日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
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63 巻 , 12 号
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  • 吉見 富洋, 朝戸 裕二, 秀村 晃生, 池田 真美, 岡 大嗣, 田中 敏明, 鈴木 章史
    2002 年 63 巻 12 号 p. 2869-2874
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    1998年4月より2002年5月までの間に当院において消化器手術後難治性瘻孔に対するフィブリン糊による瘻孔閉鎖術を17例に経験した.瘻孔の発生原因は,縫合不全16例,胃潰瘍穿孔1例であった.最低14日間の保存的治療後も閉鎖しない瘻孔に対して瘻孔造影後,市販のフィブリン糊製剤を使用して閉鎖術を実施した.瘻孔閉鎖率は,一回の閉鎖術後で17例中12例, 71%であり,この比率は二回実施することにより17例中16例, 94%にあがった.瘻孔閉鎖術前因子と結果との関係に関しては,瘻孔長10cmを超える瘻孔が10cm未満の瘻孔と比べて一回の閉鎖術で有意に閉鎖しやすかった.また,一日排液量が100mlを超える瘻孔を閉鎖することが可能であった.
  • 高橋 弘昌, 高橋 将人, 田口 和典, 佐々木 文章, 藤堂 省
    2002 年 63 巻 12 号 p. 2875-2882
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    乳癌の再発後生存期間に影響する因子,とくに全身療法の影響を検討した. 1960年から2001年末までに治療を行った再発乳癌229例を,再発時期により1981年以前に再発した群(前期群)と1982年以後に再発し化学内分泌療法を受けた群(後期群)の2群に分けて検討した.単変量解析では,再発時期,臨床病期,手術術式,組織学的リンパ節転移, DFI, 再発形式が予後因子であった.再発形式別では,局所再発,骨転移が肺,肝,脳転移よりも再発後生存期間が長期であった.再発時期別では,骨転移,肺転移,脳転移では,後期群で前期群よりも再発後生存期間が延長していた.多変量解析ではDFI, 再発形式,再発時期,組織学的リンパ節転移が独立した予後因子であった.今回の検討より骨転移,肺転移,脳転移症例では,化学内分泌療法のような全身療法が再発後生存期間を延長しえることが示唆された.
  • 菅原 元, 山口 晃弘, 磯谷 正敏, 原田 徹, 金岡 祐次, 鈴木 正彦, 芥川 篤史, 鈴村 潔, 臼井 達哉
    2002 年 63 巻 12 号 p. 2883-2889
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    過去20年間に胃下部進行癌に対して,膵頭十二指腸切除術(以下, PDと略記)を施行した36例(PD群)を対象として,胃癌に対するPDの適応と意義について検討し,同じ時期に施行された胃下部癌のうちSIもしくはN3症例でPDが行われなかった78例(非PD群)と比較した. PD群の5年生存率は34.2%で,非PD群の5年生存率は11.9%であった.肉眼的に膵頭部への浸潤を認めるSI症例ではPD群の5生率は36.9%, 非PD群は12.6%と有意にPD群の5生率が良好であった(p=0.025). si症例ではPD群の5生率は11.7%,非PD群は0%, n3症例ではPD群の5生率は33.3%, 非PD群は9.5%であった. si症例n3症例については, PD群と非PD群との間に,予後に関する有意差は認めなかった.術中に原発巣および転移リンパ節からの膵頭部浸潤が疑われる胃下部進行癌に対しては,根治性があり耐術可能であれば, PD施行の適応と考えられた.
  • 田中 邦哉, 渡会 伸治, 永野 靖彦, 藤井 義郎, 野村 直人, 遠藤 格, 関戸 仁, 嶋田 紘
    2002 年 63 巻 12 号 p. 2890-2896
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    大腸以外を原発とする転移性肝癌の肝切除意義を考察した.原発部位は胃癌10例,卵巣癌6例, gastrointestinal stromal tumor (GIST) 4例,その他9例であった.
    胃癌同時性切除7例の累積生存率は非切除36例に比べ良好であったが(P<0.05), H3, 肝外転移例を除外すると差はなかった.異時性切除3例は全例H2で肝外転移陰性であったが,非切除24例と背景に差はなく,生存率は切除例が良好であった(P<0.05).卵巣癌では切除全例肝外転移陽性であったが,非切除18例に比較し生存率は良好であった(P<0.05). GIST 4例中2例は腹膜播種併存例であり,残肝再発3例中2例に複数回肝切除を行い,術後43ヵ月, 107ヵ月生存中である.
    以上より,肝外転移がない胃癌肝転移では, H2までの異時性は肝切除により予後改善が期待できるが,同時性あるいは異時性H3では切除のみの効果は乏しい.一方,肝外転移を伴うものでも卵巣癌, GISTは肝切除により長期予後が期待できる.
  • 村上 貴志, 杭ノ瀬 昌彦, 南 一司, 稲垣 英一郎
    2002 年 63 巻 12 号 p. 2897-2900
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    老年期に至るファロー四徴症(TOF)は極めて稀であり,心内修復術を行う際のリスクの評価や姑息術の選択など,小児期とは違った問題点がある.症例は65歳の男性.血液酸素飽和度が80%台で以前より労作時呼吸困難があったが,手術は拒否されてきた.安静時の呼吸困難をきたし,精査の結果,両心室機能は良好で肺動脈の発育もよく,側副血行路の発達も認めず,諸臓器の機能も比較的良好であったため,手術としての心内修復術を選択した.結果,術後経過は順調で,術後2週間で退院した.現在NYHA I度である.高齢者であっても,条件がよいファロー四徴症では安全に心内修復術が可能であると考えられた.
  • 矢田 真希, 庄村 赤裸
    2002 年 63 巻 12 号 p. 2901-2903
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    大動脈四尖弁の1例を報告する.症例は58歳,女性.労作時呼吸困難を繰り返し,精査の結果,大動脈弁閉鎖不全症と診断され,手術目的で当科受診となった.本症例は,術前の経胸壁心エコー,心臓カテーテル検査,経食道エコーにて,大動脈四尖弁が疑われた.手術所見は, Hurwitzの分類type Cの四尖弁であり,大動脈弁置換術を施行,経過は順調であった.
