日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
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62 巻, 9 号
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  • 沖永 功太
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2087-2101
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 小池 綏男, 寺井 直樹
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2102-2109
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    マンモグラフィ(MG)を施行した乳癌686例を対象として腫瘤陰影(T), 微細石灰化像(C), 乳腺実質の構築の乱れ (A) の有無から5群に分けてMGの正診率と非描出率を検討し,以下の結果を得た.
    (1)MGの正診率は2種類の機種の間で有意差がみられなかったが,非描出率には有意差がみられた.
    (2)MG所見別の正診率はTC(+)群が他の群より有意に高く, C(+)群, T(+)群, A(+)群の順であった.
    (3)40歳代以下は50歳代以上と比べて有意に非描出率が高く,正診率が低かった.
    (4)腫瘤の大きさが2.Ocm以下の群は2.1cm以上の群と比べて有意に非描出率が高く,正診率が低かった.
    (5)分類不能型は他の型に比して非描出率が有意に高く,分類不能型と限局型の正診率は浸潤型および中間型より有意に低かった.
    (6)非浸潤癌の正診率は浸潤性乳管癌より有意に低かった.
    (7)リンパ節転移無群は有群より有意に非描出率が高く,正診率が低かった.
    (8) MGの正診率を高めるためには非描出率を低くすることが必須である.
  • 緒方 裕, 的野 敬子, 林 明宏, 高森 信三, 光岡 正浩, 荒木 靖三, 笹富 輝男, 石橋 生哉, 野副 安宏, 中川 元典, 白水 ...
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2110-2115
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    58例の大腸癌肺転移切除例の遠隔成績を検討した.累積5年生存率は34%であった.多発例,腫瘍径30mm以上の症例,肺門・縦隔リンパ節転移陽性例,肝転移や遠隔リンパ節転移などの肺外病変の合併または既往例はそれぞれ単発例.腫瘍径30mm未満の症例,肺門・縦隔リンパ節転移陰性例,肺外病変のない症例に比べ有意に低率であった.しかし,多変量解析の結果,肺門・縦隔リンパ節転移の有無,肺外病変の有無および腫瘍径のみが独立した予後規定因子であった.特に,肺門・縦隔リンパ節転移,肺外病変は極めて強い予後因子であった. 11例の肺単独再発例に対し肺再切除が施行され,再切除後最長120カ月健存の1例を含め5例が生存中である.生存期間中央値は37カ月, 5年生存率は24%と初回切除と同等の成績であった.
  • 藤原 拓造, 濱崎 啓介, 池田 義博, 村嶋 信尚, 松本 剛昌, 飽浦 良和
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2116-2121
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    MRI陰性造影剤フェルモキシデス(ferumoxides, FMX)の造影効果における臨床所見の影響を検討した.対象は転移性肝腫瘍 (metastatic liver tumor, Meta群)12例と原発性肝癌(hepatocellular carcinoma, HCC群)21例で,肝実質信号強度(signalintensity, SI)抑制率,腫瘍SI充進率,腫瘍-肝コントラスト/ノイズ比(contrast noiseratio, CNR)を算出し比較した.造影後Meta群, HCC群ともCNRは有意に増加し,造影前後のCNR差は両群間に差はなかった.肝SI抑制率も両者間に差がなく, HCC群において各臨床病期間にも一定の傾向は認められなかった.腫瘍SI充進率も有意差はなかったが,高分化型HCC 3症例中2例において腫瘍SIおよびCNRの減少がみられた. FMXの造影効果はMeta, HCCいずれにも認められCNRは増加したが,高分化型HCCのなかに腫瘍SIおよびCNRが造影後低下する症例のあった点が注目された.
  • 森 誠治, 前場 隆志, 石村 健, 岡野 圭一, 唐澤 幸彦, 合田 文則, 若林 久男, 臼杵 尚志, 前田 肇
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2122-2126
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    最大腫瘍径3cm以下, 3病巣以下の肝細胞癌(HCC)切除49例, 56結節を対象に,腫瘍および腫瘍周囲の病理組織像を腫瘍径別(径15mm以下; 12結節, 16-20mm; 20結節, 21-25mm; 16結節, 26-30; 8結節)に検討し,選択すべき治療法を考察した.腫瘍径15mm以下のHCCでは,腫瘍周囲進展像(被膜外浸潤・脈管侵襲・肝内転移)陽性が1結節(8.3%)のみであったため,経皮的エタノール注入療法(PEIT)が第一選択と考えられた.しかし,中・低分化型が6結節(50%)に混在していたこと,被膜形成陰性が5結節(41.7%)にみられたことは, PEIT後の局所再発へのrisk factorとして留意すべきと思われた.腫瘍径16mm以上のHCCでは被膜浸潤が59.1%, 腫瘍から1cm以内の腫瘍周囲進展像が45.5%と高率にみられ,またPEIT施行後肝切除例の4結節中の1例(腫瘍径22mm)に肝内転移の組織学的遺残がみられたことから,腫瘍周囲を含めた確実な局所コントロールが可能な治療法,すなわち肝切除術やマイクロ波凝固壊死療法が第一選択となると考えられた.
  • 善家 由香里, 福田 康彦, 香川 直樹
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2127-2131
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    両側乳房の発赤,終痛を伴う多発腫瘤で発症した,乳房にのみ限局した結節性多発動脈炎 (polyarteritis nodosa) の1例を経験したので報告する.
    症例は72歳の女性. 2週間前より,乳房の発赤,有痛性の腫瘤, 38°C台の発熱が出現し,当院を受診した.腫瘤は両側乳房に多発性に存在し,弾性硬で圧痛を伴っていた.超音波検査では,腫瘤に一致した低エコー像が認められたが,マンモグラフィー, MRI上は異常所見を認めなかった.初診時,炎症性乳癌を疑ったが,それを示唆する所見に乏しく,局所麻酔下に生検を施行した.病理組織学的に,小動脈壁のフィブリノイド変性,弾性板の断裂を認め,結節性多発動脈炎と診断された.他臓器病変の所見はなく,乳房に限局した結節性多発動脈炎と判断し,ステロイド剤内服による治療を開始した.診断確定後2年6カ月の現在,再発無く良好に経過しているが,今後も慎重な経過観察が必要である
  • 横尾 英樹, 赤羽 弘充, 村永 誠一, 齋藤 功, 高橋 弘昌, 松下 通明, 藤堂 省
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2132-2135
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    乳房Paget病は全乳癌の3%程度と極めて稀な疾患である, 83歳男性に発症した本症を報告する.右血性乳汁異常分泌,乳頭色素沈着を主訴とし来院し,生検の結果, Paget病と診断した.触診,超音波検査にて右腋窩リンパ節の腫大を認めなかったため,単純乳房切除術を施行した.病理組織学検査でPaget細胞を認め,特殊染色にて, EMA, PAS, cyto-keratin, EMA, ER, PGRがそれぞれ陽性であった.男性乳房Paget病は女性に対してやや高齢に発症する傾向があり,皮膚科領域の悪性黒色腫やボーエン病と鑑別する必要がある.本症例ではCEA染色が鑑別に有用であった.予後は比較的よい疾患とされているが,男性例の報告が少なく,術後の十分な経過観察が必要である.
