日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
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62 巻 , 3 号
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  • 前 昌宏, 大貫 恭正, 櫻庭 幹, 池田 豊秀, 小山 邦広, 神崎 正人, 新田 澄郎
    2001 年 62 巻 3 号 p. 611-614
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    冠状動脈バイパス術(CABG)の既往を持つ原発肺癌手術例8例の特徴と周術期管理および問題点につき検討した.男性7例,女性1例で平均67歳,肺手術はCABG後平均54カ月であった.肺癌発見は,胸部異常影6, 緊急CABG時1,気胸発症1.7例で冠状動脈造影を行い, 1例でグラフト閉塞を認めた. 1例で冠状動脈形成術(PTCA)を先行し,心不全合併1例でIABP使用下に肺手術を行った. 1例術後合併症で失ったが他の7例は術中術後に重篤な循環器系合併症は認めなかった.以上より,術前に心筋虚血の有無,グラフト開存,冠状動脈病変の進行度,心機能を評価し抗凝固療法に注意した上で, PTCAの追加, IABPの補助により通常の縦隔リンパ節郭清を含めた肺癌標準手術が可能と考えられた.
  • 仙丸 直人, 森田 高行, 藤田 美芳, 宮坂 祐司, 加藤 紘之
    2001 年 62 巻 3 号 p. 615-620
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胃全摘後の空腸pouch Roux-Y再建群17例(PRY群)とRoux-Y再建群18例(RY群)につき1. 術中,術後経過, 2.術後愁訴と1回食事量,体重の変化を比較検討した. 1.手術時間はPRY群350分, RY 群276分でPRY群が有意に延長していた.しかし, 16番リンパ節郭清例を除くとPRY群316分, RY群272分で有意差はなかった. 2.術後愁訴と1回食事量:早期ダンピング症状は PRY 群にはなく,胸焼け症状も少ない傾向にあった.つかえ感は PRY 群で有意に少なかった.1回食事摂取量が術前の70%以上の症例はPRY群で77%でありRY群(54%)より多い傾向にあった.術後1年目の体重は術前値に比べPRY群では94%でありRY群(88%)に比べ有意に回復が良好であった.空腸pouch Roux-Y再建法は術後の愁訴が少なく,体重の回復も良好で,問題となる合併症もないことから胃全摘後の再建術式として有用と考えられた.
  • 稲吉 厚, 坂本 快郎, 西田 英史, 村本 一浩, 中村 匡彦, 沖野 哲也, 有田 哲正, 八木 泰志
    2001 年 62 巻 3 号 p. 621-628
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    臨床的に何らかの症状を有するか,嚢胞径が5cm以上ある単純性肝嚢胞のうち,エコーガイド下に,無水エタノール注入(A群),塩酸ミノサイクリンと炭酸ガス注入(B群),酢酸注入(C群)を1回のみ施行し治療した後, 1年以上経過観察が可能であった19症例について,その有効性をretrospectiveに検討した. A群8例では6例が90%以上,1例が80.5%の縮小率であったが,残り1例は32.3%と十分な縮小が得られなかった. B群8例では,全例が90%以上の縮小を認め, C群3例では, 2例が90%以上, 1例が85.1%の縮小率であった.今回検討した注入療法では, A群の1例以外は全例で80%以上の縮小率が得られたことから本法によれば,低侵襲で短期間入院での肝嚢胞の治療が可能であると考えられた.また,嚢胞は硬化剤注入後,経過とともに徐々に縮小していくため, 1年以上の経過観察の後,治療効果を判定すべきであり早期の再注入は避けるべきであると考えられた.
  • 篠塚 望, 小山 勇, 安西 春幸, 松本 隆, 渡辺 拓自, 小沢 修太郎, 上笹 直, 俵 英之, 阿達 竜介, 浅野 博, 鈴木 智晴 ...
    2001 年 62 巻 3 号 p. 629-633
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    消化器癌術前貯血例において,保存自己血中のエンドトキシン (ET) と炎症性サイトカインとの関連性,および閉塞性黄疸とこれらの値との関係を検討した.対象は閉塞性黄疸合併担癌29例,非合併担癌39例の計68例で,貯血された自己血中ETおよびtumor necrosis factor α (TNF-α), interleukin-6 (IL-6) を測定し,相互間の関連や自己血保存期間との関係を検討した.黄疸群の自己血中ETは,非黄疸群に比し有意に高値を示し,保存期間の延長とともに上昇する傾向を示した.さらに,自己血中 TNF-α はETの上昇とともに高値を示し,両者の間には0.87と高い正の相関を認めた.閉塞性黄疸合併担癌患者では,末梢血あるいは自己血中ETが高値を示す例があり,その結果として炎症性サイトカインが上昇する可能性があると思われた.今後さらに両者の関連性に関し検討が必要と思われた.
  • 伊藤 祥隆, 斉藤 裕
    2001 年 62 巻 3 号 p. 634-637
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は72歳男性で,平成11年11月30日突然の腹痛と左下肢全体の腫脹を主訴として来院した.右臍下部に明瞭な振戦を伴う手拳大の拍動性腫瘤を触知した. CT, DSA, 造影3次元 MR angiography を施行し,右総腸骨動脈瘤下大静脈瘻と診断した. 12月7日瘻孔閉鎖術および右総腸骨動脈人工血管置換術を施行した.造影3次元 MR angiography は従来の血管造影法と比較して極めて低侵襲であり,一度の撮影で多方向からの観察や3次元的観察が可能である点,検査に要する時間が数十秒と短い点などから,待機手術が十分可能な程度の全身状態で本症例が疑われる患者には,有効な検査法と考えられた.
  • 秦 温信, 松岡 伸一, 中島 信久, 蒔田 圭子, 横田 良一, 生水 尊之, 佐野 文男
    2001 年 62 巻 3 号 p. 638-642
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,多発性内分泌腺腫症I型としての上皮小体腺腫および膵ガストリノーマの既往を有する男性. 19年前にクッシング症候群を伴う胸腺カルチノイドの摘出術を受けている.腫瘍は前縦隔左半を占拠しており,完全に摘除しえた.組織学的には19年前の腫瘍と同一の所見を呈し,胸腺カルチノイドの再発と考えられた.このように遠隔期に再発する胸腺カルチノイドもあることを念頭におくべきであると考えられた.