  • 小林 克巳, 濱田 芳郎, 石川 進, 大滝 章男, 坂田 一宏, 森下 靖雄
    2002 年 63 巻 12 号 p. 2904-2907
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    動静脈瘻を形成した孤立性総腸骨動脈瘤の手術症例を経験した.71歳の慢性透析患者で,術前に心不全症状を自覚していなかった.大動脈から左総腸骨動脈には,血腫の器質化したような堅い組織を認め,瘤は右総腸骨動脈に限局していた.瘤の切開後,約13×8mm大の動静脈瘻を直接縫合閉鎖し,瘤の中枢と末梢側の動脈は縫合閉鎖した.下肢血行再建には8mmの人工血管を用いて腹部大動脈と右外腸骨動脈間にバイパスを作製した.大動脈周囲に器質化した血腫が認められた事から,動静脈瘻は破裂した総腸骨動脈瘤が静脈壁に穿通して形成されたと考えられた.慢性透析により水分コントロールが厳重に為されていたために,心不全症状はなかった.総腸骨動脈瘤の破裂により動静脈瘻をきたした症例は稀であること,慢性透析患者であったため,水分管理が厳重に為され心不全症状が出にくい特殊な症例と考え,報告した.
  • 小峰 啓史, 笹野 進, 丸尾 祐司, 芹澤 淳, 大澤 浩一郎, 大貫 恭正
    2002 年 63 巻 12 号 p. 2908-2911
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は51歳,男性,建築大工.釘を口に咥えて作業していた際,突然咳込み釘を何本か誤嚥した.当日は放置していたが翌日朝になり血痰が出現し当院受診.胸部X線にて左下肺野に1本,腹部X線で消化管に2本計3本の誤嚥された釘が認められた.胸部CTでは左肺S9領域,気管支内に釘と思われる影が認められ,腹部CTでは十二指腸水平脚部および空腸内に釘と思われる影が認められた.気管支内の1本に関しては,自然喀出は困難と判断,気管支鏡下異物除去術を施行.消化管内の2本については禁食にし緊急手術に備えながら自然排泄を期待して経過観察とした.気管支内の釘を除去した後には血痰はみられず,消化管内2本の釘のうち1本は入院翌日に,もう1本は6日後に自然排泄された.その後は特に問題なく退院となった.
  • 谷口 雄司, 鈴木 喜雅, 伊藤 則正, 岡田 耕一郎, 石黒 清介, 應儀 成二
    2002 年 63 巻 12 号 p. 2912-2915
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は84歳,女性.左乳癌に対する胸筋合併乳房切除術,胃潰瘍に対する開腹下による胃切除術,左胸膜孤立性線維性腫瘍に対する後側方開胸下による腫瘍摘出術の既往があった. 1997年3月に左前胸部のボーエン病に対して腫瘍切除術および遊離皮膚移植術を施行された. 1998年7月より同部位に皮膚潰瘍を形成し,難治のため2000年3月に左第3肋骨を含めた胸壁全層切除術を施行した.既往歴および切除部位より,右大胸筋を上腕骨停止近傍で切離した右大胸筋皮弁を作製して胸壁を再建した.呼吸機能は良好に維持された.術後2年経過した現在,日常生活には支障はない.
  • 池永 茂, 沖野 基規, 藤岡 顕太郎, 山下 勝之
    2002 年 63 巻 12 号 p. 2916-2919
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は60歳の男性. 7日前にヒラメの煮付けを食べた際咽頭から喉頭にかけての不快感が自覚された.その2日後より発熱と胸部不快感が出現したため近医を受診し,扁桃炎として治療を受けたが,症状は改善しなかった.初診日昼食摂取後に強度の心窩部痛が出現し,当院救急外来へ搬送された.食道穿孔による急性縦隔炎の診断のもとに緊急手術が施行された.穿孔部が不明なため縫合閉鎖は行われず,頸部および腹部の2方向からの縦隔ドレナージが施行された.術後9日目に頸部食道の穿孔部が明らかになり,また両側の胸膜外膿瘍腔の形成が認められたため, T-tubeを用いた食道外瘻造設術と胸膜外膿瘍腔ドレナージ術が施行された.その後MRSA縦隔炎を併発し治療に難渋するも,さらなる2度の追加手術を行い救命ができた.魚骨による食道穿孔治療は開始時期,選択された治療法により不幸な転帰を辿ることの多い疾患とされている.文献的考察を含めて報告する.
  • 柴崎 弘之, 平井 一郎, 川口 清, 森谷 敏幸, 神賀 正博, 木村 理
    2002 年 63 巻 12 号 p. 2920-2925
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    食道悪性腫瘍のうち食道癌肉腫の頻度は稀である.最近granulocyte-colony stimulating factor (G-CSF)産生腫瘍が注目されている.白血球,血清G-CSF値の増加を伴った胃上部の腫瘍を切除し,切除標本で有茎性の食道癌肉腫であった1例を経験した.食道癌肉腫, G-CSF産生腫瘍を文献的考察を加え,報告する.
    症例は79歳,男性.主訴は嚥下時つかえ感で,胃上部のI型腫瘍で紹介となった.白血球数28,810/μl, CRP 20.1mg/dl,血清G-CSF値は231pg/mlと上昇していた.
    G-CSF産生胃癌の術前診断で胃全摘術を行った.切除標本は6×4.5cmの有茎性腫瘍で,胃食道接合部の食道粘膜から発生していた.病理検査では上皮癌と紡錘型の間葉型肉腫の成分があり食道癌肉腫と診断した. G-CSF抗体免疫染色では扁平上皮細胞,紡錘型の両方の細胞質が陽性であった.術後G-CSF,白血球数, CRP値は正常化した.
    発熱などの炎症所見がなく,白血球数が異常高値を問葉系腫瘍ではG-CSF産生腫瘍を,また胃食道接合部の有茎性の腫瘍では,食道癌肉腫を疑う必要がある.