  • 相木 総良, 折茂 達也, 三国 聡, 田口 和典, 清水 道生, 高橋 弘昌, 藤堂 省
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2136-2139
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は69歳女性,平成11年4月左乳癌の診断で胸筋温存乳房切除術を施行した. Non invasive ductal carcinoma, t1 n0 m0 stage Iの診断であった.以後外来経過観察中の平成12年2月右乳房CD領域に大きさ2.4×1.8cmの腫瘤を認め,穿刺吸引細胞診でclass Vの診断であった. 3月16日胸筋温存乳房切除術を施行した.病理組織学的診断は, histiocytoid carcinoma, t1 n0 m0 stage Iの診断であった.
    Histiocytoid carcinomalま極めて稀であり,WHO分類さらにわが国の乳癌取扱い規約には-組織型として分類されていない.現在までに報告されている例は,検索しえる限り40例のみであった.本症例に文献的考察を加え報告する.
  • 菊池 寛利, 芹澤 淳, 丸尾 祐司, 大澤 浩一郎, 矢部 雅巳, 積 惟貞
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2140-2144
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,男性.急激に増大する右乳房腫瘤を主訴に来院した.右乳房E領域に弾性軟な径約7cmの腫瘤を触知し,エコー, CT, MRI検査にて内部に充実性腫瘍を持つ嚢胞性腫瘤の像を呈した.嚢胞内容は血性で細胞診はclass IIIであった.嚢胞内乳癌を疑い,生検目的で単純乳房切除術を施行した.術中に腋窩リンパ節の腫大を認めたため,一部採取した.病理組織学的診断は,嚢胞内乳癌で,腋窩リンパ節は2/3陽性であった.後日改めてレベルIIまでの腋窩リンパ節郭清を施行したが新たな転移は認めなかった.本邦では最近まで,男性嚢胞内乳癌におけるリンパ節転移は報告されておらず,リンパ節郭清を省略した術式の検討もなされている.今回われわれは本邦2例目となるリンパ節転移を伴った男性嚢胞内乳癌の1例を経験したことより,嚢胞内乳癌における安易なリンパ節郭清の省略には注意を要すると考えた.
  • 犬塚 央, 阿南 敬生, 勝本 富士夫, 玉江 景好, 光山 昌珠
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2145-2150
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    乳腺扁平上皮癌は稀な腫瘍であり,その術前診断法についての報告は少ない.今回われわれは当院で経験した乳腺扁平上皮癌9例を報告し,術前診断法について検討した.平均年齢は63.6歳,平均腫瘤径は3.9cmと,通常型乳癌に比べ年齢が高く,腫瘤径の大きい進行癌が多かった.癌としての術前診断率は,触診8/8:100%,マンモグラフィー(MMG)6/8:75%, 乳腺超音波(US)7/8:88%,穿刺吸引細胞診(FNA)6/6:100%であった. MMGで特徴的な所見はなかったが, USでは8例中4例に腫瘍内にcystic partを認め,うち2例は急速に増大する腫瘍であった.FNAは6例中3例が扁平上皮癌と診断され,細胞の多形性,細胞質の重層性,多染性,核の不整,中心性,粗大凝塊状のクロマチンなどで腺癌との鑑別が可能であった.USで乳腺にcystic partを伴う腫瘤を認める場合は,扁平上皮癌の可能性があるため, FNAによる診断が有用となる.
  • Rb直腸癌を伴う感染性心内膜炎による僧帽弁閉鎖不全症の1例
    植松 正久, 安宅 啓二, 辻 義彦
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2151-2156
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    感染性心内膜炎による僧帽弁閉鎖不全症患者に出血を伴う直腸癌を併発し,双方に対して早急な手術適応があると判断し,同時手術を施行した75歳の男性例を経験した.患者は,繰り返すspike feverと咳,痰,呼吸困難,腰痛と下血を主訴に来院し,精査の結果,感染性心内膜炎による僧帽弁閉鎖不全症と直腸癌 (Rb) の併発と診断され,同時手術(僧帽弁置換術+低位前方切除術)が実施された.術後は,体液balanceを含めた血行動態のcontrolに難渋し,長期人工呼吸管理を要した.開心術と開腹術の同時手術は理想的な手段ではあるが,個々の症例に応じて,そのriskを術前に十分評価し,同時手術を行う際には,術後管理に細心の注意を払う必要があるものと考えられた.
  • 久岡 崇宏, 尾浦 正二, 吉増 達也, 有本 潤司, 桜井 照久, 松山 健次
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2157-2161
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,男性. 60歳時に鎖骨上リンパ節転移を伴う胸腺カルチノイドの術前診断にて腫瘍摘出術と縦隔および両鎖骨上リンパ節郭清術が施行された.術後3週間目の胸部CTにて,縦隔リンパ節腫脹を認めた.化学療法(cisplatin80mg/m2, etoposide100mg/m2)では,腫瘍縮小効果が得られなかったが,放射線療法(50.4Gy) により腫瘍は完全に消失した.術後4年9カ月目に両側頸部リンパ節, 7年7カ月目に左腋窩リンパ節, 9年3カ月目に右腋窩リンパ節および左肺, 9年8カ月目に顎下リンパ節への転移が認められ,それぞれの再発に対しリンパ節郭清術および胸腔鏡補助下肺部分切除術が施行された.本例は再発・転移の度,外科的療法を施行し, 9年以上もの間経過観察しえた胸腺カルチノイド症例である.その結果,再発経路から初回手術の郭清範囲として,鎖骨上リンパ節を含めた縦隔・頸部郭清までを含む必要性が示唆された.
