステロイドにて1年以上安定している慢性喘息患者20症例. Beclomethasone dipropionate (BDP) の平均吸入期間は28.2ヵ月で, 研究開始1ヵ月の平均吸入量は365μg/日. 4週間の観察期間後, BDP吸入のみを中止し, ピークフロー値が指示値以下になればBDPを再開した. 17例が平均30.8日でBDP吸入を再開し, 3例は中止を継続中. 再開例の平均%ピークフロー値 (朝) は1週毎に低下しBDP中止前は85.2±7.4%, 再開前1週の平均値は68.8±12.8%.β刺激剤平均吸入回数は観察期間の1.94回/日から中止期間は2.99回/日と有意に増加した. 慢性喘息患者においては十分に安定している場合にも, 吸入ステロイドを中止すると症状の増悪がみられることが多く, その中止は慎重であるべきである.
  • 叶 宗一郎, 小林 英夫, 桐生 拓司, 川口 真平, 田中 博幸, 上部 泰秀, 永田 直一
    1994 年 32 巻 6 号 p. 566-570
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は52歳男性. 発症2週間前に飼育中のセキセイインコ1羽が死亡した. 発熱, 呼吸困難の急激な出現のため近医に入院. 胸部X線上両側に広範な陰影と低酸素血症, 肝障害, 急性腎不全, 皮疹を認め, 多臓器不全のため当科へ転院. 対症療法のみであったにもかかわらず, 陰影は急速に改善し同時に各種検査所見も正常化した. その後, クラミジアCF抗体価が入院時の8倍から, 症状軽快した2週後512倍と上昇したため, オウム病と診断した. 入院時での気管支肺胞洗浄液 (BALF) 細胞分画では, 好中球, リンパ球の増加が認められ, 2週後にはリンパ球のみ著増していた. 継時的な BALF 所見では, リンパ球増加は12週間に渡って遷延し, 陰影消失後も長期に渡り lymphocyte alveolitis を示していた. また, Gaシンチでも陰影消失部に集積が残存し, オウム病における病態の遷延性を示唆するものと考えられた.
  • 明 茂治, 西 耕一, 大家 他喜雄, 野村 将春, 藤村 政樹, 松田 保
    1994 年 32 巻 6 号 p. 571-577
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例はセメントを主体とした粉塵暴露歴を有する63歳男性. 黄色痰, 咳嗽を訴え, 血清学的にRAHAの軽度上昇, 胸部CTにて区域性と非区域性陰影を認めた. 気管支肺胞洗浄ではリンパ球と好酸球分画の上昇, 経気管支肺生検 (TBLB) では胞隔炎, 器質化肺炎および極く僅かな好酸球浸潤を認めた. 開胸肺生検ではTBLBの所見に加え, リンパ濾胞の形成, 炭粉沈着, 肺胞道の嚢胞状の変化を認めた. また, 抗生剤に対する反応は乏しく, ステロイド剤が著効した. 病理学的に Bronchiolitis obliterans organizing pneumonia あるいは Chronic eosinophilic pneumonia に類似の所見が得られた症例で, その病因・病態を将来的に解明するうえで興味深い症例と考えられた.
  • 赤荻 栄一, 三井 清文, 鬼塚 正孝, 石川 成美, 吉田 進, 稲垣 雅春, 臺 勇一, 間瀬 憲多朗
    1994 年 32 巻 6 号 p. 578-580
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    肺癌根治術後の左反回神経麻痺による誤嚥性肺炎を起こした2例に, 麻痺声帯への内視鏡下Nd: YAGレーザー低出力照射を行った. これにより, いずれの声帯も腫脹して正中位まで復し, 誤嚥が軽快した. この新しいレーザー治療は, 一側反回神経麻痺による誤嚥に対する, 術後急性期の治療法として有用である.