  • 佐藤 俊, 川口 信哉, 新谷 史明
    2002 年 63 巻 12 号 p. 2926-2929
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    腹腔内膿瘍をきたした胃壁膿瘍の1例を経験したので報告する.症例は73歳,女性.腹痛・全身倦怠を主訴に受診,エコーにて胆嚢の腫大を指摘され,急性胆嚢炎として入院し保存的に加療された.症状は一時改善したが,発熱とCRPの上昇を認め, CT上胆嚢腫大と肝左葉背側,脾背側,胃後壁に多量の腹水の貯留を認め腹腔内膿瘍の診断となった.そこでPTGBD (E. aerogenesが検出)および腹腔内膿瘍ドレナージ(K. oxytoca & P. aeruginosaが検出)を施行した.ドレナージにより膿性腹水は減少し手術となった.術中所見で胃体下部後壁粘膜下に8×6cm大の粘膜下腫瘍類似病変を認め,幽門側胃切除・横行結腸部分切除を行った.病変内部より腹腔内膿瘍と同様の膿汁が採取され培養ではK. oxytocaが検出された.病理所見で病変はSSを主座とする胃壁膿瘍との診断であり培養結果などから今回の腹腔内膿瘍の原因と考えられた.
  • 和城 光庸, 河木 潤, 片岡 雅章, 佐野 渉
    2002 年 63 巻 12 号 p. 2930-2933
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    患者は59歳,女性.腹痛あり当院受診.腹部CT検査にて,直径約8.0cmの胃壁外発育型粘膜下腫瘍による穿孔と診断し,緊急手術を施行した.病理組織学的検査では,紡錘形細胞の観兵式配列を認めたが,核分裂像はほとんど認めなかった.免疫組織学的検査では, CD34染色陽性, C-kitレセプター染色陽性を示し,組織由来が明らかでない狭義のgastrointestinal stromal tumorと診断した.本疾患の概念などについては,未だ確立しておらず,若干の文献的考察を加え報告する.
  • 藤井 仁, 岩瀬 和裕, 檜垣 淳, 三方 彰喜, 今北 正美, 上池 渉
    2002 年 63 巻 12 号 p. 2934-2937
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    同一臓器内にGastrointestinal stromal tumor (GIST)の併存を認めた胃真性癌肉腫の1例を報告した.症例は72歳男性で,上腹部不快感の精査中に発見された胃体上部の1型腫瘍に対し,胃癌の診断にて胃全摘術を施行した.病理組織学的に,腺癌様部分と筋への分化を示す間葉系細胞とを認め,また免疫組織化学染色の結果からも真性癌肉腫と診断した.また同時にGIST併存も認められた.過去本邦において報告されている胃癌肉腫34例のうち真性癌肉腫と確診されているものは6例にすぎない. GIST併存の癌肉腫の意義は現在のところ不明であるが,癌肉腫の発生に関して今なお不明な点も多く,症例の蓄積が必要と考え報告した.
  • 中島 弘樹, 根本 雅明, 前田 光久, 小暮 公孝
    2002 年 63 巻 12 号 p. 2938-2942
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,女性. 2000年9月頃より心窩部の違和感を覚えるようになった.同年10月下旬黒色便を主訴に当院を受診,胃内視鏡にて胃体上部に超鶏卵大の腫瘤を認め入院,諸検査より進行胃癌と診断した.入院後も腫瘍からの出血が続き,繰り返しの輸血を要する状況が続いたため手術を施行した.腫瘍の肉眼的な漿膜浸潤は認めなかったが, 2群までのリンパ節腫大が顕著であったため, T2 (SS) P0H0N2, stage IIIaと判断し,胃全摘出術, D2郭清を行った.腫瘍は柔らかい組織に覆われた1型の病変で,大きさは10.5×8×2cmであった.病理組織学的な検索では低分化癌と絨毛癌が混在しており両者に組織学的な移行を認めた.術後約3カ月で,広範囲の肝転移巣を認め,血中のHCGβサブユニット値は386.2ng/mlと顕著に上昇していた.化学療法は行わず,患者は術後約6カ月で癌死した.
  • 石丸 啓, 中村 利夫, 丸山 敬二, 柏原 秀史, 今野 弘之, 中村 達
    2002 年 63 巻 12 号 p. 2943-2947
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は45歳,男性. 1991年,潰瘍性大腸炎(UC)と診断され,以後再燃寛解を繰返し,ステロイド療法,リンパ球除去療法などを施行したが改善傾向を認めなかったため, 98年UCに対する外科治療を目的に当科を紹介された.入院後,術前胃内視鏡検査にて胃大彎にtype 3の腫瘍を認め,生検にて低分化腺癌と診断されたため,幽門側胃切除術,大腸亜全摘,回腸瘻造設術を施行し,二期的に回腸嚢肛門管吻合術を施行した.病理学的には,胃癌はM, Gre, 3型, SS, n1, P0, H0, M0, por 2, stage IIIaであった. UCは,粘膜固有層への単球・好中球の浸潤が目立ち全結腸型のUC active stageと診断された.
    UCが胃癌を合併した症例の報告は稀であり, UCおよび胃癌に対して同時手術した報告はない. UCの重症度や,胃癌の進行度の違いがあるため,それぞれの症例により治療の選択はさまざまであるが,本症のごとく治療抵抗性を示す難治例では,術後増悪の可能性を考え大腸亜全摘術・幽門側胃切除術の同時施行が安全な術式と考えられた.
  • 木山 輝郎, 田尻 孝, 吉田 寛, 徳永 昭, 吉行 俊郎, 松倉 則夫
    2002 年 63 巻 12 号 p. 2948-2952
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    遠肝性側副血行路を伴う未治療肝硬変患者に対し,術前血管塞栓療法が有用であった胃癌切除症例を経験したので報告する.
