日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
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60 巻, 1 号
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  • 増田 慎三, 弥生 恵司, 古川 順康, 中野 芳明, 岡本 茂, 門田 卓士, 岡村 純
    1999 年 60 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    大阪逓信病院外科において, 1990年1月から1997年5月までの間に乳房温存手術を試みた137症例について検討した.乳房温存手術の適応はT_??_3cm, N0またはN1a,乳頭腫瘍間距離_??_3cmで,術式は扇状部分切除(quadrantectomy)と腋窩リンパ節郭清を基本に,切離断端陰性を確認するために必ず術中迅速病理診断を施行した.断端陽性の場合は,乳房切除術あるいは乳腺全摘術へ術式変更した. 109例で乳房温存療法が施行され(温存群), 28例(20.4%)で術式変更を必要とした(術式変更群). 術式変更を要した主因は広範囲な乳管内進展病巣による断端陽性であった.
    温存群と術式変更群の両群間で臨床病理学的特徴を比較検討すると,術式変更群で,若年者,閉経前患者, ER/PgR陽性, DNA indexがdiploidy, n(+)症例が多い傾向がみられた.また乳腺症や異型上皮増殖(ADH)などの随伴病変を認める症例が術式変更群に有意に多くみられた.
    断端陽性の主因となる広範囲乳管内進展病巣を術前に特徴付ける明らかな臨床学的因子はなく,それゆえに乳房温存療法においてsurgical marginを陰性に保つためには,切離断端の術中迅速病理診断や切除標本の厳格な病理検査が重要かつ有用であると考える.
  • 下山 雅朗, 佐野 宗明, 牧野 春彦
    1999 年 60 巻 1 号 p. 8-13
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    1994年から1997年8月まで当科で切除した乳腺葉状腫瘍47例を臨床病理学的に検討した. 47例中良性は39例,境界病変は5例,悪性は3例であった.腫瘍径は5cm以下が全体の81%と多く,また2cm以下の症例が全体の38.3%に認めた.視触診,マンモグラフィー,超音波検査, ABCのいずれでも葉状腫瘍の良性,境界病変,悪性の鑑別は困難であった.また,乳癌との鑑別を要するものも少なからず認めた.手術術式は局所切除術が43例,乳腺全摘出術が1例,単純乳房切除術が1例,胸筋温存乳房切除術が2例に施行されていたが,胸筋温存乳房切除術が施行された2例は術前乳癌との誤診例であった.観察期間内の再発例は2例でいずれも局所切除術を施行した良性葉状腫瘍であり,境界病変,悪性例に再発は認めていない.治療は正常乳腺を充分に含めた局所切除術で充分であると思われた.
  • 神崎 正人, 毛井 純一, 村杉 雅秀, 松本 卓子, 桑田 裕美, 舘林 孝幸, 兼安 秀人, 前 昌宏, 大貫 恭正, 新田 澄郎
    1999 年 60 巻 1 号 p. 14-16
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    当科で経験した同時性重複癌の臨床的検討を行った.同時性重複癌は原発性肺癌切除544例中18例 (3.3%:男性15例,女性3例)に認められ,重複癌臓器は,肺,胃が各5例,大腸2例,食道,腎,肝,前立腺,甲状腺,子宮が各1例であった.肺癌が第1癌の症例は8例で,第2癌の症例は10例であった.
    第2癌の発見は,第1癌の術前検査,術後早期の経過観察中に発見されることが多かった.
    18例の累積生存曲線 (5年生存率30.0%) は,全肺癌手術症例 (5年生存率37.7%) とほぼ同様であった.
  • 清家 和裕, 更科 広実, 斉藤 典男, 横山 正之, 幸田 圭史, 滝口 伸浩, 小田 健司, 早田 浩明, 中島 伸之
    1999 年 60 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    1967年から1997年にかけて外科的治療を施行したCrohn病59症例について術式別に比較し,特に病変部空置兼粘液瘻造設術の有用性に関して詳細に検討した.延べの手術は112回で,病変部空置兼粘液瘻造設10回,腸切除86回,バイパス5回,人工肛門造設7回,その他4回であった. 5年および10年累積再手術率はそれぞれ,病変空置兼粘液瘻造設群0%, 33.3%, 腸切群29.3%, 57.8%, バイパス群60.0%, 60.0%, 人工肛門造設群52.4%, 52.4%であり,病変空置兼粘液瘻造設群の再手術率は有意に低かった.また,病変部空置兼粘液瘻造設群の再燃は2例で,そのうち再手術した1例は再手術までの期間が長く,他術式と比べて再燃,再手術率に遜色なく, Crohn病の外科治療に際し一つの選択術式として有用であることが示唆された.
  • 結腸間膜右側アプローチ
    加藤 貴史, 村上 雅彦, 普光江 嘉広, 草野 満夫
    1999 年 60 巻 1 号 p. 22-27
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    S状結腸癌に対する第3群リンパ節郭清を伴う腹腔鏡補助下S状結腸切除術を施行し, 1995年1月から1997年12月までに25例を経験した.適応は深達度MP, リンパ節転移N 1以下,腹膜播種および肝転移のない症例とした.手術は四角形の頂点にポートを留置し,従来の開腹術と異なるS状結腸間膜右側からのアプローチで,下腸間膜動脈根部郭清を行った.右側アプローチはリンパ節郭清と後腹膜の解剖の確認において合理的であると思われた.また,同期間に施行した開腹S状結腸切除術21例と比較したところ,手術時間,摘出リンパ節数に有意差はみられなかったが,出血量の有意の減少がみられ,術後社会復帰までの日数は有意に短縮した (p<0.0001). 腹腔鏡補助下S状結腸切除術は,開腹術と遜色のないリンパ節郭清が可能な手術であると思われた.
  • とくにその肉眼形態と治療成績について
    湖山 信篤, 吉田 初雄, 二瓶 光博, 左近司 光明
    1999 年 60 巻 1 号 p. 28-32
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    大腸mp癌76例を粘膜内の増殖様式から肉眼的に分類し,治療成績との関連を検討した.肉眼形態は,ルーペ像の割面形態より, non polypoid growth type (NPG) と, polypoid growth type (PG) に分類した.結果はNPG 41例(54%), PG 35例 (46%) で,最大径はNPG 28.7mm, PG 38.3mmと, NPGが小さく,占居部位で,結腸がNPG 59%, PG 31%と, NPGは結腸に多く, INFαの症例がなかった.また,リンパ節転移はNPG 37%, PG 14%とNPGに多かった.治療成績では,再発率NPG 13.5%, PG 9.1%で, 5年生存率90.8%, 93.8%と,統計学的差はなかった.両群は異なった発育進展形式をとることが示唆されたが, mp癌において,割面形態からみた肉眼分類と,治療成績の関連は証明できなかった.
