日本胸部疾患学会雑誌
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33 巻, 8 号
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  • 高杉 知明, 石原 傳幸, 川村 潤, 佐々木 一哉, 豊田 丈夫, 大角 光彦, 青柳 昭雄, 川城 丈夫
    1995 年 33 巻 8 号 p. 821-828
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    デュシェンヌ型筋ジストロフィー症 (DMD) における夜間睡眠時呼吸異常を検討した. 症状が安定し, 未だ人工呼吸器が導入されていないDMD患者42名 (全例男子, 平均年齢18.4歳) を対象にした. 全対象の無呼吸指数は平均7.5であり, 無呼吸指数5.0以上を示した症例は全対象の66.7%であった. 肺胞低換気障害が進行するに伴い, 夜間最低酸素飽和度が低下した. 睡眠時呼吸異常のパターンは閉塞型無呼吸, 中枢型無呼吸, 気道閉塞を伴わない奇異呼吸 (非閉塞型奇異呼吸) の3種類に分類され, その中で閉塞型無呼吸が主体であった.「進行群」(室内気吸入下 PaCO2 50 Torr 以上) での中枢型無呼吸の出現指数は,「初期群」(室内気吸入下 PaCO2 50 Torr 未満) よりも有意に高かった. 肺胞低換気障害の進行に伴って中枢型無呼吸の出現指数が増加することが示唆された. この現象は呼吸中枢の感受性の低下または呼吸筋力の低下に由来することが示唆された.
  • 周 彩存, 長山 直弘, 大塚 義郎, 佐藤 紘二, 倉島 篤行, 蛇沢 晶
    1995 年 33 巻 8 号 p. 829-834
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    急性間質性肺炎 (1例) および慢性間質性肺炎の急性増悪 (3例) を急性型間質性肺炎 (以下急性型) とし, その剖検肺を用いて細気管支 (終末および呼吸細気管支) 内腔の横断面を観察した. コントロールとして慢性特発性間質性肺炎 (IIP) で急性増悪なく死亡した5例の剖検肺を使用した. 急性型において総計198個の細気管支内腔のうち単核円形細胞浸潤, 肉芽組織をそれぞれ47個 (23.7%), 101個 (51.0%) 認めた. 一方コントロール群においては総計38個のうち37個 (97.4%) に異常を認めなかった. 以上より急性型間質性肺炎においては細気管支領域に単核円形細胞浸潤や肉芽などの病変が慢性IIPに比べて高頻度に見出されることが明らかとなった.
  • 68症例の臨床的検討
    浅本 仁, 北市 正則, 西村 浩一, 伊藤 春海, 泉 孝英
    1995 年 33 巻 8 号 p. 835-845
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    68例の原発性肺胞蛋白症の臨床・検査所見, 胸部画像所見, 呼吸機能及び治療成績と経過について報告した. 男性が53例, 女性が15例,初診時の平均年齢は44歳であった. 10人が種々の粉塵に暴露され得る職業に就いていた. 血清LDHとCEAの上昇が多数に認められた. 胸部X線上, 陰影は下肺野に多く, 主に airbronchogram を伴う陰影が両側に対称性に分布し, CTでは, この様な陰影と間質性陰影とが種々の程度に混合していた. 画像上の陰影の広がりや性状と臨床・検査所見との間に明らかな相関は認められなかった. 呼吸機能では, 拡散障害及び低酸素血症が主体であり, PaO2と DLCO が本疾患の病勢を最もよく表わしていると思われた. 51例に気管支肺胞洗浄が行われ, 82%が改善した. 17例は無治療であったが, 1例を除き自然寛解した. PaO2値が気管支肺胞洗浄の適応の一つとなると思われた. 平均5年の経過観察中本疾患及び合併症による死亡例は無かった.
  • 川上 誠, 宇佐見 郁治, 黒木 秀明, 五藤 雅博
    1995 年 33 巻 8 号 p. 846-849
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    じん肺症の患者が入院した時点での甲状腺機能を検討した. 生理学的活性の最も高い free T3 (以下fT3と略す) が正常値以下を示したのは34名中26名であり, そのうち12名46.2%が死亡した. fT3が正常値であった8名のうち死亡したのは1名のみであり, fT3が正常値である症例の予後は良好であった. 24名において臨床症状安定時のfT3と入院時のfT3を比較検討した. fT3は入院時に有意に低下していた (p<0.01). 生存群と死亡群では死亡群においてfT3の低下の程度が強い傾向にあった. じん肺患者の入院時のfT3はじん肺症の予後を推定する客観的指標として有用であると考えられた.
