日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
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62 巻 , 5 号
選択された号の論文の40件中1~40を表示しています
  • 西村 重彦, 井上 雅文, 小坂 錦司, 森本 真人, 妙中 直之, 榎本 準, 山木 健一郎, 安芸 敏彦, 良河 光一, 河村 哲雄, ...
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1115-1120
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    1985年から1999年までの15年間に行われた80歳以上の高齢者の消化器外科手術102例に対し手術成績を検索し,その問題点について検討した.高齢者102例中,循環器疾患,糖尿病,呼吸器疾患,等の基礎疾患を合併した患者は55例(53.9%)であった.術後合併症は, 36例(35.3%)に認められ,術後譫妄,呼吸器合併症,循環器合併症が多く見られた.次に,高齢者胃癌,大腸癌の特徴を検討する目的で, 60歳台の胃癌208例,大腸癌107例と比較した.術前合併基礎疾患は60歳台の胃癌,大腸癌でも多く見られたが,術後合併症は高齢者で有意に多かった.高齢者には術後高率に合併症が認められたが, 102例中93例(91.2%)は日常生活動作(ADL)の低下なく退院した.高齢者といえども,術式の選択を慎重に行い,術後管理を厳重に行えば,基礎疾患が認められる場合でも,手術による治療成績の向上が期待できると考えられた.
  • 寺本 賢一, 中村 豊, 菱山 豊平, 前山 義博, 松本 譲, 柴野 信夫, 加藤 紘之, 近藤 哲
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1121-1128
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    過去10年間における当院で経験した大腸穿孔症例43例を対象に,術後死亡に関わる要因について検討した.その結果, 70歳以上の高齢者,敗血症ショックとなったもの,穿孔径が1.5cm以上の症例で死亡率が有意に高く,予後を悪化させる要因になっていた.また,穿孔部位,穿孔状況が遊離穿孔か被覆穿孔か, free airの有無,発症より手術までに要した時間については有意な差は認めなかったものの,左側穿孔,遊離穿孔, free air (+),の症例で死亡率は高く,被覆穿孔は24時間経過しても予後は良いのに対し遊離穿孔では6~12時間経過後の手術でも予後が悪かった.手術術式は患者の全身状態,基礎疾患の有無,穿孔状況,腹膜炎の程度など総合的に判断して決められるべきであるが,吻合を伴わない人工肛門造設手術が安全面を考えると望ましい.
  • 長谷川 誠司, 池 秀之, 山口 茂樹, 大滝 修司, 大木 繁男, 嶋田 紘
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1129-1135
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    術後合併症発生のリスクファクターを定量化し,周術期管理の参考にするため, physiological and operative severity score for the enUmeration of mortality and morbidity; POSSUM score1)の有用性について検討した.対象は,過去10年間に経験した80歳以上の大腸癌67例中,手術を施行した63例とした.これらのphysiological score (PS)は22.5±5.4点と高値であり, 56例(88.9%)に併存疾患を認めた.術後合併症の発生頻度は46.0%であり,術後合併症発生例のPSは24.5±1.1点, operative severity score (OSS)は15.3±0.8点であった.これらから算定したmorbidity rateは68.1±3.4% (cut-off値は55%)であり,合併症非発生例よりも有意に高値であった(p<0.01).郭清度別の平均出血量を加味すると, Stage IIIでのOSSの最低点は結腸癌で13点,直腸癌で19点と想定され, morbidity rateが55%以下となるには, PSが結腸癌で22点,直腸癌では15点以下となる.このような良好なPSであれば,合併症を起こすことなく,根治術が可能であると考えられた.
  • 山本 尚人, 海野 直樹, 三岡 博, 内山 隆, 斉藤 孝晶, 中村 利夫, 鈴木 昌八, 今野 弘之, 中村 達, 金子 寛
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1136-1140
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    腹部消化器外科疾患を合併した腹部大動脈瘤(AAA)手術症例17例を検討した.平均年齢は68.6歳,全例男性であった.腹部消化器外科疾患の内訳は胆石症・総胆管結石症6例,胃癌7例,大腸癌3例,肝臓癌2例,膵臓癌1例であった.胆石症・総胆管結石症の6例,胃癌の2例,大腸癌の1例,肝臓癌後膜転移の1例にAAAとの同時手術を施行した.胃癌の3例,大腸癌の1例,膵臓癌の1例にAAA手術を先行した二期的手術を施行した.胃癌の2例に消化器疾患手術を先行した二期的手術を行った.肝臓癌の2例に経カテーテル的動脈塞栓術を,大腸癌の1例に内視鏡的粘膜切除術を行った.人工血管感染の合併は認めなかったが,周術期死亡を1例に認めた.腹部消化器外科疾患とAAAが同時期に発見された場合,それぞれの疾患の進行度や患者の状態を十分考慮して治療方針を決定する必要がある.
  • 上原 正弘, 藤井 宏二, 竹中 温
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1141-1145
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    顆粒細胞腫はSchwann細胞由来の腫瘍とされ,乳腺での発生率は顆粒細胞腫全体の4.6~14%で,本邦では自験例をあわせ30例の報告がある.理学所見および画像所見から乳癌との鑑別は困難で,報告例のうち73.3%は癌と術前診断しており,病理学的検索を行わず定型的乳房切除術が施行され,その後良性と判明した例もある.穿刺吸引細胞診または腫瘤摘出術にて的確に診断する事が重要と思われた.