  • 吉田 達也, 長浜 雄志, 丸山 道生
    2001 年 62 巻 3 号 p. 643-648
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    肺塞栓症(PE)は,腹腔鏡下手術導入当初から問題となり,対策についても論じられてきた.今回,術中両下肢に波動式末梢循環促進装置を装着したにもかかわらず術後PEを経験したため,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は, 69歳の男性. 2000年2月に早期大腸癌に対して内視鏡的粘膜切除術を行い,断端陽性のため,手術目的に7月3日に入院となった. 7月17日に気腹法で腹腔鏡補助下回盲部切除術を行った(気腹圧8mmHg, 気腹時間110分).術翌日の初回歩行時に急激な悪寒戦慄を訴え,低酸素血症を認めたため,肺塞栓症を強く疑い,ヘパリンナトリウムの投与を開始した.発症3日目の肺血流シンチグラフィーにて,肺塞栓症の確定診断となった.両下肢静脈造影上,深部静脈血栓症は認めなかった. 8日目からワルファリンカリウムを内服させ, 28日目の肺血流シンチグラフィーでPEの改善を確認し,退院となった.
  • 藤原 理朗, 森 誠治, 溝口 和博, 前場 隆志, 前田 肇
    2001 年 62 巻 3 号 p. 649-653
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胃軸捻転を伴った成人Bochdalek孔ヘルニアは,検索しえた限り本邦では自験例を含め7例と非常に稀な病態である.
    症例は72歳,女性で,平成8年7月に左上腹部痛と嘔吐が出現して当院へ入院した.胸部X線撮影で左胸腔内に胃泡像があり,上部消化管造影で混合型胃軸捻転を伴う横隔膜ヘルニアを認め,胸腹部MRI所見からBochdalek孔ヘルニアと診断した.手術は開腹アプローチで行った.左横隔膜の外側後方に横隔膜欠損を認め,同部より軸捻転を伴った胃体部と横行結腸の一部が左胸腔内に脱出していた.ヘルニア孔は大きく(7cm×5cm),その背側は非常に脆弱であったためダクロンメッシュを用いてヘルニア孔を閉鎖した.術後経過は順調で3年3カ月の現在までヘルニアの再発は認めていない.
  • 清水 克彦, 山下 芳典, 香川 佳寛, 平井 敏弘, 峠 哲哉
    2001 年 62 巻 3 号 p. 654-658
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    成人の先天性食道気管支瘻の稀な1例を経験した.症例は44歳,女性.幼少時より飲水時の咳漱を, 14歳時より左肺下葉の肺炎・肺化膿症を4回繰り返していた.検診の食道胃透視にてバリウムの気管支への漏出を指摘され,精査の結果下部食道に正常粘膜に覆われた径2mm大の瘻孔を認め左B10に交通していた.瘻孔径が2mmと小さいこともあり内視鏡的に瘻孔縫縮術を施行したが完治せず,根治手術を施行した.組織学的に瘻管は食道粘膜上皮から気管支粘膜上皮への移行像が認められ,先天性食道気管支瘻と診断した.
  • 竹村 雅至, 大杉 治司, 高田 信康, 奥田 栄樹, 上野 正勝, 木下 博明
    2001 年 62 巻 3 号 p. 659-664
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    食道のいわゆる癌肉腫の3切除例を報告するとともに,本邦報告例を集計し,その予後に影響を与える因子について検討した.症例1は53歳男性でLtに,症例2は79歳男性でMtに,また症例3は59歳男性でLtにそれぞれ6.5cm, 3cm, 8.1cmのIp型病変を認めた.食道癌根治術を行ったところ,進行度はそれぞれpT1b, pN1, pStage II, pT1b, pN2, pStage IIおよびpT2, pN0, pStage IIであった.全例の腫瘍はKeratin染色陽性の紡錘形細胞よりなり,いわゆる癌肉腫と診断した.症例1は術55日後脳内出血にて,症例2は術1年5カ月後に脳転移で死亡したが,症例3は術6カ月後の現在健在である.本邦では1985年以降62例のいわゆる食道癌肉腫の切除例が報告されている.腫瘍長径と深達度に相関はなく,長径5cm未満や深達度の浅い症例でもリンパ節転移陽性例が多かった.また,腫瘍長径が5cm以上の症例や脈管侵襲陽性例は再発死亡例が多かった.
  • 石井 芳正, 高橋 正泰, 中山 浩一, 飯田 道夫, 古河 浩, 斉藤 勝
    2001 年 62 巻 3 号 p. 665-669
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胃カルチノイドの4例を経験した.症例1は61歳の男性で体上部に3病変を認めた多発例で,術前生検でカルチノイドと診断され胃全摘除術施行,症例2は68歳の女性で噴門直下に2型のカルチノイドと体上部の早期癌2病変と重複し,術前生検ではporでカルチノイドの診断はついていなかった.手術は脾摘除術を伴った胃全摘除術を施行した.症例3は55歳女性で体上部に粘膜下腫瘍様の所見を呈し術前生検でカルチノイドと診断され胃全摘除術施行した.症例4は66歳の男性で30年前に胃ポリープにて幽門側胃切除された残胃にみられた例で,術前生検でtub 2とカルチノイドの術前診断はつかず,肝および横行結腸に直接浸潤しリンパ節転移も高度で浸潤部を切除し残胃全摘および膵尾部・脾合併切除した. 4例ともカルチノイド症候群はみられず術前診断がついていたのは2例のみで,術式は4例とも胃全摘除術を施行した.全例A型胃炎の所見はみられないが,病態はそれぞれ多彩であり発生の多様性が伺われた.
  • 橋本 瑞生, 秋田 幸彦, 北川 喜己, 伊藤 直人, 佐々木 英二, 芥川 篤史, 佐藤 太一郎
    2001 年 62 巻 3 号 p. 670-673
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胃癌の破裂を生じ, 2つの胃癌穿孔も併発していた珍しい症例を経験したので報告する.症例は69歳男性.激しい心窩部痛で来院.消化管穿孔,汎発性腹膜炎の診断で緊急手術施行.胃角部前壁が胃短軸方向に大きく裂け胃内食物残渣が多量に腹腔内に溢れていた.胃内腔を確認し胃癌潰瘍底の破裂と診断.癌は胃食道接合部まであり胃全摘術施行.噴門から胃角までの小彎を中心とする150×140mmのBorrmann 3型胃癌で癌潰瘍底に長さ60mmの破裂部,体上部小彎前壁寄りに2×2mm, 胃角後壁に5×2mmの胃癌穿孔部を認めた.術後3カ月で退院,術後9カ月,再発にて死亡した.
