日本臨床外科学会雑誌
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65 巻 , 2 号
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  • 田中 芳明, 溝手 博義, 中溝 博隆, 浅桐 公男, 秋吉 建二郎, 鶴 知光, 疋田 茂樹
    2004 年 65 巻 2 号 p. 295-301
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    小児消化器患者の経腸栄養では, n-6系またはn-3系多価不飽和脂肪酸の含有量が高い栄養剤(n-6PUFA-EN, n-3PUFA-EN)のいずれが,蛋白・脂質代謝,腸粘膜のintegrityに関して有用かは未だ明らかでない.今回,小児消化器術後患者11例を対象に, n-6PUFA-ENからn-3PUFA-ENに変更した栄養管理を行い,血清脂肪酸分画, albumin, rapid turnover protein,血中diamine oxidase (DAO)活性を, n-3PUFA-EN投与前後に測定し検討した.その結果,栄養剤の変更によりn-6/n-3比は15.1から6.4に低下した. EPA/AA比, prealbumin, retinol binding protein濃度, DAO活性はいずれも有意に上昇し正常化した. n-3PUFA-ENの投与は,蛋白・脂質代謝のみならず,小腸粘膜のintegrityを維持するのに有用であると考えられた.
  • 高橋 將人, 渡邊 健一, 田口 和典, 高橋 弘昌, 伊藤 智雄, 藤堂 省
    2004 年 65 巻 2 号 p. 302-306
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    マンモグラフィを契機に発見される非触知病変に対する,ステレオガイド下吸引補助乳房針生検(以下マンモトーム生検)の有用性と問題点について検討した.当科では, 2002年3月よりマンモトーム生検を導入し,これまで30例を経験した.内訳は石灰化のみの病変が26例で,超音波で確実に同定できない腫瘍性病変が4例であった.石灰化病変のカテゴリー分類は,カテゴリー3が11例,カテゴリー4が12例,カテゴリー5が3例であった.一方腫瘍性病変は,カテゴリー3が2例,カテゴリー4は2例であった.全検査症例の40% (12/30)に悪性病変が認められ,そのうち非浸潤癌症例は25% (3/12)であった.合併症としては, 1例に血腫が出現し, 2例に軽い気分不快が生じた.検査の適応の確立やコストの問題,癌播種の危険性など解決すべき課題はあるが,ステレオガイドマンモトーム生検は低侵襲で美容的にも優れた検査法であるといえる.
  • 雷 哲明, 相良 吉厚, 高濱 哲也
    2004 年 65 巻 2 号 p. 307-311
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    乳頭と皮膚を残して皮下より乳腺を全摘(乳頭温存)し,同時に生食バッグを用いた一期的乳房再建を23例,また通常の胸筋温存乳房全摘の6例と乳頭温存術の1例に,二期的乳房再建を前提に乳癌の手術に引き続きtissue expanderを挿入した.再建後の外観と患者満足度アンケート調査ではおおむね満足が得られた.術後感染は3例に起こったが内2例は抗生剤投与によって治癒した.本術式の最大の利点は乳癌手術と同時に一般外科医でできることである.
  • 佐野 渉, 知久 毅, 田村 英彦, 橋場 隆裕, 田代 亜彦
    2004 年 65 巻 2 号 p. 312-317
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    【目的】幽門側胃切除後の再建法でRoux-Y法を採用し, Billroth I法と比較した.【対象と方法】B-Iで再建した15例とR-Yで再建した14例を対象とし,周術期の合併症や,術後6カ月と1年での体重,経口摂取量,自覚症状をアンケートした.内視鏡は術後6カ月, 1年で行い残胃炎をスコア化した.【結果】術後の経口摂取開始日や入院期間で両群に差を認めず,縫合不全も認めなかった.吻合部狭窄はB-I群で3例, RY群で5例認めた.術後6カ月, 1年での体重や食事摂取,自覚症状では両群で差は認めないが,残胃の内視鏡所見は,術後6カ月でB-I群が11.8±0.7点, R-Y群が9.6±0.5点とR-Y群で有意に低く(p<0.05), R-Y群で残胃炎が軽度だった.
    【考察】Roux-Y再建法はBillroth I法に対し,術後経過,消化器系愁訴で劣らず,内視鏡所見では残胃炎の程度が有意に軽く有用な方法である.
  • 清水 周次, 田中 雅夫, 許斐 裕之, 小林 毅一郎, 水元 一博, 山口 幸二
    2004 年 65 巻 2 号 p. 318-323
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    【目的】慢性膵炎に対する腹腔鏡下手術の適応と手術成績を提示する.【方法】膵体尾部切除術(DP) 5例と膵嚢胞胃吻合術(CG) 5例の計10例を対象とした.平均年齢53歳,男性6例,女性4例である. DPの手術適応は閉塞性膵炎2例,限局性膵石症2例,膵仮性嚢胞1例であり,術中エコーを用いて切離線を同定した後,自動縫合器で膵実質を切離した. CGの症例はすべて仮性嚢胞であり,自動縫合器を用いて嚢胞と胃壁に内瘻を形成した.【結果】膵周囲の高度な炎症のため,各術式でそれぞれ1例が開腹術に移行した.腹腔鏡下に完遂できた症例の平均手術時間はDP 283±66分, CG 204±50分であり,出血量はそれぞれ248±263g, 38±48gであった.膵液漏や縫合不全などの合併症は1例も認められなかった.経口摂取開始は平均6±1日,術後在院日数は17±4日であった.【考察】腹腔鏡下手術は,慢性膵炎に対しても今後新しい治療法の一つとなり得る.
  • 吉田 徹, 下沖 収, 馬場 祐康, 阿部 正, 菅井 有, 中村 眞一
    2004 年 65 巻 2 号 p. 324-327
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    未分化癌様の臨床経過を呈した胃癌甲状腺転移の1例を経験したので報告する.症例は67歳,女性,頸部腫脹を主訴に受診した.超音波検査, CT検査で甲状腺のび漫性腫大を認めた.穿刺吸引細胞診で大型の腫瘍細胞を認め,臨床症状から甲状腺未分化癌と診断した.画像上摘出可能と判断し手術を施行した.抗癌剤感受性試験の結果, 5-Fu, CDDPの併用が最も抑制率が高くlow dose FPのregimenで化学療法を開始した.病理組織検査では,腫瘤の主体が分化度が低い癌細胞の脈管侵襲によるものであった.胃内視鏡検査を施行したところ,胃の低分化腺癌と診断され,免疫組織染色の検索により胃癌からの甲状腺転移と診断された.肝・肺転移にDICを併発し術後57病日に死亡した.臨床上,甲状腺未分化癌を疑わせる症例や,癌の既往のある頸部腫瘤の症例は,他臓器からの甲状腺転移を念頭においた精査・治療が必要であると考え報告した.