  • 河口 治彦, 伊奈 康孝, 佐藤 滋樹, 伊藤 伸介, 杉浦 芳樹, 長谷川 由美, 高田 勝利, 森下 宗彦, 山本 正彦
    1995 年 33 巻 8 号 p. 850-855
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシス (以下サ症) 患者血清において, 内在性のTNF-α阻害物質である可溶性TNFレセプター (以下sTNKF-R) を測定しその意義につき検討した.
    血清sTNF-R type I および type II はいずれもサ症 (type I は1.93±1.28ng/ml, n=36, type II は3.48±2.06ng/ml, n=18) において対照健康成人にくらべ有意 (type I はp<0.01, type II はp<0.001) に高値を示した. また, サ症患者中でも臨床上活動性の高いと思われる Active stage では Inactive stage にくらべ高値を示した. さらに両レセプターとも血清ACEと有意な相関関係 (type I はr=0.70, p<0.05, type II はr=0.55, p<0.01) を認めた. 以上より, 血清 sTNF-Rtype I および type II の測定はサ症の疾患活動性の評価に有用であると思われた.
  • 勝呂 元, 小山 信一郎, 大塚 昭子, 堀江 孝至
    1995 年 33 巻 8 号 p. 856-861
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    我々は感作ウサギが過換気負荷により気道収縮 (HIB) をおこすことを報告してきた. 今回我々は, 抗コリン薬, β2刺激薬, DSCGを前投与し, その効果からHIBのメカニズムを検討した. 卵白アルブミンで感作した日本白色ウサギ (n=21) を麻酔後, 気管切開し, 機械換気を行った. 1群: コントロール (n=7), 2群: Procaterol 50μg/ml (n=4), 3群: DSCG 10mg/ml (n=4), 4群: Ipratropium 1mg/ml (n=6) に分け, 各薬剤を1分間吸入させた後, 過換気負荷 (5%CO2を含む混合気で1回換気量: 7ml/kg, 換気回数: 120/分) を行った. 負荷前, 直後, 5, 15, 30分後にRL, Cdyn を測定し, 負荷前に対する%変化率 (%RL, %Cdyn) をもとめた. %RL (平均値) は, 5分後に1群+49%, 2群-6%, 3群+23%, 4群+1%と, 2, 4群で, 15分後に3群でもHIBの抑制を認めた. これらのことよりHIBには, 気道平滑筋の収縮が関与して, その機序としては迷走神経系, chemical mediator の関与が考えられた.
  • 小野 貞文, 谷田 達男, 星川 康, 宋 純, 前田 寿美子, 田畑 俊治, 野田 雅史, 植田 信策, 芦野 有悟, 藤村 重文
    1995 年 33 巻 8 号 p. 862-867
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    モノクロタリン (Monocrotaline; MCT) による肺高血圧, 肺血管再構築に対するプロスタグランディンE1 (PGE1) の効果について検討した. コントロール群 [平均肺動脈圧 (mPAP): 17.2±1.1mmHg, 右室壁重量/左室+中隔重量比 (RV/LV+S): 0.259±0.008] に比し, MCT投与ラット (80mg/kg BW, 1回皮下注) では, 3週間後には肺高血圧 (mPAP: 24.9±1.3mmHg), 右室肥大 (RV/LV+S: 0.327+0.012), および肺動脈中膜肥厚が招来された. PGE1 (300μg/kg BW) を1日2回皮下投与したラットでは, MCTによる肺高血圧, 右室肥大は有意に抑制された (mPAP: 18.7±0.9mmHg, RV/LV+S: 0.267±0.011). また, PGE1のRV/LV+S比, 肺動脈中膜肥厚の抑制効果には容量依存性が認められた. 以上より, MCTによる肺高血圧, 右室肥大, 肺動脈中膜肥厚に対するPGE1の有効性が示唆された.
  • 谷田 達男, 植田 信策, 小野 貞文, 星川 康, 田畑 俊治, 野田 雅史, 鈴木 聡, 千田 雅之, 芦野 有悟, 藤村 重文
    1995 年 33 巻 8 号 p. 868-872
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    機械的に白血球を刺激することによる肺血管内皮細胞の損傷と, 肺血管抵抗の変動を検討した. SDラット摘出肺を用い, 重量法による濾過係数の測定および肺血管抵抗の変動から肺血管内皮細胞障害の程度を検討した. 白血球を無処置で灌流液に加えた非活性群と, ガラス容器内で振盪して機械的刺激を与えたのち灌流液に加えた活性化群に分けた. 基準値の測定後, 90分間灌流を遮断し, 再灌流した後に濾過変数を測定した. 非活性群では濾過係数または肺血管抵抗は変化しなかった. 活性化群では濾過係数が約2.5倍に有意に上昇した. また肺血管抵抗は, 動静脈抵抗がそれぞれ約3.3倍に上昇した. フローサイトメトリー法により振盪後の白血球表面のCD18の発現増強が認められた. 本実験で, 白血球の接着能の亢進により肺血管の透過性亢進および血管抵抗の上昇が示された.