  • 工藤 道也, 熊木 俊成, 草間 啓, 坂井 威彦, 青木 孝學, 春日 好雄
    2001 年 62 巻 3 号 p. 674-677
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    54歳の女性で,平成9年9月5日に胃下部から上部に及ぶ全周性の4型の癌に対して膵体尾部脾合併切除を伴う胃全摘術 (D3), 胆嚢摘除術, Roux-en Y吻合を施行した.総合および病理組織学的所見は, LMU, Circ, 4, T4 (膵被膜), N1, H0, P0, CY0, M0, PM (-), DM (-), porl, sci, INFγ, ly2, v1, stage IIIb, 根治度Bであった.補助化学療法としてMTX-5Fu交代療法を施行後,外来でUFT-Eの経口投与を行っていたが,平成10年7月頃より頻尿,尿失禁の症状が出現した.膀胱壁はびまん性に肥厚し,コンプライアンスが低下し,萎縮性膀胱炎の様相を呈していたが,膀胱鏡下の生検で胃癌からの膀胱転移と診断された.胃癌からの膀胱転移は比較的稀で,播種によるものが多いとされる.手術後血尿や頻尿,尿失禁などの膀胱症状を認めるときは,膀胱への転移も念頭に置き,経過観察を行う必要がある.
  • 稲木 紀幸, 吉羽 秀麿, 芝原 一繁, 船木 芳則
    2001 年 62 巻 3 号 p. 678-683
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胃原発絨毛癌の1例を経験したので報告する.症例は56歳,男性.食欲低下,発熱,下血を主訴に入院した.胃内視鏡検査,胃透視にて,胃体上部後壁に潰瘍と空洞を伴う巨大な腫瘍を認めた.腹部CT検査にて,肝両葉に多発転移巣および腫瘍の膵尾部への直接浸潤を認めた.胃肉腫および敗血症と診断し,貧血,低蛋白血症,敗血症を改善するため手術を施行した.新生児頭大の腫瘍が胃体上部後壁小彎側から壁外性に存在し,膵尾部に直接浸潤していた. T4N3P0H3M0 Stage IVb (規約第12版)で,噴門側胃切除,脾摘,膵体尾部切除術を施行した.切除標本の病理組織検査にて絨毛癌と診断した.腺癌との混在は認めなかった. MTX, ACTD, CPAによる化学療法を施行したが無効であり,肝,肺,リンパ節転移が増悪し, DICを併発し術後76日目に死亡した.本疾患は極めて予後不良のため,出血性に富む胃巨大腫瘍の場合,本疾患も念頭に置いて治療に当たるべきだと思われた.
  • 米田 浩二, 平松 昌子, 左古 昌蔵, 谷川 允彦, 芝山 雄老
    2001 年 62 巻 3 号 p. 684-688
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    十二指腸・小腸平滑筋肉腫切除約8年経過後に肝転移が発見され,肝切除術が施行された2症例を経験した.そこで,本2症例の肝転移巣の発育を阻害した要因について検討した.また,悪性度の評価に有用とされる原発巣腫瘍径, mitotic index(MI)と原発巣切除から肝転移発見までの期間との関係について文献的に検討した.本2症例の肝転移巣には高度のTリンパ球浸潤(多くはCD8+ T細胞)および被膜形成が認められた.腫瘍内に浸潤した細胞傷害性T細胞および結合織性被膜形成による腫瘍内血液循環障害は腫瘍細胞壊死を引き起こす可能性があり,肝転移巣の発育速度を考える際にはこれらの腫瘍増殖を抑制する要因も考慮する必要がある.原発巣最大腫瘍径の大きな症例は比較的早期に肝転移が発見されるのに対して,腫瘍径の小さな症例ではその発見までの期間は長い傾向にあった. MIと肝転移発見までの期間との間には有意の相関はなかった.
  • 三瓶 光夫, 岡野 誠, 大谷 聡, 木村 直美
    2001 年 62 巻 3 号 p. 689-692
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は42歳,女性.小腸ポリープを先進部とする腸重積症(5筒性)で開腹,整復25日後イレウスをきたし,小腸造影で管状狭窄が認められた.症状の改善が見られず,初回手術後38日再手術を施行した.その切除標本より狭窄型虚血性小腸炎と診断された.虚血性小腸炎は比較的稀な疾患で,その誘因にはいろいろ挙げられているが,本症例では腸重積症がその原因と考えられた.
  • 田中 典生, 武田 信夫, 小山 俊太郎, 海部 勉, 伊藤 寛晃
    2001 年 62 巻 3 号 p. 693-698
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    うっ血性心不全をともなう虫垂周囲膿瘍に対し, CTガイド下経皮的ドレナージにて保存的に治癒した症例を経験したので報告する.症例は65歳男性で,右下腹部痛のため当院へ来院した.右下腹部に圧痛とBlumberg徴候を認め,血液検査にて白血球, CRPの上昇を認めた.腹部CT,エコーにて,腫大した虫垂と虫垂周囲組織の腫瘤形成を認め,急性虫垂炎と診断された.うっ血性心不全のため,手術を回避し, FMOX 2g/日4日間点滴, ISP 400mg/日5日間点滴, CPDX-PX 200mg/日7日間内服にて保存的に軽快退院した. 5カ月後,右下腹部痛のため再入院となり,前回同様の画像所見のためISP 400mg/日投与した.しかし, 9日後に骨盤内膿瘍が認められたため, CTガイド下経皮的ドレナージ術を施行した. 2週後に排膿がなくなり, 4週後にカテーテルを抜去した.本疾患に対する経皮的ドレナージ術は,安全で有効な治療法であった.
  • 柴原 弘明, 前田 光信, 三田 三郎, 早川 英男, 亀井 桂太郎
    2001 年 62 巻 3 号 p. 699-702
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は52歳男性.既往歴に内臓逆位症を認めた. 2000年1月右下腹部痛を主訴に入院した.腹部造影CT検査・meglumine sodium amidotrizoate(ガストログラフィン®)による注腸検査・注腸後腹部単純CT検査で部分的内臓逆位症に合併した盲腸憩室炎と診断し抗生剤投与・絶食による保存的加療を行った.しかし腹痛・血液検査上炎症所見の改善を認めなかったため手術を施行した.手術所見は盲腸憩室炎による限局性腹膜炎で,腹腔ドレナージ・虫垂切除を施行した.内臓逆位症は稀な先天奇形であり,自験例では大腸憩室炎の存在部位を診断するためにmeglumine sodium amidotrizoateによる注腸検査・注腸後腹部単純CT検査を行い,盲腸憩室炎の診断に有用であった.また盲腸憩室炎では諸検査で憩室炎穿孔や膿瘍形成などの所見がない場合でも保存的治療が無効な場合は,手術による外科的ドレナージが望ましいと思われた.