  • 藤田 佳史, 蔭山 典男
    2004 年 65 巻 2 号 p. 328-332
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は45歳,女性.左乳腺腫瘤を指摘され,術前組織検査にて悪性リンパ腫の診断を得て,左乳房温存術を施行し, CHOPやVP-16などの術後化学療法を施行した.免疫組織染色により, non-Hodgkin lymphoma, diffuse medium T-cell typeと判明し,抗HTLV-I抗体の陽性が確認できたことにより成人T細胞性白血病(ATL/L)の乳腺リンパ腫型と確定した.入退院を繰り返し,化学療法を施行したが,術後約3年で,脳転移により死亡した.
    乳腺原発悪性リンパ腫は稀な疾患であり,画像検査においては術前に乳癌との鑑別は困難な症例が多いとされている. LSG分類においてびまん性リンパ腫大細胞型が大部分を占め,ほとんどがB細胞型であるのに対し,今回われわれは比較的稀なATL/Lの乳腺リンパ腫型の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
  • 椎木 滋雄
    2004 年 65 巻 2 号 p. 333-336
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    乳腺のadenomyoepitheliomaはほとんどが良性と考えられるが,稀に悪性例の報告がある.今回,浸潤性乳管癌を伴った乳腺adenomyoepitheliomaの1例を経験したので報告する.症例は52歳女性で,左乳房腫瘤を主訴に来院した.乳癌の術前診断でBt+At+Icを施行した.病理組織学的に腺上皮細胞と筋上皮細胞の2つの型の腫瘍細胞が増生するadenomyoepitheliomaと浸潤性乳管癌が混在する腫瘍と診断された. ER, PgRはともに陰性で腋窩リンパ節転移は認めなかった.患者は術後5年を経過した現在,再発を認めていない.
  • 野村 昌哉, 井上 善文, 桂 浩, 藤田 繁雄, 阪尾 淳, 宗田 滋夫
    2004 年 65 巻 2 号 p. 337-340
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は55歳,閉経後女性. 51歳時にホルモンレセプター陽性乳癌に対し乳房温存手術を施行した(術後補助療法: CMF療法+tamoxifen).術後4年6カ月時に胸骨傍リンパ節腫脹と前胸部痛にて再発.胸骨傍リンパ節再発と診断してtriweekly docetaxel療法+toremifene投与を行ったが無効で, grade 4の好中球減少を認めたため中止した.アロマターゼ阻害剤: anastrozole (1mg/日)の単独療法を開始したところ,投与開始後3カ月で前胸部痛が軽減し,投与開始後6カ月でリンパ節再発巣は消失した.本療法による副作用は認めなかった. Anastrozole開始14カ月目の現在CRの状態で,社会復帰している.
    多剤耐性となったホルモンレセプター陽性閉経後再発乳癌に対するanastrozole療法は,有力な選択肢の一つとなりうることが示唆された.
  • 武元 浩敏, 中野 芳明, 矢野 浩司, 岡本 茂, 堀木 貞幸, 門田 卓士
    2004 年 65 巻 2 号 p. 341-344
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    副乳癌は乳癌に対し0.2%~0.6%の頻度で認められる.今回,左の腋窩に発生した副乳癌の1例を経験したので報告する.
    症例は50歳,女性.左腋窩腫瘤を主訴に近医を受診し,腫瘤の摘出生検を受け,真皮から皮下域にかけての境界不明瞭な浸潤癌と腫瘍周囲に残存する正常の乳腺を認めた.副乳癌が疑われ,切除断端が不明であったため,追加切除の目的にて当科紹介された.左腋窩局所切除および左腋窩リンパ節郭清を施行した.切除標本では,摘出生検後の肉芽組織のみで,腫瘍の遺残は認めず,本来の乳腺組織との連続性はみられず,副乳癌と診断した.
    自験例を含む本邦報告93例を集計し検討を加えた.
  • 鈴木 大, 亀高 尚, 岡村 大樹, 花輪 孝雄
    2004 年 65 巻 2 号 p. 345-348
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    副乳癌の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.【症例】88歳,女性.平成14年3月,右腋窩の腫瘤性病変を自覚し当科受診.右腋窩に直径2cm大の腫瘤を認め, 3/25局所麻酔下に生検施行.術後の病理学的検索にて副乳癌の診断を得た. 4/19全身麻酔下に遺残腫瘤切除・腋窩リンパ節郭清(level I)を施行.切除標本に明らかな癌の遺残,腋窩リンパ節転移を認めなかった.現在外来にてAnastrozole内服下に経過観察中である.【考察】副乳癌は稀な疾患で, 2003年までに100例の報告がある.腋窩腫瘤の診断では副乳癌を念頭に置いて検索するべきであると考えられた.また,手術においては乳房切除の必要性を検討するため,術前に腫瘤全体の組織学的検索をするべきであると考えられた.
  • 井上 慎吾, 宮川 直登, 草野 佐, 雨宮 秀武, 國友 和善, 藤井 秀樹
    2004 年 65 巻 2 号 p. 349-353
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    ガンマナイフ治療が奏効した多発脳・肺転移乳癌の1例を経験したので報告する.症例は56歳女性で右乳房腫瘤と右乳房緊満感を主訴に来院した.精査の結果多発脳・肺転移を認める乳癌であった.単純乳房切除術後の1週目に脳転移に対しガンマナイフ治療を行い,術後2週目から肺転移に対しdocetaxelによる化学療法を開始した.治療経過中,新たに発生した脳転移巣に対して,さらに2度のガンマナイフ治療を行い,術後8カ月間は高いQOLを保つことができた.しかしその後ガンマナイフによる頭痛,嘔気と化学療法による全身倦怠感のため治療を継続できず,術後約9カ月目に脳・肺転移が原因で死亡した.ガンマナイフは脳転移巣に対し,低侵襲性で高い局所制御率が得られる.脳以外の転移巣に対する治療効果が期待できる乳癌では,ガンマナイフ治療は非常に良い適応となり,脳転移が原因の死亡率は著しく減少することが期待される.
  • 熱田 義顕, 芝木 泰一郎, 森本 典雄, 笹嶋 唯博
    2004 年 65 巻 2 号 p. 354-357
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,男性.脳梗塞で当院脳外科入院中の腹部CTで,偶然最大径5cmの腹部大動脈瘤指摘され当科紹介となった.マントルサインは明らかではなかった.術前消化管精査でS状結腸にII型腫瘍を認めた.手術は二期的に行う方針とし,最初にS状結腸切除術, D1を施行した.病理組織検査では中分化型腺癌, mp, ly0, v1, INFβ, ow (-), aw (-), Stage IIであった. 36日後に腹部大動脈瘤に対し後腹膜経路で瘤切除人工血管置換術を施行した.瘤壁は白色陶器様であり病理組織検査で炎症性腹部大動脈瘤の診断が得られた.炎症性腹部大動脈瘤と大腸癌が合併した稀な症例と考え,文献的考察を加え報告する.