  • 太田 大介, 日馬 幹弘, 海瀬 博史, 中山 俊, 青木 達哉, 小柳 〓久, 芹澤 博美, 松永 忠東
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1146-1150
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は70歳女性.平成8年8月,右C領域の腫瘤を主訴として来院.同年12月にT2a, N0, M0, Stage II乳癌の診断で当科にて乳房円状部分切除術およびLevel II郭清を施行した.切除断端は陰性で,組織型は充実腺管癌, n0, f (+), ly (-), v (-)であった.放射線療法は本人の希望にて施行せず,遠方のため近医での外来通院となった.その間補助療法は施行されず,平成10年10月創部の硬結を主訴に再来した.マンモグラフィにて,同部位に一致した集簇型微細石灰化像と,超音波上の腫瘤像を認めたため,残存乳房内の局所再発と診断し,外来にて局麻下に乳腺部分切除術を施行した.術後の病理組織検索においては約1.5cmの腫瘤を認めるも,癌細胞は認められず,間質組織に瀰漫性に広がる微細石灰沈着が著明な巨細胞肉芽腫であり,ヘモジデリン貪食細胞の集団も認められた.現在再発の徴候は認められていない.
  • 山下 芳典, 宮原 栄治, 清水 克彦, 大崎 昭彦, 平井 敏弘, 峠 哲哉
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1151-1155
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    乳癌根治術後の末梢肺野の孤立性腫瘤陰影に対しては診断や治療に難渋することがある.症例は肺手術の2から4年前に原発性乳癌に対する根治的乳房切除術の既往のある4例である.肺腫瘍は全て末梢肺野の孤立性であり,長径2.0から4.5cmであった.画像上の特徴は全例とも原発性肺腺癌を想起させるものであった.そのうち1例は術前の気管支鏡検査では診断しえず,肺葉切除を前提とした開胸下の生検となり, 4例中2例ではすでに所属リンパ節転移を有しており原発性肺癌として標準的肺葉切除術が施行された.乳癌肺転移は時に高分化型肺腺癌の画像所見に酷似し,所属リンパ節転移を伴うことがある.術前に病理組織学的確診が得られなければ,外科的生検術の際には乳癌の病理組織をreviewする必要があり,乳癌肺転移として適切な外科治療が施されることが望まれる.
  • 沖津 宏, 武知 浩和, 山井 礼道, 門田 康正
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1156-1161
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    術後早期に遠隔転移をきたした食道粘表皮癌の1例を経験したので,文献検索を加え報告する.症例は65歳,男性で嚥下困難を主訴とした.食道透視で胸部下部食道(Lt)から食道胃接合部(EGJ)にかけて4型狭窄を認めた.上部消化管内視鏡でもLt領域から全周狭窄を認め,生検にて粘表皮癌が疑われた. CTおよびシンチでは大動脈浸潤,遠隔転移は認めなかった.手術は右開胸食道亜全摘,胸骨後経路胃管再建術, 3領域リンパ節郭清術を行った.切除標本で癌は胸部中部食道(Mt)からEGJにかけて長径8cmの肉眼的分類4s型であった.組織所見では扁平上皮癌の癌巣内に粘液含有の腺癌細胞の増殖を認め,粘表皮癌と診断した.術後組織学的進行度はpT3N2M0, stage III,総合的根治度pAであった.術後下部縦隔に放射線治療中であったが,術後3カ月にて多発肝転移,第4頸椎転移をきたし,術後第128病日に死亡した.
  • 尾形 徹, 川本 純, 山東 敬弘, 藤本 三喜夫, 中井 志郎, 増田 哲彦
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1162-1166
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    稀な食道腺様嚢胞癌の1例を経験したので報告する.症例は71歳男性.主訴は食事時胸痛.上部消化管内視鏡検査にて上門歯列より37cmの食道前壁に径1cmの隆起性病変を認めた.生検診断にて扁平上皮癌と診断されたため胸部食道亜全摘術を施行した.病理組織診断は腺様嚢胞癌(sm, n0, stage 0)であった.術後41カ月現在外来で経過観察中であるが再発の兆候はない.腺様嚢胞癌は粘膜下層に主座を置き正常粘膜に覆われていることが多いため術前診断が困難であるうえ,手術以外有効な治療法もなく一般に予後は不良である.しかし早期手術例で長期生存例があり,それゆえ稀な疾患ではあるが食道腫瘍の診断に際して常に念頭に置くべき疾患と考えられる.
  • 早川 哲史, 竹山 廣光, 田中 守嗣, 赤毛 義実, 福井 拓治, 真辺 忠夫
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1167-1171
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    近年,簡便な胃内視鏡下の胃瘻ボタン設置による栄養管理が普及している.胃瘻ボタンは低栄養状態症例での使用が比較的多く,瘻孔形成不全や脆弱な瘻孔形成によるボタン交換時の瘻孔損傷が起こる可能性が危惧されている.今回われわれは,経皮内視鏡的胃瘻造設術が施行された脳梗塞症例に対して交換用胃瘻ボタンが1カ月後に装着されたが,胃瘻ボタン交換後に汎発性腹膜炎症状を呈した3症例を経験した.すべて腹腔鏡下に緊急手術を行った.腹腔鏡で観察すると3例ともに胃瘻ボタンの先端は完全に胃より脱落し,瘻孔欠損部を認め,腹腔内は汎発性腹膜炎状態であった.腹腔鏡下に胃瘻ボタンを再建後腹腔ドレナージを施行した.腹腔鏡下の視野は良好で,脱落部に胃瘻ボタンの再装着は可能であり,十分な腹腔内洗浄も行われた.手術創は小さく手術侵襲も軽度で,術後早期に経腸栄養が再開され, 3症例ともに合併症なく軽快した.腹腔鏡下胃瘻再建術は,有用な術式であった.
