日本放射線技術学会雑誌
Online ISSN : 1881-4883
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81 巻, 7 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
原著
  • 田畑 成章, 伊地知 哲也, 富永 雅也, 北島 和孝, 大椛 愁斗, 園田 梨紗, 加藤 伸一, 益元 智也, 尾畑 麻美, 河原 優菜, ...
    2025 年 81 巻 7 号 論文ID: 25-1554
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/24
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】観察実験における観察者不足改善を目的に,AI観察者を開発し,ヒト観察者と置き換えた場合の影響を評価した.【方法】CT(Aquilion Prime SP;キヤノンメディカルシステムズ,栃木)にてファントム(Catphan 700;東洋メディック,東京)を撮影し,観察試料を得た.撮影条件は,管電圧120 kVとし,管電流を200, 160, 120, 80, 40, 20 mAに変化させ,各条件で2回の撮影を行った.5人の観察者による一対比較観察実験の後,VGG19およびVGG16をベースとした深層学習モデルを学習した.学習後,ヒトにAIを含めた場合の分散を評価した.次にヒトをAIに置き換えた場合に平均嗜好度および有意差検定に影響を与えるか確認した.これらの評価は,学習データと評価データのモジュールが同一の場合と異なる場合で行われた.【結果】分散は0.085–0.177(平均:0.124)であり,モジュールが異なる場合においても一貫性がみられた.平均嗜好度による画像順位は同一であった.200 mAと160 mAの条件では,有意差検定でヒトとAIに差がみられたが,ヒトのばらつきの範囲内であった.【結語】ヒトをAIに置き換えた場合においても,観察実験への影響は最小限であり,観察者不足改善の可能性が示唆された.

臨床技術
  • 宇野 平太, 鈴木 真, 梨子木 一高, 川田 秀道
    2025 年 81 巻 7 号 論文ID: 25-1459
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/24
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】Fast turbo spin echo (TSE) Dixon法はin-phaseとopposed-phaseを1回のエコートレインの中で取得することにより,従来法のTSE Dixon法より撮像時間が半分になる利点がある.ただし,TSE Dixon法と同一撮像条件では解像特性が劣化することから,サンプリング時間に関連するパラメータである受信バンド幅(receiver band width: BW)とasymmetric echoの設定による解像特性を評価することにより,Fast TSE Dixon法における適切な撮像条件を明らかにすることを目的とした.【方法】BWを400,600,800,1000 Hz/pixelと変更しTSE Dixon法とFast TSE Dixon法をそれぞれ撮像した.加えてFast TSE Dixon法の,asymmetric echoをon(weak),offと変更した.解像特性の評価はエッジ法を用いて周波数,位相エンコード方向のmodulation transfer function(MTF)を測定した.【結果】TSE Dixon法はサンプリング時間を変更してもMTFは一定であったのに対し,Fast TSE Dixon法はBWを広げ,更にasymmetric echoを設定することによりサンプリング時間が短縮し,結果,MTFが向上した.【結語】Fast TSE Dixon法はBWを広げ,asymmetric echoを設定することによりサンプリング時間を短縮することで,Fast TSE Dixon法における解像特性の最適なパラメータ設定を明らかにすることができた.

  • 松本 賢治, 阪本 貴博, 大塚 正和, 小坂 浩之, 南部 秀和
    2025 年 81 巻 7 号 論文ID: 25-1533
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/30
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】当院の胸部および腰部の椎体に対する体幹部定位放射線療法(stereotactic body radiation therapy: SBRT)の照射中の固定システムの精度を評価し,安全なSBRTの実施が可能であることを証明する.【方法】脊椎SBRTで治療を受けた脊椎転移患者9例(照射回数の合計は45回)を対象に検討を行った.胸椎および腰椎の脊椎病変に対して体幹部シェルを用いた固定システムを固定具として使用した.患者セットアップでは,Exactrac(Brainlab, Munich, Germany)を用いたX線照合を行い,その後にcone beam computed tomography(CBCT)による確認を行い照射直前にターゲット位置が計画用CTに一致していることを確認した.CBCT照合を行った後に,照射開始となるが,治療直前,治療中,治療直後にそれぞれ追加のExactracを用いたX線撮影を実施し,照射中の経過時間における固定精度の評価を行った.【結果】固定シェルを用いた場合の,照射中の動きについて各方向の平均値± 1標準偏差(standard deviation: SD)は,それぞれ左右方向:0.01±0.21 mm,頭尾方向:−0.01±0.18 mm,前後方向:0.06±0.16 mm,pitch: 0.02±0.19°,roll: −0.02±0.29°,yaw: −0.03±0.23°となった.【結語】当院のExactracを用いたX線照合を使用したimage guided radiotherapyシステムは,照射中の位置精度の評価が可能であった.体幹部シェル固定システムは照射中の固定精度を1 mm以内で担保することが可能であった.また,Exactracを用いた照射中の位置確認は,非常に高い照射精度が要求される椎体のSBRTにおける照射中の位置精度の評価をすることが可能な非常に有用な照合システムである.