  • 豊田 亮彦, 菊地 紀夫, 水谷 正彦, 宇田川 郁夫, Ram Dhoj SHRESTHA, 宮崎 勝
    2004 年 65 巻 2 号 p. 358-361
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    胃の軸捻転を伴ったMorgagni孔ヘルニアの1例を経験した.症例は68歳,女性.食直後の嘔吐および上腹部痛を主訴として入院し,胸部X線で右肺野の異常陰影を認めた.消化管造影では胃軸捻転および横行結腸の右胸腔への脱出を認めた. MRI矢状断では,横行結腸と大網を内容とするMorgagni孔ヘルニアを認めた.経腹的に手術を施行したところ, MRIで評価された大きさと同様のMorgagni孔ヘルニアを認めたため,ヘルニア嚢を反転切除し,非吸収糸による結節縫合により閉鎖した.術後経過は順調であった.本症例の症状は,ヘルニア内容により胃軸捻転が生じたためであると推測された. Morgagni孔ヘルニアの診断において,鑑別診断(縦隔腫瘍など)やヘルニア門の評価も含め, MRI検査は有用である.また,手術に関しては,確定診断をつけた上で,経腹的アプローチを行うことが奨められる.
  • 田中 則光, 羽井佐 実, 川崎 伸弘, 山野 寿久, 柚木 靖弘, 濱田 英明
    2004 年 65 巻 2 号 p. 362-365
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    右胸腔内へ胃,横行結腸が脱出,嵌頓し,更に穿孔をきたしたために呼吸困難,ショック症状を呈した食道裂孔ヘルニアの1例を経験したので報告する.症例は84歳,女性.主訴は突然の呼吸困難でショックの状態で当院へ搬送された.胸部単純X線検査では右下肺野は無気肺を呈しており消化管ガスによる圧排のためと考えられた.上部消化管造影検査では胃全体が胸腔内に脱出しており,臓器軸性胃軸捻転による造影剤の停滞を認めた.胸部CT検査では胃と腸管が右胸腔内へ脱出し右肺下葉の無気肺を認め,縦隔は軽度左に偏位していた.以上の所見より,胃軸捻転を伴った胃および腸管の右胸腔内への脱出,嵌頓を呈した食道裂孔ヘルニアと診断した.手術は食道裂孔部縫縮術,横行結腸穿孔部の部分切除,人工肛門造設術を施行した.術後は一時的に改善傾向がみられたものの, DIC,多臓器不全のため,術後45日目に死亡した.
  • 菅野 雅彦, 橋本 貴史, 工藤 圭三, 梶山 美明, 鎌野 俊紀, 鶴丸 昌彦
    2004 年 65 巻 2 号 p. 366-370
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    食道癌術後の乳糜腹水に対し,ソマトスタチンアナログの投与が有効であったと思われる1例を経験したので報告する.症例は57歳,男性.胸部中上部食道癌に対し右開胸開腹胸腹部食道胃上部切除,胸骨後挙上胃再建,頸部吻合, 3領域リンパ郭清を施行した.術後経過は良好で第9病日より経口摂取を開始した.第14病日頃より腹満感が出現.腹水穿刺にて大量の黄白濁色の腹水を認め,リンパ管シンチにて乳糜漏と診断し,保存的に経過をみていた.症状改善し第40病日より経口摂取開始したが,再び症状が悪化したため第50病日より絶食とした.しかし,症状軽快しないため第60病日よりソマトスタチンアナログの投与を開始した.ソマトスタチンアナログの投与後,次第に腹満感の改善,腹囲の減少,体重の減少を認め第103病日に退院となった.術後難治性乳糜漏に対し,ソマトスタチン療法は,外科的治療を考慮する前に試みるべき一方法であると考えられた.
  • 乾 嗣昌, 阿古 英次, 豊川 貴弘, 沢井 康悦
    2004 年 65 巻 2 号 p. 371-374
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は71歳の女性.めまいを主訴に当院受診.貧血があり,上腹部中心に圧痛・反跳痛を認めた.腹部CTにて胃壁に連続して約10cm大の充実性腫瘤および腹腔内出血を認めたため緊急開腹術施行.開腹時約1,200mlの腹腔内出血を認め,胃体上部後壁に亜有茎性の腫瘤が存在した.胃壁部分切除を含めて腫瘍摘出術を行った.腫瘍は被膜に覆われて内部に凝血が認められ,被膜の一部が破綻して腹腔内出血したと考えられた.病理組織所見では密集した紡錘型細胞からなり核分裂像はほとんど認めず,免疫組織染色ではc-kit(+), α-SMAは一部のみ(+)でごく一部筋組織への分化を示すgastrointestinal stromal tumor (GIST)であった. GISTに関する報告は近年多くみられるが腹腔内出血で発症したGIST症例は少なく自験例を含めて7例であった.今後とも症例蓄積が重要と考え報告する.
  • 堀川 雅人, 中辻 直之, 杉原 誠一, 高山 智燮, 野見 武男, 丸山 博司
    2004 年 65 巻 2 号 p. 375-379
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は76歳の男性.検診目的の腹部CT検査で胃角部を中心とした壁肥厚および肝門部リンパ節に径約5cmの腫瘤を認め,胃透視,内視鏡検査(生検にてtub-1)にてStage IIIbの胃癌と診断した.切除可能と判断したが,根治度を高めるためにTS-1 100mg/dayを2週間投与し1週休薬, CDDPは30mg/dayを1, 8日目に点滴静注した. 1コースは入院中に,以後の3コースは外来にて投与した. 4コース終了時の腹部CT検査で胃角部を中心とした壁肥厚は消失し,肝門部リンパ節も径が2.0cmと著明に縮小した.副作用は特に認めなかった.以上の結果から化学療法による治療効果はPRと診断し, 4コース終了後15日目に胃全摘術を施行した.病理組織所見で癌細胞は認めず治癒切除が施行できたと考えられた.再発徴候もなく外来通院中である. TS-1・CDDP併用療法は進行胃癌に対する外来で行える術前化学療法として有効な治療法となり得ると考えられた.
  • 舟木 洋, 廣澤 久史, 野島 直巳, 福島 亘, 角谷 直孝, 泉 良平
    2004 年 65 巻 2 号 p. 380-384
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,男性.主訴は心窩部痛.上部消化管内視鏡検査で胃体上部小彎側に3型腫瘍が認められ,生検では非充実型低分化腺癌と診断された.腹部造影CTで明らかな他臓器転移を認めず,胃全摘,脾臓合併切除, D2郭清を施行した.病理組織学的には,神経内分泌細胞癌と診断され,一部粘膜内に高分化型管状腺癌を共存していた.また, chromogranin Aは両部位で陽性であった. Etoposide, cisplatinを用いた術後補助化学療法を施行したが,多発性肝転移をきたし,術後6カ月で原病死した.胃神経内分泌細胞癌は稀な組織型で,極めて予後不良であることが知られている.本症例は,共存した高分化型管状腺癌部でもchromogranin Aが認められ,組織発生の観点から興味ある症例と考えられ報告する.