  • 三方 律治, 今尾 貞夫, 石渡 進, 鈴木 基文
    1999 年 60 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    組織学的診断の確定した前立腺癌158症例についての臨床的検討を行った. 5年の間隔で分けた前後半群では,年齢は変わらず,臨床症状は後半群では尿閉が減少し,排尿障害が増加していた.前立腺癌取り扱い規約による臨床病期Cが後半群で有意に増加し, G1は後半群で有意に減少していた.治療法は153例(97%)が抗男性ホルモン療法をうけていた.後半群では去勢術+ホルモン剤投与が減少し, LH-RHアナログ治療に代わった.
    臨床病期が進むほどG分類も有意に高くなった.臨床病期とG分類とは臨床症状によって差はなかった.
    G1症例の生存率は他の3群より有意に高く, G2, 3, 4症例の生存率には有意差はなかった.臨床病期Aでは癌死例はなく,臨床病期A, B, Cの3群の生存率に有意差は無く,臨床病期D群の生存率が他の3群に比べ有意に低かった.転移の有無が前立腺癌の予後を左右すると考えられた.
  • 林 英一, 宮崎 明子, 牧原 一彦, 岡田 耕一郎, 吹野 俊介, 深田 民人
    1999 年 60 巻 1 号 p. 38-41
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    乳癌手術後にLH-RH agonistを投与し,その後妊娠・出産した1例を経験した.症例は29歳女性で,右乳房の多発性乳癌に対し胸筋温存乳房切除術が施行された.病期分類はt1n0m0でstage Iであり,術後の補助療法としてtamoxifenの投与を行ったが途中LH-RH agonistに変更された.経過中,患者より子供が生みたいとの希望があり,内分泌療法を術後2年間で中止したところ, LH-RH agonistの最終投与から約3カ月後にはほぼ正常な月経が確認され,さらにその7カ月後に妊娠,そして元気な男児を出産した.
    乳癌術後の妊娠,出産に関しては,症例によりまた医師個人によりその対応は様々であろうが,術後の経過に問題がなければ,充分な説明と同意の上で,積極的に協力的に対応していくのも一つの方針と考える.
  • 高橋 章弘, 関川 敬義, 井上 慎吾, 飯塚 秀彦, 長堀 薫, 松本 由朗
    1999 年 60 巻 1 号 p. 42-45
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は40歳女性で, 2年前より左乳腺腫瘤を自覚していたが放置していた.最近3カ月間に急速に増大し,高熱を伴ったため当科へ来院した.左乳房全体を占める弾性軟の巨大腫瘤で,皮膚に出血を伴う潰瘍を形成し,異臭を放っていた.また領域リンパ節は触知されなかった.以上の経過と所見により,乳腺葉状腫瘍が疑われた.高熱で敗血症への移行も考えられたため,翌日緊急に単純乳房切除術を施行した.摘出標本の割面では,内部はスポンジ状で,多量の血液を貯留していた.病理組織診断では,辺縁にのみ乳頭腺管癌の細胞塊を認め,多くは出血,壊死を呈していた.腫瘍内に大きな血腫を認める症例は少ないため報告する.
  • 藤井 雅和, 竹中 博昭, 原田 昌和, 小林 祐子, 守田 信義, 江里 健輔
    1999 年 60 巻 1 号 p. 46-49
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は52歳の女性,主訴は左腋窩部腫瘤.近医で左腋窩リンパ節生検を施行され上皮性未分化癌の診断を得たが,原発巣不明のため3カ月後当科に紹介入院となった.術前の理学的所見,画像診断で両側乳房,頸部,胸部,腹部臓器に原発巣を発見しえなかった.本症例に左側胸筋温存乳房切断術を施行した.摘出標本の5mm間隔の組織切片を作成し, c領域に径8mm×5mm, 5mm×3mmの小さなmass lesionを検出した.この病変部は先に生検された腋窩リンパ節と組織学的に同一であり,同部を原発巣と診断した.術後1年2カ月後の現在再発の兆候なく健在である.腋窩リンパ節に癌転移が認められた場合,その原発巣としては乳房の頻度が最も高い.このため本疾患では乳房切断術あるいは乳腺放射線照射+化学療法などの同側乳房に対する治療が必要である.
  • 坂東 道哉, 立山 健一郎, 角 泰廣, 東 正樹, 吉田 直優, 小田 泰崇, 河西 克介, 尾関 豊
    1999 年 60 巻 1 号 p. 50-55
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は45歳女性. 40歳時で胸筋温存乳房切除術および術後化学療法を受けた.術後5年5カ月目に下腹部痛,嘔吐が出現し,入院.大腸内視鏡,注腸造影で大腸に多発性の狭窄を認めたため,開腹術を施行した.術中所見で小腸および大腸に多発性腫瘍を認めた.結腸右半切除,小腸部分切除およびS状結腸人工肛門造設術を施行した.切除標本の病理組織検査で乳癌の小腸・大腸への転移と診断した.術後CMF療法を6コース施行し, 10カ月の現在,外来通院中である.転移のみられた乳癌135剖検例での検討では乳癌の消化管転移は8.9%と報告されているが,臨床的に発見されることは少なく,稀な症例と思われた.
  • 斎藤 功, 田口 和典, 松下 通明, 高橋 弘昌, 渡邊 健一, 藤堂 省
    1999 年 60 巻 1 号 p. 56-60
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は58歳女性. 1985年Stage IIIa乳癌の診断で乳癌根治手術施行後,外来follow中であった.この間,血液生化学検査・腫瘍マーカー・腹部超音波検査に異常を認めなかったが1995年9月頃より心窩部痛を訴え,腹部超音波検査にて肝左葉内側区に直径約3cmのbull's eye signを呈する腫瘤を認め, 1995年12月19日当科入院となった.乳癌肝転移を疑い1996年1月24日HrO (S 4) 施行.病理組織学的検査の結果は充実腺管癌であり,乳癌肝転移と診断された. CAF療法後経過は良好で,現在まで再々発の兆候を認めていない.乳癌肝転移は多発性かつ他臓器転移を伴うことが多く,一般には肝切除の適応になるものは少ない.また, 10年のdisease free interval後の肝への単発転移症例の報告はない.しかし,本症例のように切除可能な場合には,積極的な肝切除も有効な治療法の一つと考えられた.また乳癌根治手術後,長期に渡るfollowの重要性が認識された.