  • 小谷 泉, 本多 淳郎, 江藤 尚, 鈴木 春見, 長島 康之, 中島 信明, 山口 規夫, 岡部 健
    1995 年 33 巻 8 号 p. 873-877
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は64歳, 男性. 検診で胸部X線上右中肺野の扁平な腫瘤影を指摘された. 胸部X線, 胸部断層写真ともに腫瘍, 肺門リンパ節には high-density はなかったが, 胸部CT上腫瘍内にびまん性に散在する小粒状の high-density を認めた. 経気管支肺生検にて扁平上皮癌と診断, 右上葉切除術を行ったが, 切除肺の腫瘍内には石灰化はなかった. 切除肺の Thin slice CT と軟線X線所見を, 組織像と対比すると, high-density を示す部位は組織学的には強い炭粉沈着を伴う線維化巣に一致していた. また郭清したリンパ節でも術前のCT上 high-density を示したリンパ節には, 強い炭粉沈着を伴う線維化巣が認められたが, high-density がないリンパ節にはそれほど強い線維化巣は認めなかったことより, CT上腫瘍内にびまん性に散在していた小粒状の high-density は強い炭粉沈着を伴う線維化巣であったと考えられた.
  • 星野 仁, 高橋 孝, 相原 利一, 高柳 昇
    1995 年 33 巻 8 号 p. 878-882
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    呼吸困難と高熱を主訴に急激に発症し, 経過中に症状の緩解, 増悪をみた急性好酸球性肺炎の1例を経験した. 著明な低酸素血症, 末梢血好酸球増多, ならびに胸部X線上びまん性浸潤影, 斑状影, Kerley A, B line, 両側胸水を認め, 経気管支肺生検にて急性好酸球性肺炎と診断した. 本症は1990年の Lancet に報告された Acute eosinophilic pnemonia と同様の症例と考えられたが, 症例が寛解, 増悪を繰り返したことやステロイドを投与せず治癒したことなど, 今後この病気の病因, ならびにステロイド投与の適応基準などの問題を考える上で重要な症例と考えられた.
  • 渡辺 励子, 巽 浩一郎, 内山 隆司, 加藤 邦彦, 岡田 修, 長尾 啓一, 栗山 喬之
    1995 年 33 巻 8 号 p. 883-887
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は29歳女性, 19歳時にMCTDの診断を受けた. 出産後2日目に突然, 微熱・呼吸困難が出現, 胸部X線写真にて心拡大と左第二弓の突出を, 心電図上S1Q3パターン, V1~V4誘導でのT波の逆転を認めた. 動脈血液ガス分析にてPaO2の低下・AaDO2の開大, 血液検査にて線溶系の亢進, 肺血流シンチにて左肺下葉の一部に血流低下を認めた. 肺血栓塞栓症・右心不全の診断にて, 抗凝固線溶療法および利尿剤の投与を施行した. 治療約1ヵ月後, AaDO2の正常化, 心拡大の改善を認めた時点で右心カテーテル検査を施行したが, 肺動脈平均圧45mmHgの肺高血圧症を呈していた. その後外来にて加療を続けたが, 8ヵ月後に右心不全にて死亡した. 臨床的安定期にあると考えられるMCTD症例の中に, 出産後に肺血栓塞栓症が契機となり, 治療抵抗性の肺高血圧症を発症する症例があることの認識が重要と考えられた.
  • 上野 浩晶, 迎 寛, 谷口 治子, 牧 妃佐子, 芦谷 淳一, 伊井 敏彦, 坂本 晃, 松倉 茂
    1995 年 33 巻 8 号 p. 888-893
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は32歳女性. 31歳時に稽留流産のために子宮内容除去術を受け, その約1年後から月経時に血痰, 喀血が出現するようになった. 胸部X線では月経の度に右中肺野に淡い結節影を認め, 胸部CTでも右S4に陰影が確認されたが, 月経時以外には異常はみられなかった. 月経時に行った右S4領域結節影の経気管支肺生検では子宮内膜組織を確認できなかったが, ヘモジデリンを貪食したマクロファージが認められた. また, 腹腔鏡検査でも骨盤腔内に stage I (R-AFS分類) の子宮内膜症が確認された. 以上の臨床経過, 既往歴, 画像所見などから肺子宮内膜症と診断した. Buserelin acetate の経鼻噴霧を開始したところ, 月経の抑制と共に血痰は消失し, 胸部X線の異常陰影もみれなくなった.