  • 山崎 誠, 柳生 俊夫, 岸渕 正典, 西 敏夫, 川崎 勝弘, 弥生 恵司
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2162-2165
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    食道嚢腫は比較的稀な疾患である.症例は19歳男性で,胃部不快感・嘔気を主訴に受診し,腹部超音波検査で肝外側区域の背側に40mm大の腫瘤影を指摘され当科紹介となった. Dynamic MRI検査にて,肝外側区域と腹部食道に接するように40mm大のT1強調で中等度, T2強調で高信号,造影にて増強効果をもたない腫瘤影を認めた.食道嚢腫との術前診断のもと,腹腔鏡下食道嚢腫切除術を施行した.病理組織学的検査にて,嚢腫壁は繊毛上皮で被われており,二重の平滑筋層を認めた.壁内に軟骨組織を認めず, duplicationcystと診断された.本疾患に対する腹腔鏡手術は比較的に安全に施行可能であり,開腹術に比べると低侵襲である.術前に診断のついた症例においては,鏡視下手術は非常に有用な治療法である.
  • 倉立 真志, 矢田 清吾, 岸田 基, 橋本 拓也, 宮内 隆行, 近石 寛, 広川 満良
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2166-2171
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胃stromal tumor5例(狭義のGIST) を経験したので検討した.平均年齢66歳,男女比3:2, U領域: M領域:L領域は3:1:1, 大きさ0.5~30cm, 壁内1例,壁外4例. 5cm以上の3例が造影CTで不均一な増強,周囲への圧排と膨張性発育を示した.術前狭義のGIST確定診断症例はなく,胃癌合併を3例に認めた.治療は胃癌合併3例は胃全摘を,他の2例は胃部分切除を行った.病理組織化学的に5cm以上の3例が悪性を示した.免疫組織化学的に全例CD34, c-kitが陽性を示した.
    GISTのうち,平滑筋や神経組織への分化を示さない狭義のGISTは,免疫組織化学的にCD34, c-kit陽性であり細胞起源はCajalの介在細胞由来で, c-kitomaとよべる.自験例は3例に胃癌を合併していたが,胃癌とGISTが同時発生した機序など今後症例を集積し検討する必要があると思われた.
  • 笹本 彰紀, 池澤 輝男, 浅野 昌彦, 岩塚 靖, 木村 充志, 水谷 孝明
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2172-2176
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は53歳男性.32歳時に末端肥大症に対し脳下垂体腫瘍摘出術, 51歳時にgrowth hormonの高値を指摘され放射線療法が施行されていた.
    心窩部不快感,黒色便を認め,胃カメラで早期胃癌と診断され手術目的に当科に入院となった.入院時検査でGHが31.17と高値を示し,胃カメラで胃角部と前庭部大彎側の2カ所にIIc病変を認め, D2郭清を伴う幽門側胃切除術を施行した.病理学所見;共に中分化腺癌, m, sm, n(-) であった.末端肥大症ではGHにより腫瘍発生が促進される可能性が示唆されており,悪性腫瘍の合併は重要な予後決定因子であり文献的考察を加え報告する.
  • 岡 淳夫, 安宅 正幸, 角 賢一, 村田 陽子, 衣笠 陽一, 浜副 隆一
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2177-2180
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,男性.四肢の疣贅が出現し,急速に増悪するため近医受診.胃カメラを施行され,胃癌と診断された.食道多発性乳頭腫を合併しており, Leser-Trélat徴候と食道多発性乳頭腫を合併した胃癌と診断して幽門側胃切除術と皮膚生検を施行した.胃癌の病理組織診断では,原発巣とリンパ節に腺癌のなかに一部扁平上皮癌がみられた.皮膚生検では,脂漏性角化症と診断された.本症例では,疣贅,食道多発性乳頭腫がみられ,また,胃癌やリンパ節の一部に扁平上皮癌がみられており,非常に興味深い所見である. Leser-Trélat徴候の発現機序はepidermal growth factor等の関与が報告されているが,不明である.今回EGF, KGF, IL12をそれぞれの病変部で免疫染色を行い,胃癌原発巣からの増殖因子の産生を調べたが,今回の検討ではhumoral mediatorは証明できなかった.
  • 目黒 英二, 荒谷 宗充, 青木 毅一, 入野田 崇, 斎藤 和好
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2181-2184
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    十二指腸憩室穿孔の1例を経験したので報告する.症例は67歳,男性.心窩部痛を主訴に当院消化器内科受診,入院となった.上部消化管内視鏡検査にて十二指腸に憩室を認め,また腹部CTにて腎前部と十二指腸下行脚周囲の後腹膜に気腫を認めたため,十二指腸憩室の後腹膜穿孔(穿通)の診断にて開腹術を施行した.十二指腸下行脚および膵頭部背側に後腹膜膿瘍ならびにその周辺部の蜂窩織炎性変化を認めた.十二指腸壁の炎症所見が強度であり穿孔部の縫合閉鎖は行わず,膿瘍腔drainageおよび胃空腸吻合(by-pass)術を施行し,術後経過は良好であった.十二指腸憩室穿孔は痩孔形成例を含めると本邦では56例報告されている.
    本邦報告例を集計し検討を加え報告する.
  • 津嶋 秀史, 森 秀樹, 泉田 欣彦, 鈴木 泰志, 日下部 輝夫
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2185-2189
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    保存的治療で軽快した,急性胆嚢炎の波及によると考えられる十二指腸狭窄の1例を経験した.症例は84歳,男性.主訴は発熱と軽度の上腹部痛.感冒性胃腸炎の診断で入院,抗生剤の輸液で症状軽快傾向にあったが,入院後第7病日に大量の嘔吐出現.上部消化管造影および内視鏡検査で十二指腸下行脚の狭窄像が認められた.超音波, CTにて十二指腸狭窄部に接し腫大した胆嚢が描出され,胆嚢炎の波及による十二指腸狭窄と診断した.高齢ゆえ手術希望せず,絶食, IVH,抗生剤投与等保存的治療を行ったところ,約10日間で狭窄は解除された.十二指腸狭窄に対しては,ほとんどの症例で手術が施行されているが,本症例の如く保存的治療で狭窄が解除される症例もあり,手術適応は慎重に決定する必要がある.