  • 宮坂 成人, 芦田 泰之, 浜崎 尚文, 應儀 成二
    1999 年 60 巻 1 号 p. 61-64
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    心膜血腫に合併し,比較的早期に発症した収縮性心膜炎を経験した.症例は67歳,男性.カテーテルアプレーション時の心嚢内出血から約1カ月後に,呼吸困難,下肢の浮腫を来した.心エコーと胸部CT所見から,血腫による心タンポナーデと診断し,血腫除去術を施行した.しかし,心臓が厚い心外膜に絞掘され拡張障害を来たしていたため心外膜切除術を行った,この手術により,心臓の拡張収縮能が回復し,術後の経過も良好であった.本症例の病態は,浸出性収縮性心膜炎であり,遅発性の心タンポナーデに対しては収縮性心膜炎の存在を考慮しておくことが必要である.
  • 前田 光徳, 小長井 直樹, 工藤 龍彦, 小櫃 由樹生, 石丸 新
    1999 年 60 巻 1 号 p. 65-69
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    血管Behçetによる動脈瘤は,急激に増大し破裂する危険性が高い.このため,手術療法を第1選択とすることが多いが,一方で術後吻合部瘤などの吻合部合併症も高頻度でみられ,手術成績は不良である.今回この予防として,有茎性大網被覆術を行い良好な結果を得たので報告する.
    症例は56歳男性.昭和42年に口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍,下腿結節性紅斑,視力障害,外陰部潰瘍等の症状がみられ,完全型Behçet病と診断され,経過観察していた.平成4年12月に腹部の嚢状動脈瘤を指摘され, Y型人工血管置換ならびに大網被覆術を行った.その後外来にてステロイド等内服による保存的治療を行っているが,現在術後5年以上経過するも吻合部合併症を認めず良好であり,大網被覆術が有効だと考えられた.
  • 花岡 俊仁, 大佛 智彦, 鈴木 栄治, 長井 一信, 石田 数逸, 三原 康生
    1999 年 60 巻 1 号 p. 70-73
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は44歳,女性.人間ドックにて胸部異常陰影を指摘され精査を行った.胸部CTにて右下葉外側胸膜に接して径lcm以下の2個の腫瘤影を認め,確定診断のため手術を施行した.右下葉表面に2カ所黒色病変を認め,胸腔鏡下肺部分切除術を施行した.病理組織学的所見は2個の結節とも炭粉貪食マクロファージとリンパ球の集籏による肉芽組織が形成されており,肺炭粉沈着症と診断した.
    肺の炭粉沈着症は成人では一般的にみられるものであるが,腫瘤を形成して手術を必要とすることは比較的稀である.本症例は喫煙歴と粉塵作業歴はないが,鉄工所での勤務による低濃度の粉塵曝露が炭粉沈着の誘因となった可能性も考えられた.画像的に肺癌との鑑別が困難で,確定診断には胸腔鏡下手術が有用と考えられた.
  • 川田 通広, 鈴木 一郎, 青木 靖雄, 尾崎 和義
    1999 年 60 巻 1 号 p. 74-78
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胸腰椎圧迫骨折後1カ月目にイレウス症状を呈し発症した横隔膜ヘルニアの1例を経験したので報告する.
    症例は76歳の女性,既往歴として慢性関節リュウマチのため10年前よりプレドニン5mg内服していた. 1カ月前,自宅にて転倒後,胸腰椎圧迫骨折を認め当院整形外科にて入院治療中,悪心,嘔吐,腹部膨満を認めた.左胸腔内に大量のガスを有する腸管と,それに伴う胸水を認め左横隔膜ヘルニアと診断し経腹的に手術を施行した.食道裂孔近傍横隔膜に約2cmの裂孔があり回腸が嵌入,血性胸水1.600mlを認めた.胸腔内回腸を還納後,循環障害の改善を確認し横隔膜を結節縫合閉鎖した.術後,一過性の再膨張性肺水腫を認めたが人工呼吸管理で改善した
    横隔膜ヘルニアは外傷後,遅発性に発症する場合もありその可能性を念頭に経過観察を続けることが肝要であると思われた.
  • 古永 晃彦, 中山 富太, 藤井 康宏, 河村 勉, 江里 健輔
    1999 年 60 巻 1 号 p. 79-81
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    非開胸食道抜去術後,開排された食道裂孔をヘルニア門とする横隔膜ヘルニアを経験したので報告する.症例は62歳男性である.腹痛を主訴として当院外来を受診した.患者は生来の大酒家であり,約15カ月前に早期食道癌にて非開胸食道抜去術を受けていた.画像診断にて,横隔膜ヘルニアとそれに伴うイレウスと診断し緊急手術を行った.手術所見は,食道抜去術時の食道裂孔開排部より小腸と横行結腸が胸腔内に脱出していた.このため,脱出していた小腸と横行結腸を腹腔内に還納し,ヘルニア門となっていた食道裂孔部をMarlex meshにて補強した.大酒家に非開胸食道抜去術を行う場合にはかかる合併症が発生する可能性があると考えられたので報告する.
  • 真鍋 隆宏, 国崎 主税, 渡会 伸治, 山岡 博之, 嶋田 紘, 中谷 行雄
    1999 年 60 巻 1 号 p. 82-85
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は55歳の男性. Ei後壁の長径3cm, 黄白色を呈する食道粘膜下腫瘍の精査,加療の目的にて入院した. EUSでは,第2, 3層に連続したhypoechoicで均一な腫瘤であった.以上より,顆粒細胞腫あるいはカルチノイドと診断し,開腹摘出術を行った.病理組織学的検索にて食道顆粒細胞腫と診断された.食道顆粒細胞腫の治療法を中心に,食道に発生した本邦152例の文献的考察を加え報告した.
  • 山内 一, 島本 強, 岩田 尚, 片桐 義文
    1999 年 60 巻 1 号 p. 86-90
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    塩酸服用による自殺企図により,腐食性食道炎による良性瘢痕性食道狭窄を来した64歳の男性に対して, balloonによる拡張治療を試みたが,効果不良であったため, expandable metallic stent (EMS) の留置による食道拡張を試み,良好な結果を得た.食道狭窄に対するステント留置は,現在まで,主に悪性腫瘍によるものに対してであり, QOLの維持目的が殆どである.今回われわれは精神的身体的状態の不良な患者に対して,リスクを伴う手術に替わり,最近開発されたEMSを使用することにより,本患者は食事摂取,退院可能となった.これにより,手術も考慮においた.全身状態の改善が期待され,今後の器材の研究開発により,さらに安全な一治療法となりえると考えられる.
