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清川 浩, 米丸 亮, 堀江 忍, 市瀬 裕一, 外山 圭助
1995 年 33 巻 12 号 p.
1341-1347
発行日: 1995/12/25
公開日: 2010/02/23
ジャーナル
フリー
呼吸音分析の普及には収録手技の簡便化が重要である. 本研究では聴診器を用いて収録した呼吸音の crackle を分析した. 収録した crackle を最大エントロピー法により周波数分析し, 800Hz以上にパワースペクトル密度のピークを持つものを Type II crackle, それ以外を Type I crackle と分類した. 収録した全 crackle 数に対する Type II crackle 数の百分率 (%Type II) は fine crackle (13症例) で65±22%であったのに対し coarse crackle (11症例) では10±16%と低値だった. この成績はマイクロフォンを胸壁上に直接固定する方法の成績と同様であり, 聴診器を crackle の録音探子として利用し得ると考えた.
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千葉 渉, 澤井 聡, 安田 雄司, 和澤 仁, 松原 義人, 池田 貞雄
1995 年 33 巻 12 号 p.
1348-1354
発行日: 1995/12/25
公開日: 2010/02/23
ジャーナル
フリー
c-myc, p53遺伝子はそれぞれ癌遺伝子, 癌抑制遺伝子と考えられ, その遺伝子産物の発現は悪性腫瘍の特徴と考えられている. 当院で経験した肺硬化性血管腫2例について, フローサイトメーターを用いてc-myc, p53遺伝子産物の解析を行った. 症例1ではc-myc染色陽性細胞数は全体の32.3%, p53染色陽性細胞は8.9%であった. 症例2ではc-myc染色陽性細胞は6.7%, p53染色陽性細胞は15.5%であった. 症例1, 2ともに同時に行ったリンパ球の染色率を陰性コントロールとした場合, 2倍以上の陽性率を示し, c-myc, p53遺伝子産物陽性と判定した. また他の6例についてパラフィン包埋標本を用いて核DNA量解析を行ったが, 6例全てがDNA diploidy であった. 以上の結果から肺硬化性血管腫は生物学的悪性度は低いものの悪性腫瘍である可能性が考えられた.
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杉江 琢美
1995 年 33 巻 12 号 p.
1355-1360
発行日: 1995/12/25
公開日: 2010/02/23
ジャーナル
フリー
高地における睡眠時に出現する周期性呼吸 (PB) と高地順化や急性高山病 (AMS) との関係について明らかにするため, 標高5,100mにおいてパルスオキシメーターを用いてPBの出現時間を測定し, 主に標高5,100m前後で行動した日本人6人 (A群), 標高7,000m以上で行動した日本人9人 (B群), 高地居住民族であるシェルパ8人 (S群) の3群で比較検討した. 又, AMSの諸症状を点数化し (AMS-SCORE), PBとの関係をみた. その結果, 日本人の2群間では有意差は見られなかったがA群でPBの出現は多い傾向がみられ, S群ではPBの出現はほとんどみられなかった. 日本人においてAMS-SCOREとPBの発現には正の相関がみられた. PBの周期時間は3群間で差は見られなかった. PBの出現と高度順化, AMSとは密接な関係のあることが示唆された.
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中川 晃, 山口 哲生, 高尾 匡, 天野 裕子
1995 年 33 巻 12 号 p.
1361-1366
発行日: 1995/12/25
公開日: 2010/02/23
ジャーナル
フリー
当院における小柴胡湯・インターフェロン-αによる薬剤性肺臓炎の症例は5例であった. 全例基礎疾患にC型慢性肝炎またはC型肝硬変を有していた. 使用薬剤はインターフェロン-α単剤1例, 小柴胡湯単剤2例, 両者の併用2例であった. このうち3例では気管支肺胞洗浄液 (BALF) 中のリンパ球増多を認めた. インターフェロン-α単剤による1例では, BALF中の好中球増多を認めた. 薬剤によるリンパ球刺激試験 (DLST) は末梢血で4例, BALFで3例施行し全例で陽性であった. 当院の慢性肝炎・肝硬変患者における, 小柴胡湯・インターフェロン-αによる薬剤性肺臓炎の発症頻度を調査したところ, インターフェロン-α単剤投与群では0.5%, 小柴胡湯単剤投与群では0.7%, 両者の併用投与群では4.0%であった. 小柴胡湯とインターフェロン-αとの併用により, 薬剤性肺臓炎の発症頻度が高まる傾向が認められた.