  • 渡邊 真哉, 小林 陽一郎, 宮田 完志, 竹内 英司, 加藤 真, 米山 文彦
    2001 年 62 巻 3 号 p. 703-707
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    大腸癌による大腸イレウス11例に対して経肛門的にイレウス管を挿入後, 2例(18%)に穿孔をきたしたので報告する.症例1は74歳男性.直腸S状部の癌による大腸イレウスの診断で経肛門的にイレウス管を挿入した.翌日に腹膜刺激症状が出現したため手術を施行した.手術所見では直腸S状部に左尿管に浸潤する癌を認め,その2.5cm口側が穿孔していたため,ハルトマン手術を施行した.症例2は56歳男性.直腸S状部の全周性の3型の直腸癌に対して経肛門的イレウス管を挿入した.翌日より発熱が出現,挿入6日目に腹膜刺激症状が出現したため手術を施行した.手術所見では,直腸S状部に直腸癌を認め,その口側の腫瘍縁が穿孔していたためハルトマン手術を施行した.いずれの症例も,経肛門的イレウス管挿入が大腸穿孔の誘因と考えられた.
  • 横田 武典, 吉川 澄, 藤川 正博, 藤井 眞, 江本 節, 吉岡 泰彦
    2001 年 62 巻 3 号 p. 708-712
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は26歳の男性. 3年前に大腸型Crohn病と診断され内科的治療にて寛解状態であったが, 38度台の熱発および右下腹部痛を主訴に入院した.入院時,腹部CTにて右腸腰筋内にガス像を伴ったlow density areaを認め右腸腰筋膿瘍が疑われた.絶食および抗生剤投与開始したところ一時的に症状改善したが,食事を始める度に熱発および右下腹部痛が出現した.注腸造影検査にて上行結腸と右腸腰筋の間に瘻孔が認められ,保存的加療では治療困難と判断し手術を施行した.盲腸から上行結腸は著明に短縮し,右腸腰筋に膿瘍腔と上行結腸に瘻孔を認め,膿瘍腔の開放・掻爬,右結腸切除術を施行した.現在外来通院中であるが再発の徴候は認めていない.
  • 中瀬 有遠, 北川 昌洋, 海老原 良昌, 安岡 利恵, 増山 守, 加藤 誠, 米山 千尋, 渡辺 信介
    2001 年 62 巻 3 号 p. 713-717
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は37歳,男性.腹痛がしだいに増強するために近医を受診し,汎発性腹膜炎を疑われ当院を紹介された.腹部膨満と右腹部の圧痛,筋性防御を認めた.血液検査,腹部CTなどから上行結腸炎による汎発性腹膜炎と敗血症性ショック,続発性汎血球減少症,播種性血管内凝固症候群(DIC)と診断し,緊急開腹術を施行した.上行結腸は壊死性変化を示しており,右半結腸切除術を施行した.病理検査にて壊死型虚血性大腸炎と診断した.全身状態が改善した後に精査を行い急性骨髄性白血病と診断され,化学療法を施行中である.本症の発症については血管病変以外にもDICによる微小血栓形成が虚血の原因となるとする報告もある.自験例は急性骨髄性白血病の増悪にともないDICとなり,微小循環障害のひとつとして発症した可能性があり,興味のある症例と考えられた.
  • 山本 尚人, 中村 昌樹, 橘 尚吾, 浅野 耕吉, 湯浅 肇
    2001 年 62 巻 3 号 p. 718-721
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は38歳,男性.脳性麻痺,精神発達遅滞のため施設入所中であった.嘔吐および腹痛の訴えがあり腹部単純X線, CT,大腸内視鏡を施行したところ,腹部単純X線・CTで著明に拡張した腸管ガス像を,大腸内視鏡で右側結腸に先細りを伴う腸管の閉塞を認め,盲腸捻転の診断で手術目的に当院転院となった.開腹すると盲腸から上行結腸は後腹膜に固定されておらず,腸間膜を軸として反時計周りに360度捻転していた.腸管は壊死に陥り漿膜の損傷も認められたため,右側結腸切除術を施行した.術後はほとんど痛みを訴えず,精神発達遅滞にともなう事故や合併症もなく経過は良好であった.
  • 打出 啓二, 柏崎 正樹, 間狩 洋一, 田中 伸生, 土居 貞幸, 直井 正紀, 丸山 博英, 藤本 高義
    2001 年 62 巻 3 号 p. 722-725
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    上行結腸癌を合併したvon Recklinghausen病(以下R病)の1例を経験した.症例は51歳男性.前額部裂創にて当科受診時, R病が認められた.精査をした結果, CEAやや高値のため,大腸内視鏡を施行したところ,上行結腸癌(IIc+IIa)が認められ,結腸右半切除術を施行した. R病は,神経線維肉腫,脳神経腫瘍などの神経原生の悪性腫瘍が高頻度に合併することが知られているが,自験例のような上皮性腫瘍の合併例の報告は比較的少ない. R病における消化器癌の発生の因果関係については不明であり,今後症例を重ね,さらなる検討を要すると考える.
  • 繁田 直史, 福田 康彦, 有田 道典, 岡本 有三, 香川 直樹, 田中 恒夫
    2001 年 62 巻 3 号 p. 726-730
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ショック状態に至った大腸穿孔例は予後不良であるが,今回われわれは腎移植患者において1救命例を経験した.患者は52歳女性で, 1993年3月に生体腎移植を受けている. 1999年11月2日に急激な腹痛を生じ,約10時間後に当院を受診,血圧52/13mmHgで,腹部緊満著明であった.胸部単純X線で腹腔内遊離ガス像を認めたため,緊急開腹手術を行った.横行結腸脾彎曲部付近の腸間膜付着部反対側に直径約3cm大の穿孔を認め,同部および肛門側には,腫瘍を認めなかった.病変部横行結腸を局所切除・吻合し,口側横行結腸にストーマを設置した.術後にエンドトキシン吸着を2度行った.