  • 竹内 邦夫, 都築 靖, 安藤 哲, 小林 正則, 萬田 緑平, 野内 達人, 長町 幸雄
    1999 年 60 巻 1 号 p. 91-96
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    食道類基底細胞癌の2例を経験した.症例1は64歳,男性.摘出標本では6.0×3.0cmの潰瘍浸潤型腫瘍とその0.5cm肛門側にびらんを認めた.前者は類基底細胞癌,後者は中分化扁平上皮癌で,組織学的進行度はa2, ly2, v1, n4(+), ow(-), aw(-), stage IVであった.術後4カ月目にUS, CTで胸水,腹水および多発肝転移を認め,術後6カ月目に癌再発により死亡した.なお,剖検では類基底細胞癌の広範な再発を認めた.症例2は73歳,男性.摘出標本は5.0×4.5cmの隆起型腫瘍,4.0×7.0cmの潰瘍浸潤型腫瘍を認めた.前者は類基底細胞癌,後者は中分化扁平上皮癌で,組織学的進行度はa1, ly3, v2, n3(+), ow(-), aw(-), stage IVであった,術後1年3カ月目に癌性胸膜炎により死亡した.食道類基底細胞癌は扁平上皮癌とは異なった発育形式を呈する悪性度の高い腫瘍と考えられており,自験2例を含め56報告例の文献的考察を行いその特徴的所見につき報告した.
  • 近江 亮, 鈴木 康弘, 高橋 基夫, 加藤 紘之
    1999 年 60 巻 1 号 p. 97-101
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    真の食道癌肉腫と考えられた1例を経験したので報告する.症例は59歳の男性,主訴は心窩部痛,嚥下困難.病変は胸部中部食道に存在し,巨大ポリープ様病変であった.
    胸部食道全摘, 3領域郭清を施行.病理組織診断にて食道癌肉腫と診断された.
    HE染色にてspindle cellを主体とするsarcomaが大部分を占め角化を認める高分化型の扁平上皮癌がnest状に混在していたが両成分の移行像は認められなかった.
    また免疫染色にて,扁平上皮癌の部位にてケラチン, EMA陽性.肉腫成分はα-SMA陽性と両者は明瞭に染め分けられた電子顕微鏡所見も合わせ真の癌肉腫と考えられた.
  • 関根 庸, 三島 吾朗, 玉崎 良久, 佐藤 浩一, 矢吹 清隆, 前川 武男
    1999 年 60 巻 1 号 p. 102-106
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は82歳,女性.心窩部不快感を訴えたため平成9年5月,上部消化管内視鏡検査を施行した.噴門部から体上部にかけて胃粘膜下腫瘍を認めたため精査加療目的で当院に紹介入院となった.上部消化管造影検査では噴門部から体上部にかけての小彎側に半円形の隆起を認め,胃の内部と交通する空洞を形成していた.腹部CT検査では同部位に約10cm大の空洞を形成する腫瘍を認め,腹部血管造影検査では左胃動脈の末梢分枝が血管増生し,腫瘍濃染を認めた.平成9年6月13日,胃平滑筋肉腫と考え胃全摘術を施行したが,術後の病理組織検査で神経鞘腫と診断された.今回腫瘍の内部に空洞を形成し,胃の内腔と交通していた極めて稀な胃神経鞘腫を経験したので報告する.
  • 横山 和子, 近江 禎子, 森 秀樹
    1999 年 60 巻 1 号 p. 107-109
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    持続硬膜外カテーテルを用いた術後疼痛管理は広く使用されるようになった.しかし,術後の疼痛反応を抑えることは,生体内の異常事態に対して生じる警告反応を隠蔽してしまう危険性を秘めている.
    S状結腸癌,右鼠径ヘルニアにて, S状結腸切除術,鼠径ヘルニア根治術を施行した後,第7病日に術後ストレス胃潰瘍による吐下血を発症し,胃全摘術を施行した症例を経験した.初回手術の麻酔は胸部硬膜外麻酔と全身麻酔の併用で行い,術後の鎮痛目的で,硬膜外カテーテルに0.125%ブピカイン60mlとモルヒネ10mgを混合充頓し,携帯用持続注入ポンプ(バックスターインフーザー®, 0.5ml/h, 5日間用)を接続した.術後鎮痛は良好で,第7病日に大量の吐下血をみるまで自覚症状は全く無く,胃潰瘍が発見できなかった.
  • 渡辺 拓自, 鋤柄 稔, 篠塚 望, 山崎 達雄, 小山 勇, 尾本 良三
    1999 年 60 巻 1 号 p. 110-113
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    十二指腸乳頭部癌に併存した総胆管結石症の結石内より魚骨を認めた稀な1例を経験したので報告する.症例は74歳女性. 1カ月前より発熱を来して来院.腹部超音波にて30×10mm大の総胆管結石を認め,さらに内視鏡にて乳頭部に拇指頭大の隆起性腫瘤を確認し腺癌の診断を得た.以上より総胆管結石症および乳頭部癌の診断で膵頭十二指腸切除術を施行した.摘出した総胆管結石を砕くと中心に30×5mmの骨様の核を認め,精査分析したところ魚骨と断定された.総胆管内異物として魚骨の報告は少ない.また,これを核とした総胆管結石に,癌が併存した報告は他になかった.
  • 中村 雅彦, 松田 昌三, 山崎 良定, 西山 範正, 畠山 理, 田中 邦彦
    1999 年 60 巻 1 号 p. 114-119
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ポリアクリル酸ナトリウムの散布が周囲組織の保護に有効であった, High outoput dischargeを伴う難治性唇状空腸瘻の1例を報告する.患者は55歳,男性.幽門側胃部分切除術を施行された後,縫合不全から汎発性腹膜炎を合併した. 6カ月後,上腹部に発赤潰瘍を伴うびらん状皮膚縁に囲まれた8×4cm大の腸管漿膜面の露頭と多数の腸瘻孔群が形成されていた状態で当科に転院した.市販されているあらゆるストーマ製品を使用し,管理に努めたが,奏効せず,やむをえず,通常は化学製品の添加材料であるポリアクリル酸ナトリウムを患者本人の承諾を得て,腸瘻周囲組織の保護を目的として散布使用した.それにより皮膚および腸管壁を良好に保護することができ,局所および全身状態が改善し, 4カ月後に根治術を施行し得た.
  • 笠巻 伸二, 川瀬 吉彦, 野口 肇, 西村 和彦, 森脇 稔, 杉谷 通治
    1999 年 60 巻 1 号 p. 120-123
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Recklinghausen病に合併した小腸憩室穿孔の1例を経験した.