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早坂 真一, 絹脇 悦生, 中林 武仁, 斎藤 龍生, 小松 彦太郎, 西川 秀樹, 大泉 耕太郎, 清水 哲雄, 中井 祐之, 仁井谷 久 ...
1995 年 33 巻 12 号 p.
1367-1371
発行日: 1995/12/25
公開日: 2010/02/23
ジャーナル
フリー
非小細胞肺癌に対する Etoposide の21日間連日経口投与の有効性および安全性を検討するため, 前期第II相試験を計画した. 24例登録後中間検討を行った. 24例中1例が不完全 (脱落) 例 (4日間の投与) で23例が適格完全例であった. 内訳は, 腺癌9例, 扁平上皮癌13例, 大細胞癌1例で, 前治療の有るものが2例, 無いものが21例であった. また, 投与量は, 50mg/body/dayが12例, 75mg/body/dayが11例であった. 抗腫瘍効果は, 50mg/body/day 投与のIV期扁平上皮癌の症例にPRが得られたが, PR1, NC17, PD5であり, 奏効率は適格完全例で4.3%であったため, 臨床の立場から期待有効率の20%を得ることが困難と判断し, 試験を中止した. 副作用は tolerable であった. 以上より, この投与量, スケジュールでの Etoposide は非小細胞肺癌に対して有効とは言えず, 今後さらに投与量, スケジュールの検討が必要と考えた.
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17症例についての臨床的分析
浅本 仁, 北市 正則, 長井 苑子, 西村 浩一, 伊藤 春海, 泉 孝英
1995 年 33 巻 12 号 p.
1372-1381
発行日: 1995/12/25
公開日: 2010/02/23
ジャーナル
フリー
開胸肺生検によって診断された17例の肺好酸球性肉芽腫症の臨床症状, 検査所見及び臨床経過について報告した. 男性が14例, 女性が3例, 初診時の平均年齢は34歳であった. 24%は無症状で理学所見にも乏しかった. 発見の動機は40%が胸部X線上の異常陰影からであった. 17人全員が喫煙者であり, 14例が20歳までに喫煙を開始していた. 胸部X線上, 陰影は左右対称性で上肺野を中心に分布し, 9例では全肺野に認められた. 肺野陰影の主体は粒状, 網状, 嚢胞状及び線状で, これらが種々の割合に混合していた. 呼吸機能では, DLCOの低下が53%に認められ, 20~40%の症例で%VC,%FEV
1.0の低下, 残気率の増大が認められた. 胸部X線上の陰影の広がりと, DLCOを除く呼吸機能やPaO
2値の低下や総BALF細胞数とがある程度相関した. 診断から平均81ヵ月の観察期間での予後は比較的良好で, 本疾患による死亡は1例のみであった. 副腎皮質ホルモンの有効性は不明であった.
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野守 裕明, 堀尾 裕俊, 伊賀 六一, 小林 龍一郎, 正山 泰
1995 年 33 巻 12 号 p.
1382-1385
発行日: 1995/12/25
公開日: 2010/02/23
ジャーナル
フリー
肺切除後の最大吸気圧 (MIP) と最大呼気圧 (MEP) の減弱の程度を検討するために, 肺全摘術4例, 肺葉切除術42例, 区域切除術3例, 楔状切除術31例, 計80例において術前と術後3ヵ月目の肺機能と呼吸筋力の測定を行った. 術前の肺活量 (VC), MIP, MEPに対する術後のそれぞれの値の割合をVC (%), MIP (%), MEP (%) で表した. 肺葉切除例は楔状切除例より術後3ヵ月目におけるMIP (%) とMEP (%) が有意に低値であった (p<0.001). またVC (%) とMIP (%), およびVC (%) とMEP (%) は有意な正の相関を示した (p<0.001). 肺切除術3ヵ月後においても最大吸気圧と最大呼気圧は低下しており, 肺の切除量が多い程その低下の程度は著しいことが示された.