  • 下山 雅朗, 河内 保之, 永橋 昌幸, 西村 淳, 新国 恵也, 清水 武昭
    2004 年 65 巻 2 号 p. 385-389
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    胃癌の壁内転移は極めて稀である.今回われわれは残胃に発生した胃癌の壁内転移の1例を経験したので報告する.症例は63歳,男性.胃癌の診断で当科を紹介され, 2002年9月,幽門側胃切除術を施行した.病理診断は乳頭腺癌, ss, ly3, v3, n0であった.術後3カ月, CA19-9が上昇.腹部CTで多発性肝転移の診断でTS-1,タキソールによる化学療法を行った.しかし肝転移は増大.また,胃内視鏡検査で,残胃内に山田III型腫瘍を3個認め,残胃への壁内転移が疑われた.胃の腫瘍による消化器症状が強いこと,全身化学療法で肝転移が悪化したことより手術の方針とし, 2003年8月,残胃全摘術,肝動注カテーテル留置術を行った.残胃内に腫瘍を3個認め,いずれも原発巣と同じ乳頭腺癌であった.術後経過は良好であり, 19病日に退院した.
  • 西土井 英昭, 徳安 成郎, 池田 光之, 柴田 俊輔, 山口 由美, 工藤 浩史
    2004 年 65 巻 2 号 p. 390-394
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,男性. 33歳時(25年前)に胃潰瘍にて幽門形成術(Finny法)を伴う選択的迷走神経切離術を受けた.その後, 25年経過し,健診で貧血を指摘され,精査の結果,胃癌と診断され当科紹介となった.前庭部小彎側に3'型の進行癌が発見され,幽門側胃切除術が行われた.切除標本では癌腫は幽門輪および幽門形成部には及ばず,病理組織学的検索では低分化型腺癌,深達度se, ly(o), v(o), stage IIであった.迷切術後の胃癌の報告は少なく本邦で自験例を含めて32例にすぎない.しかし,かつて迷切術は良性潰瘍に対して盛んに行われた術式であり,本術式の晩期合併症として無視できないものである.迷切術後の胃癌は残胃癌,胃空腸吻合術後の胃癌と類似した発生機転も推察され,本邦報告例を集計し,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 和久 利彦, 渡辺 和彦, 冨岡 憲明, 高木 英幸
    2004 年 65 巻 2 号 p. 395-399
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例1: 8歳,女性.転倒し腹部打撲.再検の腹部CTで,腹腔内遊離ガス像を認め,受診後11時間で緊急手術施行.球部から下降脚にかけて5.5cmの破裂を認めた.単純縫合では高度狭窄となるため胃空腸吻合を追加した.症例2: 53歳,女性.ハンドルで腹部打撲.再検の腹部CTで後腹膜腔内ガス像を認め,さらに十二指腸造影にて造影剤の漏出を認めたため受傷後10時間で緊急手術施行.下降脚から水平脚への移行部の完全離断を認め,十二指腸端端吻合を行った.症例3: 17歳,男性.野球の練習中朝礼台で腹部を強打.来院時の腹部CTで腹腔内遊離ガス像を認め,受傷後3時間で緊急手術施行.球部前壁に2cmの破裂を認め,単純縫合閉鎖した.それぞれ術後経過は良好であった.早期診断には腹部CTを経時的に繰り返し行うことが大切である.また受傷後24時間以内で膵損傷がないII型症例は,単純縫合閉鎖や端端吻合で十分であると思われた.
  • 渡辺 真実, 飯合 恒夫, 黒崎 功, 横山 直行, 神田 達夫, 畠山 勝義
    2004 年 65 巻 2 号 p. 400-403
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,男性. 1993年12月7日,十二指腸平滑筋肉腫の診断で当科にて幽門側温存十二指腸切除術(PPPD)を施行された.その後他院にて経過観察されていたが, 2001年10月の検診で軽度肝機能障害を指摘された.腹部CTにて肝S4を主体とした直径7cmの嚢胞状腫瘤を認め,辺縁に腫瘍成分を認めたため,十二指腸平滑筋肉腫の肝転移が強く疑われた. 2002年3月5日,肝中央2区域切除術を施行した.病理組織所見では,腫瘍は紡錘形の細胞からなり,免疫染色で, c-kit陽性, SMA陰性, desmin陰性, caldes-mon陰性, CD34陰性でありGISTと診断された.本症例のように, GISTは切除後5年以上経過してから再発する例も認められ,術後長期の経過観察が必要である.
  • 田崎 達也, 水流 重樹, 植田 秀雄, 熊谷 元, 谷本 康信
    2004 年 65 巻 2 号 p. 404-409
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    本邦では稀な疾患である原発性小腸軸捻転症の1例を経験し,腸切除せずに治癒しえたので報告する.症例は85歳,女性.開腹術の既往はない.腹痛と嘔吐のため受診し,腹部X線にてイレウスと診断され,入院となった.腹部CT検査で腸管拡張像と著明な腹水を認め,緊急手術を施行した.上腸間膜動脈根部付近で,小腸が時計周りに3回転捻転していた.誘因となる解剖学的異常はなく,原発性小腸軸捻転症と診断した.小腸壊死は認めず,軸捻転整復のみで手術を終了した.術後3日目より経口摂取を開始し,経過は良好であった.本症は術前診断が困難であるが,発症後,小腸が急激に壊死に陥ることが多い疾患である.開腹のタイミングを逸さないよう,特に所見に乏しいことが多い高齢者においては注意が必要である.
  • 林 悟, 武田 義敬, 北澤 理子
    2004 年 65 巻 2 号 p. 410-413
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は40歳,女性.腹部膨満,嘔吐を主訴に来院した.内視鏡検査にて横行結腸に閉塞を認め,悪性疾患と診断し開腹手術を行った.手術所見では右側結腸および終末部回腸に多発性の病変を認めた. 70cmの終末部回腸切除を伴う右半結腸切除術を施行した.摘出標本の所見では,結腸,回腸に多発性の壁肥厚を伴う潰瘍形成を認め,組織所見では乾酪壊死巣と巨細胞を伴う肉芽腫を認めた. Ziehl-Neelsen染色では巨細胞の胞体内に抗酸菌を認め,腸結核と診断した.特に基礎疾患を認めない症例においても,腸結核の存在を念頭に置いた診療が必要であると考えられた.
  • 櫻川 忠之, 横井 俊平, 久納 孝夫, 村田 透, 佐伯 悟三, 法水 信治
    2004 年 65 巻 2 号 p. 414-418
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    消化管原発悪性腫瘍の中でも小腸原発の悪性リンパ腫は比較的稀である.今回化学療法後に生じた瘢痕性狭窄に対し腸管切除を行った空腸原発悪性リンパ腫の2例を経験したので報告する.症例1は74歳,男性.食欲不振,腹部腫瘤精査目的に当院受診.精査にて空腸原発悪性リンパ腫の診断.平成13年5月から化学療法施行.化学療法後に空腸狭窄をきたし平成13年10月空腸切除術を施行.術後第17日で退院したがリンパ腫の再燃などで術後約4カ月後に死亡.症例2は74歳,男性.上腹部痛,腹部腫瘤精査目的に近医受診.精査にて空腸原発悪性リンパ腫の診断.当院に紹介され平成13年12月から化学療法施行.化学療法後に空腸狭窄をきたし平成14年2月空腸切除術を施行.術後約1年4カ月後現在明らかな再燃を認めていない.小腸原発悪性リンパ腫では化学療法後に狭窄をきたし手術適応になる症例があるため,治療の際に念頭に置くべき重要な合併症のひとつと考えられた.