    症例は51歳男性. 23歳時よりRecklinghausen病と診断されていた.平成8年12月17日当院脳神経外科で脳腫瘍の診断にて開頭腫瘍摘出術を施行.術後経過良好であったが,平成9年1月8日突然上腹部痛が出現した.腹部は板状硬であり,腹部CT所見上free airを認めたため,消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断し,同日緊急手術を施行した.
    開腹所見では, Treiz靭帯より肛門側約20cmの空腸に4×4×3cm大の食物残渣に満ちた憩室および穿孔部を認めた.空腸憩室穿孔による汎発性腹膜炎と診断し,小腸部分切除および腹腔内ドレナージ術を施行した.
    病理組織学的検索で,今回穿孔をきたした憩室の成因がRecklinghausen病に合併した神経線維腫であると診断しえた.
  • 新槇 剛, 荒井 保明, 松枝 清, 山上 卓士, 高野 靖悟, 岩井 重富
    1999 年 60 巻 1 号 p. 124-128
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    肝転移を契機に発見された小腸腫瘍の2例につき若干の文献的考察を加えて報告した.症例1, 32歳,男性.腹部の圧迫感を主訴に受診.腹部CTで肝に多発する中心性壊死をともなった巨大な腫瘍を認め,平滑筋肉腫の肝転移を疑った.骨盤部CTおよび小腸造影施行し回腸に原発巣を認め手術にて切除,確診した.症例2, 57歳女性.心窩部の不快感を主訴に受診.腹部超音波検査および腹部CT検査で多発性肝腫瘍,小腸造影で空腸の狭窄像を認めたため小腸癌の肝転移と診断,小腸切除術施行し確診した.空腸,回腸腫瘍は全消化管悪性腫瘍で0.3~0.5%を占め,予後も不良とされている.肝病変の精査的には稀ではあるが小腸腫瘍も考慮する必要があると思われた.
  • 中村 文隆, 道家 充, 成田 吉明, 宮崎 恭介, 松波 己, 加藤 紘之
    1999 年 60 巻 1 号 p. 129-133
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は36歳,男性.生寿司を摂取後,腹痛が発現し,イレウスの診断にて入院となった.保存的治療にて症状は軽快したが,経口摂取開始後,再びイレウス症状が出現した.小腸造影検査が行われ,空腸に限局性の管状狭窄が認められたため,第52病日に開腹手術が行われた.開腹すると,トライツ靭帯より約120cmの空腸に,長さ7cmの全周性狭窄を認め,その口側は著明に拡張しており,小腸部分切除術を施行した.切除標本の肉眼所見,病理学的所見により虚血性小腸炎による狭窄と診断された.
    虚血性腸炎が小腸に発現することは少なく,狭窄を生じることは稀である.今回われわれは,虚血性小腸炎による小腸狭窄の1例を経験したので文献的考察を加え報告する.
  • 田附 裕子, 森本 芳和, 水谷 伸, 桜井 照久, 上田 晋也, 角村 純一
    1999 年 60 巻 1 号 p. 134-138
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は, 24歳女性.繰り返す激しい腹痛に対し精査加療中,腹部超音波検査で右卵巣近傍に5×4cm大のlow echoic massを認めた.小腸二重造影では回腸末端に陥凹性病変を伴う陰影欠損像を認め,また大腸内視鏡検査でも同部に易出血性の腫瘍を認めた.小腸悪性腫瘍の診断下に回盲部切除を施行した.手術の根治性を高めるために,術中迅速病理診断で腸間膜リンパ節転移や腫瘍が癒着していた近接臓器に癌の遺残のないことを確認した.病理組織学診断は,腺癌であった.術後経過は良好で,再発徴候はない.
    小腸悪性腫瘍は稀であり特に若年発症は少ない.治療には外科的切除が行われるが,小腸腫瘍に関する一定の取り扱い規約はないため,術中迅速病理診断が外科的切除の根治性を高めるのに有用であった.
  • 小林 聡, 山口 晃弘, 磯谷 正敏, 堀 明洋, 金岡 祐次, 山本 竜義, 金澤 英俊, 高橋 吉仁, 笹本 彰紀, 伊神 剛
    1999 年 60 巻 1 号 p. 139-142
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は81歳,男性.突然の強い腹痛を主訴に当院を受診した.腹部所見は全体に軽度の腹膜刺激症状を伴う圧痛を認め,直腸指診では直腸癌を触知した.腹部CTで腹水,小腸壁の肥厚と肝内に門脈ガスを認め,上腸間膜動脈造影では閉塞所見はなかったが,不整狭小化像を認めた.腸管虚血症を疑い緊急開腹手術を施行した.回腸が虚血により壊死していたため小腸を100cm切除し端々吻合し, S状結腸で双口式人工肛門を造設した.術後は患者の全身状態を考え,直腸癌に対し放射線治療を施行後,術後第61病日に退院した.
    本症例は血管造影の所見と摘出標本に血管病変を認めなかったことから,非閉塞性腸管虚血症と診断した.門脈ガス血症は虚血性腸疾患に合併することが多いので,まず念頭に置き精査すべきであるが,他の原疾患も十分に考え手術適応を決めるべきである.
  • 龍沢 泰彦, 野崎 善成, 黒川 勝, 山田 哲司, 北川 晋, 中川 正昭
    1999 年 60 巻 1 号 p. 143-148
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は58歳の男性で, 1994年5月に穿孔性虫垂炎の診断にて緊急手術を施行した.虫垂は腫脹,硬化し,ダグラス窩には腹膜播種を疑わせる白色小結節が散在していた.虫垂切除およびドレナージ術を施行し,小結節も一部切除した.病理診断は虫垂,ダグラス窩の小結節ともに低分化腺癌で,他臓器からの転移が疑われた.術後の胃内視鏡検査にてBorrmann 4型腫瘍を認め,生検の結果,虫垂と同様の低分化腺癌と診断された.胃癌の虫垂転移,腹膜播種の診断にて,虫垂切除後24日目に幽門側胃切除術を施行, H0 P3 T3 N2で,病理診断はpor2, se, n2(+)であった.胃切除後3年2カ月で癌性腹膜炎にて死亡した.胃癌虫垂転移の本邦報告例は16例のみで,胃癌術後に急性虫垂炎として発症する例が多い.自験例は胃癌の診断前に虫垂の穿孔で発症した稀な例である.虫垂炎の手術の際にも(特に胃癌術後の場合は), 術中の十分な観察と術後の病理検索が重要と考える.
  • 石田 秀之, 龍田 眞行, 川崎 高俊, 桝谷 誠三, 宮 章博, 里見 隆, 吉岡 寛康, 星田 義彦
    1999 年 60 巻 1 号 p. 149-153
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は56歳,女性.回盲部腫瘤の精査・加療目的で当院を受診した.注腸透視,大腸ファイバー検査,腹部CT & MRI検査より虫垂粘液嚢腫と診断し,リンパ節郭清を伴う回盲部切除術を施行した.