    術後graft lossに陥ることもなく,第131病日に退院した.病理組織学的所見上穿孔以外には明らかな所見はえられなかった.致死率の高い病態を腎移植患者に合併しながら救命し,さらにはグラフト機能を温存しえた症例であった.
  • 降籏 誠, 民上 英俊, 北 順二, 降籏 正, 窪田 敬一
    2001 年 62 巻 3 号 p. 731-734
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は83歳男性.臍周囲部痛を訴え近医を受診し,腸閉塞の診断にて入院となった.保存的加療を受けるも軽快せず,入院から4日後,当院へ転院となった.来院時,腹部は膨隆し筋性防御を認めたが圧痛は軽度であった.入院時検査所見では白血球数 6,200/mm2, CRPは33mg/dlであった.腹部単純X線写真では著明な小腸ガスを認め,腹部CTでは肝と脾の外側に液体貯留を認めた.以上より消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断し同日緊急手術を施行した.術中所見ではS状結腸憩室を鋭利な柿の種子が穿破しており,異物による憩室穿孔に伴う汎発性腹膜炎と診断した.なお,術前問診にて3日前に柿を種子ごと摂取した事が確認された.手術はS状結腸切除および人工肛門を造設した.術後集中治療を行ったが, 1カ月後多臓器不全にて死亡退院した.術前に十分な問診を行うことの重要性が再認識された.
  • 五藤 倫敏, 市田 祐之, 松村 理史, 大坊 昌史, 高田 方凱, 渡邊 英章, 杉山 義樹
    2001 年 62 巻 3 号 p. 735-738
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    60歳男性.発熱,気尿,糞尿を主訴とし,左下腹部に手拳大の腫瘤を触知した.注腸検査ではS状結腸で閉塞し,膀胱へ続く瘻孔は造影されなかった.大腸内視鏡検査では同部に隆起性の腫瘤を認め,組織生検で中分化型腺癌と診断された.膀胱鏡検査では,膀胱の左後壁側に瘻孔の開口部を認めた. S状結腸で閉塞しているにもかかわらず,イレウス症状を呈さずに経過した. S状結腸癌によるS状結腸膀胱瘻の診断で手術を施行した. S状結腸と膀胱が一塊となっており, S状結腸切除,膀胱全摘,両側尿管皮膚瘻造設術を施行した.病理組織では, S状結腸癌が壁外性に大きく発育し,膀胱に直接浸潤,瘻孔を形成していた.
    S状結腸癌で膀胱に浸潤する症例はしばしば経験されるが, S状結腸膀胱瘻を形成することは比較的少ない.自験例は壁外性に大きく発育したために瘻孔を形成した稀な症例と考えられた.
  • 臼井 達哉, 小林 陽一郎, 宮田 完志, 竹内 英司, 加藤 万事, 服部 龍夫
    2001 年 62 巻 3 号 p. 739-743
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は45歳男性,既往歴に左尿管癌があり,さらに母親が大腸癌の家族歴がある.貧血の検査でRbに1型の直腸癌とRsに全周性2型直腸癌を指摘された. Rsの病変により口側が閉塞されているため全大腸の検索はできなかった.開腹するとさらにS状結腸に1個,横行結腸に2個の大腸癌を認めたため,肛門から横行結腸までを切除し上行結腸による人口肛門を造設した.病理組織学的にすべてが進行癌の5多発癌で,以上の所見からHNPCCのうちのLynch II型症候群と診断した.
  • 中尾 武, 稲次 直樹, 吉川 周作, 高村 寿雄, 増田 勉, 中島 祥介
    2001 年 62 巻 3 号 p. 744-747
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    われわれは子宮内避妊リング (intrauterine device: IUD)による骨盤腹膜炎に起因する直腸S状結腸狭窄を呈した症例を経験した.患者は46歳,女性.主訴は下腹部痛,排便困難.血液検査所見で著明な炎症反応を認めた.注腸X線検査,内視鏡検査で直腸S状結腸に狭窄所見を認めた.下腹部CTでは子宮筋腫,右卵巣嚢腫が疑われ, S状結腸の腸管壁肥厚が疑われた.大腸癌あるいは炎症による直腸S状結腸狭窄,腸閉塞と診断し,手術を施行した.開腹所見では回腸末端,右卵巣が子宮後方に癒着しており,直腸S状結腸は漿膜面の炎症性変化があり,腸管は非常に硬くなっていた.付属器炎などからの骨盤腹膜炎による直腸S状結腸狭窄と診断し直腸切除術を行った.術後5カ月で腹腔内膿瘍が再燃し,保存的治療で軽快しないため開腹ドレナージ術を行った.術後IUDを抜去された後,現在まで良好に経過している.
  • 福島 忠男, 亀田 久仁郎, 長田 俊一, 高橋 徹也, 高橋 利通
    2001 年 62 巻 3 号 p. 748-751
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は59歳の男性. 3年前にS状結腸癌でS状結腸切除+D3郭清を受けた.平成11年3月24日より肛門痛が出現.下部消化管内視鏡でS状結腸切除の吻合部から肛門管にかけ粘膜は発赤し,白苔を有する潰瘍が多発していた.しかし吻合部より口側の粘膜には異常を認めなかった.骨盤部のCTでは直腸壁の肥厚と周囲のdirty fat signが認められた.内視鏡下の生検の組織学的検査で,好中球の浸潤と出血,浮腫が認められた.虚血性直腸炎と診断し中心静脈栄養管理したが軽快せず,横行結腸人工肛門を造設した.症状は術直後より軽快し,内視鏡所見でも正常所見になったため,人工肛門造設後6カ月で人工肛門閉鎖を行った.術後8カ月が経過しているが再発の兆候はない.
  • 斎藤 典才, 原 和人
    2001 年 62 巻 3 号 p. 752-756
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は56歳女性で,腫瘍径9mmの直腸カルチノイドに対し,局所切除術を行い脈管侵襲陽性であったため根治手術を施行した.肝転移は認めなかったがリンパ節転移を認めた(n1).その後約半年という短期間に多発性の肝転移をきたしたため,肝動注療法を施行した.腫瘍径10mm以下の直腸カルチノイド症例ではリンパ節転移,肝転移をきたす頻度は少ないが,稀ながら臨床上悪性度の高いものがあると報告されている.本例の如く10mm以下の微少カルチノイドで根治手術時に肝転移を認めずリンパ節転移が陽性で,経過中に肝転移をきたしたとする報告は,検索した範囲では認められなかった.直腸の微少カルチノイドでは,内視鏡的切除か局所切除をまず行い,脈管侵襲が認められれば根治手術が必要と思われた.また肝転移に対する肝動注療法は一定の効果があると思われた.