  • 大島 哲, 井上 仁
    2004 年 65 巻 2 号 p. 419-423
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    悪性腫瘍に過凝固状態が合併することは知られているが急性動脈閉塞をきたすことは稀である.われわれは悪性リンパ腫加療中に2回にわたり異なった場所に急性動脈閉塞をきたしたものの積極的治療により救肢しえた1症例を経験した.症例は58歳,女性.回盲部悪性リンパ腫に対し回盲部切除施行. 3週間後にT-COPによる化学療法を行った.化療後10日目に左腸骨動脈が閉塞,血栓溶解と血栓摘除を併施し救肢した.さらに3回の化学療法を追加したところ,最後の化学療法から12日目に右大腿動脈が閉塞した. 2回の血栓摘除に加えTPAによる血栓溶解療法を施行し救肢した.悪性腫瘍による過凝固状態を伴った急性動脈閉塞症に対しては原病に対し根治治療を施すと共に積極的多方面からの加療が肝要であると思われた.
  • 畠山 悟, 親松 学, 佐藤 賢治, 筒井 光廣
    2004 年 65 巻 2 号 p. 424-428
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は89歳,女性.変形性膝関節症による疼痛に対し6年前から近医よりindometacin farnesil 400mg/日と,頓用としてindometacin坐薬50mgを処方され使用していた.途中indometacin farnesilに換えてetodolac 400mg/日を使用していた. 5日間の食欲不振,吐き気,下痢に続き下腹痛出現し同院を受診.腸炎の診断で保存的加療を受けたが軽快せず, 2日後より腹膜刺激症状出現し,腹部単純レントゲン上,腹腔内遊離ガス像を認め,同日当科紹介受診し,汎発性腹膜炎の診断で緊急手術を施行した.盲腸に2箇所の穿孔を認め回盲部切除術を施行した.また,横行結腸の中央には漿膜の発赤と壁の肥厚を認めた.病理組織学的には非特異的潰瘍であった.術後はDIC,腹腔内膿瘍を併発したが治癒した.術後49日目の大腸内視鏡検査では,横行結腸に広範囲な潰瘍瘢痕を認めた.稀なNSAID起因性と考えられた大腸穿孔症例を手術し救命したので文献的考察を加え報告する.
  • 福田 直人, 土用下 和之, 丸野 要, 山川 達郎
    2004 年 65 巻 2 号 p. 429-432
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は50歳,男性.下腹部痛,下血を主訴に当院に緊急入院となった.左下腹部に鶏卵大腫瘤を触知し圧痛を伴っていた.腹部CTにてS状結腸に腸重積を認め, CFでは同部位に内腔に突出する鶏卵大で弾性硬,表面平滑な腫瘍を認めた.生検の結果はGroup 1で癌細胞は認められなかった.以上よりS状結腸粘膜下腫瘍が原因の腸重積と術前診断し, S状結腸切除+リンパ節郭清術(D2)を実施した.病理組織学的検査の結果,分化型脂肪肉腫と確定診断された.術後経過は順調で23日目に軽快退院となった.大腸原発の脂肪肉腫症例は稀である.本例は本邦5例目の大腸原発脂肪肉腫例であった.これら5例の大腸脂肪肉腫本邦報告例を分析したところ,分化型は表面平滑で転移を認めず,多形型は表面不整な多結節型で転移しやすいという傾向が認められた.
  • 菅沼 利行, 識名 敦, 田中 正文, 青笹 季文, 宇都宮 勝之, 長谷 和生
    2004 年 65 巻 2 号 p. 433-438
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は41歳,女性.肛門からの腫瘤脱出を主訴に精査目的にて入院.下部消化管造影検査,大腸内視鏡検査にてS状結腸に5 cm大の表面平滑な半球状の粘膜下腫瘍様病変を認めた.腹部CT検査では骨盤腔左側に内部不均一な境界明瞭な腫瘤性病変を認めた.以上よりS状結腸粘膜下腫瘍疑いにて腹腔鏡補助下S状結腸部分切除術を施行した.腫瘤は塑性を有し,腸間膜側に境界明瞭な憩室様突起構造を認めた.摘出標本では腸間膜側に主座を置く嚢胞状病変を認め,管腔側頂部に小孔を有し,内部に糞便の貯留が認められた.病理診断では嚢胞壁は結腸粘膜と独自の平滑筋層を有し,大腸重複症と診断された.異所性粘膜や悪性腫瘍の合併は認められず,術後経過も良好にて第13病日に退院した.成人大腸重複症は極めて稀な疾患であり,その術前診断は容易ではない.腹腔鏡補助下にて切除しえた報告はなく,本疾患の治療法の一つとして有用であると思われた.
  • 今井 哲也, 川口 雅彦, 菊地 勤, 藤岡 重一, 若狭 林一郎, 村田 修一
    2004 年 65 巻 2 号 p. 439-443
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,女性.便潜血陽性を主訴に当院受診した.大腸内視鏡検査にて盲腸に粘膜下腫瘍様の隆起性病変が認められた.注腸透視では盲腸内腔への平滑な隆起とその周囲のはち巻きひだが,また回腸末端部には圧排所見が認められた.さらに腹部・骨盤部のエコー, CT, MRI検査にて内部に粘液を有する嚢胞状の虫垂腫瘤と6cm大の卵巣嚢腫が認められた.虫垂粘液嚢腫およびその卵巣転移が疑われ,結腸右半切除(D3)と両側卵巣摘除を施行した.病理組織学的に虫垂病変は粘液嚢胞腺腫であったが,一方で卵巣病変は甲状腺腫と診断された.虫垂粘液嚢腫と卵巣甲状腺腫の合併はきわめて稀であり,文献上類をみない.また虫垂粘液嚢腫の良悪性の肉眼的判断は難しく,本例のように卵巣転移が疑われる際には悪性に準じた術式選択が妥当であると考えられた.
  • 柴田 佳久, 加藤 岳人, 鈴木 正臣, 尾上 重巳, 長沢 圭一
    2004 年 65 巻 2 号 p. 444-448
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    血尿・肛門出血より発症し,前立腺炎による膿瘍形成が起因と考えられた稀な直腸膀胱瘻症例を報告する.症例は75歳,男性.慢性前立腺炎にて泌尿器科通院中,肛門出血をみたため当科を受診された.直腸前壁に硬い腫瘤を触知した.精査で直腸粘膜に炎症性変化を伴う前立腺炎と直腸膀胱瘻との診断にて経過観察となった. 1年後に直腸膀胱瘻による腎盂腎炎を併発したため外科的処置を施行した.術中所見にて小骨盤腔内の強度な炎症性変化の存在から瘻孔の単純切除は困難と判断し人工肛門造設術とした.その後膿瘍は消退,患者の生活状況(QOL)も良好である.良性疾患に起因する直腸膀胱瘻には,各病態に応じて患者のQOLを重視した治療を行うことが肝要である.