  • 大湾 勤子, 洲鎌 いち子, 大浜 篤, 伊志嶺 朝彦, 比嘉 太, 仲本 敦, 草野 展周, 普久原 浩, 兼島 洋, 斎藤 厚
    1994 年 32 巻 6 号 p. 581-586
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は76歳, 男性. 基礎疾患にくすぶり型成人T細胞白血病, 糞線虫症を有し, 入院時喀痰検査にて Nocardia asteroides が検出された. 入院後の精査中に, 胸部X線写真上浸潤影が出現し, 気管支洗浄液より本菌を大量分離した. さらに日和見感染症である Pneumocystis carinii の不顕性感染を併発していたことが血中の循環抗原の証明にて診断された. N. asteroides に対して薬剤感受性の良好な cefuzonam (CZON) を使用し, PC肺炎に対しては, ST合剤で治療し軽快退院した. その後, N. asteroides に対して感受性のある oflxacin (OFLX) を使用していたが,退院5力月後に再び本菌が検出され, 再入院となった. OFLX は耐性化しており, 経過中にPC肺炎を発症したが, CZON とST合剤にて軽快し, 現在外来で, clarithromycin とST合剤を使用し経過良好である.
  • 谷川 恵, 古屋 佳昭, 橋本 修, 堀江 孝至
    1994 年 32 巻 6 号 p. 587-590
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    進行性巨大気腫性嚢胞の自然破裂・消失例を経験した. 症例は60歳, 男性で, 慢性肺気腫で在宅酸素療法の施行中に, 気腫性嚢胞が出現し, 約1年後に右肺の約3/4を占める巨大気腫性嚢胞となった. 外科的切除術の適応と判断したが, 患者の了解が得られなかった. 外来経過観察中,突然右胸痛の出現と共に労作時呼吸困難感が軽減した.胸部X線写真では巨大気腫性嚢胞は消失し,右気胸と胸水貯溜を認めた. 約2週間の経過で気胸は回復し,右中葉に嚢胞壁の遺残と考えられる瘢痕性病変を残すのみとなった. 巨大気腫性嚢胞自身の破裂による気胸は稀であり,しかも破裂後に自然消失した報告例は文献上見当たらず,極めて稀な臨床経過と考えられた.
  • 田中 春仁, 宮島 克明, 浅野 喜代治, 神原 健治郎, 荒川 迪生, 伊藤 裕康
    1994 年 32 巻 6 号 p. 591-595
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    患者, 72歳男性は, 湿性咳嗽のために近医を受診して気管支炎と診断された. 3日後には肺炎となり, 入院治療をうけたが, 5日後には急性呼吸不全となり, 当科に緊急入院した. 胸部X線写真上びまん性浸潤影を認め, 人工呼吸管理を施行した. 第3病日のBALFと第5病日の気道分泌液から, PCR法にてレジオネラのDNAを検出し, エリスロマイシンを投与した. しかし肝障害が出現したため, ミノサイクリンの投与によって治癒した. PCR法によりレジオネラ肺炎の早期診断が可能であった.
  • 井上 竜治, 加堂 哲治, 高田 佳木, 大林 加代子, 山本 裕之
    1994 年 32 巻 6 号 p. 596-601
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    70歳の男性. 咳, 痰を主訴に来院し, 胸部XP上びまん性粒状網状影を認め, TBLB, BALにて特発性間質性肺炎 (IIP) と診断. 外来で経過観察中に呼吸困難が出現し異常影の増悪と低酸素血症を認めた. このため, 緊急入院となったが, 入院時検査所見にてRBC 195万/mm3, Hb8.6g/dlと新たに貧血が認められ同時に直接クームス試験陽性, 温式自己抗体陽性を認め, 自己免疫性溶血性貧血の合併が確認された. IIPと自己免疫性溶血性貧血の合併に関しては報告が少なく, かつ発症がIIPの急性増悪期に一致していることより急性増悪に何等かの関与を示唆している可能性がある.