  • 岡田 章一, 津山 博, 粟田 浩史, 恩地 英年, 井上 哲也, 木下 一夫, 藤田 隆, 澤 敏治, 吉光 外宏, 今村 好章
    2001 年 62 巻 3 号 p. 757-760
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,男性,熱発を主訴に受診.超音波検査にて肝S8に腫瘤を指摘,腹部単純CT検査では直径2.3cmのlow density massであり,内部に石灰化を伴っていた.造影CTでは腫瘤内部に造影効果は認めなかった.血液検査にてCEAが高値を示し,注腸検査,大腸内視鏡検査を施行したところ,下行結腸脾彎曲部に長径3cmの2型腫瘍を認めた.
    画像診断上,肝腫瘍は大腸癌肝転移と考えられ,左半結腸切除,肝S8部分切除を施行した.開腹時にS5にも小結節を認めたため同部の核出術も行った.
    組織学的に肝腫瘍は石灰化を伴った広汎に硝子化した線維組織で占められていたが,散在性に血管腔を認め硬化性血管腫と診断した.
    肝硬化性血管腫はまれな疾患であるが,下行結腸癌に合併したため転移性肝癌との鑑別が困難であった1例を報告した.
  • 坂田 直昭, 鈴木 正徳, 海野 倫明, 及川 昌也, 松野 正紀, 遠藤 希之
    2001 年 62 巻 3 号 p. 761-766
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    インターフェロン(IFN)療法でHCVが陰性化したにもかかわらず,約6年間の経過を経て発症した肝細胞癌の1切除例を報告する.症例は59歳・男性.HCVの感染経路は不明.平成6年,近医にてC型慢性肝炎を指摘された.同年, IFN療法を施行され,血中HCV-RNAは持続陰性化し, IFN療法著効例と考えられた.しかし, IFN療法終了後約6年の経過を経てAFPとPIVKA-IIの上昇がみられたため,腹部CTを施行したところ, S8領域に径3cmの腫瘤を認めた.画像上,肝細胞癌と診断され肝切除術が施行され,切除標本の癌部および非癌部における肝組織内HCV-RNA量を定量することが可能であった. IFN療法が著効した症例でも,経過観察中に肝細胞癌の発症をみることがあり,ウイルス駆除のみに目を奪われることのない綿密な画像診断による経過観察が必要である.
  • 皆川 輝彦, 渡辺 正志, 鈴木 康司, 大城 充, 小林 一雄
    2001 年 62 巻 3 号 p. 767-771
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    外傷による胆嚢損傷は比較的稀であるとされており,腹部鈍的外傷のうち胆嚢損傷の占める割合は2%前後と報告されている.本邦では検索しえた範囲で45例の報告がみられた.今回われわれは,胆嚢損傷の1例を経験したので報告する.症例は82歳,男性.自宅にて転倒し右季肋部を強打,その後5日経過して他院受診し肝挫傷,右血胸が疑われ当院を紹介された. CTにて,肝周囲に液体の貯留を認め,腹腔穿刺で胆汁が引けたため,胆汁性腹膜炎の診断にて緊急手術を施行した.開腹すると,肝下面を覆うように大網が癒着しており,それを剥離すると胆汁流出が見られた.胆嚢を挙上すると胆嚢後面より胆汁の流出が見られた.胆嚢破裂と診断し,胆嚢摘出術を施行した.摘出した胆嚢の体部に3.5mmの穿孔を認め,その付近には肝組織が付着し肝床部よりの胆嚢剥離が考えられた.本症例は外傷後5日間経過したのち当院来院し,診断治療を行ったが,合併損傷もなく,術後経過良好であった.
  • 林 秀知, 清水 良一, 和田守 憲二, 吉本 裕紀
    2001 年 62 巻 3 号 p. 772-776
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    膵・胆管合流異常に,稀な肝外胆管形態異常を伴った1例を経験した.症例は53歳,男性.閉塞性黄疸の精査目的にて入院.腹部CT検査にて総胆管嚢腫を認め,内視鏡的逆行性膵胆管造影にて,新古味分類IIIc 2型の膵・胆管合流異常を確認した.膵側総胆管の狭窄が強く,経皮経肝胆管ドレナージで減黄し,高アミラーゼ胆汁を採取するも細胞診では陰性であった.膵・胆管合流異常を伴う総胆管嚢腫の診断にて手術を施行した.術中所見では総胆管嚢腫のほかに,胆嚢管合流部より肝側に約3cm長の重複総肝管の存在を認めた.病理組織学的には胆道系に悪性所見は認められなかった.先天性胆道拡張症に膵・胆管合流異常が高率に合併することは広く知られているが,本症例はさらに重複総肝管を合併しており発生学的に示唆に富む貴重な症例であった.
  • 芹沢 隆宏, 吉田 正史, 村上 恭紀, 飯塚 恒, 位田 歳晴
    2001 年 62 巻 3 号 p. 777-780
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,女性.全身の皮膚掻痒を主訴に入院した.諸検査の結果,中部胆管に約40mmの隆起性病変を認めた.胆肝転移や周囲のリンパ節転移を認めなかった.中部胆管癌診断のもと膵頭十二指腸切除術を施行した.術後の病理診断から, HE染色では,癌様の腺管の構造部位と肉腫様の紡錘系細胞がそれを取り巻いている像がみられ,癌肉腫という診断となった.しかし,術後118日に全身状態が急激に悪化して死亡された.
    総胆管癌原発の癌肉腫の本邦報告例が,検索可能例で過去4例しかなくきわめて稀な疾患であった.