  • 小練 研司, 宗本 義則, 三井 毅, 浅田 康行, 飯田 善郎, 三浦 将司
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2190-2194
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は28歳,男性. 1998年3月小腸Crohn病穿孔のため小腸部分切除を受け,以後外来で薬物療法にて治療中,嘔気が出現し入院した. Crohn病の胃十二指腸病変と診断し保存的治療にて軽快退院したが, 1999年3月18日狭窄症状が再出現した.上部消化管造影検査では幽門部から十二指腸球部に狭小化を認め,内視鏡検査では同部にcobble stone様の隆起と潰瘍形成を認めた. Crohn病の胃十二指腸病変による狭窄と診断し薬物療法,内視鏡的拡張術を試みたが不成功に終わったため,幽門側胃切除術, Billroth II法再建を行った.病理所見では十二指腸に全層性炎症と非乾酪性肉芽腫を認めた.内視鏡検査の進歩によりCrohn病の微小な胃十二指腸病変の発見頻度は高まっているが,狭窄症状をきたし手術治療を要するに至る例は稀であるため文献的考察を加えて報告する.
  • 雄谷 純子, 平野 誠, 村上 望, 宇野 雄祐, 菊地 勤, 野澤 寛, 奥田 俊之, 橘川 弘勝
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2195-2198
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,男性. 18歳から精神分裂病のため精神科病院に入院していた. 38歳時に虫垂切除術を受けた.平成12年8月29日,突然の腹痛と嘔吐を訴え,当科へ紹介された.腹部単純X線写真で淡い腫瘤陰影とniveauを伴う小腸の拡張を認めた.腹部CT検査で回腸末端に内部lowで周囲high densityの腫瘤影があり,その口側の小腸が拡張していた.以上から消化管異物によるイレウスと診断し保存的加療を試みたが改善傾向なく,翌日緊急手術を施行した.虫垂切除術の影響と考えられる回腸の癒着があり,回腸末端から30cmの箇所で異物が嵌頓していた.癒着〓離により回腸壁が脆弱となったため,同部を異物とともに切除した.異物は4.5×3.5cmの桃の種子であった.本症例では精神疾患のため術前の問診が困難で消化管異物を特定できなかったが,腹部CT検査で桃の種子に特徴的と思われる像を呈していた.以上より,腹部CT検査は本症の診断に有用であると考えられた.
  • 落合 大樹, 小野 成夫, 服部 裕昭, 田中 豊治, 北島 政樹
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2199-2204
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,男性. 15歳の時外傷性脾臓破裂で脾臓摘出術をうけた. 1999年12月から6カ月間にイレウスを6回繰り返し,そのつど保存的に改善した. 2000年6月17日腹痛,嘔吐を主訴に入院.イレウスの診断でイレウス管を挿入したが回復せず, 6月28日小腸癒着剥離術を施行し,イレウス管を回腸末端部まで挿入留置し,手術を終了した. 7日後にイレウス管を抜去したが,その直後から嘔吐,腹痛が出現し,腹部CT検査,腹部超音波検査,再挿入したイレウス管からの造影検査で小腸腸重積症と診断した.自然整復を期待し経過観察したが軽快せず,術後50日目に再開腹した所空腸の腸重積を認め, Hutchinson手技による用手的整復術を施行した.腸管には腸重積の原因となる器質的疾患を認めず,イレウス管抜去を契機に発症した腸重積症と考えられた.術後3週間で軽快退院した.
  • 原 拓央, 魚津 幸蔵, 大和 太郎, 平野 勝康, 高橋 英雄, 長谷川 洋
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2205-2209
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は25歳,女性.既往歴,家族歴ともに特記すべきことなし.誘因なく突発した暗赤色水様便を訴えショック状態を呈する. CFでは回腸末端から大腸,肛門に明らかな病変を認めず,血管造影にて回腸に複数の動脈破綻が認められた.手術にて回腸末端より20cmから40cmまでの病変を認め,血管造影時の破綻動脈と一致することを確認してこの部位を切除した.肉眼的には腸間膜側に長径3から6cmの縦走する不連続な潰瘍形成と,敷石状の残存粘膜が認められた.組織学的にはUl-IIIまでの潰瘍形成と破綻動脈,潰瘍底部や周囲組織内にはLanghans巨細胞を伴う類上皮肉芽腫が存在し,小腸型Crohn病と診断した.
    Crohn病が大量下血を初発症状とする事は極めて稀であり,また本症例はCrohn病を想定する臨床症状に欠けていたため術前診断にはいたらなかったが,血管造影が出血部位の診断,手術適応の判断,切除範囲の決定に極めて有用であった.
  • 有賀 浩子, 小池 秀夫
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2210-2214
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は56歳の女性. 3年前から時に右下腹部痛あるが放置し, 1998年6月に右下腹部痛・発熱・下痢が続き症状悪化したため当院紹介となった.右下腹部に圧痛と強い腹膜刺激症状があり,腹部CT検査所見で回腸末端部の壁肥厚像を認め,回腸潰瘍による腹膜炎を疑い同日開腹した.虫垂に炎症所見は無く,回腸末端から口側10cmにかけて壁は固く肥厚し充血していたため回盲部切除術を施行した.切除標本では全周性に粘膜面の粗造と浅いびらんを形成し,病理組織所見では粘膜から粘膜下組織にかけて異型リンパ球の増加を認め,免疫組織化学検査で小腸MALTリンパ腫と診断された.治癒切除の判断が困難で術後化学療法を施行し退院,現在再発所見は認められていない.小腸原発MALTリンパ腫は比較的稀とされており,文献的考察を含め報告する.
  • 深見 保之, 長谷川 洋, 小木曽 清二, 坂本 英至, 柴原 弘明, 伊神 剛, 太平 周作, 森 俊治, 服部 弘太郎, 水野 隆史, ...
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2215-2218
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,男性.近医で検診を行い,大腸内視鏡検査で虫垂入口部にポリープを指摘され当院を受診した.大腸内視鏡検査で虫垂入口部に発赤した表面顆粒状の隆起性病変を認め,生検を行ったところ腺管腺腫と診断された.内視鏡的ポリペクトミーは困難であったため,腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.切除標本では, 10×10×12mmの有茎性ポリープを認めた.病理組織学的には腺管腺腫と診断された.虫垂腺腫の本邦報告例は自験例を含め14例で,術前に虫垂腺腫と診断しえた症例は4例のみであり,若干の文献的考察を含めて報告する.