    虫垂粘液嚢腫は組織学的には非腫瘍,良性腫瘍,悪性腫瘍の3種に分類される.術前に組織学的診断を得ることは困難で,約10%が悪性腫瘍であるがリンパ節転移は稀なので,まず虫垂切除術を行うのが妥当とする報告も多い.著者らは虫垂が微少穿孔をきたしやすい臓器であることと本症の場合良性腫瘍であっても腹膜偽粘液腫の状態になり得ることから,全例に回盲部切除を施行すべきと考える.
  • 辻 和宏, 堀 堅造, 山根 正修, 宇高 徹総, 安藤 隆史
    1999 年 60 巻 1 号 p. 154-158
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    魚骨による消化管穿孔は比較的稀であり,その術前診断は非常に困難である.最近われわれは, 3例の魚骨による消化管穿孔を経験したので報告する.
    症例1はCT上肝下面に腫瘤を認め,胆嚢腫瘍も考慮し開腹術を行った.摘出標本で腫瘤内に魚骨を認め,横行結腸穿孔に起因する腹腔内膿瘍であった.症例2は超音波検査, CTにて魚骨を確認し,消化管穿孔による回盲部腫瘤と術前診断が可能であった.症例3は腹腔内遊離ガス像を認めたため緊急開腹術を行った.術中検索でダグラス窩に約7cmの魚骨が存在していたが穿孔部位は不明であった.
    3例中2例は原因不明のまま開腹術を行ったが,ともにretrospectiveに画像診断は可能であった.
  • 根本 明喜, 五嶋 博道, 勝峰 康夫, 林 実夫, 池田 剛
    1999 年 60 巻 1 号 p. 159-164
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    最近われわれは成人の慢性特発性大腸偽性腸閉塞症の1手術例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.症例は27歳男性,幼少時排便異常はなかったが, 15年前より便秘ならびに腹部膨満感が出現し下剤を服用.最近では便秘傾向が増悪し,便通が1カ月1回となり来院.来院時腹部は著明に膨隆し,腹部X線ならびにCTでは直径22cmに拡張したS状結腸および大量の宿便を認めた.注腸透視では直腸にnarrow segmentはなく,大腸内視鏡では小児頭大の糞石を認め,直腸生検にて神経節細胞を証明し得た.以上より慢性特発性大腸偽性閉塞症と診断し手術を施行.開腹するに腹膜翻転部から下行結腸まで約50cmにわたり,最大周径35cmの著明な拡張が認め,腹膜翻転部から口側5cmの部位より口側に50cm切除し端々吻合した.組織学的所見では神経節細胞の軽度変性が認められた.術後経過は良好で現在術後1年6カ月であるが, 1日1回の排便を認め腹部膨満も消失している.
  • 河原 秀次郎, 平井 勝也, 青木 照明, 長 剛正, 鈴木 俊雅, 武内 孝介
    1999 年 60 巻 1 号 p. 165-167
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は38歳女性.平成3年ごろより肛門周囲のerosionに気づいていたが放置していた.平成8年2月ごろより肛門痛が出現し近医を受診した.生検組織診断で肛門部Bowen病と診断されたため,当院皮膚科に紹介された.しかし病変の直腸への浸潤が疑われたため精査・加療目的で当科に紹介された.術式は, (1)病変が歯状線にまで浸潤していなかったこと, (2)術前検査で鼠径リンパ節などへの転移を強く示唆する所見が得られなかったこと, (3)本人が直腸切断術を強く望まなかったこと,などを考慮し肛門部病変の局所切除を試みた.永久標本では腫瘍細胞の表皮基底層の破壊像がみられず,術後2年以上経過した現在再発は認められない.切除marginが5 mm以上確保されていれば予後が良好であるため,病変が歯状線まで浸潤していない場合には直腸切断術の選択はなるべく控え,確定診断,深達度診断および治療を含め,まず局所切除術を試みるべきであると考えられた.
  • 江畑 智希, 宮田 完志, 服部 龍夫, 小林 陽一郎, 湯浅 典博, 加藤 万事
    1999 年 60 巻 1 号 p. 168-172
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    肝炎症性偽腫瘍の1例を経験したので報告する.本症例では特徴的な所見を認め画像診断可能であった.
    症例は57歳女性.胆管空腸吻合の既往があり,当科で経過観察中であった.発熱を主訴に当科を受診した.超音波検査で肝後上亜区域に径3.5cmの低輝度腫瘤を認め,単純CTでも低吸収域を認めた.造影CTでは中央部分が濃染し辺縁部は濃染せず低吸収域であった.肝動脈CT早期相では腫瘤全体が高吸収域となり,晩期相では辺縁部が高吸収域のまま残り中央部分は低吸収域となった.以上のCT所見より肝炎症性偽腫瘤と診断し,肝生検を施行した.病理組織学的にリンパ球・形質細胞浸潤を伴う線維性組織を認め,肝炎症性偽腫瘍と診断された.その後無治療で経過観察し,腫瘤像は縮小しCTで線維性組織を認めるのみとなった.
  • 古垣 浩一, 佐藤 裕, 篠原 正博, 高嶋 雅樹, 岸川 英樹
    1999 年 60 巻 1 号 p. 173-177
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    早期胃癌と膵癌の同時性重複癌の術後9年目に発生した,末梢型肝内胆管細胞癌の1例を経験した.症例は74歳の男性で,前回の手術後の外来フォロー中に腫瘍マーカーが高値を示し(CA 19-9:267IU/ml),腹部CT検査にて肝右葉前上区域(S8)に径3cm大の不規則なlow density areaを呈す腫瘍を認めた.肝腫瘍はCT検査,超音波検査,また血管造影の所見からは,胃癌ないし膵癌からの肝転移と肝内胆管細胞との鑑別が困難であったが,単発(孤立性)で初回手術より9年経過しているという点から肝内胆管細胞癌を第一に考え,肝のS8部分切除術を施行した.切除標本の病理組織学的検索にても末梢型肝内胆管細胞癌の所見であった.胃癌,膵癌,肝内胆管細胞癌という組み合わせの異時性三重複癌は文献上非常に稀であり,今回報告する.