  • 飯田 俊雄, 谷川 健次, 中川 俊一, 東口 高志, 今井 俊積, 村田 哲也
    2001 年 62 巻 3 号 p. 781-785
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,男性.右季肋部痛にて来院,黄疸もみられ入院.総ビリルビン11.8mg/dlと上昇し, CA19-9が73U/mlであった. CT上胆嚢の腫大と総胆管内の造影効果のみられる腫瘍性病変を認めた.閉塞性黄疸の診断でPTCDを施行.胆道造影で中部胆管から下部胆管にかけ完全閉塞を認め,中部胆管にポリープ状の病変を認めた.中部胆管癌を疑い,膵頭十二指腸切除を施行.摘出標本では総胆管は中部胆管を中心に腫瘍で完全閉塞し,その肝側は腫瘍からの乳頭状隆起を認めた.組織所見では多形成性を示す未分化癌が認められる一方,肉腫様の紡錘形細胞も認められた.免疫組織染色ではKeratin は上皮性,非上皮性部分共に陽性であり, Vimentinも非上皮性部分で陽性であり,“いわゆる”癌肉腫(so-calledcarcinosarcoma)であった.組織学的にはBmi, circ,乳頭浸潤型, 4.0×1.5×1.0cm, ss, hinf0, ginf0, panc1, du1, pv0, a0, hm1, dm0, em0, n0, 総合的進行度stage IIで,総合的根治度cur Bであった.
  • 黒田 武志, 矢田 清吾, 橋本 拓也, 宮内 隆行, 倉立 真志
    2001 年 62 巻 3 号 p. 786-789
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    慢性膵炎に対するFrey手術は,手術侵襲が少なく疼痛軽減効果も良好な有用な治療法の1つである.今回, Frey手術後に膵管空腸吻合部からの出血をきたした1例を経験した.患者は72歳,男性. 1999年5月27日,慢性膵炎に対しFrey手術を施行した.術後13日目に一過性の意識低下が認められ,翌日に大量下血,血圧低下を認め,腹部CT, 腹部血管造影,胃十二指腸内視鏡検査を施行したが,出血部位の同定は困難であった.さらに下血,血圧低下が持続したので術後18日目に再開腹術を施行した.吻合部空腸を開放すると膵管空腸吻合部に潰瘍がありここから出血が認められたため縫合止血した.総肝動脈が潰瘍部瘢痕組織内に埋没しており,出血の原因と考えられたため結紮した.再手術後は,経過良好で退院した. Frey手術後に消化管出血をきたした場合,膵管空腸吻合部よりの出血を考える必要があると思われた.
  • 沼尻 浩二, 仙波 真吾, 関口 忠司, 永井 秀雄
    2001 年 62 巻 3 号 p. 790-794
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    今回著者らは,膵仮性嚢胞内の脾動脈瘤が破裂し,このために膵管を経由したVater乳頭からの消化管出血である hemosuccus pancreaticus を呈した1例を経験したので報告する.
    症例は, 43歳,男性. 1年前に胆石症,慢性膵炎にて胆嚢摘出術の既往あり.左季肋部痛,背部痛,嘔吐を主訴に来院した.小球性低色素性貧血,血清アミラーゼ値上昇を認め,腹部超音波検査,腹部CTにて膵体部に仮性嚢胞,上部消化管内視鏡検査にて十二指腸下行脚に新鮮血の貯留を認めた.また,造影CT, 腹部血管造影にて膵仮性嚢胞内に脾動脈瘤を認めた.膵仮性嚢胞内の脾動脈瘤破綻によるhemosuccus pancreaticusと診断し手術を施行した.手術所見では膵仮性嚢胞に横行結腸間膜,胃大彎が強固に癒着し,同部の合併切除を伴う膵体尾部脾切除術を施行した.病理組織所見では,膵仮性嚢胞と主膵管との交通と,膵仮性嚢胞内の脾動脈の破綻を認め,切除標本の膵管造影で,仮性嚢胞との交通を認めた.
  • 浜崎 安純, 稲沢 慶太郎, 中村 隆, 森谷 敏幸
    2001 年 62 巻 3 号 p. 795-799
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    膵頭十二指腸切除術(PD)後の膵腸吻合縫合不全はもっとも重篤な合併症である.今回われわれはPD術後膵液瘻による大量動脈出血をきたした症例を救命しえたので報告する.
    症例は62歳男性,中部胆管癌に対しPD (今永法)を施行し,術後第31病日に大量の吐下血を呈した.膵腸吻合縫合不全で膵液瘻をきたし固有肝動脈-空腸瘻を形成していた.これを止血,残胃空腸吻合,尾側膵空腸吻合にて再建した.術後膵頭側断端からの膵液瘻が遷延したが,体外にドレナージして膵管皮膚瘻とし,蛋白分解酵素阻害剤によるドレーン持続吸引洗浄,ソマトスタチンアナログ投与,高カロリー輸液管理を併用し,これを治癒せしめた.術後残存膵機能は問題なく,尾側膵空腸吻合は本例のごとく他に再建の余地がない場合,試みられるべき方法と考えられた.
  • 坂元 一郎, 家里 裕, 横森 忠紘, 山田 保, 小林 功, 落合 亮, 大和田 進, 森下 靖雄
    2001 年 62 巻 3 号 p. 800-803
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    脾膿瘍は比較的稀な疾患であるが,抗生物質の発達や,抗癌剤化学療法の普及,画像診断技術の進歩に伴い報告例は増加している.今回,イレウス解除術後の孤立性脾膿瘍に対し,エコーガイド下穿刺ドレナージが有効であった症例を経験したので報告する.患者は69歳の男性で,早期胃癌で幽門側胃切除術後3カ月目にイレウスの診断で再入院,イレウス解除術を受けた.術後15日目に発熱し,超音波・CT検査で脾膿瘍と診断された.エコーガイド下に穿刺ドレナージを行い治癒せしめた.脾臓摘出術は,術後の免疫能の低下が明らかとなっており,孤立性脾膿瘍に対しては,エコーガイド下穿刺ドレナージが第一選択であると考える.
  • 石橋 里絵, 石川 哲郎, 荻澤 佳奈, 小川 佳成, 小野田 尚佳, 平川 弘聖
    2001 年 62 巻 3 号 p. 804-808
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    61歳女性. 2年前より高血圧が認められた.近医にて腹部CT上左副腎に1.5cm大の腫瘤を指摘され,尿中カテコラミン上昇とMIBGシンチグラフィーで左副腎に集積が認められたことから,褐色細胞腫の診断で当院紹介となった.左副腎腫瘍に対し腹腔鏡下左副腎摘出術を施行し術後血圧は正常化した.病理組織診において副腎髄質過形成を伴った皮質腺腫と診断された.
    副腎皮質腺腫と髄質過形成の合併例の報告は8例にすぎず,極めてまれな症例と思われた.髄質ホルモン分泌と皮質腺腫形成にはparacrineなどの影響があるものと考えられた.