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張 敏, 西村 浩一, 池田 顕彦, 月野 光博, 小山 弘, 泉 孝英
1995 年 33 巻 12 号 p.
1386-1391
発行日: 1995/12/25
公開日: 2010/02/23
ジャーナル
フリー
プロピオン酸ベクロメタゾン (BDP) 1,600μg/day の継続治療を受けている慢性閉塞性肺疾患 (COPD) 患者はステロイド薬によって得られる最大の効果を受けているかを明らかとする目的で, 3ヵ月以上 BDP 1,600μg/day の投与を受けている21例の安定期のCOPD症例 (平均年齢: 69.1±6.8歳; 1秒量: 0.86±0.28L) において, プレドニゾロン (PSL) 30mgの効果を各々3週間の無作為割付二重盲検偽薬対照クロスオーバー法で検討した. 気管支拡張薬吸入前, 15, 60分後のFEV
1とFVC, 3週間治療期間の後半7日間のピークフロー値, 症状スコア及び health-related quahty of life (HRQL) を指標とした. PsLはFEV
1, FVC, 症状及びHRQLに有意な改善をもたらさなかった. BDP 1,600μg/dayによる継続治療を受けている安定期のCOPD症例はステロイド薬によって得られる最大の治療効果を得ていると考えられた.
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西 耕一, 水口 雅之, 橘 秀樹, 大家 他喜雄, 雨宮 徳直, 明 茂治, 藤村 政樹, 松田 保
1995 年 33 巻 12 号 p.
1392-1400
発行日: 1995/12/25
公開日: 2010/02/23
ジャーナル
フリー
副鼻腔気管支症候群 (SBS) 患者32名において, 粘液線毛輪送能 (MCT) の指標としてサッカリンテストによる鼻クリアランス時間 (NCT) を評価し, このNCTと臨床所見に対するクラリスロマイシン (CAM) の効果を検討した. SBS患者では, CAM投与前のNCTが平均70.3分と対照のNCT11.9分に比べ有意に延長しており, MCTが障害されていることが示唆された. そして, CAM400mg/日の4週間投与後に, SBS患者のNCTは平均30.4分と有意に改善し, 対照と有意な差は認めなくなった. 喀痰の細菌学的検査では, 32名中15名から病原菌が検出され, CAM投与にて12名の喀痰から菌の消失が認められた. 臨床所見では, 呼吸器症状の改善, FEV
1の増加, 血清寒冷凝集素価の低下, および血清IgA値の減少を認めた. 以上から, CAMはEMと同様にSBS患者のMCTならびに臨床所見を改善し, 臨床的に有用であることが示唆された.
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大石 修司, 人見 秀昭, 酒井 正雄, 小林 英夫, 永田 直一
1995 年 33 巻 12 号 p.
1401-1407
発行日: 1995/12/25
公開日: 2010/02/23
ジャーナル
フリー
Swyer-James 症候群5例について臨床的に検討した. 平均年齢は41歳 (20歳から70歳), 全例が男性. 5例ともに胸部X線上左肺の透過性充進を認めたが, 精査の結果3例で病変が両側に存在し, 2例で病変の不均一性が認められた. 胸部CT検査が病変の分布および重症度をもっとも正確に検出した.
133Xe吸入シンチグラムでの洗い出し遅延は, 本症候群の特徴である air trapping を示す所見であり, 胸部X線上 air trapping が明らかでない症例には特に有用な検査であることが判明した. 本症候群の成因については気管支病因説が有力とされており, 自験例も画像的には後天性気管支病因説に合致するものと考えられた. しかしながら, 左肺に, しかも男性に多いという特徴を有し, さらに肺炎の既往の明らかでないものも多く, 先天素因の関与も否定できないと考えられた.