  • 佐藤 公司, 所 忠男, 塩崎 均
    2004 年 65 巻 2 号 p. 449-453
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は49歳,男性.腹痛を主訴に来院.腹部X線上鏡面像あり.腸閉塞症にて入院.腹部CT検査上回盲部の腸管肥厚.腸管減圧を図ったが腹部膨満増強.回盲部腫瘤の術前診断にて緊急手術を行った.術中所見上,腫大した虫垂が後腹膜にはまり込むように存在.さらにTreitz靱帯より約80cm肛側小腸が同部に強固癒着.虫垂原発の悪性腫瘍と診断.癒着小腸切除ならびに右半結腸切除を行った.病理組織検査にて腫瘍細胞が粘膜下層から筋層に存在. PAS染色陽性, Glimelius,クロモグラニン特殊染色も陽性.虫垂杯細胞カルチノイドと診断.虫垂杯細胞カルチノイドは術前診断が困難だが,再発,転移する例がある.本邦報告例を検討すると,術中検索上虫垂の腫大(5cm以上),後腹膜,回腸への浸潤を思わせる癒着,リンパ節腫大を認めた場合,本疾患の可能性を考え,回盲部切除以上の積極的な外科治療を行うべきである.
  • 本田 勇二, 石井 健一, 萩原 英之, 江口 英雄
    2004 年 65 巻 2 号 p. 454-458
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    呼吸停止に至るも手術にて救命した巨大結腸症の1例を経験したので報告する.症例は71歳,女性.精神分裂病にて精神科病院入院中であった.平成15年4月17日傾眠傾向となり当院内科入院となった.腹部は著明に膨満し,圧痛はなく,腸雑音は消失していた.保存的治療をしていたが, 4月18日昏睡状態,血圧低下,心室頻脈,呼吸停止となったため緊急手術を施行した.腸管穿孔は認めなかった.小腸に拡張はなかったが,大腸は盲腸から肛門管直上まで著明に拡張し, S状結腸は黒褐色に変色し壊死を疑わせた.大腸全摘術,回腸人工肛門造設術を施行した.術後1日目には呼吸状態,循環動態は改善し術後70日で軽快退院した.自験例のごとく著明に拡張した大腸が原因で呼吸停止に至った場合,開腹する事により腹腔内圧は減少し呼吸循環不全が改善され,救命することが可能となるため,積極的に手術的治療を行うべきであると思われた.
  • 須浪 毅, 金村 洙行, 大平 雅一, 楊 大鵬
    2004 年 65 巻 2 号 p. 459-463
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は80歳,女性.めまいの精査目的にて入院中,血性粘液が下着に付着するため,精査目的にて骨盤CTを施行.下部直腸に腫瘤を中心にmulti concentric ring signが認められ,腫瘤による腸重積が疑われた.直腸診にて肛門縁から3 cmの位置に,表面不整な腫瘍が触知された.注腸検査では,腫瘍はまず蟹の爪様の陰影欠損像として描出され,送気により腫瘍が口側へ移動し還納されると, apple core signとして描出された.大腸内視鏡検査では,肛門縁のすぐ口側に2型腫瘍が認められたが,送気により肛門縁から7 cmの部位まで移動した.生検にてgroup V (高分化型腺癌)であった.腸重積症を合併した直腸癌の診断にて低位前方切除術を施行した.手術時には腸重積は整復された状態であった.
    直腸癌による腸重積症は非常に稀である.直腸脱を伴った症例も含めて,本邦報告7例を集計し,考察を加えて報告する.
  • 高林 司, 金井 歳雄, 川野 幸夫, 中川 基人, 坂田 道生
    2004 年 65 巻 2 号 p. 464-468
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は45歳,女性で,血便を主訴に来院した.大腸内視鏡検査で,直腸の肛門縁より4 cm口側に径6 cmの2型腫瘍を認め,生検組織検査の結果は低分化腺癌であった.骨盤MRI検査では,直腸間膜脂肪織への浸潤を認めた.下部直腸の進行低分化腺癌と診断し,術前化学放射線療法を施行した.全骨盤腔にLinac計40Gyの照射と5FU, LV, CDDPによる全身化学療法を施行したところ,腫瘍は著明に縮小した.前治療の終了3週後に開腹術を施行し,側方リンパ節郭清を伴う腹会陰式直腸切断術を施行した.切除材料の病理組織検査では,主病巣は瘢痕組織で置換され癌細胞を認めず,リンパ節転移も陰性であり,化学放射線療法の効果判定はGrade 3であった.術後3年10カ月の現在,再発を認めていない.局所再発が多く,予後不良な進行直腸低分化腺癌に対して,術前化学放射線療法は有効な補助療法となる可能性が示唆された.
  • 河村 史朗, 森本 大樹, 島田 悦司, 村山 良雄, 奥村 修一
    2004 年 65 巻 2 号 p. 469-472
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    今回,われわれは尋常性乾癬に伴った消化器癌の3例を経験したので報告する.症例1は71歳,男性で,直腸癌に対して根治術を施行した後,皮疹は軽快した.症例2は63歳,男性で,胃癌と直腸癌の同時性重複癌に対して一期的に根治術を施行した.術後,皮疹は軽快したが,術前より投与したステロイド外用剤が奏効したものと考えられた.症例3は52歳,男性で,胃癌に対して根治術を施行したが,術後,皮疹は軽快せず,また再発時も増悪しなかった.本邦における尋常性乾癬に伴った内臓癌の報告例は自験例3例を含め18例あり,癌と皮疹の関係について検討した結果,内臓癌が乾癬の発症,増悪因子の1つである可能性が高いと考えられた.
  • 米沢 圭, 光吉 明, 財間 正純
    2004 年 65 巻 2 号 p. 473-476
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は循環器内科入院中の74歳の女性で,突然の腹痛にて発症した.腹部超音波検査にて上腸間膜静脈から門脈内の気泡,また腹部CTにて腸管の高度の浮腫と肝臓内の門脈ガスが確認され門脈ガス血症と診断し,腸管壊死の可能性を否定しえず緊急開腹術を施行した.手術所見としては空腸起始部より40~80cmの範囲で空腸漿膜の出血,腸壁の浮腫性肥厚を認めたが虚血性変化は認めず,同部はviableであると判断し腸切除は行わなかった.術後の腹部超音波・CTでは門脈ガスは消失し腹部所見としては経過良好であったが,心・腎不全に陥った.骨髄穿刺にて多発性骨髄腫であることが判明し,随伴しうるアミロイドーシスが心・腎不全の原因と考えられた.集中治療を行ったが患者は心不全のため術後19日目に死亡した.腸管壊死を伴わない門脈ガス血症は稀であり,多発性骨髄腫の患者に発症した門脈ガス血症の報告は検索可能な範囲で他にみられなかった.