  • 清家 正博, 臼杵 二郎, 植松 和嗣, 榎本 達治, 篠田 欣也, 吉森 浩三, 福田 悠, 工藤 翔二, 仁井谷 久暢
    1995 年 33 巻 8 号 p. 894-899
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は48歳男性, 研磨業に10年来従事していた. 間質性肺炎と難治性気胸のため当科入院. 抗生剤やステロイド治療を受けるも改善せず, またくりかえす気胸に対して胸膜癒着術施行するも効果なく呼吸不全にて死亡した. 剖検肺では, 肺胞腔内に黒色粒子を貧食する特徴的な多核巨細胞が存在し, 巨細胞性間質性肺炎の所見を認めた. 元素分析では, 黒色粒子内にタングステンを認め, タングステンによる超合金肺と診断した. また入院時より, CA19-9が2, 600ng/ml, SLEXが200ng/mlと異常高値であった. CA19-9とSLEXについて免疫組織学的検討を行った. CA19-9は細気管支上皮化生や扁平上皮化生の部分に強く陽性であったが, 増生したII型肺胞上皮は陰性であった. SLEXは増生したII型肺胞上皮にも陽性であった. 糖鎖抗原の機能や血清中の糖鎖抗原系腫瘍マーカーが高値となる機序に関しては今後のさらなる検討が必要と考えられる.
  • 藤田 明, 鈴木 光, 樫山 鉄矢, 渡邊 明, 木村 仁
    1995 年 33 巻 8 号 p. 900-905
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    高カルシウム血症を合併したサルコイドーシスの1症例 (60歳女性) を報告した. 血清力ルシウム値は12.6mg/dl (補正値12.4) と上昇し, 皮疹および胸部X線写真上のびまん性粒状影を認めた. プレドニゾロン (40mg/日) を投与開始したところ, 血清カルシウム値の正常化と胸部X線写真上の陰影の改善が認められた. 高カルシウム血症の原因は, 肉芽腫における1α, 25-dihydroxyvitamin Dの産生亢進によると説明されているが, 本症例では経気管支肺生検組織中の1α, 25-dihydroxyvitamin D含量が対照サルコイドーシス患者のそれと比べて増加していた. 高カルシウム血症を合併したサルコイドーシス症例の報告は本邦では少なく, 本症例における高カルシウム血症の合併に関して, ヒト白血球抗原 (HLA) との関連, さらにビタミンD過剰摂取との関連の可能性について考察を加えた.
  • 坂巻 文雄, 中野 雅, 浦野 哲哉, 森 正明, 山口 佳寿博, 金沢 実, 泉 陽太郎, 菊池 功次, 小林 紘一, 倉持 茂
    1995 年 33 巻 8 号 p. 906-910
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は64歳の男性. 喫煙歴は40本/日×40年. 平成5年1月血痰を主訴に当院を受診した. 胸部単純X線写真, およびCTスキャンにて両上肺野にブラを認めた. 喀痰細胞診および気管支鏡では異常を認めず経過を観察されていた. 初診6ヵ月後に胸部単純X線およびCTスキャンを再検査したところ右上肺野に縦隔に接する径3cm大の腫瘤性病変を認めた. 肺ブラ内の出血が疑われ悪性疾患の合併も否定できないため右肺上葉部分切除を行った. ブラの内腔には多量の凝血塊が認められた. 組織学的にはブラ壁の内面から内腔に向かって大型異型細胞の充実性増殖が認められ, 大細胞癌と診断した. 肺ブラを有する症例に肺癌が比較的高頻度に合併することはよく知られているが, ブラ壁内側のみに発育する例は少ない. また本症例はブラ内に出血することにより画像上急速な増大が認められ, 早期発見につながった稀な症例と考えられた.
  • 小谷 泉, 本多 淳郎, 江藤 尚, 太田 伸一郎, 長島 康之, 鈴木 春見, 豊田 太, 山口 規夫
    1995 年 33 巻 8 号 p. 911-915
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は72歳, 男性. 検診で胸部X線上両肺に多発する浸潤影, びまん性に散在する線状網状影を指摘された. 自覚症状はなかった. 経気管支肺生検で悪性リンパ腫が疑われたため開胸肺生検を施行し, 肺悪性リンパ腫, LSG分類の diffuse small cell type, B cell type と診断した. 切除肺の組織標本では, 異型リンパ球様細胞が肺胞に充満し, 又, 気管支, 血管, 胸膜周囲のリンパ路に沿って浸潤, 増殖している像が認められた. これらの所見が全肺野に多発性に形成されたために胸部X線像が特異な所見を呈したと考えられた. 胸部X線で本症例のような多発する浸潤影, びまん性に散在する線状網状影を呈する症例を診断する際には, 悪性リンパ腫も鑑別診断の1つに挙げるべきと考えられた.
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