  • 川本 弘一, 藤田 繁雄, 伊藤 壽記, 清本 徹馬, 井上 善文, 松田 暉
    2001 年 62 巻 3 号 p. 809-812
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    33歳女性.第3子出産後,発熱・下腹部痛が出現し,さらに臍部から膿汁の流出を伴うようになった.腹部CT・MRI検査では8cm大の左卵巣腫瘍と腹直筋,腹膜の肥厚像を認めた.注腸検査,大腸内視鏡検査では大腸由来の瘻孔は否定的で,臍瘻形成の原因は術前に診断できなかった.手術所見では,左卵巣腫瘍は皮様嚢腫で,これに交通する形で,臍部の腹壁直下に毛髪を含む炎症性腫瘤が認められた.また,虫垂間膜に毛髪を含む肉芽組織が付着していたことから,皮様嚢腫の腹腔内穿孔と考えられた.以上の所見から,皮様嚢腫が出産を契機に破裂した後,腹壁直下に限局して腹腔内膿瘍を形成し,周囲組織に炎症が持続波及することによって腹壁へ穿通を来たし,その結果臍瘻が生じたと考えられた.皮様嚢腫の臍瘻形成はわれわれが検索しえた範囲では本邦第1例目であった.
  • 大東 雄一郎, 上山 直人, 籠島 忠, 稲次 直樹, 中野 博重
    2001 年 62 巻 3 号 p. 813-816
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡下S状結腸切除術後に,腹壁壊死性筋膜炎を合併した1例を経験したので報告する.症例は65歳男性.平成9年6月25日,近医でS状結腸癌と診断されて腹腔鏡下S状結腸切除術を受けた.病期分類は, Stage IIIa (MP, N1+, H0, P0, M0) であった.術後8時間から高熱が出現し,翌日には創部に皮下膿瘍を伴ってきた.術後3日目にショック状態となり,意識レベルの低下,急性腎不全をきたしたため,当センターに紹介された.術後6日目に左右の腸骨稜から腋窩にかけての側腹部皮下に炎症が波及し,さらに腹壁創がし開して腸管が脱出したため,緊急手術を施行した.創部を中心に腹壁の皮下組織・筋膜の壊死を広範囲に認めたので壊死性筋膜炎と診断した.壊死組織の細菌培養では, Enterococcus faecalisとMorganella morganiiが検出された.術後,抗生剤の全身投与と皮下洗浄および壊死組織のdebridmentを続け,術後2カ月で治癒した.
  • 奥谷 大介, 枝園 忠彦, 宗 淳一, 宇高 徹総
    2001 年 62 巻 3 号 p. 817-820
    発行日: 2001年
    公開日: 2012/08/03
    ジャーナル フリー
    症例は80歳男性.腹痛,嘔吐を主訴に来院した.受診時,腹部全体に圧痛を認めたが,腹膜刺激症状はなかった. 腹部X線. CTにてニボー. 腹水を認め. イレウスの診断で入院となり,イレウス管留置による保存的治療を行うも症状の改善を認めず,発症後4日目に手術を施行した.開腹するとS状結腸間膜右葉に10cmの異常裂孔を開口部とするヘルニア嚢を認めた.そのヘルニア内容物はTreitz靱帯より10cmの部位より160cmの小腸であり,それにつづく紅門側の小脇が捻転し壌死に陥っていた.壊死腸管は70cmであり壊死腸管を含む126cmの小腸切除と裂孔部の閉鎖を行い手術を終了した. 術後22日目に退院となった.
    S状結腸間膜内ヘルニアは本例が本邦において13例目であった.腹部外傷や開腹手術の既往歴がなくイレウスで発症した症例では内ヘルニアによる絞扼牲イレウスを念頭におき,早期診断と治療を考慮すべきである.
  • 中田 岳成, 小山 洋, 熊木 俊成, 青木 孝學, 春日 好雄
    2001 年 62 巻 3 号 p. 821-823
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,男性.食欲不振を主訴に当院入院となった.入院2週間後から腹痛,嘔吐が出現し腹部CTで内ヘルニアによるイレウスが疑われ開腹手術が行われた.開腹するとTreitz靱帯から130cmの位置で空腸が約30cmにわたり,横行結腸間膜に生じた径3cmの異常裂孔から網嚢内に嵌入していた.用手整復後,横行結腸間膜異常裂孔の縫合閉鎖が行われた.術後経過は良好であった.
  • 平能 康充, 遠藤 將光, 辻口 大
    2001 年 62 巻 3 号 p. 824-826
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    遺残坐骨動脈瘤は,胎生期に存在しその後消退する坐骨動脈が遺残し瘤形成をきたした極めて稀な疾患である.今回,遺残坐骨動脈瘤に対して経カテーテル的コイル塞栓術を施行した1例を経験したので報告する.
    症例は79歳,女性.左臀部拍動性腫瘤を主訴に来院.造影CTにて左臀部に最大径約4cmの遠位部に血栓を有する腫瘤を認めた.また,血管造影では左内腸骨動脈の拡張およびそれと連続して緩徐に造影される瘤を認めた.動脈瘤と膝窩動脈との交通はなかったため,不完全型左遺残坐骨動脈瘤の診断にてコイル塞栓術のみを施行した.術後左腎部の拍動性腫瘤は消失し,血管造影検査および造影CT検査でも瘤の血栓閉塞を認めた.
  • 松本 日洋, 川田 研郎, 鴻野 雅司
    2001 年 62 巻 3 号 p. 827-830
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は, 66歳男性.腹部腫瘤,腹痛を主訴に当院を受診した.有痛性の腫瘤を臍部に有し,上腹部正中線上に手拳大の腫瘤を認めた.血液生化学的所見で白血球, CRPは正常で,発熱もなかった.腹部単純X線でイレウスを呈し,腹部CTで臍部に小腸,大網の腹壁からの脱出と,上腹部正中線上に大網の腹壁からの脱出を認めた.以上より腹壁瘢痕ヘルニアおよび成人臍ヘルニアの同時嵌頓と診断し緊急手術を施行した.ヘルニア内容は,臍部は回腸,大網であり,上腹部正中線上部は大網であった.発症後約5時間で比較的早期の手術が施行され,腸管を切除することなく大網の部分切除のみで嵌頓が解除可能であった.術後経過は順調であった.成人嵌頓臍ヘルニアが腹壁瘢痕ヘルニア嵌頓に合併した報告は検索上なかった.閉鎖した臍輪に後天的に脆弱部が出現し,これに腹圧の上昇が作用して発症するという成因を示唆する症例として興味深いと考えられた.
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