  • 笹原 孝太郎, 坂本 隆, 霜田 光義, 榊原 年宏, 山下 芳朗, 塚田 一博
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1172-1176
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    腸回転異常症に胃癌を合併した1例を経験した.症例は62歳男性,腹痛を主訴に近医を受診し急性膵炎の診断で入院となり当科を紹介された.保存的治療により症状は軽快したが,精査により胃癌,腸回転異常症と診断された.手術は噴門側胃切除,空腸間置術を施行した.本症例はnon-rotation型でありLadd靭帯は認めなかったものの盲腸,上行結腸が固定されていなかったため軸捻転の発症を危惧し下行結腸に固定した.胃癌と腸回転異常症の合併は稀であり胃癌の手術と腸回転異常症の手術を同時に行った点からも貴重な症例と考えられたので報告する.
  • 市来 嘉伸, 松田 裕之, 山本 一治, 福田 篤志, 松浦 弘, 岡留 健一郎
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1177-1181
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    誤嚥による消化管異物は自然に排出される場合が多く,また近年の内視鏡技術の発達により,保存的に内視鏡下に摘出可能となった.しかし,異物の種類や摘出時期によっては,稀に消化管出血,イレウス,膿瘍形成などの合併症をきたし,開腹手術を要する場合がある.今回,われわれは開腹手術を要した義歯誤嚥の3例を経験した.部位は,それぞれ胃幽門部,空腸, S状結腸でいずれも義歯のクラスプが嵌頓していた.胃幽門部および空腸に嵌頓した義歯は,腸管切開,異物摘出を行ったが, S状結腸に嵌頓した義歯は憩室に嵌頓しており,周囲と癒着した腫瘤を形成していたため, S状結腸切除を施行した.いずれも義歯の形態で鋭利になった部分が存在し,消化管穿孔の危険性があり,厳重な経過観察と早期に摘除する必要があると思われた.
  • 淀縄 聡, 小川 功, 藤原 明, 平野 稔, 後藤 行延
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1182-1187
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    異物による小腸穿孔は稀であり術前診断も困難である.今回魚骨,義歯, press through package (PTP)による小腸穿孔の3例を経験したので報告する.症例1は腹部CTで小腸壁の肥厚像を認めたが診断には至らず急性虫垂炎を疑い手術を行った.開腹すると空腸壁に魚骨(2.3cm)が貫通し,魚骨を抜去した後腸管壁を縫合閉鎖した.症例2は汎発性腹膜炎となっており, X線・CTで腸管内に異物陰影を認めたため義歯による小腸穿孔と診断できた.手術所見では義歯(6cm)のブリッジ部分が回腸壁を穿孔しており,回腸部分切除を行った.症例3はイレウスのため入院,腹膜刺激症状なくX線・CTでも小腸拡張像のみであった.保存的治療で改善したが小腸造影で回腸遠位部が狭窄していたため手術を行った.手術所見では回腸末端より50cm口側でPTP (1.5×1.5cm)が回腸壁を穿孔し大網が被覆していたため回腸部分切除を行った.
  • 武内 克憲, 木原 鴻洋, 永守 郁夫, 上田 善道, 松原 純一
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1188-1192
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    高齢者の小腸結核を開腹切除し,術後症状の改善を得た症例を経験したので報告する.症例は75歳,女性.左下肢深部静脈血栓症の診断にて入院となった.入院後より悪寒,戦慄を伴う発熱をくり返した.尿路感染症が強く疑われたが,原因特定に難渋した.経過中,無痛性のイレウスをくり返し, CT, MRIにて小腸壁の肥厚を認めた.占拠性病変の存在を疑い,診査開腹術を施行した.回腸に紡錘形に腫大した腫瘤性病変を2箇所認め,回盲部を含め約80cm切除した.病理診断の結果,病変部は潰瘍を形成し小腸結核であった.術後に抗結核剤による化学療法施行し,経過は良好であった.その後,他院にて経過観察中に右片麻痺が出現し,会話も不自由になった.脳CTにて左頭頂葉に,浮腫を伴った造影される腫瘤像を2箇所認めた.開頭術施行され,病理診断にて脳結核と診断された.その後も化学療法を継続し,病態は改善した.
  • 鈴木 修司, 田中 精一, 今里 雅之, 林 恒男, 鈴木 衛, 羽生 富士夫
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1193-1196
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    腸重積を契機に発見しえた回腸カルチノイドの1例を経験したので報告する.症例は66歳,男性.他医入院中に腸閉塞をきたしたため,当科紹介入院となった. CT検査にて回腸に腫瘤陰影と腸閉塞を認めた.イレウス管を挿入し,造影検査では回腸末端に蟹の爪状のバリウムの途絶像を認めた.大腸内視鏡検査ではバウヒン弁から約10cm口側に表面平滑で暗赤色の腫瘤を認め,その先への挿入は不可能であった.腸重積の改善がないため,開腹手術を施行した.術中所見では回腸末端に粘膜下腫瘍を認め,その腸間膜付着側に回腸が癒着し,ループを形成し腸重積を呈していた.回腸部分切除を行った.切除標本の病理組織検査にて,粘膜下腫瘍は深達度が漿膜下層にまで達するカルチノイドと診断された.周囲リンパ節に転移も認めた.小腸のカルチノイドの報告例は本邦では少なく,カルチノイドによる腸間膜牽引が腸重積の原因となり発見された貴重な症例と考えられた.