    患者は68歳,女性. 6年前より肝硬変(C型肝炎),食道静脈瘤により経過観察中,胃下部前壁の3型進行癌と診断された.既往歴は25年前子宮体癌(輸血あり).遠肝性の左胃静脈-下大静脈シャントに対し,下大静脈流入部をBalloon閉鎖下に金属コイルで塞栓し,つぎに脾動脈を50%塞栓した.中心静脈栄養管理と利尿剤により,上肢の浮腫は消失し,体重は6kg減少した.幽門側胃切除術(D1)と側副血行路の結紮を行い, Billroth II法, Brown吻合で再建した.低分化型腺癌, T3(se), N1(1/23), CY0, P0, H0, M0 (f-stage IIIA).胃切除後はクリニカル・パスに沿って, 17日目に退院となった.術後2年経過し,再発を認めず,経過良好である.
  • 小坂 綾, 梨本 篤, 藪崎 裕
    2002 年 63 巻 12 号 p. 2953-2957
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    4型胃癌根治術から8年10カ月後に局所再発したが,胃切除可能であった稀な吻合部再発癌症例を経験したので報告する.症例は73歳,男性で1991年11月20日,ほぼ全胃を占める16.0×11.0cmの4型進行胃癌に対し, D2リンパ節郭清を伴う胃全摘+脾摘術を施行した.組織型はpor 2で, SE, pN2 (25/72), ly2, v1, PM(-), DM(-)で,根治B手術であった.術後は順調に経過していたが, 2000年4月頃よりつかえ感,体重減少が出現した.精査にて吻合部癌と診断され, 9月20日両側肺部分切除+横隔膜切除を伴う吻合部切除術を施行した.組織型は同様にpor2でSI, ly(+), v(+), PM(-), DM(-)であった.病変は吻合部の粘膜下を主体として浸潤性に発育しており,原発腫瘍としての所見を欠いており,特殊染色にて組織学的に両者はほぼ同様の結果を示した.従って,臨床的には稀であるが吻合部再発胃癌と診断した.現在外来にて通院加療中である.
  • 寺内 りさ, 市倉 隆, 山内 明, 望月 英隆
    2002 年 63 巻 12 号 p. 2958-2961
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は83歳男性で, 25歳時に肺結核の既往があり, 9カ月前に上行結腸癌に対し右半結腸切除を受けていた. MU領域後壁の3型の胃癌に対してTS-1, CDDPによるNeoadjuvant chemotherapy後に開腹手術を施行した.開腹時,腹膜および腸問膜に粟粒大の無数の小結節と回腸の部分的狭窄を認め,腹膜播種を疑ったが,腹腔洗浄細胞診および小結節の術中迅速病理検査では悪性所見は認められなかった.胃全摘および回腸結腸吻合部切除を行った.病理組織検査にて小結節は,抗酸菌染色陽性の菌体成分が認められ,結核性腹膜炎の合併と診断され,術後抗結核剤による治療を開始した.近年,結核は再興性感染症のひとつとして注目されている.結核性腹膜炎は稀であるが,担癌症例の開腹時に播種性病変がみられた場合,念頭に置く必要がある.また手術侵襲や化学療法による結核再燃の可能性に留意すべきと思われる.
  • 藤田 晃司, 村井 信二, 中村 明彦
    2002 年 63 巻 12 号 p. 2962-2966
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,女性.易疲労感を主訴に当院受診し,末梢血検査にて貧血を認めた.腹部CT検査では径8cmの十二指腸粘膜下腫瘍を認め,上部消化管内視鏡検査では,十二指腸球部にdelleを伴った粘膜下腫瘍を認めたため,手術を施行した.上十二指腸曲の前壁に頸部を有する腫瘍に対し,局所切除を施行した.しかし十二指腸の欠損が大きかったため,幽門側胃切除術を施行し, Billroth-II法にて再建した.切除標本の病理組織学的所見では紡錘状の腫瘍細胞が索状に配列していた.免疫組織化学的検索では, CD34, c-kit陽性,かつ一部でdesmin陽性,一部でheavy caldesmon (HCD)弱陽性, smooth muscle actin (SMA), S-100蛋白陰性であるためRosaiの分類でgastrointestinal stromal tumor (GIST)のsmooth muscle typeと診断した.
  • 石井 芳正, 高橋 正泰, 中山 浩一, 堀田 稔
    2002 年 63 巻 12 号 p. 2967-2970
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    非特異性小腸潰瘍の2例を経験した.症例1は34歳,女性で貧血と低蛋白血症で精査し,開腹手術により回腸末端部に硬化・変形・狭窄所見認めさらに小腸内視鏡により散在性の潰瘍を確認し切除した.肉眼所見および組織所見から非特異性多発性小腸潰瘍症と思われた.症例2は66歳,男性で三尖弁および僧帽弁閉鎖不全による慢性心不全があり下血による貧血にて精査したが,上部・下部消化管検査で異常指摘できず開腹手術下に小腸内視鏡施行し回腸末端部に浅い小潰瘍を散在性に認め切除,組織学的に潰瘍はULI~IIで血管炎を示唆する所見を認めた. 2例ともそれぞれ異なった所見であり原因の多様性が伺われた.
  • 金子 猛, 西平 友彦, 鷲田 昌信, 石井 隆道, 岩井 輝, 井出 良浩
    2002 年 63 巻 12 号 p. 2971-2975
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    側副血行路の存在より虚血性小腸炎は比較的稀とされている.今回, 3次にわたる手術を要した虚血性小腸炎を経験した.症例は82歳,女性で腹痛を主訴として来院した.腹痛が増強し, CTで認められた腹水が試験穿刺で血性であったため開腹術を施行した. 170cmにわたる小腸壊死を認め,壊死型虚血性小腸炎の診断で腸切除を施行した.さらに,初回手術後59日, 104日目にそれぞれ狭窄型虚血性大腸炎と狭窄型虚血性小腸炎による通過障害のため腸切除を施行した.両者ともに肉眼所見で全周性潰瘍と管状狭窄を認め,病理組織像での線維化を伴う潰瘍所見から狭窄型虚血性大腸炎・虚血性小腸炎と診断した.本例では僧房弁閉鎖不全症が認められ,血栓により3カ所に虚血性腸病変が発生し壊死と異時性に狭窄が顕性化したと考えられた.虚血性腸病変は通常単発であるが,小腸・大腸に複数カ所で虚血性腸病変が発生する可能性が示唆された.