  • 前田 一也, 新納 英樹, 山村 浩然
    2004 年 65 巻 2 号 p. 477-480
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は93歳男性で,主訴は右季肋部痛であった.血液生化学検査・腹部CT検査などから急性胆嚢炎と診断し保存的加療を行った.入院後,腹痛は徐々に軽減したが,血液生化学検査上は改善を認めず, 7病日目に施行した腹部CT検査では,肝右葉前面の肝被膜下に嚢胞性病変を認めた.超音波ガイド下に経皮的ドレナージを施行し,内容が胆汁であったためbilomaと診断した.ドレナージ術施行後は,血液生化学検査上も炎症所見の改善を認めた.ドレナージ術後8日目のドレナージチューブからの造影では,造影剤のbilomaから胆嚢への漏出を認め,急性胆嚢炎の経過中に胆嚢が肝被膜下に穿通を起こしbilomaが形成されたものと考えられた.
    Spontaneous bilomaは胆道内圧の上昇をきたす疾患に続発することが多いとされている.治療はまず経皮的ドレナージを行って急性期を脱してから原疾患の治療を行うのがよいと考えられる.
  • 森藤 雅彦, 村上 義昭, 竹末 芳生, 佐々木 秀, 上神 慎之介, 末田 泰二郎
    2004 年 65 巻 2 号 p. 481-486
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は53歳の男性.感染性膵壊死に対してnecrosectomy施行後に外膵液瘻を合併したが,徐々に排液が減少し自然閉鎖した.退院6カ月後に発熱・背部痛・咳嗽を主訴に再入院となり,精査にて膵体部主膵管狭窄と尾側膵管の破綻を認め,縦隔へ波及していた.膵管の狭窄により内圧が上昇して破綻し,後腹膜へ穿破した内膵液瘻と考えた.門脈本幹の閉塞で著明な側副血行路を認め大量出血が危惧されたが,空腸との内瘻化を目的に開腹手術を行い,瘻孔空腸吻合術が施行できた.術後は経過良好で第25病日に退院となった.重症急性膵炎necrosectomy後で残膵機能が乏しく側副血行路の発達した内膵液瘻に対して,瘻孔壁と腸管を吻合しえたとの報告は少ない.高度な癒着と門脈閉塞に伴う大量出血が危惧され外科的対処が困難と思われたが,本術式は膵内分泌機能を含めた残膵機能温存や安全性という面でも有用な方法であった.
  • 北條 茂幸, 前浦 義市, 太田 博文, 遠藤 和喜雄, 山崎 恵司, 岡本 茂
    2004 年 65 巻 2 号 p. 487-490
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    乳腺転移をきたした膵癌の1例を経験した.症例は72歳,女性. 2001年11月より心窩部不快感,背部痛が出現, 2002年2月に右乳房腫瘤を自覚.右乳房C領域に径1.2cm,形状不整,境界明瞭,弾性硬の腫瘤を触知.マンモグラフィではカテゴリー3~4,超音波検査では辺縁に低エコー域を伴う等エコー像を認めた.穿刺吸引細胞診ではクラスV,腺癌であった.術前の腹部超音波検査にて肝S4に径4.5cm,辺縁にhaloを伴う腫瘤影を,腹部CT検査にて膵体尾部に径5cmの腫瘤陰影を認め,膵癌 肝転移,傍大動脈リンパ節転移と診断. CA19-9が2,683U/mlと高値を示し,膵癌が乳房腫瘤の原発巣と考えた.膵癌に対し化学療法を開始するも,上部消化管狭窄の症候が出現し,胃空腸吻合術施行.同時に乳房円状部分切除術施行.病理組織学的に乳腺への転移性膵癌と診断した.乳腺組織への他臓器原発悪性腫瘍からの転移,特に膵癌が原発巣であることは極めて稀であるので報告する.
  • 日下部 光彦, 種村 廣巳, 大下 裕夫, 菅野 昭宏, 波頭 経明, 小森 充嗣
    2004 年 65 巻 2 号 p. 491-496
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,女性.左季肋部痛を主訴に近医受診,腹部超音波検査施行中に突然ショック状態となり当院へ緊急搬送された.腹部CTにて腹腔内出血を疑い開腹した.開腹時腹腔内に多量の血液の貯留を認めた.脾門部から胃脾間膜内に手拳大の腫瘤を認め破裂していた.肝外側区域に約10cmの腫瘤を認めた.摘脾,肝外側区域切除を施行した.脾病変は脾全体を占めるびまん性腫瘍で,肝病変は境界明瞭な結節性腫瘍であった.病理組織学的検査にて肝,脾ともに腫瘍部は血管肉腫と診断された.門脈血流が求肝性であり肝脾以外には病変を認めなかったことより脾原発血管肉腫および同時性肝転移を疑った.術後免疫療法としてIL-2の投与を行うも効果なく術後80日目に死亡した.本症は外科的切除のみでは極めて予後不良とされており,今後有効な化学療法や免疫療法の確立が望まれる.
  • 近藤 哲矢, 小久保 光治, 木村 真樹, 森 美樹
    2004 年 65 巻 2 号 p. 497-500
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    脾に原発する悪性腫瘍は比較的稀である.今回,われわれは,腹壁に直接浸潤を認めた脾原発悪性リンパ腫の1例を経験したので報告する.症例: 62歳,女性.平成10年1月より左側腹部痛,背部痛を自覚,時々37度台の発熱も認めていた.近医にて脾腫瘍を指摘され,紹介となった.入院時,肝脾触知せず,左側腹部に筋性防御を伴っていた.表在リンパ節は触知せず.血液検査では, LDH 611IU/l, CRP 3.30mg/dlの他には異常を認めなかった.画像所見にて,脾上極に8.5×5.0cm大の腫瘤を認め,左背側の腹壁,左横隔膜脚に連続していた. Gaシンチでは,脾臓と正中部背側に異常集積を認めた.腹壁浸潤を認める脾原発悪性リンパ腫を疑い,平成10年6月2日,脾摘術を施行.病理検査でmalignant lymphoma, diffuse large, B cell typeと診断された.術後22日目より化学療法施行,一時軽快するも231日目死亡となった.
  • 和城 光庸, 早乙女 勇, 足立 武則, 原 信寿, 後藤 健太郎, 宮崎 勝
    2004 年 65 巻 2 号 p. 501-503
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    患者は56歳,男性.右鼠径部の鶏卵大有痛性腫瘤を主訴に来院.腫瘤は環納せず,強い疼痛を訴えたことから,右鼠径ヘルニア嵌頓の診断にて緊急手術を施行した.術中ヘルニアは同定されず,右精管に直径1.5cm大の結節性病変を認めたため,病変部位を含めた右精管切除術を行った.病変は病理組織学的検査の結果,特発性結節性精管炎と診断された.精管結紮術や外傷などの既往のない結節性精管炎は極めて稀であり,若干の文献的考察を加え報告する.