  • 山中 秀高, 堀 昭彦, 岡島 明子, 北川 喜己, 河野 弘, 松浦 豊
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1197-1201
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    小腸カルチノイドの穿孔例は稀だが,今回われわれは1カ月前に穿孔性腹膜炎後をきたしたと思われる回腸カルチノイドの1例を経験したので報告する.
    症例は70歳,男性.入院1カ月前に腹膜炎症状にて他院で保存的治療を受け軽快.今回,右鼠径ヘルニア嵌頓および腸閉塞にて入院.ヘルニア嵌頓は直ちに用手的に還納され,第5病日に鼠径ヘルニア根治術を施行.ヘルニア嚢と小腸の癒着あり.術後7日目に腸閉塞を再発症.小腸造影で鼠径ヘルニア嵌頓による狭窄型虚血性小腸炎と診断し術後17日目に手術施行.腹膜炎後のびまん性腸管癒着あり.トライツ靱帯肛門側約3mの回腸に狭窄あり.穿孔後の瘢痕収縮と考え,回腸部分切除術を施行.切除標本の病理学的検索にて小型均一な腫瘍細胞の島状増殖あり,免疫組織染色でGromerius染色, Fontana-Mason染色,クロモグラニン染色陽性で, argentaffinity, insular typeの回腸カルチノイドと確診した.
  • 池内 浩基, 荘司 康嗣, 西能 一枝, 山村 武平
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1202-1206
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,女性.くも膜下出血後の正常圧水頭症のためにventriculo-peritoneal shunt術(脳室腹腔短絡術:以下, V-P shunt術)を受けた.約8年後より腸閉塞症状を繰り返すようになり, 9年後V-P shunt tubeの一部が肛門より排泄された.腹部所見は特変を認めず,経過観察していたが,腸閉塞症状を繰り返すため精査.回腸直腸瘻を認め,保存的に経過観察するも軽快せず,さらに骨盤から右臀部にいたる膿瘍形成を認め,当科紹介となった.手術前日になり,膿瘍が背部にドレナージされ,背部から,便の排泄を認めた.手術は瘻孔切除後,直腸側は縫合閉鎖,回腸側は回盲部切除術を行った.術後,腹腔内膿瘍を合併し,ドレナージ術が必要であったが,それ以後は良好に経過し,現在,外来経過観察中である. V-P shunt tubeの消化管穿通症例の報告は散見されるが,内瘻形成および広範な腹腔内膿瘍を合併した症例は稀であり報告した.
  • 北尾 俊典, 山口 晃弘, 磯谷 正敏, 原田 徹, 金岡 祐次, 鈴木 正彦
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1207-1211
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    内ヘルニアの1つである盲腸窩ヘルニアは盲腸周囲の後腹膜窩にヘルニアを生じる極めて稀な疾患である.最近16年間に大垣市民病院外科にて,開腹術を施行した盲腸窩ヘルニアの4例につき文献的考察を加え報告する.自験例を含みこれまで本邦報告例は31例であるが,男女比1.4:1と男性にやや多い傾向をしめし,年齢は生後1カ月から86歳と幅ひろく分布し,平均年齢は46.9歳であった.盲腸窩ヘルニアは術前診断は困難だが絞扼性イレウスとなることがおおく,観血的整復を要するため,手術の時期を逸すると致命的となる.本邦報告例では2例が死亡しているだけであるが,欧米では75%と高い死亡率の報告例もある.本症の成因は盲腸,上行結腸の後腹膜への癒着不良,盲腸の下方への伸展による盲腸窩の拡大や盲腸窩に入り込んだ小腸が腹膜の伸展と共に進行し嵌頓すると考えられてはいるもののいまだ定説はない.
  • 目黒 英二, 荒谷 宗充, 青木 毅一, 上杉 憲幸, 斎藤 和好
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1212-1216
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    大腸原発悪性リンパ腫は消化管原発悪性リンパ腫の約10%であり,なかでも穿孔例は稀である.われわれは盲腸悪性リンパ腫の穿孔例を経験した.症例は69歳男性.下腹部痛にて発症.腹部X線検査では遊離ガス像は認めなかったが注腸X線検査にて盲腸に全周性の狭窄および腸管外への造影剤の漏出を認めた.下部消化管内視鏡検査にて盲腸部に3型の腫瘍を認め,組織生検にて悪性リンパ腫であった.穿孔を伴った盲腸原発悪性リンパ腫の診断にて結腸右半切除術を施行した,腫瘍は直径約15cmであり中央に巨大な潰瘍を伴う比較的軟らかい3型様腫瘍であった.病理組織学的検査では悪性リンパ腫, diffuse, medium, B cell typeであった.術後化学療法は施行しなかったが経過観察する上で再発の指標としてInterleukin-2 receptorが有用であった.