  • 河合 清貴, 玉内 登志雄, 岡本 哲也, 吉田 克嗣, 佐藤 俊充, 森脇 菜採子
    2002 年 63 巻 12 号 p. 2976-2979
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は28歳の男性で, 2000年5月30日,突然の下血にて入院した.緊急大腸内視鏡検査を施行するも大腸に異常所見を認めず,出血シンチグラフィー,血管造影検査,異所性胃粘膜シンチグラフィーでも異常所見を認めなかった.小腸造影検査にて骨盤内の盲端小腸を認めたため,逆行性回腸造影を施行しBauhin弁より約80cmの回腸から分岐する盲端小腸を認め, Meckel憩室による消化管出血と診断した. 2000年6月16日,脊椎麻酔下に,回腸末端から90cmの部位に7cmのY字型のMeckel憩室を確認し切除した.病理組織学的検査は異所性幽門腺を伴ったMeckel憩室であった.
  • 森 克昭, 千葉 斉一, 山本 裕, 米川 甫
    2002 年 63 巻 12 号 p. 2980-2984
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,男性. 1週間続く腹痛と発熱を主訴に当科受診. 15歳時よりvon Recklinghausen病を指摘されていた.精査にて急性虫垂炎疑および汎発性腹膜炎と診断,緊急開腹手術を施行した.開腹すると骨盤内膿瘍を認めたが,原因は回腸腫瘍穿孔(2箇所)であり,虫垂炎は炎症波及による2次的なものと考えられた.回腸部分切除,虫垂切除および洗浄ドレナージ行い手術終了した.免疫組織化学検査において回腸腫瘍はCD34陽性c-kit陰性のgastrointestinal stromal tumor (GIST)と診断された.
    von Recklinghausen病に合併した小腸GISTは本症例が国内20例目と比較的稀であり,文献的考察を加え報告する.また,小腸GIST穿孔例についても併せて言及する.
  • 石川 泰, 京極 高久, 高峰 義和, 林 雅造
    2002 年 63 巻 12 号 p. 2985-2988
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    経肛門的イレウス管挿入後に発症したイレウス管による結腸穿孔の1例を経験した.症例は54歳,女性.横行結腸人工肛門閉鎖術施行後に吻合部の狭窄による腸閉塞がみられた.経肛門的に内視鏡にて狭窄部の拡張を行うとともに減圧目的にイレウス管を狭窄部を越えて挿入した.イレウス管挿入後2日目に腹痛と発熱が出現したためイレウス管造影を行ったところ減圧された結腸壁を管の先端が圧迫していた.イレウス管を抜去するも腹痛は改善せず,腸管穿孔と判断し緊急手術を行った.
    近年大腸の狭窄による腸閉塞に経肛門的イレウス管が有用とされているが,拡張腸管の減圧にともない管の先端による腸管壁穿孔がみられることがあり合併症としての留意が必要である.
  • 山本 精一, 泉 良平, 福島 亘, 角谷 直孝, 廣澤 久史
    2002 年 63 巻 12 号 p. 2989-2992
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は51歳,男性.肛門痛を主訴に来院.肛門は内痔核が脱出し浮腫,腫脹がみられた.熱発と白血球増加も認めたが,症状緩和目的に痔核根治術を施行した.術後1日目に肛門と周囲皮膚の発赤腫脹がみられ, 3日目には陰嚢の発赤腫大が著明になり,発赤は右鼠径部に広がった.この時点で肛門周囲,陰嚢,右鼠径部を切開排膿しドレーンを留置し, 1日3~4回の洗浄を始め同時に中心静脈栄養管理とした. 4日目には発赤は更に臍下部から対側の左鼠径部にまで広がり陰嚢の皮膚の一部が壊疽に陥った.その後炎症の広がりは拡大せず約2週間でほぼ軽快した.本例では手術がFournier's gangreneの誘因になったと考えられ手術時期について考慮すべきであった.また発症後,十分なドレナージと頻回の洗浄を行うことにより炎症の拡大をくい止めることができ,その結果全身状態の悪化を防ぐことができたと考えられた.
  • 今村 幹雄, 高橋 通規
    2002 年 63 巻 12 号 p. 2993-2998
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,女性.初回発作型,全大腸炎型,重症の潰瘍性大腸炎症例である.血性下痢で発症し,ステロイド強力静注療法を施行したが,改善せず,中毒性巨大結腸症を呈し緊急手術(結腸全摘兼回腸人工肛門および直腸粘液瘻造設)を施行した.術後,汎発性血管内血液凝固症(DIC),成人呼吸窮迫症候群(ARDS),急性出血性胃粘膜病変(AGML)および肝障害からなる多臓器障害に陥ったが,気管切開による呼吸管理などの集中治療により救命しえた.切除標本では横行結腸からS状結腸にかけ広範に粘膜が脱落し,残存粘膜は島状に散在し,縦走配列を示した.病理組織所見ではcrypt abscess, goblet cellの消失,著明な炎症性細胞浸潤に加え,粘膜脱落部には巨大な菌塊が多数付着していた.高齢発症でステロイド強力静注療法が奏効しない潰瘍性大腸炎症例では早期に手術に踏み切ることが救命につながると考えられた.
