日本放射線技術学会雑誌
Online ISSN : 1881-4883
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78 巻, 6 号
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巻頭言
原著
  • 佐々木 公, 増谷 佳孝, 木下 佳祐, 野中 春輝, 廣川 裕
    2022 年 78 巻 6 号 p. 569-581
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/20
    [早期公開] 公開日: 2022/04/27
    ジャーナル フリー

    【目的】拡散尖度(K)の推定に深層学習を用いる生成型q空間学習(synQSL)では,合成学習データに加えるノイズレベルに依存するバイアスが発生する.本研究の目的は,synQSLおよびそのバイアスを補正したKの推定を評価することである.【方法】合成テストデータおよび実画像データを用いて,synQSLによりKを推定し,バイアス補正を行った.そして,最小二乗法によるフィッティング(LSF)により推定したKと比較した.このとき,学習データに加えるノイズレベルは3種類,合成テストデータに加えるノイズレベルは5種類,実画像データの積算回数(number of excitation: NEX)は4種類とした.推定の頑健性はKの外れ値の全脳に対する割合である外れ値率で評価した.また,推定したKの二乗平均平方根誤差(RMSE)を評価した.【結果】補正なしのsynQSLによる推定の外れ値率はLSFと比較して各ノイズレベルのテストデータで大幅に低下し,補正により更に低下した.また,実画像データのNEX 4を正解としたNEX 1でのKの推定におけるRMSEは,バイアス補正付きのsynQSLによる結果において最も小さくなった.【結語】synQSLおよびバイアス補正を用いたKの推定は,LSFと比較して頑健で誤差の小さい方法であった.

  • 郡 倫一, 吉田 有佑, 野田 明里, 前田 安貴子, 西川 文也, 安井 真由美, 倉田 和馬, 鈴木 悠大, 亀川 洋希, 西川 浩子
    2022 年 78 巻 6 号 p. 582-592
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/20
    [早期公開] 公開日: 2022/05/16
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究の目的は,小牧市民病院における時間外のcomputed tomography(CT)・magnetic resonance imaging(MRI)において,診療放射線技師の読影の補助業務の有用性を調べることとする.【方法】対象患者は,当院の時間外診療時間にCTまたはMRIが撮像された2294人の2681検査である.疾患別に緊急度合を緊急性疾患,準緊急性疾患,非緊急性疾患の3群にカテゴリ分類した.また,診療放射線技師群(RTs群)と研修医師群(RPs群),上級医師群(SPs群)で感度,特異度,正確度などを算出した.【結果】RTs群の正確度は87.0%であった.RTs+RPs+SPs群の感度はRPs+SPs群の感度よりも高かった.【結語】緊急・準緊急性疾患において診療放射線技師が読影の補助を行うことで感度の向上がみられ,救急医療への有用性が示された.

臨床技術
  • 近藤 達也, 八木 悠太, 齋藤 宏明, 金沢 勉, 斎藤 祐太朗
    2022 年 78 巻 6 号 p. 593-598
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/20
    [早期公開] 公開日: 2022/04/22
    ジャーナル フリー

    【目的】MR画像の合成処理を用いた骨座標系構築の精度評価である.【方法】大腿骨座標系は牛大腿骨の全長を含む画像を用いて構築した.牛大腿骨全長のMR画像は,3ステップに分割して撮像した.それぞれのMR画像に三次元のひずみ補正処理を行い,合成処理を行った.合成処理をした牛大腿骨全長のMR画像を用いて,大腿骨座標系を構築した.MR画像から構築された大腿骨座標系をCT画像から構築した座標系と比較した.また座標系構築を複数回行い,再現性を検証した.大腿骨座標系構築における画像歪みの影響を検討するため,合成処理をしたMR画像の歪みを測定した.【結果】MR画像の合成処理を用いて構築した大腿骨座標系の中心位置は,CT画像から構築した座標系を基準として,X軸1.6±0.9 mm, Y軸1.5±0.8 mm, Z軸0.2±0.3 mm, それぞれの軸回転は1°以下であった.合成処理をしたMR画像の歪みは0.3%程度であった.【結語】MR画像の合成処理を用いた大腿骨座標系構築は,CT画像を用いた座標系構築と同等に扱える精度があった.大腿骨座標系構築において,MR画像の合成処理による影響は小さかった.