  • 岡田 耕一郎, 三和 健, 目次 裕之, 林 英一, 吹野 俊介, 深田 民人
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1217-1221
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は69歳男性.右季肋部痛を主訴に近医受診.腹部USにて胆石症を指摘され,当科紹介受診した.当科での腹部USでは,胆石と共に右側腹部に6cm大の腫瘤を認めた.腹部CTでは,右側腹部に虫垂付近へ続く嚢胞状腫瘤を認め,腹膜への浸潤を認めた.腹部MRIでは腫瘍内容物は粘液性物質が考えられた.注腸X線検査では虫垂は造影されず,上行結腸の壁外性圧排像を認めた.以上から胆石症,虫垂原発粘液嚢胞腺癌と診断し,胆嚢摘出および右半結腸切除術を施行した.病理組織学的検査では上行結腸漿膜への直接浸潤を伴う虫垂原発粘液嚢胞腺癌と診断された.虫垂癌は稀な疾患で,臨床所見は右下腹部痛が最も多い.本症例は,腫瘍が虫垂の部位から頭側へ増大したため右季肋部痛を呈し,また術前診断できた稀な症例と考えられた.
  • 山田 治樹, 江口 英雄, 藤井 秀樹, 飯野 弥, 松本 由朗
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1222-1227
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    われわれは極めて稀な虫垂原発の印環細胞癌の1例を経験したので報告する. 32歳の女性が右下腹部痛を主訴に来院した.体温は36.5度,右下腹部に圧痛を伴う腫瘤を触知した.白血球数11000/μl, CRP値1.1mg/dlと軽度の炎症反応を認め,腫瘍マーカーは血清CEA11ng/ml,血清CA19-9 2400U/mlと高値であった.腹部超音波・CT検査では,回盲部領域に径5×3cmの境界不明瞭で内部不均一な腫瘤を認め,大腸内視鏡検査では, Bauhin弁から肛門側5cmにわたり粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認めた.回盲部悪性腫瘍を疑い結腸右半切除術を施行した.病理組織学的には, signet ring cell carcinoma of the vermiform processus, ss, ly2, v0, n0, ow (-), aw (-), ew (-)と診断された.術後,化学療法を施行したが, 16カ月目に死亡した.
  • 樋口 哲郎, 岩間 毅夫, 金 仁燮, 家城 和男, 松崎 淳
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1228-1231
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    患者は59歳,男性.人間ドックで便潜血陽性を指摘され,大腸内視鏡検査を施行した.右側結腸に多発する炎症性ポリープと,そのひとつの炎症性ポリープに早期大腸癌の合併を認め,右半結腸切除術を施行した.炎症性ポリープの原因としては,組織学的には明らかな所見が得られなかったが,臨床経過・内視鏡所見・ツ反陽性から腸結核が強く疑われた.盲腸癌は,形態的にみて炎症性ポリープの側壁を帯状に癌が存在していることから,炎症性ポリープに発生した大腸癌と考えられた.
  • 秋元 佳太郎, 内田 秀樹, 奥村 徹, 三崎 三郎, 本郷 三郎
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1232-1235
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,男性.下腹部痛を主訴に来院した.腹部単純X線にて,鏡面形成を伴う拡張した大腸ガス像を認めた.腹部CT検査でS状結腸に腫瘤を認め,注腸検査ではS状結腸より口側は描出されなかった. S状結腸癌による腸閉塞を疑い,腸管の減圧を試みたが成功せず,同日緊急手術を施行した. S状結腸に周囲組織と固着する腫瘤を認め, S状結腸癌と診断し, S状結腸切除術を行った.摘出標本では,腸管壁の肥厚による狭窄部に,細長く伸びた有茎性ポリープが嵌入し内腔を閉塞していたが,腫瘍性病変は認めなかった.病理組織にて,分類不能大腸ポリープのmucosal tagにより腸閉塞を生じた, S状結腸憩室炎と診断した.閉塞をきたす大腸疾患の場合,憩室の存在が確認出来れば, mucosal tagなどの分類不能大腸ポリープの存在も念頭に置いて鑑別診断する必要があると考えられた.
  • 田尾 裕之, 鈴鹿 伊智雄, 小野田 裕士, 多胡 護, 塩田 邦彦, 山根 正隆
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1236-1241
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    右季肋部痛を伴った肝巨大血管腫の2切除例を経験したので報告する.症例1は54歳女性,右季肋部痛と腰痛を主訴に来院し,腹部超音波, CT,血管造影にて肝右葉の13cm大の血管腫と診断され,拡大S6亜区域切除術を施行した.症例2は68歳女性,右季肋部痛を主訴に来院し,精査にて肝左葉の10cmおよび8cm大の血管腫と診断され,肝部分切除術を施行した.両者とも術後右季肋部痛は消失した.
    肝血管腫に対する手術適応は,疼痛などの臨床症状を有するもの,悪性疾患を否定できないもの, Kasabach-Merritt症候群のみられるもの,等が挙げられるが,自然破裂の危険性からみた手術適応についてはさらに検討する必要があると思われた.
  • 児島 祐, 山下 潤, 薮内 裕也, 島田 健太郎, 中島 祥介, 中野 博重
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1242-1247
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は51歳,女性. 1997年12月,検診で胆道系酵素異常を指摘され近医を受診.腹部CTで肝右葉後区域に腫瘤像を指摘され, 1998年1月,精査目的に当院に紹介された.血液検査では軽度の炎症反応と胆道系酵素の上昇を認めたが,ウイルス抗体,腫瘍マーカーはすべて陰性であった. US, CT, MRI,血管造影が施行されたが,画像上診断困難であったため,経皮的肝生検を行った.その結果,炎症性偽腫瘍と診断され,経過観察を行ったが,腫瘤は縮小せず,検査所見も改善しなかったため, 9月9日,肝後区域切除,胆嚢摘出術を施行した.肝炎症性偽腫瘍は原因不明の炎症性腫瘤で,比較的稀な疾患である.今回われわれは,肝炎症性偽腫瘍の1例を経験したので,過去本邦報告77例についての集計,検討結果および文献的考察を加えて報告する.