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秋葉 裕二, 中野 均, 長内 忍, 松本 博之, 菊池 健次郎
1995 年 33 巻 12 号 p.
1408-1414
発行日: 1995/12/25
公開日: 2010/02/23
ジャーナル
フリー
実験的微小肺塞栓に関わる一酸化窒素 (NO) の役割について検討した. ラット摘出灌流肺を用い, 表面平滑な latex microsphere (MS: 径30μm) と表面に複数の棘を有する石松子 lycopodium spore (LP: 径28~30μm) を肺動脈内へ反復投与した際の平均灌流圧の変化率 (%ΔmPA) をNO合成阻害薬L-NMMA 投与・非投与下で比較した. MS (LP) 5回投与前後における acetylcholine (Ach) に対する反応性についても検討した. 各回の%ΔmPAはMSに比してLPが有意に大であった. L-NMMA 投与下, MSによる%ΔmPAに有意な変化はなく, LPのそれは非投与時に比して有意に大であった. Ach による一過性の弛緩反応はMS反復投与後にも認められたが, LP反復投与後には逆に収縮反応を呈した. 2種類の微小肺塞栓における昇圧反応の差は塞栓子の形状の差に基づくと考えられ, LP反復投与による昇圧反応の増強には肺血管内皮障害によるNOの産生低下が関与していることが示唆された.
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小野 貞文, 野田 雅史, 谷田 達男, 星川 康, 田畑 俊治, 植田 信策, 西村 俊彦, 芦野 有悟, 小池 加保児, 藤村 重文
1995 年 33 巻 12 号 p.
1415-1420
発行日: 1995/12/25
公開日: 2010/02/23
ジャーナル
フリー
モノクロタリン (Monocrotaline; MCT) による肺血管再構築, 右室肥大における, ペプチドロイコトリエンの関与について検討した. MCTを投与 (60mg/kg皮下注) したラットでは, 投与三週間後には肺動脈中膜肥厚および右室肥大が招来された ([RV/(LV+S)] 比; Control 0.25±0.01, MCT 0.30±0.01). この肺動脈中膜肥厚および右室肥大は特異的LTC
4, D
4, E
4受容体拮抗薬であるONO 1078 (10mg/kg p. o. 一日二回) 投与により, 有意に抑制された ([RV/(LV+S)] 比; 0.27±0.01). MCTを投与したラットでは, 投与後1, 3週に肺組織中ロイコトリエンC
4 (LTC
4) が有意に増加していた (Control; 1週目7.2±1.5, 3週目6.4±1.6, MCT; 1週目25.5±5.6, 3週目25.7±4.3ng/lung). 以上より, MCTによる肺血管再構築の過程におけるペプチドロイコトリエンの関与が示唆された.
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青木 薫, 大坪 浩一郎, 吉村 邦彦, 斎木 茂樹, 田井 久量, 岡野 弘
1995 年 33 巻 12 号 p.
1421-1429
発行日: 1995/12/25
公開日: 2010/02/23
ジャーナル
フリー
生前気管支喘息と診断された高齢者における気道の病理組織学的特徴を明らかにするため, 死後剖検を行った気管支喘息13症例 (57歳の1例を除き他はいずれも70歳以上) を発作窒息死群, 発作合併症死群, 非発作合併症死群の3群に分け, 中枢および末梢気道の気管支壁の形態像の定性的, 定量的検討を行った. 発作窒息死群においては非喘息コントロール群と比較して区域気管支, 亜区域気管支のいずれのレベルでも, a) 平滑筋の肥厚, b) 気管支腺の肥大と増生, c) 基底膜の肥厚の程度が有意に高度であった. さらに同群では末梢気道に至るまで気管支壁に著明な好酸球, リンパ球の浸潤を認めた. また基底膜の肥厚は明らかに非可逆的な変化と考えられたが, さらに発作の重症度を最もよく反映するのは平滑筋の肥厚であることが示唆された. 高齢者の重積発作による窒息死は近年増加傾向にあることが指摘されているが, 組織学的には若年者とほぼ同様な所見を呈するものと考えられた.