  • 川合 重久, 小松 英樹
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2219-2222
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    今回われわれはイレウス症状から発見された比較的稀と言われる虫垂粘液嚢胞腺腫の1例を経験したので文献的考察を含め報告する.症例は82歳,女性.腹痛,嘔吐にて入院となった.イレウスの診断にてイレウス管留置, 7日後症状軽快し食事摂取可能となった.イレウス軽快後の腹部CTにて右下腹部に9.3×7.6cm大の腫瘤が認められ精査となった.大腸内視鏡検査上虫垂開口部に粘膜下腫瘍様の隆起病変を認め生検では組織診に至らなかったが,注腸造影などから虫垂原発腫瘍を疑い手術となった.術中所見から虫垂嚢腫と考えられたが虫垂根部まで腫瘍化しており回盲部切除を施行した.切除された虫垂は10×7×6cm大の嚢胞性病変であり,病理組織学検査にて虫垂粘液嚢胞腺腫と診断された.術後経過は良好であった.
  • 小笠原 豊, 東 晃平, 岡野 和雄, 米原 修治
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2223-2227
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,女性.右下腹部痛を主訴に来院し,盲腸癌と診断され,右半結腸切除術を施行された.病理組織診断は低分化腺癌であった.術前より認められた脾門部の転移性腫瘍および大動脈周囲リンパ節は,急激に増大し,術前より異常高値であった白血球数は,術後101,200/mm3にまで上昇した.急速な転帰をとり,初診から約2カ月で死亡した.
    抗G-CSF抗体を用いた免疫組織染色では陰性であったが,血中G-CSF濃度は, 430pg/mlと著明に上昇していたこととその臨床経過からG-CSF産生性が強く疑われた.
  • 澤木 正孝, 松崎 正明, 神谷 勲, 赤座 薫, 竹下 洋基, 徳永 裕
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2228-2233
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は9カ月,男児.主訴は嘔吐,不機嫌.出生は正常分娩.触診で右側腹部に腫瘤を触知し超音波検査でtarget signおよび嚢胞性腫瘤を認め腸重積症の疑いで入院となった.注腸造影検査ではカニ爪様陰影を認め腸重積症と診断し非観血的整復を試みるも不可能であった.腹部CT検査では上行結腸は層状構造を呈し腸管内に嚢胞を認めた.腸管重複症または嚢胞状腫瘍を先進部とする腸重積症の診断で緊急手術を施行した.腸重積は解除されていたが回腸末端に弾性硬の腫瘤を触知し,それのみの切除は困難なため回盲部切除術を施行した.腫瘍は球形で回腸末端の腸間膜側の粘膜下に存在した.病理組織学的所見で粘膜と筋層を有し嚢腫型重複腸管と診断された.消化管重複症は発生部位,大きさ,形態によって病態が異なり発生年齢や症状が多彩で術前診断が難しい.小児腸重積症において非観血的整復が不可能の場合画像検査により先進部を注意深く観察することが肝要と思われた.
  • 歌田 貴仁, 渡辺 俊明, 芳賀 駿介, 小川 健治, 梶原 哲郎
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2234-2236
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    横行結腸に発生した宿便性潰瘍の1例を経験したので報告する.症例は35歳の健康な男性で,便秘の自覚はないが硬便傾向はあった.突然の下血で発症し,大腸内視鏡検査にて横行結腸に出血性潰瘍を認め,クリッピングにて止血した.組織学的に悪性所見はなく,炎症性腸疾患に特徴的な所見も認めなかった.本症例は感染性腸炎ではなく, BehGet病の所見もなく,硬便傾向と屈曲部位であることより宿便性潰瘍と診断した.
  • 高田 実, 森田 高行, 藤田 美芳, 宮坂 祐司, 仙丸 直人, 高橋 亮
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2237-2240
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    今回,われわれはS状結腸癌術後1年後の大動脈周囲リンパ節再発に対し再手術を施行した症例を経験したので報告する.症例は71歳女性. S状結腸癌の診断にて平成9年1月, S状結腸切除+D3リンパ節郭清を施行した.病理診断では中分化型腺癌,深達度ss, n2(+), stage IIIbであった. 1年後の腹部CTにて左腎静脈下縁より総腸骨動脈にかけて連続した腫瘤を認め大動脈周囲リンパ節転移が強く疑われた.精査にて他に転移の所見を認めなかったため,大動脈周囲リンパ節郭清術を施行した.再手術後約3年1カ月再発の徴候なく経過している.比較的長期生存が得られている貴重な症例と考え報告した.
  • 藤岡 雅子, 泉 俊昌, 恩地 英年, 岩佐 和典, 北村 秀夫, 山口 明夫
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2241-2245
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    転移性卵巣腫瘍の原発巣として,大腸癌は比較的稀である.今回われわれは, S状結腸sm癌の術後に卵巣転移で再発した1例を経験したので報告する.症例は38歳女性, S状結腸癌にてS状結腸切除術D3郭清を施行した.病理学的には中分化腺癌で深達度sm, ly3, v0, n2であった.術後UFTを内服していたが, 6カ月後に下腹部に腫瘤が出現した.腹部CTにて両側卵巣に嚢胞性の腫瘤を認め,単純子宮全摘術および両側附属器摘除術を行った.卵巣腫瘍は結腸癌と類似した組織像であり, S状結腸癌の卵巣転移と診断された.再発術後5年間無再発であったが, 5年4カ月にて多発性肺・肝転移にて死亡した.
    大腸癌の卵巣転移は比較的稀であり,そのほとんどが同時性の進行癌に伴うもので予後は極めて不良である.本例はsm結腸癌の異時性卵巣転移であり,かつ再発術後5年生存を得られた貴重な症例と思われた.
  • 小田 斉, 中原 千尋, 植木 敏幸, 佐田 正之
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2246-2250
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は80歳,女性.主訴は肛門出血,脱肛.近医で痔核として保存的治療を受けていたが,肛門部腫瘤を指摘され当院へ紹介入院となった.直腸肛門診と内視鏡検査で歯状線直上に一見すると血栓性痔核を思わせる暗赤色弾性軟の腫瘤あり.生検標本でメラニンを有する悪性細胞を認め, HMB-45免疫染色陽性から悪性黒色腫と診断された.術前画像所見で転移なく,腹会陰式直腸切断術, D2郭清を施行した.摘出標本では歯状線上に3.9×3.2cmと3.7×1.7cmの2カ所の灰白色無茎性隆起型腫瘤を認め,組織学的病期はa1, ly1, v1, n0, Stage IIで根治度Aであった.しかし,術後8カ月に肝転移が出現し短期間で急速な増大をきたし,術後17カ月に死亡した.本疾患は腫瘍発育が著しく速く,進行例に対する有効な集学的治療法は確立されていないため,早期治療が極めて重要であると思われた.