  • 小川 ゆかり, 樋口 英一, 古賀 英之, 田中 泰之, 時澤 史郎, 力丸 徹, 市川 洋一郎, 大泉 耕太郎
    1994 年 32 巻 6 号 p. 602-605
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は20歳女性. 嗄声, 嚥下障害で当科受診し, 検査で咽頭および声帯麻痺を認めた. 胸部X線像では両側肺門の拡大を認め, 経気管支的肺生検 (TBLB) の組織は非乾酪性肉芽腫で本症例をサルコイドーシスと診断した. MRI検査では頭蓋内に異常な病変は認められなかった. 気管支鏡検査では声帯の閉鎖不全を認めたが同部に肉芽腫性病変はなく, 嗄声, 嚥下障害はサルコイドーシスによる舌咽・迷走神経障害と思われた. 治療はステロイドホルモンの経口投与で行い, 開始約2週間後には, 嗄声, 嚥下障害はほとんど改善した.
  • 田中 康子, 佐藤 文秀, 小松 卓三, 武藤 始, 秋山 法久, 荒井 康男, 宮本 康文, 佐野 靖之
    1994 年 32 巻 6 号 p. 606-609
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は38歳, 男性. 主訴は気管支喘息発作, 既往歴にアレルギー性鼻炎, 結膜炎. 家族歴に気管支喘息とアトピー性皮膚炎がある. 職業は整形外科医. ギプスを扱い1年で作業中に即時型気管支喘息発作を認めるようになった. アセチルコリンテストは20,000μg/ml以上, ギプスによるスクラッチテストは陰性, 吸入誘発試験は陽性だった. ギプスに含まれるイソシアネート methylene diphenyl diisocyanate (MDI) を抗原と疑い免疫学的検査を施行した. Toluene diisocyanate (TDI), MDIと人血清アルブミンとの結合物による検索では IgE-RAST は陰性だったがELISA法によりTDI, MDIに対するIgG, IgG4抗体が検出された. ギプスに含まれるMDIが抗原でTDIは交叉反応と考えられた. 特異的IgG4高値はMDI暴露の継続を示し, IgG高値はIgG4の反映と考えられた. 整形外科医のイソシアネートによる職業性喘息の報告は我々が調べた範囲では, 本症例が本邦第一例めである.
  • 吉川 隆志, 山本 真, 稲葉 秀一, 永井 達夫, 寺井 継男
    1994 年 32 巻 6 号 p. 610-615
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    一卵性双生児の一方にサルコイドーシスを発見し, その1年後他方が発症した一卵性双生児の姉妹例を経験した. 症例1は22歳, 女性. 昭和61年1月, 左足が化膿し近医を受診したところ頸部リンパ節の腫大を指摘され当院を受診した. 胸部X線写真では両側肺門リンパ節腫大を認め, 左鎖骨上窩リンパ節の生検では乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫を認めた. 症例2は23歳で症例1の一卵性双生児の妹である. 昭和62年3月職場の検診で異常陰影を指摘され4月24日当科入院となった. 胸部X線写真で両側肺門リンパ節腫大を認め, 経気管支肺生検では, 乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫を認めた. 本症の病因として遺伝要因の関与が重要と思われた.
  • 塙 健, 澤井 聡, 松井 輝夫, 千葉 渉, 渡部 智, 松原 義人, 畠中 陸郎, 船津 武志, 池田 貞雄
    1994 年 32 巻 6 号 p. 616-620
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は58歳の男性で, 右側胸部の無痛性腫瘤のため来院した. 胸部CTで肋骨を取り巻く胸壁腫瘤を認め, 経皮的針生検にて形質細胞腫と診断した. 骨髄生検では異常所見なく, 孤立性形質細胞腫の診断で, 右第7, 8肋骨を含む胸壁切除術を施行した. サザンプロッティングによる腫瘍の遺伝子解析で免疫グロブリンL鎖λ型遺伝子の再構成を認めた. 40Gyの術後照射の後退院したが, 7ヵ月後, 左橈骨に孤立性形質細胞腫を発生した. 孤立性形質細胞腫は稀な疾患であるが, 全身性の骨髄腫と異なり, 外科治療・放射線治療の対象となり, 予後は比較的良好である. 腫瘍および骨髄生検組織の遺伝子解析が骨髄腫との鑑別ならびに腫瘍の monoclonality の診断に有用と思われた.
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