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渡部 誠一郎, 坂谷 光則, 久保田 馨, 山本 益也, 高橋 安毅, 山本 暁
1995 年 33 巻 12 号 p.
1430-1435
発行日: 1995/12/25
公開日: 2010/02/23
ジャーナル
フリー
胸水貯留を伴った原発性肺クリプトコッカス症の1例を報告し, 併せて当院で経験した肺クリプトコッカス症5例について臨床的検討を行った. 症例は34歳健常男性. 入院時, 右下肺に塊状影とともに少量の胸水貯留を伴っていた. 胸水の培養で
cryptococcus neoformans を検出し, 経気管支肺生検で原発性肺クリプトコッカス症と診断した. Flucomzole と miconazole の併用治療で改善傾向を示したが, 約2ヵ月後同側に大量の胸水貯留を認めた. ドレナージと抗菌薬の併用治療で改善し, 診断と治療効果の判定に血清および胸水クリプトコッカス抗原価の測定が有用であった. 本例を含めて, 当院で過去5年間に経験された肺クリプトコッカス症5例の検討では, 髄膜炎合併例はなく, 臨床症状, 検査所見は病巣が広範囲な例にのみ陽性であった. 診断は, 全例が経気管支肺生検組織標本の特殊染色によって得られ, アゾール系薬剤を中心とした治療で改善した.
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小川 加奈, 三野 健, 立田 秀生, 足高 毅, 保坂 公夫, 森 憲二, 木下 真男, 渋谷 和俊
1995 年 33 巻 12 号 p.
1436-1440
発行日: 1995/12/25
公開日: 2010/02/23
ジャーナル
フリー
症例は40歳男性. 生来健康. 発熱および全身の典型的水痘疹を認め, 急性呼吸不全にて入院. 胸部X線像では両肺野にびまん性の結節状陰影を認め, 動脈血ガス分析にて著明な低酸素血症を認めた. 家族歴, 抗体価, 皮疹, 胸部X線像より原発性水痘肺炎と診断し, 経気管支肺生検にてウイルス性肺炎を示唆する肺間質性病変を確認した. ステロイド大量投与, アシクロビルおよび免疫グロブリン製剤を使用し, 症状, 低酸素血症, 水痘疹は改善したが, 第60病日にも胸部X線上の網状陰影の残存が認められた. 成人の原発性水痘肺炎では時に重症化して急性呼吸不全を呈することがあり, また陰影が長期残存することがあるため適切な治療と経過観察が重要である.
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山田 嘉仁, 滝口 恭男, 安田 順一, 加藤 邦彦, 岡田 修, 角坂 育英, 木村 弘, 栗山 喬之
1995 年 33 巻 12 号 p.
1441-1445
発行日: 1995/12/25
公開日: 2010/02/23
ジャーナル
フリー
症例は64歳女性. 頭部打撲3年後に血管肉腫が発症し当院皮膚科入院. IL-2の局注療法および電子線照射療法にて軽快したが, 翌年胸部X線写真上肺内転移を示唆する陰影および左血胸が出現. 血管肉腫肺転移による血胸と診断され当科へ入院となり, IL-2を1日1回20万単位, 連日胸腔内投与した. 胸水中リンパ球表面マーカーの検討にて投与8日目には抗腫瘍効果の増強が示唆され, 約2週間で胸水および自覚症状の著明な改善をえた. IL-2の胸腔内注入療法は有効と考えられた.
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石浦 嘉久, 藤村 政樹, 南 真司, 渡辺 和良, 松田 保
1995 年 33 巻 12 号 p.