  • 伊藤 史人, 須崎 真, 谷口 健太郎, 水野 修吾, 武藤 利茂, 梅田 一清
    1999 年 60 巻 1 号 p. 178-182
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,男性.既往歴として42歳時胆嚢摘出術.右上腹部不快感と発熱を主訴に来院. T. Bilや肝胆道系酵素の上昇を認め,精査目的に入院した.腹部USやCTでは総胆管の拡張を認めたが,明らかな結石や腫瘍と考えられる所見は指摘できなかった. ERCPでは,肉眼的にVater乳頭部には異常なかったが,総胆管末端に陰影欠損を認め,臨床経過と既往歴も合わせて総胆管結石と診断し開腹手術を行った.術中胆道内視鏡では総胆管結石は認められず,総胆管末端に乳頭状の隆起性病変を認めた.生検では乳頭腺腫と診断されたが,悪性腫瘍の否定もできないため,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.摘出標本では,下部胆管末端に乳頭状隆起性病変を認めた.組織学的には中等度のdysplasiaを伴う乳頭腺腫と診断された.
    肝外胆管に発生する腺腫の報告は少ないが,癌の合併例や局所切除後の再発例もあり,根治切除が望ましいと考えられた.
  • 小川 朋子, 村林 紘二, 中野 英明, 上原 伸一, 楠田 司, 高橋 幸二, 大西 久司, 野田 直哉, 岡南 裕子, 中村 育夫, 矢 ...
    1999 年 60 巻 1 号 p. 183-187
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胆嚢管原発のgranular cell tumorは非常に稀である.最近,われわれは上行結腸癌に合併し,術中,偶然発見された胆嚢管原発granular cell tumorを経験したので報告する.症例は83歳,女性.貧血の精査目的で当院内科を受診し,上行結腸癌と診断され,手術目的で外科転科となった.術前の検査にて胆道系酵素の軽度上昇,胆嚢の腫大を認めた.上行結腸癌に対し右半結腸切除術を施行したが,術中,胆嚢管に硬結を触知したため,三管合流部の胆管壁を一部含め胆嚢を摘出し,胆嚢管硬結を術中迅速病理検査に提出したところgranular cell tumorと診断された.切離断端陽性のため,さらに胆管切除,胆管空腸吻合術を施行した.術後の病理検査にて良性のgranular cell tumorと診断され,術後11カ月の現在,再発の徴なく健在である.
  • 羽田野 和彦, 伊藤 重彦, 角田 順久, 木戸川 秀生, 田川 努, 吉田 一也
    1999 年 60 巻 1 号 p. 188-192
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    肝外発育を呈した巨大胆管細胞癌の1例を経験した.症例は89歳,女性.腹部腫瘤触知,腹部不快感を主訴に受診した. CEA, CA 19-9はそれぞれ1.275ng/ml, 4.950U/mlと増加していた,腹部超音波検査では,肝右葉より肝外に膨張性に発育する境界明瞭な巨大腫瘍を認めた.腹部CT検査では,腫瘍は骨盤腔内に及び,肝十二指腸間膜は左方に圧排されていたが明らかな浸潤は認められなかった.腹部血管造影検査では,腫瘍は肝動脈のa 5, a 6分枝のみから栄養されており,周囲臓器からの派生血管はなかった.手術はs 5, 6肝部分切除により治癒切除を施行し得た.摘出腫瘤は表面平滑,弾性硬で15×10×8cm大,重量1.300gであった.病理組織学的には高分化型管状腺癌と診断された.本邦における肝外発育型の巨大胆管細胞癌は2例しかみられず,自験例は貴重な症例であると考えられた.
  • 塚本 好彦, 佐藤 美晴, 五島 正裕
    1999 年 60 巻 1 号 p. 193-197
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    膵体尾部癌の疑いにて膵尾側切除を施行し,術後の病理組織学的検査にて,膵の膵管癌と島細胞癌の併存癌と診断された症例を経験した.症例は62歳の男性,体重減少で来院した.入院時検査所見では,糖尿病を認めたが腫瘍マーカーは正常であった.腹部超音波検査と腹部CT, magnetic resonance imaging (MRI) にて膵体部に腫瘤を認め, en-doscopic retrograde pancreatography (ERP) にて主膵管は膵体部で途絶がみられたが,腹部血管造影では異常を認めなかった.膵癌の疑いにて膵体尾部切除術を施行した.腫瘍は膵体部にあり, 4.8×2.5×2.5cmで割面は灰白色充実性で周囲への浸潤性の乏しい腫瘍であり,リンパ節転移もなく,治癒切除可能であった.病理組織学的検査では膵管癌と島細胞癌の併存癌 (duct-islet cell carcinoma) と診断された.本症例は,報告例も少なく稀な症例と思われた.
  • 佐野 正明, 小林 徹, 加藤 克己, 林 周作, 宇佐見 詞津夫
    1999 年 60 巻 1 号 p. 198-200
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,女性,交通事故による鈍的外傷のため呼吸困難を来たし当院入院となった.入院時両側多発肋骨骨折によるflail chestと左血胸を認め,気管内挿管による内固定術と左胸腔ドレナージを施行した.胸腔ドレーンからの出血量は著明でなく保存的に経過観察したが,胸部CT検査にて左外傷性横隔膜ヘルニアと脾損傷を認めたため,開腹術により横隔膜縫合術と脾摘を行った.ヘルニア内容は大網と脾臓で,脾臓が胸腔内に嵌頓し出血はごくわずかに認めるのみであった.また,腹腔内には全く出血は認められなかった.自験例は,脾損傷からの出血が血胸のみを呈した症例で,稀なメカニズムであると考えられた.
  • 竹長 真紀, 荻野 充利
    1999 年 60 巻 1 号 p. 201-204
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    極めて稀な大網原発脂肪肉腫の1例を経験したので報告する.症例は, 51歳の男性.腹部膨満感を主訴に来院.精査の結果,腹腔内腫瘍と診断し,手術を施行.開腹時多量の腹水を認めた.腫瘍の主座は,大網に存在したが,腹腔内のいたるところに1~2cm大の小腫瘍を,多数認めた.可及的に腫瘍を摘出し手術を終えた.病理診断は, well-differenciated liposarcoma partly with myxoid changeであった.予後は不良で,術後4カ月で再発し,化学療法も効果なく,死亡した.
  • 阿嘉 裕之, 青木 啓光, 金城 僚, 草野 敏臣, 武藤 良弘
    1999 年 60 巻 1 号 p. 205-209
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    患者は21歳の女性で右腎原発Wilms腫瘍多発肝転移(9歳時発症)の診断にて,昭和62年(10歳)右腎摘出,肝左葉外側区域切除術施行された.以後平成6年(18歳)までに化学療法と共に肝後下区域切除,傍大動脈リンパ節郭清,左肺上舌区転移巣楔状切除,自家骨髄移植,肝前下区域転移巣に対し肝腫瘍核出術・肝前上区域転移巣マイクロ波凝固術を受けた.平成8年3月CTにて右肺上-下葉区に嚢胞性腫瘤影を指摘され,その後経過観察していた.平成9年6月のCTで肝後上区域にも低吸収域が出現したため,胸腔鏡下肺腫瘤切除術,経横隔膜肝腫瘤マイクロ波凝固術を施行した.学童期発症症例に種々の集学的治療により, 10年の経過と現在も良好なQuality of Lifeを維持できている.