  • 首藤 太一, 広橋 一裕, 伊藤 孝司, 田中 宏, 久保 正二, 木下 博明
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2251-2254
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    22歳,男性.平成11年9月20日に交通事故のため,大阪府下の救命センターに搬送された. IIIB型肝外傷による腹腔内出血と診断され,肝動脈塞栓術が施行された.術後発熱が続くため胆嚢炎と診断,同月24日に胆摘術が施行された.しかし発熱は遷延し, 29日に発熱の原因と考えられたS5, S6の挫滅肝の非定型的部分切除が行われた.術後ドレーンより胆汁痩がみられ,保存治療で軽快せず,平成12年3月7日に当院転院となった.
    瘻孔造影でS7肝内胆管が描出され,後枝の損傷による胆汁瘻と診断し, 4月5日に再々開腹した.肝門部で後枝胆管の肝側断端を確認しえたため胆道造影を施行し,肝管走行を確認した後に肝右葉切除を施行した.切除肝重量は425g. 術後経過は良好で,術3週後に軽快退院した.
    肝外傷では胆管損傷を伴うことも多いため,胆道造影を行った後に,可能な限り定型的な肝切除を行うことが望ましいと思われた.
  • 片桐 敏雄, 高木 純人, 金子 弘真, 田村 晃, 村国 均, 柴 忠明
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2255-2259
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    転移性肝癌に対するマイクロウェーブ凝固壊死療法(MCT)施行後に発症した稀な合併症と考えられる肝結腸瘻の1例を経験したので報告する.症例は78歳,男性.下血を主訴に当院来院.直腸診にて下部直腸に腫瘤を触知,細胞診の結果直腸癌と診断した.術前腹部CTでは,肝S4, S5, S6に計5個のlow density area (LDA)を認め,転移性肝癌と診断した.下部直腸癌に対し低位前方切除術を行い,肝転移巣に対し超音波下にMCTを施行した.術後第3病日より38度台の発熱が続き,腹部CTにて肝臓に鏡面像を伴う数個のLDAを認めた. MCT後に発症した肝膿瘍と診断し,経皮経肝膿瘍洗浄ドレナージを行った.その後症状軽快したため退院となったが,術後3カ月目の大腸内視鏡にて横行結腸に瘻孔開口部を認め,造影にて,肝内膿瘍腔に連続する瘻孔が確認された.無症状のため外来通院となったが,平成12年5月再発死した.
  • 青竹 利治, 玉川 孝治, 横町 順, 天谷 博一, 打波 大, 堀内 哲也, 田中 國義
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2260-2264
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胃癌手術症例における肝転移ならびに肝硬変を基礎疾患とする原発性肝癌はいずれも予後不良である.今回われわれは,胃癌術後の肝転移に対し腫瘍核出術と肝動注化学療法で治療後7年を経て,肝硬変から原発性肝癌を発症した患者に対し,マイクロ波にて手術を施行,現在まで再発を認めない,稀な症例を経験したので報告する.症例は65歳男性. 1990年12月進行胃癌に対し,幽門側胃切除術D2郭清を施行した. 1991年7月に肝S3に転移を認め,腫瘍核出術, EAP (etoposide, adriamycin, cisplatin)動注療法を行った. 1993年11月に肺転移に対し胸腔鏡下楔状切除術を施行し,術後EAP全身投与を行った.入院時検査でHCV抗体陽性,肝硬変が確認された. 1998年12月, AFPおよびPIVKA-IIが上昇し, CT検査で肝S2に原発性肝癌を認めた.マイクロ波凝固を行い,腫瘍核出術を施行した.現在まで胃癌,肝癌とも再発,転移は確認されず健在である.
  • 長田 真二, 佐治 重豊, 鷹尾 博司, 加藤 浩樹, 佐藤 元一
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2265-2270
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    巨大転移性肝癌切除後に遷延する黄疸を認め興味ある経過を示したので,その概要を報告する.症例は48歳,男性.会社の検診で貧血と便潜血陽性を指摘され当科へ紹介された.精査の結果,横行結腸の2型腫瘍と,肝右葉全体を占める15cm大および外側区域に転移性腫瘍を認め,右半結腸切除と肝右葉切除および外側区域腫瘍核出術を施行した.術翌日より直接型優位の血中総ビリルビン (T-Bil) 値が上昇したが,術11日目の16.8mg/dlをピークに漸次下降した.当科で経験した術後肝不全死亡8例の検討では, T-Bil値は他の肝機能検査値との間に有意相関はみられなかったが,アルカリフォスファターゼ (ALP) 値は肝不全例で術後有意に低下し,再上昇を示さないまま死亡したが,生存例では自験例の如く術後低下後漸次増加し, T-Bil値と逆相関を示した.それ故, ALP値の推移は術後T-Bil値の変動を予測する上で有用であると推察された.
  • 其田 和也, 福澤 謙吾, 木下 忠彦, 竹中 賢治
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2271-2274
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    腫瘍マーカーであるAFPのみが上昇した肝内胆管癌の1例を経験した.本症例は, 8カ月間肝血管腫として経過観察中であったが,再精査にて肝腫瘤の増大を認め,画像上は肝内胆管癌或いは転移性肝癌が疑われた.一方腫瘍マーカーではCA19-9およびCEAは陰性で, AFPのみが陽性であったため,肝細胞癌との鑑別が問題となった.拡大肝右葉切除を施行したが,病理組織学的には中分化型腺癌の像を呈しており,免疫組織化学的検索では,サイトケラチン7・19およびAFPが陽性であり, AFP産生肝内胆管癌と診断した.切除例で血清AFPのみ高値を示す胆管癌は非常に稀な症例であり,確定診断には病理組織学的検索,特にサイトケラチン染色が有用であった.
  • 加藤 崇, 黒崎 功, 興梠 建郎, 塚田 一博, 畠山 勝義
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2275-2278
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Farrarの基準を満たす胆嚢管癌の1例を経験した.症例は63歳の男性で,胆石による疵痛発作にて緊急入院となった.