1446-1449
発行日: 1995/12/25
公開日: 2010/02/23
ジャーナル
フリー
45歳, 男性が胸痛と乾性咳嗽を主訴として来院し, 胸部レントゲン写真で両側同時自然気胸と診断された. 前房内の石灰化を伴う白内障, 高音域優位の感音性難聴, 血尿を伴う腎不全などの多彩な合併症が存在し, Alport 症候群が基礎に存在すると考えられた. 両側同時自然気胸は何らかの基礎疾患を有することで知られているが, 自験例では Alport 症候群以外の肺嚢胞性疾患や悪性腫瘍などは存在せず, IV型コラーゲンに対する蛍光抗体染色所見より, IV型コラーゲンの部分欠損による基底膜の組織修復不全が自然気胸の成立に関与している可能性が示唆された.
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丸岡 秀範, 小檜山 律, 山田 茂樹, 宮田 道夫
1995 年 33 巻 12 号 p.
1450-1453
発行日: 1995/12/25
公開日: 2010/02/23
ジャーナル
フリー
症例は47歳女性. 右背部痛, 咳を主訴に近医受診, 右気胸を指摘され, 当院に入院した. 胸腔ドレーン持続吸引にて右肺の再膨張は良好であったが, 胸部CTで右上下葉間に free air が認められ, 手術を施行した. 胸腔鏡で胸腔内を観察したところ, S
2の葉間面にブラを認め, ENDO GIA で切除した. また横隔膜腱中心に約8mmの欠損孔と周囲に暗赤色の血点や白色の肥厚部を認めたため, 直上に約6cmの小開胸を追加して切除, 修復した. 病理組織所見では, 横隔膜病変は典型的な子宮内膜症の組織像であり, ブラは腺構造は認められないものの, 間質類似組織, focal siderosis が認められ, 子宮内膜症としてよい組織像と考えられた. 月経随伴性気胸で, 横隔膜病変にとどまらず肺胸膜にも子宮内膜症を認めた報告は極めて少なく, 本例は本症の成因を考える上で非常に貴重な症例と考えられた.
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佐々木 結花, 山岸 文雄, 鈴木 公典, 宮沢 裕, 杉本 尚昭, 阿部 雄造, 武田 恒弘, 山川 久美, 黒須 克志, 三方 淳男
1995 年 33 巻 12 号 p.
1454-1458
発行日: 1995/12/25
公開日: 2010/02/23
ジャーナル
フリー
症例は65歳, 女性. 住民検診にて胸部異常影を指摘され精査目的で当院に入院した. 入院時胸部エックス線写真では, 右肺門から中・下肺野に, 辺縁不明瞭, 不均一な淡い浸潤影を認め, 胸部CT写真ではS
8領域に air bronchogram 陽性で非区域性, 辺縁不明瞭な浸潤影を認めた. S
8の気管支鏡的肺生検にて肥厚した間質内に異型リンパ球の増殖を認め, 悪性リンパ腫を疑った. 右下葉切除術を施行し, その病理組織所見で, 肺胞内, 間質に, び漫性に腫瘍性に増殖した異型リンパ球を認めた. リンパ球は中型で, 類円形の核を有し, diffuse medium type であり, 免疫組織化学的検査では, UCHL-1 (+), MT-1 (+), OPD4 (CD4) (+), L-26 (-), MB-1 (-) であり, 本症例を肺原発T細胞性悪性リンパ腫と診断した. 肺原発T細胞リンパ腫は, 極めて稀と考え報告した.
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秋山 潤, 越野 健, 工藤 宏一郎, 可部 順三郎, 新野 史
1995 年 33 巻 12 号 p.
1459-1463
発行日: 1995/12/25
公開日: 2010/02/23
ジャーナル
フリー
症例は55歳男性で3年前腎細胞癌にて左腎摘出術を受けた. 初診時に右肺上葉入口部に転移を認めたが, 術後のインターフェロン療法にて消失していた. 今回, 右中下葉の閉塞性肺炎を生じ, 精査・治療目的にて入院した. 気管支鏡にて右中間気管支幹を完全閉塞するポリープ状の腫瘤を認めた. 気管支動脈造影の結果, hypervascular な腫瘍像と2本の feeding artery を認めた. 2回にわたり気管支動脈塞栓術を施行した結果, 気管支を閉塞していた腫瘤の喀出を生じ, 気管支の閉塞解除を得ることができた. 喀出された腫瘤の病理所見は, renal cell carcinoma (clearcell subtype) であった. 腎細胞癌の肺転移に対する気管支動脈閉塞術の報告は少なく, 興味深い症例と考えられた.