  • 小林 淳一, 小林 正直, 岩垣 博巳
    1999 年 60 巻 1 号 p. 210-215
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    著者らは, immature ovarian teratoma未熟度[G 1]由来のteratomatosis peritoneiの1症例を, 5年の間に6回の腫瘍摘出手術を行い,最終術後12年を経て再発無く,完治と認めたので報告する.
    繰り返した再発播種は,毎常純粋に3胚葉より成るteratomaで,手術を重ねるうち第4回目以降はmaturation (成熟) [G 0]が認められた.
    本症は腹膜播種の中で,似て非なるgliomatosis peritoneiとは形態学的にも生物学的にも性格が大きく異なる.著者らは,本症のようなteratomatosis peritoneiは,腹膜播種の中で独立したクライテリアを与えるべきと主張し,重要な基礎的1症例として提示し,度重なる積極的腫瘍摘出術と,補助的集学治療の必要性を説いた.
  • 豊田 和広, 小川 喜輝, 有田 道典, 弓場 通正
    1999 年 60 巻 1 号 p. 216-219
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    イレウスの原因として内ヘルニアは多くはないが,このなかでも非常に稀な子宮広間膜異常裂孔に生じた内ヘルニアを経験した.症例は54歳,女性で腹痛,嘔吐を主訴に入院した.イレウス管を挿入し保存的加療を開始したところ,排ガス・排便を認めたが,症状の改善は不十分であった.イレウスの原因は明らかではないが,イレウス管造影にて回腸に狭窄部位を認めたため,入院11日目に手術を施行した.開腹所見では回腸末端から約25cm口側の回腸が左子宮広間膜の異常裂孔に嵌頓していた.嵌頓を解除後異常裂孔を縫合閉鎖した.子宮広間膜異常裂孔ヘルニアの術前診断は困難ではあるが,開腹既往のない経産婦の原因不明のイレウスに遭遇したときは,本疾患も念頭におくべきである.
  • 小橋 俊彦, 丸林 誠二, 春田 直樹, 杉野 圭三, 八幡 浩, 浅原 利正, 土肥 雪彦
    1999 年 60 巻 1 号 p. 220-222
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は22歳の女性.神経性食欲不振症で精神科入院中の平成8年7月1日,突然左下肢の疼痛,冷感を生じ当科に紹介となった.緊急血管造影を施行し,左総腸骨動脈の完全閉塞を認めたため,ウロキナーゼの動注を行い,続けて塞栓除去術を施行した.塞栓は病理検索で真菌塞栓と診断した.抗真菌剤,抗生剤の投与と抗凝固療法を施行し,下肢の血流は改善できたが, 7月27日夕方から急激な意識レベルの低下を認め頭部CT検査で大脳左半球に約5cm大の脳膿瘍を認め,その後全身状態が急激に悪化し死亡した.病理解剖では僧帽弁に中等度の真菌性心内膜炎を認め,塞栓の原因病変と考えた.真菌性塞栓症により全身に真菌感染が生じると予後が不良となるため,全身検索を注意深く行う必要があると考えられた.
  • 竹村 雅至, 大杉 治司, 徳原 太豪, 木下 博明, 東野 正幸
    1999 年 60 巻 1 号 p. 223-227
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    われわれは,同時性食道未分化癌・早期胃癌に対し食道癌切除術後に内視鏡下胃粘膜切除術を行った1例を経験した.
    症例は66歳,男性. Ei.3型の食道癌に対し3領域リンパ節郭清を含む食道切除を施行し,後縦隔・亜全胃管再建を行った.病理組織学的検査では,未分化癌, a2, n2(+), ly0, v0, stage IIIであった.術後は補助療法を行わず外来通院となった.術7カ月後の内視鏡検査で,幽門前庭部の後壁よりにO-IIa型の胃癌を認めた.この病変に対して,内視鏡下粘膜切除術を行ったところ,胃癌はm, ly0, v0で根治できたと考えられた.現在初回手術後32カ月経過しているが,再発の徴候なく,健在である.食道未分化癌は食道腫瘍のうちでは稀で,長期生存は望めないとされる.しかし,このような症例でも術後の厳重な経過観察,重複癌の早期発見と治療により予後の向上が期待できる.
  • 前田 一也, 川浦 幸光, 清水 淳三, 龍沢 泰彦, 矢崎 潮
    1999 年 60 巻 1 号 p. 228-231
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    患者は80歳の男性で, 1994年,直腸癌の診断で直腸切断術を受けた.組織学的には高分化型腺癌でa 1, ly1, n0, ow(-), aw(-), のstage IIであった. 1998年1月,左乳房のしこりを自覚するようになり受診した.超音波検査とincisional biopsyにて乳癌と診断し胸筋温存乳房切除術を施行した.組織学的には硬癌でt3, n1 α. m0, のstageIIIであった.術後,再発・転移の兆候なく健在である.男子乳癌は全乳癌の1%程度の頻度で比較的稀である.女子乳癌と比較して一般に予後不良とされてきたが.近年では差はないと報告されている.大腸癌と男子乳癌との合併は本邦で6例目,直腸癌との合併は2例目と極めて稀であったので報告した.
  • 伊藤 元博, 大西 明生, 吉友 睦彦, 山本 眞史
    1999 年 60 巻 1 号 p. 232-237
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,男性で,心窩部痛を訴え来院した,胃内視鏡検査および上部消化管造影にて胃癌と診断した.術前の腹部超音波検査,腹部CT検査にて左腎上極に腫瘤を認め, MRIおよび腎動脈造影施行し腎細胞癌と診断した.両癌とも根治手術可能と判断し,一期的に3群リンパ節郭清を伴う胃全摘術,胆嚢摘除術,膵体尾脾合併切除術,根治的腎摘除術を施行した.組織学的には胃癌はpor, INFγ. ss, ly3, v0 ow(-), aw(-), n2Ξ(+), stage IIIaで,腎癌はalveolar type, common type, clear cell subtype, G2, INFα. pT2, pN0. pM0, pV0, stage IIであった.なお, DNAヒストグラムは胃癌はaneuploidy, 腎癌はdiploidyであった,術後経過は良好で,現在外来にて経過観察中である.
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