    Magnetic resonance cholangiopancreatographyおよび逆行性胆管膵管造影にて3管合流部に一致して陰影欠損を認めた.胆嚢管癌が最も疑われたが,確定診断には至らなかった.開腹時肉眼所見では,胆嚢管癌は明らかであり,胆嚢全層切除+胆管切除+リンパ節郭清を行った.癌の表層進展を考慮し,肝門部から膵内胆管に及ぶ広範囲の胆管切除を行った.組織学的に腫瘍は傍神経浸潤 (grade 2) と漿膜下層への浸潤を示し,かつ膵内胆管へ癌の表層拡大を認めた.定型的な疝痛発作で発症した胆嚢炎でも,思い込みにとらわれず,注意深い画像診断が重要である.
  • 山田 卓也, 伊藤 英夫, 角 泰廣, 吉田 直優, 鈴木 実, 尾関 豊
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2279-2283
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    患者は63歳,男性.定期検診で腹部超音波検査を施行された際に,膵腫瘍を疑われ,紹介入院した.血液生化学検査,腫瘍マーカーの異常はなく,膵内分泌ホルモン検査でsomatostatinの軽度上昇を認めた.腹部超音波検査で膵体部に4.0×3.0cm大の内部構造が比較的均一な低エコー充実性腫瘤を認めた.この腫瘤は腹部造影CTで強い造影効果を有し,上腸間膜動脈造影でも,濃い腫瘍濃染像を認めた.膵内分泌腫瘍と診断し,脾合併膵体尾部切除を施行した.腫瘍割面像は,薄い黄褐色調で,辺縁に小嚢胞構造を認めたが中心部はほぼ充実性であった.病理組織検査では中心の充実性部分は顕微鏡的な小嚢胞の集簇で立方上皮細胞からなり,膵漿液性嚢胞腺腫であった.画像診断と肉眼所見が充実性であったため,膵内分泌腫瘍と鑑別困難であった膵漿液性嚢胞腺腫の1例を経験したので報告した.
  • 高野 信二, 日前 敏子, 島瀬 公一, 宮内 勝敏, 甲谷 孝史, 河内 寛治
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2284-2287
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    膵全摘を施行した膵臓粘液性嚢胞腺癌の稀な1例を経験したので報告する,症例は68歳,男性.主訴は体重減少.腹部超音波, CT, MRI検査で膵全体に及ぶ嚢胞状腫瘤を認め,粘液性嚢胞腺癌の診断にて,膵全摘を施行した.膵臓は全体に硬く,荒廃しており,多数の嚢胞が認められた.病理組織検査にて,軽度の実質浸潤とリンパ節転移を伴う粘液性嚢胞腺癌と診断された.粘液性嚢胞腺癌は膵臓悪性腫瘍全体に対して1%と稀な疾患であるが,他の通常型膵癌より予後良好であり,積極的な外科的治療が望ましいと思われた.また,粘液性嚢胞腺癌に対し膵全摘を施行した本邦報告例は自験例も含め8例のみであった.
  • 岸渕 正典, 柳生 俊夫, 山崎 誠, 西 敏夫, 川崎 勝弘, 弥生 恵司
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2288-2291
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    大網脂肪織炎は非特異的炎症性疾患でその報告例は極めて稀である.われわれは胃癌に腹膜播種や大網悪性腫瘍などの悪性疾患との鑑別が困難な腫瘍を大網部に合併し,胃癌との一括切除のために膵頭十二指腸切除術を施行した大網脂肪織炎の1例を経験したので報告する.症例は73歳,女性.上腹部痛を主訴に来院し,精査にて胃癌と診断.腹部CTで胃癌周囲のfat densityの上昇を認めたため,腹膜播種等が疑われた.開腹所見は胃癌と一塊となった手拳大の黄色弾性硬の腫瘍を大網部に認め,さらに横行結腸間膜や膵頭部を巻き込んでいたため,胃癌の腹膜播種あるいは大網悪性腫瘍との鑑別が困難で,胃癌との一括切除のため膵頭十二指腸切除術にて切除した.病理組織検査では脂肪組織は線維性化や泡沫状マクロファージを多数認め,大網脂肪織炎と診断された.大網脂肪織炎の治療は,確定診断が容易ではないが,診断がつけば過大な手術は避けるべきとされる.しかし大網脂肪織炎に悪性腫瘍を合併した症例の報告は自験例が初めてであり,また術中悪性疾患の進展と鑑別は困難であった.
  • 伊神 剛, 長谷川 洋, 小木曽 清二, 坂本 英至, 柴原 弘明, 太平 周作, 森 俊治, 上原 圭介, 服部 弘太郎, 水野 隆史, ...
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2292-2297
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は87歳の男性で,前立腺癌でホルモン療法中であった.悪心,嘔吐で他院に入院中であったが,腹痛とともにショック状態となり当院へ搬送された.来院時には血行動態は安定していたが, Hb7.4g/dlと著明な貧血を認めた.腹部造影CTで胃壁外に接して造影効果のある腫瘤性病変を2個と腹腔内出血を認めた.緊急血管造影検査を施行したが,明らかな造影剤の漏出像は認めなかった.超音波内視鏡で胃壁に接する腫瘤性病変を認め,胃壁外性腫瘍の診断で,手術を施行した.開腹時に血性腹水を認め,腫瘤は胃壁に接するように2個存在していた.腫瘤を含めた胃部分切除術を施行した.割面では胃壁との連続性は認めず,組織学的所見では出血壊死に陥っており,肉芽腫 (Braun腫瘤)と診断された.腫瘤の存在部位から壊死性リンパ節炎が肉芽腫へ変化したと考えた.出血を呈した大網肉芽腫は自験例が第1例目であった.
  • 安部 哲也, 高 勝義, 片山 信, 小倉 豊, 日比野 茂
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2298-2302
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    患者は70歳,男性.右下腹部腫瘤を主訴に来院,精査目的で入院.腹部CTで盲腸壁外側に均一に造影される不整形腫瘤と腸腰筋前面と内側にそれぞれ不均一に造影される腫瘤を認めた.注腸造影検査では盲腸壁の伸展不良を認めた.以上より右下腹部の腫瘤は盲腸壁より発生した肉腫とそのリンパ節転移または後腹膜腫瘍の診断で手術を施行.右下腹部腫瘤は手拳大で盲腸壁右側に強固に癒着していた.また腸腰筋前面で右総腸骨動脈を後面と外側から取り巻くように腫瘤が存在していた.回盲部切除,腫瘤切除術を施行した.術後病理組織学的所見で腸腰筋前面の腫瘤は後腹膜分化型脂肪肉腫,盲腸壁の病変は多形性脂肪肉腫で盲腸壁外より浸潤しており,後腹膜分化型脂肪肉腫からの腹膜転移と診断した.