  • 野元 雅仁, 竹村 和郎, 堀越 邦康, 民上 真也, 高橋 克之介, 山口 晋
    2002 年 63 巻 12 号 p. 2999-3003
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    サイトメガロウイルス(CMV)腸炎は臓器移植やHIV感染症などのimmunocompromised hostにおける重篤な合併症として知られているが,健常者において発症することは稀である.われわれは胃全摘術後に多発性腸管穿孔を惹起したCMV腸炎の1例を経験したので報告する.症例は50歳の男性で, 3型胃癌に対し胃全摘術を施行した.術後28日,多発性大腸穿孔をきたし結腸全摘術,回腸瘻造設術を施行したが,その後も回腸穿孔をきたし再々開腹術を要した.摘出標本の免疫組織化学的染色によりCMV陽染細胞の浸潤がみられた. CMV腸炎と診断し, ganciclovirの投与を行ったところ,新たな穿孔はその後みられず,軽快退院した.原因不明の消化管穿孔に際しては,健常者といえどもCMV腸炎を念頭に置く必要があると考えられる.なお,われわれが検索しえた限り,穿孔で発症したCMV腸炎は過去の報告にはみられず,本症例が本邦初報告例である.
  • 菊辻 徹, 豊田 剛
    2002 年 63 巻 12 号 p. 3004-3007
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は79歳の男性. 5日前からの腹痛が上腹部の激痛となり来院.腹水およびfree airはなかったが,腹膜刺激症状を認め,急性腹膜炎の診断で緊急手術を施行.開腹にてS状結腸の腫瘤と口側の腸間膜内に糞便腫瘤を認め, S状結腸癌と結腸間膜穿通の合併と考えた.汚染・損傷した腸間膜を含めてS状結腸を切除しHartmann手術を施行した.病理学的に腫瘤はほぼ全周性の2型高分化腺癌ss, 1y0, v0, n0で,その5cm口側の腸間膜側に,乏血による広範な粘膜の菲薄化と萎縮消失を伴う穿孔を認め,腸間膜内に多量の糞便貯留を認めた.以上からS状結腸癌による狭窄に伴うS状結腸間膜穿通と診断した.結腸間膜穿通の報告は23例ときわめて少なく,結腸癌に合併したものは自験例を含めて3例のみである.大腸穿孔は予後不良とされるが,本症は糞便性腹膜炎を併発しにくく,早期に適切な治療が行われれば予後良好と考えられた.
  • 井原 司, 村上 英嗣, 門脇 康二, 田中 英二, 岡部 正之
    2002 年 63 巻 12 号 p. 3008-3012
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は62歳,女性.排便時出血で受診.大腸内視鏡検査で直腸下部に7mmの結節集簇様の隆起性病変と直腸S状部に1型の隆起性病変を認めた.生検診断では直腸S状部は高分化腺癌であった.先に直腸下部病変に対してEMRを施行した.結果はmalignant lymphoma (MALTリンパ腫)深達度はsmであった. 10日後に直腸S状部癌に対し低位前方切除とEMR部の追加切除として経肛門的直腸楔状切除を施行した.直腸S状部は中分化腺癌mp, H0, P0, n0, stage1であり,下部直腸の追加部位には異形細胞はみられなかった.術後化学療法は施行せず,現在術後12カ月目で再発なく健在である.大腸MALTリンパ腫は本例を含め本邦で49例の報告しかない稀な疾患である.今回われわれは直腸MALTリンパ腫と口側に癌を合併した本邦で最初の症例を経験したので報告する.
  • 太田 栄, 猪野 満, 館岡 博, 大石 晋, 渡邊 伸和, 武内 俊
    2002 年 63 巻 12 号 p. 3013-3016
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    直腸肛門部に発生する悪性黒色腫は,比較的稀な疾患であり極めて予後不良である.今回われわれは,本症の進行手術例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
    症例は64歳,女性.便秘症状の増悪があり,近医受診.大腸内視鏡検査で直腸に腫瘍を認めたため,平成12年9月18日精査目的に当院内科入院.生検にて悪性黒色腫の診断を得て, 10月2日当科転科となる. 10月11日腹会陰式直腸切断術施行.腫瘍はPRb, ほぼ全周性の1型腫瘍で,大きさは70×65mm, A1, P0, H3, M(-), N1(+), Stage IV, Cur Cであった.病理組織像では,黒褐色のメラニン顆粒を有する腫瘍細胞が固有筋層を越えて存在していた.術後,急速な肝転移の増悪を認め,術後3ヵ月後永眠となった.
  • 渋谷 均, 高島 健, 佐々木 賢一, 柏木 清輝, 井上 大成, 前田 豪樹
    2002 年 63 巻 12 号 p. 3017-3023
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は70歳の女性.食欲不振を主訴として来院した.肝炎ウイルス陰性で腫瘍マーカーは正常であった.肝エコーで右葉に巨大なisotonicな腫瘤を認め,境界は比較的明瞭,内部エコーは不均一, polycysticな像を示した. plain CTでは腫瘤はlow density, enhanced CTではheterogeneousに染まる像を示した.切除困難なため,肝動注療法を行ったが,術後8ヵ月で死亡した.本症例を含め内外報告74例の検討では平均年齢54.6歳,男女比36:38で腫瘍は右葉に多く,大きさは10cm以上が約7割を占めた.予後は概して不良であるが,治癒切除例では20ヵ月以上の生存が期待できる.画像上の特徴として肝エコーではhypoechoic, 境界明瞭な腫瘤で,内部エコーはhigh and low, multiple cystic patternを呈し, plain CTでlow, enhanced CTでheterogeneousに染まることが多いと報告されている.
  • 上杉 尚正, 松井 則親, 西 健太郎, 守田 知明, 石黒 公雄
    2002 年 63 巻 12 号 p. 3024-3028
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    肝原発腺扁平上皮癌の1例を経験したので報告する.症例は69歳,男性.心窩部不快感を主訴に来院した.血液検査上,胆道系酵素の軽度上昇, CEAの上昇, CA 19-9の高度上昇を認め, C型肝炎ウイルスマーカーが陽性であった.また,腹部超音波,腹部CTで肝右葉に径90mm大の腫瘤影を認めた.以上の所見より胆管細胞癌の診断で拡大肝右葉切除術を施行した.病理組織学的に肝原発腺扁平上皮癌と診断した.また,背景肝は肝硬変を合併していた.術後7ヵ月目に骨転移再発により癌死した.