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吉田 信一, 山岸 哲也, 福武 勝幸, 斉藤 誠, 加藤 治文, 海老原 善郎
1995 年 33 巻 12 号 p.
1464-1468
発行日: 1995/12/25
公開日: 2010/02/23
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フリー
ニューモシスチスカリニ肺炎 (Pneumocystis carinii pneumonia: 以下PCP) は後天性免疫不全症候群 (Acquired immunodeficiency syndrome: 以下AIDS) において最も高頻度に認められる呼吸器感染症であり, 近年ペンタミジンの予防的吸入療法が広く行われるようになっている. 今回我々はPCP治癒後, ペンタミジン予防吸入経過中に自然気胸を発症した16歳AIDS血友病A症例を経験したので報告する. 持続吸引療法, 胸膜癒着術施行するも改善認められず, 第27病日開胸肺縫縮術を施行した. 手術時の肺瘻孔部の病理組織にて Grocott 染色でカリニ原虫が確認された. 気胸の原因として, ペンタミジン吸入効果が末梢肺野では十分でなく, 限局的なPCPの再発が起こったためと考えられた.
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櫃田 豊, 河崎 雄司, 井岸 正, 池田 敏和, 山本 芳麿, 佐々木 孝夫
1995 年 33 巻 12 号 p.
1469-1474
発行日: 1995/12/25
公開日: 2010/02/23
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症例は肺気腫として外来通院中であった67歳の男性. 左背部痛を訴え, 胸部X線写真にて左上葉に空洞を伴う浸潤影が出現したため入院した. 3週間後の胸部X線写真では空洞内に菌球様陰影が出現し, また Aspergillus fumigatus に対する沈降抗体が陽性であった. 慢性壊死性肺アスペルギルス症と診断しフルコナゾールを投与したところ, 自覚症状, 陰影は共に軽快した. 本例では膠原病などの慢性消耗性疾患, 糖尿病, ステロイド治療などの既往はなく, 全身性の免疫抑制状態の存在は明らかではなかった. 最近, 慢性壊死性肺アスペルギルス症は免疫能の正常な慢性閉塞性疾患患者にも起こりうるとの報告がある. 本例はこの報告を支持するものとして貴重と思われる.
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森 清志, 木代 泉, 横山 晃貴, 大西 司, 富永 慶晤
1995 年 33 巻 12 号 p.
1475-1482
発行日: 1995/12/25
公開日: 2010/02/23
ジャーナル
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肺癌2次検診において試行的にヘリカルCTを施行し, その有用性について検討した. 対象は1993年11月から1994年8月迄に胸部単純X線写真で異常影を指摘された検診受診者157名である. 検診CT撮影条件はヘリカルスキャンを用い50mA, テーブル移動20mm/秒, ビーム幅10mmで, ひと呼吸にて全肺野を撮影した. 再構成画像は180度補間法を用い10mm間隔で作成し, フィルム写真におとした. 全例1回の息止めで全肺野を撮影できた. 検診CTにて異常影は157例中73例に指摘された. 病変の内訳は肺癌14例, 良性疾患53例, 経過観察中1例, その他5例であった. 肺癌は全例末梢発生で, stage I期10例, IIIA期3例, IV期1例であった. 検診CTのみで発見された肺癌6例 (I期5, IV期1) で内4例はレトロスペクティブに単純写真をみても指摘困難であった. 検診CTはひと呼吸で全肺野を撮影でき, 肺癌発見率の向上とともに早期肺癌の発見に有用と考える.
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