    後腹膜脂肪肉腫は症状に乏しく,巨大腫瘤で発見されることが多く,本症例は腫瘍の進展形式が特異的であったため報告する.
  • 遠藤 秀彦, 佐藤 武彦, 石川 徹, 八島 良幸, 佐藤 孝
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2303-2306
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は44歳女性で,平成4年10月に腹部超音波検査にて異常を指摘され後腹膜腫瘍の診断下に腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は膵臓,肝臓,十二指腸球部,胃前庭部に囲まれた後腹膜腔に存在し,膵臓に約3cmの癒着を認め,左肝動脈を巻き込んでいた.病理学的にnon-functioning paragangliomaと診断された.経過観察中,術後6年10カ月後の平成11年10月肝腫瘍を認め,肝部分切除を施行した.切除腫瘍はparagangliomaの肝転移と診断された. Paragangliomaは組織学的に良性と診断されても切除後長期間を経て転移,再発することがあるため,術後長期間の経過観察を要すと思われた.
  • 広瀬 邦弘, 浜口 純, 渡辺 義人, 権藤 寛, 川俣 孝
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2307-2311
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    術後7年目に再発した後腹膜平滑筋肉腫の1例を経験した.症例は84歳,女性. 7年前に当院にて後腹膜平滑筋肉腫にて腫瘍摘出術の既往歴があり,今回,腹部CT検査にて右腎に接して9.0×5.0cm大の嚢胞性腫瘤を認めた.腫瘍は後腹膜に存在し,周辺臓器への浸潤はなく,完全切除が可能であった.病理組織学的診断は平滑筋肉腫の再発であった.
    後腹膜平滑筋肉腫は比較的稀な疾患で,切除後の局所再発が多く,予後は不良である.予後の改善には完全切除が必須であり,再発例に対しても積極的に再切除することが予後向上に重要であると考えられた.
  • 知久 毅, 佐野 渉, 新村 兼康, 田代 亜彦
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2312-2315
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    嵌頓鼠径ヘルニアは急性腹症として緊急手術の適応となることが多く,時として嵌頓臓器の壊死を伴い腸管切除を余儀なくされることもある.今回われわれは,盲腸が嵌頓し穿孔性腹膜炎をきたした症例を経験したので報告する.症例は79歳男性,右鼠径部に有痛性の腫脹を伴った腹部の激痛を主訴とし当科受診.精査の結果,鼠径ヘルニア嵌頓による汎発性腹膜炎の診断の下,開腹術を施行した.開腹時の所見で移動性盲腸が認められ,嵌頓していた腸管は盲腸を中心とし,口側は終末回腸,肛側は上行結腸であった.盲腸の後壁に穿孔部があって,同部位より腸管内容が腹腔内に漏出し腹膜炎を惹起したことから,滑脱ヘルニアというよりは,著明な移動性盲腸のため盲腸が嵌頓したと考えられた.型のごとく回盲部切除および腹腔内洗浄ドレナージを施行し手術を終了した.盲腸自体が嵌頓した鼠径ヘルニアの報告例は1例のみしかなく,稀な症例と思われた.
  • 藤原 英利, 山崎 満夫, 安田 健司, 富吉 浩雅
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2316-2320
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は101歳,女性.嘔気嘔吐と腹満感出現し,イレウスの診断で当院紹介入院となる.腹部は著明な鼓腸をみとめ右鼠径部に4cmの膨隆を認めた.腹部単純X線で腹部全体に胃と小腸の拡張したガス像を認めた.腹部CT, 腹部超音波で右鼠径部に腸管の腹壁からの脱出を認めた.右大腿ヘルニアによるイレウスと診断し,全身麻酔下で緊急手術施行した.大腿輪に小腸が嵌頓するRichterヘルニアであった.腸管壁は暗赤色を呈していたが,短時間で改善し腸管切除は行わなかった.術後心肺機能は安定し,腎機能も改善し術後2日より飲水, 3日より食事摂取を再開した.
    術後譫妄による不穏状態は7日間持続した.その後の経過は順調で14日に退院となった.
    平均寿命の延長や,医療技術の進歩に伴い,高齢者に対する手術は増加しているが, 100歳以上の消化器手術例は極めて稀であり,本邦での報告例は自験例も含めて8例にすぎない.
  • 篠嵜 秀博, 高西 喜重郎, 由里 樹生, 松本 潤, 南 智仁
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2321-2324
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は56歳女性.排尿困難および尿閉を主訴に受診し,臀部に20cm大の巨大腫瘤を認めた.腫瘤は生下時より指摘されていた. CT, MRI所見より仙尾骨部奇形腫との診断となり,腫瘤摘出術を施行した.組織像では,扁平上皮性粘膜,ムチン産生細胞等がのう胞内面に認められ一部に粘膜細胞の増生や歯を認めた.仙尾骨部奇形腫は高齢化に伴い悪性化も高率になると指摘されているが,本症例では成熟型臀胞性奇形腫であり,悪性所見は認められなかった.成人仙尾骨奇形腫は極めて稀な疾患であるが臀部腫瘤の鑑別診断のひとつとして考慮されるべきであり,また診断時はその悪性化を考慮して積極的な外科的切除を勧めてゆくべきである.
  • 石黒 めぐみ, 梅北 信孝, 阿部 秀樹, 井上 暁, 北村 正次
    2001 年 62 巻 9 号 p. 2325-2328
    発行日: 2001/09/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    吐血で発症した進行胃癌例に,膵管内乳頭腺癌を合併した1例を経験した.症例は61歳男性.吐血を主訴に緊急入院.胃体上部の2型胃癌からの出血で内視鏡的に止血した. CTにて膵頭部に多胞性の腫瘤と主膵管の拡張が認められ, ERP時の膵管ブラッシングにて膵管内乳頭腺癌と診断した.胃全摘+膵頭十二指腸切除を施行した.術後経過は良好で45病日退院した.膵癌と他臓器癌との重複癌は比較的稀であり,その中でも膵管内乳頭腺癌との合併は,調べ得た範囲内では本邦2例目であった.
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