    肝原発腺扁平上皮癌は稀な疾患でその生物学的特性はいまだ不明な点が多い.画像上特徴的な所見はなく術前診断は極めて困難である.しかし,腫瘍マーカーの所見はAFP正常, CEA軽度上昇, CA 19-9高度上昇という比較的特徴的なパターンを示すとされており,自験例も同様の所見を呈していた.
  • 三方 彰喜, 岩瀬 和裕, 桧垣 淳, 田中 靖士, 高橋 剛, 上池 渉
    2002 年 63 巻 12 号 p. 3029-3032
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,女性.総胆管結石症の再発に対して総胆管切開切石術,十二指腸乳頭括約筋形成術を施行した.術後Tチューブからの出血なく,術後17日目, Tチューブを抜去した.術後20日目,血液検査にて貧血を認め,上部消化管内視鏡検査を施行したが,胃十二指腸に潰瘍は認めず,十二指腸乳頭括約筋形成部からの出血も認めなかった.術後27日目,大量吐血にてショック状態となり,呼吸停止をきたした.心肺蘇生後,緊急大動脈カテーテル検査を施行したところ,右肝動脈前下区域枝から総胆管への造影剤の漏出を認め,コイルおよびスポンゼルを用いて右肝動脈前下区域枝の塞栓を施行した.塞栓術後,血行動態は安定し,肝機能の低下や,肝膿瘍を併発することなく軽快退院した.
  • 大橋 泰博, 宮下 薫, 山口 和也, 浅海 信也, 北原 光太郎, 大黒 善彌
    2002 年 63 巻 12 号 p. 3033-3036
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,女性.平成6年8月より発熱と全身倦怠感があり10月3日,当科入院した.腹部超音波検査, CT検査にて肝臓と十二指腸に浸潤した胆嚢腫瘍を認めた.内視鏡検査で十二指腸浸潤部の生検を行い扁平上皮癌の診断を得た. 11月7日,膵頭十二指腸切除,肝床切除,横行結腸部分切除術を施行した.病理検査では大部分が扁平上皮癌からなる腺扁平上皮癌であった.転移リンパ節は扁平上皮癌であった.術後7年を経過し再発所見なく外来経過観察中である.胆嚢扁平上皮癌は局所浸潤傾向が強く遠隔転移が少ないとされている.進行胆嚢癌であっても組織型が扁平上皮癌や大部分が扁平上皮癌からなる腺扁平上皮癌は積極的に根治手術をすることによって長期生存が期待しうると考えられた.
  • 畑間 昌博, 仲田 文造, 高島 勉, 石川 哲郎, 若狭 研一, 平川 弘聖
    2002 年 63 巻 12 号 p. 3037-3042
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    脾過誤腫の報告は稀である.今回われわれは脾摘術を施行した脾過誤腫の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は59歳,男性.平成7年に腹部超音波検査で脾に1.5cm大の占拠性病変を指摘されたが放置していた.平成13年に左側腹部痛を自覚,腹部CT検査で脾臓下極に辺縁部のみ造影効果のある直径5cm大の低吸収域を示す腫瘤を認めた.腹部超音波検査では高エコー領域として描出された.増大傾向があり良悪性の鑑別が困難なため脾摘術を施行した.腫瘤は5cm大で,組織学的には赤脾髄型の過誤腫であった.左側腹部痛は術後消失した.脾過誤腫は良性疾患であり無症状の場合は治療の必要はないとされているが術前診断特に悪性腫瘍との鑑別が困難である.確定診断は病理組織学的検査によるため無症状でも診断目的を兼ねた手術適応はあるが,脾摘後には免疫能が低下するため脾部分切除などの脾機能温存手術も考慮するべきと考えられた.
  • 橋本 直樹, 高橋 賢一, 古屋 智規, 久保田 穣, 橋爪 隆弘, 伊藤 誠司
    2002 年 63 巻 12 号 p. 3043-3047
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,男性.便秘のため当院消化器内科を受診し脾腫瘍を指摘され入院.脾外に突出する直径4cmの充実性腫瘍で,腹部CT, MRIでは辺縁のみ造影され,腹部血管造影上淡い腫瘍濃染像あり.繊維型の過誤腫を疑い,自然破裂の報告もあることから手術適応と判断し,腹腔鏡下脾摘出術を施行した.脾下極腹側に直径5.6×4.3cmの脾外に突出する球形の腫瘍を認め,腹腔鏡下に摘出しえた.割面では充実性で正常脾実質との境界は鮮明だった.病理学特検索により,脾炎症性偽腫瘍と診断した.確定診断は術後の病理診断によるところが大きい脾炎症性偽腫瘍に対し,診断と治療を兼ねた腹腔鏡下脾摘術は低侵襲で有用と考えられた.
  • 庭野 元孝, 青木 孝文, 大石 達郎, 笹野 満
    2002 年 63 巻 12 号 p. 3048-3051
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は64歳の女性. 13年前から脳梗塞後遺症の右半身完全麻痺と左半身不全麻痺を認め, 5年前より18Fr尿道フォーリーカテーテルを常時留置されていた.平成13年9月中旬より近医での膀胱洗浄時に糞尿,気尿を認め本院へ転院,膀胱鏡,膀胱造影により尿道カテーテルによる膀胱S状結腸瘻と診断された.手術は腹腔鏡下に瘻孔を含めてS状結腸を部分切除してハルトマン式で単孔式人工肛門を造設した.膀胱壁の瘻孔は硬く,腹腔鏡下の縫合が不十分なため6cmの下腹部正中切開を置き直視下に縫合閉鎖した.膀胱S状結腸瘻の報告は比較的稀で,その大多数はクローン病や憩室炎などの炎症に由来するものであるが今回,われわれは極めて稀な留置カテーテルによる膀胱S状結腸瘻を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告した.
  • 中山 隆盛, 白石 好, 西海 孝男, 森 俊治, 磯部 潔, 古田 凱亮
    2002 年 63 巻 12 号 p. 3052-3056
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    前立腺癌は,日本において死亡増加率が最も高く,今後の動向は重要である.われわれは,直腸狭窄により発見された稀な前立腺癌を報告する.