  • 大堀 真毅, 上田 和光, 高 順一, 草野 満夫
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1248-1251
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は67歳女性,主訴は右季肋部痛と発熱.平成12年3月14日より主訴出現,症状増悪のため精査目的にて入院となる.画像診断では肝内に多発性嚢胞がみられ,特に後区域のそれは長径12cm,内部にdebrisを認め感染性肝嚢胞と診断した.胆管との交通はなく,経皮的ドレナージ(起因菌は黄色ぶどう球菌)にて一旦症状は軽快するも再燃し,保存的治療抵抗性と判断し開腹手術を施行した.病変嚢胞は肝表面に露出しておらず,開窓術不能であったためS6~7肝部分切除術を施行した.肝嚢胞は日常的な疾患であり治療の対象となることは少ないが感染を併発した場合は経皮的ドレナージを中心とする保存的治療が行われる.しかし無効な時は開窓術などが選択されるが,本例は嚢胞壁が肝表面に露出してなかったため肝部分切除術を施行し良好な結果を得た.
  • 安藤 勤, 高井 茂治, 高木 敏秀
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1252-1256
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    胆嚢と肝膿瘍が連続しない孤立性肝膿瘍に合併する胆嚢癌の報告は比較的稀である.今回われわれは孤立性肝膿瘍に合併する胆嚢癌の2例を経験したので報告した.症例1: 78歳男性,右季肋部痛で来院した.慢性胆嚢炎と孤立性多発性肝膿瘍と診断し,肝膿瘍開窓ドレナージ術と胆嚢摘除術を行った.摘出胆嚢の組織診断でss胆嚢癌であった.症例2: 70歳女性,心窩部痛で来院した.総胆管結石に合併する急性胆嚢炎と孤立性肝膿瘍と診断し,肝膿瘍開窓ドレナージ術と総胆管切開採石術,胆嚢摘除術を行った.組織診断で早期胆嚢癌を認めた.自験例2例を含めた本邦報告例6例中術前に胆嚢癌の診断が確定した症例は2例のみであった.胆嚢癌においてはその進展形式によって切除術式が決定されることを考慮すると,化膿性胆管炎に伴う細菌性肝膿瘍においては,胆嚢癌の合併を念頭に置き慎重な対応が必要と考えられた.
  • 森岡 大介, 田中 邦哉, 渡会 伸治, 嶋田 紘
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1257-1262
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,男性.右季肋部痛で発症し肝右葉に腫瘤を指摘された.画像所見上,肝前区域に表面に癌臍様の陥凹を伴う最大径8cmの腫瘤を認め, dynamic CT,血管造影の所見から, combined typeの胆管細胞癌と診断した.切除標本の組織所見では低分化と高分化の混在する肝細胞癌と診断されたが,腫瘍内にpeliosis hepatisに類似した大小多数の血液腔(peliotic change)を認め,その内腔は大部分が器質化していた.通常,肝細胞癌に内包されるpeliotic changeはdynamic CT,血管造影で持続する濃染像を示すとされるが,本症例ではpeliotic change内の血液の器質化により造影効果を示さず,術前診断を困難にしたものと考えられた.
  • 釜田 茂幸, 田中 寿一, 土屋 俊一, 海保 隆, 北方 勇輔
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1263-1268
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は68歳男性.平成元年S状結腸癌および肝細胞癌にてS状結腸切除,肝左葉切除施行.平成9年に再び肝細胞癌で肝S6亜区域切除, S8部分切除施行.外来経過観察中,平成11年8月右腋窩腫瘤を指摘され,吸引細胞診で肝細胞癌腋窩転移と診断された.他臓器転移を認めず腫瘤摘出術を施行.摘出標本は肝細胞癌右腋窩転移との診断で他のリンパ節には転移を認めなかった.肝細胞癌のリンパ節転移は文献によると剖検例で30%前後と決して稀な病態ではないが,肝切除症例では2.2%と少ない.さらに孤立性再発の報告は腹腔内リンパ節では散見されるが,遠隔リンパ節の報告は非常に稀である.今回われわれは,肝細胞癌術後に右腋窩に孤立性リンパ節再発を認めた症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
  • 神谷 諭, 寺崎 正起, 岡本 恭和, 坂本 英至, 久留宮 康浩, 浅羽 雄太郎, 夏目 誠治
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1269-1273
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は68歳女性.右季肋部痛のため,精査施行.腹部超音波,腹部CTにて胆石を認めた.術前のERC検査にて胆嚢管と右肝管の交通が疑われた.胆道の走行異型を考慮し,開腹術にて手術を施行した.術中胆道造影にて,胆嚢管が総胆管と右肝管とをつなぐ,副肝管に合流していることがわかった.
    胆道の走行異型として久次らの副肝管の走行異常の分類や斉藤らの重複胆管の分類などが報告されているが,本症例はこれらの諸家の分類に合致しない稀な1例であった.