  • 大谷 悠介, 橘 昌幸
    2025 年 81 巻 7 号 論文ID: 25-1478
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/13
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】非物理ウェッジであるenhanced dynamic wedge(以下EDW)のビームプロファイルをEPIDと二次元半導体検出器で取得し,EPIDを用いたEDWのQA/QC法の有効性を検討した.【方法】放射線治療装置(Clinac iX; Varian Medical Systems, Palo Alto, CA, USA)を使用し,EDWのビームプロファイルをEPID(aS1000; Varian Medical Systems)と二次元半導体検出器(Profiler2; Sun Nuclear, Melbourne, FL, USA)で10回測定を行い,セットアップの位置再現性とEDWのビームプロファイルの再現性を評価した.また,EDWのビームプロファイルの比較対象として物理ウェッジのビームプロファイルをEPIDとProfiler2で取得した.その他に,EDW照射時の出力変動を解析するためEDWの照射logを取得した.【結果】セットアップの位置再現性はEPIDの方が良好になったが,EDWのビームプロファイルの再現性ではProfiler2の方が良好になった.物理ウェッジのビームプロファイルの再現性はEPIDの方が変動係数が同等もしくは小さくなった.EDWの照射logはEDW角度が大きいとバラツキが大きくなった.【結語】EPIDはEDWの変動を詳細に捉えていると考えられ,設置精度も優れていることからEPIDによるEDWのQA/QC法の有効性は高いと考える.

  • 森 一也, 眞壁 耕平, 関口 諒, 根岸 徹
    2025 年 81 巻 7 号 論文ID: 25-1515
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/15
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】本研究の目的は,percutaneous coronary intervention(PCI)症例においてステント強調処理(SV)を使用した臨床画像による後ろ向きの評価を行い,SVの関心領域(ROI)機能による画像再構成エラーの改善効果を評価することである.【方法】評価対象は,2016年1月から2020年12月までのSVを使用したPCI症例(584症例)とした.SVを用いた撮影において画像再構成エラーを生じた撮影をSVエラーとし,SVエラーを呈した画像に対してROI機能の使用によるSVエラーの改善をpaired t-testにより評価した.また,χ二乗検定によりSVエラーの要因評価を行った.【結果】ROI機能未使用時のSVエラー症例である53症例において,ROI機能の使用により52症例でSVエラーの改善が認められた(p<0.05).また,ROI機能使用時のSVエラーと,各評価項目に有意な関連性は示されなかった.【結語】SVにおけるROI機能の使用は,SVエラーを生じた症例の98.11%でSVエラーを改善させた.SVのROI機能はSVエラー低減に有用である.

  • 上部 星雄, 矢田 伸広, 日野 勇希, 小西 翔子, 渡部 秀明, 宮原 善徳, 楫 靖
    2025 年 81 巻 7 号 論文ID: 25-1546
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/15
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】本研究の目的は,心アミロイドーシスの診断において心臓専用半導体SPECT装置を用いて取得したPYP集積率の臨床適用性を検証することである.【方法】心アミロイドーシス疑い84例を対象に,心臓専用半導体SPECT装置およびアンガー型装置を用いて99mTc-PYP/201Tl-Cl 2核種同時収集を行い,SPECT像からPYP集積率,プラナー像から視覚評価GradeおよびH/CL比を取得した.このうち生検を行った非ATTR群9例とATTR群14例において,PYP集積率を評価した.また,84例におけるPYP集積率と視覚評価Grade, およびH/CL比との相関性を評価した.【結果】PYP集積率は非ATTR群で18.5±10.6%,ATTR群で72.4±28.7%となり,ATTR群で有意に高値を示した(p<0.01).PYP集積率と視覚評価法の相関係数は0.77, またH/CL比との相関係数は0.76となり,どちらも強い正の相関を示した.【結語】心臓専用半導体SPECT装置で取得したPYP集積率は,ATTR群と非ATTR群で有意な差があり,また従来の評価指標と強く相関することから,心アミロイドーシスの診断に適用できる可能性がある.

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