    症例は, 73歳の男性.主訴は排便困難であり,直腸癌疑いにて紹介入院となった.大腸内視鏡および注腸にて,直腸の全周性狭窄像を認めた.尿路症状を認めないものの, PSA (prostate specific antigen)が高値であり,骨転移が認められた.前立腺生検により,原発前立腺癌の確定診断となった.内分泌療法および放射線療法が奏効し,直腸狭窄は解除され,外来で内分泌療法中である.
  • 楠田 慎一, 平野 忠, 八尋 正文, 高地 俊郎, 黒川 喜勝, 伊藤 英明
    2002 年 63 巻 12 号 p. 3057-3061
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は28歳,女性.腹痛,腰痛を主訴に産婦人科受診したが,原因として婦人科疾患を否定されたため, 2001年1月当院紹介受診となった.来院時,右下腹部に約6×5cmの弾性硬な腫瘤を触知.術前,上部・下部消化管内視鏡検査にて異常認めなかったが, CT・MRIにて下大静脈右側から回盲部にかけて腫瘤を認めたため,腸間膜または後腹膜由来の腹部腫瘤を疑い, 1月23日開腹手術を施行した.腹腔内検索にて,右側結腸腸間膜に手拳大の硬い腫瘤を認めた.この腫瘤は十二指腸に直接浸潤しており,術中内視鏡にて十二指腸下行脚内腔にこの腫瘍の直接浸潤と思われる隆起性病変を確認した.手術は,結腸右半切除術・リンパ節郭清,十二指腸部分切除術を行った.組織学的に腸間膜リンパ節結核と診断された.そのため術後に抗結核剤投与を行った.十二指腸に直接浸潤をきたした腸間膜リンパ節結核を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
  • 工藤 通明, 中林 利博, 平澤 敏昭
    2002 年 63 巻 12 号 p. 3062-3066
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は31歳,女性.主訴は腹痛と食欲不振.第2子を帝王切開にて出産.約2カ月後に症状出現.腹部CT検査で左上腹部に直径約12cmのcystic lesionを認めた.嚢胞には隔壁が存在し壁に沿って下腸間膜動脈が走行していた.摘出手術を行ったが,下腸間膜動脈根部の剥離が困難で,下行結腸とS状結腸の一部も切除した.摘出標本は,弾性に富む表面平滑な嚢胞で,内容は約1,500mlで乳白色乳び様であった.病理組織学的診断は嚢胞性リンパ管腫で,嚢胞壁に慢性炎症の所見を伴っていた.
    リンパ管腫の本邦報告例は, 1997年から2001年までに486例であるが,そのうち後腹膜に発生した症例が51例あった.近年は人間ドックや内視鏡検査の増加により,腸管や腹腔内の報告例が多く,今後の治療法として内視鏡や腹腔鏡下の手術や, OK-432などの薬剤を用いることが多くなると考えられる.
  • 永井 盛太, 村林 紘二, 赤坂 義和, 楠田 司, 宮原 成樹, 高橋 幸二
    2002 年 63 巻 12 号 p. 3067-3071
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    リンパ節転移を伴った後腹膜原発平滑筋肉腫の1例を経験したので報告する.症例は48歳,女性.近医にて腹部腫瘤を指摘され当科紹介となった.右下腹部に小児頭大の弾性硬の腫瘤を触知し, US, CTでは右下腹部に径10cmの造影効果のある内部不均一な腫瘍を認め,血管造影では回結腸動脈からの腫瘍濃染像を伴っており,後腹膜腫瘍の診断にて手術を施行した.術中所見では,腫瘍は上行結腸および横行結腸を後方から圧排し,腫瘍周囲のリンパ節腫大を伴っていたため, 3群リンパ節および大動脈周囲リンパ節郭清を伴う右腎合併結腸右半切除術,ならびに腫瘍摘出術を施行した.摘出標本では径12×10×9cmの被膜を有する白色結節状の腫瘤で,リンパ節転移を伴った後腹膜原発平滑筋肉腫と診断した.
  • 佐藤 正幸, 菅野 明弘, 宮澤 正紹, 武藤 淳, 蘆野 吉和, 松代 隆
    2002 年 63 巻 12 号 p. 3072-3075
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,女性. 2000年10月頃,左腰背部膨隆に気づくも放置.その後徐々に大きくなり,2001年10月1日当科受診した.腹部CTおよびMRI検査にて左上腰ヘルニアと診断した. 2001年11月29日に手術施行し,手術所見では上腰三角部に直径約2cmのヘルニア門を認め,後腹膜脂肪組織が脱出していた.術式は脂肪組織を還納後,周囲組織が脆弱であったためPHS (PROLENE Hernia System ®)を挿入し補強した.術後経過は良好で術後4カ月現在再発を認めていない.上腰ヘルニアは稀な疾患で本邦報告は自験例を含めて39例である.治療は外科的修復が基本であり, tension-freeヘルニア修復術としてmesh-plug法の報告はあるが, PHSを応用した報告は初めてであり有用な方法と考えられた.
  • 三浦 勝, 金村 栄秀, 小尾 芳郎, 山中 研, 阿部 哲夫
    2002 年 63 巻 12 号 p. 3076-3080
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    腰部には腰三角という解剖学的抵抗減弱部が存在するが,この部位にヘルニアが発生することは稀である.今回,特発性に発症した,左上腰ヘルニアの1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は82歳女性で,左腰部膨隆を主訴として受診した. CT検査にて左腰部皮下脂肪織内に突出するヘルニア嚢内に下行結腸の脱出を認め,腰ヘルニアと診断した.手術所見で第12肋骨,内腹斜筋後縁,仙棘筋に囲まれた上腰三角にヘルニア門があり, PROLENE meshを用いて補強し,閉鎖した.本法は簡便かつ短時間に施行でき,高齢患者や合併症を持つ患者にも安全に行える術式と考えられた.
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