  • 藤井 正彦, 三宅 秀則, 佐々木 克哉, 安藤 勤, 松村 敏信, 田代 征記, 八木 恵子
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1274-1279
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は74歳の男性.主訴は心窩部痛.超音波検査で胆嚢底部の隆起性病変と胆石を認めた.腹腔鏡下胆嚢摘出術を予定し手術を施行したが,腹腔鏡所見で胆嚢癌が疑われたため胆摘は行わず,二期的手術の方針とした.腹部CT, MRIで胆嚢壁の肥厚と内腔に突出する隆起性病変を認め,結節浸潤型胆嚢癌の診断で胆嚢摘出術, S4a, S5区域切除術,肝外胆管切除術,リンパ節郭清(D2)を施行した.摘出標本では底部の胆嚢壁は肥厚し,結石が強固に胆嚢壁に固着していた.病理組織学的所見では黄色肉芽腫性胆嚢炎(XGC)を認め,結石と胆嚢壁は潰瘍の壊死組織や肉芽組織を介して連続していた.当科で経験したXGC 3例を含めた検討では,全例が術前に胆嚢癌と診断され,拡大手術が施行されていた.本症は画像上胆嚢癌との鑑別が困難であり,両者の合併例の報告もあることから,胆嚢癌を疑った場合には本症を念頭に置いて,慎重に術式を選択する必要があると考えられた.
  • 上松 俊夫, 久保田 仁, 鈴木 秀昭, 石川 和夫, 成田 裕司, 坂野 比呂志
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1280-1285
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は77歳の女性.主訴は上腹部痛.入院時に黄疸はなく(総ビリルビン1.7mg/dl),肝胆道系酵素の上昇を認めた.腹部超音波検査で肝門部にhighechoic massを認めた. PTBD造影にて拡張した左肝管から総肝管内にかけて亜有茎性に発育する表面不整な腫瘍を認めた. PTCS下生検にて腺癌と診断された.尾状葉合併拡大肝左葉切除術,肝外胆管切除術,リンパ節郭清(D2+(1), (7)),肝管空腸吻合術を施行した.切除標本にて左肝管より乳頭状に発育する大きさ2.5×2.5cmの主腫瘍の他に,総肝管に大きさ0.6×0.5cmの乳頭状腫瘍を認めた.病理組織学的検査にていずれの病変も深達度mの乳頭腺癌で, stage I, cur Aであった.
    早期胆管癌のなかでも自験例のように無黄疸で発見された粘膜内癌の報告は少ない.その特徴として,自験例のように肉眼的には乳頭型を示す例が多く,粘膜表層進展や多発する例があり注意すべきである.
  • 九冨 五郎, 秦 史壮, 八十島 孝博, 田中 浩, 向谷 充宏, 平田 公一
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1286-1289
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    難治性膵液瘻に対して種々の治療法が試みられているが,今回,われわれは難治性膵液瘻症例に瘻孔空腸吻合術を施行し,良好な結果を得たので報告する.症例は76歳男性.膵嚢胞切開術および外瘻術後,膵液瘻を合併し,当科を紹介された.損傷主膵管下流の完全閉塞が確認され,保存的に治癒困難と判断し,手術となった.方法は,吻合を容易にするため,術前に18Fに拡張した瘻孔と空腸を2層吻合した. Splint tubeを吻合部に挿入し,空腸と腹壁を縫合固定し, splint tubeを腹腔外へ誘導した.難治性膵液瘻の治療に際しては, ERCPや瘻孔造影で瘻孔の病態を的確に診断し,治療法を選択することが重要である.
  • 長佐古 良英, 上田 拓実, 米山 重人, 三澤 一仁, 佐野 秀一, 中西 昌美
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1290-1294
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    糖尿病を合併した直腸癌術後骨盤内膿瘍から発症したFournier's gangreneの1例を経験したので報告する.症例は50歳,男性でRbを主座とする進行直腸癌の診断で腹会陰式直腸切断術を施行した.術後仙骨前面に膿瘍を形成し,約2カ月後に臀部から右大腿,躯幹に及ぶ発赤,腫脹が出現した. CTにて軟部組織に異常ガス像を認めたため広範囲に切開, debridementを行ったが術後に敗血症から多臓器不全に陥り,救命できなかった.
    直腸癌にFournier's gangreneを合併した例は検索しえた限り本邦で5例目であった.本症は重篤な経過を辿ることがあるため,躯幹に及ぶ以前に診断して早期に切開,排膿と壊死物質の除去,洗浄を行うと同時に,原疾患の治療および血糖を含めた適切な全身管理を行うことが肝要であると思われた.
  • 打波 大, 横町 順, 天谷 博一, 青竹 利治, 堀内 哲也, 千葉 幸夫
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1295-1299
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は生後0日の女児,主訴は腹部膨満である.在胎35週,胎児エコーにて下腹部に異常嚢胞性腫瘤を指摘された.在胎37週2日,胎児心拍の低下および腹水貯留が認められたため緊急帝王切開にて出産した.生下時より腹部膨満が著明で徐々に増悪した.また,腹腔穿刺にて膿血性の胎便を混じた腹水が吸引されたため,消化管穿孔と診断され,同日緊急手術を行った.腹腔内には混濁した腹水と胎便が多量に存在し,回盲部付近に径2.5cmの腫瘤が認められた.この腫瘤を中心に腸管が捻転しており,腫瘤の口側に径1cmの穿孔部が認められた.壊死腸管を切除し,一期的に端々吻合を行った.病理学的に腫瘤は壊死した球状重複腸管で,回腸内腔との交通は認められなかった.術後経過は良好で,術後24日目に退院した.このような腸管重複症による胎便性腹膜炎は極めて稀なものであり,現在のところ文献上報告例はないと思われる.