資料
  • 勢川 博雄, 荒木 伸一, 三木 章弘, 井手 康裕, 山崎 達也, 森 裕一朗, 川崎 宏起, 前田 幸人, 門田 敏秀
    2022 年 78 巻 6 号 p. 599-607
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/20
    [早期公開] 公開日: 2022/05/13
    ジャーナル フリー

    骨の表面構造や立体構造を正確に理解し骨画像読影の補助を行うために,医学部解剖学実習室で使用している骨標本を用いて「骨標本ステレオX線解剖図」を作成したことを報告した.本報告では,ステレオ画像を裸眼で立体視することが困難な臨床の場や教育の場のスタッフのために,ステレオ赤青眼鏡を用いることで骨標本を容易に立体視できる「アナグリフ画像による骨標本ステレオX線解剖図」を追加作成した.また,このアナグリフ画像による骨標本ステレオX線解剖図も骨標本ステレオX線解剖図と同様に,データを電子ファイル化し,電子媒体を通して放射線検査の場や自宅など,いかなる場所でも骨標本と骨標本X線画像を対比し,その画像の立体観察がステレオ赤青眼鏡でできるようにオンラインで公開した.

  • 勢川 博雄, 荒木 伸一, 三木 章弘, 井手 康裕, 山崎 達也, 竹内 和宏, 森 裕一朗, 本田 達也, 大森 圭悟, 前田 幸人, ...
    2022 年 78 巻 6 号 p. 608-614
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/20
    [早期公開] 公開日: 2022/05/13
    ジャーナル フリー

    骨X線撮影法に関して,診療放射線技師の諸先輩方によって,さまざまな研究や工夫がされ,その時代のデザインソフトウェアを利用した方法で,イラストやX線画像,写真を利用して,私たちにわかりやすく撮影法を解説し,臨床の場や教育の場を支援してくれている.しかし,骨標本は大学の医学部教育でしか利用できないため,骨X線撮影法の解説には今まで利用されていなかった.そこで,今回われわれは骨X線撮影法の解説に医学部解剖学実習室で使用している骨標本および骨標本を利用して作成した骨標本X線画像を利用することで,骨X線の撮影法を骨標本解剖からも把握できるように支援した「骨標本を利用した骨X線撮影マニュアル」を作成した.これまでの骨X線撮影法では,骨標本と骨標本による骨X線画像による解説はなかったため,この骨標本を利用した骨X線撮影法によって,骨標本から骨の表面形態の確認と骨標本からの骨のX線画像の確認が可能となった.また,この骨標本を利用した骨X線撮影法のデータを電子ファイル化し,電子媒体を通して放射線検査の場や在宅においても容易に利用ができるようにした.

  • 佐藤 一樹, 山城 晶弘, 小山 登美夫
    2022 年 78 巻 6 号 p. 615-624
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/20
    [早期公開] 公開日: 2022/05/16
    ジャーナル フリー

    【目的】放射線治療領域での非剛体画像レジストレーション(deformable image registration: DIR)は,近年異なるモダリティ間で多用される.しかし,DIRにおける確立されたファントムは存在しない.CT-MRI間の精度管理を目的とした非剛体ファントムの開発のため,3Dプリンタ素材およびゲル材において適合性を調査した.【方法】3メーカの31種類の3Dプリンタ素材と,1種類のゲル材に対しCT値,T1値,T2値,プロトン密度の測定を行った.この中のCT-MRIに適合するゲル材を用いてファントムの試作を行い,CT-MRI画像に対してDIR後のダイス係数を算出した.【結果】3Dプリンタ用素材のCT値は−6.8から146.4 HUの範囲であった.MRIではT1値のほとんどが測定不能,T2値はすべて測定不能,PDは2.51%から4.9%の範囲であった.ゲル材はCT値が111.16 HU,T1値813.65 ms,T2値27.19 msという結果であった.試作ファントムは柔軟性を有し,このファントムを使用したCT-MRI画像間でDIRの有用性が示された.【結語】ゲル材はCT値,T1値,T2値が生体に近く,CT-MRI間のDIR検証ファントムとして発展する可能性がある.本研究で得られた知見や測定値は,今後DIR用の非剛体ファントムの発展に寄与することができる.

第49 回秋季学術大会「標準化フォーラム」
教育講座─放射線技術学におけるファントムスタディ─
教育講座─MRIの基礎と応用技術─
教育講座─より安全で理想的な放射線治療計画技術への挑戦─
教育講座─乳がんの画像診断から病理まで─
教育講座─核医学装置と画像再構成法の進歩─
JIRAトピックス
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