  • 湊 栄治, 大竹 耕平, 藤野 一平, 松本 収生, 嶋 廣一, 吉山 繁幸
    2004 年 65 巻 2 号 p. 504-507
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は39歳の男性.高血圧,中心性肥満を主訴に当院内科を受診した.満月様顔貌および下腹部に皮膚線条がみられた.腹部CTでは,内臓逆位および右副腎腫瘍を認めた.血中cortisolの日内変動は消失,常時高値を示し,デキサメサゾン抑制試験でも抑制はみられなかった. ACTHは5pg/ml以下と低値を示した.尿中17-KSは正常範囲内であったが17-OHCSは高値を示した. 131Iアドステロールによる副腎シンチグラフィーでは右副腎に一致したhot noduleが認められた.以上より内臓逆位を伴った,右副腎腫瘍によるCushing症候群の診断で右副腎摘出術を施行した.摘出した標本は40×30mm,重量45gであり,割面は黄褐色ほぼ均一であった.病理組織診断は副腎皮質由来の淡明細胞と充実細胞が混在して増生するadrenocortical adenomaであった.全内臓逆位に伴ったCushing症候群は非常に稀で,検索しうる範囲内で邦文,英文報告例ともにみられなかった.
  • 宮田 量平, 細田 洋一郎, 橋本 光正, 洪 淳一
    2004 年 65 巻 2 号 p. 508-513
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    消化器癌を原発とした転移性卵巣腫瘍によるPseudo-Meigs症候群は比較的稀である.今回われわれは胃癌原発のPseudo-Meigs症候群の1例を経験した.
    症例は76歳,女性.胃癌で幽門側胃切除術を施行され,病理所見は低分化腺癌(por2), pT2 (mp), pN1 (no.3), ly1, v1, int, INFγ, pStage IIであった.術後2年目に咳嗽が出現し精査の結果,右卵巣悪性腫瘍と良性の胸腹水を認めた.当院婦人科で右卵巣摘出術を施行し病理組織学的に既往の胃癌のKrukenberg腫瘍によるPseudo-Meigs症候群と診断された.術後は速やかに胸腹水が消失した.術後16カ月までは無再発であったが術後17カ月目に腹膜播種をきたし永眠された.
  • 伊藤 嘉智, 長谷川 俊二, 星 茂憲, 大島 秀男, 梶原 周二, 佐々木 勝海
    2004 年 65 巻 2 号 p. 514-518
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    偶発腫瘍として発見された副腎皮質癌の1例を報告する.症例は44歳,男性.健診の腹部超音波で巨大な肝内腫瘤を指摘され当院を受診し,精査したところCTおよび血管造影から副腎腫瘍が疑われた.内分泌学的検査で尿中17-OHCSおよび17-KSの高値を認め,副腎皮質癌と診断し外科的切除を行った.病理組織学的に強い核異型や異常核分裂像, mitosis indexが5/50hpf以上みられることなどから副腎皮質癌の確定診断となった.本例は術後7, 14, 31ヵ月後に肝転移をきたし, 2度外科的切除を行い, 3度目は多発性転移のため塞栓療法を行った.現在36ヵ月経過し通院加療中である.副腎皮質癌は外科的切除が唯一の根治療法であり,有効な治療手段に乏しく予後不良である.本症例は転移巣に対する塞栓療法が奏効しているものの一般的とはいえず,今後さらに有用な補助療法あるいは切除に匹敵する治療法の開発が必要である.
  • 石田 敬一, 今牧 瑞浦, 石田 厚, 宮崎 勝
    2004 年 65 巻 2 号 p. 519-521
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    今回われわれは中心静脈カテーテル挿入時の動脈穿刺により後腹膜血腫を合併し,手術により止血しえた症例を経験したので報告する.症例は70歳代,女性.食欲不振,体重減少を主訴に他院に入院した.食欲不振改善しないため鼠径部から中心静脈カテーテル挿入を試みたが,動脈を穿刺した.その後繰り返す貧血と右下腹部痛を認め, CT検査では後腹膜血腫を認めた.中心静脈カテーテル挿入操作時の動脈穿刺による後腹膜血腫が疑われ,加療目的にて当院転院となった.出血を繰り返しているため,手術による止血を行った.出血は外腸骨動脈から分岐する閉鎖動脈からであり,これを結紮止血した.術後に貧血の進行を認めなかった.鼠径部中心静脈カテーテル挿入操作後,貧血,下腹部痛を認めた場合,動脈穿刺による後腹膜血腫の合併を疑いCT検査,超音波検査を行うべきである.また,繰り返す貧血がある場合,手術による止血が必要である.
  • 大槻 憲一, 渡辺 明彦, 山本 克彦, 石川 博文, 大山 孝雄, 山田 高嗣
    2004 年 65 巻 2 号 p. 522-526
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,女性.平成13年11月,下痢を主訴に近医を受診したところ,右側腹部腫瘤を指摘され当院に紹介された.当院受診時,右側腹部に弾性軟,小児頭大の腫瘤を触知した.腹部CTでは右後腹膜腔に12×7 cmのlow density massとして描出され,注腸造影検査において,上行結腸は著名に左側に圧排されていた.後腹膜漿液性嚢胞の診断のもと,腫瘍摘出術を施行した.腫瘤は非常に薄い嚢胞壁を有し,その内容物は無色透明の液体であった.内溶液のCA19-9, CEA値はそれぞれ10,000U/ml以上, 344.5ng/mlと高値を示したが,細胞診は陰性であり,嚢胞壁にも悪性所見は認めなかった.後腹膜嚢腫は稀な疾患であり,若干の文献的考察を加え報告する.
  • 藤田 武郎, 間野 正之, 大村 泰之, 西 英行, 福田 和馬, 小松原 正吉
    2004 年 65 巻 2 号 p. 527-531
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例: 64歳,男性.主訴:右下腹部痛. 1カ月前より腹部不快感を自覚していたが,突然の激しい腹痛を自覚したため受診.腹部全体に強度の圧痛と腹膜刺激症状を認め,腹部CT上でfree-air,上行結腸に腫瘤陰影および回腸の浮腫像を認めた.臨床所見,検査所見より上行結腸癌および消化管穿孔による急性汎発性腹膜炎と診断し緊急開腹術を施行.術中,盲腸に径1cm大の穿孔と上行結腸に不整な隆起性腫瘤を触知した.また回腸は約80cmにわたって非連続性に分節状の虚血に陥っていたが中枢側の動脈の拍動は十分に認められた.上行結腸癌,非閉塞性腸間膜虚血による結腸穿孔と診断し2群郭清を伴う上行結腸切除および回腸合併切除術を施行した.病理組織学的な検索では,腫瘍は中分化型腺癌, ss, ly3, v3, n2, ow (一), aw (一),また回腸は急性炎症を伴い粘膜下組織に達する多発性の潰瘍形成が認められ,非閉塞性腸間膜虚血に矛盾しない所見であった.以上より,臨床所見および病理組織学的に非閉塞性腸間膜虚血と診断した.術後経過は良好で,現在外来にて経過観察中である.
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