  • 道清 勉, 吉川 澄, 藤井 眞, 川野 潔
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1300-1304
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    後腹膜の静脈性血管腫の1例を経験したので報告する.症例は37歳,女性.主訴は左側腹部痛. CTにて膵背側に多房性の嚢状腫瘤を認めた. MRIでは, T1, T2いずれの強調画像でも高信号であり,血液の混入した嚢状腫瘤が疑われた.血管造影では腫瘍濃染を認めず,副腎原発の腫瘍は否定的であった.開腹すると腫瘤が左副腎および腹部大動脈左縁に極めて強固に浸潤性に癒着していた.左副腎を一部合併切除して腫瘤を完全に摘出し得た.摘出標本で腫瘤は650g, 21×10×8cm,内部は多房性,褐色の混濁した内容液350mlを含有していた.病理組織学的には静脈性血管腫であった.
  • 武神 健之, 川口 米栄, 竹上 智浩, 岡田 基, 栗田 和宏, 久保田 芳郎
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1305-1309
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は62歳,女性.腹痛で来院,腸閉塞の診断で入院となるが,翌日ショック状態となり腹部CT上腹腔内にfree air認め緊急手術となった.多量の便汁性腹水とS状結腸憩室穿孔を認め腹腔内ドレナージ, S状結腸人工肛門造設術を施行した.術後CHDF等の集中的管理を経て軽快,経口摂取に至ったが,術後1カ月頃より頚部・腰部痛,両側膝関節痛を訴えた.術後2カ月目,両側膝関節の腫脹,両側上肢の知覚・運動障害出現し,頚椎化膿性脊椎炎,両側化膿性膝関節炎の診断で頚椎前方除圧固定,腸骨移植,両側膝洗浄ドレナージを施行した.その術後10日目,両側下肢の知覚障害出現し腰椎化膿性脊椎炎の診断で保存的療法を開始した.第139病日に離床開始,第156病日人工肛門閉鎖術施行し,初回手術より第177病日に独歩退院となった.大腸穿孔術後に四肢・体幹の疼痛等を訴えた場合,整形外科的感染症も念頭におく必要があると思われる.
  • 大塩 猛人, 日野 昌雄, 大下 正晃, 檜 友也
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1310-1314
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    Hirschsprung病に合併した閉塞性鼠径ヘルニアの小児例を報告する.先天性魚鱗癬を伴った未熟児の男児が紹介された.生後4日目から腹満が続きHirschsprung病と診断した.生後20日,両側鼠径ヘルニアを認めた. 9カ月時,重篤な便秘と両側陰嚢の腫脹を認め再入院した.注腸透視にて左側陰嚢内に極めて硬い糞塊を含んだS状結腸が存在していることが判明した.硬い糞塊を含んだS状結腸の整復を試みたが糞塊が硬く疼痛を訴えできなかった.緊急鼠径ヘルニア手術時, S状結腸内の硬い糞塊は小さい糞塊に分割して連続する腹腔内の結腸に整復した.最終的に閉塞性ヘルニアと診断した.術後経過は異常なかった. 22カ月時, Duhamel変法にてHirschsprung病の根治術を施行した. 29カ月時,原因不明で自宅で死亡した.剖検はできなかった.
  • 今村 秀, 安蘓 正和, 三井 信介, 坂田 久信, 加藤 秀典
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1315-1320
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    Spigelヘルニアはほとんどが後天性に発生する極めて稀な腹壁ヘルニアである.今回われわれは,イレウスを合併した本邦第1例目のSpigelヘルニア多発例を経験したので報告する.症例は82歳女性で,肥満体であった.以前より,腹壁ヘルニアがあるも症状を欠いていたので放置していた.平成12年1月,腹痛と嘔吐にて発症し,入院した.腹部CT検査と小腸造影検査にて2つのSpigelヘルニアがあり,うち小さなヘルニアで回腸が嵌頓し,イレウスをおこしていた.全身状態や合併症を考慮して,保存的治療を行うも軽快せず,開腹手術を行った.開腹所見では,腹直筋外縁のSpigel腱膜より皮下組織に, 2cm大のヘルニアが脱出していた.ヘルニア嚢内には嵌頓した小腸と大網があったが,虚血性変化が軽微であったため,腹腔内に還納し,ヘルニア嚢切除およびヘルニア門を縫合閉鎖した.術後経過良好にて退限した.
  • 竹元 伸之, 山本 宏, 岡田 晋一郎, 甲斐 敏弘, 関口 勝也, 小西 文雄
    2001 年 62 巻 5 号 p. 1321-1324
    発行日: 2001/05/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    患者は62歳,女性. 19歳時に胃潰瘍にて胃切除術, 36歳時に帝王切開術の既往有り. 1997年5月21日上腹部痛を主訴に受診.左下腹部に小手拳大の腫瘤を認め,精査加療目的で入院となった.腹部超音波では,腫瘤触知部の走査では内部に一部線状高エコーを有する5cm大の低エコー腫瘤を認めた.腫瘤の辺縁は高エコーを示し周囲との境界は明瞭であった. CTでは辺縁に石灰化を伴った低吸収域として捉えられたが,質的診断は困難であった.開腹所見では腫瘤は小腸と強固に癒着しており,腫瘤を含めた小腸部分切除術を行った.摘出した腫瘤の病理組織学検査ではガーゼによる炎症反応を主体とした陳旧性結節病変の形成が認められた.本症の術前診断は種々の画像診断を駆使しても困難であるが,手術歴の既往がある患者で画像検査上非特異的腫瘤像が観察された場合には,ガーゼ異物などによる炎症性肉芽腫の存在も念頭に置き治療にあたるべきと考えられた.
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